2023年03月02日

お墓を管理し続ける場合と「墓じまい」、それぞれの費用はどれくらい?「墓じまい」のメリット・デメリットについて解説

お墓を管理し続ける場合と「墓じまい」、それぞれの費用はどれくらい?「墓じまい」のメリット・デメリットについて解説 3/1(水) 8760 by postseven

春の彼岸が近づいてきましたが、墓参りのために帰省しているという人も多いのではないでしょうか?
 生活コスト削減コンサルタントの生方正さんは「墓参りにかかる費用や時間、そして将来的にお墓が放置されてしまうリスクを踏まえて、自分もしくは親の代での墓じまいを前向きに検討しています」と話します。
そこで、墓じまいのメリット・デメリットについて聞きました。
* * *
心の安定をもたらす効果がある墓参り
墓参りには、お墓の前で先祖に感謝の気持ちを述べたり、直近の出来事を報告したりすることで、自分の気持ちを整理できるといった心の安定をもたらす効果があります。
また、多くの成功者が先祖に感謝することで運気を高めていると聞きます。

◆時間もお金もかかって負担に感じる人も
その一方で、墓参りにかかる時間やお金を負担に感じている人もいます。
お墓が家から1時間程度の距離にあるのであれば大きな負担にはなりませんが、お墓が新幹線とローカル線を乗り継いで行くような距離にあると、墓参りは1日がかりのイベントとなり、家族で墓守をするために多くの時間と費用が必要になる家庭もあります。

仮に、お墓のメンテナンスだけであれば業者に頼むこともできますが、その場合も当然費用は発生します。
また、費用や時間の負担からお墓がほったらかしになってしまうと、そのお墓の周辺のお墓の持ち主にも迷惑をかけることになってしまいます。

◆遺骨を守るのは誰のため?
お墓や仏壇に花を供える時、花は仏壇ではなく、手を合わせる人の方を向いています。
これは、「私はいいので、あなたたちが愛でなさい」と言う意味です。

先祖は本当に、子孫の負担になってでも遺骨を守ってほしいと考えているのでしょうか?
墓じまいを1つの選択肢に 墓参りの負担が大きいのであれば、墓じまいも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか? 
墓じまいとは、今ある墓石を撤去して使用権を返還し、新しい場所に納骨することです。
永代供養が可能な納骨先であれば、寺院などで永代にわたって供養していただくこともできます。

◆30年間のお墓の管理と墓じまいの費用に大差はない
コープの「家族葬ウィズハウス」によれば、お墓の管理費用は年間2000円〜1万5000円程度。
仮に自分の代で30年管理するとすれば、管理費用だけで6〜45万円ほどかかるそうです。
さらにお花やお供え物の費用、墓石の修理費用、遠方に住んでいる場合は交通費や宿泊費なども加算されます。

一方、「お仏壇のはせがわ」によると、墓じまいする場合の費用は30〜300万円ほど。
納骨先や納骨方法によって費用が高くつくケースもありますが、お墓が遠方にある場合はお墓の管理費用と墓じまいの費用に大差はないと見ていいでしょう。

◆墓じまいには補助金制度も
墓じまいについては、補助金を出している自治体もあります。
墓じまいの費用負担が気になっている方は、ぜひ一度ご自身の住む自治体やお墓のある自治体のHPをチェックしてみてください。

◆墓じまいは親族間で同意を得てから決定を!
墓守の負担を減らすことにつながる墓じまいですが、心理的な抵抗感を持つ人もいます。
例えば、一人娘で実家のことを自分でやらなくてはいけないから…と周りに相談せずに墓じまいを決めてしまうと、親族トラブルの原因になることもあります。
親族も交えて皆さんが納得できる形を選べるように、まずはお墓について話し合う機会を設けるところから始めることをおすすめします。

家庭の状況にあった供養方法の検討を
供養で大切なことは、遺骨が入ったお墓を守り続けることではなく、先祖に感謝をすることです。
そもそも、立派なお墓に納骨して骨を敬う文化は日本独自のもので、日露戦争の戦死者の遺骨を遺族に渡したところから始まったと言われており、長い歴史があるものではありません。

現行の供養方法にこだわるのではなく、永代供養、樹木葬、散骨など、ご家庭の状況に合った供養方法を検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに私は寝る前に、他界した身内の顔を思い浮かべて感謝することを続けています。
立派なお墓を建てて、その管理を永遠に子供達に押し付けるより、一日数分でも故人を思い返したほうが喜ばれるような気がします。

◆教えてくれたのは:
生活コスト削減コンサルタント・生方正さん
明治大学サービス創新研究所研究員。
高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。 構成/鮫嶋舞
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2023年03月03日

"高齢者叩き"原因は政府とも

"高齢者叩き"原因は政府とも
2023年03月02日 女性自身

「高齢者は、老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」(2021年12月「ABEMA Prime」)
こんな過激な持論を繰り返してきたのは、コメンテーターとしてもすっかりおなじみになった経済学者でイェール大学のアシスタント・プロフェッサーの成田悠輔氏(38)だ。
今、こうした成田氏の発言が国内外で注目され、批判を浴びているのだ。

2022年1月にネットで公開された堀江貴文氏らとの座談会では、前述の主張だけではなく、“強制的な安楽死”の必要性にまで言及している
「優生思想ですね。衆議院議員の杉田水脈さんも『LGBTは生産性がない』と言って批判された。
つまり、“生産性”がないから、高齢者や障がい者に価値がないと勝手に決めつける。ナチスと同じ発想です」
そう指摘するのは、社会保障法などを専門としている鹿児島大学の伊藤周平教授だ。

ナチスはユダヤ人をはじめとする特定の民族の虐殺だけではなく、精神障害や身体障害のある人々を“強制的な安楽死”させたことでも知られている。
成田氏の主張に厳しい批判が集まる一方で、近年、高齢者を敵視する同様の意見が、若年層の間で広がっているのだ。
《老害たちの社会保障費に、若者の金がとられている。自分勝手な老人が日本をダメにしている》
《寝たきりの老人を延命させるために、若者が犠牲になっている。コロナで死ぬのは寿命だろ》
いずれもネット上で、よく見られる主張だ。

■“政府公認”の高齢者たたき
「深刻な不況のなか、特定の悪者を作ってバッシングすることで、自分たちの責任を転嫁するというのは古くから権力者がやってきた手法です。
日本では今、高齢者が敵にされている」 そう指摘するのは経済評論家の森永卓郎さんだ。

「財務省や与党の政治家は、高齢者からの税収は少ないのに、年金や医療などの莫大な社会保障費がかかっているから、財政健全化ができないと言い続けてきました。
そのために、増税も必要だし、少子化対策もできないと。
そうやって、世代間の対立をあおり、責任転嫁してきた。

その一方で、防衛費は大幅に増やすわけです」
成田氏ほど“あからさま”でないものの、こうした高齢者蔑視発言は、与党自民党からも、たびたび発せられてきた。
その急先鋒が、麻生太郎元首相だ。

総理大臣時代の2008年、「(同窓会で再会した友人たちが)よぼよぼしている、医者にやたらにかかっている者がいる」と発言。
2016年にも、テレビで見た高齢者を例に、「『いつまで生きているつもりだよ』と思った」などと言い放った。
また、自民党の若手のホープ・小泉進次郎元環境大臣も、「(子どもに比べて)あまりにも高齢者を優遇しすぎ」
「高齢者に配るお金はあるが、少子化対策のお金はないというのはおかしい」と、雑誌の座談会で発言している。
テレビや新聞では、元官僚や政権に近い言論人が同様の意見を展開。成田氏の発言は、こうした土壌のもとされたものだった。

■「高齢者はコロナで死んでも構わない」
一方、岸田首相はどうだろうか。
高齢者を含む“全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会を目指す”と所信表明演説で語ってはいたが……。 「大手メディアはあまり報じませんが、新型コロナの第8波だけで東日本大震災の死者数を超える2万人超が亡くなっています。
その約9割が70代以上の高齢者です。
にもかかわらず、岸田政権はなんの対策もとらず、逆に5類への引き下げを決定しました。
つまり、実際に政府は、『高齢者は死んでも構わない』という政策を実行しているんです」(森永さん)

さらに、政府が進めるのは医療費の削減だ。前出の伊藤さんはこう解説をする。
「厚労省はこれまで、人口減少と高齢化を見越して全国で公立・公的病院の統廃合を進め病床を削減してきました
コロナ禍で病床がひっ迫している中でも進めていた。
多くの高齢者が入院できずに亡くなったのは、その影響も大きいでしょう」

一方で、高齢者の負担はうなぎのぼりだ。昨年10月から、年収200万円以上の後期高齢者の医療費窓口負担が2割に。
65歳以上が負担する介護保険料も導入当初から2倍超の月額平均約6千円になっている。
さらに2024年度からは、介護保険サービスの利用料の自己負担額が引き上げられる可能性が高い。

「安倍政権と違って、岸田首相は財務省の言うことは何でも聞く政権なんです。
高齢者の切り捨ては、岸田政権で間違いなく加速していくでしょうね」(森永さん)

■日本は高齢者も若者もみな貧しい
「そもそも“恵まれた高齢者VS貧困な若者”という図式がまちがっている」と伊藤さんは指摘する。
「日本は世界的に見ても、高齢者の貧困率が高い。貯蓄も年金も少ないためです。
裕福な高齢者は一握り。実は高齢者も若者も貧困状態にあるのです」

OECDの最新のデータによると、高齢者の貧困率はG7の中ではアメリカに次いで2番目に悪い水準。
18〜65歳も、イタリア、アメリカに続き3番目に悪い。
「日本は高齢者人口が多いので社会保障費の全体は多いのですが、1人あたりでみると、先進国のなかでは少ない水準です。

そもそも、社会保障にあてると言って上げた消費税の大部分は国の借金の返済と、実質的に法人税引き下げの穴埋めに使われている。
誤った世代間対立に乗せられていないでしょうか?」

最後に森永氏はこう指摘する。
「結局、高齢者を悪者にしているのは、30年間日本だけ成長できず、賃金を上げられず、少子化の対策もできなかった政府の責任をごまかすためです」
誰もが年をとり、いずれ高齢者になる。
若者よ、本当の敵は未来の自分自身ではない。
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2023年03月04日

衆議院の「劣化コピー」の参議院が、「無用であり有害」と言われる残念な理由 本当に必要なのか?

衆議院の「劣化コピー」の参議院が、「無用であり有害」と言われる残念な理由 本当に必要なのか?
3/4(土) :現代ビジネス

3月2日にインドでG20外相会合が開催されたが、林芳正外務大臣は参議院での予算案質疑を優先して欠席し、議論が巻き起こっている。
驚くべきことに、野党だけでなく自民党の参議院議員までもが質疑への出席を促したと報じられた。
しかし実際の参院予算委員会での質疑で、林外相が答弁に立った時間はたったの53秒。
主要国の外相が集まる会合よりも、参議院でのわずかな答弁を優先すべきなのだろうか?

大昔には「良識の府」と呼ばれた参議院だが、その面影は今やどこにもない。
当選するのは、元タレントや元スポーツ選手、元衆院議員に、業界団体や労働組合の出身者だらけ。
まともな政治を期待していいのか。
『週刊現代』2022年7月16日号より、参議院の存在意義について考える。

「参院のドン」の横槍が入った
'82年の鈴木善幸内閣の時に、それまでの全国区制を廃止し、拘束名簿式比例代表制が導入された。
政党の得票数に応じて議席数が決定し、候補者名簿の順位に従って当選者が決まる仕組みとなった。
これが参議院の弱体化につながったと政治ジャーナリストの後藤謙次氏は指摘する。

「それまでの参議院はまだ『良識の府』と言われていたくらいで、各界の権威が国民を代表する立場で個人として議論していました。
ところが、選挙制度が変わってからおかしくなった。
執行部の権限で名簿の順位を決めることになり、与野党ともに参議院議員は執行部の顔色を窺わないとならなくなったのです」

所属政党の言いなりになり、独自色を出せない参議院に不要論が巻き起こる。
危機感を覚えた当時の参院議長は'99年に改革に向けた有識者懇談会を設立した。
メンバーとして参加した評論家の大宅映子氏が振り返る。
「1年間かけて学者やジャーナリストと議論をして、改革案を提案しました。
政党が所属議員の投票行動を拘束する『党議拘束』の見直しや中長期的に政策を評価する委員会の設置、本会議では議員個人の専門や見識を生かした質疑を中心とすることなど、26項目を参議院に提出したのです。
ところが、実現したのはわずか1項目のみ。
改革したいという参議院の姿勢はポーズにすぎず、結局は何も変化を望まない体質だったのです」

この有識者懇談会に幹事として参加した政治行政アナリストの本田雅俊氏が内情を明かす。
「当時、『参院のドン』として権勢を振るっていた村上正邦氏や、自民党の参院幹事長だった青木幹雄氏から、何を勝手なことをやっているんだと横槍が入ったんです。
彼らは当時の参議院の中で、議長以上の力を持っていました。
改革されると自分たちの権威が傷つくと警戒したのか、断固抵抗してきた。
結局、改革は何も進みませんでした」

'00年、森喜朗内閣が非拘束名簿式比例代表制を採用し、参議院の選挙制度はさらに改悪される。
激しく反発する野党を振り切って、強行採決に踏み切った。
「この頃の『参院のドン』は青木幹雄氏で、彼は名簿に載っている候補者同士を競わせようとしました。
比例投票先に政党名だけでなく、候補者の個人名を書けるようにして、個人の得票順に当選するようにしたのです。
その結果、業界団体や企業、後援会などの組織を持っている人ほど当選しやすくなった。
それ以外だと知名度のあるタレントにますます頼るようになってしまった。
結局、選挙制度が変わったことで、参議院は力を失っていったのです」(前出・後藤氏)

無用であり、有害 参議院の権威の失墜を決定的にしたのが、'05年の郵政国会だった。
衆議院を通過した民営化法案を参議院が否決。小泉純一郎総理(当時)は衆議院解散に踏み切った。
内幕を取材したジャーナリストの田原総一朗氏が言う。
「森前総理が小泉総理に、郵政民営化は参議院で否決されるから継続審議にしようと持ちかけたんです。
ところが、小泉総理は絶対に採決すると突っぱねた。
否決されたらどうするのかと尋ねると、衆議院を解散すると言い切ったんです。
それで森前総理が、僕のところに泣きついてきた。僕の番組に彼が出て、小泉総理をコテンパンに批判した。
それでも、小泉総理は解散に踏み切った。結果はご存じのとおりです。

小泉総理は巧みな劇場型選挙で圧勝を果たした。
郵政選挙後の国会で、参議院は民営化賛成に回る。
参議院が政府の方針に反対しても意味がないことが明らかになってしまったわけです」
その後、'06年に小泉総理の後継となった安倍晋三総理は、郵政民営化に反対した造反議員を復党させ、支持率が急低下。数々のスキャンダルにも見舞われ、'07年の参院選で大敗を喫する。
野党が参議院の過半を占め、衆参で第一党が異なる「ねじれ」が生じて国会が大混乱に陥ったことは記憶に新しい。

〈第二院は何の役に立つのか。もしそれが第一院に一致するならば、無用であり、もしそれに反対するならば、有害である〉 18世紀に起きたフランス革命の指導者の一人であるシェイエスは二院制の問題点をこう喝破したとされる。
現代日本の政党政治にも、この指摘は鋭く突き刺さる。
参議院が「衆議院のカーボンコピー」であれば、それは無用であり、衆参でねじれると政権はたちまち不安定になり、有害だ。

良識を取り戻せるのか
日本と政治制度は異なるが、上院と下院の二院制を取る米国でも、上院の存在が政治的混乱を引き起こしているという。
米スタンフォード大学教授(政治学)のモリス・フィオリーナ氏が言う。
「上院があることで国民の選択肢が増え、一見、民主主義を維持しているように見えますが、実際はそうではありません。
皮肉なことですが、上院があることで非民主的になっていると言っても過言ではない。
よく指摘される問題点は上院で認められている『フィリバスター』と呼ばれる『議事妨害』です。
米上院では法案の採決を阻止するため、議事の進行を妨げることが認められています。
民主党と共和党の勢力が拮抗している現在の米上院では、民主党は共和党によるフィリバスターの行使に対抗することができない。
国家のためになるかもしれない法案であっても、共和党が民主党の手柄にしたくない場合、廃案に追い込むことができる。
これは非民主的な制度ではないでしょうか」

日本でも同様のことが起こると、フィオリーナ氏は指摘する。
「日本で『ねじれ』が生じて、参議院が見せしめのために法案を通させないとしたら、それも非民主的な行為です。
ただ、現状は『ねじれ』が生じておらず、衆議院で可決されたものが、そのまま参議院で可決されているようですから、参議院の議論は形式だけのように見えます。
そうであれば、参議院が存在する意味はあまりありません」

党派を超えた良識でもって、衆議院で可決された予算や法案を修正し、時には否決する。
場合によっては、政府の方針に真っ向から物申す。そうでなければ、年間約400億円ものコストをかけて参議院を維持する必要はない。

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう提案する。
「参議院の選挙制度を改革することが必要です。
選挙区はなくし、比例代表制だけで定員100名程度が選ばれるようにする。
さらに参議院議員は政党に属さないといったルールを決める。
参議院はどうあるべきかの理念をきちんと立て、政党主体でない選挙で選ばれるのが参議院議員であるべきです。
そうして初めて、衆議院と異なる視点で予算や法案の審議ができるようになるでしょう」

次の参院選は3年後。それまでに変わることができなければ、参議院はもういらない。

「週刊現代」2022年7月16日号より
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2023年03月05日

ひとり老後の3条件

貯金不足・低年金・女性シングルでも働かずに生きていける!ひとり老後の3条件
3/4(土) 週刊女性

 老後の生活が年金だけでは不足するという「老後2000万円問題」が取り沙汰されて久しいが、自分の老後のお金の問題はしっかりクリアになっているだろうか?

ひとり老後の予算不足は深刻
「貯金2000万円あったところで、使い始めると意外とすぐ底をつく。
実際はもっとかかるのに、本当の必要額をわかっていないとしたら問題です。
思いがけない資金不足に陥ってしまうケースが後を絶ちません」

 教えてくれたのは、CFPの黒田尚子さん。
日頃から、老後資金に悩む相談者へのアドバイスに努めているが、近年ひとり身女性からの相談も多い。
 厚生労働省の令和3年度のデータでは、女性のひとり世帯の平均年金額は老齢厚生年金で月10万4686円、基礎年金だけだと月5万1852円しかない。
一方で平均支出額は月13万2476円なので、厚生年金でも1か月あたり3万円弱足りない計算に。

 つまり1年間では不足額はおよそ33万円強にも!
さらに豊かな生活を望めば、支出は月15万円以上になるという試算もある。

不足分は、自分の資産から取り崩していくことに……。
「最低限ならどうにかなると思っていても、予想外の物価高騰による出費や、住居のリフォーム代、病気の治療費などと思わぬ出費がかさんでしまうことが多々あります」(黒田さん、以下同)

 60歳代で夫に先立たれたAさんは、自身の体験を語る。 「まさか夫が早くに亡くなるとは思わず、元気なときにずいぶん貯金を使ってしまっていたんです。
私は長年、専業主婦で、会社員だった夫の年金が主な収入だったのに。遺族年金に私の基礎年金を合わせても不足、がく然としました」

 一方、ひとり身で親の介護費を負担する50代のBさんも厳しい現状にため息をつく。
「昨今の値上がりの影響で、老人ホームの食費や光熱費が約2万〜3万円上がりました。
80代の親を退所させるわけにもいかず……いまはまだ仕事をしているのでなんとか払っていますが、自分の老後がもし同じことになったらと心配でなりません」

 どんな予想外のことが起こっても不思議ではない老後。
ひとり身となれば、老後資金が足りないリスクはさらに大きくなる。
 安心できるひとり老後の条件とはどのようなものだろう。

【条件1】家計を洗い出し現状を把握
 老後の心配を解消するには、まず第一に、家計の現状を洗い出すことが重要。
 厚生労働省の調査では、令和3年の65歳女性の平均余命は24・73年。
仮に65歳から90歳まで25年間生きるとした場合、資金計画は25年分の支出が全部でいくらか考えることから始まる。
「必要な老後資金を割り出すには、『自分の老後に必要なもの』『かかる金額』『いつまでに用意するか』の3つを明確にするのが大事。
これを決めないと、お金を貯めるにも途中で挫折してしまったり、衝動買いで失敗しがちです」
 そのためには食費、水道光熱費などの必ずかかる生活費をひと月分すべて書き出してみる。
1年間ならこれが12回分だ。
 次に、年払い保険料、固定資産税の支払いなどといった、年間に不定期でかかるお金を算出する。
これらを足せば、1年間の支出の総額が出てくる。生活が変わらなければ、老後も毎年同じだけ必要になるわけだ。

「老後の収入」について考えてみよう。
なんといっても頼りは公的年金なので、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で自分がもらえる年金額の確認を。 「50歳以上の方であれば、すでにかなり具体的でリアルな金額が出てきているはず。
まずはその少なさに呆然としていただくことから始めなければなりません」
 必要額から受け取れる年金額を引けば、1年間の不足金額がわかる。
そこに自分の余命年数を掛けて、冠婚葬祭費や医療費、自宅のリフォーム代などといった必要なライフイベント費をプラス。そうして出てきた金額が今後の人生予算のマイナス分となる。
「不足分は貯蓄などから補てんしていくことになります。先ほどの人生予算マイナス分を差し引いて、もし赤字が出るようなら、準備していく必要があります」

 すぐにでも始められるのが、節約と貯金。老後に使えるお金は、少しでも増やしたい。
場合によっては自宅の処分を検討したり、少しずつシンプルな暮らし方に変えていくことも考えよ

【条件2】受け取れる年金を増やす
 年金の受給額を増やす方法はいくつかある。
 手っ取り早いのは、年金加入期間を延ばす方法。
働いている人の場合、定年退職後も再雇用などで仕事を続ければ、その分厚生年金額が増える。
 一方で自営業やフリーランスなど、厚生年金の対象でない人は国民年金に月額400円を追加で納めることで、将来の年金受給額を増やせる付加年金という制度も覚えておこう。
 また60歳でまだ最長40年間ある老齢基礎年金加入期間を満たしていないようなら、65歳まで加入期間を延ばせる国民年金の任意加入が利用できる人も。年金額はその分増やすことが可能だ。

 65歳からの年金受給を後ろに繰り下げても、年金額は増える。
繰り延べは1か月単位で70歳からなら42%、75歳まで延ばすと84%も増額される。この増額はかなりおトク。
 65歳以下の場合は、個人で加入して公的年金にプラスして給付を受けられるiDeCoを使うという手も。
運用する商品を自分で選び、自分で掛け金を積み立てる制度で、掛け金分は所得控除となり、運用時の収益も非課税。
年金や一時金で受け取るときも税制優遇が受けられ、老後資金を貯めながら節税できるおすすめの方法だ。
「もちろん老後は働かずに済むのが理想。
でも年金は不足するのが当たり前だと考えて、前向きに手を打っていきましょう。

 年金を増やすにはまず働き続けること。それには健康でいることがキホンです。ひとり老後は体力という大切な資産をどれだけ守っていけるかがポイント」

【年金を増やす方法】
〈1〉会社員なら70歳まで働き、厚生年金を増やす
〈2〉60歳以降、国民年金に任意加入し、加入期間を増やす
〈3〉国民年金なら付加保険料(月額400円)をプラスし、付加年金を上乗せ
〈4〉個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用する
〈5〉受給年齢を繰り下げ、割り増し分を加えて多めに受け取る

【条件3】資産運用のスキルを磨く
 資産を増やすことも大切だが「資産運用」と聞くと、なんとなく「ギャンブルでキケン」という感じがするという声も多い。
「もし、パチンコのように勝った負けたがあるだけの話だと思い込んでいるのなら間違い。
仕組みを理解して正しい運用をすれば、安定してお金が作れます。
ただ注意したいのは、儲かりそうだからと、いきなりワケのわからない投資や金融商品に手を出してしまうこと。

 都合の良すぎる話をうのみにするのではなく、自分が理解できるものを選び、生活に支障の出ない金額からコツコツ始めることです」

 おすすめは、加入年齢に上限がなく国のサポートで利益分非課税の「NISA」。
他の資産運用に比べて2割以上もおトクだ。
 特に来年からの「あたらしいNISA」は、利用上限が1800万円で、想定利益分を考えると「老後2000万円」問題をそれだけで解決できるかもしれない。

安心な老後のために必要なのは「備えるお金」。中でも一番自由度が高いNISAは要チェックだ。

 ただし、資産運用は必ず生活費や医療費、住居費など、生活に必要な資金を除いた余剰金で行うことが大切。
3か月から半年の生活資金は現金で確保したうえで行うのが鉄則だ。
人生100年時代必要な心構えとは  ひとり老後を生き抜くための条件は、なかなかキビシイ……。

その中で少しでもラクに生きていくための心構えを黒田さんはこう語る。
「『知ってトクする力』と『行動力』がキーになります。
世の中のいろいろな情報の中から自分がトクする情報に目を光らせておくこと。そして、実際にトライしてみることです」

 例えば、公的に申請すればもらえるお金や受けられる控除なども、知らないだけで大損。
便利な制度に限って、不親切にも告知されていないことも多い。
 有利な仕組みを利用するためには、日頃からネットなどで検索をしながらおトク情報をコツコツ集めておくのがいいという。

 もちろん情報を調べただけで満足してしまっては何の意味もない。
家計管理にしても資産運用にしても、習慣にし、地道に継続していくことで力がつく。
実際に行動しなければ、お金は増えていかないのだ。
「そうは言いつつ、なかなかうまくできないというのもホンネ。そんなときに大事なのは、『サービスを利用する力』です。要は、便利なアプリであったり、相談できる窓口など、自分を助けてくれるものを適度に頼るということです」

 具合が悪くなったら病院に行くように、お金の困りごともうまく周囲にサポートを求めるのが一番の解決策だ。
お金に強くなるスマホアプリを味方に!  お金を賢く使うには、「情報を知る力」と「行動力」が肝! そこで、今日から使える

便利なアプリをご紹介。
〈1〉使いすぎを防ぐ家計簿アプリ「Zaim」  カードや銀行口座とも連携できて機能が豊富!入力もシンプルでムダがないのも優秀。
〈2〉お金のプロがアプリを通して家計診断「ウェルスケア」  FPの知識とノウハウを盛り込んだ家計アプリ。家計情報を細かく入力すると、自分専用の『家計診断レポート』が見られる!
〈3〉計画的に貯金したい人におすすめ「貯金アプリfinbee」  設定したプランどおりに、銀行口座と連動して自動で貯金してくれるアプリ。節約の強い味方に!
〈4〉ゲームで学べるお金の勉強アプリ「ライフプランスタディ」  クイズで楽しみながら、家計管理や資産運用などのお金の知識が学習できる。お金についてわからないことだらけならまずコレ!

教えてくれたのは…… 黒田尚子さん○CFP1級ファイナンシャルプランニング技能士。
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2023年03月06日

「温めるべきか、冷やすべきか」誤った対処法で症状を悪化させる人が多い"慢性頭痛"の2つのタイプ

「温めるべきか、冷やすべきか」誤った対処法で症状を悪化させる人が多い"慢性頭痛"の2つのタイプ
2023年03月05日 プレジデントオンライン

頭痛の時にはどう対処すればいいのか。
産業医の池井佑丞さんは「慢性的な頭痛の大半は、『片頭痛』と『緊張性頭痛』で、ほかにも痛み止めの飲みすぎで起こる『薬物乱用性頭痛(MOH)』がある。
それぞれ、対処法がまったく違うので、まずは自分の頭痛がどれにあてはまるか知ることが重要」という――。■

「命に関わる頭痛」「そうでない頭痛」
日本人の4人に1人が慢性的な頭痛に悩んでいると言われています。
産業医としての現場でも、頭痛の訴えは頻繁に聞かれるものの一つです。

頭痛は大きく、「命に関わる病気の症状としての頭痛」と「そうでない頭痛」の2つに分けられます。

命に関わる疾患の症状である可能性がある頭痛は「二次性頭痛」と呼ばれ、脳や頭に原因となる疾患(一例として脳腫瘍やくも膜下出血、脳卒中など)や外傷などがあり、その症状として現れます。
今までに経験したことのない頭痛や、発熱、麻痺(まひ)、意識障害を伴う頭痛の場合には、早急な受診が必要になります。

対して「そうでない」方の慢性的な頭痛は「一次性頭痛」と呼ばれ、頭痛そのものが疾患として捉えられます。
命に関わるようなことは基本的にはありませんが、生活の質(QOL)の低下や生産性低下につながります。
また、最近では市販薬の不適切な使用による頭痛も注目されています。
「薬を飲めば治まる」「何とか我慢できてしまう」と、軽視されがちな一次性頭痛ですが、誤った対処を続けて症状を悪化させている人も多いため、正しい知識と対処を知っておきましょう。

■慢性的な頭痛の大半は「片頭痛」と「緊張性頭痛」
片頭痛などのいわゆる「頭痛持ち」の頭痛は、ほとんどが一次性頭痛です。
この「片頭痛」と「緊張性頭痛」で一次性頭痛の大部分を占めます。
これに有病率は低いですが激烈な痛みを伴う「群発頭痛」を加えて一次性頭痛の代表とされていますが、今回は特に患者数の多い片頭痛と緊張性頭痛に焦点を当てて説明します。

「頭痛持ち=片頭痛」と思っている方も多いですが、実は有病率では緊張性頭痛が上回ります。
この2つは、適切な対処法がまったく異なります。それぞれの特徴をご説明しますので、自分の頭痛の種類や対処法を正しく理解しておきましょう。

<痛みの特徴>
片頭痛 拍動性(脈打つような)の痛み
頭の両側が痛む場合もあるが、片側が痛む場合のほうが多い

緊張性頭痛
頭が締め付けられるような痛み(圧迫感) 首筋にかけての痛みや肩こり、目の痛みを伴う場合が多い

片頭痛では吐き気や嘔吐を伴うことがありますが、緊張性頭痛ではほとんどありません。
頭痛の発作が出た時に体を動かすことで痛みが強くなったり、光や音に敏感になる場合は片頭痛です。
緊張性頭痛の場合はそのような要因で症状が悪化することはありません。

■血管が広がることで痛みが生じる片頭痛
<代表的な誘因>
片頭痛 寝不足、寝過ぎなどの睡眠要因、飲酒、天候や気圧、月経周期など ストレスから解放されたことがきっかけとなることも(週末頭痛)

緊張性頭痛 筋肉(肩や首)の緊張による血行不良
長時間同じ姿勢、VDT症候群(パソコンやスマホなどの長時間操作で起こる症状)、骨格の歪みなどに起因する 片頭痛の誘因はさまざまですが、脳の血管が拡張する際に生じる痛みが片頭痛の原因であるといわれています。
飲酒、気圧の変化などは血管拡張のトリガーとなるものです。

自律神経の働きにも血管の収縮・拡張の作用があります。
自律神経は交感神経・副交感神経がバランスを取り合うことで体を環境に適応させる役割を持つ神経です。
心身がリラックス状態の時には副交感神経が優位となりますが、このとき血管を拡張させる作用もはたらきます。
これが睡眠に起因する片頭痛やいわゆる週末頭痛の一因ともなります。

また、統計から片頭痛は男性よりも女性に多いことがわかっています。
女性ホルモンのエストロゲンが片頭痛の誘因因子であり、月経周期で分泌が変動するタイミングで片頭痛が生じやすくなることもその一因と考えられます。

■冷やす方がいい「片頭痛」、
温める方がいい「緊張性頭痛」
片頭痛と緊張性頭痛とでは頭痛発作時にとるべき対処法が異なります。
まず、片頭痛の基本は患部を冷やすことですが、緊張性頭痛では温める方がよいです。

片頭痛では光や音、体動により痛みが増すため、静かな暗所で安静にすることが効果的です。
入浴は血管を拡張させるため発作時には避けましょう。

逆に緊張性頭痛では体を動かすことが推奨されます。
適度な運動が筋肉の緊張を和らげ血行改善につながるためです。
痛みが強い場合には無理をせず軽いストレッチやマッサージでもよいでしょう。
ゆっくりと入浴し心身をリラックスさせることも効果的です。

<対処法>
片頭痛
患部を冷やす 静かな暗いところで安静にする(光や音、体を動かしたり入浴したりすることは避ける)

緊張性頭痛
患部を温める 体を動かす(筋肉の緊張を和らげ血行をよくする) ストレッチやマッサージ、入浴をする

前出の通り、一次性頭痛は放置しておいても命に関わるものではないですが、生活に支障が出ている場合には無理せず受診することをお勧めします。
治療には、片頭痛には薬物療法が、緊張性頭痛には生活習慣の改善が用いられることが多いという違いがあります。
また、どちらの場合にも、原因に精神的ストレスがある場合には神経内科や心療内科での治療が必要と判断されることもあります。
ただ、実際は医療機関の受診に至らない方が大半です。

片頭痛患者の60.8%、緊張性頭痛患者では48.1%が市販薬で対処しているとの調査結果もあります。

鎮痛薬(痛み止め)は、適切に使用すれば一次性頭痛の対処法として有効ですが、自己流の対処を続けることがよくないケースもあります。

 ■「痛み止め」が頭痛の原因に
片頭痛や緊張性頭痛が多いのは確かですが、頭痛には他にもさまざまな種類があります。
例えば、恒常的にカフェインを摂っている人がカフェインを摂らなくなったときに起きる「カフェイン離脱頭痛」や、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群による頭痛、精神疾患による頭痛などが挙げられます。
これらは適切に診断、治療されることが必要なので、自己流の対処で改善が見られない場合には頭痛外来を受診してください。
鎮痛薬の不適切な使用が、かえって頭痛の原因となるケースもあります。これを「薬剤の使用過多による頭痛」〔薬物乱用頭痛(MOH)〕といいます。
MOHについては「薬物乱用」という言葉から違法薬物などをイメージするかもしれませんが、慢性的な一次性頭痛への対処として鎮痛薬を使用すると起こります。
1カ月に15日以上頭痛がある、1カ月に10日以上鎮痛薬を飲んでいる、鎮痛薬が効かなくなったと感じる場合は、MOHの疑いがあります。
痛みへの不安から、痛みがないのに予防的に鎮痛薬を飲んでいる方も注意が必要です。
MOHの治療は、原因となる薬剤の使用を中止する「離脱療法」が最も有効です。
治療を開始すると、多くの依存症と同様、頭痛の悪化や嘔吐などの離脱症状に苦しむことにもなります。
70%がこれを乗り越え原因薬物からの離脱に成功する一方で、予後は30%ほどが再発するといわれています。
したがって、離脱成功後も、医療機関で鎮痛薬の使用状況や経過確認を定期的に行う必要があります。

 ■人口の1〜2%が「薬の飲み過ぎ」で頭痛
諸外国ではMOHの有病率は1〜2%とされています。
日本では、全国的な統計はないのですが、2022年に国内で初めて報告された調査結果(新潟県糸魚川市)では、MOH有病率が2.32%で、諸外国との大きな開きはありませんでした。
頭痛外来を受診した患者のうち、14.6%がMOHだったとの学会報告もあります。
頭痛がありながら受診していない患者が多い現状を鑑みると、実際にはMOHに該当する患者はもっと多い可能性があります。

■「自分の頭痛の傾向」を知っておく
「頭痛くらいで病院に行くことはない」と考えるかもしれませんが、日常生活に支障が出ている場合は、ぜひ医師に相談してみてください。
頭痛外来などを受診する際は、以下のような自分の頭痛の傾向を把握しておくと、診断がスムーズに進みます。
・痛みの種類(ズキズキ、締め付けられる、瞬間的な痛み等)
・痛みが生じる箇所(頭の片側/両側、首や肩、目の奥)
・痛みが生じる時間(頻度、持続時間、規則性の有無)
・痛みの前兆や、同時に起こる症状の有無 〔吐き気、めまい、感覚過敏(においや光、音)、涙が出る、目の充血等〕
・痛みを悪化させる要因の有無(運動、入浴、音や光等で悪化するか)
・痛みのきっかけとなる要因があるか(飲酒、天候、月経周期等)
・生活や仕事への支障の程度 (我慢してこなすことはできる、寝込んでしまうほど、じっとしていられない等)
・鎮痛薬の使用状況(種類、頻度、鎮痛薬が効かなくなっていると感じるか)
・以前より回数が増えた、痛みが悪化しているか

頭痛を我慢することが当たり前になると、QOLが低下しますし、重大な疾患の発見が遅れる可能性もあります。
特に症状がひどくなっている場合は、一度受診するとよいでしょう。
「頭痛と長年付き合っている」という人も、いま一度、自分の頭痛と向き合ってみることをおすすめします。

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池井 佑丞(いけい・ゆうすけ) 産業医
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2023年03月07日

今49歳以下の人は年金が半分に…荻原博子「老後の不安をなくすために今から絶対にやっておくべきこと」

今49歳以下の人は年金が半分に…荻原博子「老後の不安をなくすために今から絶対にやっておくべきこと」
2023年03月06日 PRESIDENT Online

老後の不安をなくすために、今からやっておくべきことは何か。
経済ジャーナリストの荻原博子さんは「物価が上がっても、それほど年金額は上がらない。給料が下がれば、年金額も下がるようになっている。
49歳以下の年金額は、現在もらっている人の半分になる可能性もある」という――。
※本稿は、荻原博子『知らないと大損する老後の「お金」の裏ワザ』(SB新書)の一部を再編集したものです。

■高齢者の過半数は年金頼みの生活をしている
豊かな老後を迎えるためには、年金の範囲内で暮らせる家計にしておくということが大切です。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2019年)を見ると、年金などをもらっている高齢者世帯のうち48.4%が、公的年金や恩給だけで暮らしています。
つまり、高齢者の約半数は、支給される年金などの範囲内でなんとか生活をしているのです。
年金や恩給で8割以上の生活を賄っている世帯まで含めると、約6割の人は年金頼みの生活をしているということ。

ですから、年金の範囲内で生活するのは、そんなに珍しいことではないのです。
しかも、これからはパートで働いている妻も、厚生年金に加入して年金保険料を払うようになるかもしれません。
そうなると、家計全体でもらう年金額も増えます。
ですから、通信費や電気代など、家計の出費で削れそうなところは、どんどん削って、家計をスリムにしておけば、年金だけで暮らせないことはないのです。
家計をスリムにしておけば、夫の年金が多少目減りしても、なんとかやっていくことはできるでしょう。
それでも年金だけで暮らすのが難しそうなら、なるべく長く働くことを考えましょう。

■「借金減らして、現金増やせ」日本企業の危機管理を見習う
豊かな老後を迎えようと思ったら、今のうちにしっかりやっておかなくてはいけないのが、借金の返済です。
「借金」がローンという名称に置き換わり、「前借り」がクレジット、「寸借り」がキャッシングという呼び方に置き換わったことで、借金への抵抗感が希薄になってしまっているような気がします。
けれど、どんな呼び方をしようと、借金は借金。
どんなことがあろうとも、将来、必ず返さなくてはいけないお金です。

それも、利息を付けて! 金融広報中央委員会の調べ(2021年1月公表)では、借金がある世帯の平均値は1609万円。中央値は1200万円。年代別に見ると、40代が平均値で2058万円(中央値1700万円)、50代が1316万円(中央値1000万円)でした。
ですから、まず、しっかりと借金を減らすこと。そして、できるだけ現金の貯金を増やしておきましょう。
イザという時のために、収入1年分くらいの現金は確保しておきましょう。

実は、バブルが崩壊して以来、ひたすら「借金減らして、現金増やせ」を続けてきたのが、日本の企業です。
企業は、バブル崩壊で大打撃を受けたので、イザという時の危機管理に目覚め、ひたすら不良債権という借金を処理し、内部留保という現金を増やしてきました。
結果、日本の企業の財務体質は改善し、今回のようなコロナ禍でも、ビクともしない財務体質になったところが少なくありません。
家計も、こうした企業の危機管理方法を見習うべきでしょう。

■49歳以下の年金額が半分になる可能性
将来、みなさんは、どれくらいの年金を受け取れるのでしょう。
50歳になると、60歳まで加入した場合の年金額が書き込まれた「ねんきん定期便」が送られてきて、それを見れば、どのくらいの年金をもらえるのか見当がつきます。
ここで大切なのは、送られてきた「ねんきん定期便」で、自分の年金情報が正確かどうかを調べること。
実際に勤めて保険料を払っていたはずの時期が記載漏れになっていると、もらえる年金額が減ります。
特に、厚生年金から国民年金へ、国民年金から厚生年金へと替わった時に空白がないかはしっかりチェックし、間違いがあったら訂正しておきましょう。

ただ、49歳以下の方は、50歳以上に比べるともらえる年金額は流動的だと思ったほうがいいでしょう。
「ねんきんネット」に自分の情報を打ち込んで、ざっくりともらえそうな年金を調べることもできますが、49歳以下だと、そもそも年金をもらう前に、制度そのものが変わってしまう可能性があります。

たとえば年金の支給年齢ですが、今の65歳の支給から70歳に引き上げになっているということは、充分に考えられることです。
支給年齢が上がるだけでなく、もらえる年金額も下がる可能性があります。
物価が上がっても、それほど年金額が上がらないだけでなく、2016年の改正で、働く人の給料が下がれば、年金額も下がるようになっているからです。
ですから、実質的な年金額は、もしかしたら現在もらっている人の年金額の半分くらいになっている可能性もあります。

こう書くと、なんだか絶望的な気がしますが、この世代は、共働きが多いことが幸いしています。
特に奥さんがパートで働く人が多く、パートは、年収106万円を超えると、2024年10月以降は従業員51人以上の企業には、厚生年金への加入が義務付けられます。
ですから、2人で働いて厚生年金に加入する人がかなり出てくることが予想されるので、その分年金額も増えるでしょう。
2人で働けば、なんとかなるのです!

■70歳に繰り下げ受給で月4万2000円増える
年金は、基本的には65歳からもらえますが、希望すれば、60歳から75歳の間で、好きな時にもらいはじめることができるようになっています。
65歳より早くもらいはじめることを「繰り上げ受給」といい、65歳より後にもらいはじめることを「繰り下げ受給」といいます。
65歳より早くもらう「繰り上げ受給」では、支給時期が65歳よりも1カ月早まるごとに年金額が0.4%減額されます。 通常は65歳にもらう年金を、60歳からもらいはじめるので、65歳からもらいはじめるよりも24%(0.4%×12カ月×5年)支給額が減るということです。
65歳で月10万円の年金をもらう人なら、60歳でもらいはじめると、支給額が月7万6000円に減ってしまうということです。
逆に、65歳よりも遅くもらう「繰り下げ受給」では、支給時期が1カ月遅くなるごとに年金額が0.7%ずつ加算されます。
70歳からもらいはじめると、42%(0.7%×12カ月×5年)支給額が増えます。
65歳で月10万円もらう人なら、70歳まで支給を遅らせると、70歳から死ぬまで月14万2000円もらえるということ。
75歳から年金をもらうとすると、84%(0.7%×12カ月×10年)支給額が増えます。
65歳で月10万円もらう人なら、75歳まで支給を遅らせると、死ぬまで月18万4000円の年金をもらえるということです。

■「いつから年金をもらうか」の最終結論
では、実際には何歳からもらいはじめたらいいのでしょうか。
年金は、死ぬまでもらえるものなので、長生きすればするほどたくさんもらえるというのが基本です。
そして、いつまで生きられるかは、「神のみぞ知る」ですが、男性の平均寿命は81.64歳、女性は87.74歳。 ただ、たくさん年金をもらっても、それを楽しく使えないと意味がありません。
介護の必要がなく健康的に生活できる「健康寿命」というものがありますが、これは、男性が72.68歳、女性が75.38歳。 ですから、75歳から増えた年金をもらっても、もしかしたら楽しく使うことができないかもしれません。
こうしたことを念頭に、自分がいつから年金をもらうかを考えてみましょう。

■子供にはしっかり自立してもらう
政府の調査では、求職活動も家事の手伝いも通学もせずに自宅にいる満15歳から満39歳までの人が増えているのだそうです。
家から一歩も出ない人は約17.6万人。
普段は家にいるが、自分の趣味に関することだけ出歩く人は36.5万人で、合計すると54.1万人いるそうです。
病気やけがなら、治るまで親が面倒を見てあげなくてはなりませんが、そうでなければ、子供が自分で生きていく力を身に付けさせないと、将来は、親も子供の面倒を見きれず、共倒れになってしまう可能性があります。
そうはいっても、引きこもりの子供を、無理やり外に出すのは難しい。

だとしたら、せめて家にいてもいいからお金を家に入れさせてください。
3万円でも5万円でもいいので、最低限の稼ぐ力を身に付けさせましょう。
今は、インターネットの世界にも、稼げる仕事がたくさんあります。

たとえば、「クラウドソーシング(crowdsourcing)」。ネットを通して不特定多数の人(crowd)に業務委託(sourcing)するマッチングサイトで、仕事をやってほしい企業と仕事をやりたい人の出会いの場となっています。
世界最大の「クラウドソーシング」は「Upwork(アップワーク)」というサイトで、約1000万人の人が登録し、約400万社の企業が仕事の発注をしています。
日本にも、クラウドワークスやランサーズなど、たくさんのサービスがあります

コロナ禍でリモートワークが進む中、人と会うのが煩わしいという人にとって働く環境ができつつあるのです。
また、外に出て働くにしても、深夜のガードマンやトイレ掃除など、人に会わずに黙々とできる仕事はあります。
こうした仕事で少し生きる自信がついたら、ハローワークなどを通して、もう少し人と接する仕事を探すといいでしょう。 49歳以下の方であれば、厚生労働省の委託を受けたNPO法人や企業が、就職支援をしている「地域若者サポートステーション」という施設も利用できます。

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荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
                    経済ジャーナリスト
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2023年03月08日

値上げラッシュの今こそ、やらないと損!「家計のピンチを助ける制度」5選

値上げラッシュの今こそ、やらないと損!
「家計のピンチを助ける制度」5選
3/6(月)  サンキュ!

値上げラッシュの今こそ、やらないと損!意外と知らないことが多い、国や自治体の助成金・支援金制度の最新情報をギュッとまとめて紹介。
わが家に当てはまるものがないか、今すぐチェックしてみましょう。

<教えてくれた人>
ファイナンシャル・プランナー 
社会保険労務士 井戸美枝さん
テレビやラジオ、雑誌、Webなど、各メディアでお金や経済の情報を発信。著書に『「届け出」だけでもらえるお金・戻ってくるお金』(宝島社)など。 物価高騰、コロナで減収……家計のピンチを助ける制度 相次ぐ物価の高騰やコロナ禍の影響などで、家計が困窮している世帯のために、さまざまな制度が用意されています。

国や自治体の助成金・支援金制度の情報は、広報紙でチェックしよう
「助成金や支援金の情報は、自治体が発行している広報紙に掲載されているので見逃さないように!
また、全国の行政情報がまとめて見られるアプリもおすすめです」。

井戸さんおすすめアプリ「マチイロ」 *全ての自治体情報が見られるわけではありません。
1世帯あたり10万円 【住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金】 22年1〜12月に家計が急減した世帯を支援。
新型コロナの影響が長期化するなかで、さまざまな困難に直面した家庭を支援。
21年度分または22年度分の住民税均等割が非課税の世帯※、もしくは22年1月以降の収入が減少し、住民税非課税相当の収入となった世帯が対象で、給付金の支給時期は自治体により異なります。

休業前賃金の60%
【新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金】 コロナ休業でも、休業手当をもらえない人。
22年12月1日〜 23年3月31日まで(予定)に休業させられた労働者で休業手当を受け取れなかった人が対象。
休業前賃金(日額上限8355円)の60%を支給。申請期限は、22年12月〜 23年1月の休業は23年3月31日まで。23年2〜3月の休業は23年5月31日まで。

1世帯あたり5万円
電力・ガス・食料品等 【価格高騰緊急支援給付金】
低所得世帯を対象に、価格高騰による家計の負担増をサポート。
電気、ガス、食料品の値上がり状況を踏まえ、特に家計への影響が大きい低所得世帯(住民税非課税世帯)に対して援助する制度。
対象となる世帯は、上記の「臨時特別給付金」と同様。給付金の具体的な手続きについては、内閣府のHPへ!

家賃相当の3か月分 【住居確保給付金】
休業で減収し、家賃の支払いに困っている人。
新型コロナによる休業などによって、家賃の支払いに困窮、または住居を失う恐れのある人に対して、家賃相当額(上限額は自治体によって異なる)を原則3カ月間支給。
世帯収入や預貯金額など一定の要件を満たした世帯が対象となります。

子ども1人あたり5万円
令和4年度低所得の子育て世帯に対する 【子育て世帯生活支援特別給付金】
低所得の子育て世帯が対象。
条件に当てはまれば申請不要で受け取れる。

22年4月分の児童手当または特別児童扶養手当を受給する住民税非課税世帯は、課税情報が判明次第、申請不要で支給されます。
また、直近で収入が減り、児童扶養手当を受給する水準になった世帯も対象ですが、申請が必要。申請期限は原則23年2月28日まで。

※(1)〜(3)いずれかの条件に当てはまる世帯。
(1)生活保護の受給者、
(2)未成年、障がい者、ひとり親、寡婦で前年の所得額が135万円以下、
(3)前年の合計所得額が各自治体で定める額を下回っている場合。 ※掲載している情報は、22年12月23日現在のものです。
※それぞれの給付金・支援金制度の名称、給付条件などは、自治体によって異なる場合があります。詳細は国や自治体のHP、広報紙などでご確認ください。
参照:『サンキュ!』2023年3月号「届け出だけでもらえるお金」より。
掲載している情報は2023年1月現在のものです。
                             編集/サンキュ!編集部
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2023年03月10日

“独裁批判”高まる日本共産党のお友達、「立憲民主」の迷走とどん詰まり

“独裁批判”高まる日本共産党のお友達、「立憲民主」の迷走とどん詰まり
小倉健一:イトモス研究所所長
2023.3.9 ダイヤモンドオンライン

立憲民主党のどん詰まり感が強まっている。
党是である「反原発」は、世界的なエネルギー危機や、それに端を発する電気代の高騰によって厳しい立場に追いやられている。
また、選挙で手を組んできた日本共産党では、「異論排除」と目される党員除名が明らかとなり、批判を浴びている。
立憲民主党は次の選挙で何を訴え、どう戦うのか。(イトモス研究所所長 小倉健一)

原子力の最大限活用を明記した 岸田政権の政府方針
 岸田政権は2月10日、次世代原子力発電所の建設を進め、既存原発の60年超の運転を認める閣議決定をした。
この「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」という閣議決定では、原子力発電を最大限活用すると明記している。
 2011年の東京電力福島第1原発の事故を受けて、原発の新増設や建て替えはストップしていたが、今回の閣議決定では「廃炉を決定した原発の敷地内での建て替え」を念頭に具体化が進むことになる。

原発の運転期間は、原子力規制委員会の安全審査への対応などで停止した期間について延長を認めたことになる。
 ただ、そもそも海外で原発を持つ主要国である米国や英国、フランスは原発の運転に上限年数を設定していない。
米国は運転期間が40年を経過して以降は、規制機関による審査を通過すれば20年間の延長が何度でも可能となっている。
また、英仏は10年ごとに安全審査を実施するが、運転期間に上限は設けていない。
 そして、現在原発の運転期間の上限とされている「40年」という期限について、経済産業省は審議会などで「科学的根拠はない」としている。

原発稼働に反対するにしても、運転年数の上限を論点にするのは間違っている。
しかし、この運転年数の上限撤廃に反発するのが、反原発を党創設の原点としている立憲民主党だ。
立憲民主党は 反原発・再エネ推進  例えば、立憲民主党の逢坂誠二衆議院議員は、自身のブログでこう述べている。
「科学的根拠の有無云々以上に、甚大な事故の教訓の一つとして、当時の与野党が一致して40年ルールを作ったのです。
それをコソコソと推進側と規制側が談合して変更するのは、国会軽視だと言わざるを得ません。

『推進』と『規制』の一体化は、日本にとっての自殺行為です。
失われた10年とともに、原子力にとって何のための12年だったのでしょうか。
忘却の12年にしてはなりません。
さあ今日もブレずに曲げずに、確実に前進します」(2023年2月10日)
「科学的根拠の有無云々(うんぬん)以上」とは一体何を言っているのだろうか。
原発を動かすのに安全か否かの判断は、科学的根拠に基づいて行うべきだ。
「国会軽視」というが、科学的根拠を軽視するのが立憲民主党のやり方らしい。
逢坂氏は「確実に前に進む」らしいが、そっちの未来は行き止まりでしかない。

 立憲民主党が21年の衆議院選挙時に打ち出した「政権政策2021」のホームページ(政策・Policy3)には、原発・エネルギー政策について、次のようなことが書いてある。
・原子力発電所の新増設は認めません。
・原子力発電所のない社会に向けた不可逆的な方針をすみやかに確立し、国の監督と責任の下で廃炉を着実に進めます。
・ソーラーシェアリング・洋上風力・小水力などの自然エネルギーによって地域でお金を回し、エネルギー自給を目指す自治体や地域の事業者を支援して、2030年自然エネルギー電力50%、2050年自然エネルギー電力100%を目指します。

電気代高騰の大きな責任が 立憲民主党にある理由
 国会議員なら誰もが知っていなくてはいけないことだが、現在の電気代の高騰は原発が稼働していない地域に偏っている。また、再生可能エネルギー発電促進賦課金という名目で、主に太陽光発電普及のために電気代が上乗せされている。
 ネット上には、電気代が昨年の同時期に比べて、3万円増えた!とか「10万円を突破した」という“被害”の報告が次々と寄せられている。

原発に対する何となくの不安を主張し続けた野党第1党の罪は極めて大きいだろう。
 小選挙区という選挙制度においては、与党勢力を信任するか、与党が信任できないなら野党第1党に入れるという投票行動が散見される。
時の政権は、やはり野党第1党の政策や主張に引きずられるものである。
電気代高騰の責任は明らかに、原発の再稼働の足を引っ張り、自然エネルギーを推進してきた立憲民主党にある。
 この電気代高騰に対し、立憲民主党幹部の長妻昭政務調査会長は、「4月から電気料金がさらに高騰することが予測されており、時間もないので急ピッチで、短期的に成果が出るような対策を政府に対してぶつけていく」と述べている。
ただ、電気代を政府の補助金で安くするとして、そのお金の出どころは、国民の税金なのである。

 電気代が国からの補助金で安くなっているように見えて、結局安くはなっていない。
補助金制度を実施するのにコストがかかるのだから、実際には、国民に補助金としてばらまいたお金は、金額が大きくなって国民の負担となる。

 やはり、即効性があって抜本的な対策とは、原発を動かして電気の安定供給を行うとともに、安価な電気供給にとって迷惑な存在でしかない太陽光発電への補助金を打ち切ることだろう。
問われるべきは、科学的根拠のある原発の安全性なのだ。
海外の脱原発も ロシアのウクライナ侵略で頓挫の危機  脱原発を党是としているのは、立憲民主党だけではない。
ドイツの環境政党「緑の党」も同じ方針だ。
しかし、ドイツはロシアによるウクライナ侵略によって、これまでのエネルギー政策が行き詰まってしまった。

 今年の冬が幸運にも比較的暖かかったがために、天然ガスの価格は落ち着いている。
しかし、ウクライナ戦争は泥沼化していて、欧州連合(EU)の天然ガスの在庫は今年中に、底を突くことが予想される。  

ロシアからの天然ガスの輸入がストップしてしまったがために、ドイツは原発の停止をいったん延期し、世界中を飛び回ってエネルギーの供給を確保しようとしている。
天然ガス王国のカタールと液化天然ガス(LNG)供給の長期契約を結び、大々的な報道がされたものの、その量は年間200万トン(26年から短くても15年間)。
EU全体が年間1億トンもの天然ガスを輸入していたことを考えると、大きなボリュームを確保しているとは決していえない。

 近年のEUは「環境教」とも呼ぶべき、カルト宗教に陥ってしまったようだ。
今回のウクラナ戦争に原因があるエネルギー危機も、脱炭素による発電でカバーしようという一定の勢力が存在している。
具体的な計画もなく、「ロシアから輸入していた分は、中長期的には太陽光や風力で補えばいい」と意気込んでいる。
 EUが炭素燃料(石炭、天然ガス、石油)の調達について、長期契約よりも、スポット(短期)契約に偏っているのを見ても、彼らの脱炭素への思い入れの大きさが分かるというものだ。

立憲民主党が、そんな「脱炭素におけるカルト宗教」ではないと主張するなら、具体的な計画をぜひ明らかにしてほしいものだ。

立憲民主党の選挙協力パートナー 共産党で起きた「異論排除」
 立憲民主党はまた、小選挙区での得票を伸ばしたいがために日本共産党との選挙協力をしてきた政党でもある。
共産党は、22年の参議院選挙において、比例代表選挙で約362万票を獲得している。
仮にこれを衆院選の289の小選挙区で割ると、1選挙区当たり1万2500票余りを獲得していることになる。
立憲民主党の候補者が獲得した得票にプラスする形で共産党支持者に投票をしてもらえると、当選ラインに届く候補者も多いという皮算用なのだろう。

 しかし、共産党で最近起きた、党本部を公の場で批判した党員を、「党への攻撃」として除名した行動は、民主主義国家において論外だろう。
このことは、朝日新聞の社説(23年2月8日)でも次のように批判されている 「党勢回復に向け、党首公選を訴えた党員を、なぜ除名しなければいけないのか。
異論を排除するつもりはなく、党への『攻撃』が許されないのだと言うが、納得する人がどれほどいよう。
かねて指摘される党の閉鎖性を一層印象づけ、幅広い国民からの支持を遠ざけるだけだ」

 党首公選を訴えることが、なぜ「党への攻撃」なのか。志位和夫委員長による長期独裁体制をさらに印象付ける結果になった。
 このような社会主義独裁政党と、本気でこれからも組む気なのだろうか。
統一地方選挙においては、各党がバラバラに選挙を戦うために統一戦線を組む必要はない。
しかし統一地方選挙後には改めて、次の衆院選をどう戦うのかが問われることになる。

立憲民主党と国民民主党の共闘は 「脱原発」が妨げに
 そこで存在感を発揮するのは国民民主党だ。
22年の参院選挙比例での国民民主党の得票は、約316万票だった。
共産党にほぼ匹敵する得票を得ていて、やはり立憲民主党が一緒に戦うべきは、共産党ではなく国民民主党となろう。
その場合、「脱原発」が両党の合流を妨げることになる。

 中長期的に世界的なエネルギー不足が続くのは間違いない。
電気代の高騰で国民を苦しめ、そして社会主義独裁政党との選挙協力を続けていくつもりなのだろうか。

 原発の大きな欠陥として、小泉純一郎元首相が主張していたのが、行き場のない核廃棄物の問題だった。
まさしく、今の立憲民主党は、これと同様に行き場のない状態だ。
立憲民主党の執行部は、統一地方選挙後に重大局面を迎えることになる。
 ちなみに、その厄介な核廃棄物だが、次世代の原発の燃料とできることが分かっている。
こちらは解決策が生まれた。
では、立憲民主党はをどう身の処し方を考えていけばいいのだろうか。
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2023年03月11日

不戦の誓い新た 東京大空襲の追悼式典 都庁

不戦の誓い新た 東京大空襲の追悼式典 都庁
3/10 産経新聞

昭和20年3月の東京大空襲から78年となった10日、犠牲者を追悼し、戦争の惨禍を繰り返さないことを誓う「都平和の日記念式典」が都庁で開かれ、被災者や遺族、関係者ら約170人が参列した。

被災者代表の小峰光弘さん(86)のあいさつを妻のヒデ子さん(84)が代読。
勤務先の工場が被弾した光弘さんの姉が、死傷した同僚らを介抱して精神を病んだことや、子供だった光弘さんが戦闘機から機銃で射撃された体験を紹介した。
光弘さんは「人間同士が殺し合う戦争は絶対にしちゃいけないと強く感じた。世界から戦争がなくなることを願う」とした。

小池百合子知事は「遺族の深い悲しみに思いを致すと戦争の残酷さや悲惨さを考えずにいられない。
悲惨な記憶をしっかりと次の世代に語り継ぎ、平和の大切さを伝えていかないといけない」と述べた。

先の大戦で米国が都内に行った空襲は昭和20年3月10日未明の規模が特に大きく、この空襲だけで10万人以上の命が失われたとされる。
都は平成2年にこの日を「平和の日」と条例で定め、翌3年から式典を実施してきた。
新型コロナウイルスの感染拡大により中止した令和2年を除き毎年開かれ、今回が33回目。
式典では犠牲者に1分間の黙禱(もくとう)がささげられ、国歌奏楽のほか、都交響楽団による記念演奏が行われた。
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2023年03月12日

“復興”とは程遠い現実。「無人の町で、家畜と暮らし続けた男性の10年」を描いた理由

“復興”とは程遠い現実。「無人の町で、家畜と暮らし続けた男性の10年」を描いた理由
2023年03月11日 SPA!

3月11日で東日本大震災から12年が経った。
原発再稼働の動きも出始めている中、震災後、全町避難で無人地帯となった町に家畜や動物と共に一人で暮らし続ける松村直登(ナオト)さんの10年間を追った映画『ナオト、いまもひとりっきり』が公開中だ。
なぜ、ナオトさんは人のいなくなった町で置き去りにされた牛や馬、犬猫と暮らし続けたのか。そして、この10年間の復興の現実とは――。
監督の中村真夕さんに製作の経緯や原発事故後、福島で起きていたことなどについて聞いた。

◆映画だからこそできた作品
――ナオトさんを取材しようとしたきっかけについてはどのようなことだったのでしょうか。

中村真夕監督(以下、中村):
当時、テレビ局で被災地の石巻や女川に行って番組を制作していたのですが、新しい視点で番組を作りたいと思って情報を集めていた時に、海外メディアでナオトさんのことを知りました。
「なんでこんな人がいるのに、日本のメディアは誰も取り上げないのか」と思い、早速、テレビ局の上層部に提案したところ、「あなたに健康被害があっても責任が取れないから」といのことで却下になりました。
ただ、それは表向きの理由だったのではないかと…。

当時ナオトさんの住む富岡町は、福島第一原子力発電所から20Km以内の「警戒区域」として立ち入り禁止に指定されていましたが、その地域に留まる行為自体が「違法行為」という扱いでした。
そういう人をテレビで取り上げるわけにはいかない、という雰囲気を強く感じました。
ちなみに、ナオトさんは某局の震災記録番組に登場していたんです。
ただ、どこに住んでいるのかはわからない見せ方でした…。
私は「ナオトさんがなぜここに住むのか、そこに撮るべき何かがあるのではないか」と感じました。
テレビ局の職員だったらこの企画はできないけれど、自分はフリーランスだし、番組ではなく映画にすれば発表できる。
そう思って、この企画を映画にしようと決意しました。

◆避難区域に一人で残っているおじさんがいる
――取材を申し込んだ時のナオトさんの反応はどのようなものだったのでしょうか。

中村:
ナオトさんに会いにいった時に、たまたま現地でチェルノブイリに潜入したフランス人ジャーナリストから「あの避難区域にずっと一人で残っているおじさんがいる」と聞いたんです。
海外のジャーナリストは上層部の指示など聞きません。
立ち入り禁止区域でも、真実に近付くためにはズカズカと入っていきます。
そこで、自分も興味を持ってナオトさんに会いに行ってみたところ、開口一番「日本のメディアは取材に来てもどうせ出せないんでしょ、だから答えても仕方ない」と言われました。
というのも、ナオトさんのドキュメンタリーはBBCなどの海外メディアでは放送や配信がされましたが、日本の若い記者が取材に来ても、上層部が却下して記事なり放送なりを発表できなくなっていたとのことで…。

「フリーランスなので、取材しても発表できないということはない。映画としてやりたい」と言ったら、「ふーん、どうせできんだろう」みたいな感じだったんですけど、ペーパードライバーだった私が免許を取り直して、車に若葉マークを付けて通うようになったら、奇特な人だと思ったらしく、そこからだんだん心を開いてくれました。それが2013年夏ぐらいでしたね。

◆「放射能」は使わないように言われて
――ちなみに、3.11当時はどこにいたのでしょうか。

中村:
成田空港にいて、1日空港から出られませんでした。
アメリカのグリーンカード(永住権)を持っているのですが、その手続でニューヨークに戻らないといけないので、飛行機に乗ろうとしていたんですね。
それで、やっとの思いで翌日の12日にニューヨークに着いたのですが、現地のタブロイドには「既に福島第一原子力発電所はメルトダウンしている」と大きく出ていました。

一方、日本の政府発表では「メルトダウンはしていません」と宣言されていて、おかしいと思っていました。
当時は、フリーランスとして某局のニュース番組を担当していましたが、帰国直後から毎日、震災のニュースを全部英語に翻訳して海外に出さなければなりませんでした。
英語のニュースの見出しに「レディオアクティブ(Radioactive)/放射能のある」「ラジエーション(Radiation)/放射線」という言葉は使わないようにする指示があったんです。
理由は「不安を煽るから」と。
ただ、「放射能」と言えなかったら、「では、何て言えばいいの、これ?」と悩みましたね…。

◆「除染している」という行為
――取材開始直後の2013年9月にオリンピックが決まりました。

中村:
「福島のことは忘れ去られるね」と言いながら、ナオトさんと一緒にオリンピック開催決定のニュースを見ていました。
そこから復興事業が凄まじいスピードで始まりました。
そして、政府はオリンピックを「復興」の象徴として使いたいということが露骨にわかる動きがありました。
まず、「復興五輪」のために2015年の春ごろ除染が急ピッチで始まりました。
屋根や壁を拭いたり、土を変えたりしていましたが、土はともかく、屋根や壁は雨水で洗い流されているので、拭いてもさほど変わりません。
また、さすがに山は木を全て切らないと除染できませんが、風の強い日に線量計で放射能の量を測ると数値がブワッと数値が上がってしまいます。
でも、国としては「除染している」という行為をアピールすることが大切だったみたいで…。
当時は除去された土が詰められた黒いフレコンバックがいたるところに置いてあって、本当に不気味でした。
そこに何十億もかけて作られた鹿島建設と三菱重工業の大きなプレートが掲げられた仮設焼却炉があって、放射能に汚染された土はそこで焼いていました。
今はもう仮設焼却炉もフレコンバックもありませんが、結局、全部燃やし切ることができなかったので、残りは全部双葉町と大熊町に運ばれました。

◆「復興五輪」のアピールのために
――劇中には再築された夜ノ森駅も登場しますが、駅舎の中には放射線量を表示する電光掲示板がありました。

中村:
あれは「除染したから大丈夫です」とアピールするためのものなのですが、その瞬間の空間線量が表示されるだけなので、もちろん、風が吹けば花粉のように山から放射能が降ってきて、数値は上がります。
そもそも夜ノ森駅周辺は期間困難区域なのですが、2020年3月に、東京オリンピックに合わせて駅舎が完成し、駅に行く車道だけが開通されました。
東京の日暮里駅から夜ノ森駅まで常磐線を通すことによって「復興五輪」をアピールしたかったのかもしれませんが、そこだけ無理矢理線路を通している、という印象は拭えませんでしたね…。
しかも、2017年4月に町の一部が帰還宣言をしましたが、戻ってきたのは高齢者がほとんど。
2018年4月には富岡駅が開通し、町の小学校と中学校が再開しましたが、新たに入学した子どもたちは数名だけでした。
町の中は「復興」とは程遠い状態でした。

――結局、五輪はコロナで延期になってしまいました。

中村:
福島から聖火ランナーが走り、「復興五輪」は華々しく開催される予定でしたが、コロナ禍でそうはなりませんでした。
実際は、翌年に街頭の人たちが見守るわけでもなく、警察官とランナーの人だけがひっそりと走っていました。
まるで「警察の運動会」でしたね…。
もちろん、コロナ禍もあって見物客は入れないことにしていましたが、それにしても人がいなくて。そもそも双葉町と大熊町はほとんど人がいないんです。

誰のための「復興五輪」「聖火リレー」なのかと。 東京オリンピック開催決定以来、この10年間で感じたのは「人が置き去りにされた復興」ということでした。
安倍元首相が東京五輪招致に向けた国際オリンピック委員会(IOC)総会の場で「アンダーコントロール」いう言葉を使ったことは有名ですが「福島は大丈夫ですよ」ということを言うためだけに、実施されたことが多かったような気がします。
そして、その大義名分のためにものすごいお金が使われました。でも、多くの元の住民は戻って来ていません。

◆ゴミを掃除してゴミをばらまく
――除染はほぼ完了し、福島は復興へ向けた次の段階に入っているというニュースを耳にします。

中村:
2013年から定期的に福島に通っていましたが、北海道から沖縄まで県外のナンバープレートはたくさん見ましたし、外国籍の人もかなりの数いました。
みなさん、除染作業をしており、高額な報酬も支払われたと聞いています。
にもかかわらず、除染土を農業に再利用しようとしていることに驚いています。
放射性物質が完全に取り除けているのかどうかもわからないのに、放射性物質を拡散させるような行為をしようとしています。
ゴミを掃除して、またゴミをばらまくというような行為に何十憶という税金が使われている。
また、除染土の扱いについては、2011年8月に成立した放射性物質汚染対処特別措置法に定められていますが、ここに、再利用に関する規定はありません。
なぜ、こんなことが許されるのか…。理解に苦しみます。
災害公営住宅もたくさんありますが、3分の1ぐらいしか入っている様子がありません。
3分の2は人が住んでいない、つまり無駄なのです。除染も災害公営住宅の建設も然り「復興対策をした」というパフォーマンスが重要なのかもしれません。
誰のための復興なのか、ということは強く考えさせられました。

◆バブル崩壊、原発事故に翻弄されて
――ナオトさんは高校卒業後の70年代後半、鉄筋工として原発建設に関わっていたとのことでした。

中村:
そうなんです。
それで「あんなもん、雑に作ってあるから簡単にぶっ壊れる。作った本人が行っているのだから間違いがない」とナオトさんは冗談交じりによく言ってました。
原発稼働には、冷却水を循環させることが必要なので海辺に設置されていますが、排水溝に貝が付着して詰まるのだそうです。
さすがに現在は、細部にも配慮して設計されているとは思いますが、高度経済成長期の当時、一気に作られていれば、雑な作りになってしまうのも仕方がないのかもしれません。
その後、ナオトさんはバブル期に関東近辺に出稼ぎに行き、フィリピン人の妻と結婚、2人の男の子をもうけます。
その後、東京で建設会社を経営しますが、90年代にはバブル崩壊で会社が倒産。
家族を連れて生まれ故郷に富岡町に戻りますが、ささいなことで奥さんと上手く行かなくなり、彼女は息子2人を連れて出て行ってしまいます。
そして、離婚後、実家に戻り、両親と暮らすようになります。

ナオトさんにとって原発事故は、バブル崩壊に続く、理不尽だったのかもしれません。
富岡町に留まり、家畜と暮らし、自給自足生活をしているのは、「悪いことをしたのは国で、自分は何もしていない」という憤りがあったからなのですが、自分の生き方は自分で決めたいという思いもあったからなのかもしれません。
もちろん、除染作業などの求人もありました。でも、もう東電からお金を貰う仕事はしたくなかった、とのことで…。

◆原発地域が抱える矛盾
――劇中の「福島に日本社会の矛盾が凝縮されている」というコメントが印象に残りました。

中村:
福島だけでなく、原発のある地域全てに言えることのような気がしています。
父の実家は原発が15基もある福井県の出身ですが、毎年「日本の幸せ度ランキング」の1位2位を争う県で、子育て支援も手厚いです。
そしてそのことは原発を受け入れたことと無関係ではありません。

産業がなく、貧しい地域に「お金をあげるから危ないものを引き受けて欲しい」という姿勢があるのではないかと。
福島、福井、柏崎原発のある新潟もそうで…。
ナオトさんも「金を貰う代わりに政府から捨てられている」と言っていましたが、「棄民政策」と呼んでいいぐらいに、そのスタイルが定着しています。
お金を受け取ると政府や電力会社を厳しく批判することはどうしても難しくなってしまう。
ある意味、お金に毒されている地域と言っても過言ではありません。

◆避難指示が解除された先には
――映画の終盤では、原発の存在を否定しない地元の人たちの姿も描かれます。

中村:
原発は「産業」なので、できてしまえば、雇用も生み出しますし、事故があれば、当然賠償金も出ます。
町全体が原発に頼らざるを得ない構造ができあがっていくというか…。
事故から10年以上が経ちましたが、福島の人たちも原発に頼らずに新しい産業をすぐに生み出せるかと言うとそうではありません。
確かに、原発によって奪われたものは大きい。かと言って、全て否定できるかというとそうではないです。

また、あまり表沙汰にはなっていませんが、賠償金が原因でトラブルも発生しています。
同じ道路を挟んで賠償金の額が全く異なる地域もあります。
なぜ道路を挟んでこちら側が避難指示解除準備区域で、向こう側が帰還困難区域なのか、と。前者は制限時間内であれば、立ち入りは自由ですが、後者は許可証がないと立ち入ることはできず、後者の方が空間線量が高いという認定がされているので、当然賠償金は高いです。
どこかで線引きしなくてはならないことは事実ですが、それにしても根拠に乏しいというか…。
賠償金を一律にしてしまうと、地元の人は団結しやすくなってしまう。
なので、わざわざ異なる額にしているのではないかと…。そんなことまで考えてしまいます。
この春、富岡町における避難指示は解除されようとしています。
でも、実際には富岡町には3分の1しか帰還していません。
避難指示が解除されればもっと多くの人が戻って来るのでしょうか。それは誰にも分かりません。
ただ、「帰れる場所なのに、あなたたちが選択的に外にいるのであればお金を払う必要がない」という論理が成り立つので、避難指示が解除されれば、東電が支払わなくてはならない賠償額が下がることは確かなんです。

◆原発再稼働の動きがある今
――原発再稼働の動きが活発になっています。

中村:
公開に向けて映画の宣伝をしていて感じたことですが、事故から10年を過ぎて、新聞もWebメディアも明らかに注目度が落ちていると感じています。
また、新しい産業を見つけ出せず、賠償金に頼らざるを得ない実情や苦悩を描いているという意味で、明確に「反原発」ではないこの映画は上映しにくいと言った劇場関係者もいました。

ただ、原発に反対=左の人、原発に賛成=右の人、というポジショントークには意味がありません。
メディアは現地の人たちが置かれている本当の姿を伝えるべきだし、それを全国の人に知ってもらってこれから福島をどうすればいいのかを考えるべきなんです。
確かに、現地では賠償金をもらっているせいか、批判的な声はさほど上がって来ません。
「他に産業がないので原発再稼働は仕方がない」と考えている人も多い。

また、他の地域の人たちは、電気代が高いので、再稼働はやむなしと考えているのかもしれません。
しかし、震災は天災ですが、原発事故は起こるべくして起こった人災です。
そして、事故から10年以上経った今でも、「復興」や「収束」とは程遠い現実があります。
にもかかわらず、そのことは忘れ去られようとしている気がしてなりません。
過去にあった過ちをきちんと後世に伝えることは大切なことだと思ってこの映画を作りました。

福島の問題は終わってはいません。
今の復興に向けての施策が適切なのか、そして、本当に原発を再稼働させて良いのかについてもっと議論すべきではないでしょうか。
トルコで大地震が起こった時、安倍元首相はトルコに原発を売ろうとしていました。
日本が原発を売った後、トルコで原発事故が起こっていたら、日本も責任を問われているかもしれません。
そして、トルコの地震から程なくして、日本では運転開始から60年を超える原発の再稼働が、国会で決定しました。
私はそのことに驚いています。

震災大国である日本でもトルコの大地震のような地震がまたいつ起こるか分からないのに、なぜ60年超えの原発を再稼働させることが安全だと言えるのか。
想像力の欠如なのか、過去の惨事をみんな意図的に忘れようとしているのか…。
今、一度いいので、この映画を見て、原発事故からの12年が何だったのかを考えて欲しいです。

               <取材・文/熊野雅恵>
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2023年03月13日

他人と比べてしまう悪い癖が消え去る「たったひとつの考え方」

他人と比べてしまう悪い癖が消え去る「たったひとつの考え方」
2023年03月12日 ダイヤモンドオンライン

「見た目は変で、しゃべりも下手、お笑い芸人としての才能もない」と思いこみ、コンプレックスのかたまりだったスリムクラブ・内間政成さんは、そんな自分を人に知られないように、自分の本心を隠し、見栄を張って、いつわりの人生を送ってきました。
しかし、それはどうしようもなく苦しかった。
自分で自分を否定しているようなものですから。
ある出来事をきっかけに、内間さんは自分自身と向き合い、自分という存在を少しずつ受け入れられるようになっていきます。
その結果、何が起きたのか。今まで自分の欠点だと思い込んでいたことが、そうじゃないことがわかってきました。

自分の欠点を「欠点だ」と決めつけているのは、他の誰でもない、自分自身だったのです。
「僕はカッコ悪い」「僕は人をイラつかせる」「僕は恐れ過ぎている」「僕はすぐ調子に乗る」「僕は怠け者」と、自分の欠点をさらけ出せるようになった内間さんはいま、ストレスフリーの時間を楽しそうに生きています。
そんな内容の詰まった本が、内間政成さんの書籍『等身大の僕で生きるしかないので』です。

無理やり自分を大きく見せるのではなく、等身大の自分を受け入れれば、人生は好転する。そのためのヒントを本書からご紹介します。(撮影・榊智朗)

■他人と比べてしまう「僕の悪い癖」
 僕の悪い癖は、すぐ他人と比べてしまうことです。
そして他人と比べてしまうと必ず自分の方が劣っていると思ってしまいます。
でも分かってきたのは、どんなに不満なことでも受け入れることができれば、それまでが幻だったかのように不満が消えていくということです。

腕の毛もそうでした。  僕の腕の毛は、長くて濃いです。
そのことを認識し始めたのは、小3の頃です。
明らかに他人と形態が違いました。
でもまだ中1の頃までは良かった。
なぜなら産毛(うぶげ)だったからです。
社会人でいうとまだ試用期間で半人前です。
しかし優秀だったのでしょうか。
その後、本採用になってしまいました。
そうなると一気に羞恥心(しゅうちしん)に襲われ、いつもの隠蔽(いんぺい)願望が生まれます。
 そんなときに週刊誌の広告で知ったのが「パパイヤ成分」。
この成分は毛根を破壊し、毛の成長を止めるため、脱毛に適しているそうです。
早速この成分が入っている脱毛液を購入し、丹念にたっぷり両腕に塗りました。そして美肌になった自分をワクワクと想像しながら時を待ちます。
しばらくすると脱毛が始まりましたが、予想以上にまばら。
思てたんとちゃう! でもまっ、こんなもんかと、放置してると数週間後に悲劇が起きたのです。
それは、もしかしたら「パパイヤ成分」が毛根の栄養になったのかもしれません。
まさかの2倍になって戻ってきたのです。

「おー! 神よ! 何という仕打ちだ!」。僕の行為は神への冒涜(ぼうとく)だったのでしょうか。
でも僕は、これぐらいのことでは諦めません。
基本に戻って、シンプルに剃ろう。でも剃るにしても一工夫加えようと、一回脱色してから剃りました。
僕の中では、「念には念を」という気持ちでしたが、それを聞いた人たちは口を揃えて、「脱色いらんだろ!」と言います。でもとにかく一安心です。

 思い返してみると、僕は毛に悩まされてばかりの人生でした。
脇の毛や下の毛もそうです
僕は成長が早く、下の毛は小5の頃に顔を出してきました。
 そんなときに訪れたのが宿泊研修。

かなり楽しみでしたが、一つだけ不安なことがありました。
それは集団入浴です。
果たしてみんなのはどういう状態なのだろうか。でも劣等感のある僕は聞けない。何となく探ってもいまいち把握できませんでした。
 どんどん当日が迫ってきて、不安も高まっていきます。そしてとうとう前日。僕は賭けに出ることにしました。
よし、剃ろう。
僕は少し緊張しながら、親父が髭(ひげ)剃りのときに愛用しているT字剃刀(かみそり)で剃りました。
親父に謝らないといけませんね。
 そして身軽になった僕は当日入浴に臨むのですが、そこで自分の決断が裏目に出たことを思い知らされることになります。それは、みんなのは自然でうっすらなのに対して、僕のは人工的で綺麗過ぎたのです。
大浴場の高窓から差す月明かりで輝くほどでした。
ただ幸いなことにみんなはしゃいでいたので、そのことを指摘する者は誰もいませんでした。

■思わずついた僕の「あだ名」
 それを経て中学生になった僕は、バスケ部に入部しました。
楽しく順調に過ごしていたのですが、初めての練習試合のときにあることに気づきました。
それは、練習ではTシャツを着るのですが、試合ではユニホームを着なければならないということです。
 ユニホームはタンクトップ。ということは、僕の脇がお披露目になります。
それはマズイぞ。部室での着替え中に、こっそりみんなを確認してみると、みんなの脇は抽象画なのに僕のは具象画です。
試合でいうとダブルスコアもの差があります。
それが洩れてしまったら絶対にからかわれる。どうにかしなければ。
でも今の僕に何ができるのか。とうとう試合が始まり、僕も出場することになりました。
とにかく試合に集中しよう。しかしそれができない。上の空の僕の動きに顧問からは指示が飛んできます。

「内間! ハンドアップしろ!」と。先生、それをしたいのですができないのです。
僕にとってその姿勢は、死刑宣告です。もちろん分かってもらえません。
シュートチャンスでボールを貰っても迷わずパスを出します。何点損したでしょうか。
もはやこれはバスケではなく、脇を見せないゲームです。
でもとうとう恐れていた場面が訪れてしまいました。
どう考えてもシュートを打てるのは僕だけなのです。仕方なく打ちました。
 でも、打った瞬間、すぐにシュート前の姿勢に戻る超クイックモーションで。
「何だ、そのフォームは! 誰が教えた!?」と顧問の怒号が響き渡りました。
試合には勝ちましたが、僕のプレーは散々で、その上僕の隙を見逃さなかったメンバーがいました。
その日から僕のあだ名は、ウチマ+ワキで「ワチマー」になりました。

■僕の腕の毛を女性が触ってくれるようになり、おいしい思いをするようになった
 こんなふうに自分のネガティブな部分を隠しながら生きていっても限界があります。
自然には勝てないということです。
腕の毛だってそうです。あんなに完璧に処理したはずなのに復活してきます。しかもパワーアップして。

それを見て僕は疲れました。
ありのままで生きてみたい。
ただここで一つ言いたいのですが、決して脱毛を否定しているのではありません。
僕のようにありのままの自分を受け入れずに隠蔽に走るのは生きづらいということです。
 僕はこの毛と共に生きてみたいと思いました。
そう思えると不思議ですね。自分を否定していたのはまぎれもなく自分自身で、それは自分自身に決定権の力があるということです。
 そう思えるようになると現実も変化してきました。
僕の腕の毛を喜ぶ人が増えたのです。キャバクラでもそうです。
「何? この腕毛! すごーい、ふさふさしている!」と平気で触ってきます。
そしてたまに少し延長もしてもらえます。
 だから僕はたまに「ありがとう」と腕の毛を撫でてあげています。
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2023年03月14日

ビートたけし、『TVタックル』で日本の政治家に憤り 「官僚に任せたほうが…」

ビートたけし、『TVタックル』で日本の政治家に憤り 「官僚に任せたほうが…」
2023年03月12日 Sirabee

12日放送の『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)で、ビートたけしが日本の政治家に苦言を呈した。

■複数企業の社長が出演
日本の社長がスタジオに出演しトークしたこの日の放送。
話題は「岸田文雄首相にこれだけは言っておきたいこと」へと移る。
セルクルの鈴木和幸社長は「岸田さんになってからあんまりいいことが起きてないですよね。
安倍元首相の襲撃事件とか、戦争が始まっちゃったりとか、すごい円安が来たりとか。イメージがものすごく悪い」と指摘。

阿川佐和子が「岸田さんのせいじゃない」とフォローすると、鈴木社長は「だけじゃないけど、どうもあの顔を見ていると…」「国会答弁を聞いていると、『なにを言っているんだこいつ』みたいな、はっきりしないじゃないですか。
もうちょっとはっきり答えてほしい」と語った。

 ■東国原もバッサリ
東国原英夫も「所得倍増とおっしゃったんですよ、全然なっていない」とバッサリ切る。
日本城タクシーの坂本篤紀社長は「所得倍増と言ったんだから、所得倍増をすればほとんど解決すると思う。
少子化も解決すると思う。金持ちになったらいいだけの話」と指摘。

続けて「言ったことを辞めるっていうのは良くないね。
それとやっぱり長年続いたお友達資本主義というのかな、自分の周りの友達だけとか、知った企業だけ潤うというのは、そろそろやめたほうがいいんじゃないかな」と話した。

■たけしが政治家に苦言
社長たちの話を聞いたたけしは「なんかこの国はおかしいよね。コロナで如実に出てきたのかな。
政治というのが、これほど政治家の力がなくて、これ官僚だけで任せたほうがいいんじゃないかなと思うときがあるね」と語る。
さらに「国際情勢なんかいろいろわかったときに、もう議員じゃなくて、国を実際に動かしているのは、官僚がみんなで相談してやったことのほうが早いんじゃないかと、思うような気がしてしょうがない」とコメント。

続けて「リーダーとなって力を持った国会議員なんて、出るのかなというか。非常におかしいなって」と話す。
ただし「そんなことを言っても、ちゃんとやっているのかもしれないけど。よくわかりません」ともつけ加えていた。

■8割が政治家の仕事を評価せず
たけしが不満をつのらせている様子だった政治家の仕事ぶり。
Sirabee編集部が全国の10〜60代の男女2,168名に実施した調査でも「政治家の仕事ぶりを評価している」と回答した人は20.0%と低い割合に。
とくに中高年は評価する人の割合が低く、60代は12.2%だった。 たけしの苦言に視聴者からはさまざまな声が上がっていた。
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2023年03月15日

【止まらぬテレビ離れ】1月ドラマ “全作が平均視聴率10%割れ”の衝撃…10年前は6作、進む「話題作は配信」の流れ

【止まらぬテレビ離れ】1月ドラマ “全作が平均視聴率10%割れ”の衝撃…10年前は6作、進む「話題作は配信」の流れ
3/13(月) FLASH

 1月期ドラマが、続々と終盤を迎えている今日この頃。
だが、今期の平均視聴率を見ていくと、全作10%割れという、“テレビ離れ”を強く感じさせる寂しい数字が並んでいる(以下の数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 大河や朝ドラ、2クール放送の『相棒』は除外するとして、残るは12作品。
先日最終回を迎えた『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)は9.5%、
『Get Ready!』(TBS系)は9.4%、
『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)は6.2%と、厳しい数字を残している。

 他にも、まだ最終回を残しているが、『罠の戦争』(フジテレビ系)は8.6%、
『100万回言えばよかった』(TBS系)は7.8%、
『女神の教室』は7.1%……。
列挙すればキリがないが、いずれも10%を超えるドラマは出ていない。

「今から10年前、2013年1月期の連ドラの数字を見てみると、15作中、10%割れのドラマは6作ありました。
一方で、内野聖陽さん主演の『とんび』(TBS系)が15.48%、瑛太さん主演の『最高の離婚』(フジテレビ系)が11.85%と、きちんと数字を残したドラマも存在しています。
こうした数字を踏まえると、今期ドラマの “全作10%割れ” は、この10年での地盤沈下が浮き彫りになった結果ともいえるでしょう」(芸能記者)

 実は、昨今の話題作は配信で結果を残している。
川口春奈主演で、大きな話題を呼んだ『silent』(フジテレビ系)は、民放公式テレビ配信サービス『TVer』の累計再生数が、歴代最高記録を突破。1話から8話までの累計で、4600万再生を超えたという。
 ほかにも、『エルピス』(カンテレ)や今期の『ブラッシュアップライフ』などが大きく再生数を伸ばし、TwitterなどのSNSでも話題になっている。

「見逃し配信の数字は、いまや視聴率に次ぐ新しい指標となりつつあります。
NTTドコモが2022年12月に公表した調査によれば、『TVer』は10代女性の3割超が利用しているといいます。
10代といえば “テレビ離れ” が叫ばれる世代ですから、見逃し配信でこうした若年層をカバーできるのはテレビ局にとっても大きいでしょう。

 2022年4月からは、地上波放送と同時配信も始まり、スマホで手軽に番組を観られるようになりました。
今後も、見逃し配信の数字が評価される傾向は、進んでいくのではないでしょうか」(同)
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2023年03月16日

全国旅行支援 4月以降も継続

全国旅行支援 4月以降も継続
2023年03月15日 読売新聞

 観光庁の和田浩一長官は15日の記者会見で、国内旅行代金の一部を補助する観光需要喚起策「全国旅行支援」を4月以降も継続すると正式表明した。
需要が集中する4月29日〜5月7日の大型連休は支援の対象から外す。

 1人1泊あたり最大7000円の補助額や旅行代金の20%としている割引率など、現状の支援の枠組みは変えない。
また、すでに予約済みの旅行は対象にしない。
 全国旅行支援は政府からの財政支援を受け、都道府県が実施する。
今年度末までに使い切れない関連予算があるため、観光庁が来年度に予算の執行を繰り越すことで4月以降も継続できるようにする。
予算を使い切った自治体から終了する方針は変えず、和田長官は「個人旅行は初夏頃まで実施できると見込んでいる」と述べた。
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2023年03月17日

幹部のツイッター削除、発言撤回の背景に何があったか…佐藤優が見た共産党内の"危機感と動揺"

幹部のツイッター削除、発言撤回の背景に何があったか…佐藤優が見た共産党内の"危機感と動揺"
佐藤 優 <作家・元外務省主任分析官>
2023年03月15日 PRESIDENT Online

2022年3月、ウクライナに日本政府が自衛隊の防弾チョッキを提供する方針を決めたことについて発言を1日で訂正した共産党幹部の田村智子氏。自身の発言を180度翻したのはなぜなのか。
元外務省主任分析官である佐藤優さんは「田村氏のツイートや記者会見での発言の訂正は党創立100年を控え、危機感と動揺が党内に生まれていることを示唆している」という――。
※本稿は、佐藤優『日本共産党の100年』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■日本共産党対策委員会長
 田村智子議員のツイート 野党共闘の波紋が広がり続けている。
2021年12月6日、毎日新聞のコラム「風知草」は日本共産党の野党共闘の総括について疑問符をつけた。
これに対し「しんぶん赤旗」は反論した。
立憲民主党などに強い影響力を持つ連合は、野党共闘について批判的な総括を行った。
こうした中、田村智子・日本共産党政策委員長によるツイートが話題になった。

朝日新聞が「『共産が政権に関わったら…』国民に広がった不安、党内で自省の議論」との見出しで次のように伝えている。 10月の衆院選で「野党共闘で政権交代を」と訴えたものの議席を減らした共産党で、自省の議論が始まっている。
きっかけの一つは、「野党としての共産党なら良いけれど、政権に関わったらどうなるの? という不安は、私たちの想像を超えて広がった」という田村智子政策委員長のツイートだ。
(中略) 田村氏は自身のツイッターで、共産が「政権に関わる存在」になったときに「全く異なる不安になるのでは」と分析。政権交代を軸にした選挙戦での訴えが「国民の中に広がる不安をつかんだものではなかった」などと省みる投稿をした(朝日新聞デジタル、2021年12月10日)

■ツイートの削除は田村氏の判断なのだろうか
田村氏といえば、安倍晋三元首相の「桜を見る会」問題の国会での追及で広くその名を知られるようになった人物だ。
田村氏は朝日新聞の取材に「『桜を見る会』の後の総選挙だったので、今までなら『私たちはこの問題でこれだけ追及した』と訴え、『こういう議席が必要だ』とできる選挙だった。
しかし、政権交代をすればわかる話だからやらなかった」と振り返った。

その上で、「今回の衆院選は完全な与党宣言はしていないが、政権を支える立ち位置を示した。そうなると受け取る側も違うということに、選挙が終わってから気づいた」。
野党共闘の原点になった安全保障関連法の強行についても、「6年たつなかで国民の感情も同じ状況ではない。私たちの訴えは今日の国際情勢や自公の動きのもとでちゃんと知らせていかないと国民との合意になっていかない」と今後の課題として挙げた(同前)

こうした田村氏の総選挙に対する見解は、同年11月27、28日に開かれた第四回中央委員会総会(四中総)での志位委員長の発言には見られないものだ。
その後、田村氏の投稿は自身の判断で削除されたという。
本当に田村氏の判断で削除されたのだろうか。 私が訝(いぶか)しく思うのには理由がある。

■『戦後革命論争史』を自己批判した上田氏と不破氏
1956年から57年にかけて、日本共産党の上田耕一郎氏(後に日本共産党副委員長)と弟の不破哲三氏(前日本共産党中央委員会議長)による『戦後革命論争史』(上下巻、大月書店)が刊行された。
この本は日本共産党内部での綱領をめぐる議論や闘争方針についての疑義などが率直に記される理論水準の高い内容だ。
ところが、刊行から30年近くたった1983年、2人は『戦後革命論争史』について自己批判を行った。
この本は党内から激しい批判を受け、64年に絶版にしていたものだ。
これほど時間が経過していたことに加え、当時すでに党最高幹部だった「不破委員長」と「上田副委員長」がそろって自己批判したことにこの党の性質が表れていると思う。

■「党内の議論を外に持ち出すな」という共産党の規律
不破氏の自己批判書は「民主集中制の原則問題をめぐって――党史の教訓と私の反省」というタイトルで、上田氏のそれは「『戦後革命論争史』についての反省――「六十年史」に照らして」というものだ。
自己批判文はいずれも同年の「前衛」8月号に掲載された。

最大の問題は、「党内問題を党外にもちだし、党外の出版物で『五〇年問題』や党の綱領問題を論じるという自由主義、分散主義、分派主義の典型的な誤りを犯した」ことだという。
論考の内容よりも形式、すなわち民主集中制(党中央が決めたことに従え)の原則とそれに基づく党の統一的規律を軽んじたことが問題視された。
言い換えれば“党内の議論を外に持ち出すな”ということだ。

今回の田村氏のツイッター投稿も党内の議論を外部に持ち出したことになるのではないか。
ツイートを削除した田村氏はこの件で党から自己批判を迫られたのか。
21年の衆院選で日本共産党が議席を減らしたことについて共産党は、外に向けては激しいデマ攻撃にさらされたことが要因だと説明し、党内に向けては「政治対決の弁証法」すなわち、“勝った負けた”の闘争を通じて党が発展を遂げると説明している。

■1日で発言を翻した田村氏
また、田村氏は、2022年3月にウクライナに日本政府が自衛隊の防弾チョッキを提供する方針を決めたことについても興味深い発言をした。3月4日、田村氏は記者会見で「人道支援としてできることは、すべてやるべきだ。この場で反対と表明するようなことは考えてない」と述べた。
しかし、翌5日になって「賛成できない」と反対する立場を表明した。
〈5日の会見は緊急で開かれ、田村氏は「私の発言が不正確だった。発言を訂正し、党としての見解を述べたい」と説明。「ウクライナへの支援は非軍事の支援に全力を挙げるべきだ」と語った〉(朝日新聞デジタル、2022年3月5日)

田村氏のような共産党幹部が1日で発言を180度翻すような事態は珍しい。
兵器に関し、防衛的兵器と攻撃的兵器の境界線を明確に引くことはできない。
戦闘地域への武器供与というような重要問題に関しても共産党内で見解の違いがあることを田村氏の発言は浮き彫りにした。

田村氏のツイートや記者会見での発言の訂正は党創立100年を控え、デマ攻撃や対決の弁証法では片づけられない危機感と動揺が党内に生まれていることを示唆している。
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2023年03月18日

元公安捜査官も驚愕!強盗・特殊犯罪集団「巧妙な個人情報収集の手口」と対抗策

元公安捜査官も驚愕!強盗・特殊犯罪集団「巧妙な個人情報収集の手口」と対抗策
稲村 悠:日本カウンターインテリジェンス協会代表理事
2023.3.17 ダイヤモンドオンライン

強盗・特殊詐欺グループが 情報収集に注力する背景
 昨年から今年にかけて相次いだ、「ルフィ」らが関与したとみられる広域連続強盗事件は、東京狛江市での強盗殺人事件という凄惨(せいさん)な事件から急展開を見せ、フィリピンに滞在した被疑者らが相次いで検挙された。
 この犯罪グループは、末端の実行者を闇バイトで募集し、自らはフィリピンから末端の人物に指示するという何とも「効率的」な手法をとっていた。

 そもそも、この手法は特殊詐欺で確立されたものと思われ、特殊詐欺においても、掛け子、受け子などの実行者を闇バイトという形で募集し、自らは表に出ない形で指揮し、捜査の手が届きづらいプロセスを作り上げていた。
 しかし、こうした組織作りや犯罪の手法よりも驚かされるのは、彼らの情報収集能力の高さである。

 筆者は、現役時代に特殊詐欺グループのリーダー格の人物と接したことがあるが、彼は海外における資金運用方法や不動産投資などに関して、どうやれば“金”になるのかについていつも真剣に考え、常に関心高く勉強をしていた。
 話ぶりもいわゆる“ヤカラ”のような口調ではなく、非常にスマートで、ある意味、「特殊詐欺というビジネス」に真剣に向き合っているように見えた。
彼に言わせれば、起きている間はずっと“どうやれば特殊詐欺が成功するか”を考えているそうだ。
 このように、彼らが犯罪ビジネスに真剣に向き合う中で、いかに効率的に実行できるかと試行錯誤し、そのために注力することになった一つが“情報収集”だ。

 今回の広域強盗事件において、実行者は被害者宅に入った後に迷うことなく金庫に向かっていた。
その際、フィリピン刑務所内にいる指示者が、被害者宅の図面を見ながら携帯電話で「右に行け」などと実行者に指示していたとも言われている。
 では、どうやって被害者の情報を収集したのであろうか。
 そこには、ただの情報(Information)を、示唆を含む情報に昇華させたインテリジェンス(Intelligence)にする恐るべきノウハウが隠されていた。

犯罪集団が行っている 電話を使った情報収集方法
 犯罪集団の情報収集の一つとして、最も知られている手法が電話である。
 例えば高齢者宅への次のような電話だ。 「警視庁XX署の生活安全課のものですが、最近特殊詐欺がはやっています。ご自宅にお一人住まいの場合は気を付けてください」
 これに対し、高齢者が「大丈夫です。近くに息子夫婦が住んでいますので」などと答えようものなら、犯罪集団に独居であることが推察されてしまう。
 注意すべきは、こうした直接的な質問だけではない。スパイ活動においては間接的な質問で情報収集することが多いが、犯罪集団も似ている面がある。

 犯罪集団が行う情報収集には、例えば「広域アンケート」と称し、自動音声でガイダンスに従って番号を押すように促すような手法がある。
 高齢者宅に、自動音声で「電気料金に関するアンケート」の電話がかかり、「1カ月の電気代が5000円未満の方は“1”を、5000円以上の方は“2”を押してください」などと言われて、高齢者が“1“を押下してしまえば、即座に一人暮らしと把握されてしまうだろう(総務省「2021年度家計調査―単身世帯―」によれば、一人暮らしの電気代の平均は一カ月5482円)。

 こうした手法については、特殊詐欺が猛威を振るった1999年以降、「母さんオレだよ」のオレオレ詐欺からその手法を進化させていった。
 オレオレ詐欺の頃は、だますという「実行行為」は電話のみで行われていたが、現在は、実行行為の効率性を上げるために、まずターゲットの情報を引き出す手段として電話を活用する手法に変化してきている(この情報を引き出す行為自体も含んで実行行為とするという点は割愛する)。

 また、電話口での高齢者らの反応が犯罪集団にチェックされていることにも留意しなければならない。
犯罪集団が作る「闇名簿」には、高齢者らの口調や性格、警戒心の高さなども備考として記され、犯罪を行う上での貴重な情報となっている。

犯罪集団はどのようにして ターゲットを絞り込むのか
 広域連続強盗事件やこれまでの特殊詐欺において、活用されたのがこの闇名簿である。
 そもそも公に提供されている名簿があるのをご存じだろうか。
 インターネットで「名簿 業者」や「名簿 リスト」と検索してほしい。個人情報が含まれる名簿を取り扱う業者が散見されるだろう。
彼らが所有するデータは、同窓会名簿から一戸建て居住者や通販購入者(高級衣類、アクセサリー)、投資家名簿や富裕層名簿など、さまざまである。
 これは、大いに問題があると思わないだろうか。

 一部、「2022年4月の改正個人情報保護法により、05年以降に入手した個人情報が提供できなくなった」と掲載している業者もいるが、にもかかわらず、こうした名簿情報が販売・提供されている。
 名簿業者によれば、営業でのアプローチに使用することを想定しているのだそうだが、犯罪集団がフロントカンパニーを作り、新規営業先を得るためと偽って名簿を閲覧・購入するのは容易だろう。
 こうした手法で、例えば、通販で高級アクセサリーやその他の高額商品を購入した人物の名簿、不動産投資した人物の名簿などを入手し、それらの名簿に共通する人物を見つけ出すことで、資金にかなりの余裕がある人物が特定できる。
 そして、その人物に前述のように電話でアプローチして、独居か高齢者か、穏やかな性格かなどを確認し、現地を下見すれば、強盗の準備ができてしまう。

 また、前述の通り、今回の広域連続強盗事件では家の図面まで作成していた事実があるが、配送業者や引っ越し業者から情報を買ったり、家のリフォームや納品を装った手口で自宅内を見たりする手法もある。
 犯罪集団は、これらの手法を複合的に組み合わせ、収集した情報をしっかりと分析して犯罪を実行しているのだ。

 加えて一点、極めて重要な事実がある。
 闇名簿においては、前述の名簿業者では知り得ない公的機関によるものと思われる情報が含まれる点だ。
 例えば、口座情報や納税状況、さらに家族構成を把握できる戸籍などが自治体から流出することで、その闇名簿はより恐ろしい内容になる。
 恐らく、金銭の授受や“ゆすり”などを通じて、自治体の協力者から情報を収集しているのだろう。 
 このように、犯罪集団の手は広く深く社会に浸透しているのだ。

スパイ捜査における 2つの情報収集方法
 私が国内におけるスパイ捜査を行っていた視点で、2つの手法を紹介したい。  

一つ目は、情報収集手段の一つであるOSINT(Open source Intelligence)である。
 OSINTはウェブや公文書、各メディアなどの公開情報から得られる情報を分析し、示唆を導出する手法である。
 犯罪集団からの目線で言えば、先に挙げた名簿業者も立派な公開情報である。

 さらに、例えばGoogleMapのストリートビューでターゲットの自宅を下見すれば、自宅の車種や駐輪している自転車などから家族構成を推察できる。
その他、ターゲットが会社経営者であれば、法人登記や不動産登記を閲覧することで、資産状況のみならず、親族経営であれば親族の名前なども把握できる。
 これらの手法は、犯罪集団がある程度、電話や名簿等でめどをつけたターゲットに対し行われるだろう(もちろん、実地の下見も行われる)。
 ここですべて紹介してしまうと犯罪集団に悪用されるため、詳しくは割愛するが、OSINTのノウハウがあれば、特定の人物に関し、公開情報のみで相当深い情報が得られるだろう。
 また、先ほどの名簿に加え、ぜひインターネットで「電話帳 個人」と検索してほしい。
その中には、地番と氏名、電話番号が閲覧できるサイトがあるので、自身やご両親などの自宅が掲載されていないかぜひ確認してほしい。
 これも、OSINTにおける公開情報である。世界の9割の情報はOSINTで得られるといわれている。  

そして二つ目は、COLLINT(Collective Intelligence)である。
 これは、一部利害関係を共通とする組織同士で情報を共有する手法である。
 2017年シンガポールで暗殺された、北朝鮮の金正恩総書記の異母兄である金正男氏に関し、彼が2001年に日本に入国する際、事前に英国情報機関のMI6から公安調査庁に情報提供されており、彼が不法入国しようとしていた情報を事前に入国管理局に提供していた。
MI6が公安調査庁を非常に信頼していたからなし得た連携だった。
 なお、余談だが、この件では、警察側が金正男氏をしばらく国内で泳がせて、どのような人物と接触するか把握しようとしていた。
だが、入国管理局が金正男氏をすぐに拘束してしまったことから、警察側が激怒したという逸話もある。

 いずれにせよ、このように情報機関同士の情報共有においては互いの信頼性が問われるわけだが、犯罪集団同士の情報共有では、信頼関係よりも、いかに儲かるかという“利害関係”が前面に出てくる。
 その結果、速やかに情報は共有・売買され、一度出た(犯罪集団にとって有益な)情報は、瞬く間に犯罪の世界に広まる。前述のMI6と公安調査庁の連携のような高尚な話にはならないだろう。

ダークウェブで やりとりされる危険な情報
 これまで解説してきた犯罪集団が収集し、作り上げてきた情報が、闇サイトで売買されているのは、報道などを通じてご存じだろう。
 闇サイトには皆さんが想像するような一部掲示板などのアクセスしやすいサイトが多数存在する。
だが、一般にアクセスが難しいといわれるダークウェブでは、その内容を見たことのない方からすれば、非常に恐ろしい危険な情報がやりとりされている。
 例えば、筆者が目視できたものだけでも「日本人のパスポート情報(顔写真のページ見開き、氏名・生年月日等記載)」「日本企業の社員のメールアドレス」などに加え、日本政府が使用した膨大なメールアドレスも、現在使用されているものかは判別がつかなかったが、売買されていた。
その他、闇名簿と思しき情報のサンプルを見せ売買するような集団も存在した。

 これらの情報の収集や売買は、サイバー攻撃にも通じるものがある。
サイバー攻撃では企業の脆弱(ぜいじゃく)性につながる情報を収集し、売る集団がいる。
 それと同様に、特殊詐欺や強盗を行うために、情報をふんだんに含む闇名簿を作成し、売る集団が存在する。

ここではっきりと分かるのは、犯罪集団にとって、情報は非常に価値があるものということだ。
犯罪集団が通信手段として 使った「テレグラム」とは  さて、広域連続強盗事件で脚光を浴びた通信手段として、通信アプリ「テレグラム」(写真)がある。
 その情報通信の秘匿性もさることながら、恐ろしいのはコミュニティ(Group)機能である。

 テレグラムにおいては、近くにテレグラムを使用する人物が表示されるほか、Groupという形で不法行為を想像させるコミュニティが複数存在し、自由に参加し、Group内メンバーにコンタクトが取れる。
 このように、テレグラム開発元の意図にかかわらず、犯罪を助長してしまう機能が付いている。
犯罪は、こんなにも身近に存在するのだ。

自宅と電話対応で効果的な 犯罪集団への対策とは
 ここまで紹介してきた犯罪集団のさまざまな情報収集手段に対し、効果的な対処法は多くはない。
 まず、意識として犯罪集団の“高い”実力を知った上で、「自身の情報は出さない」「自身の情報は既に出ていると思っておく」ことが肝要だ。
 その上で、セキュリティ上の対応策をいくつかお伝えしたい。

<自宅におけるセキュリティー>
・防犯カメラの設置
・インターホンでの対応
・(窓ガラスを割れにくくする)防犯フィルムの貼り付け
・補助錠の設置
・在宅時の施錠
・置き配の使用
・現金を自宅保管しない
・強盗侵入時に110番する時間を稼ぐため、立てこもれる場所を用意(地下室やトイレなど)

<電話口におけるセキュリティー>
・電話口で自身の生活に関する情報を一切答えない、即座に切る
・公的機関であっても、電話は一度切り、掛け直す(その際、相手の所属部署を聞き、相手が言った番号に掛け直さず、ホームページなどで調べた番号に掛け直す)
・電話で何かを聞かれても、自身で判断せず、遠慮なく家族・警察に相談する

 広域連続強盗事件後の報道では、近隣の住民から「あのとき、こんな変なことがあった」と、不審な下見や訪問の様子をうかがわせる情報が出てきた。
強盗という極端で残忍な犯罪において、このような端緒がある場合も少なくない。
 どうか、犯罪集団の高い実力を知った上で、あなたの家族、そして地域が一体となってコミュニティ内で情報を共有し、高い防犯意識を醸成していただきたい。
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2023年03月19日

不足分が半分に…? 老後資金2000万円問題がいつの間に消えた理由を探る

不足分が半分に…? 老後資金2000万円問題がいつの間に消えた理由を探る
2023/03/17 日刊ゲンダイ

 給与が上がらず、商品やサービスの値上がりが続くなか、老後の生活に不安を抱える人は多いだろう。
だが、最近ちょっと明るい話を聞いた。
話題になった、「老後の資金2000万円問題」が消えた、という話だ。

 そもそもこの問題は、2019年6月に金融庁が発表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書によるもの。
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯は、定年後30年生きるには約2000万円が必要になるという試算だ。

 その理由は、老後の収入は公的年金がほとんどになり、公的年金を含めた実収入20万9198円に対し、標準的な生活を送るための1カ月の生活費(実支出)26万3717円を差し引くと5万4519円の赤字が発生する。
これが30年間続くと、5万4519円×12カ月×30年で、不足分は1962万6840円になるということだ。

「2000万円問題」のベースとなる家計消費(総務省公表)から「消えた」理由を探っていく。
 19年には実収入と実支出の差し引きで5万円超の不足が出ていたが、20年の実収入は25万6661円、実支出25万5550円と一転して実収入が1110円プラスとなった。
 この2月に発表された22年の家計消費では、実収入24万6034円、実支出27万1889円で赤字は2万5855円だ。
これを30年間続けると、赤字分は930万7800円となる。
19年と比較して半分の貯蓄で賄えることになるのだ。
 さらに、コロナ禍による旅行、観光などの外出抑制、モノの買い控えによる消費支出の減少も「消えた」大きな要因に挙げられる。

しかし、2000万円問題消滅の声に慎重な意見は多い。
ニッセイ基礎研究所の久我尚子主任研究員がこう説明する。
「30年間の生活の不足分が半分の930万円に減ったことは大きい。しかし、現実にほぼ1000万円あればいいということではありません。
年金も退職金も徐々に減っていますし、コロナが終息することで、この間抑制されていた消費が増えると考えられます。
賃上げも期待されていますが、賃上げはサービス価格も上昇させ、モノの値段が上がれば支出を圧迫することになります
老後の2000万円問題は消えてはいません」

■年金は実質目減り、やっぱり…
 実際に退職金は1997年の2871万円から2018年には1788万円と、21年前に比べ1000万円以上減額している(厚労省・就労条件総合調査、大卒)。
また年金は令和5年度の改正で前年度比2.2%引き上げられたが(67歳以上)、マクロ経済スライドでは実質目減りだ。

ファイナンシャルプランナーの目黒政明氏が言う。
「コロナ禍による給付金などで若干収支が改善していますが、コロナ前の収支の方が実態を把握しています。
支出には介護費用や住宅のリフォーム費用も入っていないため実際には不足分はさらに拡大する。
公的年金だけの老後の収入ではゆとりある老後は送れません。
節約は当然ですが、税制の優遇措置が拡大するニーサや、イデコ(確定型拠出年金)の利用で資産形成を考えることも必要でしょう」

 厳しい老後が待っていそうだ。

  (ジャーナリスト・木野活明)
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2023年03月20日

知っている「ふり」をやめたら訪れた「素敵な世界」

知っている「ふり」をやめたら訪れた「素敵な世界」
2023年03月19日 ダイヤモンドオンライン

「見た目は変で、しゃべりも下手、お笑い芸人としての才能もない」と思いこみ、コンプレックスのかたまりだったスリムクラブ・内間政成さんは、そんな自分を人に知られないように、自分の本心を隠し、見栄を張って、いつわりの人生を送ってきました。
しかし、それはどうしようもなく苦しかった。
自分で自分を否定しているようなものですから。
ある出来事をきっかけに、内間さんは自分自身と向き合い、自分という存在を少しずつ受け入れられるようになっていきます。
その結果、何が起きたのか。今まで自分の欠点だと思い込んでいたことが、そうじゃないことがわかってきました。

自分の欠点を「欠点だ」と決めつけているのは、他の誰でもない、自分自身だったのです。
「僕はカッコ悪い」「僕は人をイラつかせる」「僕は恐れ過ぎている」「僕はすぐ調子に乗る」「僕は怠け者」と、自分の欠点をさらけ出せるようになった内間さんはいま、ストレスフリーの時間を楽しそうに生きています。
そんな内容の詰まった本が、内間政成さんの書籍『等身大の僕で生きるしかないので』です。
無理やり自分を大きく見せるのではなく、等身大の自分を受け入れれば、人生は好転する。
そのためのヒントを本書からご紹介します。

■知らないことが多過ぎるけれど、そのおかげで盛り上がったり、皆が教えてくれる
 当然、知っていることが多い方が、より人生を豊かに生きられると思います。
しかし、知らないのにもかかわらず知っているふりをすると、人生が重苦しくなります。
これは当然のことだと思うかもしれませんが、それをしてしまうのが僕でした。

 では、なぜそれをしてしまうのか? それは「思い込み」が原因です。
でも、それを紐解くことによって何を大事にして生きたいのかを知り、より豊かに楽に生きられると思います。
 僕は知らないことが多いです。昔からそうでした。

元を正せば幼少時代の我が家での情報が乏しかったのが始まりだと思います。
 僕は6歳から15歳までテレビを見ていません。テレビ禁止でした。原因は僕の視力低下です。
それは幼稚園の健康診断で判明しました。
そしてお袋が、テレビは目に悪いという情報を聞きつけて、そういう結末になったのです。

 お袋は根っからの健康第一主義者で添加物を憎み、自然を愛する女性です。
だから僕は、家族で外食をしたことがありません。
 一度、僕と弟があまりにもマクドナルドに行ってみたいと駄々をこねたので、渋々家族で行ったことはありますが、お袋だけは何も注文しませんでした。
そして、恨めしそうに僕らの食べているチーズバーガーを覗き込むのです。  かなり緊張感がありますよ。食べ辛く、三分の一は食べましたが、リタイアしました。
このような出来事はありましたが、1カウントに数えることはできません。

 そんなお袋にとって僕の視力低下は、まさに有事です。
そしてすぐに対策に取りかかります。その気持ちはありがたいのですが、一度思い込んだら吟味せずに突き進む性格なので、かなり戸惑います。
 まず手始めに行われたのは、マッサージです。
幼稚園から帰宅するとすぐさま、お袋に首根っこを掴まれ横にさせられ、こめかみをマッサージされます。
マッサージと言えば聞こえは良いのですが、その行為はマッサージとはほど遠いものでした。
 お袋の右手人差し指を第二関節で曲げ固定し、グリグリと僕のこめかみにめり込ませます。
シンプルに痛い! それを伝えるとお袋は、効いていると思い込み、更に力を発揮するのです。だから僕は小一時間毎日無言を貫き通しました。

 他にも食生活が変わりました。
自然食というベースは変わらないのですが、そこに「鰻の胆嚢(たんのう)」が加わったのです。
それが目に良いと、恐らく信頼を置いているナカヤマのおばちゃんから得た情報だと思うのですが、毎日刺身屋さん(沖縄では魚屋を刺身屋という)でそれを買って来ました。
ただそこで鰻の胆嚢のみしか買わないので、かなりの偏食家族だと思われていたかもしれません。
それよりも、幼稚園児におかずが鰻の胆嚢っていうのはかなりキツイです。
確か生だったと記憶しています。それは苦くて原始人でも無理だと思っていました。

■「ふり」をしてしまう生き方
 そして第三弾が、テレビ禁止なのです。
小学生にそれは過酷でした。学校では「昨日○○見た?」とテレビの話題ばかりです。その場に参加はしたいのですが、積極的にはできません。
でも、見てないとも言えないので、「あー、はい、はい、あれ面白かったね!」とドキドキしながら見たふりをしていました。
そうしないと、除け者にされ嫌な思いをすると思い込んでいました。

 当時は、「8時だョ! 全員集合」や「オレたちひょうきん族」が流行っていました。
そして同じ時間帯だったので、どっちを見たかと、前者派と後者派に分かれていました。
だから僕はそれを利用して、前者派の前では後者派、後者派の前では前者派を装って情報を収集し、他で話していました。

 ただ、強敵なのはザッピングをして両方見ている友達です。
その場合は、「両方見るって器用だね」の話題を膨らませて難を逃れていました。
こんなふうに誤魔化しでも、何とか通用してきたと理解したのでしょう。

だんだん反射的に「ふり」をしてしまう生き方をしてしまいます。
 今でも忘れられないのが高校2年のときです。友達の家でご飯をご馳走になりました。
そのときのメニューは「水炊き」。
僕はそれを一度も食べたことがなくて、存在自体も知りませんでした。
しかし反射的に、「うまそう。久しぶりに食べるなー」と言ってしまったのです。
 そして鍋の中の具材を器に盛り、そのまま食べました。不味い! 味がない! 当然です。
ほぼお湯の味なのですから。それを見ていた友達が不思議そうに、「お前珍しいな。ポン酢使わないんだ?」と言ってきたのですが、僕は「お前の方こそ珍しいな。オレはずっとこの食べ方だよ」と強がってしまったのです。
もう突き進むしかありません。
かなりの量を食べましたが、最後までポン酢を手にしなかった自分に感服です。

 今振り返ると僕は、「知らない」ということがかなり惨めなことで、そのことがみんなに洩れてしまったら、とんでもない仕打ちを受けると思い込んでいました。
だから頑張って、知っているふりをし、みんなと一緒感を保とうとしていたのです。
 でもそれはあくまでも「ふり」で嘘です。

また、こういう行為をすることで成長すると思い込んでもいました。
果たしてそうでしょうか? 疲れました。
少し冷静になり、極端かもしれませんが、自分に国籍がないという気持ちで自分のことを見つめ直して見ると、ある気づきが生まれました。
「俺は、小さいコミュニティで、たまたま得た知識だけで生きているな」と。そこで僕は、自分とってはタブーの「知らない」を告白してみようと思いました。

■何て素敵な世界なんだ
 芸人になってからの話ですが、子どもの頃好きだったお笑い番組の話題になりました。
僕の世代は、ほぼほぼ前述した番組です。
僕は勇気を振り絞って、「見てないので知らない」と告げたのです。
 すると、僕が恐れていたことは何も起きなかったのです。それどころか、「信じられない!」「じゃあその時間何してたの?」「それはある意味貴重だよ」と盛り上がったのと同時に、色々教えてもらえたのです。

 何て素敵な世界なんだ。不思議な感覚でした。
だから僕は、自分の中にある真実をもとに素直に生きることが、幸せだと思います。
そして僕は、これからもこの精神を軸に生きたいと思います。

 あっ、それと報告が遅くなりましたが、お袋のおかげで視力が0.5から2.0まで上がりました。
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2023年03月21日

「賃貸 vs 持ち家は永遠のテーマ」 現在においては圧倒的に持ち家派が優勢との結果

「賃貸 vs 持ち家は永遠のテーマ」
 現在においては圧倒的に持ち家派が優勢との結果
2023年03月21日 Sirabee

新入学・新生活を控えた3月は、引っ越しシーズンのピーク。
一般的には賃貸物件の引っ越しが多いかもしれないが、このタイミングで持ち家から賃貸へ、賃貸から持ち家へと住み替える人もいるだろう。

■賃貸 vs 持ち家は永遠のテーマ
住まいは資産が残る持ち家が理想か、ローン金利の負担がなく転居もしやすい賃貸がよいのか、常に意見がわかれるテーマだ。
時代がインフレ方向にあるのか、デフレの渦の中にあるのかでも、その判断は変化するだろう。
どちらも一理ある考え方ではあるが、現代の日本人はどのように考えているのだろうか。

 ■持ち家派が賃貸派の2倍に
Sirabee編集部が、全国10〜60代男女1,000名を対象に調査したところ、理想の住まい方は「持ち家」とした人は全体の66.7%。ちょうど2/3となった。
賃貸派は33.3%で、持ち家派の半分だった。
今回の調査では、現在においては圧倒的に持ち家派が優勢という状況がうかがえる。

■近畿では賃貸派も優勢
東西南北に細長い日本列島では、都会と地方の格差も大きい。
地域によって持ち家・賃貸の比率に違いはあるのか、

検証してみると…。 最も持ち家派が優勢だったのは、北信越で80.0%。中国・四国が77.0%で続く。
どちらも大都市は少なく過疎化が進む地域を含むエリアだ。
一方、賃貸派が最も多かったのは近畿で40.5%。全国で唯一4割を超えた。歴史ある大都市が多い一方、必ずしもそこに根を下ろさずに自由に暮らしたい人も多いのかもしれない。

記事まとめ
・Sirabee編集部によると、理想の住まい方は「持ち家」とした人は全体の66.7%だった
・最も持ち家派が優勢だったのは、北信越で80.0%。中国・四国が77.0%
・賃貸派が最も多かったのは近畿で40.5%で、全国で唯一4割を超えていた 
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2023年03月22日

なぜ老親は陰謀論を信じやすいのか…中高年期に突然妄想が出現する「遅発パラフレニー」の恐ろしさ

なぜ老親は陰謀論を信じやすいのか…中高年期に突然妄想が出現する「遅発パラフレニー」の恐ろしさ
益田 裕介 の意見
3/21 プレジデントオンライン

老親の問題行動には、どう対処すればいいのか。
精神科医の益田裕介さんは「老年期に見られる『遅発パラフレニー』といった精神疾患、もしくは認知症の前駆症状の可能性がある。
老年になって発達障害の特性が強く現れることもあり、手厚いケアが必要」という――。
※本稿は、益田裕介『精神科医が教える 親を憎むのをやめる方法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

老いた親が陰謀論を信じてしまう理由
親が老年期に差し掛かり、とまどいを感じている方もいると思います。
かつて問題行動が目立った親が「丸くなっていく」こともあれば、昔は折り目正しかった親が、急におかしな言動を示すこともあります。
そうした言動が、ネットとの付き合い方で生まれる場合もしばしばあります。
ネット上のフェイクニュースや、怪しげな陰謀論を頭から信じてしまうといったケースは、最近よく見聞きします。

なぜ信憑性の薄い情報に振り回されてしまうのか。その原因はさまざまです。
ネット上の情報は玉石混交 人間や社会についての理解が低いのかもしれません。
他者との交わりが少ない場合も考えられます。
ずっと家で子育てだけをしてきた親や、狭い業界で変化のない仕事を黙々とこなしてきた親もいるでしょう。

社会にインターネットが普及しはじめたのは2000年ごろの話です。
親世代がインターネットに順応できていなくても、それは当然のことです。 ネット上の情報は玉石混交です。その中から有用なものだけを選ぶスキルが必要ですが、それが不得手であっても仕方ありません。

「昭和の頑固オヤジ」ほどネット上で豹変しがち
親がネットで誹謗(ひぼう)中傷を繰り返していることで、悩んでいる子どももいます。
社会の価値観の変化を受け入れられず、ネットに怒りを吐き出してしまうのです。
現役時代にはそれなりの地位にあった人が、そうした行動に出ることも多いようです。

無口で、自分の考えをうまく言語化できない、いわゆる「昭和の頑固親父」タイプほどネット上では豹変(ひょうへん)しがちです。
しかし、ネット上での誹謗中傷行為が問題視されるようになり、対策が取られはじめています。
ひどい場合は名誉棄損などに問われる場合もあるため、親にも法的なリスクを理解してもらう必要があるでしょう。

中高年期に突然妄想が出現する「遅発パラフレニー」
中高年期に突然妄想が出現する、「遅発パラフレニー」という病気があります。
統合失調症の妄想は荒唐無稽なものが多いのですが、「遅発パラフレニー」の場合、もっと日常的で、一見真実のように見えるのが特徴です。
「近所の○○さんに悪口を言われている」 「商店街に詐欺師がいる」 「携帯電話をハッキングされている」 といったものです。

妄想以外に目立った症状がなく、家族もトラブルが起きるまで放っておくことが多いため、診断が遅れがちです。
治療は統合失調症とほぼ同じで、抗精神病薬の投薬が中心ですが、あまり好転しないことが多い印象です。
認知症の前駆症状の場合も 認知症の前駆症状の場合もあります。
その場合、「前頭側頭型認知症」や「レビー小体型認知症」に診断が変わることがあります。

「前頭側頭型認知症」とは、前頭葉と側頭葉が特に萎縮する認知症の一種で、怒りっぽくなったり、万引きなどの問題行動が特徴です。
難病に指定されているので、治療には医療費助成制度を利用できます。

「レビー小体型認知症」では、「幻視」が見られます。
「庭で子どもたちが遊んでいる」などと言うほか、手足が震える、表情が乏しくなるなど、軽度のパーキンソン病の症状が出ます。
認知症の一種ですが、薬物過敏性があるのも特徴です。

老年にさしかかった親が、問題行動を繰り返したり、言動におかしな点が見られる場合は、「遅発パラフレニー」もしくは「認知症」を疑ってみることも必要かもしれません。
認知症は、うつ、統合失調症、不安障害といった精神疾患と合併して起こることもあります。
また、老年になってから発達障害の特性が強く現れることもあります。
もともと発達障害傾向があった人が、加齢によって前頭葉の機能が低下し、その特性を強く見せるのです。 急に強いこだわりを見せたり、ADHDのような衝動的な行動に出ることがあります。
こうしたケースでは、通常よりも手厚いケアが必要となります。

「理不尽な行為」もかつては当たり前だった
社会の価値観は時代によって変わります。
体罰は、かつては「当たり前」でしたが、今は許されません。
「虐待は許しがたい悪行だ」という価値観が社会に根付いています。
かつての強い家父長制のもとでは、長男が尊重されるのが当たり前でした。
「長男だけおかずが一品多い」といった差別も珍しくなかったのです。
今ではそんな家はめったにありませんが。

家庭内での女性の地位もかつては低かったのです。
女は家にいるべき、という考え方が当たり前でした。
女性が性的虐待を受けた場合でも、「黙っていなさい、我慢しなさい」と言われることさえありました。
これは娘を世間の目から守ってやりたいという親心でもあったのですが、今の価値観に照らせば、理不尽な話というほかありません。

家の外にも厳しい上下関係があり、「目上の人間には服従すべき」という考え方が当たり前でした。
これも今やナンセンスだと考える人が大半でしょう。
社会の価値観は大きく変わっていますが、親子問題においては、これが思わぬトラップとなることがあります。

親世代の価値観を理解することも大事
子どもの側は、現代の基準で昔の出来事を判断しがちです。
患者さんと話していても、世代差を加味せず判断し、そのせいで余計に親を恨んでしまい、治療は停滞することがあります。

親を許すには「今は許されないけれど、当時はそういう時代だったのだ」という視点も重要なのです。
そのためには、親や祖父母の子ども時代についての本を読むことをおすすめします。
戦中戦後の暮らし、全共闘時代、高度経済成長期、平成バブル期。それぞれの時代を扱ったノンフィクションや小説がたくさんあります。
また、古い日本映画も当時を知るうえできっと参考になるでしょう。

「当時はそういう時代だったのだ」という認識は、「割り切り」であるとともに、ある種、救いでもあります。
親は自分を愛していなかったわけでも、軽んじていたわけでもない。
単にそういう時代に生きていた人なだけだ、という気づきになるからです。

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益田 裕介(ますだ・ゆうすけ)
早稲田メンタルクリニック院長
防衛医大卒
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2023年03月23日

世論に合わせて戦争観までガラッと変わる…佐藤優氏解説「ウクライナ戦争勃発で見えた日本共産党の本当の姿」

世論に合わせて戦争観までガラッと変わる…佐藤優氏解説「ウクライナ戦争勃発で見えた日本共産党の本当の姿」
佐藤 優.作家・元外務省主任分析官
2023年03月22日 プレジデントオンライン

これまで、憲法9条擁護を強調する「平和の党」の顔を強調していた共産党が自衛隊活用論を強調したのはなぜなのか。
元外務省主任分析官である佐藤優さんは「ウクライナ戦争勃発後の日本世論を考慮して、自衛隊活用論を強調するようになった。
この党の戦争観が機会主義的であることの証左だ」という――。
※本稿は、佐藤優『日本共産党の100年』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■共産党における「対米従属論」
2022年4月15日、日本共産党の志位和夫委員長は、党の歩みを知ることができる党綱領を解説した『新・綱領教室 2020年改訂綱領を踏まえて』という上下巻の本を出版した。

『新・綱領教室』の下巻、17ページには「綱領第一二節――『現在、日本社会が必要としている変革』の規定を読む」という項目がある。
そこでは、「1、現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である」という
『綱領』第12節を引用し、「第1の文章は、日本が必要としている変革が、『異常な対米従属』と『大企業・財界の横暴な支配』――私たちが『二つの異常』と呼んでいる支配を打ち破る、民主主義革命だと規定しています」と解説する。

■日本の独立を勝ち取るべきという姿勢
ここから、共産党における「対米従属論」がいっそう強まっていることがわかる。
対米従属論とは、「61年綱領」において日本の地位について「高度に発達した資本主義国でありながら半ば占領された従属国」と位置づけ、日本独占資本の支配と共にこれに反対して日本の独立を勝ち取る「反帝・反独占の人民の民主主義革命」を掲げたものだ。

2003年の第二十三回党大会・第七回中央委員会総会(七中総)では当時の不破議長が「対米従属の根幹」として、「一九五一年に結ばれ、六〇年に改定された日米安保条約――この軍事同盟条約にあります。
そして、この従属国家の状態から真の主権独立国家に転換するということが、今日、日本が直面する最大の国民的課題となっています」と報告した。

■当時の日本社会党の左派や新左翼諸党派の批判
共産党のこの認識は、用語を変えながらも基本的に変化していない。
これに対して、当時の日本社会党の左派や新左翼諸党派からは、「米国から自立した日本帝国主義の存在を無視する論である」とか、「社会主義革命を永遠の未来へ押しやるための口実である」といった批判がなされてきた。
この“社会主義は遠い”という認識は、下巻22ページにはっきり出ている。

民主主義革命から社会主義的変革への移行は、国民多数の意思を決定的な条件とし、そのことを抜きにした自動的過程ではないと表明されました。
しかし、こうした「二段階連続革命」論が、当面する民主主義的変革の課題に国民多数を結集するうえで、一つの問題点をはらんでいたことも、事実でした。

2004年の綱領改定では、連続革命的にとられる規定は、すべて削除しました。
誤解の余地なく、段階的発展の立場を明瞭にしました。(中略)
「共闘にとりくんだら、いつの間にか、日米安保条約の廃棄や社会主義にまで連れていかれた」ということには、決してしてはならないし、そうしたことには絶対にならない、というのが、わが党の確固たる立場です。 (『新・綱領教室 下』)

最初の一文、「民主主義革命から社会主義的変革への移行は、国民多数の意思を決定的な条件とし、そのことを抜きにした自動的過程ではない」とは裏返せば、「国民多数の意思」がないうちは社会主義革命には連続していかないということだろう。その意味で、社会主義をはるか彼方に置いているのだ。

■革命政党に生じたねじれ
志位氏のこの見解は、1899年に発表されたドイツの社会主義者ベルンシュタインの論文「社会主義の諸前提と社会民主主義の任務」を想起させる。
ベルンシュタインはドイツ社会民主党および第二インターナショナル右派の理論的指導者として活躍した人物だ。
この論文はマルクス主義の修正を唱え、議会主義に基づく漸進的な社会主義を主張したことから激しく批判された、修正主義や改良主義の典型になったものである。

ベルンシュタインは「運動がすべてであり、究極目標は無」と述べた。
対して、志位氏の解説をごく簡略化して言えば、運動がすべてであり究極目標ははるか彼方にあると言っているに等しいのではないだろうか。
無とは言わないまでも、究極目標をはるか彼方に持っていき、改良主義に転換したいと考えているのだろう。
そのために、共産主義革命を目的とするはずの革命政党にねじれが生じてしまっている。
社会主義革命は資本主義からの断絶であるのに、志位氏は連続性のほうが強いと考えているようだ。
これはかつて日本共産党が断罪した構造改革論の立場だ。

■自衛隊活用論をめぐって
『新・綱領教室』のポイントになるのが、下巻66ページで展開される「自衛隊活用の方針」だ。
今回の出版意図について、志位氏は会見で「綱領を知ってもらうビッグチャンス。野党共闘でもプラスになる」と語り、「『天皇制廃止』『自衛隊解消』を当面棚上げするなどした2004年の全面改定、中国の覇権主義への批判やジェンダー平等の実現を盛り込んだ20年の一部改定を経たいまの綱領を解説した」と話した(朝日新聞デジタル、2022年4月14日)。

なかでも自衛隊については、「『日本が攻められたら竹やりで戦うのか』との批判に十分答えられず、当面存続を容認して段階的に解消する方針に至った経緯などが記されている」と説明した。
これは2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を受けての発言だ。
志位氏は同年4月7日、「急迫不正の主権侵害に際しては自衛隊を活用する」と「綱領の意図に沿った」発言をしたと朝日新聞の記事は続ける。
自衛隊の活用について、産経新聞も次のように伝えている。

■自衛隊と憲法9条は両立しないが…
共産は綱領を改定した約20年前から自衛隊に関して同様の見解を示してきた。
小池晃書記局長は11日の会見で、「(党の主張が最近になって変わったと)言われるのは誤解だ」と述べつつ、「国民に私たちの立場が十分に伝わっていなかったことの反映でもあるのかなと思う。努力しなければならない」とも語った。
とはいえ、党の見解を変えるわけではない。

志位氏は会見で「自衛隊と憲法9条は両立しないが、急迫不正の時には国民の命を守ることが政治の責任として問われてくる。当然、そういう時には自衛隊の皆さんに頑張っていただく」と従来の主張を繰り返した。
一方、共産は将来的に他党と樹立を目指す連合政権の対応に関しては、自衛隊を合憲視するとの立場だ。
解説本では「自衛隊と共存する時期は、『自衛隊=合憲』の立場をとり、国民多数の合意なしに合憲から違憲への憲法解釈の変更はおこなわない」と明記している(産経ニュース、2022年4月13日)

■「自衛隊を国民の安全のために活用する」と説明した志位氏
志位氏は、「過渡的な時期に、急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する」という第二十二回党大会決定(2000年11月)の決議を引用したあと、「Q&A」形式で次のように説明する。

Q「共産党は自衛隊を廃止するというけれども、もし日本が攻められたらどうするのか」
A「国民の多くが、そういう不安をもっている間は自衛隊をなくしません。万一、日本が攻められたら、自衛隊を含めて対応します」

Q「自衛隊を廃止した後で、日本が攻められたらどうするのか」
A「そういう不安があるうちは、国民多数が『自衛隊をなくそう』とはならないでしょう。ですから自衛隊は存在しており、自衛隊を含めて対応します」 (『新・綱領教室 下』)

志位氏のこの回答からも、社会主義・共産主義革命を成し得るのははるか彼方のことだから、その日が来るまで、自衛隊は永続するということになる。
イエス・キリストが再臨(再び地上に現れる)まで教会が続くというキリスト教神学の発想に似ている。

■「反戦・非戦」から「防衛戦争」を是認する党へ
これまで共産党は、憲法9条擁護を強調する「平和の党」の顔を強調していた。
しかし、綱領上は以前から「国防の党」の顔も併せ持っていた。それが今回のウクライナ侵攻によって明確になった。
共産党は「反戦・非戦」の党から「防衛戦争」を是認する党であることを強調するようになった。

現時点において、安全保障政策をめぐっては、共産党が他党と変わらない「普通の党」になったことを意味する。
55年体制を経て、反戦、護憲、非武装を主張する絶対的平和主義の社会党の党勢がなくなり弱まってくると、共産党は社会党が持っていた護憲勢力を取り込もうと、例えば「九条の会」で主導権を握るなど、21世紀に入ってからは「護憲の党」としてあらゆる戦争に反対した。
憲法9条は交戦権を認めていないのだから、素直に読めば、防衛戦争の可能性まで含めて制定時においては否定していた。

■共産党の機会主義的な戦争観
社会党が「武力を用いての受動的抵抗権も認めない」という立場をとっていたのに対して、共産党は「中立自衛」で抵抗していく。
共産党はそのほうが国民の支持を得られると思ったのだろう。
絶対平和主義を唱える社会党が退潮するとともにその場所を占めることを共産党は考えた。
すなわち、予見できる未来においては「憲法9条堅持」「反戦の党」「平和の党」を旗印に進もうとした。
そして今回、ウクライナ戦争勃発後の日本世論を考慮して、自衛隊活用論を強調するようになった。

この党の戦争観が機会主義的であることの証左だ。
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2023年03月24日

健康診断の数値に一喜一憂するのはバカらしい…現役医師が「70歳をすぎたら健康診断は不要」と訴えるワケ

健康診断の数値に一喜一憂するのはバカらしい…現役医師が「70歳をすぎたら健康診断は不要」と訴えるワケ
2023年03月23日 プレジデントオンライン

健康に長生きをするにはどうすればいいのか。
医師の和田秀樹さんは「健康診断で『異常』と判断されただけで薬を飲み続けるのはおかしい。
健康を守るためには、70歳をすぎたら健康診断を受けないほうがいい」という――。
※本稿は、和田秀樹『90代になっても輝いている人がやっているトシヨリ手引き』(毎日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■「いい医者」と「悪い医者」の違いはどこにあるのか
多くのおトシヨリはもう、なにかしらの薬を定期的に飲んでいるでしょう。
特別な持病がない人は、血圧の薬やコレステロール値を抑える薬などだと思います。
処方されるままに1カ月飲んで、なくなればまた病院へ行きます。
看護師さんに呼ばれて診察室に入り、丸いすに座り血圧を測られます。
「調子はどうですか」 「いえ、べつに変わりはないです」 「そうですか。薬が効いていますね」 「それでは、いつものように1カ月出しておきます」 医師はパソコンの画面を見たままで、「お大事に」と言われて診察が終了。
こういった医師ばかりではないと思いますが、日本では多くの患者を診なくてはいけません。
医師に話しかけようと思っても遠慮してしまった、という人もいるのではないでしょうか。
同じ医師に「ちょっとお腹が重くて……」と言えば、「それでは胃薬も出しましょう」となります。
薬の追加です。
詳しく検査してほしいと言えば、「大きな病院の消化器内科で診てもらってください」と、別の病院を紹介されてしまいます。そういうものだと思っている人は、おおぜいいらっしゃると思います。

しかし、これは大きな医療界の問題なのです。
それは日本の医師のほとんどは、自分が学んだことがある臓器の専門家にすぎないということです。
ほかの臓器のことになると、言葉は悪いのですが無頓着です。

■患者が薬漬けになってしまうワケ
医師が「体にいい薬ですから」という意味は、医師が専門にしている臓器にとっていい薬です、という意味なのです。
体全体にとっていいという意味ではありません。
心不全、糖尿病、高血圧、そして高脂血症をもつ私が病院へ行くと、まず高脂血症は内分泌代謝内科に行って薬を3種類出される。
高血圧も同じく循環器内科で3種類出される。糖尿病もこれまた3種類出される。
これに心不全でも薬を出されたら、あっという間に10種類を超えてしまうわけです。
薬を毎日10種類も飲むというのは、結構なストレスになります。

また、複数の薬を併用し、服薬すると、効果が強く出すぎてしまったり、好ましくない症状が出やすくなったりする可能性がありますので、飲み合わせには注意が必要です。
おトシヨリに必要なのは、体全体を診て「これでは薬が多すぎるから、必要なものから5種類選んであげるね」と言ってくれる診療です。
これを「総合診療」といいます。

残念ながら、総合診療をするドクターが未だに日本に根づいていません。
増えていってほしいのですが、今の大学病院の体質では恐ろしいくらい時間がかかりそうです。
ですから、もらった薬を言われるままに飲んでいたら、寿命を延ばすどころか、縮めてしまうかもしれません。
自分の体の調子をいちばんわかっているのは、あなたです。
薬を飲んでおかしいと思ったら、しっかりと話を聞いてくれる医師を見つける必要があります。

■「薬が合わない」「薬を減らしたい」と相談すればわかる
それでは、患者の話を聞いてくれる「良い医師」を見つけるには、どうすればいいのでしょうか。
まずは、薬について医師と話をしてみることです。
高齢者診療の基本は、個人に見合った診療をすることです。
70歳を超えたおトシヨリには、とくに必要です。
年をとるほど、体の状態や機能は、個人差がとても大きくなります。
たとえば同じ薬を飲んでも、効く人がいるいっぽうで、だるさやふらつき、眠気などの症状が出る人もいます。
おトシヨリの個人差が大きいことを知らない医師や、患者を観察していない医師にとっては、「正常値」に戻すことが正解だと考えるわけです。
こういう医師から処方された薬を飲み続ければ、明らかに体がダメージを受けてしまいます。

そもそも薬とは、「体調を良くするためのもの」です。
飲んで具合が悪くなるのであれば、薬ではなく、それは毒です。
薬をもらって、だるさやめまいなどの症状があったら、遠慮などせず医師に伝えましょう。
「変えてもらった薬ですが、飲むと頭がぼんやりして、だるくなるんです」と言ってみる。
「薬が合わなかったようですね」「量を減らしてみましょうか」「違った薬に変えてみましょう」と対応してくれるのであれば、良い医師です。
「かかりつけ医」として長く付き合っていけます。

反対に、「この薬はよく効くはずだから、がまんして飲み続けてください」と患者の訴えに取り合わない医師だったら? さっさと医師を代えましょう。
おトシヨリを診察する基本をわかってないヤブ医者です。
付き合えば付き合うほど、あなたの健康が蝕(むしば)まれていくことになります。

■病院との相性は、待合室でわかる
医師の技量も大事ですが、相性も大事です。
おトシヨリになれば、病院や医師はとても身近な存在です。
月に1回は通院し、医師と顔を合わせると思います。
診察のたびに暗い気持ちにさせられ、気疲れするような医師なら付き合わないほうがいいでしょう。
患者に嫌な思いをさせて気がつかないというのは、観察力がないとも言えます。
患者は顧客でもありますから、お金を払ってまで嫌な思いをする必要はありません。

病院は、具合が悪いから行く場所です。
真剣に病状を聞いてくれて、気持ちよく話せる医師のほうがいいに決まっています。
病院との相性は、待合室に入った瞬間にもわかるものです。
待っている患者さんが明るかったら、医師が患者さんとちゃんと向き合っているということです。
心理的なケアもしっかりできているから、患者さんが明るいのでしょう。

反対に、患者さんがどんよりと暗かったら、医師が血圧や血糖値を下げる薬を「正常値信仰」で出しているということです。だから、患者さんがヘロヘロになっている。
こういう病院は避けたほうがいい。
病院の待合室に入ったときに感じる、あなたの直感を信じていいのではないでしょうか。

■健康診断が長生きを邪魔している
毎年1回、会社の健康診断を受けていた人が多いと思います。
受けないとやいのやいのと催促される。
退職しても、その慣習が体に残っていますから、年中行事のように、年に1回は健康診断を受けている人もいるでしょう。
ここに、不可解な数字があります。
日本人の平均寿命が統計上初めて50歳を超えたのは、1947(昭和22)年でした。そのころの男女の平均寿命の差は4歳ほどでしたが、今は6歳に広がっています。

なぜ女性の平均寿命が大きく延びたのと同じだけ、男性はそれほど延びなかったのでしょうか。変だと思いませんか?
原因のひとつに「健康診断」があると私は思っています。法律で事業者に義務化されましたから、会社に勤務する人は、強制的に健康診断を受けていました。
一昔前まで健康診断を受けていたのは、圧倒的に男性が多かった。
その当時、女性は専業主婦になるのが一般的でした。
働くとしてもパートタイマーなので健康診断は受けません。
もし健康診断が長生きに役立つなら、男女の寿命は逆転していたはずです。
ところが、寿命の年齢差が広がってしまった。健康診断がその要因になっているのではないかと思います。

■健康な100人のうち5人は「異常」と判断される
健康診断の結果は、すべて基準値をもとにしています。
健康診断の基準値の決め方は1000人、1万人という健康な人を集めて検査します。
そして検査数値の平均値を挟んで95%の人を「正常」とし、そこから高すぎたり、低すぎたりして外れた5%を「異常」とした統計値です。
つまり最大で、健康な100人のうち5人が「異常」となるわけです。
しかし、もともと健康な人を集めた検査です。「異常」でも病気ではありません。

しかも、基準値のつくり方を見てわかるとおり、年齢を無視してつくられています。
健康診断の数値に一喜一憂するのは、バカらしいと思いませんか。
ただ、数ある検査の数値のなかでも、血圧や血糖値、コレステロール値、赤血球数などは、病気との因果関係が認められます。
「血圧を下げましょう」という指導が行われるのは、このためです。
しかし、どのぐらい下げるかは曖昧です。
かつては血圧150くらいでも血管が破れることがありましたが、それは日本人の栄養状態がとても悪かったころの話です。
現代では、動脈瘤がない限り血圧が200でも破れることはありません。
今のおトシヨリは、脱脂粉乳を飲んで育ってきましたし、その後も十分なたんぱく質をとっているので、血管は丈夫です。

ただ、仮に血圧が180で、頭痛や吐き気、めまいなどがあるなら、その人にとっては高いということです。
そのときは、血圧を下げる薬を出してもらいましょう。
異変がなく体調になんの問題もないのに、数値だけで「異常」と判断され、薬を飲み続けるというのはおかしいのです。

自分の体の状態に耳を傾けて、変だと思ったら薬を飲む。それが基本なのです。

■血圧、コレステロール値、血糖値は、ちょっと高めがいい
健康診断で「異常」「再検査」と指摘される数値は、コレステロール、血圧、血糖値が多いと思います。
そのためこれらの薬を飲んでいるおトシヨリも多いことでしょう。
薬を服用して血圧や血糖値を下げたりするのは、心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中のリスクを減らすためです。
実際に、健康診断の基準値どおりに血圧や血糖値を下げてしまうと、頭がボーッとしてしまうことがよくあります。
やる気も出ません。考えるのもめんどうになってきます。
このように、薬には副作用があることを忘れてはいけません。

こんな話を聞いたことがあります。80歳の男性は、毎月病院に行き、血圧やコレステロールの薬を処方されていました。
あるとき、娘さんが男性の家を片づけていると、押し入れに手をつけていない大量の薬を見つけたそうです。
その男性は、薬を飲んでいませんでした。
でも、娘に注意されるので、病院には律儀に通っていたのです。
娘さんが理由を聞くと、「薬を飲むと体がだるくなって、畑仕事ができなくなるから飲まなかった」と答えました。
薬を飲まなくても、血圧も血糖値もちょっと高めでも、元気に生活しているのですから、男性の判断は正しかったように思います。

■無理して薬を飲む必要はない
私は、この男性のように体に違和感を覚えて自分で調整している人が、少なからずいると思っています。
処方された薬を飲み続けることで、なんらかの不調を感じるのであれば、それをはっきり医師に伝えなければいけません。 「薬を飲むと調子が悪くなるので減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう。伝えない限り、医師は薬を出し続けますから、無用な薬にお金を払うことにもなり、無駄になってしまうからです。

じつは、血圧の薬を飲んだから長生きできるというデータが、日本にはないのです。
どの国でも、薬が効くかどうかを確かめるために、数万人単位の比較調査をします。
血圧なら、血圧をコントロールしたグループと、放置したグループのその後を何年もかけて、違いが出るかどうかを調査します。
しかし、日本人を対象にした調査は一度も行われていません。
データがありませんから、証明もできないわけです。
逆に、血圧を下げすぎている人のほうが、死亡率が高いというデータがあります。
血圧は、年齢を重ねるほど上がってきます。
年をとると、血管のなかが動脈硬化で狭くなってきます。
狭くなると血液の流れが悪くなり、血圧が高くないと脳に十分な量の血液を送ることができないからです。
昔は、最高血圧の基準値は「年齢+90」と言われていました。
私は、これは当たっていると思います。昔の人の知恵は侮れません。

血圧は一日のなかで大きく変動します。ですから、高かった、低かったと一喜一憂する必要はありません。
ただ、ずっと200を超えるようならば、ほかの病気が生じる危険がありますから、病院へ行く必要があります。

■70歳をすぎたら健康診断を受ける必要はない
同様に、コレステロール値の基準も、世界基準より低い設定のために、日本では健康診断で「異常」とされる人が多くいます。
じつは、血圧と同じで、コレステロール値が高めの人のほうが長生きするというデータがあります。
なぜなら、コレステロールは、男性ホルモンをつくる大事な材料なのです。
それをわざわざ薬で減らせば、元気がなくなるのは当然です。
免疫細胞の材料でもありますから、免疫機能の低下も招いてしまい、がんになりやすくなる可能性もあります。
このように、健康診断の数値は健康を守ることから大きくズレているのです。
私は、70歳をすぎたら、もう健康診断を受ける必要はないと考えています。

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和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医
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2023年03月25日

「7時間睡眠がベスト説」を疑ってみる

「7時間睡眠がベスト説」を疑ってみる
2023年03月24日 ダイヤモンドオンライン

飲酒は? 喫煙は? 肥満は? ストレスは? 本当に脳に悪いこと、いいことは何だろう?
脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師は『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』で、現代人の願いである健康長寿を脳から実現するノウハウを提案する。

認知症にならずに体も長持ちさせるためには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。
本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な生活習慣とは?

■理想の睡眠時間は7時間でいいのか?
 7時間くらい眠れば健康的と思っている人が多いと思います。
それは数十万人とかのレベルで睡眠時間を調査して、死亡率が低いのは7時間くらい眠っている人だったという調査結果から得た情報が広まっているからです。
 でも実際に目の前の人が何時間眠ったら長生きできるかというのは、正直なところよくわかりません。
4時間眠れば十分という人もいるし、9時間以上眠らないと足りないという人もいるわけですから。

 私は毎日5時間くらいしか寝ていませんが、4時間でも足りるかもしれないと思っています。
5時間睡眠では少ないのではと思う人が多いかもしれませんが、5時間眠ると自然に目が覚めて、起きてすぐのときが1日のうちでもっとも集中力が高まっているのを実感しています。
その後は時間の経過とともに集中力が落ちてきて、夕方以降は脳のパフォーマンスが落ちてきたことを感じます。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。
この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)
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2023年03月26日

「コンプレックス」を武器に変える、たったひとつの考え方

「コンプレックス」を武器に変える、たったひとつの考え方
2023年03月25日 ダイヤモンドオンライン

「見た目は変で、しゃべりも下手、お笑い芸人としての才能もない」と思いこみ、コンプレックスのかたまりだったスリムクラブ・内間政成さんは、そんな自分を人に知られないように、自分の本心を隠し、見栄を張って、いつわりの人生を送ってきました。
しかし、それはどうしようもなく苦しかった。自分で自分を否定しているようなものですから。
ある出来事をきっかけに、内間さんは自分自身と向き合い、自分という存在を少しずつ受け入れられるようになっていきます。
その結果、何が起きたのか。今まで自分の欠点だと思い込んでいたことが、そうじゃないことがわかってきました。

自分の欠点を「欠点だ」と決めつけているのは、他の誰でもない、自分自身だったのです。
「僕はカッコ悪い」「僕は人をイラつかせる」「僕は恐れ過ぎている」「僕はすぐ調子に乗る」「僕は怠け者」と、自分の欠点をさらけ出せるようになった内間さんはいま、ストレスフリーの時間を楽しそうに生きています。
そんな内容の詰まった本が、内間政成さんの書籍『等身大の僕で生きるしかないので』です。
無理やり自分を大きく見せるのではなく、等身大の自分を受け入れれば、人生は好転する。そのためのヒントを本書からご紹介します。

■自分の頭にコンプレックスを持っていたけど、今は愛されたり、自分の武器なんだと気づいた
 僕の顔は、男前とまではいかないですが、悪くはないと思っています。
相方から「たまに朝、超男前だよな」と言われたこともあります。
僕も感覚的にはそう思います。
それは、恐らく睡眠が充分で湿度と気圧がマッチしたときなのでしょう。
それと、支援者には「顔のパーツはいいんだけどな」とも言われたこともあります。僕も感覚的にはそう思います。

ただ、器と盛り付けが合ってない気がします。
大皿にカツ丼を盛り付けているような。
 パーツでの自慢は、パッチリお目々と鷲鼻です。
僕のパーツを見て、誰かに似ていると思いませんか?
また怒られると思いますが、それは、元AKB48の篠田麻里子さんです。
僕がショートカットのカツラを被り、メイクをしたら彼女にそっくりなのです。
以前、モノマネ番組で彼女のモノマネをしたら、僕のブログのコメント欄が大変なことになってしまいました。
殆どの方の「真似しないで!」「ストレスたまる!」「謝れ!」とのクレームのコメントでした。
でも、ある方だけは「オレは指名するかも」と称賛していました。

■僕のコンプレックスが、ずる剥(む)け状態になった
 僕の顔は、小1までは丸顔でした。
でもなぜか、小1から徐々に頭が伸びていったのです。
具体的にいうと、耳から上がです。そのときくらいからです。自分の顔が好きではなくなっていったのは。
毎日、鏡でチェックしていましたが、いつも、なんか、昨日より伸びている気がするのです。

成長期だったのでしょうか。
人間の体には全てに意味があり、何かから守るために発達する部分があると聞きますが、僕の頭部の伸びは、一体何から守るというのでしょうか。
 そんな悩みを抱えていたときに、体育の授業がありました。
その授業で、僕は衝撃を受けました。それは、全員赤白帽を被るのですが、僕だけ被ってないのです。帽子はありますよ。それでも被ってないのです。
それは、ちょこんと頭に乗っていたのです。
頭部の長さのせいです。
人間は、皆平等ではないのですか?
その日から体育の授業では、一応帽子を被りますが、いや、乗せますが、帽子が苦手になりました。

 そんなコンプレックスを持った僕は、中1になっていました。
僕の通っていた中学は、元々校則が丸刈り(中2からは長髪OKになる)だったので、嫌でも僕のコンプレックスが、ずる剥(む)け状態でした。解決策などありません。
僕は、時が解決してくれると、根拠のない想いだけで生きるしかありませんでした。

 そんな中で参加した中2のバスケ部の地区大会。そのときは、校則も長髪を認められていましたが、バスケ部は、大会前には気合を入れるために丸刈りにしなければなりませんでした。
それを見た万年丸刈りの野球部からは、「特権を自ら放棄している大馬鹿野郎ども」と罵られたものです。
 その大会で、僕が試合前のウォーミングアップをしていると、他校の女生徒が数名キャーキャーと騒ぎながら、僕をわざわざ見に来たのです。
ファン!?
ちなみにウチのチームは強く、僕も有名選手の1人でした。ドキドキしました。

僕のプレーを見に来たのか? それとも僕自体を? どっちだろう? とソワソワしながら、普段はしないスリーポイントシュートを打っていると、1人の女生徒の声が聞こえてきました。
「嘘ー! 本当だー! 似ている! トモゾウに!」と。それから、何度もハッキリと聞こえてきました。
トモゾウ。友蔵とは、ちびまる子ちゃんのおじいちゃんのことです。76歳です。僕は14歳。
友蔵は好きですけど、憧れてはいません。
ただ、あまりにも行き過ぎた結果に、自分でもおかしくなり、笑えてきました。

■自分の等身大以上の物を求めるから、コンプレックスを持ってしまう
 人はそれぞれ、自分の容姿にコンプレックスがあると思います。
それは、自分しか分かりません。
あんなイケメンが、そこを気にしているの!? と驚くこともしばしばです。
それは、僕は、自分の等身大以上の物を求めるからだと思います。

 等身大以上とは、もはや自分自身ではありません。
そして、等身大の自分の、自分なりの欠点から来る結果を、決め付けないことです。
僕の場合は、自分の容姿が変で笑われたらどうしようと思っていました。
つまり、「笑われた」とは、「馬鹿にされた」と思っていたのです。
果たしてそうでしょうか? 僕もそうですが、人は面白いと思ったときに笑うものです。
そこに、「馬鹿にされた」は微塵(みじん)も入りません。要するに、笑いを提供したのです。
素晴らしいことではありませんか?

 僕は、芸人を始めてから、自分の顔で笑いを提供しているという想いが強くなりました。
ある先輩が僕の顔を見て「騙(だま)し絵みたいやなー!」と言って笑いを取りました。
そして、それをヒントに相方がネタで僕に、「あなた、顔、逆さですよね?」と言って笑いを取りました。
何という僕の才能ではありませんか?
僕は、自分の顔は最強だと思っています。

■内間さんは、もっと沖縄訛りで頭がトンガっているよ〜!
 ある日、焼き鳥屋のカウンターで飲んでいると、隣で飲んでいたおばちゃんと話すことになりました。
話していくと、どうやらスリムクラブのファンらしいです。
僕は、心の中で「おばちゃん、あなたの好きなスリムクラブは目の前にいるよ〜!」と思いながら、ここは本人登場で喜んでもらおうと、「実は僕、スリムクラブの内間なんです」と、告白してみました。
すると、おばちゃんは笑いながら、「似ているけど全然違うね〜!」と言ったのです。
え!? どこが違うの!?
更におばちゃんは、「内間さんは、もっと沖縄訛りで頭がトンガっているよ〜!」と陽気に言ってきたのです。
 はぁは〜ん。恐らくキャップを被っているからだと思い、キャップを脱いでトンガっている頭を強調させてみると、おばちゃんは大笑いしながら「内間さんは、こんなもんじゃないよ〜! もっとトンガっているよ〜! あんた面白い子だね! 名前は何と言うの?」と、聞かれる始末でした。

そのときもう僕は諦めて、「内間」だと名乗ると、おばちゃんは「あんたも内間と言うの!? 意外と内間って多いんだね〜!」。
その後、おばちゃんと仲良くなり、僕と「内間」の話題で盛り上がりました。
 まさか、そんな展開になるとは思いもしませんでした。
でも、面白いじゃありませんか?
それも僕の顔のおかげだと思います。
そして、特権だと思いました。

僕のように容姿に悩みを抱えている方に伝えたいことは、できる限り面白く捉えて生きてみませんか? ということです。
でも、無理をして思考を変える必要なんて要りません。
ただ、自分の容姿の好きなところを一つ見つけてみませんか? それができると、少しウキウキ気分になるでしょう。
 今でも僕は、トンガっている頭を完全に好きだとは言えません。
でも、以前よりは気楽にディスプレイできるようになりました。
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2023年03月27日

親が子に伝えたい勉強の話

親が子に伝えたい勉強の話
2023年03月26日 ダイヤモンドオンライ      ン

韓国で50万部の超ロングセラーが発売から7年、いよいよ日本に上陸。
韓国で社会現象を巻き起こした『勉強が面白くなる瞬間』。
この本を読んで、学生の98.4%が「勉強をしたくなった」と証言!
なぜ、勉強をしなかった人たちが勉強に夢中になるのか。
10代〜70代の世代を超えて多くの人が共感。そこにノウハウは一切ありません。
ただ、この本を読んだ人にはわかることでしょう。
執筆に8年かかったとされる『勉強が面白くなる瞬間』から、その驚くべき内容を紹介する。
今回は、『おうち遊び勉強法』の著者・ぎん太氏とお母さまにインタビュー。
『勉強が面白くなる瞬間』は、韓国の進学校に通う生徒の必読書といわれている。この本がどう映ったか、現役の開成高校生と親御さんに聞いてみた。

■勉強は成績を上げるためにするんじゃない
――私自身、パズルをやることがありますけど、無心になれる効果があると実感しています。
『おうち遊び勉強法』でも紹介されていましたが、パズルは勉強に効果的でしたか?

ぎん太 
僕は忍耐力はないんですけど、集中力はあります。なぜ集中力があるのか考えてみると、スポーツや遊びに集中した経験が生きているのだと思います。
上の弟はパズルが大好きで、長時間夢中でやっていました。
 勉強やテストに長時間ミスをせず集中して取り組めるのは、小さい頃、遊びやパズルで身についた集中力が勉強でも生きているからだと感じています。

――子が集中しているとき、親が中断させるのがよくないという話を聞きます。

ぎん太母
 遊びに集中していたとしても、少しは待ちますが、「帰るよ」「ご飯だよ」「寝るよ」という場面では普通に中断させます。

ぎん太
 やめさせられても、悔しいので後でやります。
邪魔されて集中が途切れても、「面白い」「やりたい」と思っていればまた始めるし、集中できますしね。

――語彙力を増やすために意識したことはありますか?

ぎん太母
ええ 赤ちゃんのとき、まず教えたのは身体の部位です。
それから「痛い」「熱い」「冷たい」「暑い」「寒い」「かゆい」などの身体の感覚。病気やケガなど、私やお医者さんに病状を伝えられるようにと思って。
それから感情や状況を説明する言葉に気をつけました。
 ぎん太が幼い頃、マイナスの感情を全て「嫌な気持ち」と言っていました。「嫌だった」ことは伝わるけど、「悲しい」のか「悔しい」のか……「さみしい」「羨ましい」「理不尽だ」「腹が立つ」「失望してる」など、どう嫌なのか、子どもの気持ちが知りたかったし、私が見ていない間に何が起こったのか説明して欲しかった。
だから、語彙力をつけるように意識していました。

ぎん太
 僕は四字熟語や慣用表現、それを知ったら、すぐ使うようにしていました。
とにかく使うことで、習慣になっていったと思います。
 使っていると、身につく。語彙力を伸ばすには、実際に使って、自分のものにするしかないですからね。

――語彙を増やす一方で、絶対に言わないと決めていた言葉はありますか?

ぎん太母
 本人の好きなことや、やりたいことを止めたり、否定したりする言葉は絶対に言わないようにしていました。
 ぎん太が「俺、バンドマンになる!」と言ってきたとき、夫は「えっ……『勉強したいから開成に行かせてくれ』と言っておきながら、バンドマン?」と言いかけましたが、「全力で応援するから、そのために今、何をすればいいのか一緒に考えよう」と答えました。
 本人はジョークだったみたいですが、「ダメ」とか「無理」といった言葉は言いませんでした。
私は子どもの頃「獣医さんになりたい」と言ったとき、親に「あんたなんかになれるわけない」と言われて一気に勉強に対してだけでなく、人生に対してもやる気を失ったことがあります。
自分の子どもには同じ思いはさせたくないので、これからも何をしても、応援しようと思っています。

――「死なせない」という子育ての目標も印象的でした。

ぎん太母 
 子どもを産んでから「生きててよかった、幸せだな」と思えるようになりました。
子どもたちをいっぺんに失ったら、次の日自分も死ぬだろうと思います。
幸せをくれて感謝しているから幸せにしてあげたいし、絶対に私より先に死なないで欲しい。
何をするにも、その考えが軸になっています。

ぎん太 
「生き延びるチャンスを増やすには……」と教えられることが多かったので、自分が後輩などに何かを教えるときにも極端に悪い例えを出してアドバイスすることが多いみたいで、「教え方が独特」と言われることがあります。
母の影響かな(笑)

ぎん太母
 小学3年生のとき「何をしているときが1番楽しい?」と、お友達のお母さんに聞かれて、「本を読んでいるときが1番楽しい。
楽しいだけじゃなくて身についた知識のおかげで危険な目に遭ったときに助かるかもしれないから」と答えていたんです。  同じように勉強したいという思いに繋がったのだと思います、勉強は成績を上げるためにするんじゃなくて、より良く生きるためにするのだと理解していました。
勉強も読書もスポーツも、すればするほど武器が増えていくイメージです。
みなさんにもそう思って欲しい。最強の装備を身につけて生き抜いて欲しいです。

――親の思いが子に伝わっているのでしょうか。

ぎん太
 『勉強が面白くなる瞬間』の最後の章はよかったですね。
親が子に対する思い、わかるようでわからない。
けれども、親がどういう気持ちか、わかった気がします。
まるで、僕のために言ってくれているように感じました。
 僕に対する両親の想いを、これからはかみしめて生きていかなければと思いました。

ぎん太母
 なぜ『勉強が面白くなる瞬間』がベストセラーになったのかわかる気がします。
親が子に伝えたいことが詰まってると思いました。
 昨夜、『勉強が面白くなる瞬間』の感想を話し合っていて、「ぎん太は中学に入ってから何年も、授業中もゲームしたり居眠りしたり、課題出さないし、夜中まで友達とおしゃべりしてゲームして遅刻しまくってた。
ぎん太が毎日遊んで暮らしているそのお金は、パパがプライドを傷つけられて理不尽に耐えて、家に帰れず時間を切り売りして稼いだお金だね。
ぎん太は半月も休みなしで、1日14時間も働いてるパパのことをどう思う?
パパは自分1人のためだったら、こんなに大変な仕事しなくてもいいのに、家族のためにずっと働いてる。
ぎん太は昨日2時間勉強して『今日すっげー頑張った!』って言ってたけど、1日14時間「ぎん太は頑張ってる」って信じて頑張ってるパパのこと、どう思うの?」って、泣きながら聞きました。 ぎん太 「マジで勉強しようと思う」って言いました。言葉では理解していたけど、本を読んで話し合って、身に染みました。
「あのとき、こうしていれば」って考えている暇があるなら今すぐやるべきだと思いました。
 この本は、勉強へのモチベーションを上げてくれる内容なので、その日の勉強を始める前に、または朝、自分を鼓舞するために読んだらいいんじゃないかなと思います。

    (取材・構成/編集部 武井康一郎)
(本原稿は書籍『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』をベースにした、インタビュー記事です)
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2023年03月28日

学びをそれっぽい一般論で終わらせない方法

学びをそれっぽい一般論で終わらせない方法
思考停止をやめて2ミリの差分を積み重ねる
荒木 博行 : 学びデザイン社長
2023/03/27 東洋経済オンライン

昨今の激しい市場環境の変化や、長寿化によって職業人生が長くなることにともない、リスキリングが注目されている。
商社の人事部で、個々人のキャリアアップについて考え、ビジネススクールで教鞭を執り、数々のビジネスパーソンの悩みに耳を傾けてきたVoicyの人気パーソナリティでもある著者が、「知」を消費するのではなく、自分の一部とする独学について語る。
「今、何か学んでいることはありますか?」
もし、あなたがこんなことを聞かれたらなんと答えますか。
ちょうどスクールのような場所に通っているような方であれば、胸を張ってそのスクールの名前やそこで教えられている学問の名前を答えるかもしれません。
もしくは、オンラインコミュニティに参加している方であれば、そこでの主要テーマを答えるかもしれません。

もちろん、そういった明確な目的があり、誰かが設計したカリキュラムがあるような場は「学び」としてすぐに想起しやすいでしょう。
しかし、実は私たちが多くのことを学んでいるのは、日常の些細な場面です。
平凡な一日こそが、貴重な「学び」の場といえるのです。

その学びは本当に知らなかったことか?
では、ここで言っている「学び」の定義とは何でしょうか。
それは、一言で言えば「経験の前後の差分」です。
つまり、とある経験をする前の自分(A)と、その後の自分(B)の差分(BーA)こそが「学び」の正体に他なりません。
それを聞けば、何ら意外性はなく、まあその通りだと感じるかもしれません。
しかし、この新鮮味のない学びの定義も、実践の現場ではそれほど当たり前ではありません。

ビジネススクールや研修の現場などで多くの方と接していて感じた実感知として、多くのケースで、前後の差分のないものを「学び」と言ってしまっているからです。
たとえば、もし身近にセミナーや講演に参加した人がいれば、「そのセミナーで何を学んだの?」と聞いてみてください。
おそらく、大半のケースは、その参加者がセミナーを受ける前から知っていたはずの内容を語るはずです。
たとえば「組織には心理的安全性が大事だってことを学んだ」とか「DXができない会社は負けていくんだよね」とか……。 そんなことをどれだけ熱く語っても、先ほどの「経験の前後の差分」(BーA)という定義に照らし合わせれば、その内容は「学び」ではありません。

なぜならば、その回答は単なる(A)、つまりセミナーに参加する前から知っていたことだからなのです。
一般論で片づけては、何も見いだせない もちろん、そのセミナーから何も学ばなかったはずはありません。経験したことには必ず差分が発生していたはずです。
しかし、このような凡庸な「学びもどき」が出てきてしまう背景の一つには、「それっぽい一般論」の力があります。

たとえば、事例に挙げたような「心理的安全性」とか「DX」のような「それっぽい一般論」は、私たちを何か学んだ気にさせてくれる力があります。
そして、それと同時に、本来私たちが追求しなくてはならない「差分」の追求の動きに蓋を閉じてしまうのです。
もし私たちが何かを学ぼうと思うのであれば、このような「それっぽい一般論」をそのまま放置してはなりません。
そういう一見きれいでまとまった言葉を排除して、知的な負荷をかけながら、「自分にとって」何が新しい発見だったのか、ということを突き詰めていく必要があります。

ポイントは、隣の人が絶対語れないこと、昨日の自分が語れないことを探すこと。
つまり先ほどの経験を経て、今この瞬間の自分だけしか語れない具体論は何か、ということを削り出していくのです。
この「自分だけの具体論」というのは、おそらくいろいろな前提条件がついた形となり、それほどキャッチーでもなく、無骨な言葉になるはずです。でもそれでいいのです。それこそが、経験から抽出される学びの本質なのです。
そして、この過程を丁寧に重ねていくことで理解することは、「大きな学び」というものはたいてい幻想にすぎない、ということです。

もし私が新入社員で、職場に配属された初日だったとしたら、目にするもの全てが学びになるでしょう。
初日はその学びの大きさに圧倒され、疲労困憊したはずです。
しかし、同じ仕事を10年続けていたとしたら、一日の学びはどれくらいでしょうか。
おそらくほとんどが既知のことで、学びはほぼ存在しない、と言ってもおかしくありません。

つまり、ここまで長い人生経験を積んできた人にとっては、真に新たなことを経験できる機会は少なく、ほとんどの瞬間が既知の枠内だということも言えるのです。
どんなに素晴らしい経験をしたとしても、所詮は誤差の範囲。

「前後の差分」という意味における学びというのは大きくなりようがないのです。
学びは些細な2ミリの積み重ね しかし、たとえそれが「大きくならない」とか「誤差の範囲」であっても、「まったくない」ということではありません。
似たように見えて、一日一日は異なり、一瞬一瞬のその経験には必ず何かの変化があります。
つまり、まったく同じ経験があり得ない以上、どれだけ小さくとも必ず学びを生み出す「差分」を見いだすことはできるのです。
私はそのニュアンスを伝えるために、「2ミリの学びを削り出せ」という言葉を使っています。

「2ミリ」というのは当然比喩ですが、本質的な学びというのは、それくらい些細なことだということです。
大仰な言葉で既知の感想を並べるのではなく、些細だけど具体的な学びを重ねていく。
成長というものは、このように「塵も積もれば山となる」という慣用句のごとく、日々の2ミリ程度の学びを積み重ねていくことに他ならないのです。
しかし、いつでも「2ミリの学び」を削り出せるわけではありません。
学びを拒否してしまう心境というのは誰にでもあります。
そういう際には無理して適当な言葉にして取り繕うのではなく、一時の感情によって学びを変質させないための行動が必要になります。

その点を補足しておきましょう。
皆さんには、感情がネガティブに振れるような経験をしたことが少なからずあるでしょう。
たとえば、イベントがとてもつまらなかった、とか、見た映画のクオリティが低かった、とか。ライバルと思っていた人のプレゼンテーションがとても良くて嫉妬の感情が湧きあがった、といった経験もあるかもしれません。

本来、このような経験こそ、「前後の差分」をしっかり削り出して、次につなげたい場面です。
しかし、そのような経験は、得てして「あんなプレゼンは大したことない」とか、「自分はなんてダメなんだ」という極端な感情論に終始し、示唆が得られない可能性があります。
感情が高ぶるような経験、特にネガティブな感情に囚われるくらいの大きな経験は、「前後の差分」の宝庫です。
しかし、それは心のあり方として学びを得るのにふさわしくありません。
感情が学ぶことを拒否して、2ミリ単位の微妙で繊細な「前後の差分」を削り出すことまで至らないからです。

ノイズを減らす「寝かせる」ことの効果 ではどうすべきなのでしょうか。
常に余計な感情を取り除いて、クリアな頭で学びに向き合うことができればそれに越したことはないのですが、人間はそんな器用ではありません。
そんな中でノイズを低減させるには、経験と学びの間にインターバルを作ることが重要です。
つまり、あえて一拍(もしくは数拍)置くのです。
しかしインターバルを空ければ、その経験の瑞々しい記憶が薄れてしまいます。

そこで、私がおすすめしたいのは、その経験についての事実を描写して残しておく、ということです。
イベントに参加したのだとしたら、その時に起きた出来事を丁寧に描写しておくだけにとどめる。
本を読んだのなら、そこで重要だと思った箇所を抜き出すだけにしておくのです。
そこからの「経験前後の差分」という解釈は、その時点では保留状態にしておく。
そして、感情が抜け落ち、その経験の意味を深く考えられるような環境になった時に言葉にすればいいのです。

コラムの冒頭で、平凡な一日こそ貴重な学びの場だというメッセージをお伝えしました。
その意味するところは、つまり、講師がいなくとも、カリキュラムがなくとも、経験の前後に発生した些細な差分を削り出すことができれば、その経験は学びの場になる、ということです。

そして、皆さん自身も、この章を読む前と読んだ後で、「2ミリの差分」は生まれているはずです。
その正体は何か。それを「自分だけの具体論」で表現してみましょう。
そうすれば、この「差分」を通じた独学の意味がより理解できるはずです。
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2023年03月29日

今すぐできる2つのインフレ対策

今すぐできる2つのインフレ対策
2023年03月28日 ダイヤモンドオンライン

ここ30年間、日本人の給料はほとんど上がっていない。
しかし物価もほとんど上がらなかったから、我々は呑気に過ごすことができた。
茹でガエル状態というやつだろうか。

ところが2022年からインフレの波が止まらない。
食費も燃料費も信じられないくらいどんどん上がっていく。
このままでは日本人は飢え死にしてしまうのか?
いや、こんな時代でもお金を稼ぐ方法はあるはずだ。
話題の書『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』南 祐貴(セカニチ)から、不遇の時代をたくましく生き抜く知恵を学びたい。

■不安に付け込まれるな
このまま日本人は絶望するしかないのか? 答えはNoだ。
今すぐできるインフレ対策を2つ教えよう。

対策@投資をする:株・投資信託・不動産などに投資。
 価値が落ちるかもしれない日本円だけを持ち続けるのは危険だ。
強い企業(Apple、Microsoft)は下げ相場でも下がりづらく、上げ相場では強い上げを記録する傾向が強い。

対策Aインバウンドで稼ぐ:外国人向けビジネス。
 宿泊、ガイド、コンサルなどで、外国人だけをターゲットにする。
英語は重要だ、まだ間に合う。
外資系企業に転職することも解決策の1つ。

「円安の危機!」など、テレビで不安なニュースが増えると不安な気持ちになる人が多い。
生命保険会社の営業マンはその不安を利用して、要らない商品をあなたにオススメしてくる。

結論、外貨預金・外貨建ての商品は要らない。
FP(フィナンシャルプランナー)や生命保険会社が儲かるだけだ。
 アメリカ経済が強く、ドル高・円安が進行しているならアメリカ株に順張りをするだけ。
 FX(外国為替)でドルを買うべきか? と聞かれるが、FXは絶対に手を出してはいけない(ギャンブル取引をする人が多いので)。
 年収1億円のゴールドマン・サックスのトレーダーでも為替は予測不可能。
FXは投資の本質ではないので絶対に推奨しない。

 私たちは上記の対策で王道をいこう。
正しい対策をすれば、円安・インフレでも豊かに暮らせる。
心豊かなお金持ちになろう。
(本稿は、『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』南 祐貴(セカニチ)より一部を抜粋・編集して構成しました)
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2023年03月30日

そもそもすべての医療費は「自己負担ゼロ」にできる…「コロナ治療の有償化」に現役医師が反発を覚える理由

そもそもすべての医療費は「自己負担ゼロ」にできる…「コロナ治療の有償化」に現役医師が反発を覚える理由
2023年03月29日 プレジデントオンライン

■ツイッターで「自己負担」がトレンド入り
やはり「医療費の削減」、それが目的だったのだ。
新型コロナウイルス感染症の感染症法における位置付けを、5月8日以降、現行の「新型インフルエンザ等感染症」(ちまたでは「2類」と言われるが正確ではない)から、季節性インフルエンザと同等の5類感染症へと見直す方針を決めた岸田政権。 コロナの治療費や検査費用の自己負担について、方針決定当初の1月末時点では、患者に急激な負担増が生じないよう期限を区切って公費負担を継続していく方針を示していたはずだが、3月10日に示された医療提供体制の見直しでは、外来においては原則通常の保険診療に切り替える(コロナ治療薬の費用等を除く)とされたのだ。

つまり「コロナ5類化」とは、医療機関の負担軽減やら発熱者の受け皿を増やすためやらと、いろいろなメリットが喧伝されたが、けっきょくはコロナにかかる医療費を減らすこと、すなわち「公費の削減」が主たる目的であることが、これでハッキリしたということだ。 この政府の方針がメディアによって明らかにされた3月1日、ツイッターでは「自己負担」がトレンド入りし、さまざまな声がタイムラインにならんだ。

■「払えない」「当然」…
なぜ世論が二分されているのか 「しばらくは無料で段階的にと言ってなかったか? 話が違う」「これで軽症の人は検査しなくなって野放し、コロナを広めたいのか」「無理……払えない」「自分の身は自分で守れってか、自己責任か」「ますます弱者はつらくなる」という懸念を示す意見がある一方で、 「当然」「やっとか」「1年遅いわ」「コロナもやっとカゼになったな」「これで医療機関も検査で儲けられなくなったな」「税金のムダ使いがこれでなくなる」 という歓迎の声も少なからず認められた。

このように「自己負担」については賛否両論、文字通り「世論が二分」されているわけだが、これはいったいどういうことであろうか。
まず否定的意見について考えてみよう。
この3年間コロナについての医療費は公費負担だったと言われるが、それはどういうことか。
それは抗原検査やPCR検査、そしてこれらが陽性と判断された場合の治療にかかる費用が公費負担であったということだ。
つまり発熱して発熱外来を初診した場合に発生する初診料、そしてその医療機関が講じている感染対策にかんする診療報酬部分については、個々の受診者の自己負担割合に応じて窓口負担は、これまでも求められていた。
一部の人にはこの点について誤解があって、「コロナは全額公費負担と聞いていたのに、窓口で実費を請求された」と言う人も見受けられるが、あくまでも公費負担は検査とコロナの治療の部分だ。

■今後は診療報酬分+検査費用も負担に
医療機関の機能によっても若干異なる場合があるが、ある診療所で例えれば、「初診でコロナPCR検査、処方箋発行」を行った場合、診療報酬点数上はトータル1762点(10割負担で1万7620円)。
現行ではこれらのうち、検査に関係する部分である850点(同8500円)が公費、すなわち残りの912点(同9120円)分は保険診療として、自己負担割合に応じた窓口負担が請求される。
つまりこの場合、3割負担の人であれば、現行でも2736円の支払いとなっている。
「5類化」後は、これにさらに検査にかかる費用の自己負担分が上乗せされる(※1)となれば、「無理……払えない」という声、軽症者が受診しなくなることで感染が広がるとの懸念は容易に理解されるだろう。
いや、軽症者でなくとも、この窓口負担を支払えない人は、検査を控え受診を我慢し、自宅で重症化するまで、あるいは死亡するまで発見されないという事態さえ引き起こしかねないともいえよう。
※1:診療報酬点数トータル1762点(10割負担で1万7620円)の内訳は、院内トリアージ実施料300点(新型コロナの疑い患者について、必要な感染予防策を講じた上で実施される外来診療を評価するもの)と診療・検査医療機関への上乗せ加算147点(発熱外来設置を評価するもの)が含まれているが、これらは「5類化」に向けて順次算定されなくなることが予想される(現在、中医協で議論中)。
よって、912点にそのまま検査点数が上乗せ加算されることはないと考えられる。

■医療機関が公費で大儲けしたと感じる人も
では、窓口負担増を歓迎している人は、いったい何に期待しているのだろうか。
これらの意見を見渡すと、まず「コロナを特別扱いしなくなる」ことを第一に歓迎しているようだ。
「コロナはカゼ」「そもそもコロナなど存在しない病気」「コロナはPCR検査が作り出したもの」といった非科学的な意見さえも散見される。
そこから「コロナは特別な病気ではないのだから、公費を投入することは間違いである」という意見につながっていくようだ。
また一部の病院が病床確保料を不正に受給していたことを非難しつつ、コロナ禍によって医療機関が公費で大儲(もう)けしたと感じている人もいるらしい。窓口負担増によって「医療機関が検査で儲けられなくなる」「税金のムダ使いがなくなる」という意見の背景には、自己負担増に対する不満以上に、医療機関への不信感と怒りが存在しているのかもしれない。

しかし冷静に考えてみれば、窓口負担増によってダメージを被るのは医療機関ではないことは明白だ。
いや被害を受けるのは、医療機関のユーザーである患者さん自身だ。
とくに低所得者ほど、その打撃は大きいものとなる。

■そもそも窓口負担は本当に必要なのか?
政府はこれまでも、個人に自己負担を課すことで国民の受療行動や医療費支出をコントロールしようとしてきた。
かつてはゼロであった高齢者の窓口負担を徴収することにしたし、大病院にかかる場合に紹介状がないと自己負担額を上乗せするという施策も行った。
さらに最近ではマイナ保険証を使わない者へのペナルティー加算もあり、すべてこれに当たる。

そもそもコロナに限らず、医療機関における窓口負担は当然のものなのだろうか。
3割負担の人の場合、窓口で支払わない7割部分についても、すでに保険料や税金で納めているのであって、医療にかかる多くの費用は自分の財布から出ているカネだ。
なぜこの上、窓口でさらに支払わなければならないのか。

医療機関の窓口で実費を支払うとなった場合に、もし手元に余裕がなかったら受診を躊躇せざるを得ない場合もあるのではないか。
病気やケガという“危機的事態”に、財布の中身と相談せねばならない現状は、アタリマエのこととして受け入れねばならないことなのだろうか。
あまりにも制度として定着しすぎているがゆえに、知っている人のほうが今は少ないかもしれないが、国民皆保険制度が達成された1961年当時は、被用者本人の自己負担は0割であった。
その後、行政改革、構造改革という「改革」の美名の下に、そして社会保障費の増加を口実として、84年には1割、97年に2割、03年から3割と段階的に増やされてきたのだ。

■公費負担では医療資源の使い方が歪んでしまうのか
また「日本では少ない自己負担額で良質な医療を、いつでも、どこででも受けられる」と聞かされつづけていると、この3割でも「少ない自己負担」と思ってしまう人もいるかもしれない。
しかしヨーロッパなど世界に目を向ければ、英国やドイツなど窓口負担ゼロという国も、じつはまったく珍しくないのだ。
今回の5類への見直しにあたって千葉県の熊谷俊人知事は自らのnoteに、現行のコロナ治療にかかる公費負担について、一定期間は公費負担は必要かもしれないとしつつも、「全額公費負担によって医療資源の使い方が歪(いびつ)になっている側面があるのは事実」と述べ、公費負担を外すことは「限られた医療資源を最大限に活かす」ことになるとの見解を示している。

熊谷知事の言う「医療資源の使い方が歪」というのが、コロナだけに全額公費負担している状況が歪んでいて、そもそもすべての医療は窓口自己負担が課されるべきでないとの意味であればまだ理解できるが、文脈からはそうは読み取れない。
医療資源は有限なのだから、通常の医療と同様にコロナにも窓口自己負担を課して当然という意味であることは明らかだ。

■「一億総窓口負担ゼロ」はその気になればできる
たしかに医療資源すなわち財源は無限ではない。
しかし窓口負担分にかかるカネはそんなに莫大なものであろうか。
厚生労働省の2020年「国民医療費の概況」によれば、国民医療費約43兆円のうち患者等負担分は約5兆円だ。
これは岸田政権が目指す防衛費倍増計画のうち、2023年度予算の防衛費とほぼ同規模、つまりその気になれば工面できる金額なのだ。
もちろんそのすべてを国に求める必要はない。
紙幅も限られているので詳細を知りたい方は以下のサイト(※2)をご覧いただきたいが、その財源は国と事業主とでのワリカンでも解決し得るのだ。
※2:医療費の窓口負担「ゼロの会」 つまり「一億総窓口負担ゼロ」は、まったくの夢物語ではないということだ。
事実、窓口負担ゼロを実現させようという声は、患者団体だけでなく、今や著名人からも上げられてきている。
国民にとっての優先順位が何かを理解し、“その気になれる政権”であれば、今すぐにでも実行できるレベルの政策といえるだろう。

■これを機に国民的議論を始めてはどうか
窓口負担ゼロのメリットは、受診控えがなくなるというだけではない。
医療機関における金銭の授受が削減されることから、未収金回収や窓口でのトラブルといった受付業務の負担軽減にもつながる。
一方、デメリットとしては、自らの懐に痛みの実感がわかないことから、不要不急の受診を誘発し医療費を高騰させるのではないかとの指摘もあろうが、それは現場の医療提供サイドが不要な検査や治療を行わなければ良い話である。

第一、窓口負担が無料の国で、用のない人が医療機関に殺到して医療崩壊を引き起こしているなどという話もまったく聞かない。
むしろ、窓口負担を課すことによる受診抑制のほうが、手遅れの人を増やし、医療機関に余計な負荷をかけ、さらに結果として医療費の増大を招くことにつながるだろう。

今回の「5類化」とそれにともなって政府から示された「医療費の窓口自己負担増の再開政策」を奇貨として、これまで多くの人が知らず知らずのうちに実現できるはずないと思いこまされてきた「窓口負担ゼロ政策」について、真剣かつ具体的に国民的議論を開始してはいかがだろうか。

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木村 知(きむら・とも) 医師 医学博士、
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
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