2022年12月12日

低所得でも介護施設に入る方法

年金月10万円「おひとり様高齢者」が途方に暮れる「老人ホームの請求額」…低所得でも介護施設に入る方法
2022.12.5 SGO編集部

一人暮らし、いわゆるおひとり様の高齢者が増えています。
最近の高齢者は元気な人が多いので、ひとり暮らしのお年寄り=不安というのはあまりに短絡的ですが、やはり年を重ねるに従って、介護状態になるリスクは高まります。
一人暮らしに不安を感じるようになったら、介護施設へという選択肢がありますが、誰もが入れるというわけではありません。

施設に入るほどのお金がない……
そんなとき、諦めるしかないのでしょうか。みていきましょう。
高齢のおひとり様は増加の一途だが…5人に1人は月所得は10万円程度
食卓を囲む、お父さんとお母さんと子どもたち、そしておじいちゃん、おばあちゃん。テレビアニメやドラマでたまに見かけるそんな光景に、昭和世代の人たちは懐かしさを覚え、いまどきの若い人たちは教科書で見たことがあるシーンだと思うでしょう。

この数十年で日本の家族構成は大きく変わり、核家族化が進みました。
当然、「高齢者のいる家族」のカタチも大きく変わっています。
内閣府『令和4年版高齢化白書』によると、2019年、「65歳以上の高齢者がいる」世帯は2,558万4000世帯。
全世帯の実に49.4%。2000年は34.4%でしたから、わずか20年で15ポイント近くも「高齢者のいる家族」が増えたことになります。

その内訳をみると、最も多いのが「夫婦のみの世帯」で32.3%。
続く「単独世帯」は28.8%、「親と未婚の子のみの世帯」が20.0%。冒頭にあるような「3世代世帯」は9.4%。2000年も「夫婦のみの世帯」が27.1%最多ではありましたが、「3世代世帯」は続く26.5%とまだまだ多く、この20年で急激に減ったことがわかります。

一方で「単独世帯」は19.7%。20年で10ポイント近くも増えたことになります。
今後も高齢の単身世帯は増加の一途を辿るとされ、2040年には65以上の男性の5人に1人が、女性の4人に1人がひとり暮らしとなるといわれています(国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』より)。

そんな高齢者のひとり暮らし、その家計をみてみると、平均所得は高齢男性の単身世帯で261.1万円、高齢女性の単身世帯で179.6万円。
さらに五分位階級(集計世帯数を五等分して五つのグループを作った場合の各グループのことで、収入の低い方から第I、第II、第III、第IV、第V五分位階級という)でみていくと、収入が最も低い第I五分位階級の所得は、高齢男性の単身世帯で133.8万円、高齢女性の単身世帯で126.3万円。

単純計算、ひとり暮らしの高齢者の5人に1人は、月々10万〜11万円ほど、年金などを手にして生活していることになります。

介護施設利用料金の平均は12万円…
低所得のおひとり様には高嶺の花だが 収入の手段が限られる、高齢者。その半数は「収入は年金だけ」だといいます。
現役の頃に十分に貯蓄をしていれば、足りない分は貯蓄から取り崩し、万が一のことがあっても安心、といった完璧な老後を過ごすことができます。
しかし貯蓄も心許ない、という場合、限られた年金だけでやりくりをしなければならないので大変です。
また年を重ねると、人の手を借りなければ生活できなくなる可能性も。厚生労働省の調査によると、要支援・要介護の割合は、「70〜74歳」で5.8%ですが、「75〜79歳」で12.7%、「80〜84歳」が26.4%、「85歳以上」で59.8%と、倍倍ゲームのように増えていきます。

高齢者のひとり暮らしに不安を覚える人もいるでしょう。
なかには施設への入居を検討する人も。
そこで考えないといけないのが、やはりお金の問題。

ひと口に老人ホームといっても価格はピンキリ。
公益財団法人生活保険文化センター『2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査』によると、施設介護の場合、平均月12万2,000円で、「15万円以上」が最も多く30.7%でした。
月々の収入が10万〜11万円ほどという、下位20%の人たちは少々厳しいと言わざるをえません。

−−低所得で、老人ホームに入れない そう思い悩むなら、「介護保険負担限度額認定制度」の利用を考えるといいでしょう。介護サービスを利用する際の自己負担額は、「サービス費用の1〜3割」+「理容代などの日常生活費」+「食費」+「居住費」ですが、制度を利用することで、介護保険施設を利用する際の居住費や食費を軽減することのできます。

居住する自治体に申請すると「介護保険負担限度額認定証」が発行されるので、利用する施設に提示します。
認定書の有効期限は、申請月の1日から7月末までとなっています。
継続してご利用される場合は更新手続きが必要となります。

要件は「@本人及び同一世帯全員が住民税非課税であること」
「A本人の配偶者(別世帯も含む)が住民税非課税であること」
「B預貯金等合計額が、基準額以下(配偶者がいる場合は2,000万円以下、配偶者がいない方の場合は、1,000万円以下)であること」の3点。

負担段階には4段階あり、所得・預貯金の条件によって度合いが変わります。
たとえば多床室の場合、1日の利用負担額が第1段階は0円、第2、第3段階は370円。食事負担額はショートステイ以外の特定介護サービスの場合、第1段階は300円、第2段階は390円、第3段階は650円となります。
このように、要件を満たすことで、「介護保険負担限度額認定制度」を利用することが可能。
低価格でサービスを受けることができるので、低所得を理由に老人ホームを諦めようとしている人は、一度検討してみるといいでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする