「無理して働く→体を壊す→金欠になる」年収250万円の会社員が貧乏ループを脱出した起死回生の一手
2022年08月06日 PRESIDENT Online
お金を貯めるには、どうすればいいのか。
YouTuberのミニマリストTakeru氏は「家計を健全化するには、モノを買わないことだ。まずは何かを“減らすこと”に目を向けるといい」という――。
※本稿は、ミニマリストTakeru『貯まらない生活はもうやめよう モノを手放すだけで増える「お金と幸せの法則」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■お金を稼ぐ努力で金欠になる悪循環
20代前半、私は会社員として3社を経験しました。
仕事の主な内容は学習塾の営業で、時折、小学生と中学生に学習指導もして、月収は約20万円。
年収は250万円ほどでした。
将来は自分の会社を立ち上げたいと意気込んでいた私にとって、すべてが大事な仕事だと張り切って臨みました。
しかし、営業という仕事は結果がすべて。
結果を出すために労働時間も長くなりがちで、毎日が疲労困憊(こんぱい)。
断られることが当たり前の世界なので、心もすり減っていきました。
もともと難病持ちだった私は体調をよく崩し、数カ月に1度は病院に通って、点滴や検査をしている状態でした。
しかも、自炊をする余裕はなく、寝る時間がとにかく欲しい。
食事はスーパーの惣菜やコンビニ弁当、
外食が続き、お金はあっという間に消えていきます。
そこに加えて病院代も増えていく。
お金を貯めながら健康的な生活を送るなんて、夢のまた夢でした。
家計管理も節約もする余裕はなく、毎日のように長時間働いて、簡単に食事を済ませて、寝て起きたらすぐに仕事。
すべてはお金のために、感情を無にして、思考停止状態で仕事をせざるを得ませんでした。
私は、社会の厳しさと仕事の難しさを痛感しました。
学生時代とはまるで違う。お金を稼ぐこと、お金を貯めることは、こんなにも難しいことなのかと。
■転職しても生活の苦しさは変わらなかった
ある時、どうせ仕事は大変なのだからと、給料アップを目指して同業種に2度転職をするも、半年も経たずに退職。
貯金を切り崩す生活になり、結局貯金はゼロに。
毎日毎日お金のことを気にして、お金のことで頭がいっぱいになりました。
そんな20代前半を私は過ごしました。
私がこの経験から学んだのは、仕事はもちろん、お金の知識やスキルを適切に身につけないと、結局は同じ失敗を繰り返すだけになってしまうということです。
毎回同じことの繰り返しで、働いて、お金を使って、退職をして、お金がまったく貯まりません。
つまり、仕事とお金に振り回される人生になってしまうのです。
お金がなくて疲労困憊だった私は、ウキウキした気分で朝を迎えることができません。
毎日が憂鬱(ゆううつ)でした。
完全に意気消沈。
仮病を使ったりサボったりする日もありました。
だから、よく自己啓発書やビジネス書を読み、自分を奮い立たせようと試みるのですが、「心から好きなことをしなさい」とか「頑張らないで生きなさい」とか、逆に「死ぬほど頑張れ」とか、いろんな言葉に触れたけど、当時の私にはほとんど響きません。
好きなことはしたいけど、生活することが最優先だし。頑張らなかったら、お金がなくなって、より生活が苦しくなってしまう。
今も必死に働いているのに、これ以上頑張ったらもっとしんどい……。そんな心境だったのです。
「いったい、僕はどうしたらいいんだ!」と毎日のように思えど、その答えは見つからないままだったのです。
だから、この先もしばらく苦しむことになります。
若いうちは好きなことをなかなか仕事にできないし、貧乏も経験するし、死にそうなくらい働かないといけないし、その反動でまったく働かない時期もあるし、お金はなかなか貯まらないし、何かを変えるだけの余裕もない。
もしかしたら、人生はそういうものなのかもしれません……。
■行き詰まったら、まず「減らす」
あなたも今、あれこれ学んで考えても答えが見つからず、身動きが取れなくなって悩んでいませんか?
私がただ1つだけ、あの頃の自分にアドバイスをするとしたら、「何を始めるにしても、まず最初に“減らすこと”を考えて」と伝えます。
多くの人が身動きが取れないのは、多くを抱えすぎているからです。
あなたはさらに、新しいことを付け加えようとしていませんか?
だから、キャパオーバーで何もできなくなるのです。
何かを減らさなければ、あなたには動き出せるだけの体力や気力、発想力も残っていません。
だから、何かを減らすことを考えましょう。
減らすことで、余裕が出てくるのです。
たとえお金に余裕がなくても、時間や心に余裕が出てくれば、何かを変えようと思えるはずです。
人生を変えられる人間がいるとすれば、それは余裕のある人間です。
もっと言えば、何かを手放せる人間だと私は思います。
仕事でも、家事でも、人間関係でも、無駄遣いでも、モノでも、行動習慣でも構いません。
「余裕」を生み出すために、何かしらを手放しましょう。
何を始めるにしても、一番最初に「減らすこと」からスタートするのです。
■借金やローンは「労働時間の前借り」
私たちは一生懸命働き、生活費や税金、社会保険料はもちろん、クレジットカードの引き落としなどを毎月のように払っています。
だから、私たちの多くは毎月月末に支払いを終えると、手元にはごくわずかなお金しか残りません。
私は、「支払いに追われる生活」が、永遠に続く重荷のように感じていました。
しかも、高収入で贅沢をしている人をSNSで発見するたびに、自分だけ取り残されている気分になっていました。
欲しいものはキリなく出てくるし、引っ越ししたり、転職したり、家具家電を新調したりすれば、永遠にお金が貯まりません。
私の場合、気づけば借金が340万円まで膨らんでいました。
借金やローンは、いわゆる「労働時間の前借り」です。
借金があればあるほど、そのぶん働かなければいけません。
そしてローンを組めば、欲しいものが「今すぐ」手に入る代わりに、「あなたの労働時間を差し出す」という代償があるのです。
借金やローンには、そういった罠が隠されているので注意が必要です。
多くの人間は、目の前の欲しいものが手に入った喜びに舞い上がってしまい、そんなことはどうでもいいと感じているかもしれませんが、そのことをキチンと理解する必要があります。
なぜ多くの人は、労働時間を前借りしてまで、欲しいものをすぐに手に入れたがるのでしょうか。
その原因の1つが、「欠乏マインド」です。
■欠乏マインドがある限りお金は貯まらない
「あの人はこれも持ってる。こんなこともしている」「なのに、自分にはこれがない。自分はこれができてない」というように、自分の見ている世界が「持っていないもの」や「できていないこと」、つまりは「足りないもの」だらけになっているのです。
その足りないものを今すぐ手に入れたい衝動から、多額の借金やローンを組んでしまうのかもしれません。
私も、何かが「足りない」と感じると、渇望し、すべてが「必要」と勘違いしてしまい、いつも衝動的にお金を使っていました。
世の中には、いいモノや新しいモノが次から次へと出てきます。
それをすべて手にすることはできません。
より多くを手にするには、借金をするか、お金を貯めては買ってを繰り返すかしかありません。
そんな生活になっていないでしょうか。
つまり、この欠乏マインドは、買えば買うほどさらに欲しくなるという悪魔のサイクルをつくり出し、そのことに気づかなければ永遠に抜け出すことができないのです。
そして、この欠乏マインドの怖いところは、お金自体が欠乏してしまうと、生活において「お金」が最も重要なものになってしまうことです。
お金を最優先して、自分らしくない生き方をしてしまいます。
例えば、ローン返済のためにやりたくない仕事をしぶしぶ続けていたり、ブラック企業から抜け出せなかったり、1日10時間以上働かなければならなかったり、休みなく働いたり。せっかく稼いだお金で、大量のモノを買って浪費する。
もはや生活に必要なモノは十分あるはずなのに、贅沢やストレス発散、衝動買いで浪費するようになります。
そして、お金がまた足りなくなるのです。
■モノを買わなければ家計は健全になる
私はこの「欠乏マインド」によって多くを失いました。
お金とモノに支配され、自分の行く手が阻まれ、身動きがとれず、夢が破れ、夢を忘れ、仕事を失い、恋人とも別れ、健康状態も悪化。
多くの信用とたくさんのお金を失いました。
そんな生活から脱出したいと思い、さらにはお金やモノに振り回されない自分らしい生き方を追求したくて、私はミニマリストという生き方を選んだのです。
私は正直、ミニマリストになった今、「なぜあんなにモノを買ってしまったのだろう」「あのお金、もったいなかったなぁ」と、後悔することがあります。
物欲や衝動に身を任せていなければ、もっと豊かになっていたかもしれないのに。私もあなたも、モノを今以上に買わなくても死ぬことはないでしょう。
普通に、今まで通りの生活はできるはずです。
では、健全な家計にするにはどうしたらいいのでしょうか。
極端かもしれませんが、「いったんモノは買わない」と決めることです。
一度、悪循環を断つのです。
もちろん、生きていくために必要な食材や日用品はいいのですが、例えば新しい洋服や靴、カバン、ガジェット系などは今すぐ買わなくても生きていけるでしょう。
身の丈ギリギリの家賃を払い、新車を買い、手持ちのお金のほとんどを趣味や娯楽、買ったところで毎日は使わないようなモノに費やすと、お金をどんどん失い、お部屋が不要なモノで溢れてしまいます。
まずは生活に必要なモノを見極め、「欲しいモノ」はいったん我慢しましょう。
モノは買わず、今あるモノたちに目を向けるのです。
あなたが毎日のように使っているモノは何ですか?
ないと生活や仕事に支障が出てしまうモノは何でしょうか?
そうした、必要なモノだけを持つのです。
「これだけあれば十分」というラインがわかれば、確実にお金は増えていきます。
買う必要性がなくなるからです。
そして、何かを買う時は、必ず自分に問いかけてみてください。
あなたの「労働時間」「大切な命(時間)」を差し出してまで、交換するに値するモノですか?
生活になくてはならないモノですか?
すでに、多額の借金を抱えてしまい、経済的自立の道に戻ろうと頑張っている人も少なくないはずです。
まずは支出を削り、金利の高い借金から返済していきましょう。
金利の高い借金は、あなたから一番お金を奪い、一番速く膨張していくからです。
だから、借金を抱えていると、望むような生活はできなくなるのです。
そして、クレジットカードという魔法のカードに惑わされてはいけません。
必要なものはすでにあります。
まずは、お金を使わない生活にするのです。
とにかく支出を削り、いち早く借金を返済してください。
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ミニマリストTakeru(ミニマリストタケル)
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