安倍元首相が賛意を示した旧統一教会の「仰天教義」保守系支持者らはなぜダンマリ?
2022/07/15 日刊ゲンダイ
「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元首相がメッセージなどを送られたことはございます。
(統一教会教祖の)ハン・ハクチャ総裁が主導されている世界平和運動に対して、賛意を表明してくださっていた」
安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、11日に都内で会見を開いた「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)・日本教会会長の田中富広氏。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)の母親が教会員だと明らかにした上で、安倍元首相と旧統一教会の間につながりがあったことも認めた。
安倍氏が教祖に「賛意」まで表明していた統一教会の教義とは一体、どういうものなのか。
1978年6月1日の衆院地方行政委員会で、共産党 議員が教義である「原理講論」や関連書籍など読み上げている。
内容はこうだ。 「韓国語の原本によりますと(略)こういうことが書いてあるのです。有史以来、全世界にわたって発達してきた宗教と科学、即ち、精神文明と物質文明とは韓国を中心として、みな一つの真理のもとに吸収融合され、神が望まれる理想世界のものとして結実しなければならないのである(略)
人類の父母となられたイエスが韓国に再臨されることが事実であるならば、その方は間違いなく韓国語を使われるであろうから、韓国語はまさに祖国語となるであろう。
したがってすべての民族はこの祖国語を使用せざるをえなくなるであろう。こう言っているのです」
「男性韓国が、真理の国ということができるとすれば、女性日本は産業の国といえるのではなかろうか。
深遠な真理をもって語りかけてくる男性に、女性は何をもって返答をするであろうか。
婚姻の約束が成った後は、仲人を立て、調度品を将来の夫のもとに納める習いがあるではないか。
日本は、二十年間の驚異的な産業の発展を有している。
この産業・経済を男性韓国へ結納として収める歴史的必然性がある」
いやはや、どう見ても「曲解」としか思えない教えだが、これでは霊感商法被害者などが続出するのも無理はない。
改めて日本の元総理大臣が「賛意」を表明していたことに驚くが、不思議なのは、ふだんは「嫌韓」「反韓」を訴えている保守系から批判の声がほとんど出ていないことだ。
仮に、野党議員が今回の安倍氏のように「韓国が世界の中心」みたいな団体に「賛意」を示していたら、たちまち「売国奴」「恥を知れ」などと大騒ぎになっているだろう。
ネット上でも、〈京浜急行線の駅名案内がハングル文字というだけで怒り狂っていた右派の人はなぜ静かなの?〉、
〈世界の中心が韓国で、属国扱いの日本は女性もカネも差し出せという宗教法人に賛意を送った安倍さん。
韓国嫌いの支持者はどう思っているのだろうか〉といった声が出ており、
自民党などの保守系支持者らが声高に叫ぶ「愛国心」の“正体”が問われる事態となっている。