2023年01月08日

48歳男性が青ざめた…「お布施」の金額でお坊さんの怒りを買い、さらに「恐れていること」

48歳男性が青ざめた…「お布施」の金額でお坊さんの怒りを買い、さらに「恐れていること」
1/8(日) 現代ビジネス
安部 由美子
一般社団法人日本葬祭コーディネーター協会代表理事

 私は葬祭コーディネーターとして、葬儀社で働く従業員の育成に努めています。
そのため、一般の皆さまから葬儀費用などにまつわる相談を受けることがあります。
 今回ご紹介するのは、お父さまのお葬式がお坊さまの最悪な振る舞いで台無しになってしまった香坂健太さま(48歳・仮名=以下同)からのご相談です。

 先祖代々お世話になっているお寺でお父さまの葬儀を行なうことになったものの、お坊さまはなぜか不機嫌な様子で、もともと40分の予定だった読経を10分で切り上げる始末。
おかげで段取りが大きく狂ってしまいました。
 健太さまはそのことがあってから、菩提寺を抜けたいと思うまでになったのだとか。

そのお寺から離れることは可能なのでしょうか? 皆さまのお役に立てたら幸いです。

 お坊さまの最悪の振る舞いで、段取りが大きく狂ってしまった健三郎さまのお葬式。
遺族の皆さまも焦っていましたが、葬儀社スタッフの機転で何事もなかったかのように焼香案内が始まりました。
 司会の私も厳粛で穏やかにアナウンスをかけると、皆さまは心を込めた焼香をしてくださいました。
 出棺の儀にはまだまだ早すぎるため、葬儀社の社長と相談の上、香坂家の想い出の写真の全てを集め、BGMを入れた動画として、会場に流すよう進めました。
その後、私からの弔電の読み上げを先に終え、遺族から健三郎さまへの「贈る言葉」の時間をもうけました。
 そのとき健太さまがしてくれた温かくて心の震える話が、静かな斎場に広がったのです。
すすり泣きが、あちらこちらから聞こえていました。
 加えて斎場内の灯りを少しずつ落としていき、参列者の前に大きなスクリーンをおろしてて、思い出の動画を流しました。皆さまが泣いています、葬儀社の人も私も社長も……泣いてしまいました。
 大きなアクシデントはあったものの、順調に時間通りに進んで、結果的には幸せな「お父さまのお送り」になったのです。

「10万円」のお布施ははたして少ないのか?
 それにしても、お坊さまは、何が気に入らなかったのでしょう?
 私が健太さまに尋ねると、お布施の金額が思った額ではない! と怒っていたとのこと。
 「お気持ちで、と言われたので10万円包んだのですよ。それでも少ないのでしょうか」と逆に健太さまに聞かれました。

 「お坊さまの性格や人生の修行によって、異なるのかもしれませんね。私は失礼な額だとは思いません」
 そう答えると、  「そのお寺から離れた場合、嫌な思いをするでしょうか……。例えば……こんなことを言うと笑われるかもしれませんが、罰があたるでしょうか」  と言われたのです。
 「そのようなことはありません。善き修行をされていないお坊さまの元に、これ以上ご先祖さまを置かれるより、気になっているお坊さまがいらっしゃるならば、その方のところにお願いしてみてください。
善き修行をされているお坊さまでしたらきっと、どうぞと手を差し伸べてくださいますよ」  と私は伝えました。

 実際、健太さまには気になるお寺があったようで、現在のお坊さまに気を遣ったり、新たなお寺さまが、簡単に受け入れてくださるのかも気になって仕方がないとのことでした。
 そこで、「まずは気になっている、そのお寺に話に行ってきてください」と勧めたところ、数日してから連絡が入りました。思った通り、いいお方で、お墓の位置まで決めてきたそうです。

いくら包めばよいか思い切って聞いてみる
 あとは、「温かい感謝の気持ちで挨拶をして、今のお寺を出てくださいね」と私から伝えました。
健太さまからは、「言われなかったら、文句を言うところでした。なるほど」と返事がありました。
 しばらくしてから、「全て願ったように終わり、安心しています」と連絡がありました。
「ここから晴れやかに堂々と歩んでいけます」と、健太さまの気持ちが新たになったのを感じ取れ、良かった……もうそれしか思えない私でした。

 現在、問題になっている寺離れにも、事情はいくつかあります。
今回のような寺離れは、とてももったいなく感じます。
人口が減ったとか、墓守がいないとか、そんな切実な理由ではないからです。
 健太さまから相談されたようなケースは、これまでもありました。

