2022年06月07日

健康診断で「糖尿病予備軍です」、結果表の見方と血糖値改善の5つのコツ

健康診断で「糖尿病予備軍です」、
結果表の見方と血糖値改善の5つのコツ
岡田明子:管理栄養士
2022.6.6 Diamondオンライン

年に一度の定期健康診断や人間ドック。届いた結果の数値が悪かったり、再検査と記載されていたりすると心配になるものです。
前回の「高血圧」編に続き、今回は糖尿病の疑いがある場合、あるいは「血糖値が高いです」と言われた場合、結果表のどこを見ればいいのか、数値改善のためには食生活のどんなことに気を付けたらいいかについて解説します。(管理栄養士 岡田明子)

健診結果を見るときのポイント
 血糖値は「空腹時血糖」と「HbA1c」の数値を注意してチェックしてください。
空腹時血糖というのは、前回の食事から10時間以上絶食した状態で測定した血糖値です。
健診前に何か食べている場合も、高い数値が出てしまいます。

一方、HbA1cというのは過去1〜2カ月間の平均的な血糖値の状態を把握できるものです。
 糖尿病は複合的に診断がされるため、どちらかが異常の数値であっても、すぐに糖尿病とはなりません。
糖尿病と診断されるのは、「空腹時血糖≧126mg/dl」、かつ「HbA1c≧6.5%」という場合です。

他にも、食事時間とは関係ない「随時血糖値」が200mg/dlの場合なども、糖尿病と診断されます。
要注意の範囲は、糖尿病予備軍となります。

数値がさらに悪くなる前に、食事や生活習慣の見直しをしていきましょう。

血糖値が高くなる要因は何?放っておくとどうなる?
 私たちの体は、食事をすると血糖値が上がります。
血糖値が上がると、インスリンというホルモンが膵臓(すいぞう)から分泌され、肝臓や筋肉、脂肪組織に送られるとエネルギー源として使用されたり、蓄えられたりします。
しかし、カロリーや脂質の取り過ぎ、食物繊維の不足といった食生活の乱れや、運動不足、ストレス、睡眠不足、喫煙習慣などの生活習慣の乱れによって、インスリンの分泌量や働きに異常が生じると、血糖値が下がりにくくなり、血糖値が高くなってしまうのです。

 このような食事や生活習慣の乱れが原因の糖尿病を“2型糖尿病”と呼び、全ての糖尿病患者の約9割を占めると言われています。
他にも、妊娠がきっかけの糖尿病や、膵臓の病気が原因で血糖値が高くなる場合もあります。
 血糖値の高い状態が長期に及ぶと、全身の血管に障害が起きるようになり、失明や腎不全、足の切断などの合併症や脳梗塞、心筋梗塞といった病気を引き起こすこともあります。

 一生で使えるインスリンの量は決まっていて、加齢に伴いインスリンの分泌量も減ってきます。
手遅れになる前に、今からできることを探していきましょう。

血糖値が改善するための五つのコツ  
今回は血糖値の数値改善につながる、取り入れやすい食事や食習慣の工夫を五つ紹介します。

(1)糖質の多いものの取り方を見直す
 まず、糖質の多い食品を、普段自分がどんなふうに食べているかについて見直しましょう。
ごはんやパン、麺といった主食はもちろん、普段良く口にする飲み物、間食などでも糖質を取り過ぎていませんか?
主食は夕食だけ軽めにする、清涼飲料水を無糖の飲み物に変える、お菓子は個包装のものを選ぶなどして、少しずつ糖質を減らしてみてください。
 3〜7日くらい、毎日食べたものをすべて写真に収めて見返してみると、どこで糖質を取り過ぎているのか見えやすくなります。

(2)食物繊維を意識して取る
 食物繊維は、余分な糖質を体外に排出する働きがあります。
葉物野菜や根菜類、海藻やコンニャク、キノコ類、玄米、胚芽、もち麦などに多く含まれていますので、1日の中で意識して食べるようにしましょう。
 具沢山の汁物にすると、野菜のカサを減らしてたくさん食べられます。
主食を精製度の低い玄米に変えたり、麦ごはんに変えたりといった方法のほか、汁物やサラダにワカメを加えるといった工夫もおすすめです。

(3)食事は「ベジタブルファースト」!食べる順番に気を付ける
 ダイエットでもよくいわれる「ベジタブルファースト」を意識しましょう。
食事の一口目は野菜から、そのあと他のおかずを食べ、最後にごはん(主食)を食べるという「食べ順」を意識する方法です。
 野菜から食べることで、血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンを節約することができます。
ベジタブルファーストは減量につながるだけでなく、膵臓の負担も軽減できる食べ方です。
万が一野菜がなければ、海藻類やナッツ、肉や魚などでも大丈夫。
 食べ順を守りやすい、たとえば定食などのメニューを選ぶことも大切ですが、ラーメンのようなメニューの場合でも、野菜をトッピングしてそこから食べるようにしましょう。
血糖値の上昇を緩やかにすることができます。

(4)食後15分はちょこちょこ動き、ゆったり座らない
 食後15分は、座ってゆったりするのではなく、ちょこちょこ体を動かすようにしましょう。
運動でなくても構いません。散歩したり、身の回りを掃除したりするだけでも、血糖値の上昇が緩やかになります。
あえて少し遠いお店に歩いて行ってみたり、食後の歯磨きの間にかかとの上げ下げをしてみたりするなど、食後すぐに座らないよう意識してみてください。

(5)低糖質商品を上手に活用する
 今やさまざまな低糖質商品があり、飲み物やお菓子だけでなく、主食や調味料など多岐にわたります。
「糖質ゼロ」をうたうものから「糖質○○%オフ(カット)」まで幅広く、スーパーやコンビニなどでも扱われているので購入しやすくなりました。
 これまで食べていたものをこうした商品に替えるだけでも、大幅な糖質カットが可能です。

「これなら無理なく続けられそう!」というものが見つかると、数値改善にもつながりやすく、またその後も継続しやすいため、リバウンドも起こりにくくなります。
 血糖値が高くても、初期症状を自覚することはほとんどないので放置してしまいがちです。
しかし、糖尿病は恐ろしい病気です。
具合が悪くなってから「あの時、どうして何も取り組まなかったのか」と後悔したくなるほど、その代償は大きいものになります。
健康診断で引っかかったら、「生活習慣を見直すチャンス」と前向きに捉えて、今日からできることから始めていきましょう。

参考 糖尿病診療ガイドライン2019
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする