2022年07月01日

これが自民の本音! 茂木幹事長が「消費税減税なら年金3割カット」と物価高に苦しむ庶民を恫喝 消費増税で法人税減税を穴埋めしながら

これが自民の本音! 茂木幹事長が「消費税減税なら年金3割カット」と物価高に苦しむ庶民を恫喝 消費増税で法人税減税を穴埋めしながら
2022.06.28 LITERA

 またも自民党から信じられない暴論が飛び出した
6月26日放送のNHK『日曜討論』で、野党側が物価高騰対策として消費税減税を訴えるなか、自民党・茂木敏充幹事長がこう言い放ったからだ。
「みなさんからお預かりしている消費税、これは年金、介護、医療、そして子育て支援、社会保障の大切な財源でして、これを野党のみなさんがおっしゃるように下げるとなると、年金財源を3割カットしなければならない」

 言わずもがな、この物価高騰のさなかに年金は今年6月支給分から0.4%減額されており、2年連続の引き下げとなっている。
にもかかわらず、茂木幹事長は平然と「消費減税するなら年金3割カットだぞ」と恫喝してみせたのだ。

 いや、そもそも「消費税は社会保障の財源」という話自体が嘘っぱちだ。
 19日放送の同番組でも、れいわ新選組の大石晃子衆院議員が消費税の使途について取り上げると、自民党の高市早苗政調会長が「消費税の使途は社会保障に限定されている」と言い張り、「法人税の引き下げに流用されているかのようなデタラメを公共の電波で言うのはやめていただきたい」などと発言。
だが、デタラメを公共の電波で言っているのは高市政調会長や茂木幹事長のほうだ。

 本サイトでは繰り返し指摘してきたが、消費税を増税する際、安倍政権は「消費税率の引上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」と大々的に喧伝してきたが、増税した分の多くは財政赤字の穴埋めに使われているのが実態だ。
 しかも、1989年に消費税が導入されて以降、この34年間で消費税の総額は476兆円にものぼっているが、かたや法人税は324兆円、所得税・住民税も289兆円も税収が減っている(しんぶん赤旗6月24日付)。

実際、安倍政権は消費税率を引き上げる一方で、アベノミクスの成長戦略として法人税率を3回にわたって引き下げ、法人実効税率は安倍政権発足時の37%から29.74%まで減少。
だが、法人減税したものの設備投資には結びつかず、企業が溜め込んだ内部留保は2020年度末で484兆円3648円となり、9年連続で過去最高を更新している。
つまり、大企業優遇の法人税などの引き下げのために、消費税が増税されつづけているというわけだ。

 当然、消費増税しても社会保障は削られる一方だ。
現に今年4月から75歳以上の後期高齢者医療制度の保険料が引き上げられ全国平均が過去最高になったほか、今年10月からは一定所得以上の75歳以上の医療費窓口負担が1割から2割に引き上げられる。
このほかにも介護保険の負担増や生活保護費の減額をはじめ、コロナ下では医療崩壊が巻き起こるなかでも安倍・菅政権は感染症対応の中心となる急性期病床を大幅に削減してきたのである。

財源を理由に消費減税拒み社会保障を削りまくりながら、防衛費は財源無視で大幅増額  消費増税を繰り返しながら法人税を減税し、社会保障を削りつづけてきた連中が、物価高騰対策について問われるなかで「消費税は社会保障の財源」とデタラメをほざき、「消費減税だと年金3割カット」などと国民に威嚇する──。

言っておくが、物価高騰は世界で巻き起こっているが、他の先進国と違って日本だけは約30年間も賃金が変わっておらず、物価高の打撃はかなり大きい。
しかも、世界では物価高対策として91の国・地域で消費税(付加価値税)の減税を実施あるいは予定をしている。
なのに、岸田政権は「消費減税はシステム変更が大変」などと無茶苦茶な理由で消費減税を拒否し、「年金3割カット」と脅しまでかける始末なのだ。

 安倍晋三・元首相は首相在任時に「税というのは国民から吸い上げるもの」と宣ったことがあるが、この物価高の選挙期間中でも、自民党は生活が苦しい庶民から搾り取れるだけ搾り取ろうという本音を隠そうともしない。
もはや「冷酷」「無慈悲」を通り越して「鬼畜」としか言いようがないだろう。

 しかし、岸田自民党の鬼畜ぶりはこれだけではない。
このように消費減税を拒みながら、一方で防衛費のGDP比2%以上を公約に掲げ、高市政調会長いわく「必要なものを積み上げれば10兆円規模になる」と公言して憚らないことだ。
 賃金がまったく上がらず、少子化まっしぐらという国家の危機を迎えているというのに、ロシアによるウクライナ侵略をここぞとばかりに利用し、国家間の緊張を高めるだけの防衛費増額を選挙で打ち出す。
しかも、絶句させられるのは、その財源についてだ。
 10兆円の財源について、高市政調会長は「短期的には国債発行に一時頼らざるを得ないと思う」と発言。
ようするに国民の借金を増やそうと言うだけなのだが、開いた口が塞がらないのは、このあとの発言だ。
「防衛費も確保できるよう経済全体のパイを大きくしていく」  

野党が社会保障の充実を訴えると「財源はどうするんだ」とがなり立てるくせに、自分たちは事も無げに「経済全体のパイを大きくしていく」と言う……。
そんなに簡単に経済成長できるというのならとっとと賃金を上げてくれよという話だが、つまり、財源について何も考えていないのだ。
無論、社会保障費がさらに削られていくだけではなく、そのうち防衛費増額のために消費増税を言い出しても不思議はないだろう。

 嘘と恫喝で消費減税を拒絶し、防衛費増額だけは財源も無視して前のめりになる自民党。
いや、参院選で躍進を狙う日本維新の会や国民民主党も、改憲のみならず防衛費の増額に前向きであり、野党というよりも与党勢力と化している状態にある。
この与党勢力を勢いづけることで、一体わたしたちの暮らしはどうなるのか。

参院選を前に、よくよく考えなければならないだろう。
         (編集部)
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2022年07月02日

既存政党がキワモノ政党から学ぶべきこと

既存政党がキワモノ政党から学ぶべきこと
菅野完・ 著述家
2022年07月01日 SPA!

◆参政党の躍進
 参政党なる新しい政治集団の躍進が目覚ましい。
 5月某日。参政党は「イシキカイカクサミット」と称する政治資金パーティーを行い、広く一般からの参加を募り、5000人以上の参加者を集めた。
 驚くべきはそのパーティー券の高額さだ。
SS席10万円、S席5万円ときわめて強気の値付け。
しかしこれが飛ぶように売れ即日完売したというのだから驚く。
参政党はこの日のパーティーだけで、パーティー券収入や会場でのグッズ販売で、2億円前後の政治資金を積み上げたという。
 街頭演説の勢いも凄まじい。
新橋や新宿などの都内ターミナル駅前のみならず、全国各地の県庁所在地でも軒並み1000人前後の聴衆を集め、どの会場も大盛況だ。

自民、立憲、公明、共産などの老舗政党でさえ、動員なしでこの人数を街頭に集めることは不可能にちがいない。
 この勢いはすでに情勢調査にも反映されつつある。
参院選が近づき実施頻度が高まってきた各社の世論調査では、次の参院選での投票先として「その他の政党」(参政党は政党要件を満たしていないため情勢調査では団体名ではなくこの選択肢に含まれる)を選ぶ人の割合が、ここ最近(5月下旬から6月上旬実施分)では常に2パーセント台を推移するようになっている。
これは前回2019年参院選におけるれいわ新選組とNHKから国民を守る党の事前情勢調査数値を合計したものより大きい数値だ。
来たる参院選で参政党が、2019年参院選でのれいわ新選組とNHKから国民を守る党の獲得議席合計=3議席を凌駕することも十分にありうる数値と言っていいだろう。

◆れいわ・NHK旋風と同種
 こうした参政党の人気は、主にネット、とりわけYouTubeを中心に形成されたものだ。
参政党の街頭演説の様子をダイジェストにまとめた動画は、今年春ごろからYouTubeに大量に投稿されるようになった。
そして動画が大量に投稿されることで、視聴者の目に止まるようになり、ある一定の再生回数を稼ぐようになった。
 ここまでくるとあとはYouTube独特のメカニズムが自動的に動き出す。

YouTubeには広告収入を当て込んだ弱小動画配信者が無数に巣食っている。
この種の小金を獲得することを狙う連中は、常に「話題」を探しており、少しでも話題を集められる素材を見つけると、それを勝手に編集し、自分の動画としてYouTubeに投稿する。
そうすることでその特定の話題はさらに大きな話題となり、さらなる広告収入狙いの動画配信者を呼び込んでいく……。
 こうして参政党は雪だるま式にYouTubeでの話題となった。

現時点では参政党の各種動画は、YouTubeの政治コンテンツの中で最も再生回数と視聴者数を稼ぐ最強の存在と言っていい状況だ。
 また彼らの主張が、YouTubeを政治の入り口としてしまうような層にうまく適合していることも事実である。
参政党の主張の内容は、反ワクチンや反マスクなどを織り交ぜた愚にもつかない陰謀論もどきのものでしかない。
「世の中で常識だ定説だとされているものに、挑戦している自分」を演出して見せるだけで、一定の人気が生まれてしまうのがネットの特徴。
参政党はこのネットの風潮をよく理解しており、あらゆる主義主張に、既存の価値観・既存の政治秩序に対する対抗言論を混ぜ込んでいる。
その内容は「反対のための反対」でしかなく、既存の価値観を否定することに専念するあまり、前述のように勢いあまって陰謀論にさえ足を踏み込んでしまっている。

まともな知性のある人物なら一瞬で取るに足らない物と吐き捨てるに過ぎない代物だが、こうも勢いづくと、ネットの中では「既得権益に争う挑戦者」との称号を冠してしまうのが現実なのだ。
 その意味では、2019年参院選における、れいわ・NHK旋風と同種と言える。
あの両党も「常識に疑義を挟む」「既存の価値観を否定する」で人気を博した。
そして議席獲得後、そのままの路線で突き進み、あれから3年、れいわは凋落しNHK党は実質的に壊滅した。

◆キワモノ≠スちが既存政治勢力を凌駕する
 もっとも参院選とは常にこういう選挙であったと言えなくもない。
昭和の昔の全国区選挙時代も、非拘束名簿方式の比例代表制となった平成以降も、選挙区以外の参院選は、「目立ったもの勝ち」「極端なことを言ったもの勝ち」といった側面が常につきまとってきた。
 そうして当選したキワモノ′補者たちはやがて国会に登場し、明治以来の国会の伝統や政治手続きの堅牢さに直面することになる。
あるものはキワモノ≠ナあり続けようとし無謀にも議会の伝統や手続きに挑戦することで、無様な討死の姿を晒す。
そしてあるものは、順応しきってしまいキワモノ≠ナあることを捨ててしまう。

いずれにせよ行き着く先は、キワモノ≠セからこそ投票してくれた支持者・有権者に愛想を尽かされるという結末だ。
 そして前回の選挙でキワモノ≠支持した有権者は、次の選挙で違うキワモノ≠支持し、うつろい続ける。
現に、2019年の参院選でれいわを必死に応援したボランティアが、今回の選挙では参政党に夢中になっている姿は、随所で目撃されている。

選挙区以外の参院選の選挙制度が歪であり、「キワモノが勝つ」風潮がある以上、こうした光景は、これまで何十年も繰り返されてきたし、今後も繰り返されるだろう。

 しかし問題は、こうしたキワモノ′補者とそれを支持する有権者が、近年とみに増えてきたという現実だ。
前述のように今回の参議院選挙では、参政党は比例で3議席を獲得することさえ視野に入っている。
前回参院選から凋落したとはいえ、れいわ新選組も比例1議席は固い。NHK党はもはや崩壊したに等しく議席確保はかなわないだろうが、それでも、れいわと参政党のキワモノ2党で計4議席獲得さえありうる情勢だ。
前回参院選における国民民主党や共産党の獲得議席と何ら遜色のない数字である。
とうとうキワモノ$ュ治勢力が、老舗既存政党を凌駕する時代がやってきたのだ。
 この現実を、嘆かわしい風潮と処理してしまうことは厳に慎むべきことだろう。
いかにキワモノ≠ニ言えどもそれは厳粛なる有権者の審判だ。
それに、キワモノ≠スちが既存政治勢力を凌駕するのは、それだけ既存の政治のありかたが、多数の有権者に愛想を尽かされている証左に他ならない。
 言い換えれば、キワモノ≠クきの有権者からしても、既存の政治勢力は、旬の過ぎた(当世風に言えば「オワコン」の)古臭いキワモノ≠ニみなされているということだ。

◆投票したい政党がない
 前述のように参政党の主義主張は、陰謀論を含んだ荒唐無稽なものが多い。
さらに言えば、論評に値いするような個別具体的な政策など無いに等しい。
どう考えても議席獲得後、参政党が、国会議論についてこれるだけの素養があるとは思えない。
おそらく国会でケレンみの多い動きをして鼻を膨らませるのが関の山だろう。
それを支持してしまう有権者も同様。

確かに、参政党もその支持者も、知識もなく、日本の議会制度が明治以降曲がりなりにも100年以上の歳月をかけて磨き上げてきた、議会の伝統や政治手続きの堅牢さになど何の理解もないであろう。
 しかしこういう人たちも有権者なのである。
いや、こういう人たちこそ、他のどんな有権者よりも大切な有権者だと言うべきだろう。
政権選択選挙でもない参院選で、しかもあまりにも巨大な与党を戴きながら迎える無風の参院選で、熱心に政治活動を行い、街頭演説に足繁く通う有権者たちだ。

 そう考えると、この種の人々は、決して掃いて捨てる存在ではなく、極めて貴重な有権者層であることがわかるだろう。
こうした層が、参政党やれいわやNHK党などのキワモノ$ュ治集団に吸い寄せられていくのは、キワモノ≠フ方が詐術を使うからではない。
何か機会さえあればここまで熱心に政治参画する人々を、既存政党の方が掬い上げられていないのだ。

 参政党の街頭演説は極めてシステマティックに行われるのが特徴だ。
街頭演説の裏方として働くスタッフ各位の勤勉さと有能さには舌を巻くものがある。
荒唐無稽な主張を詐欺師めいた話術でまくしたてる下品な候補者たちにくらべると、裏方のスタッフのほうがその誠実さといい有能さといい政治家にふさわしいのではないかと思えるほどだ。

 そのスタッフ各位はみな、参政党のシンボルカラーであるオレンジ色のTシャツを着用している。
そのTシャツの背中にはこう書かれている。
「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる」

 既存政党各位が、参政党のような政治集団を見下すのは無理からぬことであろうし、正しくもあろう。
しかし足蹴にするまえに、まずはあのTシャツの文言を、いちど噛み締めてみるべきではないか。
 <文/菅野完 初出:月刊日本7月号>
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2022年07月03日

子どもと一緒に学ぶ「出ていくお金の減らし方」

子どもと一緒に学ぶ「出ていくお金の減らし方」
石原 尚幸 : 経営コンサルタント
2022/07/01 東洋経済オンライン

「わが子にだけは、お金の苦労をさせたくない」――こんな思いを持つ親御さんはきっと多いでしょう。
しかし、お金の勉強は、学校のカリキュラムにはありません。
学校では教えてくれないのです。
であれば、お金のことを教えてあげられるのは「親」ということになりますが、では何を、どう教えればいいでしょう。
石原尚幸氏の新著『父が子に伝える 13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方』では、「お金のプロ」である著者が、自身の子どもが13歳になったときから行なってきたシンプルかつユニーク、そして一生モノの「子供のマネー教育」のヒントを、子どもに語りかけるスタイルで紹介しています。
本稿では、同書から一部を抜粋してお届けします。

「ちょっと教えて。君が先月に使ったお金がぜんぶでどれくらいか、わかる?」
「え、突然いわれても。3000円くらいかな……」 「じゃあ、その3000円を、何にいくら使ったかも教えて」
「えっ……500円はゲームセンターで。1000円はおやつ代かな……」
「残りの1500円は何に使ったの?」 「マンガかな……そんなこといちいち覚えてないよ!」

いや、別に君を責めているわけじゃないんだ。
みんな、君と同じで、使ったお金をちゃんと覚えている人のほうが少ないんだから。
その1500円のように、何に使ったのか、いくら使ったのか、わからないお金のことを、「使途不明金」と呼ぶ。

使途不明金があると節約しにくい
この「使途不明金」があると、お金をどこにいくら使っているかがわからないから、使うお金を減らそうと思っても、何をどう減らせばいいのかすらわからない。
だから、「使途不明金」は撲滅しなくてはいけない。
使途不明金が生まれてしまう理由。それは、お金には「色」がついていないからだよ。
おやつを買うお金も、ゲームセンターで使うお金も、100円は100円。同じだ。何も変わらない。

お金には色がついていないために、そのままにしておくと、どこへ出ていったのかがわからない。
で、ここからが本題。
使途不明金を生み出さないためには、お金を何にいくら使ったのかをすべて把握しておく、これに尽きる。
まずは、先月に自分で使ったお金の使い道と金額をすべて紙に書き出してみよう。
どうだろうか? 使ったお金を書き出してみることで、いつ、なんのために、いくら使ったのかがわかるよね。
そして、書いたものを見直してみると、「あれ、これ、なんで買ったんだろう(そもそも買う必要があったのかな)?」「あれ、これってこんなに使っていたっけ(こんなに使わなくてよかったかも)?」というお金が出てくると思う。

「測るだけダイエット」と考え方は一緒
使ったお金の使い道と金額を書き出しておくだけで、自分が、なんのために、いくら使ったのかが見えてくるよね。
お金には色がついていないから、こうして記録しておかないと、いつしか「使途不明金」となってしまい、気がついたらお金がなくなっていた、ということになりかねない。
体重を毎日測るだけで体重が減る「測るだけダイエット」って知ってる?
「毎日体重を測って、その体重を記録していく」というだけのダイエット法。「そんなことで体重が減るの?」と思うかもしれないけれど、じつはこれがとっても効果がある。
なぜか?  毎日体重を測ることで、体重の増減にいち早く気がつくことができ、体重を減らすための行動がすぐにできるからなんだ。

体重が増えていれば「あ、少し増えすぎているな」と気がつき、ごはんを少し減らしたり、普段はエレベーターで上がっているところを階段で上がってみたり、体重を減らすための行動をするようになり、結果、体重が減っていく。これが、「測るだけダイエット」が成功するからくり。

じつは、お金も同じだ。お金を何に使っているかを見ている人と、まったく見ていない人の、どちらが使うお金が減らせるかというと、きちんと見ている人なんだ。
このときの、使ったお金をチェックするときのコツをいっておくと、「もし、もう一度そのお金を使うとしたら、本当にそのお金を使うだろうか?」と自分に質問するといい。
この質問を自分にすると、「このときペットボトルのお茶を買ったけれど、水筒にお茶を入れておけば買う必要はなかったな」
「おやつに500円も使っているけれど、よくよく考えたら結局食べ切れなかったのもあったな。
よし、今月は300円で済まそう」といった前向きな振り返りが出てくると思う。
この振り返りができればしめたもの。
こうしてお金の使い方を見直していくことで、次からは無駄なお金は使わなくなるよ。
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2022年07月04日

おうちでできる脳の健康管理

おうちでできる脳の健康管理
2022年07月03日 ダイヤモンドオンライン

「頭の回転が速くなる」「誰でも脳の機能が向上しそう」「脳の老化防止に使える」「ゲーム感覚で小学生でも楽しめる」「たとえるなら、脳のストレッチ」「集中力や記憶力が伸びた」などの声が届いた、くり返し楽しんで使える『1分間瞬読ドリル』は、何歳からでも6つの力が飛躍的に伸びます。

間違ってもOK。
1分間で与えられた課題を見ていくだけで、「記憶力」「思考力」「判断力」「読解力」「集中力」「発想力」が抜群にあがります。
子どもには、これから必要とされる「考える力」や勉強脳が磨かれ、覚えに不安があるシニアはボケ防止に使える、
そして、大人は脳機能を高めていくことができるのです。

10歳から100歳まで、誰でも簡単に続けられる『1分間瞬読ドリル』で、脳をよくしていきましょう!

■脳への刺激が少ないと、ストレス増加につながる
 連日、35℃を超える猛暑日が続く今年の初夏。
天気予報で見る全国の温度マップも真っ赤。
気象予報士の方々も口々に、「命の危険を感じる暑さ。水分補給を忘れず、外出時も気をつけください」と。
思わず外に出るのを控え、クーラーの効いた涼しい家でゆっくり過ごしたくなりますよね。
 こういうときこそ、「脳の健康」のためにもおうちでの脳トレをオススメします。

 私たちは普段、外に出ていろいろなものを目にし、耳にし、感じることによって知らず知らずのうちに脳を刺激しています。
この「脳への刺激」が「脳の健康」を保つ大きな要因になっています。

 コロナ禍で、外出自粛の日々が続いていたとき、認知症問題が取り上げられていたことを覚えていらっしゃいますか?
いろいろな人やものに触れ合う機会が少なくなると脳への刺激が減少され、認知症等の発症が進み、悪循環になるということ。これが社会問題になりました。

 認知症問題だけではなく、脳への刺激が少ないことは、「ストレス増加にもつながる」という見解を持たれている方も多く、適度に脳を動かすこと大事。脳を刺激する事は認知機能を高め、そのことによって血圧や血流も良くなり、睡眠の質の向上、気分状態を良好にするのにも繋がっていくのです。

積極的に脳を刺激していきたいですね。
『1分間瞬読ドリル』は脳を刺激することはもちろんのこと、「楽しく」脳トレをできることも特徴。
答えが一つではないことで、発想力が高まり、脳への刺激範囲が広がります。
「発想力」はもちろんのこと、「思考力」「判断力」「読解力」「集中力」「判断力」「記憶力」すべてをアップできる「脳がよくなる」要素がすべて詰まっています。

 暑い夏は、まだまだ続きますので、自宅で過ごす時間、しっかり脳を刺激して健康管理することをおススメします。
どうぞ暑さ対策しながら脳から元気にお過ごしくださいね。

*本記事は、『1分間瞬読ドリル』の著者による書き下ろしです。
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2022年07月05日

岸田首相は物価上昇に伴う消費税増収「試算せず」の仰天! 6.15会見の質問にようやく回答

岸田首相は物価上昇に伴う消費税増収「試算せず」の仰天! 6.15会見の質問にようやく回答
2022年07月04日  日刊ゲンダイDIGITAL

 通常国会が閉幕した先月15日の夜、岸田首相はウクライナ情勢や物価高対策について会見を開いた。
会見に出席した日刊ゲンダイ記者も質問するために挙手したが、いつも通り指名されなかった。
当日、書面で質問を送付したところ、2日、ようやく官邸から回答が届いた。

 日刊ゲンダイは、消費税率が現状のままで物価が上昇すれば、消費税の税収が増えることを指摘。
「4月の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合)は上昇率2.5%でしたが、この影響による消費税の増税額はどれくらいでしょうか」と質問した。

 岸田首相の回答は「今般の物価上昇が消費税収に与える影響について、試算は行っていません」だった。
 国民は本体価格の上昇に加えて、消費税のさらなる負担を強いられているのに、岸田首相はその試算すら行っていないのである。

 税理士で立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)の試算によると、物価が1%上昇すれば、年間の消費税額は約2000億円増えるという。
物価上昇率が2.5%だった4月は物価上昇に伴い1カ月間だけで消費税が416億円も増えていることになる。
国庫は潤い、その分庶民の懐は寒くなっているのだ。

 物価高騰下、消費税が国民を苦しめている実態を岸田首相は見ようとすらしない──そんな姿勢が浮かび上がった回答だった。

【日刊ゲンダイの質問】
 物価上昇に伴い、消費税率がそのままなら消費税額の負担は増え、事実上の消費増税です。
4月の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合)は上昇率2.5%でしたが、この影響による消費税の増税額はどれくらいでしょうか(推計値で構いません)。
その上で、国民は本体価格の値上げだけでも苦しんでいますが、さらに消費税が値上げに加勢する形で、国民の財布からお金を吸い上げるのはあまりに酷。
この状況を目のあたりにしても消費減税をする考えはないのかお答えください。

【岸田首相回答】
〇今般の物価上昇が消費税収に与える影響について、試算は行っていませんが、我が国の物価上昇のほとんどは外的な要因によるエネルギーと食料品価格の上昇によるものであり、ガソリン価格の激変緩和や小麦の国内価格の抑制など、切れ目ない物価高対策を行ってきました。
さらに、先般、「物価・賃金・生活総合対策本部」を立ち上げ、電気代や食料品価格の更なる負担軽減策を決めたところです。
〇また、低所得者など物価高騰の影響を受ける方々に対しては、この春に住民税非課税世帯の方々に10万円の給付金を、また、低所得の子育て世帯には、子ども1人当たり5万円の給付金を5月末から順次支給しています。
さらに、地方創生臨時交付金を1兆円確保し、地域の実情に応じたきめ細かな支援を実行しており、今後、秋以降の切れ目ない支援のため、必要に応じ、地方創生臨時交付金のさらなる増額を行います。
〇このように、コロナ禍で物価高騰等に直面し、困窮されている方々にきめ細かく支援をお届けすることとしており、また、消費税は、社会保障の安定財源として位置付けられていることから、御指摘の消費税減税については考えていません。
(取材・文=生田修平/日刊ゲンダイ)
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2022年07月06日

岸田自民を待ち受ける参院選終盤“まさか”の落とし穴

岸田自岸民を待ち受ける参院選終盤“まさか”の落とし穴
2022/07/05 日刊ゲンダイ

 いよいよ終盤戦に突入した参院選。
大新聞は「与党優きしと中盤情勢を報じるが、「好事魔多し」だ。

 山際経済再生相が「野党の人から来る話は、われわれ政府は何一つ聞かない」という民主主義否定のトンデモ発言。
早速、松野官房長官は4日、山際氏を注意し、火消しに走ったが、野党は攻勢を強めている。
さらに岸田自民には“まさか”の落とし穴が待ち構えている。

岸田政権の物価対策への有権者の不満が日に日に高まる中、追い打ちをかけたのが米アップルショックだ。
1日、iPhoneやiPadなど主力製品を即日値上げ。
最大4万円もアップした。急激な円安が理由とみられている。
 新機種に買い替えたくても、これだけ価格が急騰すれば躊躇する人も多い。
4日まで手に入ったはずの商品が、円安を理由にアッという間に手を出せなくなる。
消費者は改めて円安の恐ろしさを痛感したはずだ。
その怒りの矛先が円安放置政権に向かう可能性は十分ある。

◆コロナ感染急拡大
 4日の東京の新型コロナウイルスの新規感染者数は2772人。
前週の同曜日より1255人増えた。
前週同曜日超えは17日連続。直近7日間平均は3380人で前週比162%とすごい増え方だ。
瞬間的には投票日前の7日ごろには5000人を突破してもおかしくない。

全国的に感染者数は急増しており、感染が拡大すると、内閣支持率は下がる傾向にある。
与党には逆風だ。
楽勝ムードがここにきて一転 メディアは、序盤から一貫して「与党優位」と報じている。

「1人区での野党候補の一本化が11選挙区にとどまり、自民には当初から楽勝ムードがありました。
ただ、ここへきて福島、福井、宮崎など『自民優勢』から『接戦』に転じた選挙区も出てきた。
楽勝ムードで失速気味の自民に対し、必死の野党候補が猛追すれば、自民が圧倒的に強い県を除いた多くの1人区で接戦に持ち込める可能性は高いと思います」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 4日の読売新聞と日経新聞は、32の1人区のうち、19選挙区で「自民優勢」と伝えた。
逆に言えば、13選挙区で野党が勝つ可能性が残っている。
前々回の11勝、前回の10勝を上回る数字だ。
自民が1人区で気を抜いてオセロのようにひっくり返れば、全体の勝敗も違ってくる。

「野党に追い風が吹いているとは思えませんが、逆風もない。自民はマイナス材料が出てきています。
事前の情勢報道と違った選挙結果になることはよくあること。
投票日までに情勢はいくらでも変わります」(五十嵐仁氏)
 岸田自民が落とし穴にハマれば、アッと驚く開票結果が出るかもしれない。
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2022年07月07日

綾小路きみまろさんが「人生は70代で決まる」と思う理由

小路きみまろさんが「人生は70代で決まる」と思う理由
2022.7.6  Diamondオンライン

52歳でブレイクし、中高年の老いをネタに毒を吐いてきた漫談家・綾小路きみまろさんも70代に突入。
わが身の老いに直面するも、それすら「笑い」に昇華し、「できないことが増える毎日に孤軍奮闘。
忙しくて寝る暇もない」と笑い飛ばします。
人間観察を趣味としてきたきみまろさんは、長年、中高年を見続けてきた経験から「人生は70代で決まる」と断言します。
きみまろさんが考える70代とは?『人生は70代で決まる』(幻冬舎新書)より抜粋して紹介します。

きみまろさんも古希に突入 心は10代のまま?
 みなさん、こんにちは。綾小路きみまろです。
 私は52歳でブレイクしたのですが、一昨年になんと古希(こき)になりました。
歩くと膝がコキコキ鳴っている。そんな70代に突入したのです。

一般的に70代というと、「おじいさん」というイメージがあるかもしれません。
ですが、実際に70代になってみると、あらびっくり、精神的には10代のままなのです。  
みなさん、想像してみてください。中身は10代、外見は70代のおじいさんを……。
「ちょっと不気味だわ」という声が聞こえてきそうですが、70代の方は、みなさん頷(うなず)かれているはずです。
人間の心と体というのは、そういうものなのです。

きみまろさんが 「人生は70代で決まる」と思う理由
 そして私は、人生は「70代が勝負」、つまり「70代で決まる」と思っています。
なぜなら、70代というのは多くの方にとって、おそらく元気に過ごせるラストチャンスの10年間だからです。
 あの世に召される前の10年間を満足のいくように生きられれば、死ぬ瞬間に「いい人生だった……」といえると思うのです。
私は昔から、「いい人生だった」と思って旅立ちたいと思っていましたが、いよいよ勝負の70代に突入したかと、少々鼻息が荒くなっております。

 一方で、体の衰えをガクッと感じるようになるのも70代です。
 だからこそ70代は、自分を適度に律しながら、最高の10年間にすべく、やるべきことをしつつ、後悔しないよう楽しんだほうがいいと思っています。
 ところで、60代までなら、誰でも比較的体力に自信がありますし、仕事をしていると友人知人もいて、それなりに楽しく過ごせるでしょう。
 でも、70代からは違います。
これまで積んできた「徳」がものをいい始めるのです。

え?仕事ばかりして、何も「徳」を積んでこなかったから、心もとない?  みなさんの心の声が聞こえてきました。
 でも、ご安心ください。人生において遅すぎることは何一つないのです。
 そう考えると、「終活」なんてそっちのけで、生きる力がモリモリ湧いてきませんか?

 大事なことだからくり返しますが、70代の10年間をどう過ごすかで、「いい人生だった」か「そうでもなかった」かが決まるのです。
 当然、70代はいいことばかりではありません。想定外のことはいくらでも起きるでしょう。

でも、「こんなはずじゃなかった……」ではなく、「毎日が発見だらけだ」と思うのです。
未知との遭遇の毎日は、考えようによっては、とてもエキサイティングです。
私なんて、できないことが増える毎日に孤軍奮闘で、忙しくて寝る時間もないほどです。
退屈している暇なんてありません。

輝ける70代へのご案内を、私が務めさせていただきます。
それではみなさん、さっそく参りましょう。
人生は最後までのぼり詰め、 頂点で死ぬ 「年を取ると、いいことなんか何もない」  そういわれる方は、少なからずいます
これまでいろいろな体験をし、人生を楽しんできたんだから、もう十分だという気持ちは理解できます。
たた、年を取っていいことは何もないという考え方に対しては、私は決してそんなことはないと思いますし、むしろこれからが人生の本番だという考えをもっています。

 私自身71歳にもなると、もの覚えが悪くなったなとか、気づくとあれもこれもできなくなっているとか、「年を取るというのは、こういうことか」と感じることはしばしばありますが、だからこそ、「いよいよ自分も人生の総仕上げの時期に突入したんだな」と思って、やる気がみなぎってきます。

 仮に年を重ねることがよくないことばかりだとすれば、極端なことをいえば、「人生60年」といった昔のように、寿命なんて短くてもいいじゃないのということにもなりかねません。
 ちなみに平均寿命は、ここ100年ほどの間に驚くほど伸びています。
明治時代は43歳程度、江戸時代はおおよそ31歳、もっともっと遡(さかのぼ)って縄文時代なんかは18歳くらいだったそうです。
 それを考えると、長生きをすると、昔の人がしたくてもできなかったいろいろなことができるわけで、私なんかは「ありがたいなあ」と思いながら、毎日を過ごしています。

 ある著名な医師の方が「人生後半は下り坂なんかじゃない。むしろ最後まで人間はのぼり詰めて、頂点で死ぬんだ」とおっしゃっていましたが、「なるほど、いいことをいうなあ」と思って聞いていました。
 死ぬまでのぼり続けていくというのは、ちょっとしんどい気もしますが、ある意味、真実だと私は思います。
 だって、人は生きている限り、なんらかの経験を絶えず積み重ねていきます。

自分が経験することの数は死ぬまで増え続けるわけですから、それに比例して、感動する回数も増えますよね。
 私も舞台が終わって、お客さんが嬉しそうに拍手をしてくださると、「もう死んでもいい」と思うほどの気持ちになります(本当に死んだら困りますが)。
 舞台でなくとも、畑に実った野菜を収穫して近所の方たちに配っているとき「わあ、ありがとうございます!」とお礼をいわれるだけでも、「生きててよかったなあ〜」と満たされた気持ちになります。
 このように生きている限りは人の役に立てて、幸せを感じる瞬間があるわけですから、「人間は頂点で死ぬんだ」という医師の話は、なるほどその通りだなと思わされるのです。

 そして70代というのは、おそらく健康で毎日を過ごせるラストチャンスの10年になるかもしれません。
だからこそ、この10年間の過ごし方で「人生が決まる」といっても過言ではないと思うのです。 人生はいいことばかりではない それでも「のぼり続けていく」 「もはや自分で野菜をつくる体力がなく、寝たきりになった場合も、人生はのぼり続けられるのですか?」  そんな声が聞こえてきそうです。
 私の答えは、もちろん「イエス」です。

 寝たきりになったり、要介護状態になった場合は、人の助けが必要となります。
誰しも、必ずそのような状態になるのです。
そういうときは、お世話してくれた人に対して、心から「ありがとう」といえばいいのです。
そうすると、お世話してくれた相手は「喜んでもらえてよかった」と嬉しく感じるはずです。
 相手にそのような気持ちになってもらうことで、あなたも相手に感動を与えているのです。

 もちろん、人生はいいことばかりではありません。
 長く生きていれば、それだけ家族や親しい友人の死に直面する回数は増えるでしょう。
それに比例して、涙を流すことも多くなるはずです。
 でも、旅立った人たちに泣きながら「今まで、ありがとう」と感謝の念を抱けば、その人は精神的に「のぼり続けていく」といってもいいんじゃないかと思うのです。

70歳からはプライドを捨てて、 カツラだけ残す
 年を取ると、義理や人間関係、モノや名誉……いろいろなものを捨てていったほうがいい、という人がいます。
私も、その考えには賛成です。
 私の場合は、全部捨てて、カツラだけ残す。それは冗談として、捨てられるものはできるだけ捨てて、背負っているものは軽くしていくほうが、老後の人生はむしろ充実していくような気がします。
 義理でも人間関係でもモノでもプライドでも、あればあるだけさまざまな執着が生まれて、窮屈(きゅうくつ)になるものです。
年を取ってきたら、そうしたものから解放され、もっと身軽に、気楽に生きたほうがいいと私は思います。

 人間には、意識していなくても、自然と捨てているものがあります。「若さ」です。
 年を重ねること自体、すでに「若さ」というものを、どんどん捨てていくことに他なりません。
 たとえば、70歳の人間は、50年前の若さも、30年前の若さも、10年前の若さも、3年前の若さも、全部捨ててしまっているわけです。
高齢になれば、膨大な若さの時間を捨ててきている。
 若さというのは、何物にも代えがたい宝のような時間だと思います。
そんなものをたくさん捨ててきているわけですから、義理やモノや名誉を捨てることなんて、それに比べると、どうということはない気がします。
 私だって、昔の舞台を録音したものを聞いたりすると、当時のノリやスピードは薄れ、その代わりに今は別の風味のようなものが生まれてきているのを感じます。
 自分でも気がつかないうちに、自然と何かを捨てているのです。いや、捨てさせられているのでしょう。
 これから先は、行けるところまで舞台に立とうと思っていますが、おそらく酸いも甘いも経験した70代の綾小路きみまろの漫談は、うぬぼれかもしれませんが、一番面白いんじゃないかと思います。
なぜなら「老い」をネタに毒を吐いてきたきみまろ自身、「老い」を日々経験しつつあるからです。
まさに「毎日が発見」状態です。

 でも「老い」を経験できるというのは、ここまで生かしていただいたからこそ、です。
ですから私は日々「老い」をありがたいとかみ締めながら過ごしているのです。

パンツを一人ではけなくっても、 めげない
 70歳近くになって同窓会に行くと、どちらかというと後ろ向きな話がよく聞こえてきます。
骨粗鬆症(こつそそうしょう)だから骨密度を高める薬をずっと飲んでいるだの、人気者だったあの女子生徒は数年前に病気で亡くなってしまっただの、そんな老いの宿命ともいえるような話がどうしても多くなってしまいます。
 電化製品と同じで、限られた命をもつ人間には耐用年数があるのです。
スイッチがつきにくくなったり、年季の入った電化製品がへんな誤作動を起こしたりするのと同じで、人の頭も体も長年使っていると、どこかが消耗しておかしなことになるのでしょう。

 私は一昨年古希になりましたが、歩くと膝がコキコキと鳴って、大変です。
 先日も脚立にのって木の枝を切ろうとしたら、膝がぐらぐらしてしまって、「ああ、これが70歳ということか……」と思いました。
 パンツも一人で、はけなくなりました。といっても、誰かの手が必要ということではなくて、壁の力を借りてのことです。以前は立ったままはけたのが、今は体のバランスが崩れてコケないよう、壁にドンと手をつきながらでないと、はけない。  壁を背にした女性の前に立ちはだかった男性が、壁に手を男らしくドンとおいて、格好よく女性に愛の告白をすることを若い人たちの間では「壁ドン」と呼ぶそうですが、老人には老人ならではの壁ドンがあるのです。
 格好よさとは、ほど遠い壁ドンです。  そもそも心臓や肺などの臓器、眼や耳などの感覚器官は、耐用年数があらかじめ遺伝子によって決められているんだそうです。

 それによると、おおよその年数は50〜60年。
ですから、それ以上、健康に長くもたせるか否かは、本人の努力にかかっているということです。

 車は車検に出すと、不具合な箇所を指摘して部品を交換してくれたりしますが、人間もときどき病院などに行ってチェックを受けて、悪い箇所があれば治していく必要があるのでしょう。

太く短くの生き方と 細く長くの生き方
 最近は少なくなりましたが、昔の芸能界には、太く短くみたいな生き方をする人がけっこういました。
 本人は何も自分の人生が太く短くていいなどとは考えていないと思いますが、わっと華やいだ生活を続けていると、どこか無理をするのかもしれません。
 太く短くの生き方と、細く長くの生き方、どちらがいいというわけではありませんが、私は顔に似合わず、後者の細く長くの生き方なんです

70代で人生が決まる、と思っているくらいですから。  若い頃は多少の無理は何ともありませんが、年を重ねると、無理はじわじわと、体に蓄積されていきます。
体の声に頻繁に耳を傾けて、無理をせず、大事に生きる。
そんなことを、私は年を取るほど意識し、実践するようになりました。
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2022年07月08日

野党にとって参議院選挙の勝利とは、「野党第一党でいること」ではない/倉山満

野党にとって参議院選挙の勝利とは、「野党第一党でいること」ではない/倉山満
2022年07月07日 SPA!

―[言論ストロングスタイル]
― ◆あまりにも盛り上がらない参議院選挙
 書くことが無い。あまりにも参議院選挙が盛り上がらないので。
しかし、野党第一党党首の泉健太君の今の状況があまりにも忍びないので、書く。

結論を一言で書く
泉よ、相談なら乗るぞ! 本来なら、もっと早く相談してくれれば……。
 私事だが、立憲民主党の泉代表は、大学の弁論部の後輩にあたる。
私は中央大学辞達学会、泉は立命館大学雄弁会だが、当時の弁論部はインカレサークルだったので、大学は関係ない。
 今は立憲民主党の当選3回の森山浩行代議士が当時は明治大学雄弁部にいて、関東中の弁論部が集まった全関東学生雄弁連盟の委員長だった。
学年で言うと、森山3年、倉山2年、泉1年。その森山さんが全関東だけでなく、関東以外の弁論部を集めて「全日本にしよう」と言い出したので、私は仙台から福岡まで日本中飛び回り、全日本学生弁論討論交流会を設立した。
初代会長が森山さん、第三代会長が泉だった。ちなみに私は初代事務総長。という仲なので、泉の今の状況は、あまりにも忍びないので、御忠言申し上げる。

◆工夫もなく普通のことだけやっていれば、ジリ貧は当たり前
 昨年の衆議院選挙の大敗で枝野幸男前代表が退陣、4人の候補が乱立した選挙で泉代表が選ばれた。
しかし、対立候補の3人全員が執行部入り。党内融和だけを演出する人事となった。
初手から間違え方を間違えている。
立民の多くの議員が、「この党は参議院選挙の後は、どうなるかわからない」と怯えていたが、参議院選挙の後は自民党にとって「黄金の3年間」だ。
野党に未来など、ありはしないのに。参議院選挙を勝ち抜くことがすべてだったのに、泉ら幹部たちは普通の事を普通にやって、普通に負ける態勢が出来上がっていた。
何の工夫もしなかったのだから、ジリ貧は理の当然だろう。

 泉執行部では若返りができた。
泉代表は当選8回。当選9回以上の「みんなが想像する民主党」の面々は役職を離れ、8〜2回の中堅若手だけで国会運営他すべてを切り盛りしていた。
結果、泉体制を支えるべき中堅若手は疲弊、それを旧幹部は高みの見物。
元気いっぱいで参議院選挙後に権力を奪い返す気が満々だ。
既に「蓮舫・辻本清美で立て直し」の名目で党を乗っ取ろうとの動きが露骨だが、そうした勢力の発言力は日に日に増している。

◆今や立憲民主党には、もはや解党するエネルギーすら無い
 泉代表は国会で「金融緩和をさっさとやめろ」「防衛費倍増など、とんでもない」などと自民党に頓珍漢な迫り方をしているが、本心なのだろうか。
むしろ、パヨクの寝言に付き合わねばならないのが、実態ではないのか。
 正直、立憲民主党には一刻も早く潰れてほしいと思う
彼らがマイノリティーの代表でありたいならば、野党第一党の地位に居座り国政を混乱させるべきではない。
しかし今や立憲民主党には、もはや解党するエネルギーすら無いではないか。
 ならば、泉には何が何でも代表の地位にしがみついてもらわねばならない。
参議院選挙の結果が、どんなに無残であっても。絶対に代表の座をパヨクに売り渡されては困る。

◆野党第一党でいることが勝利条件だと勘違いしている時点で、病気が深刻
 そもそも、選挙に何回負けても反省せず野党内政局で勝って権力を独占してきた連中に対し、たった1回だけ参議院選挙に負けたくらいで代表の座を渡す必要はない。
ちなみに勝手に負けた前提にしているが、今の立民が与党をねじれ国会に追い込めるなど、誰も想像できまい。
「みんなが想像する民主党」の連中は、野党第一党でいることが勝利条件だと勘違いしている時点で、病気が深刻だ。

野党にとって参議院選挙の勝利とは、与党から第一党の地位を奪うこと。
かの土井たか子など、1回の参議院選挙で自民党を過半数割れに追い込んだ。そういうのを勝ちと言うのだ。
菅直人、岡田克也、小沢一郎と言った人々も、参議院選挙で自民党から第一党の地位を奪ったことがある。
それが、いつしか何が勝利なのかすら忘れてしまったのが、なんちゃら民主党の成れの果てだ。

 政策において秀逸だった国民民主党は、予算に賛成しながらトリガー条項発動(つまりガソリン値下げ)に応じてもらえなかったことで、与党に利用されただけの格好になってしまった。
日本維新の会は徐々に党改革が進み、躍進の機会を狙うが、3年ごとに半数改選という参議院の制度上、1回の選挙で野党第一党になるのは難しい。
となると、選挙後も立憲民主党が潰れない限り野党第一党だ。
この状況で、絶望的なまでに頭がオよろしいパヨク勢力に野党第一党党首を譲れば、それだけで日本の憲政は不健全となる。

◆共産党に同調しかねない人間が野党第一党党首では国家の危機
 秋以降、皇室の問題が本格化する。
そんな時に、共産党に同調しかねない議論を持ち出す人間が野党第一党党首だと、国家の危機だ。
この点では、与党に鋭く迫りながらも、皇室の問題では冷静な議論を行っている日本維新の会こそ野党の模範的な態度だろう。見習うべし。
 安全保障に関しても、そうだ。ウクライナ事変で日本は、米英支持の態度を鮮明にしている。
先日も岸田首相はNATOに招かれていたが、その場で米欧はロシアを敵認定、中国を仮想敵呼ばわりしていた。
そんな状況で軍事抜きの外交で舞い上がっても意味が無い、と健全な批判を行える野党第一党でなければ困る。

 泉は「民主党以来、ブルーバッジをつけて代表選挙に出た唯一の候補」ではないか。
ブルーバッジとは、北朝鮮拉致被害者を奪還する人々のバッジだ。
マトモな野党第一党党首たりえる人士は、泉健太をおいて他に誰がいる。

◆泉代表は味方を集め、「党を割るぞ」と恫喝するくらいの根性を
 では、どうするか?
絶対に裏切らない23人の衆議院議員を固めるのが、すべての始まりだ。
この場合、1秒で思想信条を変えるような、日和見主義者は不要。
何があっても泉代表と行動を共にする人々で固めねばならない。
 主要野党の代議士は、立民97人、維新41人、国民11人。仮に23人が脱党して維新国民と組めば、残った74人よりも数が多く、第一会派を組める。
もちろん、反乱分子を追い出してもよし。
44人がいれば、第一党堅持だ。
そこまでいなくても、31人いれば、国民と組めば維新より多い。
だから、23、31、44という数字を固めることが、至上命令になる。
 かつて三木武夫首相は弱小派閥ながら政権奪取、数で勝る反主流派を「ならば自民党を割るぞ」と脅し、反乱を叩きのめした。
 泉代表は本当に信頼できる味方を集め、「党を割るぞ」と恫喝するくらいの根性を見せる局面が来ている。
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2022年07月09日

安倍元首相、まさかの銃撃事件で… 意外な「8文字」がトレンド入り

安倍元首相、まさかの銃撃事件で… 意外な「8文字」がトレンド入り
2022年07月08日 Sirabee

8日、奈良県内で街頭演説会に参加していた安倍晋三元首相が、銃撃されたという衝撃的なニュースが飛び込んできた。
ツイッター上では、「安倍さん」「銃撃事件」などがトレンド入り。
その中に、「意外なワード」も入っていて…。

■演説中に撃たれた
報道によると8日午前11時頃、奈良県奈良市の大和西大寺駅近くで街頭演説会に参加していた安倍元首相が、演説中に後ろから散弾銃で撃たれたという。
安倍元首相は病院に搬送されたが、同日12時の時点で心肺停止の状態という報道もなされている。
なお、安倍元首相を撃ったとみられる男の身柄も確保されたとのこと。
「理解できない」との声も

■注意喚起を呼びかける声も
元首相が狙撃されるという衝撃的なニュースにネットは騒然。
イッター上では、今回の件に関連した「安倍さん」「ここ日本」「ショットガン」「銃撃事件」などがトレンド入り。
そんな中、「フェイクニュース」もトレンドに。

ネット上では、「一瞬フェイクニュースかと思った」
「日本では起こらないとどこかで思っていました」
「詳細見るまで絶対デマだと思ったのに、怖すぎだよ」など、信じられなかった人の声が多数あがっている。
た、「まじでフェイクニュース気をつけよう」 「デマやフェイクニュースが流れます 公式の情報を待ちましょう」「一次ソースを確認、いいねRTが多いだけの一般人ツイートを安易に信じない」など、注意喚起を呼びかける声も見受けられた。

■すでに悪質なデマも
日本で起きたとは思えなかった事件を疑う人や非常事態における情報への注意を呼びかける人が続出したことで、まさかの「8文字」がトレンド入りしたのだろう。
実際、すでに安倍元首相に関する不謹慎なデマも流れている。
非常事態こそ、情報を冷静に見分けなければならない。
  (文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)
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コロナ禍でくすぶる自粛警察のトラウマ。「近所の公園に行けなくなった」人も

コロナ禍でくすぶる自粛警察のトラウマ。
「近所の公園に行けなくなった」人も
2022年07月08日 SPA!

新型コロナウイルスの感染状況が随分と落ち着き始めている。
マスク着用の指針についても、厚労省は「屋外においては距離が確保できればマスクの必要はない」とも発表した。
そのためか、街ゆく人の中にはノーマスクで歩く人もチラホラ。
サッカー、Jリーグでは声出し応援の実証実験も行われ、夜の街では酔客が千鳥足で歩く姿も珍しくなくなった。
 こうした“解禁”について、ほとんどの人は「ようやく……」と安堵の声を漏らすだろう。
だが、一方ではコロナ禍の過剰な規制を辞められずに頭を抱えている人がいるのも事実である。

◆マスク警察からの罵声がトラウマになった女性
 東京都在住の川田智子さん(仮名・42歳)は「完全にマスクが解禁されるまでは、はずせない……」という。
コロナ禍が始まった2020年の春先、ちょうど緊急事態宣言が初めて出された時のことを苦々しい顔で語ってくれた。
「緊急事態宣言で私も夫もリモート中心になったのですが、ある日、どうしても出社しなければならなくなったんです。
ちょうど時期的に花粉症の季節で、久しぶりに外に出たら鼻はムズムズして喉も軽くイガイガ。どうにも耐えられなくてなったので、マスクをずらして鼻をハンカチで押さえたんです。
乗っていた電車はガラガラでほとんど人がいなかったので、このくらいはいいかなって思ったら、ちょっと離れたところにいた年配の男性がすごい勢いで走って来て、大声で『マスク! マスク! マスク外すな! 気をつけろ!』って怒鳴ってきたんです」

 ガラガラの車内だったため男性の声は響き渡り、乗っていた数人の客も皆たじろいでしまったという。
「すごい剣幕で怒ってきて、私もビックリして『すいません』って謝ったんですが、私の前に立って、ずっとブツブツ言われて……。
ものすごく怖かったですね。
誰も見て見ぬ振りだし、もし何かされたらと思うと怖くて体がギュッと堅くなりました」

◆人前でマスクを外せないようになった
 この一件以来、この川田さんはどんなことがあっても人前でマスクを取ることはなくなったという。
それだけでなく、電車に乗ることにも抵抗を覚えるようになってしまった。
友人と食事に行っても、食事している時以外はずっとマスクしています。
みんなからは『気にしすぎだよ〜』って言われますが、もう、トラウマですよね。
ずっと誰かに見られてるんじゃないかって。 電車に乗る時は特に感じますね。
だから、電車に一人で乗ることが億劫になりました。

コロナで会社もリモートになって、ほとんど出社しなくていいのが幸いしてるんですが、それでもたまの出社は気が重いですね」
 そのため、川田さんは新たに自転車を購入し、自転車で出社して「けっこうイイ運動になってます」と。災い転じて……と言えば聞こえはいいが、川田さんが受けた心の傷はそうそう癒えるものではない。

◆公園の貼り紙に書かれた赤い文字
「コロナを境に近所の公園に行けなくなりました……」 
こう語るのは東京都在住の山本利香さん(仮名・36歳)だ。
山本さんは、初めての緊急事態宣言が出された2020年4月の出来事を話してくれた。

「緊急事態宣言でずっと家にいなきゃいけなくなったじゃないですか。
ウチは夫婦2人ともリモートワークになったんですが、小学3年生と保育園年中の娘2人も学校と保育園がお休みになったから、もう、家の中がギュウギュウで家族全員すごいストレスだったんです」
 そんな山本さんの唯一の息抜きは、散歩がてらに行く近所の公園だった。
「近所のママ友とかもたまに会えたりして、外の空気も吸えて、いい息抜きでした。
でも、ある日ママ友から『公園ちょっとヤバイかも……』ってLINEが来たんです」

 LINEにママ友から一枚の写メが送られてきていた。
そこには公園の入り口に赤いマジックで書かれた貼り紙が写されていた。
「貼り紙には『コロナまき散らすな! 子供の面倒は家で見るのが親の務め。うるさい声に迷惑迷惑!』と書かれていました。
ちょっとゾッとしましたね。
でも、子供たちをずっと家の中で過ごさせるのもよくないし、ママ友たちとは『子供たちには他にも人がいるから少し静かに遊ぼうね』って注意することにしたんです」

◆公園で遊ぶ子供たちを撮影し、怒鳴る 
 だが、そんなやり取りをした数日後、事件は起きた。
「いつものように公園で子供たちを遊ばせていたら、向かいの家から血相変えたおじいさんが怒鳴り込んできたんです。
『コロナになったらどうするんだ! 緊急事態宣言なのに、なんで外に出てるんだ! 毎日毎日うるさいし、親なら家で子供の面倒見ろ!』って。
私たちもカチンときて、コロナの前から公園では子供たちは遊んでいたし、そもそも公園で子供たちが遊ぶのは当たり前じゃないですか。そんなのおかしいって反論したんですよ」

 すると、公園にいた別の子供のお父さん2人も“参戦”。さらには野次馬もやって来てしまい大事になってしまったという。 「おじいさんも一歩も引かないし、こっちは緊急事態宣言でずっと閉じ込められてたストレスもあってヒートアップしちゃって、誰が呼んだか知らないですが警察を呼ばれてしまったんです。でも、警察が来てくれたことでその場は収まったんですが……」
 だが、この日を境に公園には不穏な空気が漂うようになってしまった。

「子供たちが遊んでいると、そのおじいさんが窓から顔を出して睨みつけてくるんです。
カメラで撮影されたって話も聞きましたし、赤字で書かれた貼り紙もたまに……。
腹が立つのが、子供しかいない時を狙って怒鳴ってきたんです。
さすがにちょっと気味が悪いし、何かあったら……と思って、その公園には行かないようになりました」

 結局、山本さんはトラブルを避けるために少し離れた別の公園に行くようになったのだとか。
では、コロナが落ち着き始めている最近はどうなのだろうか。
「最近は窓から顔を出して睨んだり、怒鳴ったりはないみたいです。
でも、そういうおじいさんがいるって近所では話題になってしまったので、遊ぶ子は減ったように思います。
私はその公園の前を通るだけで嫌な気分になるので、近寄らないようにしています。
ウチの子たちにも、公園に行くならできるだけ他の公園に行くように言ってますね」

 お互いにそれぞれ言い分はあるだろうが、緊急事態宣言下の巣ごもり生活で唯一の息抜きだった公園遊びを咎められただけでなく、その後、足が向かなくなってしまうようになるとは、なんともやりきれない話である。

◆SNSの書き込みに心痛んだ飲食店主
 コロナによって大打撃を受けた飲食業界にも、トラウマを抱える人はいる。
都内で飲食店を経営する加藤和宏さん(仮名・40歳)はSNSでの書き込みで心を病んでしまったという。
「昨年の夏、ウチは時短営業の要請を断って営業していたんです。
そしたらクチコミにあることないこと書かれて、さすがに心が折れましたね。
私だけならまだいいんですが、従業員やお客さんのことも書かれたり……。
従業員のコはインスタのアカウントを特定されて、いろいろ書き込まれてしばらく店に出られなくなったんです」

◆書き込みの通知で胸が締め付けられる
 加藤さんは「私が時短営業の要請を断ったのがそもそもの原因」と非を認めるが、この一件以来、Googleのクチコミなどで書き込みがされた通知が来ると、胸が締め付けられるようになったという。
とは言え、最近ではコロナもやや落ち着き客足は戻って来たのだが……。

「当時、商店街の組合からも『他の店の手前もあるし、自粛してもらえないか』と言われたのですが、これも突っぱねたので、今でもなんとなくシコリが残っています。
言われるほど儲けが出たわけでもありませんしね……。
最近では、クチコミも褒めてもらえることのほうが多くなってますが、できるだけ見ないようにしてます」

 自分が蒔いたタネとは言え、なんともやりきれない表情を浮かべる加藤さん。
心の靄が晴れる日は来るのだろうか。

    取材・文/谷本ススム
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2022年07月10日

ついに「池上彰離れ」まで起きている…テレビ局内部でも不評な"選挙特番"に価値はあるのか

ついに「池上彰離れ」まで起きている…
テレビ局内部でも不評な"選挙特番"に価値はあるのか
2022年07月08日 PRESIDENT Online

7月10日の参議院選挙では、投開票に合わせてテレビ局が選挙特番を放送する。見どころはあるのか。
コラムニストの木村隆志さんは「放送する内容も時間帯も横並びで、以前は話題を呼んだ池上彰氏の手法もすっかり定着してしまっている。
こうした現状を打破できる番組を作らなければ、視聴者のテレビ離れも投票率の低下も進んでしまうだろう」という――。

■今回の参院選選挙特番の見どころ
コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻がいまだ収まらず、さらに記録的な猛暑が続くなど日々の生活に不安を抱える中、7月10日に参議院議員選挙の投開票を迎える。
今回も各局が看板報道番組をベースにした選挙特番を放送。
出口調査による議席予測、当落の速報、注目選挙区や候補者のドキュメント、キャスターやタレントによるインタビューなどの内容が「横並び」と揶揄されがちだが、各特番のコンセプトはグラデーションのように色分けされ、いくつか新たな取り組みも見られる。

昨年10月31日に投開票が行われた衆議院選挙特番での発言が批判を招いた爆笑問題・太田光の再登板をはじめ、元祖「無双」池上彰の新たな仕掛け、「チャラい」キャラクターの芸人・EXIT参戦など話題には事欠かないが、それぞれどんな見どころや変化があるのか。
さらに、選挙特番の意義についてもふれていきたい。

■速さ以外はオーソドックスなNHK
テレビ欄の順番で見ていくと、まずNHK総合は『衆議院開票速報2021』(19時55分〜翌5時)を放送する。
昨秋の衆院選特番から放送時間帯は変わっていない。
NHKの選挙特番と言えば、速報性にこだわり、「民放には絶対に負けない」という使命感を感じさせられる。
先日、前田晃伸会長が「別に当確が1分遅くなろうが視聴者にとって大した問題じゃない」などと発言したことが報じられたばかりだが、報道局の意地にかけても速さはキープしていくだろう。
ただ、「速さ以外はオーソドックスで特筆すべきところはない」という点も変わらない。

ふだん『NHKニュース おはよう日本』『ニュースLIVE!ゆう5時』『ニュース7』『ニュースウォッチ9』などを見ている高齢層中心の視聴者層に支えられ、今回も視聴率トップは間違いないだろう。

■日テレが候補者に独自で行ったアンケート
次に日本テレビは『zero選挙2022』(19時58分〜23時55分、24時15分〜26時)を放送するが、こちらも昨秋の衆院選特番と同じ時間帯。
有働由美子と櫻井翔のダブルメインキャスターに、「パートナー」というポジションで落合陽一が絡む形で進んでいく。
その他の出演者には、開票速報を担う『news every.』の藤井貴彦と中島芽生を中心に、岩本乃蒼、佐藤梨那、伊藤遼、後呂有紗と、自局の報道系アナウンサーをフル活用。
かつては桐谷美玲、又吉直樹、小山慶一郎らタレントを積極起用した時期もあったが、現在は視聴者実際ホームページには、「公約ではみえない本音がわかる」という狙いの広範囲にわたる候補者アンケートを公開しているほか、自分に近い候補者がひと目でわかる“考え方診断”をアップ。
選挙特番の放送前から視聴者に寄り添う姿勢を見せており、民放トップの視聴率が有力視されている。

■NHK色が強まったテレ朝
テレビ朝日は『選挙STATION2022』(19時58分〜24時25分)を放送し、昨秋の衆院選特番から35分の縮小。
出演者は大越健介の周囲を大下容子、小木逸平、板倉朋希、渡辺瑠海の自局アナウンサー、さらに政治部長の藤川みな代と自局のスタッフでガッチリ固める。
「大越健介の直球勝負」という直撃コーナーこそあるが、かつて久米宏や古舘伊知郎がメインを務めていたころのようなアクの強さはなく、富川悠太から大越健介に代わったことや、もともと速報にこだわる点なども含め、NHKに近づいた印象もある。
ただ今回は『世界は変わった どうするニッポン?〜Survival JAPAN 2022〜』をサブタイトルに掲げ、「18日間のサバイバル」「生き残りを賭けた喜怒哀楽の人間ドラマ」にこだわった放送にするという。
“生き残り”や“天国と地獄”などのドラマ性を多分に含むドキュメンタリーとして引きつけたいようだ。

■ネットとの相性は良さそうなTBS
TBS系は『選挙の日2022』(19時57分〜25時)を放送。
昨秋はサブタイトルに『太田光と問う!私たちのミライ』を掲げていたが、今回は「私たちの明日」に変わり太田の名前はなく、放送時間も40分間縮小される。
やはり多少なりとも昨秋の騒動が影響しているのだろう。
しかし、メインのスペシャルキャスター・太田光はあえて変えず、周囲を『Nスタ』の井上貴博とホラン千秋、『ゴゴスマ 〜GOGO!Smile!』の石井亮次、『news23』の小川彩佳が固める。
ちなみにTBSの社員は井上のみであり、最も外部に頼った人員配置となった。

太田の再登板は、批判こそ多かったものの話題を集めたことも確かであり、「今回は何を言うのか」という興味本位での視聴も期待されている。
太田自身、「参院選特番の『台風の目』にしたいです。
前回いろいろありましたが、私の“芯”は変わらないし、今回も何が起こるかわからない感じにしたい」と語っているように、前回以上の発言があっても驚きはない。

ただ、TBSの報道番組で視聴者の評判がいいのは、ソフトな語り口の石井亮次と、局アナらしからぬ率直な発言が目立つ井上貴博の2人。
特番のテーマは「変わる」だが、自局の報道番組より『サンデー・ジャポン』の太田光を選んだこと、ゲストに経済学者・米イエール大助教授の成田悠輔や乃木坂46の山崎怜奈らが名を連ねること、メタバースを使って政治家との議論を行い視聴者も体感できることなど、ネットとの相性はよさそうだ。

■異例の投票日前に特番を行うテレ東
テレビ東京系は『池上彰の参院選ライブ』(19時50分〜23時42分)で、放送時間は昨秋とほぼ同じ。
今回も池上彰と政党幹部や候補者との緊張感あふれるやりとりが注目を集めるだろう。
予告映像では、「今回も池上が政治の裏側に迫る」「日本政治のカラクリを解き明かします」と打ち出しているが、番組の強みは池上だけではない。
大江麻理子、官邸キャップの篠原裕明、『Newsモーニングサテライト』の豊島晋作も重要な役割を担う。
実はこのところ「政治家がうまく答えると一方的に中継を切って、自分の都合がいいコメントを入れる」などのアンチ池上も少なくない。
それでも民放他局に負けない視聴率を叩き出しているのは、大江、篠原、豊島とテレビ東京の報道番組への信頼性が高いからだろう。
また、昨秋もアイドルなどの芸能人を多数招いていたが、今回も宮崎美子、勝俣州和、鈴木福が出演。
「家族で楽しめる選挙特番」として“永田町クイズ”なども予定されている。

さらに前日9日に『Are you ready? 池上彰の参院選直前SP』(13時28分〜14時23分)も放送。
特定の政党や候補者が有利・不利になるような発言ができないため、「池上無双」こそ期待できないが、意欲的な取り組みの1つだろう。

■前回よりトーンダウン必至のフジ
フジテレビ系は『Live選挙サンデー』(19時58分〜25時55分)で、昨秋と放送時間は同じ。
大きな変化としては、宮根誠司の相棒が加藤綾子から宮司愛海に変わったことが挙げられる。
これは今秋に『Live News イット!』のメインキャスターが加藤から宮司に変更することの前倒し起用だろう。

一方で他の主な出演者は、開票速報キャスターの榎並大二郎と三田友梨佳、ゲスト・解説の古市憲寿、井上咲楽、反町理は変わらず、昨秋からは橋下徹が政治部長の松山俊行に変わっただけ。
この変更は特定政党への批判的な発言が物議を醸したことが影響しているのか。しかし、他局とは異なり、わざわざ「他大物ゲスト」と公表しているだけに、それなりのサプライズ出演がありそうだ。
やはり目玉は「宮根と政治家たちの本音トーク」であり、昨秋は宮根と橋下がバチバチのケンカムードを漂わせていたが、今回はトーンダウン必至。
独特な視点で忖度せずに語る古市と、政治家と選挙マニアの井上らがどう差別化していくのか。

■「池上無双」を民放各局が踏襲するワケ
そして最後にもう1つ紹介しておきたいのが、ABEMAの『ABEMA Prime 参院選特番2022』。
大枠の放送内容は民放各局と変わらないだけに、注目は「EXITがどんなMCをするのか」の一点に尽きるだろう。
同特番はメインビジュアルに「史上最もチャラい参院選特番」と掲げているほか、兼近大樹が「知らない人の立ち位置でやる」と宣言。
『ABEMA Prime』のMC経験があるため、知識はそれなりに豊富なはずだが、あえて道化に徹するという。
そんな道化のスタンスで臨めることが彼らの強みであり、政治家たちにとっては意外に鋭い質問やツッコミとなるかもしれない。
兼近は「爆笑問題の太田さんを超える炎上をしたいなと思います」とも語っていたが、礼儀正しい人柄だけにその可能性は低そうだ。

■いっそ「無双」を目指さないほうが良い
こうして見ていくとわかるように民放各局の特番は、そのほとんどが「MCと政治家の一騎打ち」というムードが濃く、それを視聴率やネット上の反響につなげようという狙いがうかがえる。
そのため、有働由美子、大越健介、太田光、池上彰、宮根誠司は、「自分の発言や姿勢が結果に直結する」というプレッシャーを背負っている。
これは「池上無双」がフィーチャーされて以降、濃くなった傾向だけに、むしろ「無双」を目指さないほうが相対的に評価を受けるのではないか。

また、民放各局の視聴率が大差なく、NHKが圧勝に終わるのも、その内容が横並びに近いからだろう。
放映権などの問題がない選挙には、スポーツにおけるジャパンコンソーシアムのような仕組みがなく、各局が特番を横並び放送する形を続けてきた。
そもそも日々の報道番組から横並びであり、なかでも国政選挙は“報道局の見せ場”である以上、選挙特番がそうなるのは当然とも言えるが、現在の視聴者はそんな各局の事情を許してくれない。

ではなぜテレビ局は選挙特番を放送するのか。
その理由は放送法第4条の「政治的に公平であること」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」という規定によるところが大きい。
国民の共有財産である電波を使用した事業を行っている以上、その根底には「国政選挙は迅速かつ公平に報じなければいけない」という社会的責任があるのだ。

■局員は横並び放送に否定的
日ごろから「テレビは同じような番組ばかり」というイメージを持たれ、ネットコンテンツへのシフトを助長する理由になっているだけに、選挙特番のような機会はネガティブな印象を加速させるリスクがは高い。

投票率が上がれば選挙特番への注目度も増し、特に若年層の意識が高まれば横並びでも問題ないのだが、現状ではその兆しが見えず、イメージの払拭はできないだろう。
出口調査や投開票日の票読みなどに多くの人材を動員し、多額の費用を要するほか、視聴率も通常の日曜を下回りがちなだけに、報道局以外のテレビマンたちには横並び放送に否定的な人が少なくない。
特に近年は「あれほどお金がかかるのなら、急いで当落を出す必要はない」という声をテレビ業界内で聞くようになっている。

ネット上の声を見ても昨秋は、「『当選確実』ではなく『当選確定』になってからの報道でも視聴者は困らない」
「次の日に落ち着いて見せてくれればいい」
「各局で当日の夜と、翌日の朝に分けてくれればいいのに」などの声が目立っていた。

今回の選挙特番は、このような不満の声を覆せるほど内容の濃いものを見せられるのか。横並び放送を肯定するような差別化ができるのか。
これらができれば選挙特番の意義は深まり、次回以降の投票率アップに貢献し、できなければ選挙特番はスルーされ、投票率ダウンの遠因にもなりかねない。

(コラムニスト、人間関係コンサルタント、
                        テレビ解説者 木村 隆志)
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2022年07月11日

安倍氏銃撃で誰もが思った「要人警護」の不十分さ

安倍氏銃撃で誰もが思った「要人警護」の不十分さ
「シークレットサービス」とは何が違うのか
吉川 圭一 : グローバル・イッシューズ総合研究所代表
2022/07/10 東洋経済オンライン

7月8日午前11時30分前後、奈良県で選挙遊説中の安倍晋三元首相が銃撃され、17時3分ごろ死亡が確認された。
筆者が気になったのは報道を見る限り、首相に同行していたSP(セキュリティ・ポリス)が1人だったことだった。
SPとは1975年に三木武夫首相(当時)襲撃事件を契機として警視庁内に設置された要人警護部門である。
国会に議席を有する各政党の代表者や各国から来日する要人等の身辺警護を任務とする。

警視庁以外の警察本部にも警護担当部署は存在しており、例えば大阪府警と京都府警では警衛警護課が、神奈川県警などでは公安第二課が警護を担当する。
その他の小規模な県警察本部では「警備部警備課警衛警護係」として少人数の専従員が編制されているのみである。

例えば首相が地方に行く場合、近接警護をSPが行い、それ以外の後方支援を地元県警の警護担当部署が行う。
元首相の場合、同行するSPは1人程度 戦後の日本では国家警察が存在しない。
そのため最大の警察組織である警視庁が準国家警察のような役割を果たし、各県警を支援するような形式になっている。
しかし、今回の件を受けてこのシステムで十分なのか、さらには、県警が十分な協力ができるのか、という疑問が出る。

警視庁はSPの人員を公表していないようだが、ネット上で出てくる情報では数百人程度とも言われている。
そのためか元首相の地方遊説等に関するSPの同行は今回と同様に1人程度で、そのほかに現地の県警から40人前後の警察官が参加するなどが一般的らしい。
8日夜に開かれた奈良県警の会見では、警護体制の詳細を明らかにしなかったが、地方の県警は予算などの制約が多く、訓練なども十分ではない可能性がある。

このように国家警察のない日本のシステムには問題が多い。
一方、アメリカのシークレットサービスは6000人以上の人員を抱えている。
そして全国組織である。 アメリカも連邦制国家なので国家警察は存在しない。

私見ではアメリカ連邦捜査局(FBI)は検事局の特捜部や公安部に近い存在である。
そのため国家警察的な役割はいくつもの省庁に分散している。
例えば禁酒法時代にアル・カポネの組織を壊滅した「アンタッチャブル」は財務省のアルコール・タバコ・火器および爆発物取締局に所属していた。
シークレットサービスも最初は南北戦争直後に偽札捜査を目的に作られた財務省の組織だったが、20世紀に入ってから大統領警護の任務を行うようになり、1951年に議会によって正式にその役割を任命された。

そして2001年に同時多発テロ事件を受けて作られたテロ対策官庁国土安全保障省に移管された。
警護官だけでも3000人はいる シークレットサービスにはホワイトハウス周辺の警備を行う制服部門に1300人、応急医療技術の提供と、化学・生物・放射線兵器への対処を行う技術部門に2000人が配置され、その他に設立以来の業務である通貨関係の犯罪捜査を行う部門もあるものの、警護官だけでも3000人はいる。

その警備の対象は、 ・アメリカ合衆国正副大統領とその一家 ・次期正副大統領 ・元大統領の一家 ・訪米中の各国元首と、同行するその配偶者 ・その他の大統領令で定められた個人 ーーなどである。
このようにシークレットサービスは組織も人員も充実し、しかも全国組織である。
元大統領の警護も任務に入っている。アメリカでも元大統領を警護するシークレットサービスは1人程度とも言われているが、家族まで含めれば数人はいる。
今回、安倍氏は元首相だったとはいえ、与党最大派閥のトップだったことを鑑みると、SPの数はもっと多くてもよかったのではないか、という指摘をしている専門家は少なくない。

なおシークレットサービスになるにはジョージア州の連邦法執行センターで13週間、そして、首都ワシントンにあるシークレットサービス・アカデミーで18週間の訓練が必要になる。
その結果として物理的な警護の方法だけではなく、警護に必要な事前の調査の方法や、そのために必要な法的手続き、そして現地警察との協力の方法等を身につける。
後述するネット上での情報調査も部分的に含まれる。

日本のSPも「先着警護」として警備対象者より先に現地に赴き、不審者や不審物がないかなどの情報収集を行なっている。
このたびもそうであった可能性が高いが、省略してしまう場合もあるようだ。
日本のSPも、特に選抜された警視庁警察官が厳しい訓練を受けて就くことに変わりはないが、その訓練期間は12週間とシークレットサービスよりは短い。
ちなみに少し古いデータだが、2011年にはシークレットサービスに1万5600人の参加申請があったが、採用されたのは1%未満と狭き門だ。
日本の警視庁全体の職員数が5万人程度なことを考えると、その層の厚さに大きな違いがある。

日本でもシークレットサービスのように警備体制がもっと手厚く、組織化されていれば、今回のような悲劇は防げた可能性は低くはない。

オバマ元大統領と前科のある人物が鉢合わせ
ただし、シークレットサービスにも失敗はあった。
全国組織なのでニューヨーク事務所もあったが、それが2001年当時はテロ攻撃を受けた、世界貿易センタービル内にあったため、同時多発テロの際には死亡者も出している。
また、オバマ政権時代にはホワイトハウス内への不法侵入事件や武器を持った前科のある民間警備員と大統領がエレベーターで乗り合わせてしまうなど不祥事が続き、ジュリア・ピアソン長官が引責辞任している。
これなどはオバマ氏のマイクロ・マネジメントの行き過ぎによる士気の低下が原因ではないかと私見では思う。

大統領暗殺といえば、筆者としては1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件が印象に残っている。
この時の状況は今回の安倍元首相襲撃と類似しており、シークレットサービスからも負傷者が出ているが、大統領の生命は守っている。
犯人ジョン・ヒンクリーは映画『タクシー・ドライバー』を見て、大統領暗殺事件を起こせば、映画内と同様にヒロインを演じたジョディ・フォスターが自らの恋人になってくれるものと妄想し、事件を起こしたのだった。
ヒンクリーは統合失調症だったとして裁判では無罪になり、35年間精神病院に強制入院させられた後、2016年に多くの制約を課されたものの釈放され、2020年には創作活動を発表する自由を得てYouTubeで音楽を発表し、本年6月には一切の制約から解放された。

ヒンクリーが科されていた制約は以下のようなものだった。
・飲酒 ・銃器、弾薬、その他の武器の所持 ・レーガンの遺族、ジョディ・フォスター、彼女の家族らに連絡すること ・暴力的な映画、テレビ番組などの視聴 ・ブラウザーの検索履歴の消去 特に最後は重要である。

最近は日米共に検索履歴が犯罪捜査の重要証拠になりつつある。
拙著『サイコ型テロへの処方箋』の中で主張したように、個人情報保護との兼ね合いが難しいものの、検索履歴がわかれば、重大犯罪を計画している人物の身柄を事前に抑えることが容易になる可能性がある。

安倍元首相銃撃事件の容疑者も手製の銃器を使ったようであるが、ネット上で作成方法を学んだ可能性が高い。
個人情報保護法の問題はあるものの、そうした前の段階で察知できなかったものだろうか。

日本で規制強化の議論は必要か
なお、ヒンクリーは今年6月末に成立したアメリカの新しい銃規制を支持しているそうである。
精神障害者が銃を入手できなくするのはいいことだという言い分だ。
6月末の銃規制法案では確かにメンタル・ヘルスの強化に関する支援も含まれている。
銃購入者の身元確認の強化は言うまでもない。

それだけではなく、危険人物と見なした人物から銃器を取り上げることができる「レッドフラッグ法」の全州での制定への支援も含まれている。
同法は、家族や同僚、法務執行機関、メンタルヘルスの専門医などが、自分や他の人に危害をもたらす兆候のある者の銃器保持を禁止する命令を裁判所に申請できるというもので、アメリカではいくつかの州で成立している。
警備強化ももちろんだが、基本的人権を侵害しない範囲で、検索履歴の調査や日本版レッド・フラッグ法の制定など、この度の事件を契機として、日本でもテロや犯罪を未然に防げるような制度の検討をする議論が必要ではないだろうか。
少なくとも要人警備に関しては今のような制度ではなくシークレットサービスのような国家組織が必要なのは確かだろう。

この度の悲劇に接して、そのような思いを深くせざるをえないのである。
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2022年07月12日

価格が安いのにはワケがある…現役医師が「私はジェネリック薬は飲まない」と断言するワケ

価格が安いのにはワケがある…現役医師が「私はジェネリック薬は飲まない」と断言するワケ
2022年07月11日 PRESIDENT Online

国は「ジェネリック薬(後発医薬品)」の利用を積極的に勧めている。
新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造・販売されるもので、有効成分は同じなのに価格が安いため、医療費抑制につながる。
しかし、本当に先発薬の代わりになるのか。東京新聞の五味洋治論説委員がリポートする――。
※本稿は、五味洋治『日本で治療薬が買えなくなる日』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。

■「一線で働いている人はほとんど信用してない」
先発と同じ成分で、安心して安く服用できるという認識が広がっているジェネリック薬。
しかしジェネリックを使わないし、信用していないという医師がいるというので、知人を介して話を聞いた。
今年60歳になった男性外科医で、関西の大学病院に勤務している。

??先生はがんのご専門と聞いています。

【F医師】
ええ、医師の経験はもう30年以上です。
胃がんと、食道がんを専門としています。
患者さんの容体によっては夜中に呼び出されることもありますよ。
病院内にベッドがあって、そこで寝ることもあります。
医師の働き方改革から見たら、ぜんぜんダメ。うちの病院は引っかかるね、きっと。

??ジェネリック薬のいろいろな側面を伝えることができればと思って、お話を聞いていますけれども、先生はどんなご意見ですか。

【F医師】
私はジェネリックに非常に批判的っていうか、まあ大きな病院でも一線で働いている人はほとんど信用してないですね。
ジェネリック薬の選定については理事会サイドが決めてくるんで、あんまり文句は言えなくて。
ジェネリックはこれにしましたって言われたら分かりましたと言って使ってるんだけども、やっぱりジェネリックにパッと替えられると(患者さんも含め)みんな、嫌な顔してますね。

■「ジェネリック薬を飲んだあとに肝障害になった」

??勤務する病院では、使用率8割を目標にしていないのですか。

【F医師】
うちの病院長は、無理に8割使わなくていいと言っています。7割ぐらいでいいと。
私もちょっと血圧が高いんですけど、ジェネリックは飲まないですね。
体質に合えばいいです。私の意見では(信用していいのは)7掛けくらいだと思ってます。3割はダメだと思います。
クオリティっていうか品質にかなり問題があると思っているんです。

??個人的に、そのクオリティが低いという実感をされたことはありますか。

【F医師】
僕は肝障害があります。ジェネリック薬を飲んだあとになりました。
娘も同じ体質なんです、ロキソニンの後発品を使って、結局病院に入院しました。
娘は薬剤師なんですけどね。

??それでどうして数多く処方されているのでしょうか。

【F医師】
はい、それはね。大きな病院の院内にいる薬剤師は分かっていても、(小規模な)調剤薬局の薬剤師は、厚労省が啓蒙してることを受け止めて、まあ、同等品である、効果も全部一緒であると理解されてますから。調剤の人はまあ値段は安いし、効果は一緒なのでやっぱり(患者さんに)勧めるわけです。
その辺の温度差がかなり出ていると思います。
それに、薬価計算でも少しプラスされていて、ジェネリック薬に切り替えると得になるという面もあるようです。
病院もジェネリック薬の使用が80%超えると、お金が入る仕組みがあるんです。

■先発薬に比べて混ぜ物の問題が多い

【F医師】
うちの病院で3年ぐらい前にあったことです。
手術する時に予防的な意味で、抗生物質を患者に使うんですよね。
それで後発薬の同じロット(その薬が、いつ、どこで製造されたかを示す記号)番号の抗生物質を投与したら、2例がアナフィラキシー・ショック(発症後、極めて短い時間のうちに全身にあらわれるアレルギー症状)になりました。
もちろん、その時点で手術は中止になりましたし、そのロットの抗生物質は引きあげになりましたよ。

ある抗がん剤では間質性肺炎(息切れ、発熱などを伴う肺炎)が3、4件連続で起きました。
これはどう考えてもジェネリック薬に関係あるのではと思って、メーカーに問い合わせて、薬の資料を全部持って来てもらったこともあります。

??原因はなんだったのでしょうか。

【F医師】
ジェネリック薬は、先発薬に比べて混ぜ物の問題が多いですよね。
日本人の体質に合わないんじゃないかということも言われています。
副作用の問題を扱っているNPO(民間非営利団体)があり、そこに私が報告を送ろうと思ったら、その薬は日本から撤収されてしまいました。

??どうして撤収したのでしょうか。

【F医師】
業者の方も問題を分かっていたのではないでしょうか。
副作用のモニタリングもしないまま、要するにふたをしちゃったんです。
だから、そういうのはやっぱりジェネリックにはあるんですね。

副作用が出たとしても、ちゃんと対応する。例えば同じロットの薬を使った場合の、患者の血中濃度を測って、ちゃんとレポートして来るのは、大手の沢井製薬ぐらいですね。
製品の成分も全部分析して2、3週間後に持ってきますね。

この前問題を起こして新聞にも出たあるメーカーは、まあ無茶苦茶ですよ。
何かあっても知らんぷり。売ってそのままの会社もあるってことです。

■「80%普及」という厚労省の目標
??製薬会社も無理な急成長をしているのではないですか。

【F医師】
生産ラインを増やしても、品質の管理が十分できてない。
厚労省は早くから80%普及の目標を立てていました。
私も厚労省側から意見を聞かれたことがありますが、絶対に不良品が出ると言ったんです。
もう8年前のことですが、本当に事故が起きて死者が出ましたよね。
反対に「先生はどれぐらいの割合がいいですか」って聞かれたので「6割ぐらいがいいですが、8割はダメです」とはっきり警告したんですよ。
当時は、普及は40%が適当だなんて言われてたんですよ。それを急に8割にするって言うから、もう絶対やめとけって言ったんです。

??どうして厚労省はそんなに急いだんでしょうか。

【F医師】
まずは医療費の抑制だと思うんです。
医療費は高騰していますから。やっぱりその抑制が一番メインだろうと思うんですけども。僕もこれよく分からないっていうか、噂なんですけどね、新しい天下り先をつくろうとしたのではないか。
大手のメーカーさんは、厚労省の役人の天下りを受けつけなくなっている。
それで、ジェネリックの普及を図ればあちこちに新しい天下り先もできるし、医療費は抑えられるし、一石二鳥だったのかもしれません。

■「効く薬もあるし、基本的には安くていい」

??一般的に担当医が処方箋を書く時に後発禁止と書けば、ジェネリック薬は使えないそうですが。

【F医師】
はは、僕はそうは書きません。
それはね、僕はジェネリックを全部否定してるわけじゃないのでね。
とはいえ、僕は個人的には7掛けぐらいかなって思っています。
効く薬もあるし、基本的には安くていいです。
ただ、8割普及の政策には、無理があるという意味です。
僕はジェネリックの認可基準がおかしいんじゃないかと思ってるんです。
時間があれば調べたいと思っています。

??実際に問題も起きました。どうすればいいでしょうか。

【F医師】
これ、やっぱりパーセントを無理に上げないで、メーカーの品質管理を、もうちょっと努力させるってことでしょうかね。
戦争が起きたウクライナや、中国やインドから原薬の粉末っていうか、材料が入って来ていることが多いんですよ。
例えば中国で内紛が起きるとか、インドで問題が起きたら、薬品の確保が難しくなるでしょう。
8割普及させて、そういう国際的な問題が起きた時にどうするかっていうことです。
全部先発品を使え、先発品のメーカーを儲けさせよ、と言うつもりはありませんけどね。

??患者さんの立場からしても、3割負担であり、安くて効能の高い薬をたくさんもらえれば安心だと、頼りすぎてる部分がある気がします。

【F医師】
そもそも何種類以上か薬を処方すると、思わぬ副作用が出てしまいます。
だからできるだけ薬の量を少なくする。
できるだけ少ない薬量で、値段も安く抑えられて財政の改善にも貢献できるというのが、やっぱりベストでしょう。
そういう意味でも、生活習慣病で飲む薬はできるだけ減らす努力っていうか、患者が努力しないといけませんよね。
私あんまり、(処方で)薬を出さないんですよ。

胃がんの手術をしても薬を出さないことが多いんです。
患者さんから「先生、薬ください」って言われる。
だけど、いらんって言ってる。年配者の場合はしょうがないですけどね、若い人なら「あなた若いから自然に治ってきます、大丈夫ですよ」と言います(笑)。

約30分間、病院内でZOOMによるインタビューに応じてもらったが、別の予定があるというので、ここで打ち切りとなった。

あくまで1人の医師の考え方だが、現場での感覚は貴重だ。あなたはどう考えるだろうか?

■「ジェネリックをオススメする」と答えた医師は3割以下
医学博士であり内科医でもある志賀貢さんは、医療に関する数多くの本を書いている著名人だ。その志賀さんが『医者はジェネリックを飲まない』(幻冬舎)という本を2019年に出している。
ジェネリック薬を巡るさまざまな事件や、医師として考え方が書かれていて参考になる。
志賀さんは、2019年にテレビ東京系で放送された「主治医が見つかる診療所」という番組のことを紹介している。
医師を対象に「ジェネリックをオススメするか、しないか」というアンケートがあった。
回答した50人の医師たちのうち、オススメすると答えた医師は、わずか13人(26%)にすぎず、そしてオススメしないが12人、どちらともいえないが25人だった。
「おそらく私も回答を求められたら、患者さんにはお勧めできない、と答えたに違いないと思います」(志賀さん)。

圧剤だけは、まず先発医薬品の服用を推薦すする
現場で一定期間患者さんに投与され、その結果が広く共有されている先発薬に信頼を置いているためだ。
もちろんジェネリック薬のメリットについても書いているが、この本の中では「血圧と心臓の薬は先発医薬品から始めよう」と呼びかけている。
薬の価格はジェネリックの方が約半値以下なので、長期に服用する場合、負担額に大きな差が出るかもしれない。
しかし降圧剤だけは、まず先発医薬品の服用を推薦すると志賀さんは書いている。
その理由は、先発医薬品と後発医薬品では大きく歴史が違うからだ。

薬の安全性や安定性を考えると、やはり歴史のある先発医薬品が好ましい。
長い間服用するだけに、心臓に関連する薬は価格で決めてはいけないということだ。
自分が服用する薬について信頼できる医師や薬剤師に相談することは必要だが、「医師にしろ、薬剤師にしろ、立場上、ジェネリック薬に関して本音で解説をしてくれるか疑問」と志賀さんは明かす。
そして「ネットでも薬の情報は手に入るので、自分でもしっかり情報を得ておくことが必要だ」と強調する。参考にしたい。

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五味 洋治(ごみ・ようじ) 東京新聞論説委員
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2022年07月13日

結局は「安かろう悪かろう」なのか…死亡事故まで起きたジェネリック薬の業界団体がすべての疑問に答える

結局は「安かろう悪かろう」なのか…死亡事故まで起きたジェネリック薬の業界団体がすべての疑問に答える
2022年07月12日 PRESIDENT Online

この2年、ジェネリック医薬品をめぐるトラブルが相次いでいる。
信頼を取り戻すことはできるのか。
東京新聞論説委員の五味洋治さんが日本ジェネリック製薬協会広報委員長の田中俊幸さんに聞いた――。(第2回/全2回)
※本稿は、五味洋治『日本で治療薬が買えなくなる日』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。

■ジェネリック医療品のシェアは下がっていない
ジェネリック薬は、この2年間大揺れが続いた。
製薬メーカーでつくる日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)広報委員長の田中俊幸さんは、メディアの取材に応じる一方、全国を回って協会としての取り組みを説明してきた。
協会の会議室でじっくり話を聞いた。

??協会の歴史は?

【田中】
1965年12月8日が設立日ですから、56年が経過しています。
ジェネリック医薬品の製造販売を主な事業とする会社が正会員として、2022年4月1日現在、37社が加盟しています。
初めて聞く名前もあり、こんな会社があるんだという印象かもしれませんが、この37社で、日本で今、流通しているジェネリック医薬品の約4分の3弱を提供しています。
医薬品の製造に必要な製造機器メーカーさんなども賛助会員として参加しています。
そして当協会は、ジェネリック医薬品に関しては、厚労省、外部の団体様との窓口も引き受けています。

??不祥事続きでジェネリック医薬品のシェアが下がったのでは?

【田中】
厚労省から「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向」が月別に発表されています。
直近の2021年10月は81.7%でした(*1)。
決して使われる比率が減っているということはないようです。
月によっては減っていますが、大きく落ちているということはありません。

??日本のどこで主に使われているのでしょうか?

【田中】
先の資料から都道府県のページを見ますと、東京都、神奈川県、大阪府、この3カ所が多いことが分かります。
この3カ所で日本の約4分の1の薬剤費が使われています。つまり大都市圏となります。
東京だけで見れば全国の11%ぐらいを占め国の医療費自体を削減するには東京都、神奈川県、大阪府で、ジェネリック医薬品の使用が進むことが期待されていています。
県別に見れば、徳島県の普及率が低いのですが、ここ最近の伸び率は全国で1番の伸びとなっています。

 (*1)ジェネリック医薬品の数量シェア(数量ベース)=[ジェネリック医薬品の数量]÷([後発医薬品のある先発医薬品の数量]+[ジェネリック医薬品の数量])

■2516点の医薬品が出荷困難な状態になっていた

??供給不安になっている薬の数は?

【田中】
日本製薬団体連合会(日薬連)が2021年11月18日に発表したアンケート結果の数字によりますと、3143品目が8月末時点で「欠品・出荷停止」、「出荷調整」となっていました。
 調査対象の20.4%を占めます。この数字はジェネリック医薬品だけではなく、すべての医薬品です。
薬が全くないわけではないのです。

例えば3143品目の中には、本当に薬の在庫がないというものもあれば、薬はあるけども、限定的に出荷を停止しているというものがあります。
限定的に出荷を停止しているというのは、例えば私の会社が、ある医療機関とお付き合いがあり、薬を使っていただいている場合に過去の実績分は確保します、というようなことです。
ところが今までお付き合いがなかった、もしくは違う薬を使っていました、という場合、ご注文をいただくとなると、新規のご注文となりまして、現在は対応ができない状況ですということになります。

私たちが2022年5月に、会員社を対象に行った調査では2516点の流通が滞っていました。

■供給不安が続いている5つの理由
??なぜいつまでも出荷調整が続くのでしょうか。

【田中】
現状の供給不安には、大きく5つのパターンがあると認識しています。
1つ目は、当初の小林化工、日医工の事案に起因するものです。小林化工は2021年2月9日付で116日の業務停止の行政処分、その後、日医工が2021年3月3日付で医薬品製造業32日間、医薬品製造販売業24日間の業務停止の行政処分を受けました。
当初、小林化工の影響は、残りのジェネリック医薬品メーカーによる増産対応、在庫の放出等で何とかカバーしました。
そのようなギリギリの状況の中で、さらに日医工が業務停止となりました。
日医工は品目数も数量も多かったため、各社の対応で十分にカバーしきれていない現状があります。

2つ目は現在、当協会会員会社で進めている自主点検に起因するものです。
現在、GE薬協で進めている信頼回復に向けた取り組みの中で製造販売承認書(医薬品を作るための設計図のようなもの)と製造の実態に齟齬(そご)がないかを、各社と協議して定めた一定の基準に則って自主点検を行って来ました。
一部自主回収が発生し、新たな出荷調整のような問題が発覚したというものです。

3つ目は、間接的に発生したものとして、各社の増産対応に起因したものになります。
ジェネリック医薬品は少量多品種製造であるため、綿密なスケジュールが立てられております。
また医薬品には複雑な製造工程があるものも存在します。
製造するのに他の医薬品の倍の時間が必要なものや、製造工程が難しいものもあります。

4つ目はコロナの影響です。
これには軽微なものと大きなものとがあります。軽微なものではコロナワクチン接種後の発熱時に使用するアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)です。急激な需要があり一時的に足りないことがありました。

■大手2社の判断によって状況が変わる可能性も
大きなものは医薬品の原薬に関する問題です。
医薬品の原薬の生産は先発品、ジェネリック医薬品を問わず海外に依存しており、日本は6割程度を海外から輸入しております。
コロナの影響で原薬を製造している国がロックダウンして工場の生産がストップした影響などがありました。
その後、医薬品のサプライチェーンの問題として経済安全保障としても取り上げられることになりました。
現在は、原薬の問題は解消されております。

最後に5つ目として2021年11月29日に発生した日立物流(東京都中央区)の子会社の物流倉庫による火災が挙げられます。当協会の会員会社でも被害を受けた会社がありました。
なお、今後の可能性として、ウクライナ危機による影響が懸念されます。
各社、その確認と対策を講じているとのことです。

ジェネリック医薬品でいえば沢井製薬と(田中氏が所属する)弊社東和薬品が、供給量が相当多いので、この2社がまずは先頭をきって出荷調整を解除しないと、それ以外のメーカーは解除しづらいと思います。
大手が解除しないのに、うちだけ解除して注文が集中したらたまらないという気持ちもあると思います。

■供給不足が原因の健康被害は出ていない

??ジェネリック医薬品が不足して、健康に問題が出たケースはあったのでしょうか?

【田中】
調べてみたのですが、特定のジェネリック医薬品が不足したことで健康上、実害が出たというケースは把握できませんでした。
なんとか別の製品で代替していただいているものと思います。
代替品は成分を変えて対応することはあります。
例えば花粉症の薬、よく知られている薬としてフェキソフェナジンなどがありますが、別の成分の薬もあります。

??骨粗鬆症の治療薬エルデカルシトールの不足に困った人が多いですが。

【田中】
このジェネリック医薬品は2020年8月に2社が発売しました。
発売後2カ月ぐらいでかなりジェネリック医薬品に置き換わりました。
結局、ジェネリック医薬品メーカーは2社しか出せませんでした。
ジェネリック医薬品メーカーが新製品を出さないのはいろいろなケースがあります。

今回は、先発メーカーが特許権侵害の訴訟を行っており、裁判を避けるために出さないケースでした。
そして、その訴訟中に市場に供給される数が減少したことにより、供給不安が発生してしまいました。
その後、裁判で先発メーカーの訴えは棄却されています。
日本骨粗鬆症学会も、エルデカルシトールの代替品への切り替えを避けるよう求める通達を出されています。
今は市場に供給される数も元に戻り、問題はほぼ解決しています。

■抗精神薬で問題が発生しているのはなぜか

??代わりの薬は見つかるといいますが、抗精神薬では問題が起きるケースが報告されています。

【田中】
精神科の患者様は、薬を替えることを敬遠されるケースが多いと思います。
残ったメーカーが一生懸命、増産対応に取り組んでいるものの、メーカー同士が生産量を調整し合うことは、独占禁止法の違反になりかねません。
メーカー同士のやり取りで、「あなたのところでは、この3月から4月までこのぐらい出してください。その後、私の方で調整します」とすると、問題になります。
公正取引委員会は生産量の調整をすれば、最終的には違法な価格調整につながると考えていると思います。

経済の需要曲線と供給曲線、それが交わるところが均衡価格となります。
それに合わせて供給量を調整するということが、結果的に価格操作であるという見方だと思います。
ですから、医薬品が抗精神薬で特殊だからといっても、対象外にはできないということでしょう。

■検査体制を欺いた悪質な二重帳簿

??厚労省や地元の自治体の検査体制が甘かったのではないでしょうか?

【田中】
私は検査体制(査察)が甘かったとは思いません。
査察官には適正な教育が行われていますし、数多くの査察の経験もされています。
小林化工は、不正が発覚しないように二重帳簿を作っていたようです。
二重帳簿まで作られてしまうと査察で見抜くことは、かなり難しいと思います。

一方で都道府県による査察は、強制力があるわけではないので、「今から机のものに手をつけるな」というような強制的な調査はされません。 いわゆる性善説によって成り立っています。

「さすがに医薬品の製造において不正はないだろう」という前提かと思います。
ただし、通常の査察で確認できることもありますし、現場で長年経験を積んだ方であれば、あまりにも綺麗にできすぎたデータは怪しいといった、いわゆる経験をもとにした「勘」みたいなものがあるようです。
医薬品の製造は、人間が関わっていますから人為的な誤りをゼロにすることはできません。
しかし、エラーをチェックし、気がついたら、それをきちんと報告できるような仕組みを作る必要はあります。
エラーが出ました、と報告することで人事評価が下げられるようなことは許されないと思います。
また、メーカーである以上は問題が起きた時には、原因をしっかりと分析し、改善をしないといけません。
隠蔽(いんぺい)をしたがるのは個々の企業文化に関係すると思います。
他の業界でもいわれるように、急成長した会社ほど危ないのかもしれません。
どこかに無理があるかもしれないということです。

■厚生労働省は「シェア80%を目指す」という方針を出したが…

??普及率80%を急ぎすぎたのではないでしょうか。

【田中】
2015年に「ジェネリック医薬品の数量シェア80%を目指す」骨太の方針の素案が出された時、われわれ業界団体は、達成時期に関しては素案の時期より5年ほど時間の猶予目標の設定を2018年3月ではなく、2023年の3月まで待ってほしいと。
当時の生産能力では80%の数量を生産することができず、製造設備を新規に投入し、新しく工場も建てないといけないような時でしたので、そのためにはプラス5年程度は必要ですと相談させていただいていました。
当時の歳出改革でも発言させていただいています。
また当時の厚労省も理解を示してくれ、多くの国会議員の皆様にも、われわれの協会の言い分が伝わるような活動をしていただきました。

しかし、残念ながら、「2016、17、18年」の3年間の社会保障費の伸びを1兆5000億円に抑えるという目的があったことも背景にあったようで実現は叶いませんでした。
結果的に、「骨太の方針2015」の中に「ジェネリック医薬品の数量シェアは2017年中に70%以上とするとともに、2018年度から2020年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする」という目標が掲げられました。
そしてこの数値目標を達成するためには、ジェネリック医薬品メーカーは年間で約15%程度の成長をしないといけませんでした。
そのために中途採用を増やしたり、あるいは新入社員の採用人数を増やしたり、かつ、教育にも苦労しながら取り組んできました。
品質を担保する教育に頑張り続けた会社と、それを疎かにして、目先の売上に走った会社があると思われます。
 それが分かれ目になったと思います。

■供給不安の解消には早くても2年程度はかかる

??供給不安は2年で終わるのでしょうか。

【田中】
正直、2年で済むかどうかは分かりません。
今回の問題で日医工の分を一生懸命残ったメーカーでカバーしていますが、今ある設備ではもう限界に近い状況だと思います。
増産するために、既存の工場の設備を増強し、新しい工場の建設の計画を立て取り組んでいます。
ただ医薬品を増産して製造するためにはバリデーション(*2)という作業が必要になります。
今ある工場を、道路1本離れた所に移して増産するだけでも、新たにバリデーションが必要となり、データに問題がないか繰り返しチェックが必要となります。

1つの品目を別の工場に移すだけで、6カ月ほどかかります。
そこから計算していくと、早くて2年から2年半ぐらいかかるという見方が多いかと思います。

(*2)医薬品・医療機器を製造する工程や方法が正しいかどうかを検証するための一連の業務のこと。科学的根拠や妥当性があるかを調査する。

■社長自ら不正を指示していた小林化工

??小林化工と日医工の教訓はどう生かされていますか。

【田中】
協会の取り組みとしては5項目を挙げています。
1、コンプライアンス、ガバナンス(*3)、
リスクマネジメントの強化 2、
品質を最優先する体制の強化 3、
安定確保への取り組み 4、
積極的な情報の提供と開示 5、
その他、協会活動の充実、国等との連携です。

なぜ1番目に、コンプライアンス、ガバナンス、リスクマネジメントを挙げたかというと小林化工、日医工ともに第三者委員会の調査報告書が出ましたが、読んでみると法令遵守に対する意識不足が目立ちます。
小林化工は、社長自ら不正を指示していたので、会社全体のガバナンス体制とコンプライアンスの欠如の問題ともいえます。 それに対して日医工は、製造現場の責任者による不正の指示によるもので、現場のガバナンス体制の問題といえると思います。
こういったところが明確になったので、一番の教訓は、やはりこの対策の強化だと思います。

徹底的に業界団体として会員会社に取り組みのお願いをしています。
また内部通報制度の設置は、300人以内の会社は努力規定となっていますが、あえて設置を依頼しています。
内部通報制度は抑止力になりますので。まだまだ取り組んでいる最中というのが実態です。
ただ、単独の会社としてでは動きが遅くなりそうなことを、業界団体としてきちんとリードしたいと思っています。
(*3)健全な企業運営を行う上で必要な管理体制の構築や、企業の内部を統治すること。

■失った信頼をどのようにして取り戻していくのか
??ジェネリック医薬品に対する信頼をどう取り戻すのでしょうか。

【田中】
「ジェネリック医薬品があってよかった」と言っていただくことです。
国民の9割以上はジェネリック医薬品という名前はご存じのようですが、「安い」ということだけしか知っていただけていないようです。
実は安いだけではありません。先発医薬品が独占販売期間に副作用等が出たとします。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品で安全性、有効性で問題ないものを選んで出しています。
逆に言いますと、安全性は高いとも考えられるのです。
細かいところにも、いろいろ工夫をしています。

例えば、大震災の教訓から、有用性が高まっている、水がなくても飲めたりして、口の中で溶けやすくする剤形です。
そういう工夫は、年配者で飲み込む力が弱まる人にも大変役に立ちます。
また、薬に製品名を印字することもあります。
飲み間違いがないための工夫です。
これもジェネリックメーカーが始めたものです。

患者様から薬のにおいがきつく嫌だという声があれば、コーティングを施すことで、においを軽減させる工夫もしています。マスキングといいます。
実際には、他にも工夫をたくさんしています。
単に先発医薬品と同じものというわけではありません。
有効成分は一緒ではありますが、添加剤を変えることにより、形を小さくしたり、飲みやすくしたり、いろいろな工夫をしています。
今回の問題により、ジェネリック医薬品に対する信頼を失墜させてしまい、多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまいました。 引き続き、信頼回復に向けた取り組みを継続し、その取り組みの内容をしっかりと説明していきたいと思っています。


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五味 洋治(ごみ・ようじ) 東京新聞論説委員

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タドンのような共産党:消えつつある存在意義(屋山 太郎)

タドンのような共産党:消えつつある存在意義(屋山 太郎)
2021.12.24 アゴラ

立憲民主党が第3極としての存在を問われている。
10月末の衆院選では「立憲共産党」と言われたのが敗北の原因と言われている。
共産党と組んだのは、共産党が各選挙区で約1万の票を持つからだと見られたが、逆に「組んだから負けた」という自省の声もある。
長野1区で勝ち続けてきた篠原孝氏は小選挙区で負けたが、敗因をこう語っている。「たまたま市長選があって、その候補者を立・共で推薦した。
その応援に志位和夫共産党委員長が来て、立民の街宣車に乗った。その姿を見て「イヤ〜な気がした」。
選挙区で負けたのは、自分を推してきた無党派が自民に流れたからだ、と篠原氏は分析する。
実は党内には篠原氏同様の見方をする人が意外に多い。

立民党は共産党との共闘で行くか、独立して闘うか、党内論争が続くと見られるが、これまでの情勢と異なるのは、共産党の弱体化である。
志位委員長は立民に抱きついて「閣外からの協力」路線を続けようとしているが、続ければ立民の衰退は必至。

大きく変わると見るきっかけは連合の「共産党とは組まない」路線である。
これまでも連合は裏で組んでも、表では「組まない」と言ってきた。
連合の新会長の芳野友子氏は何度も共闘路線を批判し「これでは組合の票の行き場がなくなる」と明言している。
立民も「うやむや路線」が取れない場合、共産との関係をすっきりしなければ、野党第一党の立場が崩れる可能性がある維新維新の膨張力の強さを見れば、この党が国民民主党と合体して「全国区」になる可能性は十分にある。
こういう政界変化の前兆の中で、共産党が生命力を吹き返す力があるだろうか。

共産党の基本政策は日米安保条約の破棄、自衛隊の解消である。
「中国が27年までに軍事侵攻する」といった予想がある中で、同党の時局認識を受け入れる国民がいるのだろうか。
要するに共産党は中国の子分か、国際情勢音痴か、いずれかでしかない。
外交に無知なばかりではない。「護憲」と言いつつ、「天皇制は廃止」だという。護憲と天皇制廃止は矛盾している。
西側最大を誇ったイタリア共産党は、ソ連による56年のハンガリー制圧、68年のチェコ弾圧を見て、自国防衛に不可欠だとNATO(北大西洋条約機構)を認めた。
伊仏西など欧州各国の共産党はユーロコミュニズム(欧州共産主義)を旗印に連合し、対ソ連への出方を相談してきた。
ソ連式の軍事制圧を非難して、共に「社会主義を民主主義によって進める」と暴力革命を否定。独裁になりがちな民主集中制をやめ、党首公選にするなど党のあり方を変えた。必然的に「共産党」という名も捨てた。
イタリアの共産党が「左翼民主党」と名を変えたのは、ソ連が崩壊する10か月前、91年2月の党大会だった。 日本共産党は外交はゼロ、まともな内政もない。
時代外れのタドン(炭団)のような存在だ。
その存在意義は、なくなりつつある。
(令和3年12月22日付静岡新聞『論壇』より転載)
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そうだ、共産党は悪くない!理解しない国民が悪いんだ!

そうだ、共産党は悪くない!理解しない国民が悪いんだ!
2021年11月03日 井上政典ブログ

 初めに、このタイトルはブラックジョークです。
 時々このようなタイトルをつけるのですが、あまり中身を読まないで誤解されるおバカさんがおられるので、老婆心ながら書いておきます(笑)

 立憲民主党の枝野代表が辞意を表明しました。福山幹事長もその責任を取るようです。  当然です。
 共産党と共闘するなど間違っていたのです。
政府の上げ足を取って、武漢コロナ対策を邪魔したことが間違っていたのです。

つまり日本国民は共産党が嫌いなのです。
 だから立憲民主党支持者の3割が比例で共産党と書かずに自民党と書いたのです。その潮の流れを読めなかった枝野氏はリーダー失格です。
ご自身の政治信条が政権を国民から委託されないのですから、この際潔く政界からも引退された方がいいと思います。

 でもまだどこかに立憲民主党には民主的な仕組みが残っていたようです。
 次の代表選がとても楽しみです。
 いったい誰が出てくるのでしょうか?
 いろんな名前が挙がっていますが、学級委員長を選ぶの?と言いたくなるような小物ばかりです。
 何度も分裂を繰り返してきたために、野党の第一党の党首たる風格を持った人がいなくなっています
哀れな末路ですが、それでも96議席を持っています。
この党にどんな人が投票したのか知りたいので、ぜひ立憲民主党支持者の方、なぜ支持するのかのコメントを戴けると助かります。
 あっ、今日は共産党が主役でした。
 共産党の志位委員長は「自分には責任はない」といい、野党共闘は続けるべきだと主張しています。
 まったくぶれない考え方で見ていて気持ちがいいですね。
 ここまで言い切れる精神力は並大抵のことではないと思います。
   私は日本という国が大好きで、日本文化や習慣は世界に誇れるものだと思っています。
だからそれをことごとく破壊しようとする共産党は大嫌いです。

  民主的な共産党と標榜していますが、12議席から10議席に議席を減らし、得票数も前回の440万票から416票と24万票も減らした責任を取らない、そして誰もそれを追及しない、またはできない政党が民主的と言えるのでしょうか。
 あの厚顔無恥だと思っていた立憲民主党でさえも枝野代表は辞意を表明しました。
 なぜ共産党の志位委員長は党勢の弱体化を招いた責任を取らないのでしょうか。

 まだ野党共闘を主張していますが、もう普通の人なら共産党というのは疫病神でここと関わったらとんでもないことになると気付くはずです。
 一つだけ普通の日本人なら受け入れられない共産主義にかぶれた人が良く言うことを言います。
 それは、自分の権利ばかりを強調し、義務や責任はまったく取らないということです。
 日本人はぶつかってもすぐに「すみません」と言います。
それは相手を責める前に自分がよけることができなかったという自分自身の責任に対してのお詫びを言うのです。
相手が普通の日本人だったら、「こちらこそすみません、おけがはありませんでしたか?」と素直に自分の非も認めて相手のことを気遣います。
 そうするとその場が丸く収まりますが、「すみません」と言っているのに、「どこ見てんだボケ」というような大人気のない対応をすると一気に火が付きます。すみません、私の場合ですが・・・。

 まずは自分の至らなさを反省し、その原因の一端が自分にもあるということをお互いが認め合うから丸く収まり、成熟した社会となります。
そしてその怒りのエネルギーは他の有益なことのために使われますから、建設的な社会構造となり、そうやって日本は発展してきました。
 それを共産主義にかぶれた扇動家たちは、「貴方たちが悪いのではない、政府が悪いのだ」と努力もしない不遇な人たちにけしかけるのです。
 日本の社会において普通に努力していたら、まっとうな友人に囲まれ、まっとうな取引先と付き合い、そして正当にお客様から評価され、大儲けはしなくても人並みの生活はできるようになると私は思っていますが、どうですか?

 何かどうしても悪い仲間が集まってきて、ろくでもない取引先やクレーマーばかりの客が寄ってくる人は、自分のどこがおかしいかの反省を試みるべきだと思います。
 学生時代にまともに勉強をしていない人は、中学や高校からの教科書をもう一度復讐するなどすればいいのです。
わかる所は飛ばせばいいので、そんなに時間はかからないと思います。

 自虐史観に染まっている人は、私のユーチューブ番組「教えて井上師匠」とご覧になったらいいんです(笑) 
 少しはお役に立つと思いますよ。
 悪い仲間が寄ってくる人は、思い切って引っ越しをして悪縁を断ち切るという方法もあります。
 人から信用されない人は、人に頼んで自分の評判を聞いて回ってもらったらいいでしょう。
そして信用があつい人と付き合い何が自分と違うのかを探せばいいのです。  
 そして数年辛抱すれば、必ず事態は好転します。それが日本の社会というものです。
それが日本社会の素晴らしい所なのです。

 努力した人が努力した分だけ必ず報われるのです。それは経済的なものではない時もありますが、ささやかながら幸せな生活は約束できます。
 でも、共産主義にかぶれた人は人のせいにします。山本太郎の演説を聞いたら何回もそれを言っています。
 あの演説が素晴らしい、感動したという大人とは付き合いたいとは思いません。
 だれでもつらい日々を耐え抜いたからからこそ今の幸せをつかんでいるのです。
 志位委員長も同じです。自分には責任はない、野党共闘は間違っていないと全く反省しませんね。
 多様性のある社会をと言いながら、、自分たちが信じていること意外は受け入れようとしないのが共産主義です。
 だから日本人は共産主義が嫌いなのです。

 志位委員長はもっと頑張ってもらって、日本には不要な立憲民主党やれいわ新選組や社民党などともう一度組んで一緒に池に飛び込んでいただければ幸いです。
 日本には八百万の神々がおられます。ということはすべてのものに存在する理由があるのです。
共産党の存在意義は現代において日本国と日本国民の足を引っ張る売国奴政党の議員を掃討する役割を担っていると思います。
 次の立憲民主党の代表にも小川氏のような野党共闘を継続するというような人がなってもらいたいものですね。
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2022年07月14日

やってはいけない「昼寝」とは?夜に目がさえて眠れなくなる

やってはいけない「昼寝」とは?夜に目がさえて眠れなくなる
2022年07月13日 SPA

巷に流布される「体にいいこと」を試してみたけれど、たまった疲れはまったく取れない。
正しいと信じていた習慣が、実は効果ゼロなんてことも……。
今、間違いだらけの習慣を総点検し、疲れない体になろう!

◆部屋を暗くして横になるのはNG。15分以内の短時間寝が◎
 かつてはオフィスで昼寝するのはグータラ社員だけだったが、昨今は昼寝を推奨する企業もある。
睡眠を研究する安達直美氏はその効用を説く。
「脳の認知機能は、起床から15時間でほろ酔い状態。17時間で泥酔状態と同程度になります。
そこで一度昼寝をして脳の疲れをリセットすると、集中力や作業効率のアップなどさまざまな恩恵が受けられます。
いわゆる『パワーナップ』と呼ばれる習慣ですね」

◆しかし30分以上寝ると…
 しかし昼間の眠りすぎには注意が必要だという。
「夜の睡眠は、体温を下げて脳と体を休めるのが目的ですが、昼寝は脳を休めるために行うもの。
7〜8分間の浅いレム睡眠でも脳機能は回復するので、昼は深く眠る必要がないんです。
にもかかわらず、暗い部屋で横になって30分以上寝ると、夜の睡眠と同じ深さになってしまいます。
その結果、再び体温を上げて活動的になるまでに数時間かかり、逆に夜の就寝時には目が冴えて眠れず、かえって疲れてしまいます」
 昼に寝すぎて、夜の睡眠を妨げるのは本末転倒だ。

◆昼寝時間の目安は?
「昼寝は、若い人なら15分以内。
眠るまでに時間がかかる50代以上は30分以内を目安にしてください。
また、15時以降の昼寝も夜の睡眠の質を下げるのでNGです」
 明るい部屋でイスに座ったまま壁にもたれたり、突っ伏したりすることで、「眠りすぎ」を防ぎ、午後に備えよう。

◆<まとめ>

★GOOD……昼食後、イスに座ったまま15〜30分の睡眠
★BAD……部屋を暗くして横になり30分以上の昼寝

【上級睡眠インストラクター 安達直美氏】
国際線CAとして勤務後、寝装品メーカーのラボで睡眠の研究に従事。
現在は、メディア出演や睡眠健康教室などの講師として活躍中

<取材・文/真島加代(清談社)>
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2022年07月15日

安倍氏銃撃事件で露呈した「固定観念の罠」、動機・銃撃能力・警備体制…

安倍氏銃撃事件で露呈した「固定観念の罠」、
動機・銃撃能力・警備体制…
田岡俊次:軍事ジャーナリスト
2022.7.14  Diamondオンライン

「民主主義への挑戦」なのか 銃撃事件が浮き彫りにしたもの
 安倍晋三元首相銃撃事件が発生した直後、与野党の政治家や報道機関は、「政治的テロ」かのように捉えての言動や報道が相次いだ。
「言論を銃撃、暴力で封殺する行いは断じて許すことはできない」などと犯人を激しく非難し、「民主主義が決してテロに屈してはならない」と訴えた。
 だが山上徹也容疑者(41)を奈良県警が取り調べたところ、独善的な政治理念といった“高尚”な動機ではなく、個人的な不遇の鬱憤を晴らす行動だったことが分かってきた。

 これに似た事件が起きたのが、2008年6月、東京・秋葉原で起きた25歳の青年による殺傷事件だ。
買い物客で雑踏する歩行者天国にトラックで突入、大型ナイフで人々を刺してまわり、7人が死亡、10人を負傷させた。
 青年は、青森県の進学高校を卒業したが大学に入らず、職場を転々、自殺をほのめかしていたという。
メディアは青年が派遣社員として働いていたことから不遇で「社会に不満を抱いた派遣社員の犯罪」と伝えた。
 その後の裁判では教育に熱心だった母親への鬱積した感情が主な動機だったことが明らかになる。

 ある種の固定観念が問題の本質を捉え間違えたり、本当の課題を見えにくくしたりする「罠」といってもいいだろう。

元自衛官だったことを 銃撃能力と結び付ける無理
 山上容疑者も奈良県随一とされた高校の優等生で応援団長を務めて人望もあったようだが、卒業後は家庭の都合からか大学には進学せず、専門学校に入った。
 2年間専門学校で学んだ後、2003年から2005年まで3年間は任期制自衛官として海上自衛隊に勤めた。
 任期制自衛官というのは、3カ月の基礎訓練後、階級が最下位の2等海士(2等水兵)となり、3年後本人が希望し、選考に通ればさらに2年間継続任用される。
 これに対して、防衛大学校や一般大学出身者は入隊すると菅長(下士官の最上位)に任じられ、1年後には3尉(少尉)の士官となる。
 中学、高校で優等生だった山上容疑者にとっては、鬱屈した思いを抱くことがあったのではないか。
継続任用されずに除隊したのは嫌気が差したか、協調性に欠けると見られたのかもしれない。

 今回の事件では、山上容疑者が短期ながら海上自衛隊にいたことで、射撃や拳銃製作の知識、経験を得たかのように報じられている。
 だが2等水兵は、小銃射撃については、基礎教育で一応習う程度だ。
彼は護衛艦「まつゆき」の砲雷科に属したが、扱うのは口径76ミリの艦砲や対空、対艦、対潜水艦ミサイルで、拳銃とはほとんど無縁だ。
 約17年も前に海上自衛隊にいたことを今回の銃撃事件に結び付けるのは無理がある。
これも固定観念からの見方だ。

あまりに短絡的な動機 旧統一教会幹部と同一視
 山上容疑者は取り調べに対し、建設業者だった父が亡くなった後、母が韓国に本部があるキリスト教の亜流の統一教会(現在は「世界平和統一家庭連合」)に入信し、多額の寄付をし、家も売却するなど家庭が崩壊したことを恨んで、その宗教団体の幹部を成敗しようとして爆弾や拳銃を作った、と語っているという。
 だが宗教団体の幹部を殺害するのは難しいと判断し、昨年9月、世界平和統一家庭連合の集会で約5分間のリモート演説をして、その幹部を称賛した安倍元首相を狙ったと動機を語っているという。
 かつて警察庁が「最も悪質な商法」と断言して取り締まりを指示した「霊感商法」や大学のキャンパスで正体を隠した勧誘、「合同結婚式」などで非難された宗教団体を、自民党の最大派閥を率いる安倍氏が称賛する演説をしたのは、いかがなものかと思われる。

 だが、安倍氏が韓国系の宗教団体の信者ではなかったことは明白で、山上容疑者の母親が多額の寄付をしたことに安倍氏は何の責任もない。
 その宗教団体幹部と同一視する発想はあまりに短絡的で、山上容疑者の殺意は八つ当たりのようなものだ。  

 今にして思えば安倍氏は見境がないといってもいいほど、外国人に対し好感を与える“天才的八方美人”で、韓国の宗教団体への祝辞もその一端にすぎなかったのだろうと思われる。
 なるべく敵を作らず、友好国を増やすのに努めるのは外交の定石だが、安倍氏の対外的言動は他国の好感を得ることはできても首尾一貫しないことが少なくなかった。
 実際、安倍外交自体、外交の定石とはいえ、方向性がはっきりしなかったことは否めない。

 対中外交では、第1次安倍内閣の成立当初から安倍氏は中国との「戦略的互恵関係」を唱え、尖閣諸島問題では2014年11月に習近平国家主席と会談し「双方が異なる見解をを有する」ことを認めて互恵関係の原点に立ち戻り関係を改善することで握手した。
中国が進める「一帯一路」計画に対しては2017年6月に協力を表明、安倍氏が習氏を国賓として招いたが、コロナ禍で実現しなかった。
日中関係改善に尽力したことは事実だ。
 だがその一方で、2016年8月に「自由で開かれたインド太平洋」を目指す米国の中国包囲網結成に賛同し、米中戦争を念頭に同盟と防衛力強化を進め、米、印、豪などとの共同演習を行った。

 安倍元首相の死去に際して、北朝鮮を例外にウクライナ問題で対立が激化するロシアのプーチン大統領や台湾など多くの国々からも続々と急逝を悼む弔電が送られ、安倍氏が友好に貢献したことに感謝した。
 だがそれぞれ利害が異なる国々がこぞって安倍氏の友好的政策を評価したのは、安倍氏が相手国に気に入られるような矛盾した言動を続けた証左とも思われる。 

 弔意と感謝を示すのは礼儀と同時に、日本が約束したことを再確認する手法でもあるだろう。
 成果のほどは確定しないが、よくもこれだけ八方美人を演じられたものと感服せざるを得ない。
こうした中でも、韓国の旧統一教会への祝辞はやり過ぎの感があり、それが安倍氏の命取りとなってしまった。

杓子定規だった警護体制 テロの対象者や実行者も変化
 固定観念の「罠」ということでいえば、テロ防止でも、今回の事件は教訓を残した。
 今回、安倍元首相の警備では、東京の警察庁から派遣されていた要人警護を専門とするSPは1人で、しかも役割はおそらく本省との連絡官にすぎず、警護の中心は奈良県警の警察官が当たっていた。
 現職の閣僚などには、通常は数人のSPが付くのだが、安倍元首相は退任後は一衆議院議員ということで、SPを1人しか付けなかったようだ。
 だが安倍氏は自民党内の最大派閥を率いる実質的には最大の権力者の一人で、それだけに憎まれることも多かったはすだ。SPは要人の前後左右に4人は付けるのが現実的だったろう。
官僚の杓子定規の判断が災いしたといえる。

 要人警護では対象の人物の官職の上下よりは、襲われる可能性の大小をもっぱら考える戦術的判断が重要なはずだ。
 さらにいえば、テロの対象者や実行者に対する観念も変える必要があるかもしれない。
 従来の極右、極左のテロリストは何らかの組織に属した者が一般的だったから、公安当局が兆候を知り、事前防止がある程度できた。
 だが、今回の安倍元首相銃撃や秋葉原の無差別殺傷のように将来への絶望感や個人的な動機から要人殺害や多数の人々を殺傷しようとする個人的なテロは予防が難しい。
 日本は銃器の取り締まりが厳しいとはいえ、鉄パイプや火薬の材料となる薬物、陸上競技のスタートピストル用の雷管などを使い、先込み銃を作ることはそう難しくない。
爆弾も自爆テロ用なら簡単に作れるから、今回の事件の模倣犯が出る危険が案じられる。

 2019年7月に京都市伏見区で起きた京都アニメーション制作会社の放火(死者36人、負傷者33人)や2021年12月に大阪市曽根崎で起きた精神科医院の放火(死者26人、負傷者1人)もそうした一匹狼のテロ事件だった。
 こうしたテロを考えれば、放火による大量殺人を防ぐため、火の手が上がると自動的に天井から水あるいは消火液を散布するスプリンクラーの設置に関係省庁と自治体が取り組むことも、「テロとの戦い」に有効な対策になると考えられる。
   (軍事ジャーナリスト 田岡俊次)
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2022年07月16日

安倍元首相が賛意を示した旧統一教会の「仰天教義」保守系支持者らはなぜダンマリ?

安倍元首相が賛意を示した旧統一教会の「仰天教義」保守系支持者らはなぜダンマリ?
2022/07/15 日刊ゲンダイ

「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元首相がメッセージなどを送られたことはございます。
(統一教会教祖の)ハン・ハクチャ総裁が主導されている世界平和運動に対して、賛意を表明してくださっていた」
 安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、11日に都内で会見を開いた「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)・日本教会会長の田中富広氏。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)の母親が教会員だと明らかにした上で、安倍元首相と旧統一教会の間につながりがあったことも認めた。

 安倍氏が教祖に「賛意」まで表明していた統一教会の教義とは一体、どういうものなのか。
 1978年6月1日の衆院地方行政委員会で、共産党 議員が教義である「原理講論」や関連書籍など読み上げている。
内容はこうだ。 「韓国語の原本によりますと(略)こういうことが書いてあるのです。有史以来、全世界にわたって発達してきた宗教と科学、即ち、精神文明と物質文明とは韓国を中心として、みな一つの真理のもとに吸収融合され、神が望まれる理想世界のものとして結実しなければならないのである(略)

人類の父母となられたイエスが韓国に再臨されることが事実であるならば、その方は間違いなく韓国語を使われるであろうから、韓国語はまさに祖国語となるであろう。
したがってすべての民族はこの祖国語を使用せざるをえなくなるであろう。こう言っているのです」
「男性韓国が、真理の国ということができるとすれば、女性日本は産業の国といえるのではなかろうか。
深遠な真理をもって語りかけてくる男性に、女性は何をもって返答をするであろうか。
婚姻の約束が成った後は、仲人を立て、調度品を将来の夫のもとに納める習いがあるではないか。
日本は、二十年間の驚異的な産業の発展を有している。
この産業・経済を男性韓国へ結納として収める歴史的必然性がある」

 いやはや、どう見ても「曲解」としか思えない教えだが、これでは霊感商法被害者などが続出するのも無理はない。
 改めて日本の元総理大臣が「賛意」を表明していたことに驚くが、不思議なのは、ふだんは「嫌韓」「反韓」を訴えている保守系から批判の声がほとんど出ていないことだ。

仮に、野党議員が今回の安倍氏のように「韓国が世界の中心」みたいな団体に「賛意」を示していたら、たちまち「売国奴」「恥を知れ」などと大騒ぎになっているだろう。
 ネット上でも、〈京浜急行線の駅名案内がハングル文字というだけで怒り狂っていた右派の人はなぜ静かなの?〉

〈世界の中心が韓国で、属国扱いの日本は女性もカネも差し出せという宗教法人に賛意を送った安倍さん。
韓国嫌いの支持者はどう思っているのだろうか〉といった声が出ており、
自民党などの保守系支持者らが声高に叫ぶ「愛国心」の“正体”が問われる事態となっている。
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2022年07月17日

参政党はトンデモではない。振り切ったトンデモだ/倉山満の政局速報

参政党はトンデモではない。振り切ったトンデモだ/倉山満の政局速報
2022年07月16日   SPA!

7月10日に投票が行われた第26回参議院選挙。
日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏は「3年前、NHK党が登場した時にも相当な「イロモノ」扱いされたが、参政党は比ではない。
人によっては「トンデモ」と呼ぶだろうが、それは本質ではない。
参政党は、『振り切ったトンデモ』なのだ」と参政党の本質について解説する(以下、倉山満氏による寄稿)。

◆知る人ぞ知る存在だった参政党が参院選で突如として1議席獲得
 この人たち、深い知り合いか、知り合いの知り合いなので、非常に書きにくいと言うのはあるが……。
 ただ、立憲民主党の真人間、日本維新の会、国民民主党には言いたい。
参政党ですらこれだけできたのだから、貴方たちが参政党くらい頑張れば、自民党に勝利を献上するはめにはならなかったのでは?
 知る人ぞ知る存在だった参政党が参議院選挙で突如として登場、一議席を獲得した。
 その主張は、保守だと分類されている。
重点政策では、「外国資本による企業買収や土地買収が困難になる法律の制定」「外国人労働者の増加を抑制し、外国人参政権を認めない」などは、ややもすると排外主義にも聞こえるが、他の保守政治家も言っていることなので、これだけでは特段変わった政策ではない。
自民党でこれを言えば即座に右翼呼ばわりされるだろうが。

◆参政党は、「振り切ったトンデモ」なのだ
 参政党の特徴は、真正面から「グローバリズムに対抗するナショナリズム」を訴えていることだ。
知らない人が聞いたら「鎖国でもするつもりか?」と思うだろう。
これが、よくよく聞いていると、本当に「鎖国が正しい」と信じている関係者もいたりする。
ナショナリズムは矯激(きょうげき)にならない限り結構として、では彼らが敵視する「グローバリズム」とは何か。
「ユダヤ」「ロックフェラー」「ロスチャイルド」「ディープステート」「イルミナティ―」……。
次から次へと陰謀論の定番用語が飛び出す。

 そして、同じく重点政策では「農薬や肥料、化学薬品を使わない農業と漁業の推進と食品表示法の見直し」を訴える。
これには真面目な農業政策の研究者から「それをやると餓死者が続出、貧富の格差が広がる」と批判をされるが、そんなことは関係ない。
 3年前、NHK党が登場した時にも相当な「イロモノ」扱いされたが、参政党は比ではない。
人によっては「トンデモ」と呼ぶだろうが、それは本質ではない。参政党は、「振り切ったトンデモ」なのだ。
 では、この党はどのようにして世に出たのか。

◆私が参政党の関係者と思われてしまう理由
 今回、参議院に議席を得たのは参政党のボードメンバーで事務局長の神谷宗幣。
私が彼に最初に出会ったのは、2012年の1月。その頃の彼は、吹田市議会議員だった。
年は私より4歳下。当時、「龍馬プロジェクト」という全国の地方議員を組織、その会長をしていた。
私は「龍馬プロジェクト」に講演で呼ばれたのを皮切りに、深くかかわるようになった。
「龍馬プロジェクト」は超党派の保守系議員の集まりで、その年12月の総選挙で当選することになる大岡敏孝現環境副大臣(自民党で当選)や杉田水脈衆議院議員(この時はみんなの党で当選)、長野恭紘別府市長もいた。

 神谷は自民党から出馬するも落選。保守的な教養を広めようと、インターネットテレビ局のCGS(チャンネルグランドストラテジー)を開局した。
立ち上げの1年、相当に手伝った。
そもそもCGSの名付け親が私であるし、ほとんどの番組の企画も私が考え、出演者もブッキングした。
私自身の番組は「じっくり学ぼう!日本近現代史」で、最初は週6本の配信。
さすがに疲れるので、本数を減らしたが……。

私が参政党の関係者と思われるのは、神谷が、この番組の内容に基づいて発信するからだろうが。
番組制作に際しての神谷の依頼は「グローバリズムに対抗できる日本人の歴史観が確立できるような番組を」「ペリーやアヘン戦争以来の日本の近代史」だったが、「では、ザビエルから始めましょう」と長期シリーズになった。
ザビエルからはじめて、小泉純一郎まで来たところで終わらせた。
2年目以降は、呼ばれた時にだけゲスト出演していた。

◆参政党は当初、市議会議員選挙でも勝てない政治団体にすぎなかった
 神谷は自分の会社のCGSをイシキカイカクと改称、講演・動画その他販売などで経営していたようだ。
かなりの高額商品もある。
その間に大阪府議選に無所属で出馬して大敗しているが、詳しい事情は知らない。
 疎遠になっても忘れたころに仕事の依頼が来るのだが、そんなある日、何かの打ち合わせで神谷と二人で飲んでいた時に「政党を作りたい」を相談された。

本気かと思ったが、本気だった。
神谷には最初に出会った時から語っていた「近代政党」についてレクした。
 前近代政党とは、議員の集まりである政党のことだ。
派閥の談合によって、運営される。
それに対して近代政党とは、綱領・組織・議員の三要素で構成される。
党員全員が共有する綱領がある。
党首の下に強力な事務局が存在する。
理念に基づく国民に政策を訴え、党員を増やす。
当然、資金も集める。
その党員が活動を拡大し、議員を当選させる。
明確な党首がいないまま選挙戦に望んだ以外は、ここで語った通りの近代政党の手法の選挙戦を行った。

 神谷は事務局長の立場でボードメンバーを組織した。
初期のボードメンバーは神谷の他、渡瀬裕哉早稲田大学招聘研究員、YouTuberのKAZUYA、元衆議院議員の松田学、元日本共産党員が売りの評論家の篠原常一郎。 当初は市議会議員選挙でも勝てない政治団体にすぎなかった。

◆ネットワークビジネスに対する甘すぎる認識、米大統領選における目に余る言説
ちなみに私は、ネットワークビジネスに対する神谷の態度が甘すぎると、参政党(正確には当初はDIYと名乗っていた)には、はっきりと参加を拒否した。
私が参加すると事前に告知されていたようだが、後で知った。
 その後、アメリカ大統領選挙で、渡瀬・KAZUYAと篠原の路線が対立。3人ともボードメンバーから身を引いている。
 残ったボードメンバーは、神谷と松田。ここに科学者の武田邦彦、アカオアルミ会長の赤尾由美、歯科医の吉野敏明が新たなボードメンバーに加わった。
党員の通称は「ゴレンジャー」とか。
 一般に知名度があるのは、テレビタレントとしても活躍している武田くらいか。
武田と吉野は一面識もない。もちろん武田の事は知っているが、吉野は参政党の件で初めて知った。
 松田は、元大蔵官僚で、次世代の党代議士の時、お世話になった。温厚な人物である。
赤尾は、有名右翼活動家の赤尾敏の姪。
本業は1円玉を一手に作る会社を継いだ実業家で、借金100億円を完済したとか。新しい歴史教科書でいっしょに理事を務めたこともある。

◆「陰謀論、ネットワークビジネス、そういうものを許容しないと広がりが無い」
 渡瀬・KAZUYAと決別したあたりから、神谷と参政党は振り切った。
渡瀬・KAZUYAが批判したのは「陰謀論を許容するな。嘘を言いふらすことになるからだ」だったが、神谷は振り切った。
私も直接言われたが、「陰謀論、スピリチュアル、ネットワークビジネス、そういうものを許容しないと広がりが無い」が神谷の言だ。
事実、そちらの方向に振り切ってから、参政党の勢いは加速度がついて広がった。
 これを機にどうも、司令塔となる軍師が代わったような気がするが…。
 一般知名度ほぼゼロ、SNSでもツイッター・YouTube・フェイスブックのフォロワー数はそこまで凄くない。
TikTokは政治動画が少なく、独占状態だったようだが。
それなのに、演説会をやればどんな田舎町でも超満員。党大会をやれば10万円の席も完売。会費月4千円の党員が、次々と既成政党を超えて、今や9万人。
ボードメンバーの5人が参議院選挙全国比例に立候補、さらに全国の45選挙区にも候補者を擁立、比例票を掘り起こした。

◆参政党はいいこと“も”言っているにすぎない
 この党、確かにいいことも言っている。
きちんとした教育、きちんとした食、きちんとした安全。と言われて反論する日本人はいないだろう。
既成政党は難しく考えすぎて、それを言ってこなかったが。
 いきすぎたコロナの規制、マスクやワクチンのあり方をもタブーとせず、堂々と切り込んだ。
その勇気に感銘を受けた人もいるだろう。  
 しかし、ある候補者と熱狂的な支持者が「コロナウィルスは波動で治る」と訴えているのが聞こえてきたら、他人のフリをしたくなる。  
 参政党は、いいことも言っている。
いいことを言っているのではない。極端な「トンデモ」が混ざるので、「いいことも」言っているにすぎないのだ。
しかし、参政党に投票するような人は、「いいことを」と「いいことも」の区別はつかない。

◆トンデモに振り切ったのが参政党のリアリズム
 ここに参政党のリアリズムがある。
 民主主義は数が力、多数決だ。
頭がいいものは常に少数派だ。いつの時代、どこの国でも、インテリは常に少数派だ。
自民党をはじめ既成政党に批判的な政治に関心がある層の人々は、悩みを抱えている。
現実社会は、テストの答えのような明快な正解が無いことだらけだ。
しかし、心の弱い多数の人は、正解や解決を求めている。
そこに正解や解決を与える。まさに陰謀論やスピリチュアルの手法だ。

インテリには恥ずかしくて、絶対にできない。そこに渡瀬やKAZUYAが離れた原因がある。
渡瀬やKAZUYAのファンなら、「コロナウィルスは波動で治る」「アメリカ大統領選で不正が起きたので、フランクフルトで米軍とCIAが銃撃戦を起こした」「プーチンはディープステートと戦う光の戦士だ」式のトンデモには耐えられない。

 しかし、そこに振り切ったのが参政党のリアリズムだ。
参議院1議席が割に合うかどうかは別問題だが、泡沫政党と言われた状況からは大勝利と言えるが。

◆参政党の活動の取り入れられる部分を参考にしては如何か
 今後、この党がどうなるかはわからない。
かなり振り切った活動をしたので、後始末で失敗をできない。
45人の候補者は自らを「捨て駒」「特攻隊」と呼んでいたが、来年4月の統一地方選でどれほどの人たちを当選させられるか。
 参政党のように「振り切ったトンデモ」に舵を切れるのか、という問題はあるが……。

 立憲民主党の真人間、日本維新の会、国民民主党には3年かけてマトモな野党を作ることを期待している。
参政党の活動の取り入れられる部分を参考にしては如何か。
 こういうことを言うと、真っ先に取り入れるのが自民党、というのが戦後政治史なのが、なんともだが。

   ―[倉山満の政局速報]―
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2022年07月18日

旧統一教会と「関係アリ」国会議員リスト入手! 歴代政権の重要ポスト経験者が34人も

旧統一教会と「関係アリ」国会議員リスト入手! 歴代政権の重要ポスト経験者が34人も
2022年07月16日 日刊ゲンダイDIGITAL

 安倍元首相の暗殺事件でクローズアップされている旧統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)と自民党の関係。
山上徹也容疑者(41)の供述によれば、昨年9月に安倍元首相が統一教会の関連団体「天宙平和連合(UPF)」のイベントにリモート出席した動画を見て殺害を決意したという。

 ◇  ◇  ◇  
実際、旧統一教会の政界への浸透は凄まじい。
日刊ゲンダイは旧統一教会と関係のある国会議員112人のリストを入手。
ジャーナリストの鈴木エイト氏が長年の調査によってリストアップしたものだ。
「統一教会との関わり方は様々ですが、議員本人のイベント出席や秘書の代理出席、祝電など、教団系メディアの生配信やネットに残っている公開資料等で確認できたものをリスト化しています。
公になっていないだけで、関りのある議員は他にもいると考えられます」(鈴木氏)

 リストを見ると、やはり自民党議員が圧倒的に多い。
衆院議員78人、参院議員20人が統一教会系の団体等との何らかの関わりが確認された。
野党でも立憲民主党6人、日本維新の会5人、国民民主党2人が関わりを持っていた。
そのうち閣僚、党幹部の経験者だけでも34人に上る(別表)。
統一協会関係国会議員.jpg
 イベント参加や祝電のほか、米国で発行されている統一教会系の日刊紙「ワシントン・タイムズ」や機関紙「世界日報」にインタビューなどが掲載されたケースもあり、献金を受け取っていた議員もいる。

■統一教会から支援を受ける議員を政務三役などにどんどん登用

 そして、旧統一教会との関わりが認められる議員の多くが、第2次安倍政権以降、大臣や副大臣、政務官などに起用されてきた。
2019年の第4次安倍第2次改造内閣では、閣僚20人のうち10人が旧統一教会関連だった。
「以前だったら、これほどの関係が発覚すると大騒ぎになりましたが、第2次安倍政権以降、親密な関係が発覚しても報じるメディアはほとんどなく、大した問題にならないとタカをくくっていたと思います。
教団系のイベントに来賓参加するなどした議員の政務三役への登用も顕著になりました。

『頼まれてメッセージを送るくらいよくあること』と擁護する声もありますが、政治家の影響力を考えれば、これだけ問題のある団体に祝電を送ればお墨付きを与えることになる。
これが新たな被害を生むかもしれないということは少なくとも考えるべきでしょう。

『統一教会の関連団体とは知らなかった』では済まされません」(鈴木氏)
 大メディアは旧統一教会を糾弾するだけでなく、政治とのズブズブ関係もしっかり報じるべきだ。
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2022年07月19日

旧統一教会 信者勧誘の手法

旧統一教会「世界平和統一家庭連合」の勧誘から自分と家族の身を守る方法
2022年07月18日 日刊ゲンダイDIGITAL

 全国霊感商法対策弁護士連絡会などによると、昨年末までの約35年で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に関する被害総額は約1237億円。
09年以降も昨年までに約4000件の相談があり、約175億6000万円の被害が出ているという。
家庭連合の田中富広会長が会見で話した「09年以降、そういったトラブルはありません」という言い分と大きく食い違っている。 (編集部注= 旧統一教会側は17日、上記の発言について、「コンプライアンス順守の結果が表れているという趣旨であり、トラブルがゼロになったという意味ではない。言葉不足で誤解を招いたことを率直におわびする」などとする声明を出した)
  ◇  ◇  ◇  
旧統一教会を巡るトラブルは1980年代後半から目立ち始め、桜田淳子らが参加した1992年の合同結婚式(祝福結婚)はメディアでも大きく取り上げられた。
マインドコントロールという言葉が広く知られ、後にオウム真理教も影響を受けたとされる。
 だが、あれからすでに30年の歳月が過ぎて人々の記憶も薄れ、特に若い世代は「統一教会」の騒動自体を知らない。

 ごく簡単に騒動後を説明すると、旧統一教会は1994年に現在の「世界平和統一家庭連合」に名前が変わり、日本では遅れて2015年に文化庁から改称を認められている。
2012年に開祖の文鮮明氏が死去すると、本国の韓国で内部対立が発生。
妻の韓鶴子氏が総裁として教団を継承したが、七男がサンクチュアリ教会を設立して分派している。
ちなみに、文鮮明氏と韓氏は合計14人の子供をもうけたが、薬物依存や自動車事故死など必ずしも家庭は円満とは言えない。

 宗教団体としてはキリスト教のカルト団体に分類されるが、教団内の主要な考え方は「日韓友好」「世界平和」「南北朝鮮の統一」「在日同胞の融和」が基本線にあり、その理念自体は素晴らしいと共感する人もいる。
一方、政治的には右派傾向にあり、憲法改正や集団的自衛権の行使容認、非核三原則の改廃、LGBTの否定、性教育の廃止(貞操教育の実践)と、安倍元首相が率いた清和会に近い思想となっている。
特に傘下の「勝共UNITE」(旧・国際勝共連合)は反共産主義の団体で、ツイッターや機関紙などで共産党や立憲民主党の批判を盛んに展開中。
SNSでよく見かける過激な意見が、実はこの団体の発信だったりする。
また、選挙のたびに信者を自民党系候補の応援に回すなど自民党と蜜月なのも有名だ。

■宗教団体を隠すさまざまなダミー団体
統一協会関係の団体.jpg統一協会関係の団体.jpg
 日本には信教の自由があるので教義についてとやかく言う気はないが、「地獄に落ちる」などと不安をあおり印鑑や数珠、経典などを売りつける手法はいただけない。
 ならば、トラブルに遭わないために近づかなければいいのだが、これがなかなか難しい……。
「私も大学4年生の頃、友人を通じて統一教会と知らされないまま自己啓発セミナーに誘われました。それをきっかけに入信したのですが、勧誘する時点では正体を隠しているわけですので、宗教団体だと見抜くことは難しいかと思います」
 こう話すのは、自身も1987年から10年間、旧統一教会の信者だった詐欺・悪徳商法ジャーナリストの多田文明氏だ。

「今の学生は昔の事件を知りません。ボランティアやSDGsなどウケのいい活動目的に勧誘するのは昔からで、しかも末端の信者は真面目でいい人が多く、一度中に入ってしまうと抜け出すのは難しい。
私の頃は、統一教会の学生組織は『原理研究会』と呼ばれていましたが、今は名称が変更されています。
かつての統一教会を知る親たちも、団体名から統一教会だということを察知するのは難しくなっています」(多田氏)

 多田氏の言う全国大学連合原理研究会は、現在は「ワールドカープ・ジャパン」(WCJ)と名乗っている。1992年ごろを境に隠れみの団体の名称が次々変わっていて、さらに付け加えると、団体が数えきれないほど増えている。
安倍元首相が祝辞を贈った「天宙平和連合」もそのひとつだし、イベントや催し物も無数にあるので全ては覚えきれない。
学生らが夏休みに全国を自転車で走る「ピースロード」と聞けば、男女の若者の爽やかなイベントを連想するが、実はこれも教団が関係するイベントなのだ。

 では、家庭連合はどういった手法で信者を勧誘してくるのだろうか? 
それを知るだけでも対策になる。

■「手相を見ます」と声をかけてくる
 有名なのは「アンケート」と称して接触してくること。
当たり障りのないアンケートをしながら“貯蓄額”を聞き出すのが手だ。
 街中で急に「手相を勉強している」「無料で姓名判断をしている」と声をかけられることも多い。
最初は「いい手相ですね」と褒めてくるが、いい気分になっていると次第に言動が怪しくなる。
若い女性であれば「結婚できないのは先祖の因縁……」などと言って印鑑を売りつけてきたりするのだ。
最近はインターネットによる無料の占い、風水鑑定もあるので気をつけたい。

恐怖をあおるやり方は信者に対しても同じ。元信者への損害賠償が認められた訴訟でも、「地獄で苦しむ」「子孫に悪いことが起こるのは先祖の因縁」などと話して不安を抱かせたという。

■若いのに恋愛をしなくなったら赤信号
身内ににいたら要注意 統一協会.jpg
 ところで、自分は大丈夫でも娘など家族の入信を防ぐ方法はあるのか。
ある程度、家族の挙動から危険信号を見分けられるという。
まず服装や生活が地味になったら要注意。
家庭連合は純潔は誇りだと教えるので、恋愛をやめて地味になることが多い。
また、会話の中で頻繁に自己啓発セミナーの話が出てきたり、朝早くボランティアと言って出かけたりするのも危険信号。
何のボランティアか聞いても、説明が曖昧だったりする。

■韓流ファンでもない娘の韓国旅行に注意
「完全に入信してしまったら脱会させるのは相当至難の業ですが、『ちょっと旅行』などと言って韓国にやたらと出かけるのも兆候のひとつ。
さらに旧統一教会側は“教団こそが真の親だ”と言って若い信者を両親から引き離そうとしますので、会話や相談などが少なくなったら、親の方から積極的に話しかけてみてください」(多田氏)
 単なる韓流ドラマやコスメのファンということもあるが、韓国への渡航が続くようなら疑ってみる必要はありそうだ。

 1人暮らしの女性は特に狙われやすいので、電話などで連絡を密にすることが重要だ。
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2022年07月22日

要介護1・2を“軽度者”にーー自民党“大勝”で介護うつ急増の懸念

介護要1・2を“軽度者”にーー自民党“大勝”で介護うつ急増の懸念
2022年07月19日 女性自身

「“世論の支持”を大義名分に岸田首相は2024年の介護保険制度の“改悪”に突き進むのではと、介護現場は危機感を募らせています。
財務省の諮問機関である財政制度等審議会が、介護保険サービスの利用者負担を“原則2割”にすることを提案しているからです」
そう語るのは「認知症の人と家族の会」の花俣ふみ代副代表だ。

現在、介護認定を受けている約9割の人が「1割負担」だ。
原則2割負担になった場合、自己負担額は倍増することになるが、その影響は金銭的な影響にとどまらない。
「認知症の介護家族への実態調査では、1日の介護時間が『昼夜を問わず24時間』と答えた人が24%ともっとも多かったのです。
これまでサービスを利用してどうにかしのいでいた家族が、経済負担に耐えられず利用控えすることによって、過重な負担が生じる可能性が高い。
その担い手は主婦がすることが多く、睡眠不足やうつ、持病の悪化の懸念も。
さらに介護離職を選択する人も増えるだけでなく、虐待や介護殺人も起こり得ます」

■ケアプラン作成の有料化も提案
財政制度等審議会は、ほかにも「ケアプラン作成の有料化」や「要介護1・2の総合事業への移行」などの提案をしている。 「サービスを受ける利用者の状態や要望を聞き取って、ケアマネジャー(介護支援専門員)が定期的に作成するケアプランは、現在、利用者や介護家族は一銭も払わなくてもいい仕組みです。
ここで日常生活の悩みを相談する利用者も多いのです」(花俣さん)

しかし、有料化すれば、相談する高齢者や家族が減ってしまい、サービスの利用そのものを避けてしまう懸念があるという。 「さらに財政制度等審議会は、要介護1、2を『軽度者』として、デイサービスや訪問ヘルパーを使えないように介護保険本体の給付から切り離して、市区町村事業に移行するように求めています。

事業費に制約のある市区町村事業では、家族の負担が重くなる。
介護が必要と認定されても適切なサービスを受けられなくなれば、何のために介護保険料を払っているのかわかりません」(花俣さん)

最後に社会福祉学が専門の淑徳大学の結城康博教授はこう語る。
「2024年の介護保険制度の改定は、この年末には方針が固まります。
今は、利用者の自己負担を強いるような議論が財務省を中心に行われているところ。
『ノー』という声を上げて世論を突き動かすことも重要です」

このままでは、高齢者と介護家族にとっては「黄金の3年」ではなく「地獄の一生」が始まってしまうかもしれない。
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2022年07月23日

ひろゆきが直言「安倍氏の死を嘆くのに、カルトを規制しない自民党に怒らない人はアホ」

ひろゆきが直言「安倍氏の死を嘆くのに、カルトを規制しない自民党に怒らない人はアホ」
2022年07月22日 SPA!

安倍晋三元首相が銃撃される事件が発生してから2週間が経過しました。
どんな理由であってもこのような事件を起こしてはいけないですし、そこは容疑者が悪いとしか言えません。
しかも銃を規制している日本での元首相の銃撃ということでかなり衝撃的だったわけですが、世界からすれば「日本って銃規制しているのに、それってなんだったの?」という感じです。

◆「政教分離」じゃなかったの?
 ただ、今回の事件は、いろいろな問題に起因していると思うのです。
 山上徹也容疑者は、母親が世界平和統一家庭連合(以下、統一教会と表記)に入信し献金をしまくった結果、家庭が崩壊したことが原因で安倍元首相を殺害しようとしたと報道されています。
 安倍元首相は2021年9月に、統一教会関連組織の一つである「UPF」(天宙平和連合)にビデオメッセージを送って、文鮮明総裁の後継の総裁に対して「敬意を表します」と言ったりもしていました。
 それ以外にも、現役信徒(※1)が自民党の議員になったりもしています。
統一教会の代理人(弁護士)だった自民党の高村正彦さんは、統一協会の霊感商法の元締めと言われている「ハッピーワールド」という会社から高級車をプレゼントされていて(※2)、安倍政権時に防衛大臣やら自民党副総裁にも起用されています。

 この状況を見る限り政教分離はできていないと思うのですね。
日本国憲法には、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」とあるので、政教分離は定められていることのハズなのですが。

◆安倍さんの無念を晴らすには、カルト規制を
 日本では、宗教法人は「収益事業」以外は非課税です。
 まともなお寺や神社は日本の文化を支えています。
でも、神社仏閣の修繕費すら出せない状況です。
一方で、カルト宗教までも非課税なのはおかしい。まともな宗教とカルト宗教で扱いを変えるべきだと思います。

 容疑者の家庭が崩壊した統一教会の活動も、今まで弁護士が団体を作って抗議しているのに国は何も手を打っていませんでした。
なので、安倍元首相の無念を晴らすためにも、カルト宗教が日本人を喰い物にしているのを止めるべきだと思うのですね。

<編集部注> ※1:議員自身は「信徒でなく賛同会員」と主張 ※2:高村氏は1980年代に2つの訴訟で統一教会側の弁護人をつとめたが、「今は教会と関係ない」と何度かメディアにコメントしている

弱者に冷たい社会への復讐、という面も?
 そして、今回は宗教が原因でしたが、そのほかの社会的な問題を含めて、僕が「無敵の人」(失うものが無いために罪を犯すことに躊躇がない人)と呼ぶ人たちが生まれてこないような状況を作らないといけないと思うのです。
 山上容疑者は就職氷河期世代でした。
人材派遣会社に所属した後に無職だった彼が、弱者に対する配慮が少ない社会を攻撃しようと考えた、的な部分もあると思うのです。
母親が宗教にハマって家庭が崩壊したとしても、容疑者が幸せであれば、この事件は起きなかった可能性もあります。
 だから、金も人のつながりもなく、社会から疎外されていると感じる人への対処がそろそろ必要な気がしているのです。

 現状の社会は、お金を稼ぐスキルのない人は、社会に参加することが難しい状況になっています。
社会としてできることがあるとしたら、地域の清掃や整備、部活動の手伝いや勉強の補助などを広く住民から募集して多少の手当を支払うなど、お金を稼ぐほどのスキルがなくても社会に貢献して人間関係が作れるような仕組みを作っていくことが大事な気がしています。

◆アベノミクスの間違いを認めよう
 安倍元首相は金融緩和を実行しました。
TPPなど太平洋圏での国家間での協力態勢をとれたのはよかった。
 でも、金融緩和による円安は一部の輸出産業にメリットがあるだけで、日本全体としてイノベーションが起きる環境にはなりませんでした。
それは未来を考えて新しいことを推進していくよりも今が良ければいいという、安倍政権以前からの動きでもあるとは思います。
消費税を上げたのも失敗だったと思いますし、アベノミクスが間違いだったというのが認められない状況を作り続けているのはよくないと思います。
 とはいえ、結局日本は何も変わらない気がしますが……。 <文/ひろゆき>
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2022年07月24日

安倍元首相の「国葬」は“世界標準”からもズレている 海外では疑惑を残した人物は対象外の例

安倍元首相の「国葬」は“世界標準”からもズレている 海外では疑惑を残した人物は対象外の例
2022/07/23  日刊ゲンダイ

 9月27日に日本武道館で──安倍元首相の「国葬」が22日、閣議決定されたが、市民団体が差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てるなど、異論反論は少なくない。

海外の国葬に目を向けると、ますます「いかがなものか」と思えてくる。
 米国では当然ながら、大統領経験者は国葬になるが、1972年に起きた「ウォーターゲート事件」で74年に米国史上初の大統領辞任に追い込まれたリチャード・ニクソン(13〜94年)は、本人の遺志などもあって国葬は行われなかった。
 ニクソンも対ソ、対中など外交に関する評価は高いものの、疑惑を残したままの人物は対象から外れるようだ。

 国家のリーダー以外でも、国民的かつ世界的な“カリスマ”が国葬になることもある。
 中南米ジャマイカではレゲエ歌手のボブ・マーリー(45〜81年)、ブラジルではF1レーサーのアイルトン・セナ(60〜94年)の国葬が行われているが、2人とも世界的に知られた“神様”クラスの人気者。
他国民でも納得だろう。

「そういう意味では、安倍元首相の訃報も世界中で報じられましたが、それは銃撃事件があまりに衝撃的だったからです。基本的に国葬は国家元首か、それと並ぶほどの国民に対する功労者というのが“世界標準”ですね」(ジャーナリストの堀田佳男氏)
 たとえば英国では王室関係者はもちろんだが、第2次世界大戦時に首相を務めたウィンストン・チャーチル(1874〜1965年)も国葬だった。
「ただ、英国初の女性首相で『鉄の女』とも呼ばれたマーガレット・サッチャー(1925〜2013年)でさえ、国葬に準じる扱いでした。
葬儀費用の推計1000万ポンド(約16億6000万円)が公費で賄われることに反発した国民も大勢いたんです」(在英ジャーナリスト)

 その一方で「近代看護教育 の母」と称される英国のフローレンス・ナイチンゲール(1820〜1910年)のように、国葬を打診されても遺族の要望で辞退したケースも。
そういう選択だってあるわけだ。

「モリカケ桜」に加えて旧統一教会との関係など、多くの疑惑を残したままの元首相が“世界標準”に当てはまるかといえば、やはり「いかがなものか」だ。
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2022年07月25日

「老化の進み具合」はなぜ人によって違うのか

「老化の進み具合」はなぜ人によって違うのか
「現役時代の年収」と元気な老後との関連性
山田 悠史 : 米国老年医学・内科専門医
2022/07/23 東洋経済オンライン

全米最大規模の老年医学科を擁するNYのマウントサイナイ医科大学病院で、日々高齢者診療にあたる米国老年医学専門医、山田悠史氏。
この高齢化社会において人々が切望する“健康で自立した老後”を叶える方法を、最新のエビデンスから解き明かした『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』を上梓した山田氏が、人によって老化の早さが異なる理由を、遺伝、生活習慣、経済状況などさまざまな角度から検証する。

双子の寿命は近い?
「老化の進み具合や寿命は遺伝によるところが大きい」と考えていらっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、過去の研究が教えてくれることは、それとは真逆です。
例えば、遺伝子を同じくした双子について検討したこんな研究があります。
デンマークの研究者たちは、長生きに遺伝子の情報がどれほど影響するかを調べるために、一卵性双生児や二卵性双生児で、それぞれ寿命がどのぐらい近いものになるかを調べることにしました。

一卵性双生児というのは、1つの卵子に1つの精子が受精したあと、その受精卵が2つに分かれて生まれた双子のことです。
一方、二卵性双生児は、2つの卵子にそれぞれ別の精子が受精して生まれた双子を指します。

前者ではほぼ100%同じ遺伝情報を持った双子が生まれますが、後者では、平均的に50%ほどしか遺伝情報は共通しません。
つまり、もし遺伝情報で寿命が決まるのであれば、二卵性双生児の互いの寿命よりも一卵性双生児の互いの寿命のほうがより近づいていくという仮説を立てることが可能です。
この研究では、60歳未満の時点では、寿命はほとんど遺伝子の影響を受けませんでした。
しかし、寿命が60歳を超えると、一卵性双生児の互いの寿命がより近づいていく様子が観察されました。
双子の一方の寿命が1歳延びるごとに、二卵性双生児ではもう一方の寿命が平均0.21歳ほど延びることがわかりました。
一卵性双生児では、平均0.39歳延びていました。
この結果から、遺伝情報は寿命に影響を及ぼしていると考えることができます。
ただ一方で、遺伝子情報が似通った双子であっても、そこまで寿命が一致するわけでもないということもおわかりいただけるのではないでしょうか。

実際、寿命を決めるもののうち、25%ほどが両親からもらった遺伝情報に左右されると試算されました。

ライフスタイルが遺伝子に与える影響
25%が遺伝情報によって規定されるとしたらその部分は自分の力では変えられないものの、逆に、残りの75%については自分の手で変えられる可能性があるとも言えます。
だからこそ、「どのように生きるか」は将来の自分にとってとても大切なことなのです。
一方、遺伝子の重要性は、より長寿になった場合にはより大きくなるようで、特に、女性より男性で大きいかもしれないことが知られています。

アメリカでのある研究では、100歳まで生きた人の男性の兄弟は、一般の人と比較して100歳まで生きる確率が17倍高いのに対し、女性の兄弟では8倍だったことを報告しています。
逆に言えば、女性ではより、ライフスタイルの影響を受けやすいのかもしれません。

また、「遺伝子」とは言っても、生活環境が遺伝子にも影響を及ぼしているということを示唆した研究もあります。
イタリアの研究で、100歳まで生きる人の女性と男性の比率を検討した報告では、サルデーニャ島では性別の比率が2:1であったのに対して、北イタリアの都市マントバでは7:1と、性別の比率だけでも地域によってかなりばらつきがあり、住んでいる地域で大きく差があることから、遺伝子と生活環境の間に何らかの相互的な作用があるのではないかと考えられました。
また、日本の沖縄は世界で最も100歳を迎える人が多い地域の1つですが、沖縄の長寿の理由の1つは、最適な栄養によるものという見解があり、これが遺伝的な要素にも影響を与えているかもしれないと考えられています。

このように、ライフスタイルと遺伝子もまた、密接に関連しているのかもしれません。
私の患者さんに、90歳を超えてニューヨーク市内の大学で教鞭をとる方がいます。
いつも1人で病院に足を運ばれ、「来週の授業の準備で忙しいのよ」と笑顔で話をしてくれます。
この患者さんには目立った大きな病気もなく、大学で、バリバリ現役で授業をされていることからもおわかりになると思いますが、認知症もありません。
それでも何か見落としがあるかもしれないと、認知症の検査をしてみると、間違いは1問もなく、満点をとられました。
90歳を超えた方に認知症の検査を行い、満点をとるのを見るのはそれが初めてでした。

私はすかさずこう伺いました。
「長生きや健康の秘訣はなんですか?」 すると、患者さんは照れ笑いのような表情を浮かべながら、一度は「特に何もないわよ」と即答したものの、その後、少し考えるようなそぶりを見せました。
そして、少し間をおいて、こんなふうに答えてくれました。
「まあ、好きなもの、夢中になれるものがあるってことかもしれないわね」
老化には個人差がある 老化には個人差が大きいことが知られています。
そしてそれは何より、私たちの生き方が大きく異なることに由来しています。

では、この老化の早さの「違い」を生み出すものは何なのでしょうか。
その答えの一端を教えてくれる、アメリカでのこんな研究があります。
この研究では、アメリカで中央値85歳の1677人の参加者を14年間観察し、加齢に伴う身体機能や認知機能の変化を追跡しました。
高齢な人を多く含んだ試験でしたが、参加者の約5割、891人が機能を維持できていました。
この機能を維持した人たちの特徴を見てみると、予想どおりといえば予想どおりかもしれませんが、持病が少ない人、「血管危険因子」が少ない人という共通点がありました。

ここで言う「血管危険因子」というのは、脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満といったものです。
これらのいわゆる生活習慣病には、いずれも「自覚症状を感じにくい」という共通点があり、「体調が悪いわけではないのになぜ治療をするのかわからない」と言われてしまうことも多いものですが、実はこんなふうに老化に関わってくるのです。
こうしたことから、生活習慣病を予防し、適切に治療をすることが、「老化を遅くする」ことにつながる可能性が高いということが見えてきます。

それはすなわち、健康な食事の選択であったり、運動習慣であったり、禁煙であったりといったことです。

経済状況が老化に影響を及ぼす
さらに、イギリスでも同様の研究が行われています。
この研究では、約6000人を17年にわたり追跡調査。重大な病気もなく、身体機能も認知機能も維持された状態を「成功した加齢」とし、どんな人々が“加齢において成功”できたのかを調べました。
すると、最も影響が大きかったのは、30代から50代にかけての経済状況でした。
当時、経済状況のよかった人ほど「成功した加齢」と関連をしていたのです。
この研究では、年収約100万円の人から約2500万円の人までが調査されましたが、年収がいちばん低いグループと年収がいちばん高いグループでは大きな差が見られていました。

また、経済状況以外の因子では、喫煙なし、健康的な食事、運動のほか、女性では程よい量の飲酒(ビールで1日350mlまで)、男性では職場での上司や同僚からのサポートが「成功した加齢」と関連していました。
社会的、経済的な地位と健康との関連性はほかにも今までさまざまな研究で指摘されてきています。
経済状況がよければ、生活水準も改善され、医療にアクセスしやすくなること、また健康的な生活習慣を取り入れやすい傾向となることも報告されています。
こうしたことが積み重なり、老化の進み具合と密接に関連しているのかもしれません。
30代から50代は、大きな病気がない人が多く、体調の変化にも気づきにくい年代かもしれませんが、このときの蓄積が、実は老後の健康に大きな影響を与えている可能性があると考えられます。

「体調は悪くない」「症状もない」という直感はあまり当てにならないかもしれず、やはりこの年代から自覚するしないに関わらず健康的な習慣を身につけておくことが大切で、それが将来の自分を助けることにつながると考えられます。
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眉毛整えもブラジャー着用も禁止 理不尽校則、子どもを管理対象とみなす日本の危険性

眉毛整えもブラジャー着用も禁止 理不尽校則、
子どもを管理対象とみなす日本の危険性
7/23(土)  GLOBE+

先日、福岡県久留米市の公立中学校が「眉毛を整えていた」という理由から女子生徒に対して3日間の別室登校を課したことが発覚し、市議会で「行き過ぎた指導ではないか」と問題になりました。
同じ女子生徒が、ある日ポニーテールをして登校したところ、先生から「はねた髪の毛が後ろの人の目に入る危険がある」と髪形についても注意を受けたといいます。

今春には、都立高校の話ではありますが「新年度から下着の色の指定や頭髪に関する校則が撤廃される」というニュースが話題になったばかりで、筆者は「日本の学校も少しずつ多様になっていくのだな」と思っていましたが、そうとは言い切れないようです。
なぜ日本では長年にわたり理不尽な校則が問題視され、定期的に話題になっているにもかかわらず、全面的な見直しについて一進一退なのでしょうか。

在日外国人らに衝撃 最高裁「頭髪指導に違法性なし」の判断
理不尽な校則は、地域を問わず日本全国で見られます。
大阪ではかつて府立高校に通っていた女性が「地毛の茶髪を黒く染めるよう強く指導されたことが原因で不登校になった」として、大阪府に損害賠償を求める裁判を起こしていました。
一審で、大阪地方裁判所は、女子生徒の机の教室からの撤去、座席表や名簿からの氏名の削除といった学校側の対応は許されないとし、府に対して慰謝料など30万円あまりの支払いを命じたものの、指導自体に関しては「学校の裁量の範囲内であり、頭髪指導が違法だとは言えない」と判断しています。
二審の大阪高等裁判所も同じ判断であったため、女性側は上告をしていましたが、最高裁(菅野博之裁判長)は今年6月15日付で「学校側の黒染め校則や指導に違法性はない」とし、元生徒側の上告を退けました。
この高校はかつて、原告の女子生徒の代理人弁護士に対して「たとえ金髪の外国人留学生でも規則で黒染めさせることになる」と説明しており、日本に住む外国人や外国にルーツのある人から「あまりにも差別的」と非難の声が上がっていました。 今回、最高裁が学校の黒染め指導について違法性はないと判断したことで、司法までもが多様性に否定的だということが明らかになり在日外国人の間で動揺が広がっています。

「小学生らしさ」「中学生らしさ」とは?
昨年、ある小学校の「体操着の下に(ブラジャーも含む)肌着を着てはいけない」というルールが理不尽だとメディアで話題になりました。
小学生が肌着をつけることに反対する理由として「運動時の皮膚の鍛錬」「汗でぬれた下着を着たままだと風邪をひく」という声があります。
しかし、成人した女性に対して、たとえその女性が身体を動かす必要のある仕事に就き、汗をかくことが想定されていても、「風邪をひくからブラジャーをつけるのは禁止」といったルールが課されることはありません。
もしそのようなルールがあったら、セクハラだと言われてしまうことでしょう。

では、なぜ大人の女性に対して課さないルールを、女児に課しているのでしょうか。
そこには「小学生の女の子なら、身体がそこまで発育していないはず」「小学生ならブラジャーなど必要ではないはず」といった、ルールを作る大人側の「子供とはこうあるべきだ」という思い込みがあるとみてよいでしょう。

小学生であっても胸の発育した子はいますし、ブラジャーが必要な子もいます。
そういったことを考慮せずに「子供にはこうあってほしい」「子供には子供らしくあってほしい」「だから子供にブラジャーはそぐわない」というような大人側の願望がこのルールからは見て取れるのです。
ルールを作った側に「間違った前提」があったといえるでしょう。

眉毛に関する校則についても、「眉毛を整えるのは中学生らしくない」という考えに基づいてルールを作ったのだと想像します。
しかし、相手に「らしさ」を求めることで幸せになる人はいません。 「女性だから女性らしくふるまうべき」「男性だから男性らしくふるまうべき」…そういったことが近年「時代遅れ」だと見なされ見直しが行われつつあるのに、なぜ学校現場では子供に対して昔ながらの「小学生らしさ」「中学生らしさ」を求め続けるのでしょうか。

校則がないドイツの学校
ドイツでは外国籍の子供にも就学の義務があるなど、就学に関する規定が厳しく、病気を除いて「学校に通わない」という選択肢はありません。
不登校になった子供についても、学校が医師からの診断書を求めるなど、大変厳しいものとなっています。
その一方で、ドイツの学校には日本の学校でいう「校則」は存在しません。
基本的に髪形も服装も自由です。

筆者が10代のころ、ひざに穴が開いているジーンズがはやっており、多くの同級生が穴だらけのジーンズで授業を受けていました。
アクセサリーも自由で、同級生の耳元には大ぶりのイヤリングが揺れていました。
今思い返してみても、生徒が自由な格好をしていたことが勉強に支障をきたしていたとは思いません。
前述のように、ドイツでは「学校に通うこと」は重視されますが、「学校でどんな格好をしているか」については基本的に自由です。

教育関係者も含むドイツの大人の中に「子供といえども、人間には好きな格好をする自由がある」という共通認識があるからです。
日本では一部の教育関係者の「子供は管理をしなければいけないもの」という認識が目立ちます。

「自由を奪う」以外にもある 校則の重大な弊害
校則には「子供の自由が奪われる」ということ以外にも弊害があると筆者は考えます。
たとえばブラジャーの色を規定する校則があると、先生はそれに違反した生徒を指導するわけです。
長年の学校生活のなかで「下着などの女性のもっともパーソナルなことについて、他人が言及しても仕方ない」と子供たちに思わせてしまうことは大きな問題です。
世界経済フォーラム(WEF)による今年の「男女格差(ジェンダーギャップ)報告書」で、日本は146カ国中116位でした。 日本で女性の地位が低いのは明らかです。

そんな状況を変えるためには、生徒(特に女子生徒)が将来社会に出たとき積極的に様々なことに取り組めるように学校で子供に自信をつけさせることが大事であり、細かい校則で生徒を縛り付けるのは根本的に間違っていると言わざるを得ません。
(サンドラ・ヘフェリン=コラムニスト)
朝日新聞社
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2022年07月26日

「学校での半裸健診、早くやめるべき」医師盗撮逮捕で教員から怒りの声

「学校での半裸健診、早くやめるべき」医師盗撮逮捕で教員から怒りの声
7/25(月) 京都新聞  

「盗撮は最悪の事態で許せない。
京都市立学校で行われている半裸健診も、とにかく早くやめるべき」。
岡山市内の中学校の定期健康診断で下着姿の生徒を盗撮していたとして医師が京都府警に逮捕された事件を受け、京都市立中のある教員が京都新聞社に怒りの声を寄せた。

京都新聞社は2020年、一部の自治体や学校の健診で、児童生徒に上半身裸にさせていることに対する保護者の疑問や校医の見解を報じたが、いまだに健診を巡る不安の声は絶えない。
今回は、現場の教員の声や専門家の意見から、安心安全な健診の在り方についてあらためて考えたい。

■中学での一律脱衣健診は少数派
 京都市教育委員会は、学校の定期健診時に児童生徒の上半身を脱衣させるよう、市立の全ての幼小中高校と総合支援学校に通知している。
市学校医会と協議した結果といい、脱衣の理由を「見逃しのない診察をするため」と説明する。
 一方、京都市を除く京都府内では、脱衣をさせない学校も一定ある。
府医師会が京都市を除く府内全公立小中学校を対象に行った2018年度アンケートによると、背骨のゆがみを診る検査を男女とも上半身脱衣で実施したのは小学校で70・9%。
だが生徒の心身が大きく変化する中学校では32・1%にとどまる。

他の政令指定都市でも、一律に脱衣で健診を行っている自治体は少数だ。
 京都新聞社に声を寄せた教員は訴える。
「思春期の生徒が半裸を強制される気持ちの悪い独自ルールに、生徒からは毎回助けを求められ、保護者からは苦情が来る。ただ教育委員会が方針を変えないため『決まりなので』と返すしかない。
私たちは生徒の心を守ってやれないのでしょうか」

 この教員は以前から「半裸健診」を問題視し、養護教諭に相談してきた。
だが現状は変わらず、管理職や養護教諭から「生徒から反対意見が出ても教師は同調したり共感したりしないように」と言われたという。
健診の在り方を疑問視する教員は他にもいるが、職場ではこの話題を持ち出してはいけない雰囲気で、声を上げづらいと漏らす。

 市立高教員も「裸を嫌がって生徒が逃げたり、脱がない生徒に校医が声を荒らげたりという話はこれまで何度も聞いた」と話す。
半裸にさせる必要性については「学校側は疾患を見逃さないためと言うが、効率よく健診を済ませたいというのが本音。
少なくとも私は必要性を理解していません」ときっぱり。

「会社の健診とか、大人には同じことやらないでしょう。子ども相手だったら無理強いが許されると思っているのか」と指摘した。

■学校の性被害防止に取り組むNPO法人代表 亀井明子さんに聞く
 「今回の盗撮事件を、逮捕された医師個人の問題で済ませるべきでない。
学校健診は昔から性的なトラブルを抱えやすい場だった」と指摘するのは、学校の性被害防止に取り組むNPO法人スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク(大阪府守口市)の亀井明子代表だ。

健診をめぐる課題と対策について、亀井代表に聞いた。
 -健診に関する相談は。 「毎年十数件寄せられる。
ある生徒は、かかりつけ医でもある校医に久しぶりに健診で会った時、胸に聴診器を当てられたタイミングで『大きくなったね』という声を掛けられ、非常に不安に思ったという。
触診に違和感を持ったという声も少なくない」

 「私は中学校教員だった20年以上前から健診での性被害に問題意識を持っていた。
『校医にいやらしい目で見られた』と打ち明ける生徒がいたり、特定の生徒だけ診察が長いのでは、という相談があったりした。
今でも裸で健診をさせている学校があるのは驚きだ」

 -生徒が健診の悩みを打ち明けると「自意識過剰だ」で済まされると聞く。
 「自意識過剰は性被害者によく向けられる言葉だが、私は二次加害だと考える。それによって被害の声を上げづらくなる」

 -今回の盗撮を、医師個人の資質の問題だと捉える意見もある。
 「それは違う。教員によるセクハラもそうだが、学校での性加害は、弱い立場にある生徒が、嫌でも断れないという力関係の中で起きている。
検診の脱衣も力関係の中で強制され、児童生徒と保護者の不安や、盗撮のような性被害のリスクにつながっている。

盗撮は職業や場所に関係なく起こる。
どこにどんな問題が潜んでいるか分からないという視点で、学校は健診の在り方を見直すべきだ」
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2022年07月27日

カルト集団も営業マンも手口は同じ…人の心を思い通りに動かす「チャルディーニ博士の6つの原理」とは

カルト集団も営業マンも手口は同じ…人の心を思い通りに動かす「チャルディーニ博士の6つの原理」とは
紀藤 正樹 弁護士
2022年07月26日 PRESIDENT Online

なぜカルトや霊感商法の被害が後を絶たないのか。カルト問題に取り組む弁護士の紀藤正樹さんは「社会心理学で著名なチャルディーニ博士の6つの原理を応用している。
とりわけ悪質なマインド・コントロールでは、強迫観念と依存心を煽り、健全な思考を奪ってしまう」という――。
※本稿は、紀藤正樹『決定版 マインド・コントロール』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■マインド・コントロールをされた人はどうなるのか
マインド・コントロールという問題に私が初めてぶつかったのは、1990年に弁護士になった直後でした。
大学時代に家庭教師をしていた女の子が統一教会に引っかかってしまったのです。
あんな素直な子をだますなんて、なぜなんだと思いました。

統一教会による霊感商法の被害者の救済を担当した経験から、とんでもない団体だということはわかっていましたが、統一教会信者を脱会させる試みは初めてでした。
これをきっかけに私は、マインド・コントロールについて詳細に調べはじめたのです。
幸いなことに彼女は、その後なんとか統一教会を脱会してくれました。

霊感商法の問題をあつかったときには知らなかったことも、次第にわかってきました。
ウソをつき、だましたり脅したりして金銭を奪う霊感商法は、明らかな不法行為で、ただの悪です。
ところが、マインド・コントロールされた信者の行為は、性格のよい素直な子が心底「よいことだ」と信じ込んでやっている悪なのです。
すると「悪いことだからやめなさい」といっても耳を貸しません。
「悪いことはダメだ」という当たり前の説得が通用しない世界がある。
このことに私は驚きましたが、驚いてばかりもいられません。

「あなたはそういうけど、もっと突き詰めて考えたら、理論的にはこうなるよ」とか「あなたがいったことは、文鮮明が話したことと矛盾するじゃないか」と、こちらも統一教会について深く勉強し、説得の仕方を試行錯誤しながら工夫していきました。
当時「マインド・コントロール」といってもほとんど誰も理解してくれず、この言葉を使うと奇異に見られたものです。
勉強しようにも日本語の参考文献は見あたりませんでした。
当時と比べると、多くの人がマインド・コントロールについて一定の理解を示す現在は、まさに隔世の感があります。

■カルト被害者を生み出す心理学的手法
アメリカの社会心理学者チャルディーニ博士が著した『影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか』(誠信書房)という、アメリカでは社会心理学の教科書にもなっている有名な本があります。
チャルディーニ博士の著作は、広告業界にも大きな影響を与えています。
私は、チャルディーニ博士に会って話をしたこともありますが、カルト被害の救済の問題にも非常に理解がある世界的な権威者の一人です。

チャルディーニ博士は、セールスマン、募金勧誘者、広告主といった“承諾誘導のプロ”の世界に潜入し観察。
彼らのテクニックや「YES」と応じる人間心理のメカニズムを解明しました。
そして、承諾誘導のプロが相手に「YES」といわせる手法は何千とあるが、その多くは6つの基本的なカテゴリーに分類できると述べています。
この6つの原理(ルール)は、人間の行動を導く基本的な心理学の原理に基づいており、彼らの手法にパワーを吹き込んでいるというのです。簡単に紹介しておきましょう。

■人の心を思い通りに動かす「6つの原理」
@返報性……「人から何らかの恩恵を受けたら、お返しをしなければならない」という原理。
生命保険のセールスマンは、花の種をくれて、ゴミ出しを手伝い、肩まで揉んでくれた。何かお返しをしなくてはと思ってお茶を出したが、まだ借りがある。彼が勧める保険に入れば、お返しができると考えてしまう。

Aコミットメントと一貫性……「自分が何かしたら、その後も以前にしたことと一貫し続けたい(一貫していると人から見られたい)」という原理。
お孫さんの学資保険に入ったあなたは、次に生命保険に入るときも、同じ会社の同じセールスマンにしようと思う。
別の保険会社に変えれば、あなたの前回の判断には問題があったことになってしまう。
「コミットメント」は訳しづらい言葉で、日本語では「(責任をともなう)約束」といった意味だが、一貫性とあいまって、人は自分で決めたことや約束したことは、後から変更することが非常に難しくなる。
マインド・コントロールは、他者からの働きかけによって、本人に一つ一つの決断を迫っていくものだが、このコミットメントと一貫性とあいまって、次第に引き返すことが困難となる。

B社会的証明……「人は、他人が何を正しいと考えるかに基づいて、物事が正しいかどうかを判断する」という原理。
生命保険のセールスマンは「近所の○○さんも入ってくれました」といった。
○○さんは保険の専門家でもないのに、あなたは「それならば」と思ったはず。

C好意……「人は、自分が好意を抱いている人からの頼みを受け入れやすい」という原理。
あなたが大切にしている花を誉めたセールスマンを、あなたは「悪くない人だ。自分と趣味が合う」と思うことになる。
肩を揉んでくれたときは、好意を感じる。
自分が好いている人の頼み事なら聞いて当然だ、と考える。

D権威……「人は権威に弱く、権威者の命令や指示には深く考えずに従いがちである」という原理。
セールスマンが勧めるパンフレットには、有名なベテラン俳優の顔写真が掲載されている。
その会社はテレビCMの放映もたくさんしており、株価も高い。これらはすべて会社の権威性を高める。
権威ある人が、権威ある会社の生命保険を勧めているのだ。安心して加入できる、と考えてしまう。

E希少性……「あるものが手に入りにくくなればなるほど、それを得る機会が貴重と思えてくる」という原理。
生命保険のセールスマンは、「キャンペーンがあと5日で終わってしまう」といった。このチャンスを逃す手はないだろう。急いで手続きをしなければ、自分は損をしてしまう。
デパートのバーゲンやタイムセール、通販番組などで、多くの人が体験する。

■有能なセールスマンも使っている
チャルディーニ博士は、このように影響力の武器となる心理的な原理原則を6つにまとめました。

なお博士は、6つの原理の中に「物欲の原理」、つまり人は選択をする際にできるだけ少ない支出で多くを得ようとする、という原理を「当たり前の動機、いうに及ばぬ要因」として含めなかったと述べています。
これ以外にも、実は有能なセールスマンは、同じ本に出てくる「拒否したら譲歩」テクニック(拒否される前提で大きな要求を出し、拒否されたとき譲歩して小さな要求を出せば、受け入れられやすい)や、「知覚のコントラスト」と呼ばれる原理(高価なものを見せた直後に安価なものを見せると、実際以上により安いと感じる)を使っています。

賢明な読者は、もうお気づきですね。
前者は、洋服店に入ると、高価な洋服までは買えないけれど小物をいつも買わされてしまうといった場合に、後者は不動産や自動車のセールスで高いものから客に見せていくと、普通に高いものが安く見えてしまうという手法として、よく使われているテクニックです。

■カルト団体の勧誘とテレビCMの類似点
テレビCMでは「いまから10分間だけ電話受付」「限定300セット」、インターネット通販サイトでは「在庫一掃大幅値下げ」「あと13個!」「タイムセールは深夜0時まで」「ここだけ・いまだけの訳あり商品」といった惹句が氾濫しています。 いずれも希少性の原理です。

「箱つぶれで店頭販売できません。訳あり商品が、あと13個!」なんていわれると、なくても困らない商品を、売り切れないうちに買おうとついつい思いがちですが、世の中そう甘くありません。
業者がわざと箱をつぶしたのかもしれません。 普通の会社でも、そのくらいやります。
マインド・コントロールを仕掛ける霊能師やカルト的な団体が、もっと巧妙に心理誘導テクニックを駆使するのは当然でしょう。
そのマニュアルが作成されていることも珍しくありません。

あなたに近づく親切そうな人が、カルト的な団体や自己啓発グループの一員とは、最初はまったく気づかないはずです。
彼らが霊感商法で何かを売りつけるときは、インターネット業者と同じように希少性の原理を使います。
たとえば、あまり誘われるので道場と呼ばれる場所に顔を出してみたら、「いま、たまたま有名な××先生が見えている。10分だけなら話を聞いてくれるそうです。今日を逃すと、次はいついらっしゃるかわからない。ご病気のこと、ちょっと相談してみたらいかがですか」と霊能師に引き合わせる。
これが希少性の原理です。

■「6つの原理」が効く条件
もっとも、カルト的な集団のマインド・コントロールでよく使われる影響力の武器は、すべての人に100%適用できるとは限りません。
10人中7〜8人は同じ方法でいけるというように、有効なことは確かですが、違うやり方をしたほうが効果的な人もいます。 最初は相手に耳あたりのよい話題を持ち出すのが基本ですが、人によっては、相手が嫌がる話題や悪い話をガツンとぶつけ、追い詰めてしまったほうがよい場合もあります。
最初から頭ごなしに「あんたの生き方は全然ダメだ! いったい何をやっているんだ!」と怒鳴りつけたら、かえって強く信頼される場合もあるというわけです。

つまりマインド・コントロールには、もともと対人カウンセリング的な要素があり、相手によってやり方が異なります。
逆にいうと、マインド・コントロールに長けた人物は、この相手にはどのやり方が効くかをいち早く見抜く力があるのです。 ですから、マインド・コントロールの被害者がどんなマインド・コントロールのテクニックを用いられたのかは、最終的には本人に聞いてみなければわかりません。
どの手法が使われるかは、被害者の性格によっても、また被害者の考え方や気分の浮き沈みによっても異なります。
相手の状態と使った手法がうまくマッチしたときは、マインド・コントロールがどんどん深まってしまいます。

■カルト集団から抜けられなくなる根本原因
問題のあるマインド・コントロールを駆使されたときに生じる典型的な感情は、「強迫観念」と「依存心」です。
先ほど紹介した心理的テクニックの結果、詐欺同然の買い物をさせられてしまうだけの人もいれば、さらに進んでカルト的な集団にはまって抜け出せなくなってしまう人もいます。
両者を分けるポイントは強迫観念と依存心だ、ともいえるでしょう。

強迫観念は、マインド・コントロールを、「心理的委縮」でなく「行動原理」につなげるために、なくてはならないものです。
たとえば熱心な教育ママの子は「勉強しなければ。いい大学に入らなければ」が強迫観念になります。
読者のなかにも「いい大学へ入らなければ、父さんのようになっちゃうよ。 ずっと安月給でいいの?」なんて四六時中お子さんにいっているお母さんは、いませんか。

ほどほどにしてほしいと思いますが、人間というものは、ある程度の強迫観念的な考えがなければ、行動を持続させるのが、なかなか難しいことも事実です。
勉強でも仕事でもスポーツでもそうで、ただ楽観的なだけではうまくいかないでしょう。
試験に落ちたらどうしよう、係長になれなかったらどうしよう、県の選抜選手に選ばれなかったらどうしようといった不安な思いは、人を努力させるエンジンのような働きをします。
だから、強迫観念的な考えを、一概に不健全と決めつけることはできません。

■わざわざ悩み事をつくり、不安や恐怖を煽る
病的な強迫観念はまた別です。不合理で意味のないような観念に悩まされ、それを振り払うため強迫行為と呼ばれる行動(たとえば繰り返し手を洗う、しきりと机上の物の位置を直すなど)を繰り返し、強迫性障害という精神疾患と診断される場合もあります。
そこまでいかないにせよ、カルト的な団体などのマインド・コントロールでは、相手に強迫的な観念を植えつけようとする例が頻繁に見られます。
正確にいうと、その人の強迫観念になりそうなものを見つけて、より強い強迫観念になるように仕向けます。
それが見つからないときは、外から植えつけるわけです。
たとえば「あなた、何か悩み事はないの?」「とくにありませんけど」「いや、それは問題よ。悩みがないということ自体が、人間としておかしいんじゃない?」と、悩み事のない人に、わざわざ悩み事をつくってしまいます。
そして、マインド・コントロールの手法を駆使して、その悩み事を大きく強くします。
その悩み事を相談し解決するには、私たちのグループに入ればいい、この人に帰依すればいいという方向に持っていくのです。
このプロセスで、悩みの原因は先祖の霊が取りついているからだ、このままでは結婚できない、必ず病気になってしまう、世界が破滅するときに救われないなど、根も葉もないようなことを吹き込んで不安感を煽ります。
強迫観念を植えつけて大きくし、不安や恐怖を煽ること。これは、問題のあるマインド・コントロールに見られる典型的なパターンなのです

■「強迫観念」と「依存心」で心を支配する
ある人の心の中で強迫観念が大きくなっていくと、マインド・コントロールする側は、それを打ち払って健全な自分を取り戻すには、占い師なり霊能師なり教祖なりに頼るしかない、という話を盛んに吹き込み、依存心を膨らめていきます。
教育ママでいえば「勉強しなければ、お父さんみたいになっちゃうよ」と子どもを煽って、「だから、ママの言う通りにしなければダメ。わかった?」と、子どもを自分に依存させるわけです。

こうして、自分以外の誰かに頼る依存心が膨らみ、自分でものを考えなくなっていきます。
これも問題のあるマインド・コントロールの典型的なパターンです

教育ママのケースであれば、いくら頑張ってみても、友だちや先輩に「おふくろさんなんて、適当にあしらっときゃいいんだ」などといわれた子どもが、依存心を振り払い、成長とともに自立していくのが普通でしょう。
マインド・コントロールする側は、そうならないように、依存心を何年も持続させることに力を注ぎます。
そのためには、子どもに“余計なこと”を吹き込んだ友だちや先輩のような存在を、できるだけ排除する必要があるでしょう。そこで、マインド・コントロールするときは、本人を両親や兄弟姉妹などの家族、あるいは友人から引き離すことが基本になります。 家族や友人と断絶させ、外部からの情報を遮断し、相談したり頼ったりできるのは霊能者や教団関係者だけという依存状況をつくってしまうのです。 「強迫観念」と「依存心」の二つは、いつもたいていセットになっています。これは問題のあるマインド・コントロールを見きわめる重要なポイントです。

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紀藤 正樹(きとう・まさき) 弁護士
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2022年07月28日

「これでもう迷わずに生きていけると思った」ごく普通の人がカルト宗教にハマる怖すぎる瞬間

「これでもう迷わずに生きていけると思った」ごく普通の人がカルト宗教にハマる怖すぎる瞬間
2022年07月27日 PRESIDENT Online

カルトを信じてしまう人には、どんな特徴があるのか。
かつて新宗教団体で熱心に活動をした経験があり、現在はカルトの脱会支援にも取り組んでいる玄照寺(真宗大谷派)の住職・瓜生崇さんは「入信者とそうでない人の間に明確な違いを見つけることは難しい。正しく生きたいと考える真面目な人なら、誰でも危険性がある」という――。
※本稿は、瓜生崇『なぜ人はカルトに惹かれるのか――脱会支援の現場から』(法蔵館)の一部を再編集したものです。

■人生の意義を考える「節目」は要注意
一般的にカルトへの入信は若年層ばかりがクローズアップされる傾向にあるが、実際のところは中高年層においても珍しくない。
では、カルトに入る時期に傾向はあるのだろうか。
大学に入学した新入生がカルトに入りやすいのは、それが人生の転機だからだ。
高校時代には一生懸命に受験勉強をし、努力の方向性が明確に定まっていた。
それがいざ大学に合格してしまうと、人生の目標を失いどうしていいのかわからなくなるのだ。
特に地方出身者で地元では秀才だったが、都会の名門大学に入ると周囲の優秀な学生に埋もれ、自分の存在の小ささに気づいて、何かの拠り所を見つけようとしてカルトに入ってしまう人も多い。

大学に落ちて志望校に行けなかったケースも、同様にその虚しさから自分の存在意義を求めるだろう。
私はそのパターンだった。
一方、熟年層ではどうなるだろうか。
これは女性については子育てが終わる五十代半ばから六十代くらい、男性については仕事が定年退職で終わる六十代半ば頃からが多いように見える。

今まで一生懸命に子育てや仕事をしていたときは、宗教に関心もなく見向きもしなかったのに、それが終わると急に空中に放り出されたような気持ちになり、人生の意義を問い始める。
そんなときに「人はなんのために生きているのか考えたことはありますか?」という勧誘やチラシに、ちょっと聞いてみようかという気持ちが生じてしまう。

一生懸命に生き抜いてきた人が、自分の人生は子供を育てるための人生だったのかとか、仕事をするためだけに生きてきたのだろうかとか、そういった虚しさを人生の節目で感じるのは当たり前のことである。
そんなときに人は旅行をしたりボランティアに打ち込んだり、趣味のサークルに入ったりして、何か別の「生きがい」を見つけることでその穴を埋めようとする。
しかし健康不安、親や友人の死といった出来事が重なり始めるのもこの年代であり、「生きがい」によっては埋められない、「死」へ向かう不安と空虚が生じてくる。
そんなときに勧誘を受けると、人は驚くほど自然に入信してしまったりするのだ。

■熟年層が入信するとやめさせにくい
熟年層は人生の様々な経験も積み、それなりに分別があると思われている年代でもあり、第三者がその信仰に介入することはかなり難しい。
相談が来るのは信者の配偶者や子供たちからが多いのだが、若者と違って学業を放棄したり出家したりということもなく、週に数回くらいの活動で普通に社会生活を送るので問題性も見出しにくい。
さらに教団側も安定した信者として長く教団を支えてほしいので、活動や献金で無理をさせて、部外者の介入を招くようなことはしないケースも多いのだ。

その上宗教活動が生活の中に入ることで、健康で活き活きとすることも少なくなく、相談者らも積極的にやめさせる理由が見出せないという悩みを持ったりする。
入信者本人も特に男性の場合はプライドが高く、周囲の忠告に全く耳を貸さないこともある。
ただ、活動が行きすぎると、退職金がほとんどなくなっていたり、活動の激しさと疲れから事故を起こしたり、夫婦どちらかの入信の場合は離婚に至るケースも見られる。
さらにこれらの熟年層が底支えすることで、教団は若者の勧誘をするための経済力を維持することができるので、頭の痛い問題であることに変わりはない。

■入信する人は心の中に教えを求める「核」がある
さて、入信する人に傾向はあるのだろうか。
カルトに勧誘されるのは、人生に何らかの矛盾や虚しさを感じているときだと書いたが、私がかつて所属していた親鸞会で勧誘していたときに先輩は、入信する人は心の中に教えを求める「核」のようなものがあり、それをつかんで本人の目の前に引きずり出すのが勧誘ということだと言っていた。
私にはそれがあったのだろう。
たくさんの人を勧誘してきたのだが、こんな人がどうして、というケースもあれば、いかにも入らなさそうな人が入ることもあった。
でも入った人は今振り返れば、やはり何らかの「核」を心の中に持っていたのだと思う。

■フィクションと現実が区別できない人たちなのか
小説家の村上春樹は、オウムに入っていった人は小説を熱心に読んだ経験がなく、それで現実とフィクションの区別がつかなかったのではないかと語っている。
オウム真理教に帰依した何人かの人々にインタビューしたとき、僕は彼ら全員にひとつ共通の質問をした。
「あなたは思春期に小説を熱心に読みましたか?」。
答えはだいたい決まっていた。ノーだ。
彼らのほとんどは小説に対して興味を持たなかったし、違和感さえ抱いているようだった。

人によっては哲学や宗教に深い興味を持っており、そのような種類の本を熱心に読んでいた。
アニメーションにのめり込んでいるものも多かった。
言い換えれば、彼らの心は主に形而上的思考と視覚的虚構とのあいだを行ったり来たりしていたということになるかもしれない(形而上的思考の視覚的虚構化、あるいはその逆)。

彼らは物語というものの成り立ちを十分に理解していなかったかもしれない。
ご存じのように、いくつもの異なった物語を通過してきた人間には、フィクションと実際の現実のあいだに引かれている一線を、自然に見つけだすことができる。
その上で「これは良い物語だ」「これはあまり良くない物語だ」と判断することができる。
しかしオウム真理教に惹かれた人々には、その大事な一線をうまくあぶりだすことができなかったようだ。(村上春樹「東京の地下のブラック・マジック」『村上春樹雑文集』新潮文庫)

これは、私の実感と違う。
私の場合はオウムの信者に接したことはほとんどなく、その後継団体のアレフの信者・元信者と、私がいた教団である親鸞会の話が中心になるが、彼らは小説を読まなかったどころか、平均的な人たちよりもずっと読んでいたと感じる。
アレフの場合は教団に入ると小説は読まなくなるのだが、親鸞会の場合は学生の拠点の本棚にはたくさんの小説があり、私自身先輩からよい小説を紹介されてむさぼるように読んだ。
そもそもオウムに入った人は、アニメやSFが好きな人が多かったと報道されていたが、そこからフィクションと現実との区別がつかなくなってしまったのではないか、という考察は、村上に限らず多くの識者によって語られてきた。

しかしアニメや哲学や宗教はダメで「ちゃんとした物語」ならいいと考えているのだろうか。
アレフの信者で村上春樹の作品が好きだった人だって、何人か思い出すことができるのに。

■カルトに国立大の理系男性が多かった理由
村上に限らず、カルトに入る人は人生の何らかの大事な経験が欠如しているのではないか、という見方をする人は多い。
これ以外にも家族関係に軋轢があった人が入る傾向があるのではないかとか、あるいは過去に反抗期がなかったのではないかという見方もある。
しかし様々な人に接すれば接するほど、そんなことは関係ないのではないかと思う。
信者一人ひとりを見れば「普通の人」との違いはどこかにあるだろうが、そもそも百パーセント普通の人間などこの世界には存在しない。

私自身は十数年この問題に取り組んできて、入信者とそうでない人の間に明確な違いを見つけることはできなかった。
かつてはカルトに入る人は国立大学の理系の男性が多いと言われ、その傾向を生む理由が様々に論じられたが、最近来る相談は私大の文系の女性が大半である。
あれは単に国立大学の理系の男性がたまたま多い時期があって、彼らが勧誘するから同じような人がたくさん入った、というだけだったのだろう。

■教えを求める心が目覚めると無視しては生きられない
私が感じた入信者の傾向というのはただ一つで、彼らは人間の根源的な救済や教えを求める「核」を持っているというだけだ。
そういう人が自ら求めて入っていくというのもあるし、カルトが勧誘の中で選んで、「目覚めさせる」こともあるだろうと思っている。
それは表面に出ている場合もあるし、本人すらも気づかないような、内心の深いところに隠されていることもあるだろう。

カルトに限らず宗教というのは、フィクションと現実の区別ではなく、そういう「核」をあぶ一度あぶり出されてしまうとそれを無視して生きることができない。
教団がインチキであったとしても、そこで気づかされた人生の根本問題は本物であったりする。
だからこそ、教団をやめて脱会者となっても、少なくない人が求道を続けるのだ。
私はそういう人たちをたくさん見てきた。

■オウム真理教・新実智光が最後まで謝罪しなかった理由
広瀬健一元死刑囚の手記『悔悟―オウム真理教元信徒広瀬健一の手記』が出版されている。
それを読んで驚いたのは、広瀬が、「ポア」(オウムでは人が悪業を積んで地獄に堕ちる前に、殺して転生させることを意味した。
オウムの犯した数々の殺人を、正当化する教理とされる)するという行為そのものが、「悪業」だと教えられていたと語っていたことだ。
ただし、私は決して軽い気持ちで事件に関与したわけではありませんでした。

救済とはいえ、「ポア」の行為そのものは、通常の殺人と同様に、悪業になるとされていたからです。
それまではカルマの浄化に努めてきたのですが、救済のためにカルマを増大させる行為をすることが「ヴァジラヤーナの救済」と意味付けられていたのです。(同書)

同じ元死刑囚の新実智光は広瀬と異なり最後まで遺族に謝罪をせず、自らの行為が救済であることを主張し続けたが、その中で「捨て石でも、捨て駒でも、地獄へ至ろうと決意したのです」(降幡賢一『オウム法廷〈12〉』)と語っているところがある。
他にも新実は、自分が地獄に堕ちる覚悟で救済をしたという発言を幾度かしているが、私はここに違和感を感じていた。
それは、悪業を犯す前に人間を「ポア」するという行為は、社会的には悪だが、オウムでは善行であり修行が進むと教えられたからこそ、彼らはできたのではないかと思っていたからだ。
なので新実の言う「地獄へ至ろう」という言葉の意味は宗教的なものではなく、法律に従って刑を受ける、という程度の意味での「地獄」だろうと私は思っていた。
ところがそうではなかった。

たとえ救済が目的であっても、殺人はオウムでもやはり「悪業」であった。
そんなの当たり前だと思うだろうか。私は切なくて仕方がなかった。
彼らはやはり本気だったのだと。
自分が救われたいから人を殺すというのではなく、たとえ自分が救われないとしても、人を救おうとしたんだと。

■「誰かを救いたい」という人たち
私は今まで何人ものアレフの脱会者や現役信者と面談してきた。
それらの人たちの入信の動機は、「誰かを救いたい」というものが多かった。
人の役に立ち、救っていけるような人間になりたいと思って大学に進学し、救いたくても救えないという自分に悩んで、そこからアレフに入った学生がいたことを思い出した。

彼女は笑顔で私に言った。
「私はやっと本当に人を救うことができる教えに出遇ったんです」と。
地下鉄サリン事件の実行犯である林郁夫は、もともと慶應義塾大学医学部出身の医師だったが、林のオウム入信の動機もまた、医学では人を根本的に救い切ることはできない、と気づいたことだった。

中川智正元死刑囚も障害者施設でボランティアをしていて、人の嫌がる仕事を率先して行う青年だったと言われている。
こうしたことを知るたびに、私自身がほんの少し早く生まれていたら、きっとオウムに入っていただろうという思いを強くする。
私も彼らと同じであった。

私は人間の存在の無意味さから救われたかったのだ。
救われたかったから人を救いたかった。
人を救うことで自らの存在に意味が与えられるからだ。
だが本当の意味で人を救い切ることができないと気づいたときに、オウムに入信した彼ら自身もまた、存在の無意味さから救われないという思いを持ったのではなかったか。

カルトと言ってもいろいろあり、霊感商法で高額な開運グッズを売りつけるような、最初からただの詐欺以外の何物でもないようなものもある。
しかしアレフをはじめとする、私が接してきた教団の元信者から感じるのは、たとえ教団や教祖がインチキであっても、それを求めた人の思いは本物だったのだろうということだ。
それだけでなく、あらゆる歴史上の宗教者が真実を求めて求道した思いと、彼らの思いはそう変わらないのではないかとすら思った。

■世の中は何が正しいかわからない
とある総合大学の新入生オリエンテーションで、カルト問題の講義をしていたときがある。
大きな大学で数百人が入れるような教室をいくつも回って話をするのだが、そのとき薬物依存症者を支援している先生とたまたま一緒になった。
お互いに二十五分くらいの持ち時間で、カルトと薬物依存の話を何度もしたあと、午前中の講義が終わって昼食の弁当を食べているときに、その先生が私にふとこんなことをもらされたのを覚えている。
「瓜生先生は、カルトの信者は真面目さゆえに正しさを求めて生きていて、正しさを提供してくれるカルトに依存するという話をされていましたよね」 「はい」 「わたしは、その気持ちがよくわかるんです。私も正しさを求めていたので」
「そうなんですか?」 「そうです。私はもともと新聞社で記者をしていたんです。しかし記者をするとわかるんですけど、世の中のことって一体どうするのが本当に正しいことなのかが、突きつめると一つもわからないんですよね」
「確かにそうですね」 「はい。それで私も、自分が間違いない正しい生き様をしたいという思いがありまして、薬物に依存している方は絶対的な弱者であるから、その人たちを助ける活動をするのは絶対的に正しいことではないかと思って、この活動をすることになったんです」
なので、正しさを求めてカルトに入る人のことは、よくわかるんだと言われるのである。
私たちは、正しさをつかみたい。
なぜなら、考えれば考えるほど人生で何が正しいのかがわからなくなるからだ。

■カルトはあなたに明確な答えを与える
人生は決断と後悔の連続だが、何が後悔のない選択であるのかは誰一人わからない。
別の道を歩んでいればと思うこともあるが、別の道を歩んだ結果を知ることもまたできない。
真っ暗な道を手探りで歩いているようなものだ。
そんなときに「正しさ」をつかみたい誘惑に私たちはとらわれる。
明確で白黒ハッキリした説明に惹かれる。
しかし人生で起こることはだいたい複雑に絡み合っていて、こうすれば必ずこうなる、という解決策が存在することは稀である。

その時々で必死に考えて試行錯誤しつつ、三歩進んで二歩戻るような歩みでしか現実は生きられない。
しかし、複雑なものを複雑なままに受け入れることほど苦しいことはない。
真面目な人ほど一度しかない人生に間違いのない真理や正義を見つけて、全力でそれに向かって進みたいという衝動を抑えることができない。

カルトは多くの場合、あなたが生きているのはこのためだ、という明確な答えを与える。
あなたの人生はこういう意味があるのだ、あなたの今まで生きてきたのはこの教えに遇うためだったのだ、そして、今後はここに向かって歩んだらいいのだ、と。
こうした疑問に答えを与えることで、その疑問に向き合う苦しみや迷いを消し去ってくれる。
「もう迷わなくていい」のだ。これを私は「真理への依存」とか「正しさへの依存」と名付けている。
しかし見かけ上消し去っているだけであって、解決しているわけではない。

「カルトの提供する答え」という目隠しをさせられているだけである。
なので脱会して信者が元信者となり、いわば目隠しを外されたときに、何一つ問題が解決してないことに気づいて、深刻な空虚感や虚脱感に苦しむケースは多いのだ。

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瓜生 崇(うりゅう・たかし)
真宗大谷派玄照寺住職
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2022年07月29日

数字に弱い人がダマされる「%」の罠【私たちの会社は東大卒が50%です】

数字に弱い人がダマされる「%」の罠
2022年07月28日 ダイヤモンドオンライン

【「5回勝負して4回勝つ人」と「100勝負して60回勝つ人」ビジネスで優秀なのはどっち?】の広告でも話題沸騰。
全国3000社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。

「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。
数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。

「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。
この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。

■目標の「%」に気をつける
 経営者やマネジャーは、部下やプレーヤーが行動に移せるような目標設定をする必要があります。
 たとえば、「契約率『50%』を目指す」というような目標を掲げたとしましょう。
 すると、どんなことが起こるでしょう。
 もし、10件中5件の契約が取れたとしたら、次の11件目に臨まなくなります。
「ヘタに次の契約が失敗したら、11分の5で、50%を切ってしまう……」  と考えて、チャレンジすることが不利益になってしまうからです。
 やらないほうがトクになってしまうのですが、こうなることは避けないといけません。

 そもそも、「%」は悪用されたり、誤解を与えることが多い概念です。
「うちの塾は、合格率90%以上です」
 → ただし、1人が複数校に合格しているものもカウントする
うちの会社は、利益が前年比1000%で成長しています」
 → ただし、昨年の利益は1万円だけで、今年も10万円しかない
「私たちの会社は、東大卒が50%です」  → ただし、2人のうち1人だけ
 など、計算の仕方によって印象を操作したいときに、「%」は便利です。

 それを理解した上で、ダマされないようにすべきです。
 そのための口グセとして、 「この%は、何分の何ですか?」  という確認が便利です。
 相手から説明されないときは、何かしら隠しておきたい「意図」があると思って間違いないでしょう。
 これは、「行動量」を確認する意味もあります。
分母が量を表しているからです。
ここでも心を鬼にして数字と向き合う必要がありますね。

■組織と個人が「ブレーキ」を踏むとき
 経営でも同じことが起こります。 「前年比」という基準があります。
 たとえば、昨年は10億円の売上があったとしましょう。
 そして、今年は「前年比105%の売上を達成すること」が目標になったとします。
 半年が経ち、予想よりも売上が順調にいき、12億円の売上が達成できそうな予測が立ったとします。
 すると、次のような誘惑が頭に浮かばないでしょうか。 「このままいけば、12億円の売上が達成できる。しかし、待てよ。来年も前年比105%の売上が目標になりそうだ。そうであれば、来年の目標達成が苦しくならないように、今年の売上は11億円くらいに抑えて余力を残そう」
 まさにこれが、「%」によって行動にブレーキを掛けてしまう瞬間です。

 調子がいいときに12億円の売上を達成したほうがいいに決まっているのに、翌年が大変になってしまうことを考えてしまって、11億円に抑えてしまう。本末転倒なことが起こるのです。
 このご時世、来年や再来年も、同じように成長するとは限りません。
 今の日本では、現状維持でさえ難しい企業も多い。
 それなのに、「前年比」という計算にとらわれてしまい、目の前の成長を止めてしまうのです。
 この誘惑は、個人でも組織でも、同様に起こりえます。
「このへんでセーブしておこう」 「余裕を残しておこう」  という判断は、すぐにクセになり、本気を出すことをしなくなります。

 余力というのは、次の事業や新しいスキルに投資して、さらに大きくリターンを得るときに使う言葉です。
 投資によって成長を生むための余力であって、節約のための余力ではありません。
 長期的な視点が必要なのを覚えておきましょう。
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2022年07月30日

「陰謀論の魔力」に感情を操られてしまいがちな訳

「陰謀論の魔力」に感情を操られてしまいがちな訳
「物語」そのものに内在する「副作用」とは何か
ベンジャミン・クリッツァー : 批評家
2022/07/29 東洋経済オンライン

陰謀論、フェイク・ニュースなど、SNSのような新しいテクノロジーが「ストーリー」を拡散させ、事実と作り話を区別することが困難になりつつある現代。
このたび、上梓された『ストーリーが世界を滅ぼす──物語があなたの脳を操作する』で、著者のジョナサン・ゴットシャル氏は、人間にとって大切な財産である「ストーリー」が最大の脅威でもあるのはなぜなのか、を明らかにしている。
同書を気鋭の批評家、ベンジャミン・クリッツァー氏がわたしたちの実践できる対処法とともに読み解く。

いまや誰もが「物語漬け」
わたしたちは「物語」が大好きだ。
配信技術と電子機器が発達したおかげで、漫画や小説などの書物だけでなく映画やアニメなどの映像までもがいつでも観られるようになった現代では、「物語のビッグバン」が起きている。

1年間に制作されて配信・販売されるフィクション作品の数は、数十年前のそれをはるかに上回っている。
出社している会社員ですら通勤中や昼休みにお気に入りのドラマをスマホで視聴することのできる時代だ。
いまや誰もが物語漬けになっている。

そして、わたしたちのほとんどは、この状況を悪く思っていない。
学問や批評の世界では「アメリカ資本で制作されたドラマが世界中に配信されることで欧米的な価値観のプロパガンダが行われている」という議論がなされたり「女性を性的に表現したアニメがはやることで現実の女性差別が悪化する」という批判がされたりすることもある。
だが、物語研究や文芸批評においても、物語が持つ価値やよさのほうが強調されることのほうが大半だ。
たとえば、少数人種やLGBTなどのマイノリティーが主要人物として登場するドラマを観ることは、それらの登場人物に対する共感を通じて、実際の社会に存在するマイノリティーに対する偏見や差別意識を是正する効果がある、という研究はよく知られている。

また、近頃の映画の多くは「政治的に正しい価値観」とは何であるかを観客に知らせる教材としての役割も担っている。
とくに若い人々は、学校の授業で教えられることよりも、物語のほうにずっと大きな影響を受けているだろう。
だが、その結果として身に付くのが人権を重んじて平等を大切にする進歩的な価値観であるのなら、物語に文句を付けるのは野暮なことであるかもしれない。

知らず知らずのうちにコントロールされる
しかし、哲学者のジョナサン・ゴットシャルは、物語があふれる現代の状況を危惧している。
物語をよいものと悪いものとに分けたうえで、「悪い物語」に含まれる問題を指摘する人は珍しくない。
ところが、ゴットシャルが論じるのは「物語」そのものに存在する問題である。

『ストーリーが世界を滅ぼす──物語があなたの脳を操作する』では、さまざまな物語が個人としてのわたしたちの思考や感情に影響を与えてわたしたちの行動や価値観を操作していること、そして民主主義や文明に対する脅威ともなっていることが、鮮やかに示されている。
本書における「ストーリー」の定義には、小説や映画などのフィクション作品に限定されない、多くの物事が含まれている。たとえば、バーで飲みながらおもしろいエピソードを友人に語ることも、アフリカの狩猟採集民族の長老が一族の子どもたちを集めて民話を語ることも、いずれもストーリーテリング(物語を語ること)だ。
また、事実に基づいたドキュメンタリーやニュース番組も、語り手が現実を構成するさまざまな要素を取捨選択したうえで筋道を付けて物語るものであるから、ストーリーの一種である。
わたしたちがSNSに投稿する140字にも満たない文書や1分もかからない動画のなかにも、ストーリーは含まれている。

本書でまず指摘されるのは、ストーリーテリングとはコミュニケーションの一種であるということだ。
そして、コミュニケーションの機能とは「他人の心に影響を与えること」である。
どんな物語であっても、それを受け取る人の考え方や感じ方、ひいては行動を特定の方向に誘導するという機能が含まれている。

ストーリーテリングがうまい人は、人の感情を操作する技術に長けているのだ。
逆に言えば、わたしたちが何らかの物語に惹かれるとき、わたしたちは知らず知らずのうちに他人によってコントロールされている。
だから、語り手に悪意があるとき、ストーリーはきわめて危険なものとなりうるのだ。
本書の前半で取り上げられるのは、現代の日本に生きるわたしたちには「悪い物語」であることが簡単に理解できるような問題だ。
反ユダヤ主義や白人至上主義、カルト宗教、地球平面説や疑似科学、「ヒト型爬虫類が人間社会を裏から支配している」という陰謀論、ロシアなどにより意図的に拡散されるフェイク・ニュースやディープ・フェイク、プロパガンダによって選挙戦を制したアメリカ元大統領、などなど。これらはいずれも政治や社会に深刻な悪影響を与えてポスト・トゥルースの風潮を巻き起こし、人々の生活や生命を実際に脅かしてもいる。 「悪い物語」は表面的には多様であるが、その筋書きはほとんど共通している。

これらのストーリーは、『現在の世界は多勢の「悪」によって支配されている』と人々に信じ込ませようとするのだ。
そして、もし自分が勇気を出して「悪」に刃向かい、抗議運動を起こしたり真実を布教したり「悪」に対して直接的な攻撃を仕掛けたりすれば、自分は「善」の側に立つことができる。
物語の中に入り込んだ人々は、現実世界で行動をしながらも、御伽噺の主人公であるかのような感覚を味わっているのだ。
さらに、いちど入り込んだ物語のなかから脱出することは困難である。

とはいえ、善と悪の対立を強調するのは「悪い物語」に限られたことではない。
むしろ、漫画や映画のような無害に思われるフィクション作品でも、善人が悪人に立ち向かうストーリーは定番のものだ。
物語は、特定の要素が入っていたり一定の形式で語られたりするときに、人々を惹き付けてコントロールする力を増す。

「誰かと別の誰かが争って、勝敗が決する」という「社会的対立」が含まれるストーリー、そして「善が勝利して悪が敗北する」という「道徳主義」に基づいたストーリーこそが、わたしたちが抗うのが最も難しい魅力的な物語であるのだ。

対抗するための最大の武器は「科学」
本書の後半で強調されるのは、ストーリーが拡散されて影響力を持つためには「善対悪」の二項対立を主軸とする単純なものにならざるをえないから、たとえ正しい意図に基づいた「よい物語」であってもストーリーは副作用を生じさせるという事態だ。
社会で起こっている問題についてストーリーを語ってしまうと、その時点で、問題を生じさせている原因や構造について客観的に理解して適切な対策を取ることからは遠のいてしまう。
ストーリーを受け取った人々は問題の背景に「悪人」を見出して、彼らを非難したり糾弾したりすることを、問題解決よりも優先してしまうからだ。
また、ドラマを観た視聴者は主人公たちと同じ属性の人に対する共感を増す一方で、悪役に配置された属性の人々に対する憎悪も募らせることになるだろう。

「悪い物語」であろうが「よい物語」であろうがストーリーが社会に悪影響を与えるのだとすれば、まず考えられる対策は、一切の物語を社会から放逐することである。
これこそが、古代ギリシアの哲学者プラトンがその著作『国家』のなかで主張したことだ。
当時のギリシアにおいては詩人がストーリーテラーの役割を担っていたが、理想国家に詩人が存在する余地はない、とプラトンは主張したのだ。
……もっとも、実際には、ストーリーテラーや物語をわたしたちの社会や人生から追放することはできない。
人間とは生来的に物語を希求する存在であり、物語を抜きにして人生を過ごすことは不可能だ。
だから、詩人を追い出したところで、別の誰かが物語を作成して、必然的に新たなストーリーテラーたちが登場することになる。
したがって、最終的にはプラトンも物語そのものを理想国家から追放することは諦めた。
その代わりに彼が提案したのは、理性を極めた哲人王が統制する国家によって、すべての物語が管理・独占されることであった。
このプラトンの理想は、現代の中国やロシアなどの権威主義的国家に受け継がれて、テクノロジーの力によって実行に移されているところである……という見方もできる。

もちろん、民主主義社会に生きるわたしたちは「国家による物語の支配」を支持したり許容したりするべきでない。
ストーリーの悪影響や副作用に対抗するために民主主義に残された最大の武器とは「科学」である。
自然科学にせよ人文科学にせよ、査読や自由な批判という手続きのうえに成り立つ学問的な営みは、どれだけ出来のいいストーリーであっても徹底的に検討したうえでそこに含まれる虚妄を白日の下にさらして、物事についての知識や問題への対処方法を冷静・中立・客観的に検討することを可能にしてくれる。

……ただし、学問が的確に機能するためには、学術界に携わる人々の間に多様な価値観や考え方が存在していることが必要とされる。
ゴットシャルが危惧しているのは、アカデミシャンがジェンダーや人種や性的指向などのアイデンティティーの問題をめぐるストーリーに影響を受けているために、誰もが同じようなイデオロギーを持ってしまい、学問が機能不全を起こして大衆からの信頼を失うことだ。

意見や判断の根拠をストーリーに置いてはいけない
最後に、個人としてのわたしたちが実践できる対処法を紹介しよう。それは、フィクション作品やドキュメンタリー番組などの物語を鑑賞しても、自分の意見や判断の根拠はストーリーに置かないことだ。
たとえばなにかの映画を観て社会問題に関心を抱くのは結構なことであるが、その問題について意見を主張する前に、(できれば学者によって書かれた)本を何冊か読んでおくべきである。
あるいは、たとえ物語に感動したとしても、「この感動は、ストーリーテラーが魅力的な物語を作成したことにより、自分の感情が意図的に操作された結果として起こったものであるのだな」とメタ的に認知する冷めた視点を忘れないようにしよう。

そうすれば、「悪い物語」に巻き込まれて自分や他人の人生を台無しにしてしまうことも、「よい物語」の副作用を受けてしまうことも予防できる。
結局のところすべてのストーリーが「感情」を操作するものであるとすれば、他人によって操作された感情を自分自身の「理性」によってさらにコントロールすることで、わたしたちは物語の魔力に対抗することができるのだ。
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2022年07月31日

1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常

1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常
初任者研修すら受けられず担任を持つ教員たち
佐藤明彦 : 教育ジャーナリスト
2022/07/30 東洋経済オンライン

公立学校では非正規雇用の教員が増え続けている。
その数は全国の公立学校で5〜6人に1人に上る。
教師という職業に、いったい何が起きているのか。
特集「『非正規化』する教師」の第6回は、初任者研修すら受けられずに教壇に立ち続けざるを得ない非正規教員の現実に迫る。

首都圏の公立小学校で非正規教員として働く香川隆二さん(仮名)は、教員1年目のときのことが忘れられない。
大学4年の時に教員採用試験を受けたが不合格となり、翌年は地元の小学校で臨時的任用教員(常勤講師)として働くことになった。
だが、その1年目は散々なものだった。
「2年生の学級担任になりましたが、何をやってもうまくいきませんでした。
日々の授業も、子どもたちへの指導も自己流、見よう見まねでやっていましたからね……。
すぐに学級崩壊に近い状態となって、教頭先生にもクラスに入ってもらいながら、何とか1年を乗り切りました」(香川さん)

小学校では常勤の非正規教員の大半が1年目から担任を持つ。
比較的落ち着いたクラスを受け持つケースが多いが、時に校内人事のなりゆきで難しいクラスを持たされることもある。

何の研修もないまま、教壇に立ち続ける
「非正規教員は、何の研修も施されないまま、教壇に立たされ続けます。
そんな仕組み自体に無理があるのではないでしょうか」と香川さんは振り返る。
結局この年はクラス運営で手一杯となり、教員採用試験の対策時間もろくに取れず、不合格となってしまった。
香川さんの学校にはもう一人、1年目の教員がいた。
同じ大卒だが正規採用、そのため「初任者研修」があり、校内でメンター役の教員から指導を受けたり、時に教育センターに出向いて講義を受けたりしていた。
「同じ1年目でも、職場での扱いがまったく違っていました。
向こうは大事に『育成』されているのに対し、こっちは完全に『放置』されている感じです。
当時は、『試験に合格できなかった自分が悪い』と思っていましたが、今思えば少し酷い扱いだと思います」(香川さん)

小学校の教員は、年間1000コマ近い授業を一人で受け持つ。
授業内容はどれ一つ同じではなく、すべての授業に入念な準備が必要となる。
30〜40人もの子どもたちを統率しながら、これら一つひとつの授業を成立させていくためには、高度な技能を要する。
だが、どの教員も大卒1年目から学級担任を任される。
考えてみれば無理のある話で、民間企業で言えば新入社員が一人で得意先を回るようなものだ。
だからせめてもということで、1年目に初任者研修が行われ、後追いでの「育成」が行われる。

初任者研修は、国が自治体に義務付けている法定研修で、校内で年間300時間、校外で25日間の研修が行われる。
内容は授業に関わることから服務に関することまで幅広く、教員として必要な知識やスキルをみっちりと叩き込まれる。「300時間+25日間」というボリュームを見ても、一人前の教師にするべく手厚く育てていこうという意図が感じられる。
ところが、同じ1年目でも非正規教員には初任者研修がない。
最近は、各自治体が独自に研修を実施しているケースもあるが、その内容は初任者研修とは比べ物にならないほど薄い。

放置された結果、1年も経たず辞めていく人も
この状況について、あるベテラン教員が次のように指摘する。
「研修も施さない人間を教壇に立たせること自体、公教育としての責任を果たせていない。
正規であろうと非正規であろうと、子どもたちを相手に授業をするという点では同じですからね」

また、別のある小学校の中堅教員は、「採用側に非正規教員を『育成しよう』という意識はありません。
放置された結果として、1年も経たずに辞めていく人も少なくありません」と話す。
一般的に1年以内の退職は職業的な「ミスマッチ」によって起こる。
だが、公立学校においてはこれが「放置」によって生じているとすれば、看過できない。

こうした状況を改善する方策の一つとして、常勤の非正規教員にも初任者研修を課し、後に正規教員になった際には免除するということが考えられる。
極めて合理的な仕組みで、公教育としての責任を果たすうえでも理にかなっている。
だが現状、そうした制度の導入は検討されていない。
なぜ、そうしないのか。前出の中堅小学校教員に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「そんなことするはずがありません。できが悪ければ切り捨てればいいと考えているわけですから。
非正規教員は、あくまで臨時的な穴埋め人員にすぎない。そんな人間にお金と手間をかけて研修を施すなんて考えは行政サイドにありません」

教員不足解消のためにも研修が必要
非正規で雇っている人に対する研修や教育は、その人を「見習い」と捉えるのか、「臨時的な穴埋め」と捉えるかによって変わってくる。
公立学校の場合、非正規教員の大半はいずれ正規教員になることを目指し、見習いとしての意識で働いている。
にもかかわらず、雇用する側が臨時的な穴埋めとしか捉えていないとすれば、両者の間には大きな意識の隔たりがあることとなる。
もちろん、1年目の非正規教員にも初任者研修を施すとなれば、相応のコストと人員が必要となる。
だが、実施すれば非正規教員の職務状況が改善され、離脱する人が減る可能性も大いにある。
現状の教員不足の解消という点でも検討すべき課題であろう。
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