例えば、お葬式中にお坊さまと遺族の言い合いが起こったことさえも。
こういう出来事が起こると、遺族が寺を抜けるだけでは済みません。
参列者の中からもこの寺から出る人が続いていくのです。

 ここで改めてお布施の額について、考えてみましょう。
結論から言えば、勇気を出して皆さまが「このたびはよろしくお願いいたします。お布施については、恥ずかしながら、見当もつかなくて困っています。どうぞ、その金額をお教えください」と、尋ねてみてください。
 はっきりと教えてくださる人と、「お気持ちで」という言葉を使う方に分かれるでしょう。

「お気持ちで」の金額はそれぞれ違う
 お坊さん側もこのくらいといった目安は持っていらっしゃいます。が、自ら、「10万円くらいです」や「30万円くらいです」とおっしゃるお坊さまは少ないでしょう。
 お坊さまそれぞれの「お気持ちで」の金額は、それぞれで違います。
葬儀社の人も大体の金額は知っていますから、迷ってばかりで気を揉むより、思い切って聞いてみましょう。

 遺族側としては、葬儀代金も高額な上に、故人が亡くなられたことで気持ちが不安定なところに、「お気持ちで」と答えられると考えることが増えて、頭を抱えることになるでしょう。
実際、そのような遺族を多くみてきました。

 私が思うには、そろそろ、この時代、「お気持ちで」と言ってくださったお坊さまに限っては、数万円であろうと数十万円であろうと、気持ちよく心を込めて、同じ扱いでお葬式を執り行っていただきたいと強く願います。
 遺族の皆さまが、お坊さまに、感謝の代金を多く支払う気持ちが山ほどあっても、実のところ、お金に困っている遺族も多いからです。
 昨今では葬儀社のみならず、お坊さまも含む多くの関係者が、見直しに積極的に取り組んでいます。
 お寺とかお坊さまとか、なんとなく敷居の高さを感じたり、話しかけづらさを感じたりする人がいるのも事実です。
 しかし、心配しないでください。今もなお、そういった皆さまのお気持ちを考えた上で、お寺のお坊さまたちは様々な努力をされていますから、判断に迷うことは直接聞いてもよいのです。

安部 由美子
(一般社団法人日本葬祭コーディネーター協会代表理事)
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日本中を席巻した「一杯のかけそば」物語 作者の学歴詐称などが報じられブームは去る

日本中を席巻した「一杯のかけそば」物語 
作者の学歴詐称などが報じられブームは去る
2023年01月07日 リアルライブ

1988年の年末から89年の始めにかけて、日本中をある感動の物語が席巻していた。
それが『一杯のかけそば』だ。

ストーリーは1972年の大晦日の晩、蕎麦店に子どもを2人連れた母親が現れる。
3人で一杯のかけそばを注文したため、店主は1.5人前を茹でて出した。
母子の父親は交通事故で亡くなっており、好きだった店へ父を偲びやってきた。
母子は翌年も1杯、翌々年は2杯のかけそばを注文するが、その後音沙汰がなく、十数年後に成長した2人の子どもと母親が現れ、3杯のかけそばを食したなるものだ。

この話は実話を元にしていると言われた。
折しも当時の日本はバブル経済の真っ只中である。
「一杯のかけそば」がもたらす、貧しくとも清いストーリーは失われた大事なものとして崇められたのだろう。

この話は国会でも取り上げられ、89年2月17日の衆議院予算委員会の審議で、公明党の大久保直彦衆議院議員(肩書は当時)が時の首相であった竹下登氏に対する質疑でほぼ全文朗読した。
これは大規模な収賄事件であるリクルート事件に関する質問で読み上げたもの。
汚職事件に対する質問に清らかな物語をぶつける意図があったのだろう。

この話には、大物政治家の金丸信氏も涙としたと言われる。
ところが、「一杯のかけそば」ブームは間もなく終了する。
ストーリーに辻褄が合わない部分があるとして、各方面からツッコミが入ったためだ。
1杯のかけそばの値段は150円とされたが、タモリは『笑っていいとも!』 (フジテレビ系)で「当時150円ならばインスタントのそばが3個買えた」と強烈なツッコミを入れている。
さらに作者の栗良平氏の学歴詐称などの素性が週刊誌で報じられると、一気にブームは去って行った。

一連の報道を見る限り、「一杯のかけそば」は少なくとも「実話」ではなく、創作度の高い物語ということになるのだろう。 国会議員まで騙されてしまったのは、それほどよく出来た話であったとも言えそうだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする