2022年10月02日

コロナとインフル「同時接種」副反応はどうなる?

コロナとインフル「同時接種」副反応はどうなる?
この冬いよいよインフルエンザとの同時流行か
久住 英二 : ナビタスクリニック内科医師
2022/10/02 東洋経済オンライン

新型コロナ第7波が明らかに収束に向かう一方で、この冬はいよいよインフルエンザとの同時流行との見方が強まっている。 新型コロナ発生以来、インフルエンザの流行は2シーズンにわたって消失していた。
冬季の行動自粛や、マスク、換気などの予防策が功を奏した部分もあるだろうが、国をまたいだ人の移動が減少し、ウイルスが流通しなくなったのが最大の理由と考えるのが適当だ。

しかし、渡航制限は急速に解除され、国際的な人の動きが再開している。
結果として、オーストラリアなど南半球の国々では今季、インフルエンザが流行した。
日本の来たる冬にインフルエンザが流行すると考え、対策を練るべきだ。
危惧を抱いた厚生労働省が新たに認めたのが、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種だ。
同時接種でも「副反応が増えることはない」 同時接種では文字どおり、1回の受診で複数のワクチンを打つ。
片腕に2本打つ場合は、局所反応の重なりを避けるために2.5センチ以上間隔をあけるといい。

といっても、新型コロナワクチンは筋肉注射で肩のあたり、インフルエンザワクチンは皮下接種で二の腕あたりに打つので、そもそも接種部位は重ならない。
それでも患者さんの話を聞いていると、慣れない同時接種への不安や誤解が少なくないようだ。
安心していただきたい。
「同時接種によって副反応が出たり強まったりする」なんてことはまずない。
同時接種は、とくにトラベルクリニックでは当たり前の光景だ。
海外渡航前には何種類も打たねばならない人が多く、1本ずつ接種していてはスケジュール的に到底間に合わない。
同時接種により、発熱など副反応は相加的に増えるが、相乗的に増加することはない。

新型コロナとインフル両ワクチンの同時接種も、アメリカやイギリスでは1年以上前に解禁となっている。
その有効性・安全性についてのエビデンスも、今年1月までに出揃った。

ファイザーの新型コロナワクチン(2回目)とインフルワクチンの同時接種については、昨年11月に『The Lancet』誌に安全性と有効性に関する研究が発表された。
局所または全身の副反応の発生率は、単独接種と比べて上昇せず、安全性に問題はなかった。
新型コロナウイルスに対する抗体価(有効性)にも影響は見られなかった。
インフルエンザの一部の株に対してはむしろ、抗体価の上昇も見られた。

モデルナの新型コロナワクチン(3回目)とインフルワクチンの同時接種についても今年1月、同じく『The Lancet』誌に発表された研究で、安全性と有効性が確認された。
接種から3週間以内に報告された有害事象(副反応を含むすべての不快症状)は、同時接種で17.0%、コロナワクチン14.4%、インフルワクチン10.9%で、同時接種に突出した問題はなかった。
また、単独接種と比べて、どちらのウイルスに対する抗体価も低下は見られなかった。

バイデン氏「パンデミックは終わった」
こうして「同時接種には何ら問題がない」との研究結果が示されてから、厚生労働省は半年以上も新型コロナとインフル両ワクチンの“2週間ルール”を放置していた。
急に同時接種を認めた背景にあるとされる「同時流行」は、本当に起きるのか?
新型コロナについては9月18日、アメリカのジョー・バイデン大統領が「パンデミックは終わった」と発言して話題になった。
しかし実際、アメリカCDC(疾病予防センター)の発表では、同国では今なお1日に約6万人が新たに感染し、400人近くが亡くなっている。
もっと言えば、全世界では毎日40万人超の新規感染者が出ている。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長の言うように、新型コロナはようやく「終わりが視野に入ってきた」という段階にすぎない。
第8波は来る、ということだ。

過去2シーズンを振り返ると、冬(11月下旬以降)に流行の波がやってきた。日本でも水際開放は既定路線だから、おそらく第8波は年越しを待ってはくれないだろう。
一方、インフルエンザはこの2年間、人々にすっかり忘れられた存在だった。
本当に今季は復活するのか? 
以前の記事(水際対策緩和で「夏にインフル流行」3つの理由)で、
インフル流行の前提となる懸念材料を3つ挙げた。
改めて記すと以下のとおりだ。

@ 水際対策の大幅緩和 ⇒ 海外から感染症が流入
A 南米やオーストラリアでインフルが早期流行
B 2期連続の流行消失によるインフル免疫の低下
今まさにこの状況がそろったと言える。
世界保健機関(WHO)によれば、南半球では流行が落ち着いてきた一方で、アフリカ、アジア、アメリカの一部地域で小さな流行が見られる。
例年並みなら11月頃から国内流行が始まって1〜2月に患者が最多となるが、今季はピークが早まる可能性も大いにある。
実際、今年6月には東京都立川市でインフルエンザによる学年閉鎖があり、ナビタスクリニック立川でも患者が出た。
8月のコロナ流行期にも、ナビタスクリニック新宿で何人ものインフルエンザA型の感染者を診断した。
ウイルスは十分に日本国内に入ってきている。

9月半ばからは再び全国各地で集団感染が報告されており、季節とともに気温が低下すれば、感染者は着々と増加するはずだ。
大なり小なり同時流行は免れそうにない。

順序を問わず、とにかく速やかに打つ
そんな中、オミクロン株(BA.1)対応のワクチン接種が9月20日に始まった。インフルワクチンは10月1日から接種可能となる。
「でも、あんまり早く打つと、年越しまで効果が持たないのでは?」と心配する人もいるかもしれない。
たしかに、現在主流のオミクロン株BA.5系統に対し、従来ワクチンの効果は想像以上に短くなっているようだ。
感染予防効果が高く続くのは約2カ月間、重症化予防効果でも約3〜4カ月間という最新の研究結果が出てきた。

オミクロン対応ワクチンで、それがどれだけ引き延ばせるのかはまだわからない。
ただ、最後の新型コロナワクチン接種から5カ月以上経過している人、そして過去2シーズン、インフルエンザの予防接種を受けていない人は、すでにほぼ丸腰だ。
ワクチンの効果は通常、接種後2週間以降に安定的に発揮される。どちらのワクチンでも11月に入ってからの接種だと、12月近くまで十分な効果が得られないことになる。
流行開始に間に合うかどうか、心もとない。
なお、オミクロン株BA.5系統に対応するワクチンもすでに承認申請中なので、順調なら11〜12月には日本に入ってくると期待される。
ただ、その供給量は定かでない。流行開始が迫る中、やはり不確かなものを待ちづけるのはリスキーだ。
そんなこんなを考えると、10月に入ったら、自分の打てるワクチンから可及的速やかに接種するのが賢明だ(インフルワクチンの数日後に新型コロナワクチンを打ってもいいし、その翌日でも、まだ順序が逆でもいい)。

10月以降の接種なら、同時接種できるクリニックを今から探しておく、という選択もある。
予防接種に二度も足を運ぶのは、現役世代には大きな負担だ。
都合がつかずにタイミングを逃すリスクも高まる。
同時接種なら労力は半分だ。
「集団接種」では同時接種できない 本当は、予防接種をもっと効率よく進められる方法がある。
集団接種だ。 ナビタスクリニックの医師も例年10月になると、企業によるインフルエンザの集団予防接種に協力してきた。会社の会議室などを接種会場とし、社員の方々は空き時間などに立ち寄って打っていくこともできる。
新型コロナ以降、企業では社員が一堂に会するのを控える向きが強いが、社内での流行を回避したいなら、やはり集団接種は合理的だ。

本来は新型コロナとインフルエンザのワクチンを社内で同時接種できれば、最も効率がいい。
ところがそうはいかないのが現状だ。
新型コロナとインフルで、流通経路がまったく異なるためである。
インフルエンザは、そのほかの一般医薬品と同じく卸流通なので、企業による集団接種を自由に組み立てられる。
対して新型コロナワクチンは、国が自治体(市区町村)に配布する仕組みを維持しており、実質的に流通に規制がかかった状態だ。
もちろん同時接種を集団で行うとなれば、運営上の課題も少なくない。
例えば、ワクチンの保管、接種後の経過観察の管理、接種記録の扱いなどだ。

しかし、今後もし新型コロナワクチンをインフルワクチンのように定期的に接種することになれば、現行の体制を続けることのほうが非現実的だ。
新型コロナワクチンを入手できるか、十分かどうかも定かでなかった当初はともかく、配布した新型コロナワクチンが余って次々に廃棄されるような現状もある。
新型コロナ治療薬はすでに一般流通が始まっている。
新型コロナワクチンも、そろそろ一般流通に乗せることを視野に入れていくべきだろう。

パンデミックは終わった?
最後に、改めてバイデン氏の「パンデミックは終わった」発言を、私は一医師として重く受け止めた。
先のとおり、アメリカでは今も1日当たりの新規感染者が約6万人、死者が400人近く出ている。
それでも「もはや誰もマスクをしていない」し、「人々はすこぶる健康に見える」。
対して日本は現状、1日当たり新規感染者数こそ6〜7万人だが、死者数は100〜200人未満に抑えられている。
それでも「適切なマスク着用」がコンセンサスだ。

アメリカの人口は日本の約2.6倍だから、日本も単純計算で1日当たり新規感染者が2万人程度になれば、岸田文雄首相は「終わった」と宣言するのだろうか?
要するに、「パンデミックか否か」は、最終的には科学や数字ではなく、人間が、社会が決めるもの、ということだ。
いくら国内外で流行が続いていても、政治的な見地からは「終わった」というのが、アメリカにおいて尊重されるべき判断ということだ。

基本的に科学を重んじる医師として、考えさせられる現実である。 「パンデミック」という“パワーワード”を、アメリカのように強制的に過去のものとして前を向くのか、その圧に飲み込まれて思考停止し続けるのか──。その大きな変化の流れの中で、医師としてどのように適応していくべきか。
私自身の答えは、診察室で、日々多くの患者さんに向き合うことでしか得られないと思っている。
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2022年10月03日

実は危ない?あの「酸素」の知られざる怖い性質

実は危ない?あの「酸素」の知られざる怖い性質
学校では教えてくれない「ヤバい物質・現象の話」3選
るーい : YouTuber
2022/10/02 東洋経済オンライン

世の中には、知ると驚くような不思議なことがたくさんあります。
宇宙の天体や、恐ろしい生物、世界の壮大な現象など、数えるときりがありません。
しかし、その多くは学校で習うこともなく、生活していても耳にすることはあまりないはずです。 ここでは『学校では教えてくれない ヤバい科学図鑑』(るーい/著、左巻健男/監修)から、「酸素」「爆薬」「衝撃波」の「ちょっとコワくて不思議な話」を科学でひもといていきます。ぜひ、お楽しみください。

@実は危険な気体だった「酸素」
●気中の酸素は窒素より少ない
人間は空気中の酸素を吸い込み、二酸化炭素を吐き出しています。
人間が生きていくためには酸素が絶対に必要です。
そんな酸素ですが、実際には私たちのまわりにある空気の中には酸素や二酸化炭素以外にもいろいろな気体があります。
実は空気中でいちばん多いのは窒素(78%)で、酸素は21%しかありません。
空気中にある酸素は、窒素より少ないのです。

●酸素が多すぎると?
酸素の量が減ると人間の体は危険になりますが、逆に酸素の量が多いとどうなるのでしょうか。
もし窒素と酸素の割合が逆だったら、もっと楽に息ができたり、たくさん動けたりするのでしょうか?
実はそうではなく、酸素が多すぎても人間の体は危険になり、吐き気やめまい、けいれんなどを起こすことがあります。これを酸素中毒といいます。

●酸素が多いと燃えやすい
1967年、アメリカのアポロ1号宇宙船が地上でのテスト中に燃えて、宇宙飛行士3人全員が亡くなりました。
アポロ宇宙船の中の酸素はとても高い濃度であったため、電気の配線から出た火が勢いを増したとされています。
このように、酸素が多いということはとても危険なことでもあるのです。
人間には絶対に必要な酸素ですが、その扱いには注意が必要なのです。

●酸素はもともと猛毒だった
太古の地球では生物にとって酸素は猛毒でした。
35億年前まで地球の大気にはそもそも酸素は存在しておらず、生物たちも酸素を使わない呼吸をしていました。
しかしその後、光合成によって酸素を作り出す生物(シアノバクテリアラン藻)が誕生したことで、猛毒の酸素が地上にばらまかれ、たくさんの生物たちが死んでしまったのです。

Aなぜ爆薬は一瞬で爆発するのか?
●一瞬で燃えつきる
木や炭は火をつけても燃えるだけなのに、爆薬はなぜ爆発するのでしょうか。
炭に火をつけると、熱やガスを出しながらゆっくりと燃えます。
ところが爆薬は、火をつけると一瞬ですべてが燃えつきるのです。
そのため、炭が何時間も燃えることで出す熱やガスを、爆薬は一瞬のうちに出してしまいます。
一瞬で燃えつきるこの現象を、爆発と呼んでいるのです。

●なぜ一瞬で燃えるのか
ではなぜ爆薬は一瞬で燃えつきるのでしょうか。
ふつうはものが燃えるときには空気中の酸素が必要です。
そのため、火をつけると空気に触れているものの表面から少しずつ燃えていきます。
しかし、爆薬は爆発するのに酸素が必要ない構造になっています。
このため、爆薬に火をつけると、表面だけでなくその内部も同時にすべて燃えてしまうのです。

●火薬と爆薬も違う
火薬は銃の弾丸を打ち出したり、ロケットを飛ばしたりと、ものを動かしたり飛ばしたりすることに使われます。
それに対して爆薬は、爆弾など、ものを壊すために使われます。そのため、火薬よりも爆薬のほうが爆発力も大きいのです。
爆薬は火薬よりも反応が速く伝わり、短い時間の中でエネルギーが出るため、同じエネルギーでも火薬より爆発力があるのです

Bすべてを破壊する衝撃波の正体とは?
●音とは何か?
空気中で、音よりも速く進むものは、衝撃波を発生します。衝撃波とはそもそも何でしょうか。
そしてなぜ発生するのでしょうか。
実は衝撃波が発生する仕組みは、音が生まれる仕組みと似ています。
音は空気が振動することで伝わりますが、それは空気が詰まっているところとあまり詰まっていないところの圧力の差が波のように伝わるためで、衝撃波ももともとの原理は同じなのです。

●スピードを上げると?
音も衝撃波も、圧力の変化で生まれる「圧力波」の一種です。
例えば、止まっているジェット機からは、エンジンなどの音はまわりに360度広がります。
しかしジェット機が飛び始めてスピードを上げていくと、ジェット機の後ろに出ていく音の波は後ろのほうにどんどん広がっていきます。
一方、ジェット機の前に出ていく音の波は、ジェット機に追いつかれてしまい、押しつぶされていきます。

●音速を超えると?
ジェット機がどんどんスピードを上げて音と同じスピードになると、音の波はもうジェット機の前に飛び出せず、ジェット機といっしょに進んでいくことになります。
そのため、ジェット機の正面では空気の圧力が一気に高くなりますが、その少し後ろでは逆に圧力が一気に低くなるため、圧力の大きな差によって、とても大きな圧力波が生まれます。これが衝撃波の正体なのです。
私たちが聞くあの「音」も衝撃波だった

●衝撃波は爆風を生む
ジェット機が音の速さ以上のスピードで飛ぶと、ジェット機の正面の空気の圧力が高まり、空気は音の速さを超えるスピードで押し出されます。
これはものすごい風になり、これを爆風と呼びます。
爆弾の爆発やガス爆発などで家が吹き飛ばされたり、ガラスが割れたりしますが、このような爆風が起きるのも、衝撃波によるものなのです。
核爆発ともなればすさまじい衝撃波が発生します。

●意外に身近な衝撃波
衝撃波はとても大きな圧力の波ですが、すぐに弱まってしまい、ソニックブームと呼ばれる大きな音に変わります。
例えば打ち上げ花火では、花火が爆発することで、衝撃波が発生します。その衝撃波が弱まってソニックブームになったものが、私たちが聞いている花火の音なのです。
また、雷の音もソニックブームの一種です。
衝撃波は私たちの身近なところでも生まれているのです。
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2022年10月04日

銃撃事件を引き寄せた「統一教会と家族崩壊史」

銃撃事件を引き寄せた「統一教会と家族崩壊史」
政府に守られた教団と放置された宗教2世たち
野中 大樹 井艸 恵美 : 東洋経済 記者
2022/10/03 東洋経済オンライン

安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件の背景には、「宗教」の影があった。
10月3日発売の週刊東洋経済は「宗教 カネと政治」を特集。
「信教の自由」という厚いベールに閉ざされた裏側をあらゆる角度から解剖した。

安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者(42)が、「母親の統一教会への献金によって家族が崩壊した」と供述したことが報じられて以降、マスコミは一斉に「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会、以下、統一教会)の政治への介入や多額の献金問題を取り上げるようになった。
山上容疑者の母親(70)が通う教会は一時的に閉鎖されるも、SNSを使い信者とのコミュニケーションに努める。
母親と同じ教会に通う信者の一人が言う。
「テレビはいっさい見ない。文芸評論家の小川榮太郎さんやタレントの太田光さんなど、信頼できる人の情報を教会がLINEで知らせてくれるので、毎日それを見ています」。
そして、こう続けた。 「あの方(山上容疑者の母親)は、この宗教に出合うことで救われてきたんです。そうした面を見ず、事件の真相もまだわからないのに家庭連合を批判するマスコミはひどい。あの安倍さんが応援してくれた団体ですよ。岸信介さんの代から3代にわたって支えてくれた宗教団体なんです。
悪い団体のはずがないじゃないですか」

山上容疑者は現在、鑑定留置中であり、この信者が指摘するように事件の真相解明はこれからだ。

山上という人間の「現実」はちょっと違う
凶行に走った山上容疑者が内にたぎらせていたものは何か。
それを探るうえで数少ない手がかりの1つが、フォークリフト運転手として今年5月まで派遣されていた工場での出来事だ。
事件後に社長が記者会見を開き、「手順を守れ」と注意した同僚と山上容疑者が口論になっていたことが報じられた。
社長が本誌に語る。
「これまで報道された内容を見ると、山上という人間は仕事の手順を守らず、注意をした人間には誰彼かまわずかみつくタイプのように思えたかもしれませんが、現実はちょっと違うのです」

2020年、山上容疑者の採用面接を行った担当者は「毛並みが違う」と感じたという。
「フォークリフトの運転手は体育会系が多い。その点、彼の立ち居振る舞いはホワイトカラーそのものでした。
能力も高かった。
フォークリフト操縦は衝突や破損の事故が頻繁に起きるのですが、彼については事故報告が1件もなかった。
オフィス内で働く幹部たちの印象も非常によかった」(社長)

そんな山上容疑者が悪態をついたのが、オフィスの外で働くブルーカラーの人々だった。
「彼は自分なりの知識や理論に基づいて仕事を完璧にこなそうとするタイプ。
だからなのか、ブルーカラーの運転手や工場作業員に『手順が違う』と意見されると、『おまえに言われたくないわ』と反発する。口論が起きるときは、いつもこのパターンでした。
進学校を出ている彼の中には『自分はこんなところで働く人間ではない』といういら立ちが強くあったのでは」(同)

母親の高額献金で大学進学を断念
進学校として知られる奈良県立郡山高校を1998年に卒業した山上容疑者は、大学には進学していない。
伯父によれば「家庭の経済状況から大学進学は断念せざるをえなかった」という。
2002年に海上自衛隊に入隊したが、2005年に自殺を図る。
海自が事情を聴いたとき、本人の口から出てきたのが「統一教会に人生をめちゃくちゃにされた」という恨みの言葉だった。

1991年頃に入信した母親が統一教会に高額献金を繰り返し、山上家崩壊の要因を作ったことは、おおかた明らかになっている。
注目したいのは母親が高額献金をした時期だ。
先祖の霊やたたりで不幸が起きていると脅し、高額のつぼや印鑑を売りつける霊感商法が本格化したのは80年。
被害が続出し、1982年の衆議院法務委員会では、「悪運を払うなどと言ってつぼを売りつける怪しげな商法が横行している」と問題視されている。

被害が後を絶たないことから、1987年に全国霊感商法対策弁護士連絡会が発足した。
1990年代、一般社会との摩擦を避けるため、教団の資金調達法は信者から献金を吸い上げる方法へと変化していく。
山上容疑者の母親が、自死した夫の生命保険や実父名義の不動産、子どもたちが暮らす家までを献金の原資としてしまったのは、そうした時期だった。
家族が崩壊したのは山上家だけではない。
2003年には全国統一教会被害者家族の会が発足した。
家族に食い込んだ宗教の爪痕は、年月を経て、子ども世代(2世)にも影を落とすようになる。
2015年、山上容疑者の兄は自ら命を絶った。
重病で働くことができず、医療費も生活費もままならない状態に置かれていた。
この時期というのは、統一教会信者2世の精神疾患や自死問題が顕在化し始めた時期である。

霊感商法が社会問題化し、2世の苦悩が深刻化しているにもかかわらず、行政が教団に介入しなかったのは、どうしてか。それは、この教団特有の政治との近さにある。
統一教会は日本で布教を開始した直後から政治に接近し、保守系政治家の歓心を買うような政策を掲げてきた。
原点は、教祖・文鮮明氏が68年に設立した政治団体・国際勝共連合だ。
イデオロギー闘争が激しかったこの頃、「共産主義に勝つ」ことを目的とする政治団体は、岸元首相ら保守派の政治家には心強い援軍と映った。
勝共連合の名誉会長には右翼の大物、笹川良一氏が就任。
宗教団体ではなく、政治団体として日本の支配層に受け入れられてゆく。
笹川氏の息子、笹川堯氏は「うちの親父は勝共連合だから応援したんだ。統一教会を応援したんじゃない」と本誌に語る。

良一氏と堯氏は、文氏や妻の韓鶴子現総裁と韓国済州島(チェジュド)へ私的な旅行に行ったこともある。
「ご夫妻とキジを撃ちに行ったんだ。真冬の雪が積もる時期で、私が風邪をひいてしまったら、韓さんが参鶏湯(サムゲタン)を作って飲ませてくれたよ。
うちの親父には小豆ご飯を炊いてくれた」

放置され続けた宗教2世問題
銃撃事件後の7月11日、会見を開いた統一教会の田中富広会長は、政治家への支援について問われ「当法人として行ったことはいっさいない」とかわした。
統一教会の「賛同会員」だった井上義行参議院議員(現在は退会)も、メディアの質問に「私が選挙支援を受けたのは世界平和連合。統一教会ではない」と弁明した。
「教団と接点があった」と指摘を受けた政治家たちが実際に接点を持っていたのは、国際勝共連合や世界平和連合、世界平和女性連合、天宙平和連合(UPF)といった教団系の政治団体、NGO(非政府組織)団体ばかり。

政治家と教団は互いに「接点はない」と主張するのに、教団の信者は「安倍さんが応援してくれた宗教」と信じ、熱を込める。
この構図にこそ「統一教会と政治」の特徴がある。
首相経験者や与党議員が関係を持つ宗教法人に行政が介入するのは容易ではない。
霊感商法が社会問題化したのは1980年代だが、捜査機関が教団傘下の企業を摘発したのは2000年以降。それでも教団本部にまでは踏み込まなかった。
行政が教団に踏み込めず、教団が形を変えながら活動を続ける一方、2世問題は放置され続けた。

宗教が絡む戦後最大の事件は1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件だ。
オウム事件と安倍元首相銃撃事件には、決定的な違いがある。
オウム事件は宗教団体そのものが起こした事件だが、今回の事件は宗教団体に家族を壊された恨みを持つ2世による事件だ。

宗教問題は約30年の間に、教団や信者自身の問題から、教団の教えに苦しむ2世の問題へと拡大した。その質的変化を日本社会は捉えきれているか。今、それが問われている。
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2022年10月05日

「老害にならない人」の特徴とは?

「老害にならない人」の特徴とは?PDCAよりも今の時代に合った思考法
2022年10月04日 ダイヤモンドオンライン

変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。
必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。
『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、6月29日発売)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。
著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。

業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。
これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。
本連載では、そのために必要なマインド・スキル・働き方について、同書の中から抜粋してお届けする。

■人は、なかなか習慣を変えられない  
人は、一度習慣化したことをなかなか変えられません。皆さんも、以下のような声を聞いたことがあるのではないでしょうか。  
●俺の若いころはお客様と毎晩飲みに行って信頼を得たものだ。今の若手は昔ながらの営業手法も身につけるべきだ  
●我が社は、世の中にまだないイノベーションを生むことでお客様に感動を与えてきた。もう一度創業時の精神を思い出そう
●石の上にも三年と言うように、どんな仕事も身につけるには自ら年月を費やして習熟度を高めるしかない  

これらの声が一概に間違っているという訳ではありませんが、社内外の環境の変化は突然起き、これまでの常識が突如として通用しなくなることがあります。
 例えば、ここ数年では新型コロナウィルスによって環境が大きく変わりました。
その変化によって、都心の外食店は淘汰されたかもしれませんが、オンラインで地方の珍しい食材を売っている企業への特需が発生したりしました。
 地方の不動産価格が上がり、過疎化していた田舎がスマートシティへと変貌を遂げることがあったりもします。
 また、自社が中国企業によって買収されて、突然明日から上司が中国人になるかも知れません。
そうすると、これまでに培ってきた報告の方法や意思決定の方針も大きく変わるでしょう。
 ただ、これらはあくまでも短期的に起きている変化で、10年単位の長いスパンで考えると、より大きな構造変化が起きることが予想されます。

■PDCAから新しいものは、生まれない
 では、大きく変化する環境で生き残るには何をすべきなのでしょうか。
そのためのポイントは、現状を改善するのではなく、未来を創造することです。
 多くの企業が過去の分析をもとに3年間の中期経営計画をつくります。
 それ自体は悪いことではないのですが、3年という短いスパンで考えると、既存の延長で計画を作成することになります。実際、多くの企業で昨年対比数%成長という目標を作成しているのではないでしょうか。

また、日本企業の特技の一つにPDCAというものがあります。
PDCAによって改善を繰り返していくと、品質の高いものを、安く、早く提供することはできるようになりますが、前述の突然の環境の変化に対しては、最も脆弱になってしまいます。

 例えば、日本で全面的に配車アプリのウーバーが解禁されたらどのような変化が起きるでしょうか。
ウーバーの初乗り価格が300円に設定されていたら、タクシー業界は大打撃を受けるでしょう。
バスや電車などの公共交通機関からウーバーに乗り替える人たちも出てくるでしょう。
さらに、自動運転が当たり前の時代が訪れたら、今度は、ウーバーで生計を立てていた人たちが職を失うことになります。

 既存の業界、既存の組織、既存の制度に対して最適化していくことはゴールが決まっているときや平時には有効ですが、VUCAの時代にはデメリットしかありません。
 過去をもとに改善していくと、いくら頑張っても2〜3年後の改善計画しか作成できません。思い切って10年後を構想してみましょう。

■足し算思考ではなく、引き算思考をする
 私たちは、既に保有しているものをもとに思考しがちです。
そのほうが簡単ですし、メリットが見えやすいという特徴があります。
 例えば、皆さんが過去に保有していたガラケー(ガラパゴス携帯)を思い出してください。
おそらく、たくさんの機能がプレインストールされていたと思いますが、すべてを使いこなしていた人は多くなかったでしょう。
 家にあるテレビのリモコンには、ボタンがいくつあるでしょうか。
コンビニの店頭に表示されている決済手段は、いくつあるでしょうか。
 PDCAによる改善を繰り返していくと、いまあるものをより良くするための思考になりがちです。
これらはすべて足し算思考です。
 それに対して、10年後を構想するために必要となるのは、引き算思考です。
「老害」にならずに、過去の経験にとらわれず常に新しいものを取り入れている人は、変化に敏感なのではなく、引き算思考が得意な人だといえます。
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2022年10月06日

【玉川徹氏の国葬「電通」発言全文】羽鳥慎一が番組で謹慎処分を説明、改めて謝罪求める

【玉川徹氏の国葬「電通」発言全文】羽鳥慎一が番組で謹慎処分を説明、改めて謝罪求める
10/5(水) デイリー

 テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」が5日、放送され、MCのフリーアナウンサー・羽鳥慎一が、同局社員でコメンテーターを務める玉川徹氏の謹慎処分について謝罪した。
玉川氏は5日から10日間(土休日を除く)の謹慎後、19日から番組に復帰する予定だが、復帰の際に「なぜこういう発言になったのか説明を改めてすべき、そして謝罪をするべきだと私は思っております」と求め、「改めて大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。

【9月28日の放送での玉川氏の発言全文】 
「これこそが国葬の政治的意図だと思うんですよね。
当然これだけの規模の葬儀、儀式ですから、荘厳でもあるし、個人的に付き合いのあった人は、当然悲しい思いをもってその心情を吐露したのを見れば、同じ人間として、胸に刺さる部分はあると思うんですよ。
 しかし、例えばこれが国葬じゃなくて、内閣葬だった場合、テレビでこれだけ取り上げたり、この番組でもこうやってパネルで取り上げたりVTRで流したりしないですよね。
国葬にしたからこそ、そういった部分を我々は見る、僕も仕事上見ざるを得ない状況になる。

 それは例えれば、自分では足を運びたくないと思っていた映画があったとしても、なかば連れられて映画を見に行ったらなかなかよかったよ、そりゃそうですよ、映画は楽しんでもらえるように胸に響くように作るんです。
だからこういう風なものも、我々がこういう形で見れば胸に響くものはあるんです。
それはそういう形として国民の心に既成事実として残るんですね。
これこそが国葬の意図なんですね。
だから僕は国葬自体、ない方がこの国にはいいんじゃないか、これが国葬の政治的意図だと思うから」 (※羽鳥『私はここの部分はちょっと違うな、と思いますが』)

 「僕は演出側の人間ですからね。演出側の人間としてテレビのディレクターをやってきましたから、それはそういう風に作りますよ。
当然ながら。政治的意図がにおわないように、制作者としては考えますよ。
当然これ、電通が入ってますからね」  (※羽鳥『そこまでの見方をするのか、自然に言葉が出たんだろう、という見方はいろいろ』)
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2022年10月07日

自衛隊の性加害生んだ「ホモソーシャル」の醜悪さ

自衛隊の性加害生んだ「ホモソーシャル」の醜悪さ
報道を見て「自分には関係ない」と思う男性の盲点
ヒラギノ 游ゴ : ライター/編集者
2022/10/06  東洋経済オンライン

(編集部注)この記事では詳細な被害状況を描写することはありませんが、性加害について取り上げています

陸上自衛隊に所属していた女性が訓練中に複数の男性隊員から性加害を受けた問題について、防衛省が29日に謝罪の意を表明したことが報道各社によって大きく取り上げられた。
本件では、事件発生時その場にいた20名ほどの加害者・目撃者全員がやっていないし見てもいないと証言したという。
つまり、職場で公然とおこなわれた暴力事件を同僚全員が無視したということになる。

証言が得られなかったため、加害者と目される3名の隊員は不起訴となった。
それを受けやむをえず、被害者自身が第三者委員会による公正な調査を求める署名活動を始めるに至った(事件の詳細はこの署名活動のページに詳しい)。
その結果、このたび防衛省によって「訴えが事実であること」、また「他の女性隊員にも同様の被害があったこと」を認める発表がなされた。
そのうえで、陸自トップの吉田圭秀陸上幕僚長は「これまで長く苦痛を受けられたことに対し、組織を代表してお詫びする」と公式に謝罪、同様の事案の根絶に向け尽力すると宣言した。

本件についての世間のリアクションを観測していると間々見受けられるのが、今回起こったことを「自衛隊の閉鎖的な環境によるもの」として話を終始させようとする態度だ。
しかし、今回起こったことはけっして自衛隊だからこその問題ではない。
社会のあらゆるコミュニティに同様の可能性が潜んでいる。
問題は多くの「ホモソーシャル」に共通するものだ。

ホモソーシャルの問題に他人事でいられる人はいない
ホモソーシャルとは、男性・女性どちらかのみの構成員に偏ったコミュニティを指し、主に男性中心の集団の場合が多い。
自衛隊に限らず、男性社員ばかりの部署や、学生時代の部活動に至るまで、この世界の多くのコミュニティがホモソーシャルに該当する。

ホモソーシャルはさまざまな不均衡の要因となるが、その最たるものがミソジニー(女性蔑視)の温床となることだ。
公判中の滋賀医大生による集団暴行事件にも同様の傾向が見られた。
本件では、性的合意を経ず一方的に行為に及んだこと、動画を撮影して仲間内で共有していたことなどが報道されているが、このような行為の背景には、男性同士のコミュニティ内で一方的な「女性」や「性行為」というものの偏見が形成され、女性の尊厳を軽んじる感覚が根付いてしまったことがあると考えられる。

属性の異なる構成員がバランスよく参加するコミュニティであれば、自然と偏った感覚が軌道修正されていくことが期待できるが、ホモソーシャルの場合、そうした偏りに歯止めが利かなくなるというのが陥りがちな状況だ。
その結果として、このたびの自衛隊での事件のような形で表出することがある。
自衛隊での事件は、閉じた男同士のコミュニティでは許され、それどころか"笑える"振る舞いとして行われていた行為を女性にぶつけたことで、彼らの持っていた感覚の有害性があらわになった面がある。

「これはまずいんじゃないか」と自分たちの振る舞いを問い直し、社会全体とすり合わせる自浄作用が利かなくなっていく。 男性自身をも害するホモソーシャルの有毒性 ホモソーシャルやミソジニーの問題について知るとき、男性たちの中には自分自身が否定されたような心象になる人がいる。
しかし、問題とされているのは個人個人の男性ではなく、男性優位の社会構造、システムの話であり、また男性たち自身、こうした男性優位の社会構造が規定した男性像への適応を要請されることに日々無自覚に消耗している。

規範意識を知らずのうちに学び取り、自らの心身で再現する。
その過程で、女性をはじめとした男性以外の属性を持つ人はもちろん、本人自身の人生をも害し、また周囲の男たちと互いを害しあう。
そうした自他に害をなす「男らしさ」の規範意識をトキシック・マスキュリニティ(有毒な男らしさ)と呼ぶ。

2018年に起こった日本大学フェニックス反則タックル問題は、日本大学アメリカンフットボール部の監督やコーチが、自チームの選手に対し相手選手に怪我を負わせるためのタックルを強要した事件だ。
当該の試合直前の練習にて、反則タックルを行うことになる選手は監督・コーチから再三「闘志が足りない」「やる気を見せろ」と詰問を受け、その挽回の具体的な方法として反則タックルを指示された。
この事件の土台にも、ホモソーシャルの閉じた支配ー被支配の関係性の中で「タフであれ」という規範意識や暴力性を称揚するトキシック・マスキュリニティ的な文化が根底にあると考えられる。

ホモソーシャルの歪みは、他者への加害のみならず、構成員自身の人生をも害するものだ。
包括的性教育が乏しかった結果、自助努力に任されてきた 「包括的性教育」という概念がある。
日本における「性教育」のイメージから連想されるようなものとはまったく異なる概念だ。
ここまでに述べたような「ホモソーシャル」「ミソジニー」「トキシック・マスキュリニティ」といった、社会生活において重要なタームやその背景にあるジェンダー論の論理を学ぶことをベースとし、その一環として月経や生殖といった身体の話題がある。
そうしたカリキュラムが「包括的性教育」だ。

そもそも日本の初等教育における性教育というと、6年間で1度、女子だけが集められて月経についての簡単な(生殖については触れない程度の)説明があったのみという体験の人が大半だろう。
このような包括的性教育を受けていない以上、ジェンダーに関わる基礎的な知識には個々人でばらつきがあり、自助努力に任されている状況だ。
それゆえに分断や軋轢が生じ、時にニュースとして取り沙汰されるような凄惨な事件に繋がっていく。

学びを得ていく具体的な方法としては、とにかく専門家の正しい知見を頼ることが第一だ。
そのうえで身近な者同士で情報交換をすること、少人数の勉強会のような機会を作ることなどが挙げられる。
また組織レベルで言えば、専門家を招き、社員研修の一環としてジェンダーに関する講習を組み込むことなどが有効だろう。 実際、筆者もそうした企業向けの講習プログラムの提供に関わっているが、各業界のリーディングカンパニーでは浸透しつつあるものの、率先してそういった取り組みを実施する企業はまだまだ少ないのが現状だ。

包括的性教育が施されない現代では、適切な知識体系より先に、ネット上の有害な情報源に行き当たり、認識が歪められるケースが非常に多い。
現代日本のネットコミュニティにおいては「弱者男性論」と呼ばれる概念が流布しているが、これは専門家の間ではまともな論理を伴った「言説」とは見なされていない。
しかし、社会において孤立感や疎外感を抱く一部の男性たちは、自身を許し受け入れる概念と捉え没入していってしまう。
また、日本において非常に著名な専門家がトランスジェンダーなどの特定の属性の人に対して排他的・差別的だと指摘を受けていたり、フェミニズムを掲げた方針で知られる企業のリーダーがその実何の知識の裏付けもなく事業を展開していたりといった問題もあり、情報収集の妨げになる要素は多岐にわたり存在する。

いずれの場合も、情報源を見定めるにあたっては、学術的なバックボーンのある専門家であるか、あるいは問題を長年取り上げてきたジャーナリスト・文筆家など、実績のある人物であるかどうかを確認することが重要だ。
現代を生きるわれわれには、こうした一連のイシューに対する自覚が求められている。
ピンとこない、納得がいかないとしても、まずは「どうやら世間ではそういうふうに言われているらしい」と一度受け止めることが重要だ。

意義深い前例ではあるが…
自衛隊で起こった事件について、こうした内部の醜聞に対し事実を認め謝罪することは極めて異例といえる。
同様の被害に苦しめられてきた隊員、また今後苦しめられるかもしれなかった隊員たちにとって非常に意義深い前例となった。

ただ、本件はそもそも刑事事件相当の、つまり法の裁きに委ねられてしかるべき事案だと筆者は考える。
勤務先が事実であるか否かのジャッジをするのも、謝罪をするしないに腐心せざるをえないのも筋違いではないか。
こうした事後処理のあり方の背後にも、特権的な男性たちによるホモソーシャルの作為が感じられる。
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2022年10月08日

入浴中の少女を盗撮、35歳元教師に懲役2年執行猶予3年の判決「甘すぎる」の声も

入浴中の少女を盗撮、35歳元教師に懲役2年執行猶予3年の判決「甘すぎる」の声も
2022年10月07日 リアルライブ

静岡県と山梨県で、入浴中の少女を盗撮したうえSDカードに保存をしたとして逮捕された、元中学校教諭の35歳男の判決公判が6日、開かれた。
 静岡県裾野市の男は2019年9月、同県の宿泊施設で入浴中だった少女7人の裸を撮影して保存したうえ、児童ポルノを製造した。
また、2021年11月にも山梨県内で同様の犯行を重ね、逮捕されていた。

 6日の判決公判で静岡地裁は「常習的な犯行の一環で、自らの性的な興味を満足させるためであって、厳しい非難を免れない」などと糾弾。
しかし男が今後二度と罪を犯さないと誓っていること、9月に静岡県教育委員会から懲戒免職処分を受けていることなどを踏まえ、懲役2年の求刑に対し、懲役2年、執行猶予3年の判決を言い渡した。

 この判決にネットユーザーからは「少女を撮影したうえ児童ポルノを作って懲役2年、しかも執行猶予3年って。甘すぎるを通り越して呆れる」
「痴漢や盗撮は捕まっても刑務所に入ることがないという誤った認識が広がる。不当だと思う」
「明らかに悪意を持って盗撮しているのに執行猶予って」
「これだけ悪質極まりない、教師を利用した犯罪なのに、こんな大甘判決なんて、おかしい」と怒りの声が上がっている。

 また「ほかの都道府県で教師になる可能性もある。それだけはやめてほしい」
「この人も生きていかなければいけないということで、塾講師などの職業に就く可能性もある。
再犯したら、誰が責任を取るのか」
「今後やらないと誓っているなんて明らかなウソを裁判所が信じているのが情けない」という指摘も出ていた。
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2022年10月09日

値上げラッシュに負けない!お金を増やす「さしすせそ」

値上げラッシュに負けない!お金を増やす「さしすせそ」
2022年10月08日 ダイヤモンドオンライン

「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。
なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。
無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。

それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすること。
稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。
9月30日からは、Audibleの配信も決定した新刊『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』では、余すことなく珠玉のメソッドを公開しています。

受講者は6000人に及び、その9割が成功。さぁ、新しい働き方を手に入れましょう!

■お金を増やす5つの条件
 10月の食品値上げは過去最多の6700品目に達し、累計2万品目以上が値上げされました。
値上げ率は平均14%とのこと(*1)。
火災保険料も過去最大の値上げです。
給料も14%上がるなら支障ありませんが、期待できません。
それどころか、児童手当が削減され(*2)、年金受け取り年齢のさらなる引き上げが既定路線化されるなど、私たちの生活は苦しくなる一方です(*3)。

 多くの消費者が値上げ前にまとめ買いをしますが、在庫がもつのはせいぜい1ヵ月程度。
一時しのぎにしかならないので、根本的な解決策とはいえません。
 では、私たち消費者には、打つ手は何もないのでしょうか?
 結論からお伝えすると、値上げラッシュに負けない根本的な解決策が、確かに存在します。
それは、お金の「さしすせそ」をクリアした収入源を見つけること。

お金の「さしすせそ」とは、
(さ)再現性、
(し)持続可能性、
(す)ステルス性、
(せ)節税力、
(そ)即効性の5つです。

■(さ)再現性:手順通りに行えば、誰がやってもうまくいくこと
 成功例には、「(1)その人だからできたこと」「(2)運よくうまくいったこと」「(3)再現性があり誰でも真似できること」の3種類があります。
たとえば、株やFXや仮想通貨などの資産運用の多くは(1)か(2)なので、再現性がありません。
損しては元も子もないので、再現性は必須です。

■(し)持続可能性:長期間にわたって無理なく続けられること
 値上げ前のまとめ買いは一時しのぎなので、持続可能性がありません。
同様に、生活費を節約して生活水準を下げる手法も、つらくて苦しいので長続きはしません。
また、難易度が高い稼ぎ方や、体力勝負のハードーワークも長続きしないのでNGです。
その意味で、持続可能性(SDGs)も必須条件となります。

■(す)ステルス性:勤め先に気づかれずに稼げること
 アルバイトのような雇われる副業を始めると、翌年の住民税の源泉徴収の際に、勤め先にバレてしまいます。
たとえ副業が禁止されていないとしても、勤め先にバレることは避けたいもの。
したがって、勤め先にバレずに稼げるステルス性も必須条件となります。

■(せ)節税力:税金と社会保険料とを節約できること
「教育費」「住宅費」「老後資金」の3つを人生の三大出費といいますが、人生最大の出費は「税金+社会保険料」です。
財務省によると、財政赤字を含む国民負担率は、令和2年以降6割前後で推移しています(https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/20220217.html)。
 国民負担とは「税金+社会保険料」のことなので、収入の6割が事実上の税金として徴収されていたわけです。
したがって、昇給しても6割持っていかれます。
昇格すると出費も増えるので、手許にはお金が残りません。
苦労が多い割には金銭面でのメリットがないということ。いずれにしても、節税力は必須条件です。

■(そ)即効性:数ヵ月で手応えを感じられること
 物価が一気に14%も上がったのですから、できれば数ヵ月以内にはなんとかしたいところです。
待っても1年です。その意味では、本業で頑張るという選択肢はなくなります。
なぜなら、昇給昇格という結果を出すためには、かなりの時間を要するからです。
上司と人事次第なので、いかんともしがたい。即効性に欠ける努力ほど虚しいものはありません。

■すべてを充たす選択肢は「稼げるライフワーク」一択
 このように分析すると、まとめ買いも、生活費の節約も、資産運用も、アルバイトも、本業での昇給努力も、値上げラッシュに対する根本的な解決策にはなり得ないとわかります。
 これに対して、唯一、5条件すべてを満たすのが、「稼げるライフワーク」です。
「稼げるライフワーク」とは、お金を稼げるうえに節税もできる2つ目の「稼ぎ口」です。

夢中に感じる「やりたいこと」、もしくは使命を感じる「やるべきこと」なので、即効性があって長続きします。
「物販ビジネス」「賃貸ビジネス」「情報ビジネス」なので再現性がありますし、自営型の副業なのでステルス性も兼ね備えています。
売上が300万円を超えなければ、副業ではなく「副業ごっこ」なので、副業禁止規定にも違反しません(*4)。

 世界的な規模での物価上昇に歯止めがかからない以上、自分の身は自分で守るしかありません。
しかも、収入減や年金受け取り年齢の引き上げも避けられない状態です。
 このような状況下で、それらに対抗できる科学的メソッドは、「稼げるライフワーク」を2つ目の稼ぎ口にする「稼ぎ口二刀流」以外にはありません。
この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

*1 10月の食品値上げは今年最多の6700品目 値上げ率は年内2番目の高さ 値上げラッシュは10月にピークアウトも予断許さず
*2 児童手当が今日から削減!今できる3つの秘策とは?
*3 サラリーマンでもできる「黒字リストラ」に負けない自衛策
*4 国税庁「300万円以下は副業ではない」サラリーマンなら「2つ目の稼ぎ口」に今すぐ取り組むが大正解な理由

**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。
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2022年10月10日

事故防止より検挙件数が目的になっている…コソコソと隠れて取り締まる日本の警察はやはりおかしい

事故防止より検挙件数が目的になっている…コソコソと隠れて取り締まる日本の警察はやはりおかしい
2022年10月09日 PRESIDENT Online

交通事故を減らすにはどうすればいいのか。
カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎さんは「警察は信号機のない横断歩道の取り締まりを強化しているが、横断歩道で車が止まることでかえって事故を誘発する場合がある。
物陰に隠れて一時停止違反の車を探すよりも、信号機の設置や歩行者のサポートに注力すべきだ」という――。

■警察が横断歩道の取り締まりを強化する理由
2022年の交通安全白書によると、2021年における交通事故の死者数は2636人であった。
1970年の1万6765人に比べると、約16%まで減少している。
死亡した状況を見ると、最も顕著に減ったのは自動車乗車中の事故だ。
1970年頃をピークに減り始め、1980年代の後半から保有台数の増加によって一時的に増えたが、1990年代以降は、安全装備の充実によって大幅なマイナスに転じている。

一方、歩行中の死亡事故は、歩道の整備などによって1970年頃から1980年頃にかけて大幅に減ったが、この後は横ばいが続く。
自転車乗車中の事故も同様だ。
死亡事故の推移を見ると、自動車だけが安全性の向上によって大きく減少している。
2021年に発生した死亡事故の件数を見ると、最も多いのは自動車の衝突事故で791件(約30%)だったが、2位は歩行者横断中で、612件(約23%)を占める。
この状況を受けて、警察は信号機のない横断歩道の取り締まりを活発に行っている。

■歩行者に譲られたら、あなたはどう対応するか
横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる時は、車両は横断歩道の直前で停車して、歩行者の通行を妨げてはならない。
このことは道路交通法第38条1項にも明記されている。
しかし横断歩道の取り締まりを増やしたことで、別の課題も発生してきた。

例えば車両が横断歩道の直前で停車したのに、歩行者が渡らず、ドライバーに「先に行け」とジェスチャーで指示した場合だ。
特に高齢者は、歩行速度が遅いことを気にするのか、車両に対して通過を促すことがある。
この歩行者の指示に従って、そのまま車両を発進させたところ、取り締まりの対象になったことがニュースとして取り上げられた(その後、処分は撤回)。
この事例では、横断歩道の脇に歩行者がいるのに、無視して停車せずに通過したわけではない。
一度停車して、歩行者が横断歩道を渡ることができるように配慮した。
従って歩行者の通行を妨げてはいない。
その上で歩行者が渡らず、車両を進行させる趣旨の指示を行ったから、ドライバーはこの意思を受け入れて車両を発進させた。それなのに取り締まりの対象になった。

■違反の有無を左右する「現場の判断」
この点を警察関係者に尋ねると、以下のように返答された。
「取り締まりは、現場の判断に基づいて行われ、状況によって対応が異なる。
仮に歩行者が渡らず、手振りで車両の進行を促したように見えても、ドライバーの勘違いという場合もある。
一概にはいえない」。
それならドライバーがサイドウインドーを開いて「どうぞ渡ってください」と声を掛けて、歩行者が「いいえ、私は渡りませんから先に行ってください」と返答した場合はどうなるのか。
「この場合はドライバーと歩行者の間で、明確な意思の疎通が図られている。
車両は横断歩道の直前で停車した上で、歩行者の指示を受けて改めて発進させた。従って道路交通法の違反にはならない」 このほかにも「現場の判断」はあるのか。

「車両が停止すべきか否かは、歩行者と車両の距離によっても変わる。
例えば車両から見て横断歩道の右側(反対車線側)から歩行者が渡り始めた場合、道幅が広いと、自車が通行する左車線へ歩いて来るまでに時間を要する。
従って右車線を渡り始めた段階では、横断歩道の手前で停車しなくても、歩行者の通行を妨げたことにならない場合もある。これが現場の判断だ。

道路交通法に違反するか否かは、横断歩道の長さや道路の形状、歩行者と車両の位置関係、さらに先に話をしたドライバーと歩行者の意思疎通など、いろいろな事柄に基づいて判断される」

■信号機のない横断歩道が抱える問題の本質
この警察関係者のコメントは、取り締まりに限らず、信号機のない横断歩道が抱える問題点の本質を突いている。
歩行者とドライバーという、現場にいる当事者の判断に委ねるところが大きいことだ。
ドライバーは、歩行者が横断歩道の近くにいる時、運転しながら歩行者が渡るか否か、横断歩道の直前で停車すべきか否かを瞬時に判断せねばならない。
横断歩道の脇に立って、スマートフォンを使っている歩行者もいるのだ。
そして先のコメントにあった通り、歩行者が横断歩道の反対車線側(右側)から渡り始めて、自車が通行する左車線へ歩いてくるまでに時間を要する時など、停車する必要があるとは限らない。
そうなると信号機のない横断歩道は、ドライバーの判断が難しい場面になる。
横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる時は、もちろん停車せねばならないが、ドライバーの判断ミスも発生しやすい。
そのために事故に至る可能性も高いのだ。

■一時停止のせいで歩行者が死角に入る場面も
しかし信号機があれば、対応はシンプルで分かりやすい。
歩行者の有無にかかわらず、信号機の指示に従えば良いからだ。
従って横断歩道には、可能な限り信号機を併設すべきだ。
そうできない事情があるならば、交通量が少なく、走行速度も低く、なおかつ見通しの良い道路に限定せねばならない。
特に危険な横断歩道は信号機のない2車線道路だ。

私はかつて次のような経験をした。
神奈川県内にある2車線道路の左車線を自動車で走行中、信号機のない横断歩道の左脇に、歩行者が立っていることを認識した。
私が横断歩道の直前で停車すると、歩行者が左側から右側に向かって横断を開始した。
その時、私の車両のルームミラーとドアミラーに、右車線を後方から走ってくる車両が映った。
減速しておらず、横断中の歩行者は、私の車両の陰に隠れて右車線のドライバーからは見えない可能性も高い。
そこで私はサイドウインドーから手を出して、減速するように促した。
知人も私と同様の経験をしており「慌てて右側のドアを開いた」という。

■止まるのと進むのと、実はどちらが安全か
道路交通法第38条2項には、横断歩道の手前で停車している車両がある場合、その側方を通過する時は、前方に出る前に一時停止しなければならない、という趣旨の記載がある。
従って前述の右車線を走る車両のドライバーも、私の車両の右側を通過する時に一時停止しなければならないが、それを怠れば事故に直結する。
私が横断歩道の直前で停車した遵法運転により、事故が発生する可能性もあるわけだ。
そのために私は、2車線道路の信号機のない横断歩道では、その脇に歩行者が立っていても停車するとは限らない。

2車線道路は概して走行速度も高く、前述のような後続車両が事故を発生させる心配がある時は、道路交通法の違反を認識しながら通り過ぎる場合もある。
私が停車して、歩行者が交通事故の犠牲になる危険が高まるなら、通り過ぎるのが正しい現場判断と考えるからだ。
そして歩行者は、車両の流れが途絶えた時に、安全に渡っていただきたい。

ここで問題になるのが、横断歩道における取り締まりだ。
今までは安全を優先させる現場判断により、通り過ぎていた状況でも、取り締まりが頻発するとあえて停車する。
それによって危険が生じかねない。

■2車線道路には必ず信号機を設置すべき
そうなると2車線道路の横断歩道で、自車が停車して歩行者が横断を始めた時は、後方の様子にも気を配る。
状況に応じて、後方から接近する車両に、歩行者が横断中であることを知らせねばならないからだ。
そして今のような取り締まりを行うなら、少なくとも2車線道路で信号機のない危険な横断歩道は廃止すべきだ。
信号機を必ず設置して、事故防止を積極的に行わねばならない。

1車線道路の横断歩道は、歩行者がいたら必ず停車するが、この時も自車の車線だけが渋滞している時は注意が必要だ。
歩行者が左側から横断を開始した時、対向車線のドライバーからは、歩行者が手前に並ぶ渋滞車両の陰に隠れて見えない場合がある。
対向車線のドライバーが横断歩道を見落とすと(特に雨天時は路面に描かれた横断歩道の表示が分かりにくい)、交通事故が発生する危険が高まる。
この時に横断歩道の直前で停車している車両が右ハンドル車であれば、ドライバーからは目の前を渡る横断歩道上の歩行者と、対向車の両方が見える。
両者が衝突する危険が生じたら、歩行者か対向車のどちらかを止める必要が生じる。

■取り締まりのために危険を見過ごしてはいけない
以上のように信号機のない横断歩道は、ドライバーのミスを誘発させ、交通事故を発生させる危険をはらむ。
それなのに警察は、物陰に隠れて横断歩道の取り締まりを行う。
警察官が物陰に隠れて見ている前で、交通事故が発生したらどうするのか。
本来なら防げた事故を見過ごしたことになってしまう。
警察官を横断歩道に配置するなら、物陰に隠れて取り締まりをするのではなく、横断歩道の脇に立って歩行者が安全に横断できるようサポートすべきだ。
あるいはドライバーに対して注意喚起を行う。

取り締まりも交通事故を防ぐ手段のひとつではあるが、歩行者のサポートや交通整理は、それ以上に有効で事故を直接防げるからだ。
高速道路における速度超過違反の取り締まりも同様だ。
覆面パトカーの取り締まりは、速度超過違反を敢えて見過ごして、その上で検挙するものだ。
白黒のパトカーで赤色灯を点灯して走らせ、高速道路全体の走行速度を整えたほうが、事故防止に役立つ。

横断歩道から高速道路まで、取り締まりのために、危険を見過ごしてはならない。

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渡辺 陽一郎(わたなべ・よういちろう)
カーライフジャーナリスト
1961年生まれ。神奈川大学卒業
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高い授業料、PC詐欺に騙されました。

PC詐欺.png
警告音がなり 冷静さを失う
10/7の23時過ぎに起こりました。
昼間、女優の写真などのネットサーフィンをしていたら、導入していない「Mcafee」のウィルス汚染警告が頻繁に画面にあらわれました。
おかしいなと思う冷静さが まだあり 導入している「ウィルスバスター」で精密スキャンし「異常なし」

この時点でPC内の「Mcafee」を削除しようと探したのですが 見つからず、「ウィルス感染警告」を無視していました。

23時過ぎ、この「Mcafee」が 大暴走して 警告音が鳴り響き、画面にマイクロソフト技術サポート「050-5479-8590」に連絡をしてくださいの画面が。

警告音に我を忘れ 「詐欺」に気づくまでの2時間の攻防戦が始まりました。

電話に出たサポートエンジニア氏が
リモート操作できるようにPCを操作させたうえ、「こんなにPCが汚染されています」「今から復旧させますが。のちの安全のために マイクロソフトが推奨するアンチウィルスソフト10年有効 65000円を導入しましょう」と「今からコンビニでBitCashを購入し 指示画面に買ってきたらHAIと打ち込んでください」
「その間、私はPC復旧の作業をすすめます」と・・・。

深夜 コンビニでBitcash購入、リモート画面での資金のやりとり、冷静になれば 「オカシイゾ!!」と気づくのですが、
ウィルス警告音・マイクロソフトの電話番号・出た相手が中国訛りのある米国人で 相手の言うまま 深夜ローソンに行き
65000円のBitCashを購入(昼間、生活費で10万円を引き出していたのが 敗因!!)

相手の画面にHAIと打ち込み BitCashのひらがなIDを入力。
幸か不幸か 1枚のIDを打ち間違えたことが 冷静さを取り戻すキッカけに。

「入力を間違えたので カード無効になったので 新たに今からコンビニに行き買いなおして欲しい」
「そうでなければ 復旧作業が進められない」と。

いくら冷静さを失っていても ここで「詐欺では と気づきました」
「深夜に初老が コンビニでBitcashを2回で13万円を購入したら コンビニ店員は 不信に思い警察に連絡しますよね」と私が言ったら 「違うコンビニで買えばいい」「マイクロソフトの技術者を信用してほしい」「後で 返金するから 今はすぐにコンビニに行って」

私も堪忍袋がきれ
「もうやめましょう」「何の保証もなく コンビニで13万円買う余裕があると思っているのですか??」「いいです、PCは廃棄して買いなおします。あなたを信じて情報漏洩はなしと信じたいです」と宣言。

そう宣言したら「深夜に抵抗があるのなら 朝7時に電話しますから その時にコンビニに行ってください」
「それまでは 画面をロックします」とロック。
***********************
決定的に「詐欺」と気づいたのは、この時です。
マイクロソフトのアンチウィルス導入費だったはずが PC復旧費にすり変わっていたのです。

ロックの掛かったPCを前に 以前何度か試した 電源ONと同時にF2を押し続けるを試して ロック解除。
それから 個人ファイルを残して初期化を選択して実施。

7時までに完全に自力復旧し マイクロソフト技術者と対決するつもりで電話を待つも 10日1時現在まで連絡なし。

2次被害は免れたものの 65000円という年金生活者にとっては大金を失う 「詐欺の授業」でした。

知識で知ってはいても 警告画面・警告音とサポートページの巧妙さで 冷静さを失った体験記です。
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同じ被害にあわないために

ハッカーやウィルス汚染にたいする防衛は 「冷静な判断力」
前記事で 私のウィルス被害を報告しました。
同じ詐欺にあい泣く人が出ないように 反省を「詐欺体験記」として 何回かにわけて報告したいと思います。

「詐欺被害体験記 1回」
違和感を大切に!!
詐欺被害の原因の第一は、私の「根拠ない楽観主義」でした。

パソコンに導入していない「McAfeeのウィルス汚染警告」画面が頻繁に出ているとき、アンチウィルスソフトとして入れている「ウィルスバスタークラウド」で総スキャンをして「異常なし」、「McAfee警告画面」を脅威として認識していない結果でした。
おまけに「McAfeeの30日無料体験版」をインストールし 警告画面と同じ クイックスキャンをしたところ「異常なし」

ここで「汚染警告」に違和感を持ち、再起動・システムの復元・初期化回復などで 「警告画面」を消すチョットした労力をしていたら後の展開も違ったと想います。
 放置したことで 10時間程度でアラームのなる仕掛けがあった??「警告画面」の暴走がおこり 私から「冷静さ」を失わせパニックにしてしまいました。

馬鹿げた話ですが、導入していない アンチウィルスソフトの警告画面が出た時点で 「おかしい」「警告画面自体が 悪意あるファイル」と気づくのが 正常な判断力。

昼間、木村文乃さんの写真を検索していたので そのうちのいくつかのHPにはウィルスが仕込まれていても不思議ではないと 変に覚悟していたので 汚染は不思議な出来事ではなかったのですが、まさか「ウィルス汚染警告画面自体が 悪意あるファイル」とまでは 予想外でした。

McAfee30日無料体験版をインストールして 確かめる作業までは正解ですが、汚染警告画面を放置し暴走させてしまったのは 私の根拠ない楽観主義的横着が招いた事態。
65000円を失う入口を 自ら開けてしまったことになります。

気づくチャンスはあったのです。ウィルスバスターを入れているのに McAfeeの汚染警告が出た時点です。

McAfeeを入れている人は 疑いもなく汚染警告を信じたかもしれません。

ちょっとした違和感、オカシイゾとか感じたら 踏みとどまり 冷静に考え 「詐欺かも」と疑う姿勢も大事かなと 思う次第です。
世の中には 詐欺を考える悪い奴もいるのです。    


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2022年10月11日

詐欺被害体験記 2回

詐欺被害体験記2回
冷静さを失うとき 詐欺にあう。

夜の11時過ぎに 突然、ウィルス汚染警告音が鳴り響いたら 冷静でいられますか??
私は「McAfeeのウィルス汚染警報は 間違いだ、架空の汚染だ」と放置したために この突然の暴走でパニックに陥りました。

「ウィルス汚染警告」に 気づいた段階で真剣に対処していれば 警告音でパニックにはならなかったでしょう。 
画面に現れたサポート電話番号 050-5479-8590 に電話してくださいに従い電話。

電話口に出たのは たどたどしい日本語の中国出身米国人という自称「技術者」

彼に言われるままパソコンを操作し リモート画面に。

彼曰く 他社のアンチウィルスソフトは 感染を見逃すことがある、Microsoftのアンチウィルスソフト5種を導入すれば そのようなことはなく安心して使用できる。
5年程度で有効期限は十分と言ったら 新しいパソコンに引き継ぐことが できるから 10年有効期限のセット 6万5千円がお勧めです」というので 「ハイ  よろしく」と返事してから 詐欺疑い一直線。

サポート氏「これから作業をはじめますので 今からコンビニで Bitcashで 65000円購入してください」「帰ったら画面で HAIと打ち込み知らせてください」

コンビニでですか??  深夜の今からですか??のため息に 「マイクロソフトの技術者を信用してください」の言葉に 半信半疑ながら 昼間生活費としておろした10万円があったために ローソンに行き購入。

帰宅して HAIと打ち込んだら 作業が30%すすんでいます。さらに作業を進めるために BitCashのIDを打ち込んでくださいと。

幸か不幸か 1枚のカードにID入力ミス。

サポート氏「正しいIDを記入して下さい」と記入させたあと、「1回で正しく入力されなかったので カードが無効になり 今一度 新しく購入した上に 1回で正しくIDを打ち込む必要があります」と わかるようなわからないような回答。

そこで私は 「入力ミスで無効になったのなら 現金はカードに戻っているということですか??」
1枚は正しいIDであり 2枚目も訂正記入したのに そのお金は今どこにあるのですか??」

サポート氏 答えられず「追加カード購入分は あとで責任をもって返金しますから 今はコンビニで購入をしてください」

ここで完全に切れた私は「深夜に初老が 13万円分の BitCashを購入したら まともな店員なら 詐欺を疑い警察に連絡しますよね」に対し
「別のコンビニで購入すればいい」と墓穴を掘るような言葉。

ここでようやく私は、「もうやめましょう」、電話で返金のためとの名目で 口座番号を 見ず知らずの人に知らせるバカはいないでしょう。
初めのカードの6万5千円の現金の行方があいまいなまま 新たに買うバカがいますか??

サポートの彼氏は まだ騙せるとおもったのか、「深夜で抵抗があるのなら 朝7時に電話しますから その時にコンビニにいってください」
「それまでは画面ロックをかけておきます。」とロックをかけ 電話をきりました。

この行為は きわめて悪質な行為です。画面ロックを解除したければ 金を払え!!という脅しですから。

ワープロからはじめて ウィンドウ95からPCに移って 試行錯誤で 今にいたっている 初老をバカにするなと 次回体験記のような復旧方法をとることにしました。 
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ネットトラブル時こそ冷静に!! パニックになるのを詐欺師は待っている。

詐欺被害体験講座 3回
冷静になれば 詐欺は矛盾だらけ

詐欺の流れとして
@身に覚えのない アプリがはいっている
➁アプリは 削除できないようにPC内に隠れている
➂突然暴走し パニックに陥らせる
C(詐欺)サポート内に誘導し パニックになっている持ち主から 金をださせる。
D理由をつけて 金額を吊り上げる
E拒否できないように 画面ロックし追い詰める
    が特徴でした。

コンビニでBitCashを買わせる話が出た時点で 「詐欺」と断定してよい。

たとえ 画面ロックをされても 自力復旧の道がある。

私の自力復旧
@電源をいれると同時に F2を押しつづけ BIOSをよびだす。
➁BIOS設定画面になれば 画面ロックは外れる。
➂「個人ファイルを残し初期化」を選択する。
 *大切なデータは 日頃からバックアップをする。
CWindowの再設定、マウスを有効化する、アンチウィルスソフトをインストールする。

でほぼ ウィルス感染前のPCに戻る。

感染が軽い場合は、再起動、トラブルシューティング、アンチウィルスソフトで解決が可能なようです。
冷静に お金は電話では支払わない、操作ブックに戻るを 習慣にして 悪質なウィルスやハッカーとの防衛戦に 引き分けに持ち込み 被害ゼロを目指してください。

深夜12時過ぎに ローソンでBitCashを購入してしまった私の愚かさは苦笑いするしかない。
なまじっか PCの知識がある、自分は詐欺にはあわないと根拠のない自信を持つ、違和感を持った時 その原因を考えず 放置してしまう人 などは 詐欺師からみると お金をだすカモかもしれませんよ。

ブログ記事を印刷して 警察と消費者センターに相談したいと思います。
被害回復は望めないものの 警察と消費者センターに事例として残し 今後同じような被害にあわないための助けになればと思う次第です。
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2022年10月12日

自衛隊時代の性被害訴えた五ノ井里奈さん、SNSでの誹謗中傷に「もう耐えるのも疲れてきた」

自衛隊時代の性被害訴えた五ノ井里奈さん、
SNSでの誹謗中傷に「もう耐えるのも疲れてきた」
10/11(火) 日刊スポーツ

陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元1等陸士で、性被害について防衛省から謝罪を受けた五ノ井里奈さん(23)が11日、ツイッターを更新。
SNS上での誹謗(ひぼう)中傷や事実無根の書き込みに、「もう耐えるのも疲れてきた」と吐露した。

 五ノ井さんは自身に向けられた複数の誹謗中傷投稿を貼り付け、「人を中傷する人生なんて何が楽しいのか分からない。誰かの悪い所10個探すより人の良いところを10個探した方が楽しい。
早く笑って過ごしたい。もう耐えるのも疲れてきた。
自衛隊側は手遅れになる前に早く本人達の謝罪をして下さい」と訴えた。

 続くツイートでも、「事実無根。こんな事を言われるために自衛官になった訳でもない」と反論。「言葉で人は亡くなります」と呼びかけた。
 五ノ井さんは訓練中に男性隊員から性被害を受けたことを告発。
8月に防衛省に対して第三者委員会による調査を求める署名を提出していた、
防衛省は内部調査で2020年秋から昨年8月にかけて訓練中に複数の男性隊員が五ノ井さんを押し倒すなどの行為を確認したと29日に発表し、五ノ井さんに全面的に謝罪した。

関与した隊員の特定を進め、速やかに懲戒処分にするとしている。
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巧妙なウィルス詐欺攻撃に対する防衛戦

パニックにならないことが防衛戦の第一歩

パニックに陥入り 65000円の詐欺被害にあった小だぬき。
深夜にコンビニでBitCash購入という 異常行動をとった心理。
この詐欺は どの段階で防げたのか または防げなかったのか 検証したいと思います。

このウィルス詐欺は
@ 偽「McAfeeアンチウィルスソフトのウィルス感染警告」画面
➁ 「警告画面の暴走、甲高い切り裂くような警告音」
➂ マイクロソフトの サポート電話番号の表示」
C サポート技術者と称する詐欺師の登場

この4つの要素が パッケージになった ウィルス詐欺であったことが特長です。

@ウィルス感染画面

「詐欺被害体験講座」で述べましたが、私は「ウィルスバスタークラウド」を入れています。
常識的に「McAfeeの汚染警告」がでるはずはないのです。
当然、ウィルスバスターで スキャンをし確認しましたが 「感染なし」
ここで悩むのです。
頻繁にでる「McAfeeの感染警告画面」をどう考えるべきかということです。
購入時 プレインストールされていた「McAfee」を アンインストールしたのですが、記憶違いなのかと不安になって ウィルスバスターのスキャン結果を信じきれなくなってしまったのです。

「McAfeeの汚染警告」から スキャンしようとすると McAfeeの購入ページ(正規)に飛んでしまうのです。
この段階で 汚染警告そのものが ウィルスファイルだと断定できる知識があればと思います。
そのために「汚染警告」を削除する行動の試行錯誤ができなかった。
結果的に放置したために 次の甲高い警告音に繋がったのです。

正規版の「McAfee」を導入してている人は 偽警告と気づけない恐れがありより深刻。

➁汚染警告の暴走、甲高い警告音

深夜11時過ぎに 警告画面が「甲高い警告音」に変わりました。
この時点で頭が真っ白、パニックに陥りました。

画面にあらわれた「マイクロソフトサポートにお電話ください。050-5479-8590」に迷いなく電話。
冷静に考えれば 「McAfeeサポート」でないとおかしいですよね

➂詐欺師登場
「マイクロソフトサポート」に電話したと信じている パニック状態にある小だぬきは、Microsoftサポートの技術者と称する詐欺師を全面的に受け入れてしまいました。

警告音→サポートページ→サポート担当の流れに 疑問を持てるはずもない心理状態でした。

この心理状態が 深夜コンビニで「BitCash 65000円 購入」という 単純な詐欺に抵抗なく従う結果になりました。

詳しいやり取りは 前号に譲りますが、パニックから落ち着くに従い おかしいと気づくのです。

C教訓
読者が同じ詐欺にあわないようにと祈りつつ いくつか反省を込めて述べてみたいと思います。

・深夜コンビニでBitCash を購入 決済などということは、ありえない。
・詐欺師にPCがリモート操作されている段階でも 詐欺と気づいた時に PC電源を落とす。
 PCは 再起動かF2 BIOSで復旧は可能です。
・ウィルス詐欺というのは 何段階かの段階を踏んで パニックに陥らせることにより実行される。

防御策は、とにかく冷静になることしかないと思います。
「自分は詐欺にあわない」という 根拠なき楽観論では 大きな被害に繋がりかねません。
詐欺は パニックを生じさせ 冷静な判断力を奪うことにより成立します。

私の65000円が 多くの人の被害防止に少しでも役にたつことを信じて「被害者のぐち」を終わります。
posted by 小だぬき at 05:44 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年10月13日

お金の出入り口を狙った「決済詐欺」攻防の歴史

お金の出入り口を狙った「決済詐欺」攻防の歴史
カード偽造からフィッシング、CEO詐欺まで
ゴットフリート・レイブラント : SWIFT社 元CEO / ナターシャ・デ・テラン : SWIFT社 元コーポレートアフェアーズ部門責任者
2022/10/11 東洋経済オンライン

銀行強盗や振り込み詐欺など、昔から犯罪者達は大金を求めて、お金の出入り口である「決済」の現場に目を光らせている。もちろん、守る側もただ黙って指をくわえているわけではなく、そこには激しい攻防を繰り広げてきた歴史がある。

決済オタクであり、S W I F T(国際銀行間通信協会)の元C E Oでもあるゴットフリート・レイブラントの新刊『教養としての決済』(ナターシャ・デ・テランとの共著、大久保彩訳)から、カード業界を例に、詐欺師と業界との攻防の歴史を解説する。

ドラマ『ペーパー・ハウス』は時代錯誤
ネットフリックスの人気ドラマシリーズ『ペーパー・ハウス』では、「プロフェッサー」と よばれる首謀者が遠隔で指揮をとりながら、さまざまな分野に強みをもつ泥棒の集団が、スペインの王立造幣局──通称「カサ・デ・パペル」(「紙の家」という意味で、スペイン語版の原題にもなっている)──に侵入する。
泥棒たちは、警察が予想したようにたんに戦利品をつかんで逃げるのではなく、人質たちとともに立てこもり、印刷機(そしてこのドラマシリーズ)を動かし続ける。
11日間そこにとどまり、追跡不可能な紙幣を24億ユーロ印刷することがかれらの目的なのだ。
この筋書きは独創的でドラマチックかもしれない。
しかしその巧妙さとは裏腹に、この強盗は実にアナログなものだ。

デジタル社会の現代において、「プロフェッサー」ほど創意にあふれる人物の手口とは思えない。
決済の分野では、サイバー犯罪との戦いが以前から大きな課題となっているのだ。
画面上であれ実生活においてであれ、アナログ決済もデジタル決済も、盗難や詐欺のリスクをはらんでいる。
なぜなら決済はお金の出入り口だからだ。

決済は城の跳ね橋のようなもので、橋が下りているときには、どんな難攻不落の城でもその全体が攻撃に対して脆弱になる。そして跳ね橋のように、攻撃のリスクを管理することも、各決済手段の役割の一つである。
しかし、泥棒や詐欺師は創意に富み、知恵の回る連中であり、テクノロジーに関して優位に立つことでアドバンテージが得られると知っているのだ。

その一例としてカード詐欺を見てみよう。

カード業界VS.カード詐欺業界
カード詐欺の業界は、カード業界そのものとまったく同じように、活気に満ち、絶えず変化している。
そして、デジタル時代に合わせてアップデートされてきた。
初期の厚紙製のカードは複製が簡単で、カード保有者のサインを捏造するのもさほど難しくはなかった。
エンボス加工されたプラスチック製カードが登場すると、犯罪者たちはゴミ箱から古いカーボン紙の伝票を回収し、そのデータを使って偽のカードを作成した。
クレジットカードに磁気ストライプが搭載されたときには、ストライプにふくまれる情報はエンボス加工でカードに記された文字と同じであることをすばやく突き止めた。
それゆえかれらは、引き続きゴミ箱から古いカーボン紙の伝票を回収し、偽のカードの磁気ストライプにそのデータを入力するだけでよかった。

対策として、カード会社は3桁のCVV(カード照合値)コードを磁気ストライプ──カードそのものではなく──に追加した。これは店頭では機能したが、電話越しではうまくいかなかった。
ユーザーは自分のカードの番号と有効期限を伝えることはできたが、CVVコードはわからなかったからだ。
そこでカードネットワークは2つ目の3桁のコード、CVV2を追加しなければならなくなった。
CVV2はカードの裏面に印刷された。
これによってCVV2のカードを持っている人は自分のコードを販売店に伝えることができるようになったが、そのコードはエンボス加工されていなかったのでカーボン紙の写しには表示されなかった。

ゲームオーバー?
まったくそんなことはない。
詐欺師たちは、紙の伝票を読む方法から、磁気ストライプ(CVVコードをふくむ)を「スキミング」する方法へとすばやく移行した。
たとえば、店舗の端末やATMに小さな読み取り装置を取り付けることによって。カード業界はチップ(磁気ストライプよりもコピーするのが難しい)をカードに搭載することで対応した。
また、かねて詐欺に利用されやすかったサインの代わりにPINコードを導入した。
カード業界が防御策を講じると、詐欺師たちは規模を拡大し、販売店のコンピューターシステムをハッキングするようになった。

オンラインでのリピート購入を促進するために保存されている、顧客のカード情報が狙いだった。
アメリカの巨大小売店、ターゲット(今となっては、良い名前には思えない)が2013年にハッキングされたときには、犯罪者たちは4000万枚のクレジットカードおよびデビットカードの情報と、さらに7000万人の顧客のデータを入手した。

カード業界は、トークン化で対抗した。
これは、機密性の高い口座情報を、固有の一時的なデジタル識別子──「トークン」──に置き換え、オンラインや店舗やアプリで使用できるようにするものだ。
これにより、実際の口座情報を開示することなく、決済を処理することができる。
このような「ハード」面の対策に加えて、銀行とカードネットワークは不正取引を特定するためのパターン検出もおこなっており、そこではアルゴリズムがますます重要な役割を果たすようになっている。

結果として、カード業界は、不正行為をカード支出全体の0.1〜0.2% 程度になんとか抑えている。
これは、このような損失をはるかに上回る利幅を享受している業界にとっては容易に吸収できる額であるが、つねに犯罪者たちに後れをとらないようにしていく必要がある。

新しい決済詐欺、フィッシング 一方で最近では、メールやソーシャルメディアを利用した詐欺にも対処しなければならない。 メールの登場によって、詐欺師はかつてないほど多くの人々に接触できるようになった。
何千もの潜在的なターゲットに接触するなかで、必然的にかれらはそれなりの人数をだまし、ユーザーネームやパスワード、クレジットカード情報などの機密情報を提供させている。
「フィッシング」とよばれる行為だ。

ソーシャルメディアが登場すると、フィッシングはひとつ上のレベルに引き上げられた。
「スピアフィッシング」では、詐欺師はより正確に被害者に狙いをつけることが可能になった。
特定の個人や組織にカスタマイズされたメッセージを送り、悪意ある目的のためにデータを盗んだり、ユーザーのコンピューターにマルウェアを植え付けたりするのだ。

とりわけもうけが大きいのは、「エグゼクティブホエーリング」あるいは「CEO詐欺」とよばれる手口である。
犯罪者は、ターゲットが属する組織の幹部社員をよそおって不正なメッセージを送り、社員をだまして、多額の支払いをおこなわせたり、機密情報を開示させたり、コンピューターシステムのアクセス権を付与させたりするのだ。

ソーシャルメディアは情報の精度を高める機会を与えている。
たとえば、フェイスブックやリンクトイン(LinkedIn)を調べることで、CEOが長時間のフライトに乗るのはいつか、上級役員たちがそろって会議に出席するのはいつか、(指示に疑問を抱く可能性が低い)新入社員を狙えるのはいつか、といった情報を入手できることがあるのだ。

シリコンバレーのスタートアップ企業、ユビキティ・ネットワークス(Ubiquiti Networks) は、2015年にこの手の詐欺に見舞われた。
当時、着任してわずか1カ月だった最高会計責任者(CAO)が、創業者兼CEOから、またロンドンの法律事務所の弁護士からと称するメールを受け取った。
そのメールの差出人は、ユビキティは極秘の買収をおこなっているのだと説明し、海外の銀行口座に電信送金をおこなうようにこのCAOに指示を出した。
彼は17日間にわたり、ロシア、中国、ハンガリー、ポーランドの口座に14回の送金をおこなった。
総額は4670万ドルにのぼったが、その大部分は二度と戻ってくることはなかった。

同社がはじめてこの詐欺に気がついたのは、一部の取引がおこなわれた香港の口座を監視していたFBIから警告を受けたときだった。

私がCEO詐欺を回避できた理由
もちろん、このような被害を受けたのはユビキティだけではない。ほかにも、アメリカの決済送金サービス会社ズーム(Xoom、2015年に3080万ドルの損失)、オーストリアのFACC(2016年に5000万ユーロの損失)、ベルギーのクレラン銀行(2016年に7000万ユーロの損失)、ドイツのレオニ(2016年に4000万ユーロの損失)、フェイスブック(2017年に1億ドルの損失)、グーグル(2017年に2300万ドルの損失)など、数多くの被害者が存在する。

私がスウィフト(SWIFT)のCEOを務めていたとき、会社の財務担当者宛に、私をよそおった詐欺メールが届いた。
スウィフトの当時のCFOはフランス語を母語としていたが、その詐欺メールを発見し、痛烈な申し添えとともに私に注意を呼びかけた。
「ゴットフリートさん、あなたがフランス語を話せることは知っていますが、これがあなたからのメールであるはずがない。フランス語が完璧ですから──アクセント記号までばっちりです」
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2022年10月14日

マイナ保険証の“ゴリ押し&恫喝”義務化に「廃業に追い込まれる!」医療現場の悲鳴上がる

マイナ保険証の“ゴリ押し&恫喝”義務化に「廃業に追い込まれる!」医療現場の悲鳴上がる
2022年10月13日 日刊ゲンダイDIGITAL

河野太郎デジタル相は13日、2024年秋にも紙の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードを保険証代わりに使う「マイナ保険証」に一本化する方針を発表した。
マイナンバーカードが普及しないため、保険証を“人質”にして、マイナンバーカードの取得を事実上、強制する暴挙に出た格好だ。

マイナ保険証の一本化には医療現場からも悲鳴が上がっている。
 医療機関に対しては、23年4月からマイナ保険証に対応するシステムの導入を義務化する方針だ。
半年後には義務化がスタートすることになる。
 開業医などでつくる埼玉県保険医協会が実施した調査(8月24日〜9月9日=医師297人、歯科医師214人)によると、9割が4月からの義務化に反対だった。

「かかった費用をすべて国が負担してくれるわけではありません。
IT環境が整っていない開業医も少なくなく、機器や回線を整備するのに一定の費用がかかります。
また、患者への説明など窓口負担も大きくなります」(保険医協会事務局の担当者)

 個人情報の塊と言えるマイナ保険証を扱う医療機関にとって、院内でのセキュリティー面の不安は計り知れない。
医療スタッフが不満を持つ患者に対しマイナ保険を使うように説得するのも大変だ。

■「保険医取り消しも」と恫喝
 厚労省は強硬姿勢だ。
8月24日の厚労省の説明会で、水谷忠由医療介護連携政策課長は、義務化に応えられない医療機関について「保険医療機関・薬局の指定の取り消し事由となり得る」と“恫喝”している。
保険が使えなくなれば、ほとんど患者は来なくなり、いずれ病院はやっていけなくなるはずだ。

 調査では義務化を機に廃業を検討する声も寄せられた。
〈高齢のため新しいシステムへの適応が難しく廃業に向かうしか道はありません〉(内科)
〈当院のような小規模診療所ではシステムの維持、管理費の負担があまりにも大きく、廃業に追い込まれるのではないかと懸念しています〉(精神神経科)
〈義務化されたら閉院します。患者さんにもアナウンス済みです。かなり、怒っている方がおられる現状です〉(60代歯科)

「医療行為と全然関係ないことで廃業するのは、医者にとっても、患者さんにとっても不本意なことです。
オンライン資格確認は、義務化ではなく任意にとどめるべきです」(前出の担当者)

 河野大臣は医者も患者も歓迎しない義務化をゴリ押しするつもりなのか。
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2022年10月15日

「自衛隊は時間にルーズな組織」と米軍が思う訳

「自衛隊は時間にルーズな組織」と米軍が思う訳
元陸自隊員が驚愕した米軍との「文化の違い」
ぱやぱやくん : 元自衛官
2022/10/14 東洋経済オンライン

「陸上自衛隊」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持たれるだろうか?
 一番身近なのは、教科書やテレビでもおなじみの、災害派遣やPKO(国連平和維持活動)などで活躍している姿だろう。
戦車に乗る姿や、厳しい訓練に勤しむ様子を思い浮かべる方もいるかもしれない。
確かに、これらは実態と乖離ない事実だ。
しかし一方で、これらは、自衛官の「オン」の姿であると言える。

ビジネスパーソンが、仕事モードのときとプライベートのときとでは行動や言葉遣いを切り替えるように、自衛官達もまた、「オフ」の姿がある。
Twitterフォロワー21万人超えのぱやぱやくん(@paya_paya_kun)は、知られざる陸上自衛官の”オフ”の姿、彼らのユーモアあふれる日常や恋愛事情、家族生活までを語る元自衛官。

本記事では、ぱやぱやくんが陸上自衛隊と米軍の違いや、米軍から学んだことを紹介する。

「国」が変わればますらおの文化も変わる
自衛隊では、米軍と共同作戦を行うこともあるのですが、彼らと一緒に作戦をすると「そもそもの考え方が違う」とつくづく実感します。
皆さんも「外資系企業で働いてみたら日本企業と違うことが多くて驚いた!」なんてエピソードがあると思いますが、それと同じように、自衛隊と米軍にも大きな差があるのです。
アメリカの風習が影響していることが主な理由かと思いますが、それ以外にも実戦をつねに経験している米兵からは、気づかされることは多くあります。
そんなアメリカのますらおたちから教わったことをいくつか紹介していきましょう。

日本では「時間をしっかりと守る」いうのが当然のマナーですし、特に陸自のますらおたちは時間厳守を叩き込まれています。
しかし、米軍から見れば「自衛隊は時間にルーズな組織」と映ることもあるようです。
というのも、彼らにとっては「始まりと終わりの時間を破らない」というのが当然のルールだからです。
自衛隊に限らず、日本の組織は開始時刻には非常に厳しいのですが、終わり時間がルーズなことが多いですね。
会議の時間は当たり前のように延び、飲み会もダラダラと終わることがなく延びていきます。
これは、日本人が「場の空気」を大切にすることが要因だと思います。
終了時間が延びたからといって、「ほな、私は時間なので失礼するでおじゃる」と言って勝手に帰ると、戦国時代なら織田信長あたりに打首にされるでしょう。

しかし、「場の空気が支配する文化」がない米軍はそうではありません。
終わり時間を守らないことは「他人の時間を奪う」という行為であり、部下の時間を奪う上官は最低の上官なのです。
そのため、たとえ戦場であっても可能な限り定刻に終わるように調整をします。
どんなに無理な場合でも、一定期間戦場に行ったら一定期間バカンスを与えます。
そのようにして、きっちり仕事に従事すべき時間とそれ以外を分けるのです。

そして誰もいなくなりかけた、日米パーティー
自衛隊と米軍でちょっとだけフォーマルなパーティー(飲み会)をしたときの話です。
自衛隊側の調整ミスで式の始まりが45分遅れたため、自衛隊側はそのまま45分遅れでパーティーを司会進行しました。
当然、予定解散時刻になっても予定を後ろに倒す形で会は続いていたのですが、なんとパーティーがまだ終わっていないのに米軍側は帰ってしまいました。
自衛隊側は「おいおい! マジかよ!?」と唖然としましたが、米軍側にとってはフォーマルなパーティーは半ば仕事と同じであり、本来の解散時間に帰って家族サービスをすることはごくごく当たり前なのです。
ただ自衛隊側は「よし! じゃあ俺たちも帰りましょうか」とはとても言えず、そのまま会を進行することになってしまいました。
ところが、もちろん肝心の米兵はほぼほぼ帰ってしまっています。
会場には、エドワード・スノーデンに雰囲気が似ているナードっぽい米兵1名のみが残されていました。

彼は、自衛隊側が「頼むから俺たちの一発芸見てくれよ!」と頼み込んで残ってもらったのです。
そして、陸自のますらおたちは、そのスノーデンに対して「タッチのOP曲が流れる中、C3POとストームトルーパーが相撲する」という一発芸を披露しました。
これにはスノーデンも苦笑いで、自衛隊側の気分は浅草キッドの「客が一人しかいない演芸場」で芸を披露した気持ちでした。

アメリカ人に「場の空気」は関係ない!
ただ誤解してほしくないのですが、「米兵は飲み会やパーティーが嫌い」というわけではありません。
あくまでも「フォーマルな宴会は仕事と同じ」というわけです。
今時の若手社員が「プライベートの飲み会は大好きだけど、会社の忘年会はマジで行きたくない……」という感覚に似ています。
このあたりは日本人と一緒ですね。
ちなみに「ビール飲み放題! 騒ぎ放題! 肉もじゃんじゃん食べてくれ!!」といった感じのパーティーであれば米兵もウキウキです。
そして「日米腕相撲大会」とか、「日米相撲大会」が始まって大いに盛り上がり、時間になってもビールを飲み続けて帰ってくれなくなります。
家に遊びに来て、晩ご飯の時間になっても帰らずにゲームをやりたがる友達に似ていますね。

また、働き方についても米軍は「リーダーが残業をしていると部下が帰れなくなる」という考え方が根強く、できる限り定時に帰りますし、任務や訓練中の休息や睡眠についても自衛隊よりも重要視して時間を確保します。
そうした理由から、「米軍とは働きやすい」と言う幹部自衛官も多いです。

幹部以外の自衛官でも、そんな「個人の自由」と「ルール」をしっかり守る米軍の文化に憧れるますらおがたくさんいます。 米兵は今話題の「ジョブ型」という考えがかなり強いです。

職務内容が明確に定義されているので、違う仕事をやってほしくても「それは私の仕事ではありません!」と断られてしまいます。
その人が対応できるような業務であっても、与えられている任務と異なると基本的に対応をしません。
これが日本の役所であれば、「他の部署にたらい回しにするな! ふざけるな!」と顔をタコのように真っ赤にして怒る人が出てきそうですが、これが彼らのルールなのです。

また陸上自衛隊では、決定権が指揮官にあるので、それ以外の隊員の一存で何かを決めることは難しいです。
このように、陸上自衛隊は基本的に「隊長の指針」をベースに意思決定しますが、米軍は個人の権限が強いので分隊長レベルでも状況判断をガンガン行います。
この背景には、米軍は「権限」と「取るべき行動」に曖昧な部分が少なく、現場単位で速やかに状況判断しやすいことが挙げられます。
そうした違いがあるので、日米共同訓練などの打ち合わせでは、自衛隊側が即決せず「持ち帰って判断します」という回答をしがちなので、米軍側は少しヤキモキすることが多いようです。

米軍の指揮官は自衛隊が羨ましいことも?
米軍は物事すべてに明確な境界線を引く傾向が強いので、日米共同訓練でも自衛隊側との作戦の境界が明確です。
無条件で助けてくれるのではなく、「あくまでも自分たちの持ち場で戦う。自衛隊は自衛隊の持ち場で戦ってね」というのが米軍なのです。
なんだか米軍のやり方は理想的に思えますが、一方で米軍の指揮官が「上司の考えを察して動いてくれる自衛隊が羨ましい」とぼやいているのを聞いたことがあります。
隣の芝生が青いのは米軍でも同じかもしれないですね。
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2022年10月16日

岸田首相「決断」3度目の裏目 マイナカード“実質義務化”保険証廃止ブチ上げで霞が関大混乱

岸田首相「決断」3度目の裏目 マイナカード“実質義務化”保険証廃止ブチ上げで霞が関大混乱
2022/10/15 日刊ゲンダイ

 河野デジタル相が13日、2024年秋をメドに現行の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を記者会見して表明。
実質、マイナカード義務化だ。
運転免許証との一体化の時期を、従来の24年度末から前倒しする考えも示した。
「保険証廃止」ぶち上げで、保有率49%というカードの普及拡大を狙ったのは明らかだが、あまりに乱暴なやり方で既に霞が関は大混乱。
「聞く力」がご自慢の岸田首相の“決断”はまたしても裏目に出そうだ。
◇  ◇  ◇  
岸田首相は8月の内閣改造直後からカードと保険証の一体化を進めるよう河野氏に命じていた。
また、13日の会見直前、河野氏と加藤厚労相、寺田総務相を官邸に集め、岸田首相自ら関係閣僚で協力するよう指示を出したという。
岸田首相が前のめりになっているのは、過去の失敗の“リベンジ”を狙っているからだそうだ。
「一昨年の新型コロナ対策で政府が実施した一律10万円の給付金を巡り、自治体によって給付時期に大幅な差が生じるなど混乱を招きました。
原因として、行政のデジタル化の遅れが指摘され、当時、政調会長だった岸田氏は苦々しく思っていた。
あの給付金騒動では、岸田氏が主導した『減収世帯への30万円給付』がひっくり返され、そのトラウマもあるようです」(永田町関係者)

 これまでは現行の保険証も残るはずだったから、早速、調整不足が露呈した。
河野氏が保険証の廃止を明言した直後、加藤は、諸事情でマイナ保険証を取得しないケースも考えられるとした上で「(マイナ保険証を)持っていない人が診療を受ける際にどういう手続きをしていくのか、事情を踏まえて考えていく必要がある」と言い出したのだ。

現行の保険証が廃止されるのか、残るのか。デジタル庁と厚労省の見解が食い違っている。
 デジタル庁に確認すると、「保険制度を所管している厚生労働省にお尋ねください」(広報担当者)。
厚労省は「(現行の保険証を)従来通り使えるかどうか、対応をデジタル庁、総務省と連携して検討していく」(保険局医療介護連携政策課)と回答。

まだ方向性は検討中? 河野氏の会見は一体何だったのか。
 医療機関からは悲鳴が上がる。来年4月からマイナ保険証に対応したシステム導入が義務化される見通しのため、「小規模診療所ではシステムの維持管理費の負担が大きすぎる」(医療関係者)という。
内閣改造、安倍国葬に続き…  さらに、大荒れ必至なのがマイナ保険証取得の窓口である市区町村だ。
「今回の方針転換を事前に知らされておらず、困惑しています。
手続きは我々が引き受けることになりますから、今後、市民が窓口に殺到することが考えられる。対応できるのか不安です。
国は現場の事情を分かっていないのではないか」(東京23区の自治体関係者)

 政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「安倍元首相の国葬といい、内閣改造時期の前倒しといい、それまで何もしなかった岸田首相が決断しだしたら、批判を招き、支持率が下落している。
よかれと思っているのでしょうが、完全に裏目に出ています。
そもそも、個人情報の塊であるマイナカードは、紛失した時のリスクが高いわけですから、国民が取得に消極的になるのは当然です。
慎重に進めるべきなのに『現行の保険証を廃止するから早く切り替えろ』というのは、あまりに乱暴な発想。
ナンセンス過ぎます」 毎日新聞(9月17、18日)に続き、時事通信の最新の世論調査(7〜10日)でも、内閣支持率が27.4%の「危険水域」に落ち込んだ。

今回の一件で、さらに支持率が下落しそう。
そろそろ、国民に対して「聞く力」を発揮してはどうか。
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2022年10月18日

室井佑月氏がマイナカード義務化≠ノ「強制だよね」 大竹まことも「これは何だ?」

室井佑月氏がマイナカード義務化≠ノ「強制だよね」 大竹まことも「これは何だ?」
10/14(金) 東スポWEB

 作家の室井佑月氏が14日、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」に出演。
政府が進めるマイナンバーカードの実質義務化についてトークした。
 政府は2024年秋に紙の健康保険証を原則廃止。また運転免許証についても24年末の一本化を目指している。

 この動きに室井氏は「私はさ、このカードができるとかなりコストカットにはなると思うのよ。中に入っている人の人件費もそうだし」と一定の理解を示した。
 一方で「でも、やっぱり一番大事なのは、情報漏れたっていう住基ネットのこととかもあるでしょ? こっちカードのほうがいろんな情報が紐づけになりやすいじゃない。
こっからこれも、これもって増えていってるから」と指摘。

その上で「私は大事なのは、国民に信頼を得るための丁寧な説明だと思うけどな」と訴えた。

 メーンパーソナリティーの大竹まことは「これ最初『任意』って言ってたわけだろ?
 任意ですって言ってたのが今度は『義務』って言ってるわけだよね。
これは何だ?と。任意なら任意でいいじゃん、と。
事実上義務化…って義務だろ? それは。違うの?」と戸惑いを隠さず。

 これを受け室井氏は「義務っていうか、保険証を絶対にするんだったら『強制』だよね」と危惧していた。
東スポWeb
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2022年10月19日

岸田カルト政権「旧統一教会への解散命令」でも被害が消えない「地下活動化」の暴走

岸田カルト政権「旧統一教会への解散命令」でも被害が消えない「地下活動化」の暴走
2022年10月18日 アサ芸プラス

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる国会の動きが、風雲急を告げている。
 岸田文雄総理は永岡桂子文科相、河野太郎消費者担当相に、解散命令請求を視野に入れた「質問権」行使に向けての対応を指示したのだ。

「質問権とは、法令違反の疑いがある宗教団体を調査するため、関係者に質問する権限のことで、場合によっては、立ち入り検査も可能となります」(社会部記者)
 こうした動きを受けて、教団とズブズブどころか信者さながらの深い関係が発覚している自民党の萩生田光一政調会長は「結果として教団の信用を高めることに寄与してしまった、との指摘を真摯に受け止める。猛省しなくてはならない」と、衆院予算委員会で発言した。

 自民党は萩生田氏のほか、あとからあとから次々とズブズブぶりを指摘されて釈明に追われる山際大志郎経済再生相をはじめ、179人もの党所属国会議員の、旧統一教会との接点が判明した。
そんな「岸田カルト政権」も、コトここに至ってようやく、「選挙協力親衛隊」にメスを入れざるをえなくなったのだ。

 旧統一教会問題に関わる弁護士やジャーナリストなどからは「解散命令請求の要件を既に満たしている」との指摘がある中、実際に解散命令が出されるとどうなるのか。
実はここに問題が潜んでいたのだ。
宗教ジャーナリストが言う。
「解散命令によって宗教法人格が剥奪されることで、税制上の優遇措置はなくなります。
旧統一教会は現在、高額献金の返金請求や脱会届が相次いでおり、フトコロ事情は苦しい。
そこに決定打が下されることになる。
ただ、解散したとしても、団体としての活動ができなくなるわけではありません」

 かつて解散命令が出されたオウム真理教はその後、「アレフ」など複数の団体に名称を変えて枝分かれし、現在もカルト活動を続けている。
「旧統一教会にしても、解散命令によって、逆に地下に潜っての活動が活発化する可能性がある。
違法な勧誘や洗脳、財産をむしり取る献金強要の実態が、よりわかりにくくなる危険性を孕んでいるのです」(前出・宗教ジャーナリスト)

 オウムの例を見てわかる通り、地下に潜ればその悪質性、カルト性は必然的にエスカレートし、闇にまぎれていく。
 解散命令によって被害を撲滅できる──そんな保証はどこにもないのだ。
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2022年10月20日

貯金できない人は「銀行口座の使い方」を知らない

貯金できない人は「銀行口座の使い方」を知らない
貯まる人は「残高確認」と「使い分け」をしている
坂本 綾子 : ファイナンシャルプランナー
2022年10月20日 東洋経済オンライン

「自分はなんでこんなに貯金が少ないんだろう?」「こんな感じで老後は大丈夫なのだろうか?」 お金のことを考えると、思わず不安になる人は少なくありません。
その結果、「貯金」「資産形成」「投資」などの言葉に過敏に反応したり、逆に目を瞑ってしまう人もいることでしょう。
しかし、『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)などの多数の著作で知られるファイナンシャルプランナー・坂本綾子さんは、「お金はあくまでも、感情を持たない数字。だからこそ、お金に好かれる人になるための習慣作りこそが大切なのです」と語ります。
坂本さんの新著『ズボラさんでも なぜか「やる気になる」 お金に好かれる人になるための35の習慣』より一部抜粋・再構成してお届けします。

銀行にお金を預けるのはなぜ?
大人なら、日本ではほぼ全員持っているのが銀行口座です。
給与や仕事の報酬、年金などが振り込まれます。
給料日にホッとしながらATMから生活費を引き出した経験はありませんか?

  銀行口座を持つことのメリットは、主に次の3つです。
1、手渡しではなく、お金のやり取りができる。
受け取りや支払いをすべて現金で手渡しで行うには、相手と対面できる時間に、対面できる場所まで出かけて行かなければなりません。これはなかなか大変です。
銀行口座で受け取る、銀行口座から引き落とすことで、対面する手間を省けます。これを銀行の決済機能といいます。

2、お金を安全に保管して利息をもらえる。
現金は落としたり失くしたりしたら、ほぼ戻ってくる可能性はありません。
自宅が火事になったら「タンス預金」にしていた現金が燃えてしまうリスクもあります。
銀行口座は名義人が決まっていて、口座のお金は名義人の資産です。お金にちゃんと名前がついているのですね。
そして、預金には利息が付きます。
銀行では、預かったお金を、お金を必要とする人や企業などに貸し出します。
貸した人からもらう利子は銀行の利益になり、その一部をお金を預けてくれたお礼として預金者に利息として支払います。
お金に余裕がある人と、お金を必要とする人を仲介することから、これを銀行の金融仲介機能と言います。

3、お金を借りることができる
自分のお金を預けるだけではなく、借りることができます。
個人がお金を借りるといえば住宅ローンが代表的ですね。
銀行では、預かったお金の一部は預金者からの引き出しに備えて手元に残しますが、他は貸し出しに回します。
例えば、Aさんから100万円を預かり、10万円を残して90万円をBさんに貸し付けると、最初に預けられたお金が、預金者と借りた人の両方に活用され、計算上は合計190万円になります。
銀行が預かったお金を貸し出すことを繰り返すと、合計額はもとのお金の何倍かに膨らみます。
みんなが銀行を信用してお金を預けるから可能になることで、銀行による「信用創造」といいます。

銀行は、社会にお金を循環させる金融機関の代表です。
そのため、銀行の業務は法律で厳しく規制されてきました。
この規制が少しずつ緩和され、かつて横並びだった預金の金利は銀行ごとに自由に決められるようになりました。
銀行は金融商品の小売店のような役割も果たすようになり、多くの銀行では、投資の利益が非課税になるNISA口座や、老後資金を準備できるiDeCo(個人型確定拠出年金)も取扱います。

また、2000年以降、次々とインターネット銀行が開業し、大手スーパー・コンビニなどの流通系企業も銀行業務に参入。
銀行は大きく変化しています。少なくとも自分が使っている銀行については、ときどきサイトをチェックしましょう。
まずATM手数料。手数料が無料になる時間帯、無料で使えるコンビニや提携のATMを確認しておきましょう。
次に、NISA口座やiDeCoの取扱いと、中身の金融商品ラインナップ。
投資信託はどんなものがありますか。使い慣れた銀行で投資もできるなら便利です
あとは、ATM手数料が無料になるなどの特典がある会員サービスや預金の金利など。手数料の節約につながり、口座を持っている銀行を使いこなすための情報を収集します。

銀行は、1行だけではなく、2〜3行を使い分けるのがおすすめです。
銀行にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴があるからです。
従来から存在し、都市部を中心に全国に店舗を展開する都市銀行、
県庁所在地などを拠点とし周辺に店舗を展開する地方銀行。
さらに新しいタイプの銀行として、インターネット取引を原則とするインターネット銀行、
コンビニなどにATMを設置する流通系の銀行など。

厳密には銀行ではありませんが、信用金庫や信用組合なども、銀行とほぼ同様に利用できます。
消費者にとっては選択肢が増えているのです。
自分が合計でいくらの預金を持っているか、お金を増やすために買った投資信託の評価額は今いくらか。すぐに答えられますか?
 ネットバンキングなら簡単に確認できます。

自分の資産残高を把握することは、確実に貯めるための基本です。
銀行を始めとする金融機関を絞り込んで、お金の流れをシンプルにし、資産残高をネットで確認できる環境が整っていると、お金が貯まりやすくなります。

銀行を上手に使い分ける 銀行は日常的に利用する金融機関です。
とはいえ、いったん口座を作った後は、キャッシュカードを落としたなど特別なことがない限り自分が使っている銀行の商品やサービスを改めて確認することは少ないのではないでしょうか?
実は、銀行には大きな変化が起きています。
横並びだった預金金利を高くつける銀行が出てきたり、ネットで住宅ローンを申し込めるようになったり、外貨建てで引き落とせるデビットカードが登場したり……。それぞれの銀行の個性が際立ってきて、選択肢が増えています。

あなたは銀行を上手に使いこなせていますか? 
次の3つのうちあなたはどのタイプですか?
@使っている銀行は1つだけ。
入金も出金も1つの銀行だからラク。ATMで現金を引き出したときに残高を見るくらいで、通帳記帳はしていない。普通預金の残高が一応貯金のつもり。
A銀行口座は複数あるが、いくつかはほったらかし。 ネット情報などを見て、いいなと思った銀行に口座を作り、最初は張り切って定期預金を作ったりしたけど、だんだん面倒に。
実際によく使うのは1〜2行。
B使っている銀行は複数。
就職、引っ越し、転職などのたびに必要に迫られて作った銀行口座がいくつかある。 給与振込口座、クレジットカードの引き落とし口座、住宅ローンの引き落とし口座が違うので、毎月、給料が出ると、お金を移す。忘れそうになってヒヤッとしたことも。
銀行口座はいくつ持てばよいのか これらは、ありがちな使い方です。

そもそも銀行口座はいくつ持てばよいのでしょう。
銀行口座は1つよりも複数がおすすめです。
システムの不具合で銀行取引ができない事態が発生するリスクがあるからです。
2つ以上の銀行に、お金を入れておいた方が安心です。
また、銀行ごとに商品・サービスに差が出てきているので、複数の銀行を上手に使い分けたいものです。

ただし、数は多すぎないこと。基本は2つです。
日常的な入出金を行う「普段使いの銀行」と、お金を「増やす銀行」です。
さらに趣味のお金を管理する、副業の入出金用に使うなど、生活スタイルに合わせて第3の銀行を加えてもいいですね。
どんなに多くても5つあれば、通常の生活では充分でしょう。
普段使いの銀行の候補となるのは、都市銀行や地方銀行など従来からある銀行です。
公共料金の引き落としを始め幅広い取引に対応しているからです。
給与振込口座は、都市銀行や地方銀行の人が多いと思います。給与が振り込まれる銀行を普段使いの銀行として、生活費の引き落としは全部ここから行います。
そうすれば普段使いの銀行で収支を把握できます。 給与振り込みが信用金庫や信用組合の人は、信用金庫や信用組合を普段使いの銀行にします。

信用金庫や信用組合は地域密着型の金融機関で、顔が見えるお付き合いを大事にしています。
もちろんネット取引にも対応していますから、普段使いの銀行として利用できます。
増やす銀行として都市銀行、地方銀行、ネット銀行などを組み合わせてはどうでしょうか。

生活スタイルに合わせて追加する第3の銀行は、流通系の銀行やゆうちょ銀行などが候補です。
趣味の時間を大事にしているなら、1か月あたりの予算を決めて入金しておき、ここから使います。
ゆうちょ銀行は直営店に加えて全国の郵便局が窓口なので旅行好きの人、移動が多い人に向いています。
ネット銀行には屋号付きの口座を作れるところもあるので、副業をしている人や個人事業主に便利です。

お金の動かし方を事前に考えておく
複数の銀行に口座を持つには、お金の動かし方を事前に考えておく必要があります。
会社員なら、お金が入ってくる口座(給与振り込み口座)は通常1つですね。
そこから、増やす銀行や第3の銀行にお金を動かすには、ATMを使って現金で出金・入金するか、振り込みのどちらかです。 ATMを使うと手数料は1回あたり110円から220円、ATMを使った振り込みはさらに数百円、ネット振り込みは金額などにより数百円以上の振込手数料がかかります。

低金利で預金ではお金が増えない時代に、自分のお金を動かすのに手数料を払うのはもったいない。
使う銀行は全部インターネットバンキングの契約をしておきましょう。
銀行の中には、条件を満たせば他行宛てネット振込手数料が月当たり一定回数無料になるところがあります。
また、無料で使えるコンビニATMが共通なら、コンビニATMで普段使いの銀行から引き出して、貯める銀行や第3の銀行に入金できます。
その逆も可能です。ネットバンキングなら、いつでも、どの銀行にいくら残高があるかを確認できるのもメリットです。

銀行で利用できる預金の種類は把握していますか。
・普通預金…1円単位でいつでも預け入れ引き出しができる。お金の受け取り、引き落としや振り込みができる
・定期預金…1か月、6か月、1年など一定の期間預け入れる。その分、普通預金よりも金利が高い。普通預金と分けることで、残高の確認がしやすく取り崩しも防げる。
・ネット定期…インターネットで預け入れる定期預金。ネット銀行などでは金利が高い。普段使いの銀行の残高が100万円以上にまとまったら、ネット銀行に移してネット定期にすると利息が増える。

銀行では、仕入れて売っている金融商品として投資信託もあります。預金と併せて投資信託の評価額もネットで確認できます。
銀行は厳選した2〜3行を使う、ネットバンキングで資産残高をいつでも確認できると貯蓄のモチベーションが上がります。
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2022年10月21日

「東京ディズニー2割引き」は本当に必要なのか…岸田政権の「ワクワク割」は世紀の愚策である

東京「ディズニー2割引き」は本当に必要なのか…
岸田政権の「ワクワク割」は世紀の愚策である
2022年10月20日 PRESIDENT Online

■大盤振る舞いのツケは国民自身に回ってくる
「イベントワクワク割」や「全国旅行支援」は本当に必要な政策なのだろうか。
旅行代金を補助する「全国旅行支援」は、東京都を除く46都道府県では10月11日から、東京都は10月20日から始まる。
旅行代金の最大40%、交通機関付きの旅行では8000円、その他では4000円が補助され、そのうえ、平日で3000円、休日で1000円の地域クーポンまで付いてくる。
さらに、それとほぼ同時に入園料などを割引する「イベントワクワク割」も始まった。
2020年に実施されて人気を博した「GoToトラベル」「GoToイベント」の形を変えた施策である。

政府の大盤振る舞いで、国民からすると「得をした」ように感じられる。
だが、いずれそのツケは国民自身に回ってくる。
いったい何のため、誰のために行われている政策なのか。本当にその効果はあるのか。また、ツケはどんな形で回ってくるのだろうか。

■冷え込んだ需要を喚起する役割は果たしたが…
もともとのGoToトラベルは2020年4月に外出自粛や営業自粛で一気に「人流」が止まったことを受け、新型コロナを抑え込んだ後の景気テコ入れ策として計画された。
ピタリと客足が途絶えてホテルや旅館などの悲鳴が上がる中で、拙速だという声を押し切って7月に開始した。
宿泊代金の50%を2万円まで補助し、その7割が旅行代金の割引、3割が地域共通クーポンという形で、今回の「全国旅行支援」よりも補助金額が大きかったこともあり、一気に旅行客が増える「効果」があった。

秋の京都など人気の観光地には旅行者が押し寄せ、旅館やホテル、土産物店など観光関連業者はほっとひと息ついた。
だが、それとともに新型コロナの蔓延が拡大。
「人流」を抑制することが蔓延阻止につながるとしてきたのだから「人流」を増やせば蔓延が拡大するのは当たり前と言えた。
結果、年末になって「中断」に追い込まれた。

冷え込んだ需要を喚起する、エンジンのスターターとしての役割は証明されたものの、結局、再びブレーキをかけざるを得なくなった。
今になって振り返れば、事業実施のタイミングが早すぎたということになる。
GoToトラベルの予算は当初、1兆4368億円が計上されていたが、途中で中断されたこともあり、7000億円余り使って7200億円を余らせた。
GoToトラベル再開に向けた予算も確保しているが、今回はGoToトラベルを再開するのではなく、別枠の事業として実施している。

■GoToトラベルに集まった批判の中身
GoToトラベルは人気を博したものの、問題点も浮上した。
補助額が旅行代金の50%、上限2万円と大きかったことから、ひとり当たり4万円を超えるような高級旅館・ホテルに人気が集中した。
「そもそもそんな高額の旅行ができる豊かな層に何で補助金を出すのだ」といった批判が湧き上がった。
また、対象を個人旅行とし、ビジネスの出張は対象外としたこともあり、もともと価格競争を繰り広げていたビジネスホテルなどはあまり恩恵を受けなかったとされる。

もともとGoToトラベルやGoToイベントの施策自体、狙いが曖昧だった。
冷え込んだ景気を動かすためのスターターなのか、補助金を呼び水にしてさらにお金を使ってもらう消費拡大策、景気刺激策なのか、それともホテルなど旅行業者やイベント業者の支援策なのか。
前述のように当初はスターターの役割を期待して設計されたが、導入が早期に決まったのは旅行業者の声に配慮したためだった。
補助金をきっかけに人流が戻り、経済活動が回り始めれば、景気刺激策になる。
仮に7000億円の予算を使ったとしても、その経済効果が数兆円に及べば政策として意味があったということになる。景気が回復すれば、いずれ法人税や消費税などの税収も増え、国にお金が戻ってくることになる。

■タイミングを誤り景気は回復しなかった
ところがタイミングを誤ったことで、新型コロナが急拡大。
経済活動を再び止めたため、経済効果はあまり上がらなかった。
結局、蔓延拡大で1年延期していた東京五輪も、無観客にせざるを得なくなり、東京五輪の経済効果も結局は当初の期待にはまったく及ばなかった。

だが、GoToトラベルやGoToイベントが政策的に失敗だったという総括がされているわけではない。
むしろ、国民が喜んだのだから、また再開しようという話のまま、ズルズルと存続しているのだ。
今回の「全国旅行支援」は、GoToトラベルへの反省から、上限金額を抑えた。
旅行ができる金持ちへの補助金という批判をかわそうとしているのだろう。
さらにビジネス客も対象に加えた。
また、「平日」の助成を厚くすることで、予約の集中を分散させようともしている。
政府としては人気の高かった政策を再開することで、低下傾向が続く内閣支持率を取り戻そうという狙いがあったかもしれない。

■補助金がなくても経済活動は自律的に回復する
だが、2匹目のどじょうは期待外れになるかもしれない。
というのも、2年前とは経済情勢が大きく違うからだ。
新型コロナウイルスの感染者は増えたものの、死亡率は低下しており、多くの国民の警戒感が薄れている。
結果、経済活動は自律的に回復傾向にある。

「イベントわくわく割」で東京ディズニーリゾートのパスポートを2割引にしなくても入場者は押し掛けるし、「全国旅行支援」で補助金を出さなくても秋の旅行シーズンの人出はかなり多くなると見込まれていた。
さらに政府が決断した外国人観光客の受入規制の実質的な撤廃によって、一気に外国人観光客が増える可能性がある。
しかも、大幅な円安が進んでいるため、外国人の間での日本旅行ブームが起きそうな気配だ。
放っておいても外国人観光客で観光地は満杯になる可能性があるわけだ。
人気のディズニーリゾートにもやってくる外国人が急増するだろう。

そこで問題になるのが価格だ。
GoToトラベルの時にも一部の人気旅館で見られたが、補助金分、価格が上昇するケースがあった。今回は、「全国旅行支援」の補助金が帳消しになるくらい価格が上昇することになるだろう。
さっそく、「旅行を予約しようと思ったが、値段が高くなっていて『全国旅行支援』のメリットを感じない」といった声が聞かれる。
ディズニーのパスポートだってこれまでも値上げを繰り返し、来年度も繁忙期に値上げすると報じられている。

■物価上昇を抑え込むどころか許容させている
岸田文雄首相は10月末までに総合経済対策をまとめるよう指示を出し、物価高騰対策をさらに進めるとした。
これまでもガソリン代の高騰を抑えるための補助金の支出や、輸入小麦の価格据え置きなどの政策を実施。
さらに価格上昇が続いている電気代・ガス代の価格を抑制するためのこれまでにない政策を実施するとしている。
価格上昇(インフレ)は何としても抑えたいというわけだ。

ところが皮肉なことに、「全国旅行支援」や「イベントわくわく割」は価格を抑える方向に機能せず、代金の引き上げを許容させるための補助金になりつつある。
それで旅行業者が儲けて、人件費の引き上げに向かえばまだしも、値上がりを続けている食材費や光熱費に消え、人件費引き上げには回らないという懸念もある。
また、旅行代金が上がれば、当然、旅行自体を諦める人たちもおり、GoToトラベルほど旅行を活気付かせる効果があるのかも分からない。
外国人旅行者の増加で、観光業界はそれなりに潤うとしても、それが「全国旅行支援」や「イベントわくわく割」の経済効果だったという話にはなりそうにない。

バラマキは形を変えた増税を引き起こす
一方で、政府の大盤振る舞いは後々国民へのツケとなって現われる。
財政赤字が膨らめば、いずれ増税などで国民負担が増える。
財政赤字に加えて、防衛費の大幅な増額を政府は打ち出しており、国民負担が減る見込みはない。
それでも消費増税は行わないというのが岸田首相の公約で、結局は国債の増発で膨らむ予算を賄う他なくなるだろう。

これまでは何とかそれでやりくりしてきた。
だが、そのツケとして円安が進んでいる。
財政悪化が進めば、その国の通貨の信用度は毀損(きそん)していく。
政府・日銀は介入で円安を止めようと必死だが、1ドル=150円に迫り、年初から30円以上も値下がりしている。さらに財政をバラマケば円安に歯止めがかからなくなるという声もある。
円安が進めば輸入物価が大きく上昇し、生活を圧迫するようになる。
インフレが加速するわけだ。

所得が増えない中で、物価が上がるというのは形を変えた「増税」である。
旅行支援と言われても、旅行している余裕がない、という声はどんどん大きくなるだろう。

■政府が介入すればするほど市場は歪む
問題は、「全国旅行支援」によって値上げができた旅館やホテルが、旅行支援が終わったからといって値段を下げるかどうかだ。
外国人観光客の需要があるところは値段を下げる必要がないし、国内旅行者しか泊まらないような宿は、値段を下げざるを得なくなる。
しかし、コストは上昇しているから経営は苦しくなってしまう。
そうした業者は年内で終わる予定になっている全国旅行支援の継続を強く求めるだろう。
結局、政府はバラマキを永遠に止められなくなってしまうわけだ。

実際、すでに「全国旅行支援」の来年度以降の継続を検討するという報道がなされている。
需要と供給で価格が決まるのが資本主義だ。
政府が補助金で価格を動かそうとしたり、需要を変動させようとすれば、それだけ市場機能は歪むことになる。
結局は、その政策を止めた時の市場の反動が大きくなるわけだ。

「全国旅行支援」にしても「イベントわくわく割」にしても、天下の愚策であることは間違いない。

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磯山 友幸(いそやま・ともゆき)
経済ジャーナリスト 千葉商科大学教授。
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2022年10月22日

【今さら遅い…】年齢を気にしてやる気がでない「アダルト挫折」を乗り越える方法

【今さら遅い…】年齢を気にしてやる気がでない「アダルト挫折」を乗り越える方法
『老いてきたけど、まぁ〜いっか。』著者・野沢直子 インタビュー
2022.10.21 ダイヤモンド社書籍編集局

仕事や子育てが一段落した50代、60代に訪れる無力感、虚無感……そんな「アダルト挫折」に、どう向き合えばいいのでしょうか。
人気絶頂の中、日本でのすべての芸能活動を休止し、渡米してから約30年。
その生き方と圧倒的な個性で注目を集めてきたタレント・野沢直子さんも、実は20、30代の頃、実は59歳で大きな壁にぶち当たったといいます。

還暦をまえにして「人生後半戦の生き方」について語ったエッセイ集『老いてきたけど、まぁ〜いっか。』も大きな話題を呼んでいる野沢さん。
今回は本書の発売を記念し、人生の苦境を乗り越えるためのヒントを、野沢さんにもらうことにしました。(取材・構成/川代紗生、撮影/榊智朗)

50代は、実は一番迷いが多い時期
──エッセイには、「きっと誰もがふと立ち止まって、人生を振り返ってしまう50代」と書かれていましたよね。
どんどん老いていくんだなあという実感が急に湧いてくる、と。

野沢直子(以下、野沢)
:いま、私59歳なんですけど、ちょうど28、29歳の頃と同じ感覚があるんですよ。

──同じ感覚?

野沢
:29歳、59歳って、がむしゃらにやってきたことが一段落するタイミングだと思うんです。
私の場合は、子どもが3人とも巣立ってしまって、ちょうど30代、40代でやってきた子育てに、区切りがついた。
子どもが巣立っていくのは喜ばしいことなのに、なんだか寂しい。
 おまけに、「人生100年時代」と言われてるじゃないですか。
ってことは、この野沢直子という人間と、あと30年くらいは付き合わなきゃいけない。
しかも、若い頃の自分じゃなくて、見た目も中身も劣化してきた、この先も劣化し続けるであろう自分との30年ですよ。
長いですよね(笑)。
 この状況って同世代のみんな、きついと思うんですよね。
子育てだけではなく、仕事も落ち着いて、第一線からちょっと外れたところにいる、という人も多いはずだから。

──なるほど。ちょっとした虚無感、と本にも書かれてましたよね。

野沢
:そうそう、そうなんです。
子育てに関してやることが何もないっていう状態で。
すごくバタバタしてたのに急にパっと立ち止まる瞬間がきちゃった。
あれ? いままで何してきたんだろう? 私、これからどうやって生きていけばいいんだろう?って、59歳のいまも、いろいろ考えちゃうんです。

お金や年齢を気にして何かを諦めることはあるか?
──実は、私の母がちょうど野沢さんと同じ歳なんです。
それで、仕事で新しい業界・新しい職種に挑戦したいという気持ちはあるけど、やっぱり「今さらチャレンジして失敗したら……」という不安もあるみたいで。
野沢さんは、お金や年齢を気にして何かを諦めることはありますか?

野沢
:そうですねえ。自分でも、おいおい大丈夫かよとよく思うんですけど、貯金が全然なくて(笑)。

──本当ですか。

野沢
:ほんとに、ほんとに(笑)。
ネットで「老後の貯金」と検索して焦ったりもするんだけど、父が亡くなったときにかかった費用と、あとは子どもたちのこととかで、結局いま、いちばんお金がない時期かもしれません。
もっと危機感を持たなきゃいけないとは思ってるんですけど、「どうにかなるんじゃない」ってずっと思ってて(笑)。
笑ってる場合じゃないんですけど。

──「貯金ないし、失敗したらどうやって生活しよう」とか、「この年齢でチャレンジしても今さら遅い」とか、考えることはありませんか。

野沢
:そうですね、あんまりいい加減なことは言いたくないんですけど、私は、やりたいと思ったことをやらないままにしておきたくないタイプなんです。
 もちろん、不安材料はあると思うんだけど、それはいくつになっても同じなんですよ。
絶対になくならないんです。不安材料って、20代でも50代でも、たぶんこれから先も、ずっと変わらずにある。

──たしかに。

野沢
:だから、私は、不安材料を理由にやらないことを決めてそのまま死んでいっちゃうパターンと、やってみて失敗して「あー、失敗しちゃった」ってなるパターンだとどっちがいいか、よく考えるようにしています。
 そのとき、いつも思うのは、「失敗した場合のリスクもある。『やっぱりチャレンジしなきゃよかった』みたいな後悔は、たしかに生まれるかもしれない。
でも、『成功するかもしれない』ってドキドキしながら過ごす数年も、すごく幸せな時間じゃないか。
だったら、やった方がいい」ってことなんですよ。
やっている「過程」の楽しさを加味すれば、 好きなことを選んだ方がトク

──そうか、成功するか・失敗するか、結果だけで幸せを判断してしまいがちだけれど、「チャレンジしている途中の期間」も総合して考えたら。

野沢
:そうなんです。人生で二択があったとき、どうしても「その道を選んでうまくいかなかった結果」のイメージにとらわれてしまいがちなんだけど、「チャレンジしている最中のワクワク感」も総合して考えると、案外、「もし失敗しても、こっちの方が幸せな時間長いじゃん」ってなることが多いんですよ。
 現状維持の道を選んだ場合、「結果」だけ見ればたしかにリスクはないかもしれないけど、「過程」に注目すると、「あれ、やっておけばよかったー」って常にモヤモヤし続けるわけじゃないですか。
人生後半戦の30年、モヤモヤすることに時間費やす方がずっとしんどいと思うんです。
 だから、私は失敗するかもしれなくても、やりたいことをやりたいって思っちゃう。
「どうにかなるよ」と無責任なことは言いたくないんですけど、私自身は、「どうにかなるよ」と思いながら生きていて。で、貯金してないんですけど(笑)。

──(笑)。

野沢
:だめかもしれないし、うまくいくかもしれない。それはもうフィフティ・フィフティだから、やってみないことにはわからない。でも「やってる過程のドキドキ感」は絶対に幸せをもたらしてくれるはずだから、それがだめだったとしても、総合的には「こっちを選んでよかった」と思えるんじゃないかなと。

──たしかに。いや、「達成した瞬間」にばかり注目していて、「目標に挑戦してる最中の時間」のことは考えてなかったです。

野沢
:それが、人間の醍醐味じゃないかと思うんです。
好きなことに挑戦している「過程」では、快感と小さな喜びを常に得られる。
ああ、今日はこれができるようになったとか、それにチャレンジしている自分自身のことを「好きだなあ」と思えるとか。  59歳、私達の年代になると、どうしても「死ぬのを待つ」みたいな感じになるんですよ。
でも、そういうドキドキ感がないまま過ごしてると、残りの人生全部が、本当に「死ぬのを待つための時間」になっちゃう気がして。
それなら、自分のことを好きになってから死ねるように準備しておきたいなあと、私は思うんですよね。

                                        【次回に続く】
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2022年10月23日

「コミュニケーションのさしすせそ」、知っていますか?

「コミュニケーションのさしすせそ」、知っていますか?
2022年10月22日 ダイヤモンドオンライン

ただ話すだけなのに「頑張る」「疲れる」「気を使う」……。
日々のコミュニケーションで苦戦苦闘している日々よ、さようなら。
これからは、説得しようと力業で勝負する必要はありません。
自ら動くのではなく、相手に動いてもらい、自分の思い通りの結果に導けばいいのです。
それを可能にしたのが、大久保雅士著『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』だ。
「トップセールス」の実績を持つ「メンタリズム日本一」が生んだ至極のコミュニケーションスキルが詰まった一冊。
本書より、徹底的に磨かれたノウハウを一部抜粋し、「口下手で人付き合いが苦手」な人でも今日からすぐできる方法を紹介する。

■相手の話に「興味」を示す驚く行為
 新入社員のときに、「相槌のさしすせそ」を教わりました。
 相手を褒めるように使う相槌です。
相槌のさしすせそ.jpg
正直、当時はしっくりこなかった記憶がありますが、ずっと、この相槌を使っています。ノウハウっぽく教えられると古臭く感じますが、いつの時代でも使える相槌の基礎なのだと再確認しました。

 相槌は話を聞いていることを示す、同意・同感の言葉です。
人は話を黙って聞かれると、自分の話をきちんと聞いているのか不安になります。
だからこそ、相槌はコミュニケーションを行なううえで必須なのです。

 効果的な相槌は、言葉のバリエーション以上に、相手に「驚き」を示すことです。
冒頭の「相槌のさしすせそ」がまさにそうです。
他にも驚きの相槌はたくさんあります。

「気がつかなかった!」「そうか!」「面白い!」など、言葉のトーンを含めて驚きを演出するのです。
文字にすると「!」をつけるような驚きの表現です。
 驚く行為は、相手の話に「興味」を示すことができるので、共感している印象が強化されるのです。
その結果、あなたへの好意的な印象が強まります。

 また、「わかる!」「たしかにそうだ!」「本当だね!」といった言葉で共感や同調を示すと、相手は心地よくなり、安心して話し続けることができます。これを「同調効果」と言い、特に協調性の高い日本人にはより効果があります。

 相槌は、言葉自体が何であれ、「驚いていること」が大事なのです。
私が社員研修で関わった美容室で、相槌の打ち方を徹底して訓練したことがあります。
とにかく「驚く」ことを意識させました。
前述のような語尾に「!」をつける感覚です。
「え、そうなのですか!」「初めて聞きました!」などの反応はお客様からも評判がよく、新人スタッフの指名も増え、結果として店舗全体の売上アップに繋がりました。

 本来の目的は、お客様と会話をする新人スタッフの相槌が淡白になってしまわないようにすることだったのですが、「驚きの相槌」がお客様からの好意を引き出したのです。
 なかなか相槌がうまくできない人は、まずは「相槌のさしすせそ」を使って、驚きを示すところから始めてみましょう。
相手の話を真剣に聞いているあなたは、相手にとってとても魅力的な人に映ります。

(本原稿は、書籍『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』から一部抜粋、編集したものです)
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2022年10月24日

『朝生』から消えた三浦瑠麗氏…休みは6年半ぶり!ネットにあふれる「快適」「なんか締まらない」の声

『朝生』から消えた三浦瑠麗氏…休みは6年半ぶり!ネットにあふれる「快適」「なんか締まらない」の声
10/22(土) FLASH

 10月21日深夜に放送された『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)。
今回のテーマは「激論!ジャーナリスト大集合!これでいいのか?!日本の政治」で、旧統一教会や国葬、円安、外交などについてさまざまな意見が交わされた。

 司会はいつもどおり、田原総一朗氏。パネリストとして井上信治衆院議員(自民党)、階猛衆院議員(立憲民主党)、政治ジャーナリストの田ア史郎氏らが出演したが、そこに「あの人」の姿はなかった。
「国際政治学者・三浦瑠麗さんの出演がありませんでした。
三浦さんは2016年3月から2022年9月の放送回まで78回連続で出演しており、6年半ぶりの “休み” となりました。
田原さんと並んでレギュラーだと思っていたので、驚きましたね」(テレビウオッチャー)

 三浦氏が出演しないことは、数日前から一部で話題となっていた。
番組公式HPでパネリストの顔ぶれが発表されると、SNSには、 《なんだ。三浦瑠麗を出演させないこともできるのか。させないと誰か粛清でもされるのかと思ってた》
《どんなテーマでも毎回三浦瑠麗さんが出演していた事が異常。これでいいんです》  などの声が。

さらに、番組放送中も、 《朝生見てるんだけどさ、三浦瑠麗いないだけでこーんな快適なの?あまりにも滑らかなテンポと進み具合でなんか違和感あるなとは思ったけどさ》
《三浦瑠麗が今まで一人でどれだけ尺取ってテンポ乱してたかよく分かった。今日はスムーズに討論が展開されて見やすかった》  というツイートが多数見られた。

「番組では、三浦さんが田原さんの “おもり役” 的な存在です。
2021年9月の放送では、ヒートアップした田原さんを『田原さん、独演会になってる』とたしなめ、『CMいきます』と代わりに番組を進行したことが話題になりました」(同)
 もちろん、三浦氏のアンチばかりではなく、 《田原氏が暴走したら制御する人がいないけど大丈夫か》
《朝生、なんか締まらないと思ってたら副担任の三浦瑠麗さんが居なかったからだ》
《今日の朝生、三浦瑠麗さまがいないじゃないか!ファッションチェック楽しみにしてたのに!つまらん!》  という声も。

 当の三浦氏は、21日夕方にTwitterを更新。
《ジョー・ナイさんと高村正彦さんとともに、東京国際大学のシンポジウムに登壇しました。
ディスカッションの部分もなかなか面白い展開になりました》
 一部では、国外にいるため出演しないとの予想もあったが、そうではなかったようだ。
『朝生』次回放送は11月18日深夜。三浦氏の出演はあるだろうか。
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「保守王国」石川の"空気"から見えてくるもの

「保守王国」石川の"空気"から見えてくるもの
「裸のムラ」五百旗頭監督が語る地方局の可能性
松本 創 : ノンフィクションライター
2022/10/23 東洋経済オンライン

目には見えないが誰もが感じ取り、社会や集団を支配する「空気」。
それはどのようにして生まれ、人びとに伝播し、同調圧力や忖度や横並びへと駆り立ててゆくのか──。
全国で順次公開中の映画『裸のムラ』(石川テレビ放送制作)は、北陸の保守王国の県政界から市井の家族まで、さまざまな場に現れる「ムラ社会」の空気を描くローカル局ならではのポリティカル・ドキュメンタリーである。
だが、観る者は次第に気づかされる。
これは石川だけの話ではない。
日本中に通じる「普遍」かつ「不変」の構造であることに……。

監督は2020年春に富山県のチューリップテレビから石川テレビに移籍した五百旗頭幸男氏。
取材を始めるきっかけは新型コロナ禍だった。
「移籍したのはちょうど第一波のさなか。
未知のウイルスで世の中が混乱し、人間や社会の本質がむき出しになっているのを感じていました。
この空気を映像にしたいと思ったんです」と振り返る。

長期県政と市井の家族に共通する権力構造
取材対象はまず、当時現職最長の7期27年目に入っていた谷本正憲知事を頂点とする県政界。
「無症状の方は石川県へお越しを」と失言しても、「4人以下の会食」を呼びかけながら自身は90人以上の会食が発覚しても、知事の権勢は揺るがない。
ずらりと付き従う県庁職員たちが記者会見の質問に目を光らせ、議場では知事の手元に置くガラス製水差しの水滴を恭しく拭き取る女性職員の姿……。

そんな中、8期目出馬を阻止する動きが身内から起こる。
谷本の選対本部長だった自民党の馳浩衆議院議員が、後継者を名乗って知事選出馬を表明したのだ。
掲げたスローガンは20年以上変わらぬ「新時代」ではあったが、これにより谷本は続投を断念、自民党は三つに割れて保守分裂選挙となる。
背後にいたのが政治家・馳の生みの親である県政界もう一人の実力者、森喜朗元首相。
その歩みを振り返れば、首相在任時の「神の国」発言から東京五輪組織委での女性蔑視まで、家父長制の旧弊にとらわれた言動はなんら変わっていない。

と、ここまでのシークエンスだけでも権力に群がる「男ムラ」の空気がわかりやすく目に見える。
富山市議会の政務活動費不正を追及し、コミカルに描いた『はりぼて』(2020年)の五百旗頭監督の新作として、観客は満足できたかもしれない。しかし、それだけでは不十分だったという。

「長期県政はムラ社会の象徴ではありますが、それと対比させ、矛盾を浮き立たせる取材対象が必要でした。
そこでムラ社会からはじき出されたムスリムの家族、さらに、そもそもムラ社会にとらわれないバンライファー(車中生活者)の家族を追うことにしたんです。

為政者の言葉の軽さに比べ、市井の人たちの言葉の手触りはまったく異なっていました。
ただ、二つの取材対象に2年間カメラを向けていくうち、それぞれの家族の中にもやはりムラ社会的な、ある種の権力構造があることが見えてきた。
県政の話だけなら特殊な世界のことと笑っていられるけど、そうじゃない。
男か女かにかかわらず、あるいは自由に生活しているようであっても同じ空気は生まれる。
観ていくうちに永遠のループが見えてくる構成になっていると思います」

ムスリムの家族とバンライファーの家族をどのように取材し、どう描いているかは、朝山実氏によるインタビュー記事に詳しいのでここでは触れないが、この二つのシークエンスが挟まることで『裸のムラ』の作品世界は確実に広がっている。
その一方、ナレーションもなく場面が切り替わっていくため構成が複雑で、据わりが悪く感じる人もいるかもしれない。

「空気ってそんな単純なものじゃないし、そもそも人間は複雑で多面的ですよね。
今の日本のテレビドキュメンタリーはわかりやすく単純化しすぎる傾向があって、視聴者の想像力や考える力を奪っていると思う。
観た人が『あースッキリした面白かった』だけで終わるのではなく、自分ごとに置き換えて振り返り、誰かと議論したくなるような映画にしたかった。
そういう作品を作らないとドキュメンタリーの評価は上がっていかないし、広がってもいかないと思う」

「空気」を描くことは宿命だった
こうしたテレビやメディアに対する五百旗頭監督の問題意識は映画の随所に表れる。
コロナ禍を理由に「更問い」(質問の回答に対して、さらに質問すること)を禁じるなど厳しい取材を避ける政治家と、それを許してしまう記者クラブの空気。
地元政財界を牛耳る地元紙・北國新聞の影響力。
一方で、市井の人への取材においては監督自身が権力性を帯びてしまう姿。
ドキュメンタリーと演出の問題。報道と広報の違い……。

地方紙やローカルテレビ局といった地方メディアの可能性に注目している私は、五百旗頭監督に聞きたかったことがある。
17年間勤めた富山の局を辞めた理由。
その後、東京のキー局や大手の制作プロダクションではなく、よく似た風土の隣県の局へ移ったのはなぜか。
一つ目の答えは前作『はりぼて』の中で示唆されていたが、今作のディレクターズ・ノートにはっきりと記されている。
〈社会を覆う空気はテレビ局をも支配し、(略)忖度がはびこり同調圧力が強まった。
社内の空気はドキュメンタリーの表現領域にまで押し入ってきた。
頭に血が上り、平常心を失った。
私は、報道部会に経営トップを呼び出した。
/表現の自由の前に立ちはだかる経営論理。気づけば言い放っていた。
/「あなたは独裁者です」/表現者として死して、会社に残るか。表現者として生きて、会社を去るか。迷いはなかった〉
退社の経緯を振り返った後、記述はこう続く。
〈今思えば、あの時から世の空気を描くドキュメンタリーを作ることは宿命だった。
(略)ローカル局の内側に染み込んだ空気によって傷を負った制作者として、その源を探り、見えない空気を映像化するのは必然だった〉

新天地もローカル局だった理由
では、その新天地がなぜ、予算やスタッフが潤沢で視聴者数も圧倒的に多いキー局ではなかったのか。
五百旗頭監督は即答した。
「それは明確に、自分の今やりたいことができるのはローカル局だという確信があったからです」。
どおいうことか。 「仮にキー局に移ったとして、今回のようなネタを提案しても、まず通らないでしょう。
組織が大きく、いろんな横槍が入るという話はよく聞くので、容易に想像できる。
政治や行政の権力を扱うとなれば、なおさらです。
もちろんローカル局でも同じことは起こるわけですが、そんなことを気にしない局であれば自由に思い切ったことができる。 石川テレビにはかつて赤井朱美さんという有名な女性のドキュメンタリーディレクターがおられ、『ドキュメンタリーの石川テレビ』と呼ばれた時代があったんです。
それを復活させたい、何でも思い切ってやってくれと言われたのが、とても響きましたね。
実際、今の職場はかなり自由度が高いと感じています」

発信手段が多様になったことも大きい。
これまでは時間をかけてドキュメンタリーを制作しても、キー局の目に留まって全国ネットで放送されるか、業界のコンクールで賞を獲るぐらいしか、広く見てもらう機会がなかった。
それが近年、ローカル局が質の高い作品を映画化する動きが活発になり、ネット配信もあれば、ドキュメンタリー専門チャンネルなどもある。
独自の発信により、国内はもちろん海外にも届く可能性が広がっているのだ。
さらにもう一つ、富山時代から共同作業をしてきた信頼できるスタッフが近くにいることを挙げる。
今作の編集担当は、チューリップテレビから独立して現在はフリーランスで活動する元同僚だという。

五百旗頭監督の言う通り、「空気」は単純に語れない。
権力構造や閉鎖的社会の中に生じる抑圧的な空気ばかり語られがちだが、小さな組織や人間関係の風通しを良くするのも、また空気だ。
そして、空気と一切無縁でいられる人はおそらくいない。
石川県を舞台に地方政治から市井の生活までを子細に見つめた『裸のムラ』はローカル局ならではの秀作だが、本当の主人公は観客である私たちなのかもしれない。
posted by 小だぬき at 11:27 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年10月25日

あなたは何の準備もなく突然「老人」になる…古代の哲人が「やりたいことは、今やるべき」と説いた理由

あなたは何の準備もなく突然「老人」になる…古代の哲人が「やりたいことは、今やるべき」と説いた理由
2022年10月24日 PRESIDENT Online

後悔のない人生を過ごすには、なにが重要なのか。
元『新潮』編集長で民俗研究者の前田速夫さんは「古代ローマの哲学者セネカは、『何かに忙殺されている人間のいまだ稚拙な精神は、不意に老年に襲われる。
何の準備もなく、何の装備もないまま、老年に至るのである』と論じている。
この忠告を忘れてはいけない」という――。
※本稿は、前田速夫『老年の読書』(新潮選書)の一部を再編集したものです。

■古代ローマの哲人セネカの人生観
ローマの哲人にして文人政治家、セネカ(前4〜後1―65)の場合はどうか。
彼は同じ古代ローマの雄弁家、文人政治家、哲学者であるキケロ(前106―前43)没後の帝政時代初期、カリギュラ帝、ネロ帝が君臨した剣呑な時代を生きた。
身辺の波瀾(はらん)万丈は、キケロ以上だったかもしれない。
生まれは、スペインのコルドバ。少年時代にローマに出て、弁論術を学んだ。
財務官の地位を得て元老院入りし、法廷での弁論で名声を博するまでは、キケロと同じジグザグの道を歩み、カリギュラの逆鱗(げきりん)に触れることがあって、この時は帝の愛人のとりなしで危うく死を免れた。

次のクラウディウス帝の時代は、陰謀でコルシカ島に流され、8年後に呼び戻されてネロの教育係となり、彼が帝位につくと生涯の絶頂をきわめ、最後はそのネロの犠牲となって自死を命じられる。
「諸君は哲学の教えを忘れたのか。
不慮の災難に備えて、あれほど長いあいだ考えぬいた決意はどこへ行ったのか。
ネロの残忍な性格を知らなかったとでもいうのか。
母を弑し、弟を討ったら、師傅(しふ)を殺す以外に何も残っていないではないか」これは、歴史家のタキトゥスが著した『年代記』(上下、国原吉之助訳、岩波文庫、1981年)に載るセネカの言葉だが、このあと彼が妻の願いを容れて2人ともに自害するときの模様は、次のように書き留められている。
二人は同時に、小刀で腕の血管を切り開いて、血を流した。
セネカは相当年をとっていたし、節食のため痩せてもいたので、血の出方が悪かった。
そこでさらに足首と膝の血管も切る。激しい苦痛に、精魂もしだいにつきはてる。
セネカは自分がもだえ苦しむので、妻の意志がくじけるのではないかと恐れ、一方自分も妻の苦悶のさまを見て、今にも自制力を失いそうになり、妻を説得して別室に引きとらせた。
最期の瞬間に臨んでも、語りたい思想がこんこんと湧いてくる。
そこでセネカは写字生を呼びつけ、その大部分を口述させた。

■「何かに忙殺される人間には何事も立派に遂行できない」
セネカの著書は、岩波書店から全6巻の『セネカ哲学全集』(倫理論集、自然論集、倫理書簡集)が出ていて、うち倫理論集の主なものを順に並べると、『摂理について』『賢者の恒心について』『怒りについて』『幸福な生について』『閑暇について』『心の平静について』『生の短さについて』『寛恕について』『恩恵について』となる。

『生の短さについて』(大西英文訳『生の短さについて他二篇』、岩波文庫、2010年)は、50歳のセネカが、当時の食糧長官パウリーヌスに向けて忠言を与えたもの。
いくつか抜き書きすると、こうだ。 われわれの享(う)ける生が短いのではなく、われわれ自身が生を短くするのであり、われわれは生に欠乏しているのではなく、生を蕩尽(とうじん)する、それが真相なのだ。

多くの人間がこう語るのを耳にするであろう、「五十歳になったあとは閑居(かんきょ)し、六十歳になったら公(おおやけ)の務めに別れを告げるつもりだ」と。
だが、いったい、その年齢より長生きすることを請け合ってくれるいかなる保証を得たというのであろう。
(中略)生を終えねばならないときに至って生を始めようとは、何と遅蒔(おそま)きなこと。
自分は「半ば自由、半ば囚われの身」とキケローは言った。

しかし、言うまでもなく、賢者なら、これほど卑屈な名でみずからを形容するようなことはしない。
何かに忙殺される人間には何事も立派に遂行できないという事実は、誰しも認めるところなのである。
雄弁しかり、自由人にふさわしい諸学芸もまたしかり。
諸々(もろもろ)の事柄に関心を奪われて散漫になった精神は、何事も心の深くには受け入れられず、いわばむりやり口に押し込まれた食べ物のように吐き戻してしまうからである。

■『より善く生きようとして、なおさらせわしなく何かに忙殺される』
職務に追われ、多忙な生活に追われて、人生を短くしている愚。
しかし、それ以上に愚かなのは、あれをしなくては、これをしなくてはと、自分から心を忙しくしていることなのだ。
セネカは他の場所で、ローマ皇帝のアウグストゥスさえもが、国務をはじめ、おのれの地位や権力を保持するための活動より、「いつかは必ず自分のために、自分とともに生きる閑暇を得ること」を、人生最大の幸福としていたと記している。
そして、老いや死についてはこう述べる。
生きる術(すべ)は生涯をかけて学び取らねばならないものであり、また、こう言えばさらに怪訝(けげん)に思うかもしれないが、死ぬ術は生涯をかけて学び取らねばならないものなのである。

誰もが現在あるものに倦怠感(けんたいかん)を覚えて生を先へ先へと急がせ、未来への憧(あこが)れにあくせくするのである。
だが、時間を残らず自分の用のためにだけ使い、一日一日を、あたかもそれが最後の日ででもあるかのようにして管理する者は、明日を待ち望むこともなく、明日を恐れることもない。
それゆえ、誰かが白髪であるからといって、あるいは顔に皺(しわ)があるからといって、その人が長生きしたと考える理由はない。

彼は長く生きたのではなく、長くいただけのことなのだ。
人は、より善く生きようとして、なおさらせわしなく何かに忙殺される。
生の犠牲の上に生を築こうとするのだ。

何かに忙殺されている人間のいまだ稚拙(ちせつ)な精神は、不意に老年に襲われる。
何の準備もなく、何の装備もないまま、老年に至るのである。
われわれが起き伏し、同じ歩調でたどる生のこの旅路、やむことなく続き、矢のごとく過ぎ行くこの旅路は、何かに忙殺される者には、終着点に至るまで、その姿を現さない。
過去を忘れ、今をなおざりにし、未来を恐れる者たちの生涯は、きわめて短く、不安に満ちたものである。
終焉(しゅうえん)が近づいたとき、彼らは、哀れにも、自分がなすところなく、これほど長いあいだ何かに忙殺されてきたことを悟るが、時すでに遅しである。
彼らは、忙殺されていた何かに見離される時がいつかやって来れば、閑暇(かんか)の中に取り残されて狼狽(ろうばい)し、その閑暇をどう処理してよいのか、その閑暇をどう引き延ばせばよいのか、途方に暮れるのである。

■他人のために生きるほど惨めな人生はない
あとは、結論部を引くだけでいいだろう。
親愛なるパウリーヌス、そういうわけだから、俗衆から離れるがよい。
そうして、その年齢にはそぐわないほど多くの出来事に翻弄(ほんろう)されてきた君も、ようやく静謐(せいひつ)の港に帰りつくがよい。
考えてみたまえ、君はどれほど多くの激浪に遭遇したことか。
私人としての生活の中で、どれほど多くの嵐に耐え、公人としての生活の中で、どれほど多くの嵐を招来したことであろう。たゆみない労苦に満ちた試練を克服してきたことで、今や君の徳性は十二分に実証されている。

その徳性が閑暇の中でどのような働きをするか、試してみることだ。
君の人生の大半が、いや、少なくともその最良の時期が国家に捧げられた。
君のその時間の幾許(いくばく)かを君自身のためにも使いたまえ。
(中略) 何かに忙殺される者たちの置かれた状況は皆、惨(みじ)めなものであるが、とりわけ惨めなのは、自分のものでは決してない、他人の営々とした役務のためにあくせくさせられる者、他人の眠りに合わせて眠り、他人の歩みに合わせて歩きまわり、愛憎という何よりも自由なはずの情動でさえ他人の言いなりにする者である。
そのような者は、自分の生がいかに短いかを知りたければ、自分の生のどれだけの部分が自分のものであるかを考えてみればよいのである。

■ぼろぼろになって働き、ようやく自由を得たと思ったら人生の終点
パウリーヌスのように、食糧長官といった立派な職や地位についていたわけではないけれど、会社生活の大半をひたすら他人のために尽くしてきた私たちだから、一つ一つ骨身に染みてこたえる。
けれど、だからといってほかにどうできたというのか。
私の場合は、60歳定年で自動的に職務からは解放されたが、現在では一般に65歳になっても、70歳になっても、働かざるをえないし、働かされるのが実情で、仕事があるので恵まれているどころの話ではない。

ぼろぼろになるまでこき使われ、ようやく自由になると、目の前は終点である。
つまり、自分からいよいよ人生を短くしているだけのことなのだ。
結論部でセネカが後輩のパウリーヌスに対し、すぐにも職を辞して、自然や無限の神秘についての研究に入ることをすすめているのは、ストア派哲学の泰斗でもあった彼ならでは。

この派の代表には奴隷出身の解放自由民エピクテトス、陣中で『自省録』を著わしたローマ皇帝のマルクス・アウレリウスらがいて、全盛期を迎えようとしていた。
もう一方のエピクロス派の実践が、人生の「快」を追求する快楽主義だったのに対して、ストア派は普遍妥当な理性を堅持する禁欲主義を唱道した。

この派は学祖ゼノンにならって、自殺を人間として己を克服する、あるべき選択の一つとして認めており、セネカの場合もそれに従ったものとみえる。
同時代、ローマには民衆のあいだにキリスト教が広まり始めていた。
こちらは断じて自殺を許さないから、相違が際立つ。

■『立ち止まってじっくり自分との時間を過ごす』
ちなみに、このセネカは『生の短さについて』以外の著作でも、老年や死についてさまざまな箴言を残しているが、ルーキーリウスへ宛てた『倫理書簡集』の冒頭近くでは、「一時間たりとも無駄に費やさぬこと」と書いたそのすぐあとで、多読の害を戒めてこう忠告している。 乱れのない精神を示す第一の証左は、立ち止まってじっくり自分との時間を過ごせることだと思う。
だが、気をつけたまえ。君のようにたくさんの作家やあらゆる分野の書物を読んでいると、あてどなく不安定な面も生じかねないからね。
これと見定めた才能豊かな作家に時間をかけて自分の肥やしとすべきだよ、もし変わることなく心に残るものを引き出したいと思うならね。
どこにでもいるということは、どこにもいないということだ。(高橋宏幸訳『セネカ哲学全集5』、岩波書店、2005年)
私たちも、この忠告を忘れないでおこう。

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前田 速夫(まえだ・はやお) 民俗研究者
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2022年10月27日

医療現場が混乱するだけでメリットがない…現役医師が「マイナ保険証への切り替え」に強く憤るワケ

医療現場が混乱するだけでメリットがない…現役医師が「マイナ保険証への切り替え」に強く憤るワケ
2022年10月26日 PRESIDENT Online

■「保険証の原則廃止」に10万筆を超える反対署名
10月13日、河野太郎デジタル担当大臣はマイナンバーカードの機能強化について、「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」と発表した。
また運転免許証についても2024年度末に一本化する目標からさらに前倒しする検討を進めていることも明らかにした。
「健康保険証の廃止」という、政府のこの強引ともいえる手法に対しては、ネットを中心に批判の声が上がり、河野大臣の会見が行われるやいなや「一体誰のため? 保険証を廃止して、マイナンバーカードに一本化することに反対する緊急署名 #健康保険証の原則廃止に反対します #マイナンバーカードの義務化に反対します」との署名活動も始まり、20日までに約10万筆が集まった。

健康保険証が原則廃止されてマイナンバーカードに一本化されることとなれば、保険医療を受けるためにはマイナンバーカードの所持、そしてそのカードに保険証の機能を加える操作が必須となる。
つまりマイナンバーカード取得が事実上の義務となってしまうのだ。

■「これだけ便利になる」から「これだけ不便になる」と大転換
そもそもマイナンバーカードの取得は任意であったはずだ。
それはマイナンバーの根拠法からも明らかである。
それにもかかわらず政府は来年3月末までに、ほぼすべての国民に行き渡らせることを目標として掲げ、急速に“任意から原則義務化”に舵を切ったのだから、このような批判を浴びるのも当然といえば当然であろう。

ポイント付与や有名タレントを起用したCMをテレビ等からさんざん流しているにもかかわらず、その普及率(交付率)はやっと50%程度なのだから、政府が業を煮やしているのも理解できなくはない。
だが「持っていればこれだけ便利になるヨ」としていたものから「持っていないとこれだけ不便になるゾ」とまるで脅しのようにカード取得を迫る手法への転換は、ただでさえマイナンバーカードに不信感を抱いている国民の、その不信感をより強固にしてしまうものと言えよう。

この普及率の低さが、政府に対する不信感の結果であることに岸田政権が気づかないかぎり、普及率100%など夢のまた夢だ。

■デメリットについて議論が尽くされたとは言いがたい
もっともマイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせる、いわゆる「マイナ保険証」は、すでに昨秋から導入されている。
しかし今年4月に寄稿した記事<「肥満で不健康」では就職すらできなくなる…現役医師がマイナ保険証に深い懸念を示す理由>でも述べたとおり、政府がさかんに強調する利便性の一方で、そのデメリットや危険性について議論が尽くされたとはいまだに言いがたい状況だ。

むしろ政府がデメリットについてはまったく語らないまま「利便性」や「安全性」だけを強調すればするほど、その陰に潜む、各人の健康データ(Personal Health Record)をはじめとした個人情報の漏洩リスクや、個人の利益には一切つながらない「利活用」の思惑が炙(あぶ)り出されて見えてきてしまうのだ。

もし政府が本気ですべての国民に行き渡らせたいと考えているのであれば、このような「持っていなければ不便になる」ような状況に国民を追い込むのではなく、指摘されている問題点や疑問、不安に対して、これまで以上に十分かつ丁寧な説明を時間をかけて行っていかねばならないことは言うまでもない。

■そもそも現行法では廃止することはできない
その上で、今回の政府方針について私見を述べるが、そもそもこの「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」という政府の目標は、政府がいかに強引に推し進めようとも思惑通りには絶対に進まないだろうと考える。
それはマイナンバーカードの取得申請は、あくまでも個人の行動に委ねられるものであるからだ。
政府は、健康保険証廃止の時期が来てもマイナンバーカードを取得しない人などに対しては、働きかけを進めていくと同時に、何らかの対応を検討していくと、これまた“脅し”ともとれる強引な姿勢を示しているが、取得しようとしない人に罰則を適用することは、現在の法律上は不可能だ。
あくまでも「お願いベース」にならざるを得ないのである。
また「健康保険証の廃止」というのも現実問題としてかなりハードルが高いだろう。
「廃止」というセンセーショナルな単語にはどうしても敏感に反応してしまいがちだが、冷静に考えれば法改正をしなければなし得ない。

事実、今年の5月25日に行われた「第151回社会保障審議会医療保険部会」において、水谷忠由厚生労働省保険局医療介護連携政策課長は以下のように述べている。
少し長いが重要な説明なので議事録より当該部分を抜粋する。

■「申請があれば保険証が交付されることは言うまでもない」
マイナンバーカードの保険証利用を進めていくための「更なる対策」として、私どもとして目指す姿は大きく2つのステップ」で考えてございます。
1つ目のステップは、令和6年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指すとしてございます。
現行法令上、被保険者には被保険者証を交付しなければならないという法令上の義務が課せられているところであります。
マイナンバーカードの保険証利用登録をしている加入者の方など、必要のない方々もいらっしゃる。
うした方々には保険証の交付を原則として行わない、そういうことを保険者が選択できるようにする。
これが保険者による保険証発行の選択制ということで内容として考えていることでございます。

その上で2つ目のステップといたしまして、(略)保険証を利用している機関、訪問看護ですとか柔道整復、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう等、そうしたもののオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。ここで保険証の原則廃止と書いておりますのは、私が申し上げました保険者に課せられている法令上の義務、被保険者に被保険者証を交付しなければならない、そうした法令上の義務がなくなる状態ということでございます。

ただし、(略)マイナンバーカードの取得はあくまで任意でございます。
加入者の方から申請があれば保険証が交付されるということは言うまでもないことでございますので、まさに被保険者の方に不利益が生じないような形で進めていくことが重要と考えてございます。

■「健康保険証の廃止」は河野氏のハッタリ
いかがだろうか。この説明には以下の3つのポイントがある。

@令和6年度(2024年度)中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指す。
Aさらに「保険者に課せられている法令上の義務、被保険者に被保険者証を交付しなければならない、そうした法令上の義務がなくなる状態」を目指す。
Bマイナンバーカードの取得はあくまで任意。加入者の方から申請があれば保険証が交付されるということは言うまでもない。

この説明からも読みとれる通り、「健康保険証の廃止」は河野大臣のハッタリなのだ。
健康保険法施行規則第四十七条で規定されている「被保険者証の交付」の該当部分を省令改正してしまおうと考えているのかもしれないが、このままマイナンバーカードの普及が進まないまま強引に「改正」すれば大混乱は必至であろう。

■保険医療機関には専用システム導入の圧力が
そもそもマイナンバーカードそのものの取得率もやっと半数であると同時に、マイナンバーカードの読み取り機を導入した医療機関や薬局は6万4965施設で、目標の20万施設の32.5%にとどまっているという実態(「日本健康会議」が10月4日に公表したデータ)もある。

そこで政府は保険証の「廃止」に先立って、まず保険医療機関と保険薬局に圧力をかけることにした。
療養担当規則(これに違反した保険医療機関は保険指定の取り消しにさえされ得る規則)の「改正」によって来年4月より、患者が「マイナ保険証」で受給資格の確認を求めた際にはオンラインで資格確認できるシステムを整備することを原則義務化したのである。
このシステム導入を拒んだ医療機関は、最悪の場合、保険指定取り消しという厳しい対処もされかねなくなるという、極めて強権的な圧力だ。

「取り消し」をチラつかされた医療機関は、維持費を覚悟してやむなく導入するか、廃業を選択せざるを得なくなるだろう。いまだコロナ禍が終息したとはいえぬ今、そのような現場に大混乱をもたらす政策は常識的にはあり得ない
ただ仮にすべての保険医療機関がそのように変わったとしても、現行の健康保険証が使用できなくなるわけではない。あくまでも医療機関側に「マイナ保険証」に対応するよう求めるものであって、現行の健康保険証を受け入れてはならないとするものではないからだ。

これまでの健康保険証でも一切問題なく使い続けることができるので、「早く『マイナ保険証』を作らねば」などと慌てる必要はまったくないのだ。 ■病院によく行く人こそ不便な状況になっている そもそも「マイナ保険証」にしたいと思っても、スマホやパソコンを使える人でないと困難だ。それ以前に、マイナンバーカード未取得の場合は、まずそこから始めなくてはならない。これもやはりこれらの機器をある程度使えない人には難しい。
高齢者や障がい者といった医療機関を利用する頻度が高い人こそ、その困難に直面し得るのだ。
ちなみに私の両親は来年90歳で治療中の持病もあるが、マイナンバーカードなど作れないし作る気さえ起きないと言っている。
このような人が1人でも残っているかぎり、現行の健康保険証を廃止になどできるはずがないのである。

「健康保険証の廃止」というセンセーショナルな狼煙だけ先にブチ上げられたところで、これらの手続きに自信のない国民は不安と戸惑いしか感じないだろう。
そして、そういった自分自身で手続きができない人をターゲットにした悪質な「代行業者」による詐欺事件が続出する事態になれば、もう目も当てられない。
岸田首相は河野大臣の「突破力」に期待を込めたようだが、あまりにも勇み足
むしろ混乱を助長し、普及率アップには逆効果といえるだろう。

マイナンバーカードが全国民に行き渡って初めて、「マイナ保険証」の議論ができるようになるのであって、さらに「マイナ保険証」が全国民に行き渡って初めて、現行の健康保険証廃止の議論に進めるのである。
すべて順序が逆なのだ。

■再発行に「免許証、保険証が必要」という致命的な問題
もちろん、健康保険証や運転免許証がマイナンバーカード1枚になることを心配する人ばかりではなかろう。
「1枚になったほうがよっぽど便利」とマイナンバーカード一本化を歓迎する人も少なくないかもしれない。
ただそういう人にはその選択肢を与えれば良いだけの話だ。
さらには、そういった人に対してもマイナンバーカードを紛失した際の再発行についての説明は政府として十分にしておくべきだ。

現在のところ、再発行の際に必要な本人確認書類としては、「1点でよいもの」として運転免許証、パスポート等、官公署が発行した顔写真付きの証明書、「2点必要となるもの」として健康保険被保険者証、年金手帳、介護保険被保険者証、社員証、学生証等が、自治体のホームページ等で例示されている。
河野大臣が表明した工程通りに健康保険証、運転免許証がマイナンバーカードに一本化された場合、これらの本人確認書類の選択肢が著しく減じてしまうことになるが、いったいどうするつもりなのか。
先日、この素朴な疑問をツイートしたところ、じつに多くの方々が私と同様の疑問を持っていることが分かった。
はたして河野大臣はこの疑問と対処法について明確かつ的確な説明をしてくれるであろうか。

■支持率を回復すべく賭けに出たつもりなのだろうが…
このように少し思考実験をしただけでも、健康保険証廃止とマイナンバーカード一本化には、多くの、そして決して低くないハードルが存在していることが見えてくる。
そして今後も解決困難な問題が次々と顕在化してくることだろう。
しかし今回政府は、“2024年秋”という期限を決めてしまった。
ほぼ間違いなく達成できないその目標を設定してしまったことは、今後自らの首を締めていくことになる。

なぜなら、その目標が達成できずにまた先延ばしとなった瞬間に、国民のマイナンバーカード取得へのモチベーションは一気に降下し、それを再び高めることは極めて困難となるからだ。
「何もしない」との批判を跳ね返すべく賭けに出た岸田政権だが、今回の強引な手法は、国民の不安と疑問と批判を増幅させる効果しかなかったのではなかろうか。これらを払拭するために丁寧な説明をすると言ったところで、30%弱という低支持率に喘(あえ)ぐ岸田政権に、今その議論と批判に耐える「体力」が残されているとは私には思えない。

少なくとも2024年秋での健康保険証廃止など、現実問題不可能なのだから、マイナンバーカード義務化や「マイナ保険証」に不安や疑問を少しでも感じている方は、こんな政府のタチの悪いブラフに踊らされることなく、慌てることなく、カードも作らず、粛々と「何もしない」ままでいれば良い。それこそが政府からのマイナンバーカード義務化圧力に対する、最も効果的な防御であると同時に最強の攻撃となるであろう。

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木村 知(きむら・とも)
医師
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2022年10月28日

国民年金「45年加入」に延長検討の“年金バカヤロー改悪” 失敗に終わった「100年安心改革」

国民年金「45年加入」に延長検討の“年金バカヤロー改悪” 失敗に終わった「100年安心改革」
10/27(木)  マネーポストWEB

 岸田政権は年金改悪プランを急ピッチで進めようとしている。
本誌・週刊ポストは10月21日号で、財政破綻が迫っている国民年金(基礎年金)の財源不足を穴埋めするため、厚労省がサラリーマンが加入する厚生年金の給付額を減らそうと計画していることを報じた。

「サラリーマン年金」の減額である。
 自営業者やパート・アルバイト、無職の人が加入する国民年金は保険料の未納率が高く、財政は火の車だ。
そこで保険料が給料天引きで取りっぱぐれのないサラリーマンの厚生年金の金が狙われているのである。

 厚労省はさらに改悪第2弾として、国民年金の加入期間を現在の40年(20〜60歳まで)から45年に延ばし、65歳まで保険料を支払わせることを検討している。
 国民年金加入者はもちろん、長年、厚生年金に加入してきたサラリーマンが65歳未満でリタイアしても、強制的に国民年金に加入させられて65歳まで保険料を支払わなければならなくなる。

年金制度に詳しい「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が怒る。
「いい加減にしろと言いたいですね。
そもそも国民年金制度は20歳から40年間保険料を支払い、原則65歳から年金を受給する仕組みです。
半世紀以上にまたがる制度がコロコロ変わると国民は人生設計ができない。

 だから政府は2004年の年金大改革で保険料を毎年引き上げ、年金支給額を徐々に減らしていく改革を行なった後、“国民に負担を強いるけれども、これで年金制度は100年安心”と説明してきたわけです。
それから20年しか経っていないのに、加入期間を45年間に延長するという。これは制度の抜本的変更です。
国民に負担を強いた100年安心改革が完全に失敗だったということです」

 北村氏は、今回の岸田改革案は2つの意味で“バカヤロー改悪”だと指摘する。
「1つ目は今述べたように、『100年安心』と言いながら、さも“ちょっと見直します”といった態度で制度の根幹を変えようとしていること。
もう一つは保険料を負担する現役世代にどんどんしわ寄せが行き、年金不信を高めることです。

 年金は世代間扶養の仕組みです。
現在40代の人でいえば、これまで20年以上保険料を払ってきて、この先65歳まであと25年近くも払わなければならなくなる。
しかし、こんなにコロコロ制度が変わると、払い終わった頃に本当に年金はもらえるのかという不安が強まる。
制度の支え手に信用されなければ、年金制度はもたない。
すでに受給している世代にもかかわってくる問題です」

物価は上昇、年金は下降
 では、45年に延長されると具体的にどんなデメリットが生じるのか。
北村氏の協力でシミュレーションした。
まず保険料の支払総額が増える。

 現在、国民年金保険料は月額1万6590円、納付期間が60歳から65歳に延長されると、5年分でざっと100万円を余分に支払わなければならない。
さらに、60歳定年リタイア組の場合、妻が「第3号被保険者」から外れるため、夫婦で2倍負担することになる(同い年の夫婦のケース)。
 その代わりに年金受給額は増える。
国民年金は保険料の支払期間が1年増えると年間の受給額が約2万円多くなる。
 国民年金に40年間加入した人の年金額(満額)は現在月額約6万4800円(年間77万7800円)。これが45年加入となれば、年金額は5年分の約10万円が上乗せされて月額約7万3150円(年間87万7800円)になる。

計算上、10年間年金を受給すれば、保険料の負担増100万円は取り戻せる。
 保険料を多く取られても、年金も増えるのであれば悪い面だけではないように思える。
だが、北村氏はそこに“落とし穴”があるという。

「年金の保険料は物価・賃金の上昇率に連動して値上げされるのに対して、年金受給額はマクロ経済スライドという仕組みで物価が上がると目減りする。
大雑把にいうと、物価が2%上昇すれば保険料は2%値上げされるが、年金額は1%しか増えない。
それが10年続けば保険料の支払額が20%超も増えるのに、もらえる年金は10%程度しか増えない詐欺みたいなことが起こるわけです。
そのため、現実的には、国民年金の加入期間延長によって保険料支払いが増えた分を年金増額で取り戻すには10年では足りない」
 国民年金加入期間が45年に延長された場合、「将来の保険料値上げと受給額の目減りを加味して考えると、仮に国民年金保険料を65歳まで支払い、その後すぐに65歳から年金を受給しても、元を取る(支払った保険料の総額と受け取る年金総額が同額になる)には78歳までかかると考えたほうがいい」(北村氏)という。
 年金が増えるよりも、保険料の納付が長くなるマイナスのほうが大きいということだ。 
            ※週刊ポスト2022年11月4日号
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2022年10月29日

杉田政務官 総務省の中傷対策「知らない」と唖然の答弁連発「資格も資質もない」と怒りの声

杉田政務官 総務省の中傷対策「知らない」と唖然の答弁連発「資格も資質もない」と怒りの声
10/28(金) 女性自身

杉田水脈議員(55)が10月26日、総務大臣政務官就任後初めて国会で答弁した。
しかし、その発言内容が物議を醸している。
今年8月、内閣改造によって政務官に就任した杉田政務官。
いっぽうTwitterでジャーナリストの伊藤詩織氏を中傷する投稿に“いいね”していたため、現在伊藤氏から損害賠償を求められている。
10月20日の控訴審では、東京高裁が「限度を超えた侮辱行為で不法行為に当たる」として杉田政務官に55万円の賠償を命じた。

そんななか26日の「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会(倫選特)」で、立憲民主党の源馬謙太郎議員(49)は「(“いいね”したことで)伊藤さんがどういう気持ちを受けるか想像できなかったんですか」と尋ねた。
ところが杉田政務官は「係争中でございますので、答弁を差し控えさせていただきたい」と返答。
そこで源馬議員は「#NoHeartNoSNSはご存じですか?」と質問した。
この#NoHeartNoSNSは、総務省が取り組んでいるSNSの誹謗中傷対策キャンペーンだが、杉田政務官は「存じ上げません」と回答した。
そのため源馬議員が#NoHeartNoSNSの趣旨を説明し、「総務省が行っている取り組みですよ。政務官ですよね?」と指摘するも、「その質問は通告をいただいておりませんので」とコメント。
すると場内では反発する声が上がり、会が中断する事態となった。

また杉田政務官は’16年8月に《統一教会の信者の方にご支援、ご協力いただくのは何の問題もない》とTwitterに投稿していたことも問題視されているため倫選特では、この投稿についても言及されることに。
しかし「支援を受けるのは、今でも問題ないと思っていらっしゃいますか」と源馬議員が尋ねたものの、杉田政務官は「見解の表明は差し控える」と返答。
続く質問に対しても、「私を支援してくださっている方々がどういう方々であるか、ということを調べることは難しいという意味で書かせていただいた内容であることをご理解いただきたいと思います」と投稿の意図を釈明した。
すると源馬議員は思わず「そんなことは誰も読み取れないですね。論理が破綻しています」と呆れるように述べた。

「支援者がどういう人たちであるかを調べるのは難しい」という杉田政務官。
いっぽう本誌が8月に取材した際、杉田政務官の担当者は「ちなみに御社は統一教会と関係はないんですか?」と切り出し、「『統一教会と関係のあるメディアからは取材を受けるな』と言われているので、こちらも安心して答えるわけにはいかないので。“関係ない”ということを証明していただかないと」と突き付けていたが――。

現在、ネットでは“知らぬ存ぜぬ”スタンスを貫く杉田政務官の答弁が「ひどすぎる」と物議を醸している。
そしてTwitterでは、怒りの声がこう相次いでいる。
《杉田水脈の国会答弁があまりに酷く、ネット中継流すの止めました。
政務官はもとより、議員の資格も資質もなし》
《政務官の資格なし、辞めさせるべき》
《総務政務官の資格なし。総務省の対策を知らないと言って憚らないとは》
《どう見ても杉田水脈は議員の資格や資質がない》
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紙の保険証廃止でマイナンバーカードと一体化に断固反対!窓口負担も増

紙の保険証廃止でマイナンバーカードと一体化に断固反対!窓口負担も増
10/28(金)  女性自身

10月13日、河野太郎デジタル大臣は、24年秋に現在の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化すると表明しました。
マイナ保険証とはマイナンバーカードに保険証の機能を追加して、病院などで保険証として使うもの。
受付けがスムーズになる、特定健診などのデータが閲覧しやすいといったメリットがあるといいます。
ですが、マイナ保険証を使うには専用の読取り機が必要です。

日本には約23万の医療機関がありますが、10月16日時点で読取り機が設置済みなのは約7万3千カ所。
約3割にとどまります。
読取り機の購入には補助金が出ますが、システム導入などの手間は医療機関にかかっています。
コロナ禍で疲弊する病院が多いなか、あと1年で大小さまざまなすべての医療機関に設置できるのでしょうか。
また医療費にも問題があります。

マイナ保険証が使える病院は、使えない病院より医療費が高くつきます。
3割負担の方が初診の場合、マイナ保険証の方は6円、従来の保険証だと12円上乗せされます。
マイナ保険証の使えない病院ではこうした上乗せはありません。

一方、マイナンバーカード自体の交付率は22年10月18日時点で50.1%。22年末までにマイナンバーカードの新規取得等、マイナ保険証の利用申込み、公金受取口座の登録を行うと2万円相当のマイナポイントがもらえる“アメ”があって、やっと半数です。
デジタル庁の調査によると、取得しない理由の第1位は「情報流出が怖いから」。
取得率を上げるには、デジタル行政への信頼を回復するしかないでしょう。

しかし国は、信頼回復への努力ではなく、アメ作戦をやめ、マイナ保険証に一本化し、現在の保険証を廃止するという“ムチ”作戦に打って出るようです。
ムチの一端は、自治体の交付金にも表れています。
23年度に国が配る「デジタル化交付金」は、マイナンバーカードの交付率が全国平均以上の自治体しか申請できません。
交付金が欲しいならカードの交付率を上げろと言わんばかり。

そもそも現在の保険証を廃止できるのかも疑わしいと思います。
認知症や障害のある方など自分でマイナンバーカードの申請手続きができない方はどうすればいいのか、国は全く検討していないでしょう。
ムチをちらつかせれば、アメのある今年中に手続きする方が増えるだろうという、行き当たりばったりな施策としか思えません。

マイナンバーカード関連に国は約3兆円、国民1人当たり約2万円の予算を使っています。
コロナ禍で大変だったとき、物価高で苦しい今、1人2万円あれば助かるのに……と思いませんか。
国はマイナンバーカードを22年度中にほぼすべての国民に普及させたい考えです。そのため現在の保険証を廃止するとしたら……。
こんな国民の生活を無視した政策に、私は断固反対します。

     「女性自身」2022年11月8日号
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2022年10月31日

平均的な60代の純貯蓄は1500万円、老後にいくらあれば安心なのか「ひとつの答え」

平均的な60代の純貯蓄は1500万円、老後にいくらあれば安心なのか「ひとつの答え」
10/30(日) 現代ビジネス

 〈年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く――。〉
 いま話題のベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。
60代の純貯蓄は、平均2000万円、中央値1500万円  (略)  年齢階層別に貯蓄と負債の推移をみると、一般的な家計では20代から30代に負った借入金を徐々に返済し、高齢期に向けて貯蓄を増やすといった行動をとる。
 負債の大半は住宅・土地に関するものである。住宅・土地に関する負債の額は30代の平均値で1337万円。これは住宅を購入していない人や親から贈与を受けた人なども含まれた数値であり、実際に住宅ローンを組んだ人に限れば負債額はさらに大きい額になると考えられる。

 負債額は年齢を重ねるごとに縮小していく。
40代では1052万円、50代に578万円、60代には190万円まで減少し、定年後にはほとんどの家計が住宅・土地に関する負債を完済することになる。

 純貯蓄額は年齢を重ねるごとに増える。
 年齢階層別の純貯蓄額の推移をみると、30代で665万円の負債超過であったものが、40代で負債超過の額は48万円と貯蓄と負債がほぼ均衡、その後は50代で1052万円、60代に2080万円まで純貯蓄が増える。
 家計調査においては、住宅資産を貯蓄として計上していないが、当然、住宅資産も売却すれば一定の価値を生むことになる。
このデータには計上されていないが、これとは別に長期にわたる住宅ローンの支払いも家計の資産構築に寄与していることになる。

 貯蓄の内訳をみていくと、60代では出し入れ自由な「通貨性預貯金」(582万円)と預け入れ期間に定めのある「定期性預貯金」(882万円)で約6割、家計の資産には流動性の高いものが多く含まれている。
 それに加えて、生命保険などが495万円、有価証券が345万円という構成となる。

 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」では、家計の資産の状況をより詳細に捕捉しているが、2020年度の調査において、60代の金融資産の平均額は2154万円、中央値は1465万円と、概ね家計調査と整合的な結果となっている。
 なお、貯蓄の額については、一部の資産家の数値が平均値を大きく引き上げる傾向があるため、平均値と中央値には大きな乖離が生じる。
平均的な60代の家計が有する資産は、中央値の1500万円程度だと考えられる。
 金融広報中央委員会の調査から60代の金融資産の平均額の内訳をより詳しくみていくと、定期性預貯金を含む預貯金が1184万円で、そのほかの金融資産については金額の多い項目順に、生命保険(353万円)、株式(178万円)、個人年金保険(165万円)、投資信託(118万円)となる。

 近年、中央銀行による大規模金融緩和などによって資産価格が高止まりしているが、一部の富裕層を除く平均的な家計では、株式や投資信託など資産価格の変動に直接の影響を受ける金融資産は少ない。
預貯金などを通じた慎重な運用を心掛けていることがうかがえる。

資産形成に満足できるまで、人は働き続ける
 先の数値は、一時点における各世代の貯蓄額の平均値である。
これがすなわち各家計の生涯を通じた貯蓄の増減を表しているとは限らない。
特に資産の多寡は生涯の給与の積み重ねでもある。

 このため、現在の高齢世代と現役世代の世代間の違いを無視することはできない。
現在70代以上の世代はバブル経済を経験した世代でもあるから、そもそもとしてその下の世代より裕福な傾向があるとも考えられる。
 年齢による効果と世代による効果の違いを検証するため、60代世帯の長期的な純貯蓄額の分布の変化を取ったものが図表1-10である。
 貯蓄額の分布は長期的に驚くほど安定している。60代の上位20%世帯の純貯蓄額は3000万円台半ばである。
上位40%世帯は2000万円、下位40%世帯が1000万円、下位20%世帯が300万円程度の額となっており、いずれの年度においても、純貯蓄額はほぼ一定で推移している。
 ここ数十年で、退職金の減少や中高年の賃金水準の低迷、年金の支給開始年齢の引き上げなど家計にとっては厳しい状況が続いている。
にもかかわらず、多くの人の高齢期の資産水準はそれほど変わっていない。

 これは、近年急速に進んでいる女性の労働市場への進出や高齢期の労働参加によって家計収入を増やし、年金の受給開始年齢の引き上げなどの負の影響を相殺しているからだと考えられる。
 逆に言えば、経済状況が厳しくなれば、個々の家計は資産を維持するためにも働ける限りは働くという選択をするのである。
家計経済と就業の意思決定は密接に関わりあっていて、近年の家計経済の変化が生涯現役の流れを形成しているものと考えられるのである。

 こうしたなかで、世の中の多くの人が関心を持つのは、一体どの程度の資産を持てば高齢期に安心した暮らしができるかということである。
 図表1-5で示した無職世帯の家計収支の差額をみる限り、70歳以降で見ると、70代前半で5.0万円の赤字、70代後半で3.3万円の赤字であり、たとえば90歳で死亡すると仮定したとしても、累計の赤字額はそこまで大きくはならない。
 当然、高齢期の生活は人によって大きなばらつきがある。
比較的早期に亡くなる人もいれば、高齢期に大きな病気にかかり要介護状態となってしまうことで、施設への長期にわたる入所が必須となる場合もある。
こうした様々なリスクすべてに完全に対応することは現実的には不可能である。

 しかし、高齢期に臨時的に必要となる支出も踏まえ、70歳を超える程度まで無理なく働いて残りの20年程度を働かずに過ごすと想定したときには、平均的な年金給付額に概ね1000万円程度の貯蓄があれば、統計上は現在の高齢世帯が送る平均的な暮らしが実現できると考えられる。
 もちろん、60代時点で数千万円の貯蓄を有している人も少なくない。
多額の資産があれば、老後の支出も高い水準を維持することができる。
ただ、資産額が多い人は特に、死亡するまでにその貯蓄の全額を使い切れているかといえばおそらくそうではないのではないか。

 先の図表にもある通り、70代以上世帯の貯蓄額は60代世帯の貯蓄額とあまり変わらない。
統計データでみると、現実的には高齢期にはそこまで貯蓄は急激に減ってはいかないのだと推察される。
最終的に各世帯が死亡時にどのくらいの資産を残しているのかについて信頼できる統計データは少ないが、多くの世帯がそれなりの資産を残して人生を終えるのだと考えられる。

 こうしたデータから定年後の就労に関する行動メカニズムを推察すると、まず貯蓄に関する実際の基準は人によって様々なのだと考えられる。
 リスク回避的な人、もともとの消費水準が高くて老後の消費水準も高いレベルを期待する人などは、老後に備えて多額の貯蓄を形成したいと考えるだろう。
逆に、リスク愛好的な人、消費水準がそこまで高くない人などは、ある程度のレベルの貯蓄額で満足をする。

 結果的には、個々の基準に即して、自身が十分に安心できる貯蓄水準に到達してから引退するという形で、高齢期の就労の意思決定がなされているのだと考えられる。
 本来は「老後は2000万円の貯蓄が必要だ」などと言うことができればそれが最もわかりやすいが、厳密にいえば消費水準は人によって大きく異なり、貯蓄がこれだけあれば必ず大丈夫だという基準があるものではない。
 実際の個人の行動をみていると、個々人の事情に応じて、これだけは貯めておきたいと考える漠然とした貯蓄水準があって、そこまでは働き続けるという考え方が実態に近い。

 高齢期の就業率は近年大幅に上昇しているが、これは寿命の延伸や賃金、退職金、年金など個々人の経済環境が厳しくなっていくなかで、高齢期の資産形成のために定年後も長く働き続ける人が増加したのだと解釈することができるのである。

坂本 貴志(リクルートワークス研究所研究員・アナリスト)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする