2023年04月16日

「ストレス多い人」は"4つの考え"を捨てるべきだ

「ストレス多い人」は"4つの考え"を捨てるべきだ
怒り・ストレスを消す「魔法の言葉」も紹介!
池谷 敏郎 : 医学博士/池谷医院院長
2023/04/15 東洋経済オンライン

生活習慣病、血管、心臓など内科・循環器系のエキスパートで「血管の名医」として知られ、日々多くの患者と接する医学博士の池谷敏郎氏。
テレビ番組『あさイチ』(NHK)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)やラジオ番組などに多数出演し、楽しくわかりやすい解説が好評を博している。
過去15キロ以上の減量に成功し、その減量メソッドを全公開した15万部のベストセラー『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)に続き、『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える「100年心臓」のつくり方』を上梓した。
「人生100年時代」を満喫できるかどうか健康長寿のカギを握る「『心臓の健康』にいい生活」を、運動、食事、メンタルなど、あらゆる観点からアドバイスする1冊で、発売後わずか6日で3刷2万部を突破するなど、大きな話題を呼んでいる。
その池谷氏が、「『心臓の健康』に大きな悪影響を及ぼす『ストレス』との付き合い方」について解説する。

ストレスは「心臓の健康」に直結「心疾患のリスク」に
4月から職場や人間関係など新しい環境での生活がスタートした人もいらっしゃるかと思います。
慣れるまで何かとストレスを感じる毎日かもしれません。
社会生活を送るうえでストレスはつきものですが、過度なストレスは心疾患を引き起こす危険があるので、十分な注意が必要です。

ストレスと心臓の関係について、簡単に説明しましょう。
私たちはストレスを感じると、体内で「ノルアドレナリン」 というホルモンが放出されます。
このホルモンの作用で、血圧が上昇したり、心拍数が増えたりします。
これは、ストレスに対抗して活動に適した状態になるという、体の自然な反応でもあるわけですが、血圧・心拍数が上昇すれば当然、「心臓への負荷」は増大します。血管が動脈硬化を起こしていれば、心血管事故も引き起こしかねません。

詳しくは拙著『「100年心臓」のつくり方』をお読みいただきたいと思いますが、要は「ストレスは『心臓の健康』と直結している」のです。
  「うつ病」と心不全が関係するとの研究結果もあり、心不全を予防するためには、メンタルを良好に保つことも大切なのです。
今回は、私たちが日常生活の中で知らず知らずのうちにもストレスを強め、心拍数を上げてしまっている「4つの考え方・思考のクセ」を、私が実践している「ストレスを切り抜ける思考法・対処法」とともに紹介します。

ひとつめは、「いやなことをつい思い出してしまう」ということです。
心拍数が上がって、心臓に「大きな負荷」
【NG@】いやなことをつい思い出してしまう
たとえば、いやなことがあったとき、いつまでも思い出してクヨクヨする人がいますよね。
しかし、それがため込まれていくと、慢性的に「ストレス過多」の状態になってしまいます。
心拍数は「いやなことを思い出す」たびに上がってしまうのです。

一方で、いやなことがあってそのときは腹を立てても、すぐに忘れてしまう人、あるいは発散できる手立てをもっている人は、ストレスがリセットできて心臓にもいいのです。
仕事がキツいとか、人間関係がしんどいとか、いろいろあっても、帰宅後や週末などに休養したり、趣味に没頭したりして、「いやなこと」をリセットし、ストレスを上手に発散する工夫をしましょう。

特別なことでなくても構いません。家でゆっくりお茶を飲むとか、友達と会っておしゃべりをするとか、何か自分がリラックスできること、心が休まることがあれば、それでOKです。
できれば、その方法が「複数」あったほうがいいですね。
「血圧・心拍数を下げる手立て」をひとつ増やせば、その分、「心臓を休める」ことができるからです。

【NGA】相手を変えようとする
家族や家庭がストレスになっている人も少なくありません。
毎日顔を合わせる相手だけに、そのストレスはどんどんたまっていき、じわじわと心臓に負担をかけていきます。
対処方法として重要なのは、「相手を変えよう」としないこと。
「相手を変えよう」とするから、思いどおりにならなくてイライラしてしまうのです。

当院にいらっしゃる患者さんにも最近多いのが、テレワークで旦那さんが1日中家にいてイライラするという人。
そういう場合は、ウォーキングに出かけたり、カフェに避難したりするなど、とにかく外に出かけることで、一緒にいる時間を減らしましょう。
気分もリフレッシュできるので、一石二鳥です。

「魔法の言葉」で「無駄な怒り」がスッと消える
【NGB】「不必要な怒りの感情」をもつ
怒ることは「心臓に悪い」ばかりか、「冷静な判断」ができなくなるし、人間関係を損なうなど、いいことはまずありません。
もちろん、時には怒っていいこともあるし、いい意味で怒りが前進するエネルギーになることもあるでしょう。
しかし、私たちが日常生活で感じる多くは「怒る必要のない怒り」とも言えるのではないでしょうか。
そうであれば「心臓の健康」を考えて、なるべく怒らず、おだやかな気持ちで過ごしたほうがいいに決まっています。

私がいつも言うのは「その怒りやイライラは、あなたの大切な心臓や血管を代償にするほどの価値があるものか?」というもの。
「この人のために怒ることで、自分のかけがえのない心臓や血管を犠牲にしてもいいですか?」と自分自身に問いかけてみると、「もう放っておこう」「まあいいじゃないか」 という気持ちになるのではないでしょうか。

心身が病むほどのストレスを抱える人には、「発想の転換」もおすすめします。
【NGC】いまいる場所・人間関係にしがみついてしまう
私のクリニックには中高校生の患者さんも多く来院されます。
訴えは腹痛とか胸が痛いといったことですが、話を聞いてみると、「友達関係で悩んでいる」「学校になじめない」といった悩みが出てきます。
いじめや不登校で悩んでいる子どもたちに私はいつも「無理にその場所にいることはないんだよ」とアドバイスしています。 進学を考えるなら、高校をやめて高卒認定試験(旧・大検)を受けて大学に行ったっていいのです。
これは大学生にも、社会人にも言えることです。

会社にも、いじめや上司からの理不尽なパワハラなど、いろいろあると思います。
体を壊してまで、大事な心臓を痛めつけてまで、「合わない場所」に無理にいる必要などありません。
「極度のストレス」が続くなら「しがみつく必要はない」のです。

過労や職場のストレスなどを苦に自殺してしまう人が後を絶ちませんが、そんな悲惨なことになる前に、自分を解放してあげたほうがいい。
その場所を捨てて 「新しい世界」に飛び込めば、そこで「新たな自分の可能性」が花開く場合だってあるのです。
家庭とて例外ではありません。

「心臓をいたわる生活」で「100年心臓」を手に入れる
自分では「この程度のストレスは、たいしたことないだろう」と思っていても、心臓は悲鳴を上げているかもしれません。
ストレスは本当に怖いのです。
つらいのを我慢しているのは自分だけではない。あなたの「心臓」もまた、必死に耐えているのです。
くれぐれもそのことを忘れないでください。

「不要な怒りやストレス」を抱え込まず、「心臓の健康にいい生活」「心臓をいたわる生活」を送ることが、結果として、人生100年時代を満喫できる「100年心臓」を手に入れることにつながる、私はそう確信しています。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする