2023年07月01日

庶民は気づかず支払わされている「インフレ税」の悪質…国の税収大幅増で初の70兆円超え

庶民は気づかず支払わされている「インフレ税」の悪質…国の税収大幅増で初の70兆円超え
6/30(金) 日刊ゲンダイデジタル

 2022年度の国の一般会計税収が71兆円台になり、3年連続で過去最高を更新するという。29日の新聞各紙が報じた。
 税収が70兆円を超えるのは初めてで、前年度の67兆379億円より約4兆円も増える見込みだ。
消費税と所得税、法人税の「基幹3税」がいずれも増加。政府は22年度の税収を68.3兆円と想定していたが、大きく上振れする。
 大幅な税収増の要因については、コロナ禍からの業績回復や個人消費の伸びなどと説明されているが、本当だろうか。
株価が上昇しても、庶民には好景気の実感はまったくない。
実質賃金が減り続け、この物価高で財布のヒモは固くなる一方だ。
「その物価高こそが税収増の大きな理由です。
食料品の値段が20%上がれば、支払う消費税も自動的に20%増える。
いわゆる“インフレ税”で、物価高によって家計の負担は二重に増えるのです。
税率を上げれば国民の怒りを買いますが、インフレ税なら税率はそのままで、国民が気づかないうちに徴税額が増えている。円安による物価高とインフレ税で、個人の負担増はかなり大きくなっています」(経済評論家・斎藤満氏)

個人の資産を政府に移転
 インフレ税は食料品や電気、ガソリンなどの生活必需品に漏れなくかかってくるため避けられない。
所得が増えない中、見えない形の“ステルス増税”を強いられているようなものだ。
 大企業で過去最高益が続出したことは法人税収の増加につながったが、これにも円安が大きく寄与している。
「円安によって、海外の所得や資産を日本国内に移す際に円ベースの利益が膨らみます。
名目の収入が増えれば収める税金も多くなる。
景気が良くなって税収が増えたのではなく、円安、物価高、インフレで水膨れしているのです
普通はインフレなら金利が上がりますが、今は日銀が金利を低く抑えてくれているわけで、財務当局にとっては最高の状況です。
名目の税収増のために政府・日銀が円安を放置している疑いさえある。
インフレ税は、個人の資産を企業や政府に移転する効果があるため、家計に厳しい重税と言えます」(斎藤満氏)

 税収の上振れにより、自民党内ではさっそく「24年以降」としていた防衛費増額に伴う増税時期の先送りを求める声が高まっている。
だが、国民はすでにインフレ税の形で負担増を強いられているわけで、見せかけの増税先送りは選挙目当てがミエミエ。
子供だましもいいところだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

長引く物価高が「賃上げの恩恵が少ない」高齢者に与える影響はどれほど?

長引く物価高が「賃上げの恩恵が少ない」
高齢者に与える影響はどれほど?
6/30(金) 日刊ゲンダイデジタル

 今年の春闘賃上げ率は3.66%と、30年ぶりの高水準となった。
現役世代では賃上げの恩恵を受け、物価上昇分を吸収できる世帯は多いと思われる。
一方、賃上げが社会的に注目されたことから、すべての国民が物価高問題は解決できる、とした勘違いも国民に広がりつつあるのではないか。
「賃上げの恩恵が小さい高齢者層の暮らしは、より厳しさを増していることを見落としてはいけない」と指摘するのが、ニッセイ基礎研究所の坊美生子・准主任研究員だ。

 物価上昇が続くなか、賃上げの恩恵が少ない高齢者の暮らしへの影響の大きさや意識を見るため、坊氏は同研究所が行った「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」(20〜74歳男女2398人、3月末調査)の結果を基に「物価高の高齢者への影響」をリポートしている。
 物価高は幅広い範囲に及んでいるが、物価上昇の影響を感じた商品・サービスについて尋ねると、高齢者で最も多かったのは「食料」(92.7%)、次いで「電気代・ガス代」(91.9%)。
「いずれも9割を超え、日常生活に不可欠な食料や光熱費の値上げが高齢者世帯の家計を圧迫していることが分かります」(坊氏)

 世帯主の年齢階級別に、全消費支出に占める支出割合の上位10項目ランキングでは、「一般外食」は30歳未満から69歳までは4位以内だが、70〜80歳以上では9位に下がる。
対照的に「野菜・海藻」が60歳代以下ではランク外だが、70〜79歳では7位、80歳以上では6位。

坊氏が続ける。
「高齢者が外食より自炊に使う生鮮食品への支出割合が多いのは普段のライフスタイルのためで、食料品の値上げは、若年・中年層より高齢者の家計への影響が大きいことが分かります。
また、ガソリン代を含む『自動車等維持費』は60〜69歳、70〜79歳で1位、2位と高く、コロナ禍以降、高齢者は公共交通を避けてマイカーを利用することが増えた影響が考えられます」

■年金引き上げは物価上昇に見合っていない  
同調査が行われたのは3月だが、それ以降物価の上昇はさらに続き、6月からは電気料金も値上げされた。
これから暑くなる時に、電気料金の値上げでエアコンの使用を控えれば、熱中症といった健康のリスクが高まる。
電気料金の値上げは高齢者により打撃は大きくなる。

 厚生労働省は2023年度の年金改正で3年ぶりの引き上げを行った。
しかし中身は67歳以下は前年度比2.2%、68歳以上は1.9%の引き上げにとどまっている。
年金暮らしの高齢者にとって物価上昇率は年金改正では全く吸収できていないというのが現実なのだ。

経済評論家の荻原博子氏がこう述べる。
「日本は物価上昇に見合うほど年金は上がりません。
それだけではなく、政府は少子化対策の財源も社会保障費の大幅削減で賄おうとしている。
すでに昨年10月から75歳以上の高齢者の医療費負担を原則1割から2割に引き上げています。
高齢者施設の入居も今後はピークになり、生活保護の基準も厳しくなる。
政府はこうした高齢者に対するケアが全く不足しています」

 高齢者にとって住みにくい社会が現実になってきている。

    (ジャーナリスト・木野活明)
posted by 小だぬき at 13:06 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月02日

脳の衰えを防ぎ、認知症予防にもつながる方法

脳の衰えを防ぎ、認知症予防にもつながる方法
2023年07月01日 ダイヤモンドオンライン

「頭の回転が速くなる」「誰でも脳の機能が向上しそう」「脳の老化防止に使える」「ゲーム感覚で小学生でも楽しめる」「たとえるなら、脳のストレッチ」「集中力や記憶力が伸びた」などの声が届いた、くり返し楽しんで使える『1分間瞬読ドリル』(山中恵美子著、ダイヤモンド社)は、何歳からでも6つの力が飛躍的に伸びます。

間違ってもOK。
1分間で与えられた課題を見ていくだけで、「記憶力」「思考力」「判断力」「読解力」「集中力」「発想力」が抜群にあがります。
子どもには、これから必要とされる「考える力」や勉強脳が磨かれ、覚えに不安があるシニアはボケ防止に使える、そして、大人は脳機能を高めていくことができるのです。
10歳から100歳まで、誰でも簡単に続けられる『1分間瞬読ドリル』で、脳をよくしていきましょう!

■「忘れ物が多い。認知症の始まりかも」、それ違います!
「出かける前は覚えていたのに、忘れてしまった!」 「かばんに入れたと思ったのに……」  そんな経験、ありませんか? でも、これ誰にでも起きることです。
なぜなら人間の脳は、記憶したことを忘れるようにできているからです。
裏を返せば、忘れるのは当然なこと。

 昨日の晩ご飯は、何を食べたか思い出せますか?
1週間前のお昼ご飯は? 1カ月前の晩ご飯は?  すぐには出てこないですよね。
でも、1カ月前のお友だちの誕生日をサプライズでお祝いしていたとしたら、どうでしょうか。
食べたものや、飲み物まで思い出すことができませんか。

 特別な出来事は覚えているのに、1週間前のお昼ご飯や1カ月前の晩ご飯は、日常で特別な出来事ではないので、あまり記憶に残りません。
 いつもと違うことをすると、脳に刺激を与えます。
脳に刺激が与えられると、脳は「重要なこと」だと判断し、その情報を記憶に残そうと働いてくれるのです。
 また、いつもと違うことをすると、「楽しい」「面白い」などの、自分自身の感情が伴い、その光景をイメージで記憶することができます。
「いつもと違うことをすると記憶に残る」「イメージで覚えたことは記憶に残る」は、脳の大きな特徴なのです。

■認知症を予防するには?
 国民病と言われる認知症。
2年後には、5人に1人は、認知症を発症していると予測されています。
 毎日、いつもと同じ日を過ごしていると、脳への刺激が少なくなり、脳を使わなくなるので、発症しやすくなるとも言われています。
 つまり、いつもと違う日を過ごすことが、認知症予防につながるのです。
いつもと違う日というと、何か大それたことをイメージされるかもしれませんが、日々、些細なことでも大丈夫です。
 たとえば、「いつもは車通勤だけど、たまには電車やバスを使ってみる」「いつもはこのお店でご飯を食べるけど、今日は違うお店に入ってみる」「いつもはこの帰り道だけど、少しちがう道を通ってみる」などです。

 少し、いつもと違うことをするだけで、こんなことがあったんだ!という発見、気付きが、脳への刺激になります。
 また、その発見や気付きに、「面白い」「楽しい」「また来よう」などの、自分自身の感情が伴うと、イメージでその光景を記憶でき、更なる脳への刺激になります。

 毎日同じことを選ぶのではなく、たまには、いつもと違ったことをしてみましょう。
そうすることで、脳の衰えを防ぎ、認知症予防にもつながるのです。

*本記事は、『1分間瞬読ドリル』の著者による書き下ろしです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」のゴリ押しに医師が怒り

マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」のゴリ押しに医師が怒り
2023年07月01日 日刊ゲンダイDIGITAL

【集中企画・マイナ狂騒】#7
 マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」のトラブル解消に向け、厚労省は29日、「オンライン資格確認利用推進本部」の初会合を開催。対策がまとめられた。
本部長を務める加藤厚労相は「国民の不安や懸念の払拭を図り、安心して活用してもらえる環境整備を進める」と強調したが、むしろマイナ保険証のゴリ押しが強化され、医療現場は辟易している。
  ◇   ◇   ◇  
マイナ保険証によるオンライン資格確認をめぐっては、被保険者資格があるはずの患者が「無保険扱い」されてしまうトラブルが続出。
患者が医療費10割を請求されるケースが相次いだ。
 その対策として、厚労省は29日の会合で、遅くとも8月から患者負担を本来の3割などにする方針を決定。
患者の加入保険が最終的に不明のままでも、病院が医療費を取りはぐれないよう補填するとした。

初めてマイナ保険証を使う場合、念のために従来の健康保険証の持参も呼びかけるというから“お笑い”だ。
 新たな対策はあくまでも、国がマイナ保険証によるオンライン資格確認の利用を推進するため。
オンライン資格確認はマイナ保険証を使った場合に限り、医師が診察時に患者の薬剤情報や特定健診情報を閲覧できる仕組み。
服薬などの機微な情報を患者と医師が共有して診療に生かすことにより、国は「より良い医療が提供できる」とうたう。

しかし、利用推進を理由にケツを叩かれる病院はたまったもんじゃない。
 問題は、これらの対策によって病院の“面倒”が増えることだ。
医師が患者の薬剤情報などの個人情報を閲覧する際、本人確認と本人同意が必須。
薬剤情報などの活用について、厚労省は次のように掲げている。
〈これまでも、例えば、丁寧な問診やお薬手帳による確認等により、本人であることや実際の薬剤の服用状況、併用禁忌等について確認していることから、マイナンバーカードによるオンライン資格確認により閲覧した薬剤情報等を診察等において活用する際も、同様に確認することが考えられる〉

■あまりにも費用対効果が薄い
裏を返せば、マイナ保険証によるオンライン資格確認を使わなくても、「丁寧な問診」「お薬手帳による本人確認等」でコト足りるというワケ。
マイナ保険証によるオンライン確認を病院に徹底させる必要はないのだ。
 しかも、患者が初めてマイナカードで受診したり、所属する健康保険組合が変わったりした際、オンライン資格確認で得た情報と、診療申込書や問診票に記入された患者情報とを突合するよう、病院の受付窓口に要請。
オンライン資格確認のウリのひとつが「事務作業の手間削減」にもかかわらず、結果として作業負担が増える。
まったくもって本末転倒だ。

 そもそも、オンライン資格確認が、国の言う「より良い医療の提供」につながるかどうかさえ怪しい。
 いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長がこう憤る。
「端的に言って、マイナ保険証やオンライン資格確認を整備して健康保険証を廃止したとしても、医療の質が向上するとは到底、思えません。

マイナ保険証によるオンライン資格確認は、CTやMRIなどの画像データをオンライン上で共有・閲覧できるようなイメージを持たれていますが、すでに画像をデジタルデータとして閲覧・共有できる別の仕組みが構築されています。
薬剤情報などはお薬手帳で確認できますし、デジタル上で閲覧できてもPDFファイルなので、電子カルテに反映するには、結局、手入力に頼らざるを得ません。
オンライン資格確認は言ってしまえば、デジタルデータを使っているだけで、極めてアナログ仕様なのです。

メリットがあるとすれば、被保険者番号などを入力する受付窓口の手間が減るぐらい。
現行の保険証を廃止してまで強行すべきシステムなのか、あまりにも費用対効果が薄いと思います。
国の言う『医療の質の向上』とは一体、何なのでしょうか」

 現場の医師は怒っている。
政府はメリットもないポンコツシステムの利用促進を図るより、保険証廃止を撤回すべきだ。
posted by 小だぬき at 08:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

70代以降に「イライラした高齢者」と「ニコニコした幸齢者」がはっきり分かれていく"ささいな理由"

70代以降に「イライラした高齢者」と「ニコニコした幸齢者」がはっきり分かれていく"ささいな理由"
和田 秀樹(わだ・ひでき)精神科医
2023年07月02日 プレジデントオンライン

日本では、「老い」に対しネガティブなイメージを抱く人が多い。
高齢医療の専門家・和田秀樹さんは「70歳以降は幸せを感じながら生きる『幸齢者』と呼んではどうか。
幸齢者自身には『年を取ってもできること』の価値を見つめ直してほしい」という──。 (4回/全4回)
※本稿は、和田秀樹『幸齢者』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「幸齢者」を目指した賢明な生き方
人間、70代にもなれば、以前ならできていたことが次第にできなくなっていきます。
そのことを思い知らされるような体験をすると、つい腹立たしくなったり、悲しい気持ちになったりする。
当然のことかもしれません。
とはいえじつは、70代でもかなりのことがまだできるのです。
ですから「できないこと」はもはやできなくなったのだ、と受け入れつつ、まだ残っている「できること」、つまり残存機能を今後も維持したり、いまの自分に何ができるのかについて、じっくりと見つめ直したりする――。
これが、「幸齢者」を目指した賢明な生き方だと思います。

■「できること」は立派な取り柄
パラリンピックは、障碍者に残された機能をいかにフル活用できるかを競う大会です。
高齢者には、この「パラリンピック的発想」が必要です。
「できること」を現在の自分の取り柄として目を向ける姿勢が、自分を助けることになるはずです。
なにも“ずば抜けた才能”である必要はありません。
若い人から見れば傑出した能力とはいえないようなことでも、この年代以降の人にとっては、「できる」ことそれ自体が立派な取り柄になるのです。
40代のころは、周りの人と同じスピードで歩けることに喜びを感じることはまずないでしょう。
しかし70代になって40代の人と同じ速度で歩くことができれば、それはとても素晴らしい残存機能ではありませんか。
毎日のごはんを料理して、たまにお客さんに自分が漬けた漬物を出すことができる。
一人で買い物に行くことができる。
誰とでも分け隔てなく話をすることができる。
素直に人を頼ることができる……。

そうした、ごく“ささやかなこと”ができるだけで、人生の支えになります。
裏を返せば、そうした“ささやかなこと”に幸せを感じられるようになる。
それこそが、年をとることのよさでもあると思います。

■「ものわかりのいい高齢者」を装うのはやめよう
“ささやかなこと”に幸せを感じられるようにしたいと言いつつも、だからといって必要以上に丸くならないようにしてほしいものです。
「もう70を過ぎたんだから、若い人に合わせなくちゃ」
「世の中のトレンドなんだから、受け入れなくちゃ」などと、ものわかりのいい高齢者を装う必要はありません。
むしろ少しぐらい頑固でもいいから、自分が長く生きて考えてきたことや、経験を通じて培ってきたものを伝えるぐらいの気持ちになったほうが、高齢になっても自然な生き方ができる気がします。

■「年寄りの昔話は嫌われる」は本当か
たとえば50代、60代の現役のころは、若い世代に自分の経験を話しても冷淡な反応しか返ってこなかったかもしれません。 「そんな昔話は聞きたくない」「いまはもう、そういう時代じゃない」…… といった反感も察してきました。
それがわかっているから、「年寄りの昔話は嫌われる」と、ついつい思い込んでしまいます。

現役を退いた70代が何か言ったところで、相手にされない可能性はたしかにあります。
「そんな考え、もう古いですよ」「いまの世の中には通用しませんよ」と否定されるかもしれません。
でも私は、どんなに高齢の方であっても、その人がポツンと漏らしたひと言に「なるほどなあ」「そのとおりかもしれないなあ」と感服することがよくありました。
言われたときはすぐにピンとこなくても、自分自身が年を重ねることで、「そういう意味だったのか」と頷(うなず)いてしまうこともありました。

■自分の思うところを主張し続けていい
ですから、自分が「こうあるべきだ」と思うことを主張し続けていいのです。
それが正しいかどうか、誰にも判断できないことがいくらでもあるのです。
高齢になってくると、何かふと考えが頭に浮かんだときでも、相手の意見に反論したくなったときでも、何も言わずに黙り込むことが多くなります。
自分の考えを「もう古いのかな」「偏屈に思われるかな」と封じ込めてしまうことがあります。
でも、相手や周囲の意見が正しいというわけではありません。
いろいろある考えの中の1つでしかないのです。

まして政治や経済、人生観の問題に、「ただ1つの正しい答え」などあるはずがありません。
答えはいくつもありますし、時代が変わればまた違う答えが出てくるでしょう。
どんな分野の常識でも、数年もしないうちに覆されたり、まったく新しい考え方が出てきたりするのは珍しいことではありせん。

■自分に筋を通す生き方
つまり、唯一絶対の正義が存在しない以上、自分の考えや答えも1つの見方として言葉にしていいはずです。
少なくとも、相手や周囲に合わせる必要はありません。
長く生きてきて自然に備わった考えを、そのまま表に出す。
自分自身に筋を通すとは、そういうことではないでしょうか。

じつは私は、そのことに10年くらい前に気がつきました。
それまでは、勉強するのは「答えを出すため」だと思っていました。
学びたいこと、知りたいこと、わからないことを勉強するのは答えを求めることだと思っていました。
ところがだんだん、「どんなものにもただ1つの答えはない」と考えるようになりました。
医学常識だって変わっていきます。
つまり、どれが正しい答えなのかは半永久的にわからないままなのです。
むしろ、答えや選択肢を複数同時に持っていられること、それが本当の賢さだと思うようになりました。

■70代からの「勉強」とは
そうだとすれば、人生勉強とは、さまざまな可能性を求める行為になってきます。
「こういう可能性もある」「そうはならない可能性もある」と考えながらいくつもの答えを探していく、それが本当の勉強なのではないかと思うようになりました。
自分がいま「確かだ」と持っている答えも、本当は正しくないかもしれません。
世の中にはときどき、一方的に自分の考えを押しつけてくる人がいます。
そういう人に対して、私はこう反論することにしています。
「でも、その説が絶対正しいという根拠はありませんよね」
「その答えは、ずっと先々まで正しいと思っていられますか?」
そう言えば、たいていの人は、「まあ、それはそうですけど……」とおとなしくなります。

■学ぶ楽しさに終わりはない
ただ1つの答えを見つけるのでなく、いくつもの答えを考えられるようになるのが、本当の勉強です。
いろいろな可能性を探っていくのが勉強だとわかれば、学びに終わりはなくなります。
答えが1つ見つかっても、「それだけだろうか」「ほかにも可能性はあるんじゃないか」と考えれば、まだまだ勉強は続きます。

勉強と聞くと、高齢の方は「もういいや」と敬遠しがちです。
「難しいことはもう頭に入ってこない」「いまさら勉強したって目指すものがない」と考えてしまいます。
でも、本当にそうでしょうか?

70代でも80代でも、テーマを決めて勉強に取り組んでいる方はたくさんいます。
みなさん、元気で輝いています。
たとえば、地域の図書館や公共の施設ではさまざまな分野の学習会が開かれて、年代を問わず学んでいる人が大勢います。

■高齢になったからこその「勉強」とは
勉強という言葉は、どうしても受験勉強を想起させます。
答えはたった1つしかない。
その答えをたくさん暗記することで高い評価を得て、ライバルを蹴落とす。
そういうイメージが強いことでしょう。
初等・中等教育の段階では、暗記や詰め込みは大事です。
でも高等教育や社会に出てからは、そういうものはあまり必要ありません。

さまざまな知識を身につけ、答えをいくつも知っていくこと。
さらに、その知識をもとに自分で考えをまとめていくこと。
それこそが勉強だと考えれば、高齢者でも構えないで参加することができます。

■いくつになっても1日1日賢くなるのが人間
実際、70代で大学の科目単位の講義を受けたり、大学院に入り直してやりたかった勉強を再開させたりする人もいます。
そういう人たちに共通するのは、「もっと知りたい」という素朴な向学心です。
ただ1つの答えを探すのではなく、いろいろな考え方や見方を知りたい、いまよりももっと賢くなりたいという、いくつになっても残り続ける向学心が人間にはあります。
本を1冊読む、講義を聴く。
勉強すればそのぶんだけ賢くなります。
1日1日、少しずつ賢くなっていく。
70代だろうが80代だろうが、これはやはり大切なことであり、嬉しいことだと思います。
**********************
小だぬきも4月から70歳。
認知症の前兆をしるために「認知症」の学習。
ディケアの聴覚障害の方と話すための「手話」の学習。
永六輔さんの著作の読破。
政治・経済への興味。
「ニコニコした幸歳者」として 出来ることを大切にしていきたいです。
posted by 小だぬき at 12:44 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月03日

次世代に財産残すと不幸に?

次世代に財産残すと不幸に?
和田 秀樹(わだ・ひでき)精神科医
2023年07月02日 PRESIDENT Online

子どもにはどのように財産を残せばいいのか。
医師の和田秀樹さんは「子どもにお金を残してもトラブルの種になるだけだ。
買い物には前頭葉を刺激し、脳が活性化する効果もある。
我慢せず自分のために使ったほうがいい」という――。
※本稿は、和田秀樹『シン・老人力』(小学館)の一部を再編集したものです。

■子どもにお金を残すのは「トラブルの種」
「自分自身のためにも、そして子どものためにも、後の世代に資産を残す必要はない」 というのが私の考えです。
デフレの時代が長く続いてきましたが、あと10年、20年も物価や給料が上がらないとは考えにくい状況です。
インフレの時代にお金が目減りするリスクも考えると、今、周囲や自分のために使ったほうがいいと思います。
私は長年、高齢者の医療に携わってきましたが、子どもにお金を残すと、むしろトラブルの種になることが少なくないのです。
子どもがひとりならともかく、複数の場合や、遺産が多い場合、相続に注意が必要なのはもちろんです。
しかし、遺産が少なく、相続税がかからないくらいのお金でも、相続をめぐって泥沼のトラブルが発生し、こじれていくことがあります。
その様子を、私は幾度となく見てきました。

■少しでも多くの財産を手に入れようとする
親が80代や90代で亡くなった場合、子どもは60代というケースが多いのではないでしょうか。
60代ともなれば、すでに退職している場合もあり、老後の不安から少しでも多くの財産を手に入れたい、という気持ちになりやすいのです。
結果、財産をめぐって兄弟の意見がかみ合わないことが増えてきます。

■「ここで妥協してはいけない」と周囲がたきつける
均等に残すと遺言しても、どうしても異論が出てきます。
「兄さんはマンションを買ったとき援助してもらったじゃないの。息子の学費だって出してもらっている。その分を除いて均等に割るのはおかしいでしょ」
「オレが近くに住んで、よく様子を見に行っていたことは知ってるだろう。母さんはその分を考えてくれたんだ。お前のところは子どももいないし、むしろ均等ならいいじゃないか」
「様子を見に行ったのも、お金を借りに行っただけでしょ」
もともと感情的にならずに相続の話をするのは大変です。
そこにそれぞれの配偶者も加わると、「ここで妥協してはいけない」などとたきつけるので、余計厄介なことになります。
こんな調子で相続争いがこじれていくさまを何度も見たせいで、私は子どもに財産など残すものではないと強く思うようになりました。

■親の財産を自分の財産のように思っている
高齢のため認知症になった場合は、本人にかわって、子どもが財産の管理を代行する制度があります。
そもそも、今の法体系では、たとえ親から嫌われていようとも、基本的に遺産は子どもが相続することになっています。
親の財産を自分の財産のように思っている子どもも少なくありません。
自分の取り分が増えるように、親の介護費や医療費を節約しようとする場合もあるのです。

「家を売り、自分は3億円の老人ホームに入ろう」と親が考えていても、「財産が減ってしまう」と考え、子どもが反対することもあります。
結果、ランクの低いホームに入ることになったり、節約のため子どもとの同居を強いられることも珍しくありません。
不本意ながら子どもと同居することになり、住み慣れた地域を離れ、子どもに遠慮しながら寂しく晩年を過ごした、という話もよく聞きます。

■「子どもに事業をやらせる」方法もある
トラブルが起きてしまうのは、子どもに財産を残そうとするからです。
家族が争う悲しい状況を引き起こしたり、不本意な晩年を過ごすくらいなら、自分のためにお金を使うほうがよほど健全でしょう。
あるいは、子どもに事業をやらせて、その事業にお金を投資してみてはどうでしょうか。
この場合、子どもが事業に失敗し、1円も残らないこともあり得ます。
ただ、仮にそうなったとしても、子どもには事業の経験と、社会を生き抜く力が残るはずなので、ただ漫然とお金を残すよりいいのではないかと思います。
また、遺産という動かないお金を残すより、子どもの事業に投資したほうが、社会の活性化にも役立つのではないでしょうか。
お金は子どもには残さず、自分の楽しみのために使う。
これが賢いやり方として、現代の新常識になればいい、そう私は願っています。

■お金を使うのは「脳を活性化するチャンス」
「お金を使う」という行為には、その人の個性が如実にあらわれるものです。
経済的な余裕がないのに、気に入った服をポンポン買う人もいれば、お金があるのに、安いTシャツをさんざん吟味して買う人もいます。
趣味の道具を買う場合は即決するのに、スーパーで食料品を買う場合は迷ってしまうという人もいます。

「お金をどう使うか」を考えているとき、その人の前頭葉は活発に働いています。
「何にどのくらい使うと予算内に収まるのか」「何を買えば満足できるのか」を考えるのは、実はかなり奥が深い問題なのです。
「買う」という行為は、創造力や企画力、計画力など、さまざまな能力が問われる、きわめてクリエイティブな行為です。
お金を使うたび、脳を活性化させるチャンスが訪れている、と考えるといいでしょう。

■買うのを諦めるのは「新たな体験」を諦めること
ある商品を欲しいと思ったとき、みなさんはどのように行動するでしょうか。
基本的に、「すぐに買う人」「買うかどうか迷ってから買う人」「迷った挙げ句買わない人」の3つのタイプに大別できそうです。
趣味の品物か、それとも日常品なのか。また商品の価格によっても、買うときの行動は異なってきます。
偶然立ち寄ったセレクトショップで、素敵なジャケットを見つけ、直感で「欲しい」と思い値札を見たら、意外に高かった、という経験は誰しもあると思います。
そんな時、「買っても着る機会がないかもしれない」とか、「かなり細身だから、体形に合わなくなるかもしれない」などと逡巡してしまうと、どんどん心にブレーキをかけてしまいます。
ジャケットを諦めた場合、「ジャケットを買えば得られたはずの新たな体験」も、同時に諦めているのです。
そのジャケットがあれば、今まで気後れしていた場所にだって行けたかもしれません。
思い切って買っていれば、新しい体験が得られ、それが前頭葉への恰好の刺激になったはずなのです。

■我慢からは何も得られない
買い物による前頭葉への刺激は、買った瞬間だけ得られるわけではありません。
ジャケットを着るたびに「喜び」や「感動」があれば、そのつど前頭葉が刺激されているはずです。
洋服でもカメラでも自動車でも同じです。
その品物を気に入っていればいるほど、使用することで大きな喜びが得られるはずです。

脳を老化させないためには、「喜び」や「感動」が欠かせません。
こうした感情が前頭葉を強く刺激するのです。
しかし、値段が高いとか、体型にあわないと言って、欲求にブレーキをかけ、欲しいものを買わずにいると、好奇心にもブレーキがかかってしまいます。
我慢からは何も得られません。
単に、「喜び」や「感動」のない、代わり映えのしない日常が続くことになります。
脳は欲求不満のままです。
前頭葉が刺激されることもありません。
むしろ、老化に向けて、さらにアクセルを踏むことになります。
現役の消費者であり続ける意味は、こうしたところにあります。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月04日

マイナカードはなぜここまで嫌われるのか…朝日新聞も誤解している「国民総背番号制」との根本的な違い

マイナカードはなぜここまで嫌われるのか…朝日新聞も誤解している「国民総背番号制」との根本的な違い
2023年07月03日 PRESIDENT Online

マイナンバーカードに関するトラブルをめぐり、政府への批判が強まっている。
神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「かつて個人情報が知られるのは、あくまで近所に住む顔の見える範囲に限られていた。
マイナカードが嫌われるのは、どこの誰が、自分の情報を知っているのか、あるいは知らないのかを把握できないからだろう」という――。

■マイナカード問題をめぐる世論の反発
マイナカードをめぐる問題は、岸田内閣の支持率を急落させた。
単なる事務手続きのミスであると、高をくくっていた政府にとって、この問題に対する世論の反発は想定外だろう。
2007年に沸騰した「消えた年金問題」を彷彿とさせるが、いったい、なぜ、世論はこの問題にここまで反発するのだろうか。

■ここまで広まった理由は「マイナポイント」
そもそも、「マイナカード」の「マイナ」とは何か。
「マイナンバー」を略したものだが、英語としてはもちろん、日本語としても、一度聞いただけでは耳に残らない。
それなのに、ここまで広まったのは、ひとり最大2万円分の「マイナポイント」がもらえるからだろう。
おそらく世界最大のポイント大国である日本でも、ここまで大盤振る舞いな「ポイント」は空前絶後と言ってよい。
足元を見られた、とか、お金に目がくらんだ、と言われても、背に腹は代えられない。
かくいう私もまた、いそいそと家族3人分のポイントを申請し、公金受取口座は、3人とも別々にした。
確定申告をはじめ、マイナカードは便利だと感じる上、健康保険証としての利用も、これまでの紙ベースに比べれば、はるかにマシではないかと思う。
そんな私でも、「マイナカード」という略し方は、しっくりこない。

■「マイナカード」を英語で言うとどうなるのか…
たとえば、「あなたのマイナンバーカード」を英語で言うと、どうなるのか?
 「Your My Number Card」となるのだろうか?
総務省のサイトでは、日本以外の国籍の方むけに「Individual Number Card」と紹介している(*1)。
直訳すれば「個人番号カード」である。
「マイナ」の音感がかもし出す、「まいど」と似た気楽なニュアンスはない。
いかにも行政のことばらしく、「個人」を見分けるため、という目的に沿って、冷たいというか淡々としている。
日本語のほうを「マイナンバーカード」という、いかにも和製英語っぽい造語ではなく、英語と同じく「個人番号カード」にしていれば、「マイナ」のような間抜けな語感は必要なかったにちがいない。
なぜ、わざわざ「マイナンバー」を使ったのだろうか?
そこには、50年以上におよぶ歴史がある。

■半世紀以上前の「国民総背番号制」への反発
話は、いまから半世紀以上前、佐藤栄作内閣の後期、1968年にさかのぼる。
個人の所得を正確につかむ、特に、高額所得者から税金を集めようと、通称「国民総背番号制」の導入を試みる。
当時は、クロヨン(9.6.4)、トーゴーサンピン(10.5.3.1)などと言われていたからである。
この言い方は、サラリーマン(給与所得者)・事業所得者・農業所得者、それぞれの所得捕捉率、つまり、税務署がどのくらい稼ぎをつかめているかの割合を示していた。
それぞれ9割対6割対4割、ないしは10割対5割対3割、そして政治家や宗教家は1割という意味であり、佐藤内閣としては身内に厳しくするための制度だった。
にもかかわらず、身内以外の世論から猛烈な反対の嵐に直面する。

■奇妙な和製英語に「恐れ」がこめられている
当時を代表する雑誌「朝日ジャーナル」は、1972年1月28日号で「個を否定する国民総背番号制」という大特集を組む。
著名な評論家だった北沢方邦による論文タイトル「高度管理社会への里程標」にあきらかなように、国が一人ひとりを管理する、それに対する強い反感が広く共有されていた。
「ピン」、つまり、1割しか稼ぎを把握されていない政治家たちは、こうした反発を利用し、断念に追い込んだのである。
政府は1980年に「グリーンカード制度」と看板をかけかえて、制度化を目指したものの、このときも、国が個人の情報を管理することへの懸念の声が高まり、実現しなかった。
これほどまでに「国民総背番号制」は嫌われてきた。
英語では「個人番号」と言うしかない仕組みを、日本語というかカタカナで誤魔化して「マイナンバー」と言わなければ、今回もまた導入できない、そんな恐れが、この奇妙な和製英語にこめられている。
2016年1月にはじまった「マイナンバー」は、50年近い日本政府の悲願だったと言えるだろう。

■「ずるい」と批判する人たち
今回もまた「国民総背番号制」を嫌ったのと同じ理由で、「マイナカード」は憎まれているのだろうか。
微妙な違いがある。
51年も前の「朝日ジャーナル」と同じく、「個を否定する」とか、「高度管理社会」といった紋切り型で批判している人たちも少なくない。
制度そのものが許せない、というわけである。
政府の「ずるさ」への非難が、これまでとの違いとして挙げられる。

朝日新聞の看板コラム「天声人語」は、6月25日付で、「カードの取得はあいかわらず任意とされている」にもかかわらず、健康保険証としての利用や、母子健康手帳や図書館カードなどとの一体化にむけた方針が示され「外堀をどんどん埋めておいて、でもカードの取得は自分で選んだ」とするのは「じつにずるい」と指弾する(*2)。
「天声人語」が、「マイナカード」が広まる最も大きな要因となったはずの「マイナポイント」にひとことも触れない。
それこそ「ずるい」のではないか。
さらに「任意」、つまり「自分で選んだ」かたちを保ったのは、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種と重なる。

「天声人語」は、どこまで「任意接種」を「ずるい」と糾弾していたのだろうか。
当該の6月25日付「天声人語」の「マイナカード」を、そのまま「新型コロナウイルス感染症ワクチン」に置き換えても、じゅうぶん意味は通じる、と考える人もいるにちがいない。

■「努力義務」のワクチンとの共通点
新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種は、感染症法上の「努力義務」とされた。
マイナカードについては、「天声人語」が注目するように、政府の「デジタル社会重点計画」のなかで、行政手続きのオンライン化そのものが「自己目的化しないように」とくぎを刺されている。

マイナカードとワクチンは、たしかに違う。
いっぽうで、すでに感染症法上の扱いが、2類から5類に変わってもなお、「第9波が始まった可能性」などと危機感を煽り、任意の「ワクチン接種を検討してほしい」と、尾身茂氏が呼びかける(*3)。
尾身氏が善意なのか、それとも医療界の利権を代弁しているのかは、わからない。
ワクチン接種が医療機関をはじめとする医師たちの利益につながると言われているのとは逆に、「マイナカード」の健康保険証としての利用をめぐっては、医師の団体「全国保険医団体連合会」にとっては不都合なようである。
同会は、「このままでは国民の命や健康、個人情報、財産を大きく損なう恐れがある」として、マイナ保険証の運用停止、ならびに、来年秋に予定されている個別の保険証廃止方針の撤回、この2点を強く主張している(*4)。
ワクチン接種もマイナ保険証反対も、ともに任意でありながら「国民の命」を盾にしている点で、医療界の考え方は共通しているのではないか。

■背景にある「個人を知られること」への恐怖感
命を人質にとられているから、マイナカードに反発するのか、と言えば、それだけではない、というか、そうではないだろう。
すくなくともマイナ保険証に関しては、医師たちの主張は、刺し身のツマ程度の賑やかしであって、岸田内閣の支持率を急低下させるほどの影響力はない。
では、なぜ、ここまでマイナカードは耳目を集めるのか。
その理由は、私たちの個人情報をめぐる感覚にある。

最近、地方自治体を中心に職員の名札のフルネーム表記をやめる例が見られる。
佐賀県佐賀市では、ネットで検索すれば「個人の住所まで大体分かる」としてストーカー被害を懸念する意見が出たからでもあるという(*5)。
地方自治体の規模によっては、住所どころか、車のナンバー、家族構成や交友関係まで、お互いがお互いのことをすみずみまで知り尽くしあっているところも少なくないのではないか。
にもかかわらず、あるいは、だからこそ、私たちは、「個人を知られること」への警戒感を強めている。

■かつての「中間集団」は崩れ去った
向こう三軒両隣、は死語になって久しい。
「隣近所」はもちろん、「世間様」のように外面を重くみる態度は、いかにも昭和な感じであって、もはや私たちの生活には馴染まない。
かつては、町内のどこの誰が、どんな生活をしているのかは、暗黙の了解どころか、みんなが知っていた。
いまや、町内会や自治会といった、社会学の用語でいう「中間集団」は、ほぼ崩れさり、「個人情報」は手厚く守られているし、守られなければならなくなった。
いまさらノスタルジーに浸って古き良き昭和の生活を取り戻そう、などとは言えないし、まったく現実的ではない。

むかしも「個人情報」が知られるのは嫌だったかもしれないが、あくまでも顔の見える範囲に限られていた。
「個人を知られること」が、誰なのかを把握できていた。
「マイナカード」が嫌われるのは、「国民総背番号制」という亡霊が復活したからではない。
そうではなく、「個人を知られること」が、とめどなく広まっていき、どこの誰が、自分の情報を知っているのか、あるいは知らないのかをつかめないから、である。
不特定多数の人たちに、知られているのか/知られていないのか、すらわからず、ただ「便利だから」とか、「ポイントがもらえるから」といった、目先の利益に引きずられて、つい「マイナカード」を取得し、健康保険証との一体化も、公金受取口
座の指定もしてしまった、その迂闊さに、後悔しているからではないか。

この問題は、デジタル庁を担当する河野太郎大臣を交代させるといった、小手先の対応では済まないだろう。
それほどまでに、私たちの「個人を知られること」への嫌悪感が高まっているし、それは一朝一夕には解決策を見いだせない、根深い、日本人らしさそのものの変化だからである。

(*1)「日本での生活に便利! マイナンバーカードを作りましょう」
(*2)(天声人語)マイナカードと保険証
(*3)新型コロナ 「第9波が始まっている可能性」政府分科会 尾身会長 NHKニュース、2023年6月26日12時20分配信 (*4)「10割請求、776件以上 マイナ保険証『運用停止を』―保険医連合会」 時事ドットコム、2023年6月19日16時19分配信
(*5)「名札」フルネーム表記やめます 佐賀市職員、名字のみに変更 個人の行動詮索など発生 職員の安全に配慮 2023年4月20日8時16分配信

----------
鈴木 洋仁(すずき・ひろひと)
神戸学院大学現代社会学部 准教授
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月05日

【日本軍の敗因】「悲惨な結果を生むリーダー」7つの共通点

【日本軍の敗因】
「悲惨な結果を生むリーダー」7つの共通点
7/4(火) ダイヤモンドオンライン

 1984年に刊行されて大きな話題となり、多くの経営者やリーダーに読み継がれてきた名著『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』。
大東亜戦争における日本軍の組織的な失敗を分析。なぜ開戦に至ったかではなく、開戦後の日本の「戦い方」から日本の組織にとっての教訓を導き出した。
日本人にとって極めて示唆に富む一冊だが、少し難解でもある。
そこで、そのポイントをダイジェストでまとめ、ビジネスパーソンが仕事で役立てられることを目的として送り出されたのが、『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』だ。
さて、そのエッセンスとは?(文/上阪 徹)

● 昔も今も、日本人が負けてしまう「真の要因」
 大東亜戦争における日本軍の組織的な失敗を分析した『失敗の本質』。
その考察をビジネスパーソンの仕事に役立てられないか、という目的で書かれたのが、『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』。
2012年の刊行当初から大きな話題となり、16万部を超えるベストセラーになっている。

 著者は、ビジネス戦略・組織論のコンサルタントである鈴木博毅氏。
鈴木氏はかつて、ある経営者から、こんな質問を受けたと本書の冒頭に書いている。
「『失敗の本質』って、ビジネスにどう使えますか?」(P.6)
 その経営者は尊敬する先輩経営者から読むように勧められた。
読んでみて、ヒントはあると感じたが、具体的にどう自分の会社に活かしていいのか、わからなかったというのである。
もしかするとこれは、ビジネスパーソンの読者の多くに共通していた印象だったかもしれない。

 そこで鈴木氏は、自身がビジネス戦略・組織論のコンサルタントとして『失敗の本質』からどんなことを学び、仕事の現場で活かしてきたかを解説、実際の仕事に役立てられることを目的としてビジネスパーソン向けのダイジェスト版を送り出すことにした。それが本書だ。
 そして鈴木氏は序章でこう記す。

 大東亜戦争においても、物量や技術力の差は敗因の一つですが、失敗の本質そのものではなく、真の要因は日本的な思考法や日本人特有の組織論、リーダーシップにあると考えられるのです。(P.9-10)
 日本は戦後、たしかに奇跡の復興を遂げた。
アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国にもなった。
圧倒的な「物量や技術力」を手にした。
 しかし、バブル崩壊以降30年以上にわたる日本の閉塞状況を見ていると、またしても「真の要因」はそこにはなかったのではないか、と思わされる。
 日本人の本質は、実は変わっていないのかもしれないのである。

● なぜ日本人は「転換点」に弱いのか?
 この記事を書いている私は、文章を書くことを仕事にしている。
主戦場は、ビジネス領域だ。
多方面の成功者に話を聞くこともあるが、多くは企業やビジネスパーソンに取材をして文章を書くことである。
 となれば当然、常にあちこちにアンテナを張り巡らせておかなければならない。
ニュースやトピックスには、おそらく普通のビジネスパーソン以上に敏感に反応してきたと思う。
また、経営者やリーダークラスに取材することも多く、経営上の課題を耳にすることも少なくなかった。

 しかも私がフリーランスになったのは、1994年。日本経済が、その後に続く長いトンネルに入り始めた頃である。
以後、日本企業の失敗や苦境をずっと耳にすることになった。
 もちろん名著『失敗の本質』も読み、なるほどと思わされた。
鈴木氏は、こう書き綴っている。

 最前線が抱える問題の深刻さを中央本部が正しく認識できず、「上から」の権威を振り回し最善策を検討しない。
部署間の利害関係や責任問題の誤魔化しが優先され、変革を行うリーダーが不在。

『失敗の本質』で描かれた日本組織の病根は、いまだ完治していないと皆さんも感じないでしょうか。(P.12)
 バブル崩壊後の日本の苦境は、まさに時代が転換期を迎えたことにある。
昔の戦い方では、通用しなくなったのだ。
ところが、日本人はなかなか変われない。
これもまた、実は大東亜戦争でも同じだったのである。

 大東亜戦争が始まったとき、日本は電撃作戦によって各地で勝利をおさめている。
ところが、ミッドウェー海戦での敗北以降、雪崩を打って敗戦に向かい、二度と立ち上がれなかったのだ。
木氏はこう記す。
 順調なときには強く全面展開しつつも、環境の転換期には一転して閉塞感に陥り、突破口を見出せない姿は、日本の企業活動全般にも顕著な傾向です。(P.13)
 なぜ日本人は、「転換点」に弱いのか。
これについても本書で詳しく解説されるが、日本人の思考と日本の組織特有の弱点は、転換点で急速に露呈する、という。

● 日本人の中に流れる、7つの「失敗の本質」
 しかし、転換期は実は日本が負けた理由の一つに過ぎない、とも鈴木氏はいう。
本書を読み進めていくと、心が苦しくなるほどに、その思いが募ってくる。
そしてこれでもか、これでもか、というほどに、「今」と連なっていることがわかるのだ。
 それでもしっかり真正面から、見つめる必要がある。
鈴木氏はこう書く。
 大切なのは、貴重な教訓から私たちが「次の失敗」をどれほど上手く避けることができるか、具体策を引き出すことではないでしょうか。
 変化に直面している会社、過去に成功した組織が内部で抱える次の失敗を避け、新たなイノベーションを成し遂げる方法を明らかにする。
それこそが本書の最終目標であり、『失敗の本質』をビジネスをはじめとするさまざまな局面で活用するために必要なことだと考えています。(P.16)

 『「超」入門 失敗の本質』では、7つの視点で『失敗の本質』が紐解かれていく。

@ 「戦略性」──俯瞰的な視点から最終目標への道筋をつくれない
A 「思考法」──革新が苦手で錬磨と改善が得意
B 「イノベーション」──ルールをつくり出せず既存のルールに習熟する
C 「型の伝承」──創造ではなく「方法」に依存する
D 「組織運営」──勝利につながる現場活用が苦手
E 「リーダーシップ」──現実を直視し環境変化に合わせて判断できない
F 「メンタリティ」──「空気」と同調圧力、リスク管理の誤解

 本書を読んで改めて感じるのは、日本人にははっきりと「苦手」があるのだということだ。
大きく考えること、新しいやり方を始めること、自分でルールを作ること、創造を受け入れること、現場を重視すること、正しい判断を下すこと、現実を直視すること……。
 だが、これは他人事なのではない。自分自身のことでもあるのである。  
(本記事は『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』より一部を引用して解説しています)

上阪 徹(うえさか・とおる)
       ブックライター
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

一瞬で眠れる人と考えすぎて眠れない人のたった1つの差とは?

一瞬で眠れる人と考えすぎて眠れない人のたった1つの差とは?
2023年07月05日 ダイヤモンドオンライン

「あの人なんであんなことを言ってきたんだろう」
「この仕事、ちゃんと締め切りまでに終わらなかったらどうしよう」。
寝ようとするといろいろな考えが頭の中にわいてきてしまい眠れない。
早く眠りたいのに、グルグル思考が止まらない人におすすめなのが、2023年6月28日に発売になった『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼著)だ。
著者はベストセラーになった『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)など、多数の著作を持つ人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏。
最新作の『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』では、心理学的なアプローチによって、働きすぎている意識をストップし、読むだけで眠くなるメソッドを多数紹介。
「なぜか眠れた」「読み進めるごとにリラックスできる」「眠れないだけではなく、ストレスを感じている人にもおすすめ」「眠るのが楽しみになった」などの感想がすでに多数寄せられている。
今回は本書の発売を記念して、著者の大嶋信頼氏にさらに「眠り」に関する質問をぶつけてみた。(構成:林えり)

■眠れないのは「周りの人の気持ちを考えてしまうから」
──寝ようとしているのに、仕事のことを思い出してしまうと、あれこれ考えてしまって眠れなくなることがあります。
何も考えずにすぐに眠れる人と、布団に入ってもいつまでもあれこれ考えて眠れなくなる人の差ってなんでしょうか?

大嶋信頼(以下、大嶋):
そもそも「仕事のことだけ」を考えるのだったら、考えているうちに疲れて眠れるはずです。
眠れなくなるのは「周りの人の気持ちを考えてしまうから」です。
相手の気持ちを考えてしまう、というのは「相手はこんなことを思うのでは? あんなことを思うのでは?」と無限ループに入ってしまうから「眠れない!」になってしまうのです。

■「寝ているうちに“無意識”に記憶の処理をまかせよう」
──たしかに、他人の気持ちを考えてしまうというのもありそうです。
私が悪かったのかな、とかこう思われたらどうしようとか。

大嶋:
そうですね。周りにすぐ眠れる人はいませんか?
そういう人って「他人の気持ちを考えない」から眠れる、ということもあるんです。
とはいえ、他人の気持ちを考えてしまう人に「考えないでください」と言っても難しい。
考えすぎるタイプの人は、「寝ているうちに“無意識”に記憶の処理をまかせよう」という感じに思ってもらうといいかもしれません。

──「寝ているうちに無意識に記憶の処理をまかせよう」ですか。

大嶋:
はい。『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』にも書いていますが、深い睡眠がとれているときには、無意識が働いて記憶をきちんと整理してくれるんです。
一方で、「自分でこの問題をなんとかしなきゃ!」と思いすぎると、意識が働きすぎて眠りが浅くなってしまい、眠っても記憶がうまく整理されず、ストレスで身動きがとれなくなります。
つまり、寝る前にグルグル思考が止まらなくなったら、自分で意識的に解決しようとするのではなく、「無意識にまかせたほうがうまくいく」と思って、ある意味、考える責任を放棄してしまうといいかもしれませんね。

──たしかに、気づかないうちに自分ひとりで解決しなきゃ、と思っているのかもしれません。

大嶋:
「自分でなんとかしなきゃ」はかえって効率が悪いんですよ。
メールを書くとき、相手の気持ちを考えると、なかなか書き進まなかったりしませんか?
「おっくうだな〜」と思うと、いつまで経ってもメールが書き終わらずダラダラ考えてしまいます。
でも、今ならいい言葉が考えつかなければ、「ChatGPTに書かせればいい!」でもいいわけです。
それと同じ要領で、「自分でなんでもやろうとせずに、無意識にまかせればいい」とすると、いい具合に緊張が抜けてグルグル思考が止まります。

■頭を一瞬で空っぽにする方法とは?
──最後に、考えすぎが止まらないダイヤモンド・オンライン読者に、「頭を一瞬で空っぽにする方法」を伝授ください!

大嶋:
ベタな方法ですが「呼吸を頭の中で実況中継」してみるといいです。
「吸っている、吐いている」と自分の呼吸を頭の中で実況中継してみる。
呼吸は無意識でしていることだから、その呼吸のスピードをコントロールしようとするのではなく、「実況中継する」ことで「無意識の働き」に注目することになります。

本書にくわしい説明を書いていますが、ふだん無意識のうちにやっていることに目を向けると、意識の働きすぎがストップし、無意識がうまく働いてくれて、すーっと眠りに入れるようになります。
すると、眠っている間に無意識が不快な記憶をうまく整理してくれるので、頭にたまっていたストレスが消えて、心の調子が整ってくるんです。
『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』には、グルグル思考を止めて、安心して眠るためのメソッドをたくさん紹介しているので、ぜひ考えすぎで眠れない人に読んでもらいたいですね。
posted by 小だぬき at 06:41 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月06日

LGBT法の成立が「左派野党の壊滅」と自民一強を加速させかねない理由

LGBT法の成立が「左派野党の壊滅」と自民一強を加速させかねない理由
上久保誠人:立命館大学政策科学部教授
2023.7.4 ダイヤモンドオンライン

LGBT法が成立するなど、日本政府が「マイノリティーの権利保障」に力を入れ始めた。
その背後では、性差別解消に向けて動くよう自民党幹部に働きかけたり、国際連合に日本の課題を提言したりする「市民団体」などの存在が一役買っている。
だが本来、こうした団体の一部は左派野党と共闘してきたはずだ。
自民党が力を増し、左派野党の退潮が進んでいる今、なぜ市民団体は逆に影響力が増しているのか
矛盾した構図の裏側を解説する。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

「マイノリティーの権利保障」を求める 市民団体の動きが活発化
 性的少数者(LGBT)への理解を増進し、差別を解消することを目的とした「性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(以下、LGBT法)が6月16日に国会で成立した。
 この法律は元々、2021年の東京オリンピック・パラリンピック前の成立を目指していた。
当時は自民党内の反発を受けて、なかなか法案の国会提出はならなかったが、徐々に風向きが変わっての成立だった。

 例えば、23年5月に日本・広島で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳声明には「(性的少数者を含むあらゆる人々が)生き生きとした人生を享受できる社会を実現する」という文言が含まれ、国際的にLGBTに対する差別解消の機運が高まっていた。
 そうした経緯もあってLGBT法は成立したものの、LGBTを巡る法整備に関しては課題が山積している状況だ。
 例えば法成立前の23年6月頭には、同性婚が認められないのは「違憲」だとして、複数の同性カップルが国を訴えた集団訴訟の判決があった。
その中で福岡地裁は、同性婚が認められない状況について「憲法に違反する状態である」との判断を示した。
 同種の訴訟は全国5地裁で起こされており、今回ですべての一審判決が出そろった。
しかし、札幌・名古屋が「違憲」、大阪が「合憲」、東京が「違憲状態」と判断が分かれている。
同性カップルを“家族”であると法的に認める仕組みづくりは一朝一夕には進まないとみられる。

 LGBT法の成立を機に、今後は日本における「マイノリティーの権利保障」を国際的な水準に近づけるための法案が、次々と政治課題に浮上するだろう(本連載第219回)
 LGBT関連だけでなく、「選択的夫婦別姓」制度の導入などの議論が活発化していくはずだ。
同時に、各種法案・制度の成立を求める各種市民団体の活動もさらに盛んになりそうだ。
 だが、昨今の政局に鑑みると、「市民団体の活発化」が見込まれる現状には違和感もある。

左派野党の退潮が進む中で 市民団体が力を増す矛盾
 ここしばらくの間は、「保守派」の代表的政治家であった故・安倍晋三元首相が憲政史上最長の長期政権を築くなど「自民一強」が続き、一方で立憲民主党、共産党など左派野党は衰退の一途をたどってきた。
 にもかかわらず、従来は左派野党と一体となって活動してきたはずの「マイノリティーの権利保障」を求める市民運動は、以前よりも積極的になっている。
 自民党が力を強め、左派野党の退潮が進む中で、市民団体などが勢いを増しているという、この矛盾した状況はどう理解したらいいのだろうか。

 本連載では、今の左派野党は自民党の「補完勢力」と化していると主張してきた。
その原因は、安全保障政策を除く政策面での自民党の「左傾化」にある(第308回)
自民党は安倍政権以降、「全世代への社会保障」「子育て支援」「女性の社会進出の支援」「教育無償化」など、本来であれば左派野党が取り組むような社会民主主義的な政策を次々と打ち出してきた。

 現・岸田文雄政権では、「新しい資本主義」という経済政策のコンセプトを掲げ、アベノミクスが置き去りにしたとされる中小企業や個人への再配分を強化しようとしている(第305回)
 その他の岸田政権の政策を見ても、「異次元の少子化対策」や物価高への対処などは「富の再分配」に近い側面を持っている。
これらを打ち出した結果、国民の目は「政府は次に何をしてくれるか」に集中し、実際に予算を扱えない野党の存在感は薄れてしまった。
 これは、「包括政党(キャッチ・オール・パーティー)」という特徴を持つ自民党のなせる業だ(第169回・p3)

 要するに、自民党は政策的には何でもありの政党である。
野党との違いを明確にするのではなく、「野党と似た政策に予算を付けて実行し、野党の存在を消してしまう」というのが自民党の伝統的な戦い方であり、左派野党は存在意義を消されてしまった。
 そして、このような動きが加速するにつれて、国会外では「マイノリティーの権利保障」を求める市民団体の活発化が進んできた。
 中でも注目すべきは、700万人の加盟組合員がいる労働組合の中央組織「連合」(日本労働組合総連合会)の動向だ。
 昨今の連合は、労働運動家の芳野友子氏が21年10月に会長に就任してからは、自民党への接近も目立っている。
また、労働者の支援や企業との交渉にとどまらず、男女間賃金格差の是正やジェンダー平等の実現にも力を入れている。

 自民党は安倍内閣時の14年春闘から、経済界に「賃上げ」を求める「官製春闘」を主導してきた。
岸田内閣でも、賃上げは最重要課題の一つとなっている。
 連合の芳野会長はこうした経緯を踏まえて、賃上げを実現するには政府・与党と連携した方がいいと判断。
その方針の下、今年2月に岸田首相と会談したほか、自民党幹部との意見交換の場を相次いで設けたという。
 また芳野会長は、「リスキリング(学び直し)」を支援する自民党議員連盟の会合に出席するなど、さまざまな自民党の会合に顔を出している(ロイター『連合会長、目立つ自民接近』)。

 今年3月には芳野会長の求めに応じて、政府と経済界、労働界の代表が賃上げについて意見交換する「政労使会議」が8年ぶりに開催された。
4月29日には、東京・代々木公園で開かれた連合主催のメーデー中央大会に岸田首相が出席した。
 そして6月2日には、連合と自民党の間で「政策懇談会」が催され、ジェンダー平等などの政策提言が盛り込まれた「要請書」が、連合側から自民党・萩生田光一政務調査会長に手渡された。
 このように、連合は「マイノリティーの権利保障」を求める過程で、自民党とのつながりを強めつつある。

「連合」以外にもある 動きが活発化している組織とは?
「マイノリティーの権利保障」において、野党のお株を奪うような活動を展開している組織は、連合以外にもう一つある。  設立の経緯(詳しくは後述)から、必ずしも「左派野党と一体となって活動してきた」とはいえないが、その組織とは「公益財団法人ジョイセフ」だ。
 ジョイセフは日本国内にとどまらず、グローバルな活動を行っている。
中でも「国際連合」に対してロビー活動を行い、人権侵害の是正などについて日本に勧告を出すよう働きかけているのは注目に値する。
 昨夏には「#なんでないのプロジェクト」など8つの市民団体と組み、「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」に関する日本の課題を共同レポートにまとめて国連に提出した。
その内容は国連のウェブサイトで確認できる(Universal Periodic Review Fourth Cycle - Japan - Reference Documents)。
 ここで国連の仕組みについて少し触れておくと、国連人権理事会にはUPR(普遍的定期的レビュー)という、加盟国がお互いを審査してアドバイスを送り合うピアレビューの仕組みがある。
 日本はこの仕組みなどによって、国連からさまざまな人権問題についての是正勧告を受けてきた。
LGBTQに対する差別是正もその一つである(第219回・p5)。

前述したLGBT法の成立も、国際社会からの強い要請に応えた側面があった。
 こうした要請が出された裏側で、ジョイセフなどの日本の市民団体による働きかけが一役買っていた可能性も否定できない。
 そして、ジョイセフは国連へのロビー活動を行う傍ら、自民党議員とも積極的に交流し、日本政府が性差別解消などに向けて動くよう働きかけてきた。

ジョイセフと自民党の 「浅からぬ関係」とは?
LGBT法の成立が「左派野党の壊滅」と自民一強を加速させかねない理由
 例えば、昨春には衆議院第一議員会館内でジェンダー平等やSRHRに関する国際セミナーを開催し、鈴木貴子外務副大臣(当時)や松川るい参議院議員(当時の自民党国際局次長・女性局次長)などが参加した(自民党公式サイトより)。
 多方面に顔が利くジョイセフは、実は自民党と「浅からぬ関係」にある。
 ジョイセフは「女性の命と健康を守る」ことを目的とし、1968年に外務省・厚生省認可の公益財団法人として創設された。
そして何を隠そう、初代会長は岸信介元首相、2代目会長は福田赳夫元首相だった(JOICEF『引き継がれるパイオニアの「志」』)。
 ジョイセフ設立のきっかけとなった、日本の母子保健を含む保健・医療・社会保障政策は、戦後の保守政権が取り組んだ政策と一致する。
国民が一人残らず健康保険を受けられるようにする「国民皆保険」の実現に取り組んだのも岸内閣だった(自由民主党「岸信介総裁時代」)。
 このように、設立当初のジョイセフは自民党と近い関係にあり、理念を共有していた。
 だが、その後の自民党は政策志向を保守からリベラルへと柔軟に変えながら、長期政権を維持
ジョイセフのような市民団体とは「離れたり接近したり」を繰り返してきた。
そして今、双方の利害が一致し、再び接近を図っているというわけだ。

 興味深いのは、LGBTQの権利保障に反対する旧統一教会の友好団体「国際勝共連合」と、推進のジョイセフという、思想信条的には対極にある両団体の設立に岸元首相が深く関わっていたことだ(第314回・p5)
 それを「保守の二枚舌」だと批判するのは簡単だ。

だがそうではなく、自民党の一筋縄ではいかないしたたかさ・恐ろしさ・懐の深さを示していると考えると、自民党が力を持ち続けている所以(ゆえん)を計り知ることができるだろう。

自民党と市民団体が近づくと 左派野党の存在意義はさらに薄れる
 まとめると、現在の自民党は市民団体などの組織を拒絶せず、接触を受け入れている。
その背景には、もちろん「マイノリティーの権利保障」を国際的な水準に近づけるという正当な理由もあるのだろう。
 だが、その意図を深読みすると、自民党は各組織・団体との交流に応じることで、左派野党の役割・存在意義を奪い、壊滅させようとしているようにもみえる。
 自民党が市民団体などに歩み寄り、その提言を受け入れた政策を実行すると、本来そうした役割を担うはずの左派野党の存在感はさらに薄れる。
そして、市民団体などもわざわざ野党と手を組む必要性は乏しくなる。
 この状況を自民党が意図的に作り出しているのだとすれば、「左派野党の退潮が進む中で、労組・市民団体等が勢いを増している」という構図にも合点がいく。
「マイノリティーの権利保障」というセンシティブな議論すら、「自民一強」体制の強化につなげてしまう。
それも、自民党という“最強”のキャッチ・オール・パーティーのなせる業だといえる。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月07日

重要な個人情報があまりに軽く扱われている…

重要な個人情報があまりに軽く扱われている…マイナカードを強行する岸田政権への反発が高まる根本原因
2023年07月06日 PRESIDENT Online

マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいる。
法政大学大学院の白鳥浩教授は「問題の原因は、現場の対応ではなく、あまりにも性急にマイナンバーカードの普及を進める岸田政権の制度設計にある。
まずは国民の不安を解消することに全力を尽くすべきだ」という――。

■岸田政権は国民の声を聞いているのか?
「来年秋の(保険証の)廃止に向けて取り組んでいきたい」と岸田首相はマイナンバーカードを巡る問題が後を絶たない中で、2023年6月12日の国会における答弁を行った。
岸田首相は民意をどう捉えているのだろうか?
民意を尊重し、本当に国民の「人の話を聞く」首相なのか、それとも自らの業績づくりにいそしんで、その当事者である国民の「人の話を聞かない」首相なのか。
それが再びマイナンバーカードを巡る問題で試されている。

政府が推し進め、この答弁の2週間ほど前の6月2日に成立させた改正マイナンバー法は、保険証の廃止や、マイナンバーの活用拡大を容認する内容となっている。
共同通信の5月27、28日の全国電話世論調査によると、トラブルが相次いでいるマイナンバーの活用拡大に対して、不安を感じているとする回答が7割を超えている。

■個人情報の在り方に不安を感じる国民
この国民の不安の背景には、マイナンバーに関するトラブルが相次いでいることがある。
公金受取口座に家族で同じ口座を登録していた事例があったことや、マイナ保険証に他人の情報をひも付けているという誤登録のことなどもあり、国民の自らの個人情報の在り方について懸念の声が上がっていることが背景にある。

こうした問題があるにもかかわらず、現在の健康保険証の廃止を推し進める政府の姿勢に大きな違和感を国民は覚えているところがある。
実に、国民の過半数が健康保険証の廃止に対して反対という調査結果もある。
こうした国民の声をよそに、岸田政権はその政策を進めている。
これはどうしたことだろうか?

そもそも民主主義とは、国民の負託をうけて政府が政策を実践するというものである。
国民の大多数が反対をしているにもかかわらず、政府が説明も不十分なまま、法的には任意で取得するべきマイナンバーカードを取得しない場合には、保険証の廃止に伴う不利益を被るという、実質的な制裁を科すという形でなかば「強制的」といっても良い形で、強引にその普及を図ってきている。
それは国民の「話を聞く」政権の姿とは言うことはできないのではないだろうか。

以下においては、そもそも、マイナンバーカードの問題点とは何か。それを検証しよう。
■マイナンバーカードの枚挙にいとまのない課題
マイナンバーカードを巡っては、冒頭に挙げた6月12日の首相の答弁までに、以下に述べるように、すでに継続して多様な問題点が指摘されてきている。

@ 頻発する問題第一に、公金受取口座に家族名義の口座を登録していたという事例が約13万件も起こっていること、
第二に、マイナ保険証に他人の情報をひも付けており、その情報の表示が可能となっている事例が公表されているだけで7312件、
第三に、別人の口座を誤ってマイナカードに登録した事例が734件、
第四に、マイナポイントの口座を他人にひも付けており、他人に付与した事例が173件、
第五に、コンビニにおける証明書発行サービスにおいて住民票等の情報を他人に誤って交付したという事例が4つの自治体において14件、
そして第六に、年金記録について別人の情報をひも付けていたという事例が1件という、膨大な数の問題が提起されていた。

■マイナ保険証の所有は「実質義務化」へ

A 制度的な問題こうした大量の数の問題が提起されているにもかかわらず、さらなるひも付けを行い、そして保険証の廃止まで期日通りに行うという方針を示していた。
そもそもマイナンバーカードの取得は任意であったはずである。
しかしながら、保険証の廃止というのは、医療機関で受診できないか、受診してもマイナンバーカードを所有していなければ10割負担となる可能性が指摘されており「実質的義務化」につながるものであるという見方もできる。
もちろん、岸田政権は、マイナンバーカードを取得していない方でも保険診療が受けられないわけではない、資格確認書を発行するので受けることができる、ということを強調するが、実際にはその資格確認書も有効期間が1年で更新が必要とされ、さらにこの確認書によって受診する患者の窓口負担は、マイナ保険証よりも高くなるという「実質的な罰則や制裁(サンクション)」が与えられることとなっている。
「任意取得のマイナンバーカードを取得しないことでサンクションを与えられる」という制度設計の在り方はどうなのだろうか。

■根本原因は「現場」ではなく「制度設計」
こうしてみていくならば、このマイナンバーカードを巡る問題と混乱の原因は、「現場の対応」ではなく、あまりにも性急に、マイナンバーカードの普及を進める「岸田政権の制度設計」にあるのではないだろうか。
本来であれば、非常に重要な個人情報の集約という、個々の国民一人ひとりに関わる問題の取り扱いを軽く考えているところにあるといえる。
個人情報の開示、取り扱いについては、政府は慎重であるべきである。
にもかかわらず、既に政府が決定しているので、その実施に当たっては「タイムスケジュールありき」で強引に進めていき、問題が起こり多くの国民が不安や懸念を感じたとしてもその見直しを行わずに「タイムスケジュールありき」のまま、国民の不安を払拭できていない状態で、保険証の廃止へと突き進む。そうした在り方には国民の批判が集まっている。

■支持率低迷、政権の在り方を揺るがしかねない
G7広島サミットで向上した岸田内閣の支持率は、このところ陰りを見せて、減少に転じており、不支持の方が支持を上回る結果となっている。
この原因は、首相公邸における写真撮影などの不適切な行為を行った岸田首相のご長男の問題や、東京28区を巡り、東京における選挙協力が白紙となってしまった、連立政権のパートナーである公明党との関係の悪化だけではない。 国民全員に関わる個人情報の取り扱いを巡るマイナンバーカードへの不安に寄り添わない岸田政権の在り方が非難を浴びている。

そして、このマイナンバーカードについての問題は、その後も連日のように報道が続いており、政権の在り方を揺るがしかねない問題となりつつある。
そうした中で岸田首相は、6月21日に保険証の廃止について「国民の不安を払拭する措置の完了が大前提だ」という認識を示した。

■国民を無視し続けると、しっぺ返しが待っている
しかし、これについても、どこまで行けば国民の不安を払拭することができたかということについて、明確な基準があるわけではなく、かつて自民党が政権を失う前提となった「消えた年金問題」のようにボディブローのように政権への信頼を失わせていっている。
岸田氏は「パンドラの箱を開けた」と言ってもいい。
解決できない課題を抱えてしまったのではないだろうか。

さらにその混乱に拍車をかけているのが、デジタル化担当相の河野太郎氏の7月2日の2026年中のデザイン変更に合わせた「マイナンバーカードの名前の変更」を巡る発言だろう。
これは「名称変更による問題隠し」ともとられる発言として国民に受け止められてしまっている。
さらに国民の側から新たな動きも出ている。
「マイナンバーカードの自主返納」である。
このことは、直接的に岸田政権の政権批判につながる重要な問題を提起する動きとして見過ごしてはならない。
こうしてみれば誰のための問題か、が問われているといってよい。
岸田氏には国民に寄り添う政策実践が求められる。
さもなければ遠くない時期において国民の信を問う場面で、岸田氏は、国民からしっぺ返しを食らう可能性があるだろう。 ---

  -------
白鳥 浩  法政大学大学院教授
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

岸田政権を巡る空気がどんどん悪くなる根本原因

マイナカード騒動は政権崩壊を招く大爆弾である…岸田政権を巡る空気がどんどん悪くなる根本原因
2023年07月07日 PRESIDENT Online

■役人の天下り確保で、4兆円以上が消えた
週刊誌の連載記事が、政権を崩壊させることがある。
週刊現代で2001年から約1年間続いた連載記事「『年金崩壊』のウソ 誰が安心を食い潰したのか」を覚えているだろうか。 筆者であるノンフィクション・ライターの岩瀬達哉氏は丹念な取材で、国民から集めた「掛金」が健康福祉センター(サンピア)や大規模年金保養基地(グリーンピア)などの建設に流用され、官僚たちの「利権」と「天下り先」になっていることを突き止めた。
その結果、総額約4兆3000億円の年金財源が失われたことがわかった。
この連載は年金問題の先駆けとなり、国民の怒りに火をつけた。

岩瀬氏は民主党(当時)の長妻昭議員とタッグを組み、「消えた年金問題」を長妻が国会で徹底追及した。
これがきっかけとなり、社会保険庁は解体され、2007年の年の参議院選挙で自民党は改選前の64議席から37議席に減らすという大惨敗を喫したのである。
その後、安倍首相が体調を理由に首相の座を降りたことで第一次安倍政権は崩壊し、その後の民主党政権成立へという流れができた。

今回のマイナカードの“迷走”を見ていると、当時と同じような“空気”を感じる。
消えた年金はサンピアやグリーンピアという無駄な施設に湯水のようにカネをつぎ込み、役人たちの天下り先としたが、一般の国民たちはそんな存在さえも知らないうちに4兆円以上の国民の年金が失われてしまった。
この「分かりやすさ」が国民の怒りに火をつけたのだが、健忘症気味の日本人はわずか16年前のことも覚えていないかもしれない。
だが、今回のマイナカード問題も同じようにとても分かりやすいのである。

■「2万円」というアメをぶら下げて加入させたが…
5000円付与ではマイナカードが普及しないことに業を煮やした岸田文雄首相が、2万円に引き上げるという大きな「アメ」をぶら下げて国民に加入を促した。
入るだけで2万円ももらえるならとあっという間に国民の80%近くがカネに釣られて加入した。
岸田首相は無鉄砲だけが取り柄の河野太郎氏をデジタル相に任命したが、その河野担当相が突然、「マイナンバーカードと健康保険証を一体化する」(昨年10月13日の会見)と発言したのである。
続いて岸田首相が「2024年秋に現行の健康保険証を廃止してマイナ保険証に一体化する」と明言したから、2万円だけもらって、使うのはずっと先だからタンスにしまっておけばいいと思っていた多くの人は、「冗談じゃない。話が違う」と大反発したのである。
アメを配っておいてそこそこ行き渡ったら、生死に関わる健康保険証をマイナカードに一本化すると「ムチ」を振り上げた。 だが、それと同時にマイナカードのトラブルが次々に明るみに出てきて、政権の支持率は大きく下落したのである。

■「制度自体信頼できない」「詐欺の手口のよう」
「『制度自体信頼できない』『詐欺の手口のよう』『河野大臣は失敗したので更迭すべきだ』――。
毎日新聞が6月17、18日に実施した全国世論調査で、トラブルが後を絶たないマイナンバーカードに対する不安や怒りの声が多数寄せられた。
(中略)今回の調査でマイナンバー制度について尋ねたところ、『不安を感じる』との回答が64%で、『不安は感じない』(22%)を大きく上回った。
現在使われている健康保険証を2024年秋に原則廃止する政府方針についても『反対』が57%に上り、『賛成』は31%だった」(毎日新聞デジタル版2023/6/25 11:30)

朝日新聞(6月9日付)も社説で「マイナ保険証『一本化』強行許されぬ」として、 「今後最も懸念されるのが、来年秋の健康保険証の廃止と、マイナ保険証への移行だ。
先週法律が成立したが、利用者や医療・介護現場の不安は置き去りのままになっている。
高齢者や障害者が円滑にカードを取得し利用できるのか。
認知症の人の意思確認や暗証番号の扱いはどうするのか。
高齢者や障害者の施設では、健康保険証を預かっている例も多いが、マイナ保険証で同様の運用ができるのか。
こうした疑問に政府は十分答えていない」
私のような高齢者は、政府が運営するオンラインの「マイナポータル」にログインするためのパスワードと、6桁から16桁の申請用のパスワードを覚えておけるはずがない。

■高齢者施設では「預かれない」と不安の声
深刻なのは高齢者施設である。
「京都市にある特別養護老人ホーム『原谷こぶしの里』。
この施設では医療機関への受診に備え、入居者約100人のほぼ全員の健康保険証をカギ付きの引き出しに保管している。
受診の頻度は、およそ3日に1回に上り、看護師や生活相談員が付き添っている。
施設長の介山篤さん(45)は、マイナ保険証への一体化に対し、『銀行のキャッシュカードを持ち歩くようなもので、紛失や漏洩(ろうえい)があったらだれが責任をとるのか。容易に預かることはできない』と言う。

マイナ保険証では受診の際、暗証番号が必要になる場合もある。
暗証番号を覚えたり入力したりするのが難しい入居者に代わり、職員が暗証番号を管理することにも抵抗を感じるという」(朝日新聞7月2日付)

週刊誌も黙ってはいない。特に新潮が熱心に反対キャンペーンを続けている。
直近でも、 「もうやめよう『河野太郎』が引き込む『マイナカード地獄』」(6月22日号)
「『マイナ保険証』やっぱりいらない」(6月29日号)
「『マイナカード』まだまだ不都合な真実」(7月6日号) と、マイナカード不要論を訴え続けている。
7月6日号を紹介しよう。

■一本化されればトラブルは100万件を超える?
「『本人とは似ても似つかない写真がカードに使われる例が増えているんです』 と、まずは現場の声からお届けしよう。
『今後、これが身分証明書として使われて大丈夫かと心配になりますね』 そう嘆くのは東海地方のさる地方自治体でマイナンバーカードの業務補助員として働く女性である。
(中略) 交付作業自体にも難あり。
『一人3分以内を想定し、それ以上にはならないようにとの指示を受けている。
うちの役所では多いときには150人も交付した日があります。
それくらいのペースでさばかないと進まないですからね。
写真について尋ねたりしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまいますよ』
カップラーメンを作るほどの時間で大事な『身分証明書』が交付される。
それが今後、本人証明の唯一の手段となったら……実に恐ろしい」

続けて新潮は、全国保険医団体連合会の住江憲勇会長にも話を聞いている。
「『私たちが全国の医療機関で行ったアンケートによると、回答があった1万件のうち、現時点でトラブルが起こったと答えた割合は3分の2にも及びます。
その中の3分の2は保険証が無効とされる事案で、3640件もありました。
そもそも今、マイナ保険証を提示される方は全体の6%、16分の1に過ぎません。
しかも、全国に医療機関は18万カ所ありますから……』
マイナ保険証に一本化されれば、単純計算で3640×16×18。100万件を超えるトラブルが予想されるというのだ」

■次は銀行口座なども紐付けられるのは間違いない
「『これだけならまだ支払い上の問題ですが、先のアンケートでは他者の医療情報の誤登録も114件あった。
政府はこれを単にトラブルと呼びますが、病歴や血液型、処方歴、アレルギーなどの誤認は命に直結するため、トラブルでは片付けられません。
それもGW明けから6月までの短期間でこの数字です。
本当に一本化が始まれば、一体、何が起きるのか……』

かくして、デメリットばかりが目立つ“マイナス事業”へと変質した一連のマイナ事業」 このような不安が広がり、取得したマイナカードを返納する動きまで出てきている。
岸田・河野コンビは、“功”を焦りすぎて墓穴を掘ったといっていいだろう。

私はマイナカードを持っていないし、申請しようとも思っていない。
これ以上、自分のプライバシーを国に渡すことに我慢がならないからだ。
これまでも国民総背番号制(住民基本台帳法)や、作家の城山三郎氏が「平成の治安維持法になる」といった個人情報保護法にも反対してきた。
ここで、マイナカードと保険証の一体化を許せば、銀行口座など次々に紐付けられていくことは間違いない。
来年の7月前半に新札を発行する予定だといわれている。
国税庁の狙いは何十兆円ともいわれるタンス預金を炙り出し、税を徴収することにあるはずだが、これもマイナカードで個人の資産を把握しようという前段の動きだろう。

■「私は国民ではあるが、番号ではない」
少し古いが、国民総背番号の改正が成立した直後、保守派の論客である櫻井よしこ氏が新潮(2002年1月31日号)に書いた一部を紹介しよう。
櫻井氏は、国民総背番号制と同じような社会保障番号制が導入されているアメリカの例を出し、当初は公的年金や社会保険目的に限定されていたのに、ローンの貸し出しや図書館での借り出し、税金、病歴、離婚歴まで、あらゆる個人情報が番号の下に集積され、拡大していっていることへの危機感を訴える。
そして、こう書く。
「番号をふられICカードを持たされる国民の姿は個人情報を逐一把握され、国家によって支配され、プライバシーの侵害を恐れる脆弱(ぜいじゃく)な姿である。
自由を保障され、一人一人がのびやかに生きる健全な民主主義社会の姿とは程遠い。 闊達(かったつ)な精神と尽きない想像の力、深い理解力を持った魅力的な人間集団としての国家は、その基本で、最大限の自由が保障されているはずである。
日本はそんな国を目指さなければいけない。
そして私は国民ではあるが、番号ではない。
番号になることも断じて嫌である。
私たちはこの悪法、改正住民基本台帳法を廃止すべきである。
国民の多くがその存在さえ知らない悪法によって、この国の自由なる精神を阻害してはならない」

■その姿は、まるで幽霊に憑りつかれたよう
あれから20年以上が過ぎ、国は国民のプライバシーを根こそぎ把握しようと、マイナカード普及に躍起になっている。
マイナカードのシステムのお粗末さも、プライバシー管理の脆弱さも無視して突き進んでいる姿は、まるで幽鬼に憑りつかれたようである。
だが、多くの国民の「信頼できない」「不安だ」という声はさらに大きくなるはずだ。

「消えた年金」で安倍第一次政権を崩壊させたジャーナリストの岩瀬達哉氏も再び動き出した。
週刊現代(7月1・8日号)で「巨弾スクープ 日本人の『マイナンバーと年収情報』はこうして中国に流出した」という連載を始めたのだ。
岩瀬氏は消えた年金問題の追及を受けて社会保険庁が解体された後、新たに日本年金機構を設立するにあたって、設立委員会の委員に就任し、その年金機構を「調査審議」する社会保障審議会年金事業管理部会の委員も務めてきた。

岩瀬氏は連載の第1回でこう書いている。
「日本年金機構が業務委託した事業者(SAY企画)から、厚生年金受給者のマイナンバーのほか、住所、電話番号などの個人情報、さらには所得情報までが中国のネット上に流出したのは、わたしが年金事業管理部会の委員在任中のこと」

■再び政権を吹っ飛ばすかもしれない
「この流出問題を調査する『検証作業班』が、同管理部会の中に設置された際、わたしも4人の検証委員のひとりとして調査にあたってきた。
『検証作業班』での調査は約1年半におよび、その過程で判明したことは、機構と厚労省年金局が国権の最高機関である国会で、虚偽答弁を繰り返していたという驚くべき事実だった。
日本年金機構と年金局は、『虚構のストーリー』と『欺瞞(ぎまん)の論理』で国会を欺き、国民を騙し続けていたのである。その犯罪的行為を、事実をもって集中連載で明らかにしていくことにする」
これは面白くなりそうだ。

再び政権を吹っ飛ばすかもしれない。
マイナンバー情報が中国に流出したとすれば、プライバシー管理の脆弱性が問われるのはもちろん、それを扱う官僚や委託業者たちがその事実を隠蔽(いんぺい)していたとすれば国民を欺く行為である。
マイナンバー制度を白紙に戻さなくてはいけなくなるかもしれない。期待したい。

----------
元木 昌彦(もとき・まさひこ)
     ジャーナリスト
posted by 小だぬき at 11:22 | 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月08日

オタクは「オタク趣味」から卒業する必要はない…和田秀樹が「むりに俳句や盆栽に手を出すな」と訴えるワケ

オタクは「オタク趣味」から卒業する必要はない…和田秀樹が「むりに俳句や盆栽に手を出すな」と訴えるワケ
2023年07月07日 PRESIDENT Online

加齢にあわせて、趣味は変えたほうがいいのだろうか。
医師の和田秀樹さんは「興味がないのに、俳句や盆栽といった高齢者らしい趣味に手を出す必要はない。
ラーメン好きであれば、そのままラーメンを食べ続けたほうが、若々しくいられる」という――。
※本稿は、和田秀樹『シン・老人力』(小学館)の一部を再編集したものです。

■「高齢者らしい趣味」でなくてもいい
高齢者になってから趣味を見つけるのは、それほど簡単なことではないようです。
自分の趣味が何かすぐ言える人、好きなことをすぐ思い浮かべられる人は、高齢者になってからも、自分が「楽しいこと」を優先すればいいと思います。
「高齢者になれば、大好きな温泉巡りを思う存分楽しめるんだな」と思えば、年を重ねることにワクワクしてきます。

一方で、「好きなことをしましょう」「趣味をもちましょう」と言われても、何をすればいいのか思いつかない人もいます。 高齢者の趣味というと、俳句とか盆栽をイメージしたり、美術館や博物館巡りといった高尚なものを思い浮かべたりするかもしれません。

■好きなものは「三つ子の魂百まで」でいい
高齢者らしい趣味でないと、恰好がつかないと思われているフシもあります。
しかし「自分にとって好きなもの」「面白いもの」「興味の湧くもの」であれば、何でも趣味の対象にしていいのです。
「三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、好きなものは、いくつになっても好きなままでいいのです。

■SNSで同好の士とつながる
子どものころ好きだったことを思い出してみてください。
「ミニカーを集めるのが好きだった」 「魚釣りが大好きで、釣り道具が宝物だった」 「なんと言っても鉄道。蒸気機関車の写真を撮りに北海道へひとり旅をした」 このようにかつて夢中になっていた趣味を、高齢者になってから再開するのもいいと思います。
趣味についてSNSなどを活用してレポートすることで、同好の士との新しい人間関係も生まれるはずです。

■「自分にとって面白いもの」に没頭する生き方
イラストレーターのみうらじゅんさんは、「マイブーム」という言葉の産みの親で、文筆業やミュージシャンなど、さまざまな分野で活躍されています。
彼は小学生のころに仏像にはまって以降、フォークやロックなどの音楽、さまざまなスクラップ帳づくりや、世間的にはあまり評価されていなかったもののコレクションなど、「自分にとって面白いもの」「興味の湧いたもの」に没頭してきました。

「エッチな写真のスクラップ」とか、もらってもうれしくないような観光地の土産物とか、興味の赴(おもむ)くまま、没頭して面白がっている様子が、テレビや雑誌でよく紹介されています。
年齢的には高齢者の仲間入りをしているみうらさんですが、容貌も発想力も、若いころから変わっていません。

■「好奇心をもつ」こと自体が大切
みうらさんに限らず、作家、ミュージシャン、映画監督といった文化人の中には、良識派から見ればくだらないことや、眉をひそめたくなることを趣味にする人も少なくありません。
こうした人は年齢の割に若く見える場合が多いのですが、それは、さまざまなものに興味をもつという思考習慣があるからだと考えられます。
「何かに興味をもつ」「好奇心をもつ」こと自体が脳にとっては大切なのです。

■「思考の老化」を防ぐ
私はさまざまな個所で、脳の部位の中で前頭葉がいち早く老化することについて繰り返し述べてきました。
早い人の場合、40代から前頭葉の萎縮が目立ち始めます。
前頭葉を使わないと機能の低下に拍車がかかる点についても繰り返し触れてきました。
これはいわば脳のハードウェアについての説明ですが、
もうひとつ大切なことは、脳のソフトウェアの老化予防、つまり「思考の老化」を防ぐことです。
その方法のひとつが「さまざまなことに興味をもつ」という習慣であり、その実践が「趣味」というわけです。
「思考の老化」を防ぐには、「面白がること」が大切になってきます。
そのためには「役に立つ、立たない」とか「実現できる、実現できない」といった思考から離れることが必要になります。

■「オタク」は思考の老化予防になる
あらゆるジャンルに、自分の好きなことを狭く、深く掘りさげているマニアがいます。
いわゆる「オタク」と呼ばれる人たちです。
こうした人たちは「好奇心の幅が狭い」という点では、やや老化的な思考とも言えますが、その圧倒的な深さは好奇心あってのたまものです。

「鉄ちゃん(女性なら鉄子)」と呼ばれる鉄道ファンは、思考の老化予防という点では有利ではないかと思います。
とくに「乗り鉄」(鉄道に乗ることが好きな人)や「撮り鉄」(鉄道写真の撮影を趣味とする人)、「音鉄」(発車メロディや走行音の好きな人)の人たちは実際に行動してその場に行くので、脳にいい刺激を受けていると思います。

最近、駅のホームや線路沿いなどで、スマホで列車の写真を撮っている中高年もよく見かけます。
古典的な「鉄ちゃん」とは違い、普通のおじさん、おばさんが日常的な雰囲気で、鉄道にスマホを向けています。
鉄道が走る風景を見て、「撮影したい」という衝動を抱いたのでしょう。
これはとてもいいことだと思います。

■町を散策する60代、70代が増えている
鉄道ファンに限らず、世の中にはさまざまな「オタク」がいて、世間から見れば理解しにくいことに情熱を傾けています。
たとえば最近、地形をたどりながら町を散策する60代、70代が増えているようです。
東京なら四谷、渋谷、赤坂、上野あたりは、江戸時代に地形を活かした町割がつくられ、それを踏襲する形で現代の町並みができあがっているそうです。
その痕跡(こんせき)を発見しつつ、嬉々(きき)として歩いているのです。
用水や水路に蓋をした暗渠(あんきょ)や、市区町村の境界もポイントらしく、知らない路地であってもつい入ってみたくなるようです。

■「止むに止まれぬ好奇心」で思考の老化を食い止める
ラーメン好きには何百軒もの店を食べ歩いた猛者も多く、歴史やお店の系譜、味、作り方などを研究し、一家言ある人がたくさんいます。
老舗の名店から今のトレンドに沿ったニューウェーブ店まで食べ歩き、美味しい店を発見することが無上の楽しみという人が全国にいます。
そんな人たちは新作ラーメンの情報を聞くと「食べずにはいられない」という衝動が湧くのです。
「へえ、そんな人たちがいるのか。面白そう」と思えたでしょうか。
こうした「止むに止まれぬ好奇心」は、定年によって長く在籍した会社などの組織を離れた後はとくに重要です。
よくも悪くも周囲の刺激が少なくなって、思考の老化が進むからです。

■「ちょっと変わった人」でいるほうが脳にいい
思考が老化してくると「くだらない」「面倒くさい」「何が面白いの?」と、ものごとを突き放して捉えるようになり、自分から遠ざけるようになってしまいます。
当然ながら、「一度、体験してみようか」と思うこともなくなります。
自分のポリシーなり価値観なりを頑固にもち続けている人が「くだらない」とひと言で片付けると、なんとなく立派に見えたりもします。
反対に、還暦を過ぎて、鉄道だ、地形散策だ、ラーメンだ、と熱中している人は、ちょっと変わった人に見られがちです。

しかし、頑固に自分のポリシーや価値観にこだわって多少立派に見えるよりも、好奇心あふれるちょっと変わった人のほうが、脳にとっては好ましいのです。

----------
和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイナカード 返納の重み受け止めよ

<社説>
マイナカード 返納の重み受け止めよ
2023.07.07 東京新聞

 マイナンバーカードを巡るトラブルが相次ぎ、カードを自主的に返納する動きが広がっている。
にもかかわらず、政府は健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化する方針に固執している。
返納を重く受け止め、制度の在り方を根本的に見直すべきではないか。

 マイナ保険証を巡っては、新たなトラブルが発覚した。
 マイナ保険証の所有者と別人の顔が専用読み取り機で認証されたり、医療費の本人負担割合の情報がマイナ保険証と従来の保険証で食い違い、マイナ保険証の情報が誤りだったりした事例だ。

 加藤勝信厚生労働相は五日、衆院特別委員会で開かれた閉会中審査で、マイナ保険証への移行抜きでは「医療を守れない」と重ねて強調したが、マイナ保険証による手続きのトラブルが肝心の治療を妨げているのが実態だ。
 認知症患者らが暗証番号を管理できない問題では暗証番号抜きのカード導入が打ち出された。
用途はマイナ保険証に限定されるというが、現行の保険証を残しさえすれば解決できる問題だ。

相次ぐトラブルに、政府は六月「マイナンバー情報総点検本部」を設置。
岸田文雄首相は中間報告の取りまとめを八月上旬に前倒しするよう指示したが、制度堅持の姿勢は崩さず、カードの必要性について納得できる説明はない。

 そもそも情報のひも付けによるトラブルは、政府が自治体などに作業を急がせたことが原因だ。
点検手法を示さず迅速化だけを命じる政府の姿勢からは、原因を追究する誠実さは感じられない。
 点検作業を指揮する河野太郎デジタル相も、自治体の現場や旧民主党政権に責任転嫁しようとしたり、カードの名称変更に言及するなど迷走ぶりが目に余る。

 マイナカードにひも付けされた個人情報は経済界には顧客としての利用価値があり、政府には個人監視の有力手段となり得るが、ドイツやフランスでは各行政機関が異なる番号で個人情報を管理し、英国でも類似のIDカード法が廃止された。

プライバシー保護は民主主義国家での大きな流れだ。
 マイナ保険証に別人情報が登録され誤って投薬されれば命にかかわる。
カードの返納に込められた思いを軽く見てはならない。
 政府はカードの運用をいったん停止し、個人情報を集約することの是非を問い直すべきである。
posted by 小だぬき at 14:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月09日

「マイナンバー総点検」が残念すぎる理由〈消えた年金〉収拾の専門家が「ナンセンス」とバッサリ

「マイナンバー総点検」が残念すぎる理由〈消えた年金〉収拾の専門家が「ナンセンス」とバッサリ
三木雄信 トライオン代表
2023.7.7 ダイヤモンドオンライン

岸田信夫首相の肝いりで「マイナンバー情報総点検本部」を立ち上げたマイナンバー制度。
かつて「消えた年金記録問題」の対応をした筆者が、問題の本質について、ずばり提言します。(トライオン代表 三木雄信)

マイナンバー入力ミスが 2436万件あったとしても仕方ない理由
 最近、マイナンバー制度に関する問題が噴出しています。
「マイナ保険証に別人の情報が登録されていた」
「公金受取口座に別人が登録されていた」
「マイナポータルで別人の情報が閲覧可能になっていた」
「マイナポイントが別人に付与されていた」などなど。全国各地で新しい問題が発見される影響で、制度への不信感が広まり、岸田内閣の支持率低下の一因にもなっています。

 一連の問題の原因について政府は、「人為的なミス」と説明しています。
そして、マイナポータル上の29項目の、マイナンバーに対するひも付け業務時の人為的ミスの確認をするために、デジタル庁に「マイナンバー情報総点検本部」を設置し、厚生労働省と総務省、地方自治体などが連携して「総点検」すると言っています。

 しかし、私はこれで問題が解決するとは思えません。
理由は、実は私も同じようなひも付け業務を数百万件規模で一度、9億件規模で一度、プロジェクトマネージャーとして実施した経験があるからです。
 一度目は、ソフトバンク時代にブロードバンド事業の立ち上げをやっていた時です。
代理店が入力した数百万件の間違いや過不足のある申し込みデータを修正し、単一のIDに正しくひも付けするという業務でした。
 二度目は、自分が起こした会社を経営する傍、厚生労働省大臣政策室政策官、日本年金機構理事(非常勤)の立場にいた時です。
「消えた年金記録問題」を解決するため、9億件の紙台帳のデータとシステム上のデータのひも付け業務に当たりました。  この貴重な経験を通じて分かったことは二つ。

一つ目は、「人は一定の確率でキーボードの入力間違いをする」ということです。
どれだけプロのタイピストであっても、ミスがゼロではありませんし、入力するのはプロばかりでもありません。
 では、入力間違いの確率とは、どれくらいでしょう?
 消えた年金記録問題の対応をした2006年前後は、データ入力代行やアウトソーシングの業界団体が基準値を開示していました。
しかし現在はないので、一般的なタイピング大会の数値を参考にしてみましょう。

 大手家電量販店が主催する「トレンドマイクロカップ タイピングコンテスト2023春」の結果を見ると、「日本語タイピング 大学生・大人部門」の1位の人で、99.3%の正確性でした。
つまり、どんなにタイピングが得意な人でも、0.7%は不正確なのです。
 マイナンバーのデータは、1人当たり29項目を1億2000万人分です。
仮に入力ミス率が0.7%とすると、2436万件のデータが不正確ということになります。
膨大な数です。

本人に直接確認することでしか 判明しない場合がある
 もちろん、データ入力の業界では、こうした人為的ミスに無策なわけではありません。
業界では以前から、「ベリファイ」という作業で正確性を担保してきました。
それは、2人が全く同じ内容を入力し、正確かどうかを確認するという作業です。
こうすると、同じミスをする可能性は0.7%×0.7%となり、さらに元々のデータと突き合わせることで限りなく0%に近づけます。つまり、3重のチェックを行っているのです。
 こうすると全体の作業コストは倍以上かかりますが、人が介在して入力する以上、このような仕組みで対応するほかないのです。
データ入力企業はベリファイを行うことで、「正確性99.99%以上」などの品質保証をうたいビジネスをしています。
 実際、私がプロジェクトマネージャーとして実施した、消えた年金記録対応では、全ての突き合わせでベリファイを行いました。
その結果、大きな問題は起きていないと認識しています。

 二つ目は、「そもそもひも付け対象データが正確かどうかは、本人に直接確認することでしか判明しない場合がある」ということです。
 例えば、人名であれば「高」という漢字には、「(はしごだか)」と言われる異体字があります。
「高」と「(はしごだか)」、それぞれが記載されている2つのデータがあった場合、それらをひも付けて良いかは2つのデータをにらめっこしていても決して分かりません。
本人に電話なりメールなり手紙なりで接触して確認するしかないのです。
 なので、ソフトバンクのブロードバンド事業立ち上げではメールや電話で徹底して確認しましたし、消えた年金記録対応でも、電話やハガキで慎重に確認を行いました。

 こうした経験からも痛感したのですが、個人情報管理で重要なのは、可能な限り本人に、自主的に確認してもらうことなのです。
例えば、ソフトバンクのブロードバンド事業立ち上げでは、メールと連動してウェブサイトで確認できるようにしました。  マイナンバー制度では、マイナポータルが同様の役割を期待されているはずです。
しかし、現在のマイナポータルは、公金受け取りのための仕組みにとどまっています。
問題解決のため国民自身を巻き込んで個人情報を確認していく、そうしたコミュニケーションツールとして使おうといった議論がないことが非常に残念です。

 自身の個人情報について状況を知ることは、効率的に正確性を担保する仕組みとなりますが、実はそれだけではありません。
「基本的な人権の一つ」という考え方もあります。

行政と地方自治体挙げての 「総点検」がナンセンスな理由
 やや古い話となりますが、2001年、ソフトバンクの孫正義社長(当時)が衆議院の憲法調査会において、基本的人権として「ネットアクセスの権利」と「プライバシー保護の権利」を提唱しています。
 孫氏が説くネットアクセスの権利とは、「インターネット上に存在し日々、刻々と生まれる知的情報と有史以来の人類の知的遺産にアクセスできる権利を人は生まれながらにして自然権として平等に持つ」とするものでした。

 また、プライバシー保護の権利として「インターネットの普及による情報の伝達の容易化とともにプライバシーが侵害される可能性が高まっている。
個々人はプライバシーを保護される権利を持つ」とするものでした。
 残念なことに日本では、このような議論が深まっていません。
しかし、海外では法的枠組みとして明文化されたものがあります。

欧州連合(EU)におけるGDPR(一般データ保護規則)です。
 GDPRとは、個人データの保護とプライバシーに関する法的枠組みを提供する規制で、2018年5月25日に施行され、EU加盟国全体で適用されています。
EU加盟国で活動する日本企業も対象になることから、18年当時は日本でも多少、話題になりました。
 GDPRには、日本の個人情報保護に該当するものも含めたさまざまな原則があります。
一方、日本との違いもあります。
それが、個人の権利としての原則です。
GDPRで個人データにアクセスする権利として、個人データの主体は、次のような権利を持ちます(GDPR13条〜15条、GDPR20条)。

・管理者や管理の態様などに関する情報提供を受ける権利
・当該情報に対して能動的にアクセスする権利
・自分の個人データを機械可読性のある形式(電子ファイルなど)で受け取る権利

 こうしたGDPRも踏まえて、一連のマイナンバー問題について考えると、人の不注意やIT(情報技術)が原因というよりも、もっと憲法的・法的、社会工学的、情報工学的な問題をはらんでいると思います。
だから、行政や地方自治体を挙げて「総点検」すれば済むかというと、それも違うというか、ナンセンスなのです。

 必要なのは総点検を超え、社会的なシステムとして、長期的に正確性の向上を担保する仕組み作りです。
このことに、政治家も国民も早く気づいてしかるべきだと思います。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「冷房代節約」のリスク解説

「冷房代節約」のリスク解説
2023年07月08日 SPA!

こんにちは、一級建築士の八納啓創と申します。
会社員の方から上場企業の経営者宅まで、住む人が幸せになる家をテーマにこれまで120件の家づくりの設計に携わってきました。
『日刊SPA!』では、これまでの経験を生かし、「これからの時代に必要な住まいの姿」をテーマにお伝えしていきます。

◆高すぎる電気代にどう向き合うか
 2023年6月に電力会社が軒並み電気代を値上げしたことで、新型コロナが流行する前と比べると電気代がおよそ2倍近くになりました。
これにより多くの人が、家計を圧迫されて苦しんでいるかと思われます。
 今後、電気代はどのようになっていくのでしょうか? 為替などの関係で円安が続いている影響もあり、海外から輸入する燃料代自体もどんどん値上がりしています。
そういったことからも、電気代をはじめ、燃料代はますます高騰することも予想されます。
 さて、光熱費削減に関して、多くの人が見落としがちな盲点があります。
ここからは、光熱費削減を賢く行いながら、生活水準を下げずに快適な住環境を維持する方法を紹介していきます。

◆「冷房と暖房」のエネルギー消費量はこんなに違う
 TVやインターネットでは、光熱費の削減に一番つながる方法として「冷房の節約」を紹介しています。
もちろん、光熱費削減につながりますが、冷房を節約する前に知っておいてもらいたいことがあります。
 それは、一戸当たりの年間エネルギー消費量からみると、冷房代はその内訳のたった2%程度しかないという事実。
 資源エネルギー庁の調査によると、暖房の26.7%に比べて冷房のエネルギー消費量は2.2%。なんと暖房の12分の1程度しかありません。
「冷房も結構使っているけど、どうして暖房とこれだけ差があるの?」と不思議に思う人もいるかもしれません。
 実は理由は明確です。
暖房の時は、外気温が5度で20度設定にするとその差は15度。
冷房の時は、外気温が30度で25度設定にすると、その差は5度あります。
これらに加えて、例えば東京であれば暖房を使う期間は、11月〜3月の5か月ほどでしょうか。
対して冷房は、7月〜9月の約3か月程度と短いですよね。
 このように、冷房のエネルギー消費量は、暖房に比べて非常に少なく思えるでしょう。
そして、この“意外とコストのかからない”冷房を節約してしまうすることで大きな問題が2つ起こり得るのです。

◆冷房を節約して起こるリスクとは…

 一つ目の問題は「熱中症のリスク」です。
 暑い環境に体が適応できず、体温の調整がうまくいかなくなり、汗をたくさんかくことで、体内の水分や塩分のバランスが崩れることが原因。
おもな症状は、めまい、だるさ、吐き気、嘔吐などです。
 近年、家庭で熱中症にかかる高齢者が増えており、住宅での発生率が半数を超えています。
ここからも、高齢者は冷房を節約することによるリスクが高いと分かります。

そしてもう一つが、「ダニの大発生」です。
それは2011年の東日本大震災の年の夏のこと。電気を出来るだけ使わないよう、国民が一丸となって取り組んだ年でもあったのですが、冷房を使わなかったことが災いしてか、家庭内でダニが大発生したケースもあるようです。
 気管支喘息やアレルギー性鼻炎など、ダニによる、健康被害は多岐に渡ります。
先述した通り、年間エネルギー消費量が全体の2%で、暖房のエネルギー消費量の8%程度である冷房を節約したとしても、健康リスクが付きまとうと考えれば、本末転倒になりかねません。
 しかし、何か対策をしない限り、光熱費を押さえることができません。
そこで、猛暑を乗り切るために有効な手段をお伝えしていきましょう。

◆意外と侮れない「フィルター掃除」
 はじめに取り組んでいただきたいのが「エアコンフィルターの掃除」です。
これまでエアコンフィルターの掃除をしたことはありますか?
 実は、エアコンの効きは、フィルター掃除をすることで、まるっきり変わってきます。
 最近は「自動お掃除機能付きエアコン」も出ていますが、このエアコンもフィルター掃除が必要です。
しかしこのフィルターのメンテナンスがし難い構造になっているのがデメリットなので、フィルター掃除は専門業者に依頼したほうがいいでしょう。
 普通のエアコンの場合は、手軽にフィルター掃除が可能です。
最低年に1度は行いたいものですが、欲を言えば冷房を使用する前と暖房を使用する前の2回は実施したいです。

◆“28度設定”でも快適に過ごす方法
「冷房の空気」そのものが嫌いという話を聞いたことがあります。
その理由は、「べっとりとした冷たい空気が体にまとわりついて気持ち悪い」というもの。
なぜべっとりしているのでしょうか?
それは、湿度が高いまま冷房をかけているからです。

 ここで重要なのは、先に湿度コントロールをするということです。
湿度計で40〜60%に保つと、夏のエアコンはさらっとして気持ちよくなります。
 国が推奨している冷房設定温度は28度ですが、湿度さえコントロールしておけば快適になります。
外部の湿度が70%以上の時は窓を閉め切って除湿し、その後窓を閉め切ったまま冷房のスイッチを入れましょう。
湿度が上がるので、冷房を入れた後にすぐ窓を開けるのは控えたほうが良いです。

◆室外機のケアも忘れずに!
 なかには冷房をかけても全く効かない!と感じる人もいるのでは?
 そういった場合には、家の外に置いている室外機の状況を確認しましょう。
 室外機で冷房の冷気を作り出しているワケですが、室外機自体が直射日光で暑くなりすぎていたり、室外機の前が隣の家の壁でほとんどスペースがなく熱気がこもっていたりする場合は、冷房の効きは極端に落ちます。
 室外機の前面が壁の場合は、熱風を上に逃がす風よけルーバーなどで対処しましょう。
また、よしずなどを置いて、直接太陽光が当たらないようにするのもおすすめです。
これらの対策をするだけでも、冷房の効きは格段に違うはずで、夏を快適に過ごすことが出来るでしょう。

=====
 いかがでしたでしょうか? 冷房を節約することで起こりうる問題と年間のエネルギー消費量のバランスから考えても、暑い中我慢して家の中で過ごすことは、人権侵害にも近いと私は考えています。
「冷房を使わないことで起こるリスク」を念頭に入れて、どうすれば得するのか見定めれば、きっと賢く猛暑を乗り切れる術が見つかるでしょう。

【八納啓創】1級建築士
posted by 小だぬき at 14:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1万円で買えていたモノが買えなくなる⁉ 地道に貯金だけをしていた人の末路

1万円で買えていたモノが買えなくなる⁉
地道に貯金だけをしていた人の末路
7/9(日) withonline

突然ですが、質問です。
あなたはお金持ちになりたいですか?
まれに、「NO」と答える人もいるかもしれませんが、ほとんどの人の答えが「YES」ではないでしょうか? 
では、再度質問。あなたはお金持ちになる方法を知っていますか?
この質問に関しては、「NO」と答える人が多いと思います。

どうしてお金持ちになりたいのに、お金持ちになる方法を知らない人が多いの? 
その理由は簡単。
お金持ちになる方法を学んでこなかったから!

「お金持ちになる方法があるなら知りたい!」そう思った人にうってつけなのが、マネーコンサルタント頼藤大希さんによる『1日5分で、お金持ち』(クロスメディア・パブリッシング)。
この本では、お金の基本から、投資、節税まで、お金持ちになるために押さえておくべき知識が紹介されています。
「お金のことって難しそう……」と苦手意識を持っている人でも理解しやすいように、1つの項目が5分で読めるように短くまとめられているうえ、Q&A形式でやさしく解説されているから、内容がするするっと頭に入っていきて読みやすいんです。
さらに、読んだ後にすぐにやるべき行動も紹介されていて、読んだだけで終わらず、お金持ちになる具体的な行動や習慣が身につけることもできます!
そんなお金持ちになるための知識がギュッとつまった『1日5分で、お金持ち』から、気になる中身を一部抜粋してご紹介します。

115年前は月40円で生活ができていた!
貯金箱に1万円が入っていたとします。その1万円は、取り出さない限りそのまま1万円としてあり続け、額面そのものは減りません。
しかし、だからお金の価値が減らない、というわけではありません。
お金の価値は変化するからです。
たとえば1906年(明治39年)に発表された夏目漱石の小説『坊ちゃん』では、主人公の坊ちゃんが四国の中学校の先生を務めます。
この時の初任給は40円でした。
2019年(令和元年)の愛媛県の中学河野先生の初任給は21万1854円ですから、約5300倍もの差があります。
明治時代は40円で1ヵ月生活できていたはずですが、今40円あっても、1食分にもなりません。
なぜなら、当時と今では、物価が大きく違うからです。
たとえ1万円が1万円のままであったとしても、物価が上昇してしまえば、1万円の価値は目減りしてしまうことになります。 物価が上がれば、今1万円のものが数年後には1万円で買えなくなる! 物価上昇(インフレ)はじわじわと時間をかけて起こります。

1990年から2020年、約30年間の物価の変化を見てみると、小麦粉1kgが202円から263円(約30%値上がり)、喫茶店のコーヒー1杯が351円から515円(約46%値上がり)、そしてYシャツ1枚の洗濯代が210円から241円(約15%)と、いずれも大きく上昇しています。
そしてもちろん、これら以外の物価も同様に、少しずつ上昇しています。

現状、銀行の普通預金の金利は0.001%です。これは、1年間100万円を預けてようやく10円(税引き後で8円)増える計算です。
物価がこの金利よりもハイペースで上昇すると、1万円の価値は目減りすることになります。

貯金だけではお金を守ることはできない!
物価の変動を示す指標に「消費者物価指数」があります。
これはある時点を基準にして、物価がどう変動したかを表すものです。
この原稿を執筆時点で、2015年を100とすると、2020年10月の消費者物価指数は101.8(総合)。
つまり、2015年時点で1万円だったものが、2020年10月には1万180円になっているということです。
このように、お金の価値は変化し、目減りすることもあります。
預貯金を大切に持っていれば安心、ではないのです。
身近なサービスが10年前はいくらだったのかを考えてみれば、わかりやすいかもしれません。

とはいえまずは貯金から!余裕資金で投資にチャレンジしてみて
預貯金だけではダメだとわかった今、どう行動したらいいのでしょうか?
預貯金だけを大切にしているのはダメですが、やはりまず一歩は貯蓄からスタート。
生活の6ヵ月から1年分の預貯金を貯めましょう。
その金額があれば、万が一、ケガや病気をしたり、リストラされてもひとまずは大丈夫です。
今度は、お金を大きく失うリスクを抑えながら増やす「積立投資」を取り入れましょう。
値動きのある商品は、積み立てでコツコツ購入すると、価格が安い時にたくさん買い、高い時に少しだけ買うので、平均購入価格を下げることができます(ドルコスト平均法)。
これにより、値上がり時の利益を得やすくなります。

積立投資でまず利用したい制度に、つみたてNISAとiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)があります。
どちらも利益(運用益)が非課税になるため、効率よくお金が貯められます。
もし、「いきなり投資はちょっと怖い」「投資に振り向けるお金がない」という場合は、ポイント投資や100円や1000円など少額からの積立投資もおすすめです。

すぐにできるアクションとして、身近なサービスが10年前はいくらだったのかを考えてみましょう。
物価上昇を肌で感じたら、NISAやiDeCo、ポイント投資など、自分に合った投資法について調べてみましょう。

お金持ちになるのは意外と簡単!
「1日5分で、お金持ち」から、with online読者でもすぐに取り入れられそうなお金の見直しテクニックをご紹介しました。お金持ちになるのは難しいように思えますが、お金に対する考え方・行動を変えることで、どんどん貯金体質に近づき、お金持ちへの道が開けます。
今回ご紹介したことを今すぐ実践してお金持ち体質を目指しましょう!

お金の情報を発信するマネーコンサルタント
頼藤太希(よりふじ・たいき)
posted by 小だぬき at 17:31 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月10日

【最初が肝心】“激怒するクレーマー”への最強の対処法、「たじろがせて、座らせる」とは?

【最初が肝心】
“激怒するクレーマー”への最強の対処法、「たじろがせて、座らせる」とは?
2023年07月09日 ダイヤモンドオンライン

クレームを言うお客さまにもいろいろなタイプがいる。
理詰めの客、言い分が見当違いな客、謝罪を迫る客……。
なかでも、特に多くの人が嫌だと感じているのは「怒鳴る客」ではないだろうか。
電話越しにしろ、対面にしろ、突然怒鳴られて萎縮しない人はほとんどいない。
話も通じないし、体を小さくして相手の怒りが収まるのを待つしかない、というパターンが多いはずだ。

しかし、『クレーム対応 最強の話しかた』の著者で、クレーム・コンサルタントの山下由美氏は、「相手の怒りをコントロールするのが意外と楽なのは、最初から怒鳴ってくるお客さま」と語る。
本記事では、本書の内容をもとに、「怒鳴る客の怒りの収め方」を紹介する。(構成:神代裕子)

■いきなり怒鳴ってくる客への対応策  
客からいきなり怒鳴りつけられる。
働いていて、これほど心臓に悪いこともなかなかないだろう。
 筆者もアルバイトで接客業をしているときに一度経験したことがあるが、そのお客さまがなぜそれほど怒っているのか状況もよくわからないし、相手が年上の男性だとかなり怖い。
 その時は、ただただ嵐が過ぎ去るのを待つように、その客が怒鳴り終わるのを待ったのを覚えている。
 幸い、ひとしきり怒鳴った後は会話が成り立ち、要望に沿うことができたのでことなきを得たが、正直なところ、怒鳴る客はもうご免である。
 しかし、『クレーム対応 最強の話しかた』の著者でクレーム・コンサルタントの山下由美氏は、こういった「最初から怒鳴ってくるお客さま」に対する意外な対応策を教えてくれる。
 それは、「怒鳴るお客さまと同じように、怒鳴るくらいのトーンで謝る!」という方法だ。

■怒鳴る客には「怒鳴り返すように謝る」
 いくらなんでも「怒鳴り返すように謝る」と、余計怒りを買いそうな気がするが、山下氏は「この方法で今まで失敗した例はない」と自信を持って語る。
 その理由は次の通りだ。
 たじろいだその瞬間がチャンス。
そこからお客さまを落ち着かせるように誘導していく、というのだ。

■座らせて心拍数を下げることで冷静に
 この方法には続きがある。
落ち着かせるためのアクションに移るのだが、一番いい方法が「落ち着ける場所に移動して座ってもらうこと」なのだそうだ。
「理論的な説明で冷静になってもらって心拍数を下げる」のではなく、「座ってもらうことで心拍数を下げ、冷静になってもらう」というのだから驚きだ。
 なおこの方法においては、「謝る」といってもこちらの非を認める訳ではなく、「ご足労いただいて申し訳ありません!」など、謝る対象を限定する言葉をつけて、クレームの本題とは別のことについて謝るのがポイントだ。
 この方法で、お客さまはかなり落ち着き、怒鳴るのを止めるケースがほとんどだという。
なんと素晴らしい方法だろうか。

■電話口で怒鳴ってくる客にも同じ対応を
 先ほどは対面での対応を紹介したが、電話口で怒鳴られていたとしても、「怒鳴る勢いで謝ることの効果は同じ」なのだそうだ。
 ただし、電話の際の注意点は、「日頃から電話を受けるときは、ハキハキとした口調で語尾を上げるように心がけること」だ。
 その理由は、この方法だと「怒鳴られたときに一瞬でテンションを上げなければならなくなるため、語尾を下げて静かな口調で受けてしまうと、大声で謝るのが難しくなるから」と山下氏は語る。
 お客さまに怒鳴られるようなシーンには出会わないに越したことはないが、「もしも」の時のために日頃から「ハキハキと」と「語尾を上げて話す」は意識しておくといいだろう。

■対処法を身につけて、クレームを解決!
 怒鳴るお客さまがいたら、まずは落ち着かせることが重要、ということだ。
 いつまでも怒鳴られていると話が進まないし、対応している側の気持ちも削られていく。周りのお客さまにも迷惑だ。
 まずは落ち着かせて、その後しっかりクレームの内容に対応していけば良い。

 本書には次のステップとして、クレーム対応の解決策が記載されているので、詳しくは手に取ってぜひ読んでみてほしい。  特に、お客さまの相談窓口など、怒りに身を任せたお客さまの対応をすることが多い方は必見である。
 お客さまの怒りを上手にコントロールして、きちんとコミュニケーションを取れる状況をぜひ手に入れてほしい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイナカードと保険証の一体化は“詐欺の手口”…第2の「消えた年金」問題になる(元木昌彦)

マイナカードと保険証の一体化は“詐欺の手口”…第2の「消えた年金」問題になる(元木昌彦)
7/9(日) 日刊ゲンダイデジタル

 それは週刊現代の連載から始まった。
 ノンフィクション・ライター岩瀬達哉の「『年金崩壊』のウソ 誰が安心を食い潰したのか」(第1回は2001年5月19日号)である。
 この連載が始まる前年、厚生労働省は、少子高齢化で年金制度が崩壊するとあおり、厚生年金の給付額を5%カットし、60歳から受け取れるはずだった年金(報酬比例部分)の支給開始年齢を段階的に引き上げる改正法を成立させていた。
 だが、その中身を検証してみると、一連の「年金危機キャンペーン」が欺瞞に満ち、事実が歪曲されたものだったことがわかってきた。
岩瀬は、わざと難解にしている公的年金制度を丹念に読み解き、地道な取材を重ねて、国民から集めた「掛け金」が給付以外の目的で乱費されていたことを明るみに出したのである。

年金加入者の承諾なしに、「掛け金」が健康福祉センター(サンピア)や大規模年金保養基地(グリーンピア)などの建設に流用され、官僚たちの「利権」と「天下り先」になっていた。
 その事業の失敗で失われた年金資金約2兆円を加えると、1998年度末で総額約4兆3000億円の年金財源が失われたことになると実証したのである。
 この連載は国民の怒りに火をつけた。岩瀬は民主党(当時)の長妻昭議員とタッグを組み、「消えた年金問題」を長妻が国会で徹底追及した。
これが社会保険庁解体のきっかけとなり、2007年の参議院選挙で自民党は惨敗。安倍晋三第1次政権は崩壊したのである。

 消えた年金という“分かりやすさ”が国民に受け入れられたのだが、今のマイナカード問題も、同じようにとても分かりやすい。
 5000円付与ではマイナカードが普及しないのに業を煮やした岸田首相が、2万円に引き上げるという大きな「アメ」をぶら下げて国民に加入を促した。
入るだけで2万円ももらえるならと、あっという間に国民の8割近くがカネに釣られて加入した。
 だが、河野太郎デジタル相が突然、「マイナンバーカードと健康保険証を一体化する」(2022年10月13日の会見)と言い出し、続いて岸田首相が「2024年秋に現行の健康保険証を廃止してマイナ保険証に一体化する」と明言したから、「詐欺の手口のようではないか」という批判が巻き起こったのである。

 システムは稚拙だし、別人の医療情報が誤登録されるなど深刻なトラブルが相次ぎ、毎日新聞が6月17、18日に実施した全国世論調査では、「マイナ制度に不安を感じる」が64%、来秋に健康保険証の廃止に「反対」が57%に上った。
「デメリットばかりが目立つ“マイナス事業”へと変質した一連のマイナ事業」(新潮7月6日号)。
マイナカードを返納する動きも急増している。
 岸田・河野コンビは、“功”を焦りすぎて墓穴を掘ったといっていいだろう。

 私はハナからマイナカードを申請しようなどと思っていなかった。
まったく信用できないこの国に自分のプライバシーを渡すことに我慢がならないからだ。
 これまでも国民総背番号制(住民基本台帳法)や作家の城山三郎氏が「平成の治安維持法になる」といった個人情報保護法にも反対してきた。

ここで、マイナカードと保険証の一体化を許せば、あらゆる個人情報が国に逐一把握され、監視されることになり、この国は民主国家ではなくなる。
マイナ問題を第2の「消えた年金」にしようではないか。 (文中敬称略)

(元木昌彦/「週刊現代」「週刊フライデー」元編集長)
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月11日

河野デジタル相「微々たる数」「問題にならない」発言が火に油!マイナ自主返納さらに加速

河野デジタル相「微々たる数」「問題にならない」発言が火に油!マイナ自主返納さらに加速
2023/07/10 日刊ゲンダイデジタル

集中企画・マイナ狂騒(15)
 河野デジタル相が連日、言いたい放題だ──。
全国でマイナカードの自主返納が急増しているのは、国民の不信や不安の表れだ。
ところが、河野大臣はこうした動きを小バカにする発言を連発。
自主返納を“些細なこと”にして、フタをしようと躍起になっている。
  ◇   ◇   ◇  
河野大臣は8日、静岡市内で「(自主返納が)増えているという人がいるが本当に微々たる数だ。
マイナンバーカードの申請数は1日1万人を超えている。
あまり『返納』『返納』と言わない方がよい」と強調。
 さらに、9日は兵庫県洲本市で「返納についてはほとんど数がないと聞いている。問題ではない」と「問題」にすらならないと言い放った。
しかし、自主返納は「微々たる数」で、片づけられる動きなのか──。

 日刊ゲンダイは報道や自治体発表を基に自主返納の件数を調査した(別表)
自主返納の件数を集計していない自治体もあり、報じられていない県も少なくないが、それでも全国であまねく拡大していることがわかる。

マイナ不信、全国に急拡大で焦り?
 河野大臣は件数だけを捉えているが、注目すべきは増え方だ。
横浜市は4、5月が十数件だったが、6月は140件と約10倍。
佐賀市は4、5月ゼロだったのに6月は13件も発生している。
沖縄は4月8件、5月19件、6月80件とトラブル発覚に比例して激増している。

「共通番号いらないネット」の原田富弘氏が言う。
「私はマイナンバー制度に反対の立場で、もちろんマイナカードも取得しませんでしたが、マイナカードを自主返納している人は、そういう人ではありません。
カードに期待したか、少なくとも、所持することに問題はないと判断して取得したはずです。
その人たちがあえて自主返納する動きが、目に見える数字で全国津々浦々に広がっています。
河野大臣は『微々たる数』で済ませようとせず、自主返納に込められた国民のメッセージにしっかり耳を傾けるべきです」

 連日、自主返納を矮小化する発言を繰り返しているのは、世論の盛り上がりを警戒した“焦り”の裏返しなのだろうか、これらの発言により、火に油が注がれている。
 ネット上では〈河野大臣が発言すればするほど #マイナンバーカード大返納運動 が起こる〉
〈この人は返納した人の気持ちとか、今のトラブル中とか何も感じてないんだな〉
〈微々たると言い張る河野ビビってる〉と大炎上だ。

 河野大臣の「上から目線」の不遜な態度は、自主返納の動きをさらに加速させることは間違いない。
河野大臣が「ギャフン」と音を上げる日は近いか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ビートたけし、『TVタックル』でマイナ保険証を疑問視 「暗証番号なんて…」

ビートたけし、『TVタックル』でマイナ保険証を疑問視 「暗証番号なんて…」
2023年07月10日 Sirabee

9日放送の『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)で、ビートたけしがマイナンバーカードの現状に苦言を呈した。

■マイナンバーカードを特集
番組は政府のマイナンバーカードのトラブルについて特集。
マイナ保険証については通信トラブルや情報の誤登録が相次ぎ、信頼性が揺らいでいるとのこと。
これを受けた加藤勝信厚労相が記者会見で「念のためマイナンバーカードと合わせて保険証を持参してもらうことが考えられる」などと話す様子が放送される。
するとナレーターが「え? 保険証を持参? 現行の保険証は来年の秋に廃止され、トラブル続きのマイナンバーカードと一体化される予定だ」とツッコミを入れた。

■たけしが苦言
たけしは「なんだかマイナンバーとか、マイナンバーカード。なにがなんだか全然わかりません。
なんか暗証番号なんて言われると。
マイナンバーカードに暗証番号まで必要なの?」とコメントする。

阿川佐和子が「マイナンバーカードにマイナンバーがあるんじゃないですか?」と指摘し、パトリック・ハーランも「違うナンバーがつくんですね」と話す。
すると、たけしは「保険証とマイナンバーカードを2つ持ってこいって、1つでいいじゃねえか、そんなもの。
じゃあ今まで通りでいいじゃないか。
年寄りはなんなの。どうなっているんだ、これ」と苦言を呈した。

■山口氏は「情報をちゃんと見たほうがいい」
この日のゲストで元・財務官僚の山口真由氏は「たとえば口座連携のヒモ付けを取りたいんだったら、それはマイナポータルってところに行って口座連携を解除するって言ったら、 解除できるんです」と指摘する。
そして「逆にカードを返してしまうと、自分の情報などがどう管理されているのか、わかりにくくなっちゃうのでマイナンバーに不信がある人は、マイナンバーカードを持って政府がどういうふうに情報を使ってるかをちゃんと見たほうがいいのかなっていうのが、私は個人的に思う」と話した。

■パトリックも「ノーミス主義が高まりすぎ」
話を聞いた阿川が「返納するのは意味がない?」と質問すると、「象徴的な行為なんですかね」と山口氏。
パトリックも「パフォーマンスですね」と斬ったうえで、マイナンバーカードの利便性を指摘する。
そして「マイナンバーカードがあるといろいろと便利になってきているんですよ。
便利な制度に移行するのに、さまざまなミスが起きているんですけど、日本の方はノーミス主義が高まりすぎている」とコメントする。
山口氏も同調するが、阿川と大竹まことは納得がいかないようで反論し、議論が繰り広げられた。
posted by 小だぬき at 02:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

医師への謝礼・心付けは不要? 医師に袖の下を渡すと悪印象を与えるリスクも

医師への謝礼・心付けは不要? 医師に袖の下を渡すと悪印象を与えるリスクも
2023年07月11日 PRESIDENT Online

医師への謝礼・心付けを断る病院がほとんどだが、本当に不要なのか。
内科医の名取宏さんは「昔、医師や看護師などに心付けを渡す慣習があったけれども、今では不要どころか、かえって迷惑になるのでやめたほうがいい」という――。

■注目を集めようと意図的に炎上させた可能性大
少し前、SNSのひとつであるTwitterに自称研修医が「お医者さんへの謝礼・心付けは絶対に渡した方がいい」「対応やオペの丁寧さに必ず差が出る」「謝礼があると対応がガラッと変わる」などと書いて炎上しました。
医師を名乗って、対応やオペの丁寧さが変わるからと謝礼を要求するようなことをツイートするのは、ありえないことです。

実際には、医師への謝礼・心付けは不要です。
たいていの病院は「謝礼や心付けはお断りします」と明示しています。
日本には医師が30万人以上もいますので、謝礼の有無で対応を変える医師が一人もいないと断言することはできませんが、私が医師として働いてきた25年ほどの経験の範囲内では、そういう医師と一緒に働いたことはありません。
この自称研修医は「麻酔科医に渡すと金ドブなので要注意。渡しても五千円」といったことも書いているので、注目を集めるために意図的に炎上させようとしたと私は考えます。
万が一、医師の対応が謝礼の有無で変わるとしても、手術中の呼吸や循環動態を管理し、患者さんの安全に重要な役割を果たす麻酔科医を軽視するのはおかしいでしょう。
「麻酔科医にも忘れずに十分な謝礼を渡せ」としたほうが、多少は信憑(しんぴょう)性が上がったと思います。
本当に研修医かどうかさえ疑わしいです。

■医師に袖の下を渡すと悪印象を与えるリスクあり
それでも読者のみなさんのなかには、「謝礼お断りはあくまで建前であって、本音ではない。医師も人間だから、袖の下を渡すことで扱いが変わるのでは」とお疑いの方もいるかもしれません。
でも、謝礼を渡すことでなんらかの便宜を図ってもらえるどころか、悪い印象を持たれるリスクさえあると私は思います。
ちょっと考えてみてください。
よりよい対応を期待して謝礼を渡すということは、医師に対して「あなたは謝礼の有無で患者への対応を変えるような医師だ」と言っているようなものです。
ですから医師に謝礼を渡すなら「なんて失礼な人だ」と思われるリスクもあると覚悟した上で渡してください。
私自身、患者さんのご家族に「いやいやまあまあ」などと言いながら白衣のポケットに無理やり謝礼をねじ込まれそうになり、正直言って大変無礼だと思ったことがあります。
一方、「私が謝礼を渡した医師はスッと受け取ってくれた」と言う読者もいるでしょう。
でも、その医師が喜んだとは限りません。
「受け取れません」「そんな固いことを言わずに」「そういうわけにはいきません。お気持ちだけちょうだいします」「いえいえ、そんなことおっしゃらずに」「規則ですから。申し訳ありません」などと押し問答するのが面倒なので受け取っただけかもしれないでしょう。
特に外来が混み合っているときは、そんなことで時間を浪費し、他の患者さんたちを長時間お待たせしては多大なご迷惑になります。

■退院時にお礼の品をいただいていたのも今は昔
もちろん、医師に謝礼を渡そうとする患者さんやご家族の多くは、特別扱いしてほしいわけではないでしょう。
古くからの習慣やマナーだと思っていて失礼がないよう、あるいは純粋に厚意でお礼をしたいだけだと思います。
もう時代遅れの習慣で、今では受け取ることはできませんが、昔は確かに金品ではなく、お礼の品をいただくことがよくありました。
退院時の菓子折りは最たるものでしょう。
入院前や手術前なら対応をよくしてほしいという下心があるのかもしれませんが、退院時なら純粋に感謝の気持ちの表れでしょう。
私が研修医の頃のエピソードですが、変わったものをいただいたことがありました。
同僚がパン工場にお勤めの患者さんから段ボール箱いっぱいの菓子パンをもらったのです。
研修医はだいたい腹ペコでしたので、医局に置いていたら1日も経たずになくなりました。
そのほか、一人では食べきれないほど大量の生エビをいただいた同僚が、自宅で食事会を開いて研修医仲間に料理をふるまったこともありました。
その食事会がきっかけで結婚した同僚もいます。
ご遺族からお礼をいただくこともありました。
長らく私が診ていた年配の男性が亡くなられたあと、ご家族がご挨拶に来てくださった折、故人の持ち物であった洋酒をいただきました。
病気がよくなったら飲もうと思われていたのでしょう。
私には洋酒の良しあしはわかりませんが、おそらく高価なものです。
これは突っ返せるわけがありません。ありがたくちょうだいしました。
やはり長く診ていた年配の女性が亡くなったのち、故人の作品である刺繍(ししゅう)をいただいたこともありました。
光栄なことです。
桜の咲く風景を描いた心のこもった素敵な刺繍です。今でも家に飾っています。

■患者さんの贈り物を受け取るという「臨床医の極意」
日赤医療センターの化学療法科部長の國頭英夫(ペンネーム:里見清一)先生の著書『偽善の医療』のなかに「贈り物は喜んで受け取るべきである」という章があります。
医師は、患者さんからの贈り物を「受け取ってもよい」のではなく「より積極的に受け取るべき」だというのです。
この本には、たとえば診察室や病室で患者さんから菓子や果物をすすめられたときに医師は「決して断ってはならず、礼を言ってもらった上で、その場で食べなければならない」と書かれています。これが「臨床医の極意」なのだそうです。
どうして極意なのかというと、患者さんの立場に立って考えてみるとよくわかります。
自分が差し出した食べ物をお礼を言って快く食べてくれる医師と、せっかくの厚意をむげに断る医師とでは、どちらが信頼できるでしょうか。患者さんからの厚意を断るのは、ある意味では失礼です。
気を悪くするどころか、怒り出す患者さんもいらっしゃるぐらいです。

お菓子でもお金でも、厚意を断るのは失礼であることは変わりありません。
昔は、孫にお小遣いをあげるような感じで謝礼をくださるお年寄りがいらっしゃいました。
医師がにっこり笑って嬉しそうに受け取れば、患者さんも幸せを感じたことでしょう。

■「なぜ謝礼を断るべきなのか」に対する本質的な答え
それでは、なぜ現在では、ほとんどの病院で医師や看護師に対する謝礼をお断りしているのでしょうか?
 「公立病院の職員は公務員にあたり、患者さんから謝礼を受け取ると収賄罪に問われる可能性がある」「税法上は雑所得という扱いになり、申告しないと脱税になる」という理由がよく挙げられます。
もちろんそれも正しいのですが、本質的な理由とはいえません。

「私立病院の医師は、あとで確定申告をすれば、患者さんからの謝礼をもらってもまったく問題ない」と言えるかどうかを考えてみればわかります。
謝礼を断らなければならない一番の理由は、医療従事者が謝礼を受け取ることが習慣化すると、他の患者さんに「謝礼を出さないと不利益を被るかもしれない」という危惧を抱かせてしまうからだと私は考えます。
ときに知人から「今度、手術を受けることになったけど、医師への謝礼はいくら包めばいい?」と相談されることがあります。
当然、謝礼は不要であることを伝えるのですが、本来このような疑問が生じることがあってはいけないのです。
大事なことなので繰り返します。病院の窓口できちんと決められた治療費などの金額を支払えばよく、医療従事者に金品を贈る必要はありませんし、贈るべきではありません。
もはや、マナーでも習慣でもありません。かえって迷惑をかけることもありますし、他の患者さんに余計な気を遣わせることになりかねません。

■感謝の気持ちは会話または手紙で伝えるのがいい
医療従事者へのお礼の品は、ささやかなお茶やお菓子も控えたほうがいいと思います。
病院内で診察・回診中の医師なら「臨床医の極意」としていただいてもいいかもしれませんが、たとえば訪問看護ではそういうわけにいきません。
きわめてまれなケースですが、訪問した介護福祉士の女性が睡眠薬入りのお茶を飲まされた事件がありましたから、飲食物を口にするのは危険です。
あっちの家ではお茶をいただき、こっちの家では断るというわけにもいきませんから、一律でお断りしている施設が多いそうです。
どうしてもお礼の気持ちを表したいのであれば、手紙やハガキがおすすめです。
封筒に手紙を入れて直接手渡すと要らぬ誤解を招きますので、病院宛てに郵送するのがいいでしょう。
私は、患者さんからいただいた手紙は全て保存して、時折読み返しています。私の宝物です。
患者さんのお孫さんから「将来の夢は医者になること」というお手紙をもらったこともあります。
嫌なことがあって落ち込んでいても、患者さんやそのご家族からの手紙を読むとやる気が湧いてきます。
長い文章でなくて構いません。
「おかげさまで元気です。その節はありがとうございました」だけで十分です。
そもそも文章にしなくても、言葉でご挨拶していただくだけでも、十分に気持ちは伝わっています。
見返りを求めるためのお金をもらうよりもずっとありがたいです。
言葉を伝えるだけでは物足りないようでしたら、院内の投書箱に「医師の○○さんに親切にしていただいた」「看護師の○○さんのケアが素晴らしかった」などと具体的に書いて投書してください。
よりよい医療やケアにつながるでしょう。
どうしてもお金を渡したいなら医師個人ではなく、病院や医療関係の非営利団体に寄付してくださいね。

----------
名取 宏(なとり・ひろむ) 内科医
posted by 小だぬき at 11:55 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月12日

本当は寝たいのに…頭がさえて眠れないときに、一瞬でグルグル思考を止める「魔法のフレーズ」とは?

本当は寝たいのに…頭がさえて眠れないときに、一瞬でグルグル思考を止める「魔法のフレーズ」とは?
2023年07月11日 ダイヤモンドオンライン

「この仕事、ちゃんと締め切りまでに終わらなかったらどうしよう…」。
寝ようとするといろいろな考えが頭の中にわいてきてしまい眠れない。
グルグル思考が止まらない人におすすめなのが、2023年6月28日に発売になった『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼著)だ。
著者はベストセラーになった『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)など、多数の著作を持つ人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏。
最新作の『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』では、心理学的なアプローチによって、働きすぎている意識をストップし、読むだけで眠くなるメソッドを多数紹介。
「なぜか眠れた」「ストレスを感じている人にもおすすめ」「眠るのが楽しみになった」などの感想がすでに多数寄せられている。
「現代催眠」をベースに、読むだけで眠くなるしかけがちりばめられた本書。
今回は発売を記念して、本書から特別に「グルグル思考を止める魔法のフレーズ」を紹介する。

■問題の解決策をずっと考えてしまう…
仕事やお金のことばかり考えていると、神経が高ぶって眠れなくなる。
そんなときは、いったん無意識に任せてみよう。
眠っている間に、無意識は夢の中で次から次へと正確な計算をしてくれる。
そんなイメージをすると、考えすぎることから解放されて、気持ちよく眠れるようになる。

…… ある男性は「どうしてお金が貯まらないんだろう」と悩んでいました。
残業代をふくめた給料と生活費を細かく計算しているのに、お金がちっとも貯まりません。
学生時代から計算は比較的得意でしたが、貯金通帳を見ると全然貯まっていないのです。
こんなにいつも頭の中で計算しながら生活しているのに、貯金はどんどん減っていく一方。
ふだんの買い物も高いものを買っているわけではなくて、一番リーズナブルなものを買っています。
周りの人よりもお金を使っていないはずなのに、なぜかお金がたまりません。

仕事でも、最初にスケジュールをしっかり立てているはずなのに、気がつくと予定がどんどん後ろ倒しになっています。
上司からも「ちゃんと考えて計画を立てているのか。自分の仕事のスピードを計算してから計画を立てるように」と言われる始末。
「自分は計算がちゃんとできていないのかもしれない」と自信をなくして、不安から不眠気味になっていました。
そんな男性が「夢の中では100倍の処理能力」というフレーズを、カウンセラーから教えてもらいます。
唱えるだけで貯金通帳に変化が出たり、仕事がうまくいくようになったりするのであれば、とフレーズを唱えてみることにしました。

■自分で考えるより「夢」に任せたほうが圧倒的に効率がいい
お金の計算をするときやスケジュールを立てるときに、このフレーズを唱えてみます。
唱えていると「100倍の処理能力ってどんだけ〜」とツッコミたくなります。
フレーズを唱えていると、「うわ、自分は人間関係でも計算しているかも」と損得勘定で人の付き合いを決めている自分に気づき、ちょっとびっくりします。

「お金が貯まらない」と思ったときにもフレーズを唱えてみると、「あれ? もしかして細かく計算すればするほどお金って貯まらなくなる?」という不思議なことに気づきます。
夢の中で計算したほうが本当に効率がいいのかも、と思っていると、寝る時間が早くなっていきます。
なぜなら、昼間に計算するよりも、夢の中で100倍の処理能力で計算したほうが効率的だと思ったからです。
フレーズを唱えながら眠ってみると、子どもの頃に遊んだパラパラ漫画のように、いろいろな記憶がパラパラと次から次へと素早く切り替わる場面が見えます。
「うわ〜! 夢の中ではこんなにものすごい速度でいろいろなことを計算しているんだ!」と感動します。
これなら自分で計算するよりも、本当に100倍の処理能力があるかもしれないと思い、昼間に細かい計算をしなくなります。 しばらくフレーズを唱え続けていると、眠るのが楽しみになっていきました。

■焦りやストレスで、計算できなくなっていた
久しぶりにネットバンキングで残高を調べてみたら、「うわ! これまでよりも貯金が増えているかも!」とちょっとうれしくなります。
その男性は計算に自信があったのですが、いちいち細かいことを計算していたことがストレスになって、気がつかないうちにムダ遣いをしていたから貯金ができなかったのかも、と思い至ります。
仕事のスケジュールがうまく立てられなかったのも、「早く終わらせなければ」ということばかり考えて、質の高い仕事ができていなかったから、結局やり直しが多くなってしまっていたことに気づきました。

夢の中の100倍の処理能力にすべての計算を任せたら、ストレスが軽減して状況が変わってきたのかもしれない。
もともと計算が得意なのだから、その100倍の処理能力を夢の中で発揮してくれるのだったら、人生がどんどんおもしろい展開になっていきそう。
フレーズを唱えて眠ると、100倍の処理能力によって、これまで考えられなかったような展開が起こっていく。そんな予感がしたのです。
(*本稿は『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』より一部抜粋、再編集したものです)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

麻生副総裁「河野さんは閣内に残らない方がいい」の真意…“クビ宣告”なのか、親心か?

麻生副総裁「河野さんは閣内に残らない方がいい」の真意…“クビ宣告”なのか、親心か?
2023.7.12 日刊ゲンダイデジタル

「9月中旬軸」と報じられている内閣改造・自民党役員人事。
焦点は茂木幹事長と河野デジタル相の処遇などと言われているが、これについて麻生副総裁が9日付の「北國新聞」の「総理が語る」で毎度の言いたい放題。永田町で話題になっている。

まず改造人事の時期について<常識的に考えればお盆明けから9月にかけてではないですかね>と話し、昨年はお盆前に改造があり「夏休みがなくなった」と不評だったため、<お盆前にはやらないのでは>と言う。
茂木氏については<間違いなく仕事をしていて、評価も高いと思います>
<難しい話をさっと簡単に説明してみせる頭の良さがあります>と絶賛した。

連立を組む公明党と選挙区調整でギクシャクしたことなどから、「茂木幹事長が交代し、後任は森山選対委員長が有力」と噂されているが、茂木本人は続投を望んでいるとされる。
麻生氏はその後押しか。

注目は麻生派に所属している河野氏についての発言だ。
騒動になっているマイナンバー問題に触れ、
<突破力も、押し切る力も全く問題ないのですが、やはり丁寧さが必要です>と苦言。
そのうえでこう言うのだ。
<私は、河野さんは閣内に残らない方がいいと思っています。
もっと党務や閥務で汗をかくことが、河野さん自身のためにもなると思います>
やはり親分からも“クビ宣告”なのか。

マイナを巡って河野は、自治体に責任転嫁したり、自主返納の動きを「微々たるもの」と過小評価したりと相変わらず物議を醸している。
世論調査で「総理候補」トップを誇ってきたが、最近は評判ガタ落ちだ。
「いや、麻生さんの親心でしょう。
岸田さんはマイナ問題で河野さんを前面に立たせて、自分は火の粉をよけている。
河野さんを『総理候補』から脱落させるには、デジタル相を続投させ、防波堤にし続けた方がいいわけです。
留任なら岸田さんの“思うツボ”。
麻生さんとしては『もうそろそろいいだろう。河野を解放してやってくれ』という岸田さんに対するメッセージじゃないですか。
麻生派内に向けても『ボスは子分を守る』という姿勢を見せている形です」(自民党関係者)

ま、確かに、上から目線の発言が目に余る河野氏は、雑巾がけからやり直した方がいい。
posted by 小だぬき at 07:34 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『瓶のフタが開けられない問題』の解消方法 「瓶の底を叩く」「お湯で温める」

『瓶のフタが開けられない問題』の解消方法 
「瓶の底を叩く」「お湯で温める」
2023年07月12日 grape

料理の準備や具材に味つけをする時など、瓶のフタを開ける場面は多いですよね。
スムースにフタが開けばいいのですが、結構な割合で硬くて苦戦することが多い筆者。
そこで本記事では『瓶のフタを開けるライフハック』をご紹介したいと思います。

紹介するテクニックは『瓶の底を叩く』と『お湯で温める』の2つ。
どちらも簡単な方法なので、あれこれ用意する必要がないのは嬉しいポイントです。

■底を叩いて瓶のフタを開ける方法
まずは超シンプルなテクニックである『底を叩く』を実践。
いつも開ける時にフタが固くなってしまう『もみじおろしの瓶』を取り出し、逆さに置いて手のひらで数発叩きます。
さすがに全力でやると手を痛めてしまいそうなので、2〜3割程度の力でおこないましょう。
叩き終わった後にフタを開けてみると、さほど力を入れなくてもフタが緩みました。
いつも開けている時よりも、少しだけ手軽になった印象です。
特別な道具が必要ないため、災害時に瓶のフタの開け閉めに困った際、役立つテクニックだと思います。

■お湯で温めて瓶のフタを開ける方法
続いて『お湯で温める方法』に挑戦。
瓶を温めることによって、開けにくさの原因である低圧状態を解消してくれるそうです。
早速お湯を器に入れ、その中に瓶を逆さにした状態でイン。
3〜5分ほど浸した後、瓶を取り出して布巾で水気を拭っていきます。
この時、フタが熱くなっているため、手で触れる際は注意してくださいね。
フタを回してみたところ、少しの力を加えただけですぐに開きました!
底を叩いた時よりも断然に開けやすく、「これは効果あり!」と実感するほどの感触でした。

ほかにもお湯ではなくドライヤーで温める方法もあるそうですが、くれぐれも実践する際は火傷しないよう注意しましょう。 実際にこの2つのテクニックを活用している人からは、「力が弱いので、お湯に浸ける方法に助けられた!」「ピクニックなどで外で瓶を開ける時は必ず底を叩いてる」といった声もありました。
身の回りのもので簡単に実践できる『固くなった瓶のフタを開けるライフハック』。
どうしても自力で開けられない際は、今回紹介したテクニックを試してみてはいかがでしょうか。

記事まとめ
*瓶のフタが開けられない時は『瓶の底を叩く』『お湯で温める』という方法がお勧め
*『瓶の底を叩く』は特別な道具が必要ないため、災害時などでも役に立つ
*『お湯で温める』は『瓶底を叩く』よりも開けやすく、他にはドライヤーで温める方法も

[文/キジカク・構成/grape編集部]
posted by 小だぬき at 11:12 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「破壊されるべきは岸田政権」小沢一郎 国民負担率46.8%、物価上昇さなかの“増税方針”に怒り爆発

「破壊されるべきは岸田政権」小沢一郎 国民負担率46.8%、物価上昇さなかの“増税方針”に怒り爆発
2023.7.12 女性自身 7月11日、

立憲民主党の小沢一郎衆院議員(81)が、自身のツイッターを更新。岸田政権への憤りをあらわにした。
小沢議員は、《日本の平均年収は「443万円」、国民負担率46.8…もはや罰ゲーム!
普通の生活が厳しすぎる日本人に増税を企てる鬼の岸田政権》と題されたネットニュースを引用すると、《物価はこの夏の暑さのように家計を苦しめ、そこへミサイル増税やサラリーマン増税が待ち構える。
進む生活破壊。破壊されるべきは岸田政権。刮目を。》と岸田政権を痛烈に批判したのだ。

引用した記事は、6月21日の記者会見で30年ぶりの高水準の賃上げだとアピールする岸田首相を批判するもの。
賃上げがなされても、物価高の影響を加味した実質賃金は前年同月比1.2%減であり、2月に財務省が発表した国民負担率(租税負担率と社会保障負担率を合計したもの)が2023年度は46.8%に上るとの見通しを紹介。
一方で、日本の平均年収は443万円にとどまっており、この水準では二人暮らし以上世帯の暮らしはままならないとした。

あらゆる分野で値上げがなされる昨今。
総務省が6月23日に公表した消費者物価指数では、今年5月の消費者物価は前年比3.2%上昇。
6月には大手電力会社7社の家庭向け規制料金の値上げが実施され、家計にはさらなる追い打ちとなっている。
そんななか、岸田政権の政策は家計にさらなる負担を強いかねないという。

「6月16日には、防衛費増額の財源を確保するための特別措置法が成立。
税外収入を積み立てて防衛費にあてる『防衛力強化資金』が新設されました。
さらに今後、法人税と所得税、たばこ税を対象に増税も行われるということが示されています。
また、6月30日には政府税制調査会が、サラリーマンの給与所得控除が比較的手厚いつくりになっていると指摘したことがニュースに。
給与所得控除はこれまで段階的に引き下げられており、この動きが加速するのではないかとの懸念も広まっているのです。

給与所得控除の引き下げは、実質にはサラリーマンを対象とした増税になります」(政治部記者)
次の衆議院選挙にむけ、小選挙区で野党候補の一本化を目指す「有志の会」を立ち上げた小沢議員。
果たして、有言実行し、国民の生活を改善することはできるのだろうか。
posted by 小だぬき at 15:50 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月13日

池上彰氏「私は新聞をこうやって読み比べている」 新聞はどこも同じではなく、論調の違いがある

池上彰氏「私は新聞をこうやって読み比べている」
新聞はどこも同じではなく、論調の違いがある
2023.7.12 東洋経済オンライン

新聞を読む人が減っています。
.そうした中、池上彰さんは「新聞を読む人が減ったことで、新聞を読んでいるだけで他人に差をつけることが可能になった」と言います。
池上さんの新刊『新聞は考える武器になる 池上流新聞の読み方』よりそのメッセージを抜粋してご紹介します。

自分が読みたい記事とは関係ない記事
新聞の魅力は何でしょう?
私は「ノイズ」だと思います。
新聞を広げて読んでいると、自分が読みたい記事とは関係なく、勝手に目に飛び込んでくる記事があります。
「これ何だろう? 初めて見た」 「世の中こんなことになっていたのか!」 などと興味を持ち、ちょっとネットで調べてみようということもあります。
ネットでは、多くの人は基本的には自分の興味のあることを検索し、読みたいと思っている人のツイッターをフォローします。
SNSでつながっている人は、感性も趣味も似ているのではないでしょうか。
すると、目に入ってくるのは、特定の分野の似たような情報ばかり。
タコツボ化していくばかりで、世界が広がっていきません。

一方、新聞では、いやおうなしに、興味のない記事も目に入ります。
そこから興味関心が広がっていきます。
思いがけない出合いを楽しみにして、私は毎日、新聞を読んでいるのです。
新聞を読んで興味や関心の幅が広がれば、専門分野以外のことでも、人と話せるようになります。
たとえば営業担当にとっては、欠かせないスキルでしょう。
新聞で仕入れた知識で「いい質問」をし、「この人はちょっと違うな」と信頼を勝ち取れるかもしれません。
時間が許せば、紙面の下のほうに控えめに載っている「ベタ記事」にも目を通したいですね。
記事が小さいからといってバカにできません。
後々大きな問題に発展し、重要性に気づくこともあるのです。

新聞からは「伝える」コツを学ぶこともできます。
新聞は見出しやリードだけで、あらましを理解できるように作られています。
見出し→リード→本文という流れは、忙しい読者が効率的に情報を入手できるよう洗練されてきた構造です。
本文も5W1H(Who、When、Where、What、Why、How)をストレートに伝えているだけではありません。
起承転結という流れではなく、いきなり結論から入ったり、衝撃的な証言を冒頭に持ってくることもあります。
つまり、出だしの部分、いわゆる「つかみ」に工夫がこらされています。

新聞には知識を蓄積していくインプットの力はもちろん、アウトプットの力も磨けるヒントが詰まっているのです。
今から50年くらい前、私が学生だった頃、『◯◯新聞』という題字を隠してしまえばどこの新聞だかわからないと言われたものです。
つまり、新聞が違っても、書いてあることはどこも同じというわけです。
たとえば、1959〜60年、1970年の二度にわたって行われた、日米安全保障条約の改定をめぐる政治闘争、いわゆる「六〇年安保」のときの新聞報道です。
デモ隊が国会議事堂に突入し、機動隊と衝突して、一人の女子学生が死亡しました。
新聞ごとの論調の違いはどのように出てきたのか この事件について、在京新聞7社が「暴力を排し議会主義を守れ」と、まったく同じ文言の社説を掲載しました。
この「7社共同宣言」は地方紙にも広まりました。
この事件が起こるまで、日米安全保障条約をめぐる社説は、新聞によって主張が異なりました。
それが突然、まったく同じになってしまったのですから、当時は大きな議論を呼びました。

現在はどうでしょう?
憲法改正、原発再稼働、沖縄の基地問題など、新聞によって論調が分かれていることが多いのではないでしょうか。
大雑把にいえば、「朝日・毎日・東京」がリベラル・左、「読売・産経」が保守・右、真ん中に「日経」があるといった構図でしょう。
ただし、昔からずっとそうだったわけではありません。
時代によって、新聞社の体制によって、論調は変化してきたのです。
たとえば、かつて読売新聞は「反権力」色の濃い新聞でした。
1950年代から60年代にかけて、社会部が大きな力を持っていたからです。
しかし、今ではすっかり政権寄りの新聞とみなされています。
政治部出身の渡邉恒雄氏が社内で力を持ったことが理由のひとつです。

主体的に判断する、自分なりの基準を身につけて
日本の多くの新聞社では、政治部が出世の最短コース。
経済部、社会部と続きます。
社内政治によるパワーバランスが、新聞の論調に大きな影響を及ぼしています。
かつて新聞ごとの論調の違いは、社説で論じられていました。
各紙とも社説で意見を戦わせていました。
しかし近年では、記事にも各紙の論調が明確に現れるようになってきています。
たとえば、憲法改正について、朝日新聞・東京新聞には、反対集会や批判的なコメントが多く取り上げられ、賛成する人のコメントは目立ちません。
逆に読売新聞・産経新聞には、賛成する意見ばかりが多く掲載される傾向があります。
それぞれの新聞に個性・特徴が出てきたのは、けっして悪いことではないと、私は思います。
もちろん、裏づけのある事実を伝えなければなりませんが、伝え方が異なるのは当たり前です。
れっきとした民間企業なのですから、個性的であってかまわないのです。

一方、テレビやラジオは事情が違います。
放送メディアは中立の立場を守らなければなりません。
電波という限られた資源を使っているため、国の免許事業となっているからです。
放送法という法律で「政治的に公平であること」などと定められています。

新聞は自由に持論を展開でき、伝え方を選べます。
だからこそ、受け手の姿勢が大切です。
新聞の個性に引っ張られるのではなく、読者として主体的に判断する、自分なりの基準を身につけていきたいものです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ドブにカネ!防衛産業救済の愚@

日本製兵器は性能が低く、価格は世界一…自衛隊創設から70年間の甘やかされてきた
文谷数重 元3等海佐・軍事研究家
2023/07/11  日刊ゲンダイデジタル

 岸田政権が防衛産業への支援強化を決定した。
国が資金を提供して兵器生産や兵器輸出を後押しする内容である。
6月に「防衛装備品生産基盤強化法」を成立させた。
 だが、もくろみどおりには進まないだろう。
 甘やかしてきたダメな子をさらに甘やかす内容だからである。

 まず、日本国内の防衛産業は自衛隊創設からの70年間、徹底して甘やかされてきた。
 防衛市場は保護主義で守られてきた。
防衛当局は安価で高性能な海外製兵器があっても買わない。
産業保護として高価格で低性能の国産兵器を購入してきた。
 またカルテルも公然と維持されてきた。

当局と業界は阿吽の呼吸で会社ごとにショバとなる製品を割り当てている。
戦闘機は三菱重工、哨戒機は川崎重工、中型ヘリは富士重工、飛行艇は新明和の形である。
企業は国内競争も免れてきたのである。
 契約や価格も非常識である。
以前は随意契約ばかりであった。
今の一般競争入札も新規参入は難しい。

支払価格も契約額ではなく商議で決める例も多い。
その場合は、かつての電力会社と同じ総括原価方式である。
生産性が低く努力もしない企業でも利益を確保できる仕組みである。
そのため、珍無類の状況が発生している。

 仕方なく海外兵器を導入する際にも、わざわざ国内生産をしている。
製造権を買ったうえで国内生産しているのだ。
だから本来の輸入価格の数倍となる。
 人口1億の国に軍用機メーカーが4社林立するのも珍光景である。
また軍用銃器メーカーも3社ある。

 問題となった過大請求もその結果である。
実際の支払額が商議で決まる。
だから工数の水増しや契約間の付け替えが横行したのだ。

■甘やかし尽くせば腐る
 これでは防衛産業がダメになるのは当たり前である。
甘やかし尽くせば腐るのである。
日本の防衛産業が衰退しているのは、国防族がいうように憲法9条や武器輸出三原則のせいではない。
 当然だがロクな兵器もできない。
日本製兵器は性能がイマイチ、使い勝手は悪く信頼性も怪しい。
それでいて価格だけは世界一ときている。

 すでに中韓の兵器産業に負けている。
そのうち北朝鮮にも負けるのではないか。
 政府はこのダメな防衛産業をさらに甘やかそうとしている。
「防衛装備品の生産基盤強化」と称して従来以上に手厚い産業保護を進めようとしている。
 間違いなく無駄金に終わるだろう。
何よりも当の業界に自立心がない。

国の産業保護に依存し、さらには最適化してきた産業である。
さらに甘やかしても何にもならない。 
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

普及に取り憑かれている…「暴走機関車」と化したマイナンバーシステムが迎える「末路」

普及に取り憑かれている…「暴走機関車」と化したマイナンバーシステムが迎える「末路」
加谷 珪一
2023.7.12 :現代ビジネス

マイナンバー制度がもはや暴走機関車と化している。
問題が明らかになっても立ち止まることができなかったり、手段と目的を取り違えるといった話は、近代日本が抱える「病」そのものだが、再び同じ過ちを繰り返そうとしている。

当初の目的を見失っ
マイナンバー関連システムは、深刻なトラブルが相次いでおり、制度そのものの是非が問われる状況となりつつある。
だが、政府は一貫して決まったスケジュールでのマイナンバーカード普及を絶対視しており、変更するそぶりは全く見せていない。
普通に考えれば、これだけ多くの問題が発生してる以上、全体のスケジュール見直しや、プロジェクトの再検討が行われてしかるべきであり、その方が結果的には良いシステムが出来上がるはずだ。
だが現実はその反対であり、最悪の事態に向けて突っ走っているように見える。

全土が焼け野原になるまで止められなかった太平洋戦争や、巨費を投入した国策半導体企業の相次ぐ失敗、600兆円の国債を保有するまで猪突猛進した日銀の異次元緩和策など、日本は何度も同じ失敗を繰り返している。
なぜ日本という国は、肝心なところでこうした過ちを犯してしまうのだろうか。

マイナンバーカードに付随して発生した諸問題については、個別案件としては様々な要因が存在するものの、根本原因はハッキリしている。
それは、すべてのデータを固有(ユニーク)な番号で一元管理し、システム上で統合できるようにするという、当初の目的を認識できなくなっていることである。
そもそも、なぜマイナンバーを導入するのかというと、政府や自治体、金融機関などが保有している個人情報を相互に連携できるようにするためである。
あくまでデータを相互連携することが目的であって、システムを接続することが目的ではない。
だが現状では、各機関が保有するデータの書式や管理方法がバラバラであるため、システム上で簡単には連携できない状態となっている。

準備がおざなりなまま、連携がスタート
たとえば銀行では、名前について「漢字」に加え、カタカナで表記した「フリガナ」を用いて管理している。
一方、戸籍にはふりがなという概念はなく、漢字でしか本人を表記することができない。
そうなると漢字の読み方が分からない場合、その人物が本人であることを厳密に特定することができなくなってしまう。
組織の現場では、住所、生年月日など、他の項目から総合的に判断しているわけだが、この「総合的に」というのが曲者であり、複数の情報からある程度のあたりをつけ、手作業で本人と特定せざるを得ない。

このままで、複数のデータベースを連結したり、データを相互運用するのが危険であることは容易に想像してもらえるだろう。
こうした状況を回避するための仕組みがマイナンバーである。
全ての国民に唯一の固有番号が振られ、それが、あらゆるデータベースに確実に反映されていれば、番号を辿るだけでその人であることが分かり、データ連携も簡単に実現できる。これがマイナンバーを導入する究極的な理由である。
逆に言えば、この状況が確立されない限り、データ連携や紐付けは行うべきではない。

 マイナンバー自体は2015年にすでに全国民に付与されているが、適切に制度を運用するためには、すべてのデータベースに番号が完全に反映され、間違いがないのかチェックされた状況であることが必須となる。
データの書式統一やチェックが不完全なまま、1億2000万人分のデータを連携すれば、無数のトラブルが発生するのは当然のことである。
ところが現実には、こうした準備がおざなりのままデータ連携が行われ、住民票を請求すると別人の証明書が出てきたり、本人のものではない情報が紐付けられるといったトラブルが続出している。

一連のエラーをゼロにすることは不可能だが、少なくとも相互連携を開始するまでに何度もチェックを行い、データの状態を完璧にしてからであれば、ここまで深刻な問題は発生しない。
実際、各国はこうした手順を踏んで、行政のIT化を進めてきた。

カード普及にとりつかれている
ちなみにこうした確認作業は、紙の時代からどれだけ厳格に情報を管理できていたのかによって負荷が大きく変わってくる。諸外国が比較的スムーズにデータ連携を実現できたのは、紙の時代から書式の統一や固有番号での管理、重複のチェックが行われていたからである。

日本は、紙の時代から情報管理が杜撰だったにもかかわらず、その現実を無視してスケジュールを一方的に決め、強引にプロジェクトを推進してしまった。
政府はマイナンバー制度を着実に実施することよりも、「マイナンバーカード」を普及させることが最優先事項となっているようであり、実際、「マイナンバーカード」の普及に、取り憑かれたように邁進している。

ちなみにマイナンバーカードというのは、マイナンバー制度の中のごく一部の仕組みに過ぎず、カードがなくてもマイナンバー制度は何の問題もなく運用できる。
カードを使うことで、本人確認に利用する、ポイントを付与するなど、利便性が多少良くなるという程度に過ぎない。
だが日本の場合、マイナンバーカードに政治・経済的利権が絡んでいることもあり、カードの普及が最優先となっている。
結果としてデータの確認や整理が十分に行われないまま、無理やりデータを紐付けているので、逆に手作業での確認作業が必要になるといった本末転倒な事態が発生している。

一連の状況に拍車をかけているのが、日本における前近代的な意思決定の仕組みである。
政府内部や業界関係者にも、プロジェクトのあり方がおかしいことに気づいていた人は存在しており、一度、立ち止まってスケジュールを再検討すべきという声が出てきてもおかしくなかった。

だが日本では、プロジェクトが最悪の事態を迎えない限り、こうした声が表に出るケースは少ない。

半導体支援でも同じことが
太平洋戦争当時も、米国との体力差があまりにも大きく、全面戦争は不可という結論が出ていたにもかかわらず、その声はなぜか封印された。
巨額の国費を投じた半導体企業支援策や異次元緩和策についても同様である。
一連の施策について冷静な指摘は多かったが、メディアは「日の丸半導体復活!」「これしかない!」などと煽り、冷静な意見はほとんど無視されてしまった。

冷静な意見が葬られる原因としてよく指摘されるのが「声の大きい人への忖度」である。
確かに、声の大きい人物が、自らの利益のために無謀なプロジェクトをゴリ押し、周囲がそれに忖度するという図式が存在するのは間違いないだろう。
だが、今回のケースを見ても明らかなように、絶対的に逆らえない「独裁者」が存在し、誰もが嫌がっているのに、独裁者を止めることができない状態なのだろうか。そうではないはずだ。

プロジェクトをゴリ押しすることで直接的に利益を得られる人の政治力はそれほど大きいわけではなく、周囲が何となくストップがかけられない状況に近い。
このような力学になってしまうのは、日本の組織が依然として社会学で言うところのゲマインシャフト(前近代的なムラ社会)であることが大きく影響している。
ゲマインシャフトにおける意思決定というのは、「論理」ではなく「情緒」で決まる。
もし、ある人が何らかの経済的理由でマイナンバーカードをすぐに普及させたいと考えた時、それが非合理的であったとしても、周囲の人にはそれを止めるインセンティブは働かない。

行き着く所まで行く
なぜなら、自分が別の案件でちょっとした利益を得られそうな時には、自分の案には皆が賛成してほしいと考えるからである。
つまり、相手に甘くする代わりに、自分にも甘く接して欲しいという情緒的なメカニズムが働くため、多くの案件で歯止めが効かなくなってしまうのだ。
こうしたムラ社会では、時にプロジェクトを遂行するリソースがすべて尽きてしまうまで暴走が止まらなくなる。
失敗が明らかになっても、相互の甘えや情緒が優先するため、プロジェクトの失敗を明確に検証し、責任の所在を明らかにする作業は行われない。

こうした前近代的意思決定をやめない限り、マイナンバー制度は行き着く所まで行くだろうし、今後も同じ問題が繰り返し発生すると筆者は考えている。
posted by 小だぬき at 14:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月14日

結局バリウム検査と胃カメラはどっちがいいの? 中高年が絶対に知っておきたい、胃がん・大腸がん・肺がん検診の知識

【人間ドックの日】
結局バリウム検査と胃カメラはどっちがいいの?
中高年が絶対に知っておきたい、胃がん・大腸がん・肺がん検診の知識
2023.7.12 集英社オンライン

がんの早期発見には欠かせない「がん検診」のいろは
中高年にとって必ず理解しておいてほしい内容になります。
がん検診は、一部を除いて基本的に「病気(がん)を早期発見するための」検査です。

胃がん検診
日本人の胃がんの死亡数はがんの中で3位、罹患数も3位です。
身近ながんなのでしっかり対策をしましょう。
まず、胃がん検診には胃がん自体を「予防」するための検査と「早期発見」するための検診に分かれます。

予防のためのピロリ菌検査
最初に、胃がんを予防するための検査についてですが、こちらが「ピロリ菌検査」です。
ピロリ菌というのは顕微鏡で見るとまるでミドリムシのような形をしている細菌で、「胃酸を中和する」という特殊能力を持っており、胃の中でのうのうと生き続けることができるのです。
胃の中で住んでいるだけならまだ良いのですが、病原性をもつタンパク質を胃の内側の壁に注入するというなんとも恩知らずな細菌で、このピロリ菌が胃がんの原因の9割方を占めるとされています。

そして良い情報としては、このピロリ菌は現代の若者においては感染者が格段に減っているということです。
ピロリ菌は昔の井戸水や、衛生環境の悪い水などから感染するもので、現代の衛生環境はかなり改善されているので、必然的に感染者も減っているのです。
しかし、今の中高年にとっては話が別で、知らないうちにピロリ菌を体内に取り込んでいて、気づかないうちに胃を荒らされている恐れがあります。
なかなかピロリ菌の有無を確認する検査があるという事実を知らずに年月が経過してしまう場合もあり、ピロリ菌については本来早めに知っておいてほしいところです。

検査方法としては、血液検査でピロリ菌に対する抗体を調べたり、尿検査を行ったりすることでわかります。
治療はピロリ菌を退治する抗生物質を使用します。
実はピロリ菌除菌の有効性についてはまだ論文としては決着がついていない(既に胃を荒らされてしまったなら、除菌しても意味がないのではないかという意見もある)のですが、個人的には自分だったら胃がんのリスクを上げると確実にわかっている細菌が体の中にいたら、除菌しておきたいなあ……と思うところであります。
あなたはいかがでしょうか?

早期発見のためのバリウム検査と胃カメラ検査
次に、胃がんを早期に発見するためのお話です。
ピロリ菌を除菌したから、あるいはピロリ菌に感染していなかったから胃がんには絶対ならない、というわけではないので、胃がん検診は2段構えで受けておきましょう。

結局バリウムと胃カメラはどっちがいいの
胃がんの検診には2種類あります。それは「バリウム(胃レントゲン)」検査と「胃カメラ(内視鏡)」検査。

バリウム検査も胃カメラ検査も、受診することで男女ともに死亡率が下がったというデータも報告されており、どちらもおすすめできる検査です。
そこでよく話題に上りやすいのが、「一体どちらを受けるべきなのか?」ということ。
どちらも有効性が示されている以上、どちらも受けるという選択でも良いのですが、どちらもある程度苦痛を伴うことが多い検査です。
その上でどちらのほうが良いのか……と考えますと、正解はないですが胃カメラのほうに軍配が上がりそうです。

胃カメラの利点としては、カメラが必ず通過するので、食道やのどの部分の異常があった時も発見できること。
これはバリウムでは無理です。
そして異常を直接目で見て確認できること。
胃の内側の出っ張りやふくらみがあれば、そこから組織をとってきて悪性か良性かを調べる検査に回すこともできます。
また、バリウム検査で異常があった際も、結局次に胃カメラをやらなければならないというのもネガティブな要素でしょうか。

一方、バリウム検査の利点としては、「胃を俯瞰して観察できる」ということが挙げられます。
「スキルス胃がん」と呼ばれる、胃の壁全体に染み込んでいくようにして発生するタイプのがんだと、なかなか胃カメラで内側から見ただけではわからないことがあり、この場合はバリウム検査が活躍することもあります。
ですので一般的には胃カメラを選択される人が多いですし、利点も十分なのですが、バリウムが完全に劣る検査というわけではないことは覚えておいてください。

バリウム検査は40歳以上に毎年、胃カメラ検査は50歳以上に2年に1回、対策型検診として受診することができますので、対策型を利用する場合は年齢に応じて受ける検査を変えても良いかもしれませんね。

胃カメラであれば2〜3年に1回、バリウムであれば1〜3年に1回の検査が推奨されます。
50歳以上の方は定期的に受けるようにしましょう。

大腸がん検診
大腸がんの死亡数はがんの中で2位です。
非常に警戒が必要、かつ有効な検診が存在するがんなので、しっかりと対策をしておきましょう。
まず、結論から申し上げると、とにかく有効なのが「便潜血検査」です。
簡単に言えば検便です。
便潜血検査は、便の中に混じった血の成分を検出し、大腸がんの早期発見につなげるものです。
大腸がんではがんから血液の成分が漏れます。
このわずかばかりの血液が出ているか出ていないかを拾い上げ、陽性の方は大腸カメラで中を覗き、がんの有無を確認するという流れになります。
このように非常にシンプルな検査なのですが、大腸がんの死亡率がなんと20%低下したというデータもあり、アメリカの予防医学専門委員会でも、強く推奨する検査(グレードA)となっています。

そして、便潜血検査ははっきりとおすすめできる検査になるのですが、残念ながら日本では4割程度の方しか受けていない現状があります。
ぜひとも便潜血検査を受けてほしいと思います。
あえて欠点を挙げるとすると、慢性的に痔を抱えている方やクローン病など「炎症性腸疾患」という病気をお持ちの方にとっては少々使い勝手が悪いところでしょうか。
こういった方々はどうしても普段から便に血が混じりやすいので、毎回のように便潜血が陽性に出てしまうからです。
とはいえ、基本的には便潜血検査が陽性であれば次の精密検査(大腸カメラ)のステップに進むという認識で良いでしょう。こういった方々はどうしても普段から便に血が混じりやすいので、毎回のように便潜血が陽性に出てしまうからです。
とはいえ、基本的には便潜血検査が陽性であれば次の精密検査(大腸カメラ)のステップに進むという認識で良いでしょう。

肺がん検診(低線量CT)
日本で死亡数1位のがんが肺がんです。
胸のレントゲンの検査で肺に影が写り、肺がんが見つかる人もいなくはないですが、胸のレントゲン検査は昔の結核予防のために行っていた名残であり、肺がんを早期発見し、死亡率の低下につながったというデータが特にあるわけではありません。 昔からの慣習で行われている部分も少なからずあるでしょう。
痰の検査(喀痰検査)も同じです。
効果が証明されているわけではありませんし、そうそう都合よく検査の時にしっかりした痰が出る人ばかりではないので、ほぼ唾液のような検体を提出してしまう場合もあります。
これではほとんど意味はありません。

唯一といっても良いであろう、肺がん予防に有効とされている検査が「低線量CT」です。
胸のレントゲンだけを撮影した人と比較した結果、肺がんによる死亡率が20%程度低下したというデータもあります。
低線量CTに関しては、行われている施設は「肺がんCT検診認定施設」に限られますが、55歳以上で、ヘビースモーカーの人にはぜひ受けてほしい検査になります。

基本的には、皆さんご皆さんご存じだとは思いますが禁煙が一番の予防法です。
それでもどうしてもたばこをやめられない、もしくはたばこと共に生きていくという決意をされた方は、せめて低線量CTは検討しても良いかもしれませんね。

     文/森勇磨
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ドブにカネ!防衛産業救済の愚➁

1機300億円の「国産哨戒機P1」は飛行中にエンスト 半数は飛行不能状態
文谷数重 元3等海佐・軍事研究家
2023/07/12 日刊ゲンダイデジタル

政府は国産兵器の生産拡大に躍起である。
「防衛産業は防衛力そのものである」方針から産業支援し、国内兵器生産を強化しようとしている。
 しかし、国産兵器は日本の防衛のためにはならない。
日本製兵器の実態からすれば逆に足を引っ張る存在である。
 自衛隊からすればいい迷惑でしかない。

国産兵器は性能3流であり問題が多いからだ。
それでいて価格だけは世界一なので数が全く揃わない。
 国民にとっても防衛費の無駄づかいである。

 実例は無数にある。いくつか紹介しよう。
  最も有名な国産ダメ兵器は62式機関銃である。
フシダラな出来であり褒める話は絶無である。
「引き金を引いても弾丸が出ない」だけではない。
発射しても連発が途中で止まる、逆に引き金を戻しても連発が止まらない問題がある。まったく信用できない兵器なのだ。

 国産戦闘機F2では、わざわざ国産化の手間をかけた上で高額兵器を造る無駄をしている。
 米国製F16のコピーだが最終価格は3倍の150億円となった。
アルミ製の機体を日本航空産業の都合でカーボン繊維で造り直したため購入価格は100億円となった。
さらにコピーに際しては再設計で1機あたり50億円もの開発費もかかっている。
 現状の対中劣勢も、F2導入の影響が大きい。
価格3分の1のF16にしておけば3倍の数は買えた。
戦闘機の数の比率は今の対中2割ではなく、対中4割を維持できたはずである。

 目下、大炎上中の案件は国産哨戒機P1である。
1機300億円の高価格に加えてそもそも飛ばない。
飛行場にあるP1の半数はステータス・ズールーという飛行不能状態にある。
 肝心の国産エンジンがどうしようもない。
試験飛行の段階でエンストした素性の悪さがある。
また各部の故障が頻発する問題もあり、今では根本部品の強度不足の話も出ている。
 不安を抱えているので海外には出せない。
実際に完成お披露目でパリのエアショーに出そうとしたが、機体トラブルでフランスにはたどり着かなかった。
それから6年経つがソマリア沖の海賊対処にも出せていない。

 国産哨戒機P1は、性能も芳しくない。
肝心の潜水艦探知能力はいまひとつらしい。
また操縦操作にも難があるといわれている。
新型ミサイルの搭載対応でも先を行く米国製P8哨戒機に大きく遅れている。
 自衛隊員に「P1のよかったところは」と聞いても「国産にしなければよかった」「石破大臣の意見どおりP8にすればよかった」と言われる始末である。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月15日

日本の防衛産業の最大の問題は「防衛省に目利きがいない」 兵器開発、調達で悪手を繰り返す

ドブにカネ!防衛産業救済の愚
日本の防衛産業の最大の問題は「防衛省に目利きがいない」 兵器開発、調達で悪手を繰り返す
2023/07/14 日刊ゲンダイデジタル

 日本の防衛産業を保護、育成しようとしている岸田政権。
しかし、政府による防衛産業の再生は、うまくいかないのではないか。
当の政府、防衛省に目利きがいないためである。
その節穴ぶりは、開発行政の不首尾が示す通りだ。
官主導の兵器開発でも、調達でも、毎回悪手を繰り返している。

 航空機は米国製と同級品をわざわざ国産して失敗している。
これは、この連載の前々回にF2戦闘機、P1哨戒機で述べたとおりである。

戦車の開発や導入も常にトンチンカンである。
1974年完成の74式戦車は、最初から時代遅れであった。
ウクライナ戦争で話題となった次世代戦車レオパルト2開発が進んでいたためである。
 90年の90式は厚顔無恥にも、ドイツ製レオパルト2のデザインをパクった。
11年ほど遅れて外観は同じ、大砲は同一品、エンジン馬力も同じ模倣品をつくった。
それならドイツ製を買えば済んだ。
 2010年には必要もないのに10式を開発した。
開発側は「90式を大幅に軽量化できた」と自賛した。
しかし、その能力は90式と同一である。
それなら開発不要であった。
実際にドイツや米国の陸軍は今でも70年代末に完成した戦車で済ませている。

 最近の例ならASM-3である。マッハ3級の超音速対艦ミサイルだが、根本となるコンセプトの誤りから失敗作となった。
マッハ3では中国艦隊には通用しないのである。
そのうえ高額であり使いにくい。
重さは従来ミサイルの2倍であり、戦闘機には半分の数しか積めない。
それでいて炸薬量は従来ミサイルの半分程度と小威力である。
その上、射程も極めて短い。何もいいところはない。

 なお、米海軍は10年以上前に超音速型の不利に気づき開発を中止している。
その代わりマッハ0.8で海面高度1メートルで飛ぶ超低空飛行型のNSMミサイル導入に切り替えた。
そのほうが迎撃は難しいのである。
 しかし防衛省はASM-3を中止しなかった。
一つは見識不足で超音速の不利に気づくのが遅れた、もう一つは決断力の欠如から一度始めた計画について中止する決心がつかなかったためである。
つけ加えれば輸出支援もうまくはいかない。
安倍政権は兵器輸出のために防衛装備庁をつくった。
ただ、開発で失敗してきた技術研究本部の看板をかけ直した組織である。
商売をやらせてもうまくいくはずがない。
 実際に商売下手には各国の駐日武官も呆れているという。

自衛隊将官OBによれば「装備庁が見せたいものばかり見せている」「こちらが興味ある兵器は持ってこない」と散々の評価という。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

押し寄せる値上げの波、たこ焼き「1個100円」時代が 顧客が不快感覚える「見慣れた物やサービス」の値上げ

押し寄せる値上げの波、たこ焼き「1個100円」時代が 顧客が不快感覚える「見慣れた物やサービス」の値上げ
田中靖浩 公認会計士・作家
2023.7/12  ZAKZAK

まだ梅雨が明けてないというのに、この暑さはどういうことでしょう。
うんざりしながらも、7月になって聞こえてきた「お祭り」の話題に心が躍ります。
やっとお祭りが戻ってきたかと思うと本当にうれしい。
日本の夏はこれがないと始まりませんからねえ。
さっそくご近所の神社で行われた夏祭りに行ってきました。
3年ぶりの屋台とあって、子供たちも大勢来ています。
その顔がみんな楽しそうで、こちらまで幸せな気分。
金魚すくいに輪投げに射的。
そして食べ物はたこ焼きにお好み焼き、リンゴ飴にチョコバナナ、その看板を見るだけで夏を感じます。
日本人でよかった。

これから7、8月は花火も始まるし、全国的にますます盛り上がることでしょう。
ぜひ皆さん、久しぶりのお祭りをご堪能ください…と、幸せを感じる半面、「ここまできたか」と少々憂鬱になってしまうのが「値上げ」なんです。
今年のお祭り屋台、ぐるっと回ってみて、その値上がり具合に驚きました。
何と、たこ焼きは700円ですよ! 8個入って700円。
もはや大切に食べないといけない高級食材。
為替レートならぬタコレート急上昇です。
おそらく来年には800円を超えて「1個100円時代」に突入することでしょう。
金魚すくいや射的も軒並み500円超え。
なかには1回1000円のくじ引きもありました。
すでにお祭り屋台は4桁時代に突入しているのであります。

これだけ高額になると、子供が「お祭りで楽しく遊ぶ」と、ゆうに5000円以上は掛かります。
「お祭りか、小遣いやるから遊んでおいで」と送り出すためには5000円札か1万円札を渡さないといけません。
もはや自分の飲み代より高いじゃありませんか。
なんという時代でしょうか。

おぼろげな記憶ですが、私が小学校の頃、1000円札1枚あればかなり楽しめました。
いまや1000円では「くじ引き1回」でおしまい。
いまのところすべて現金取引≠ナしたが、そのうちスマホで「ピッ」と支払うようになるんでしょうね。
嗚呼、平成は遠くになりにけり。 調査によれば、われわれが感じる値上げの不快感は必ずしも「値上がり幅」に比例しないそうです。不快感を感じるのは「見

慣れた商品・サービスの価格が値上がりしたとき」だそうで。
それが本当だとすれば、年に1回の「お祭り屋台の価格」が上がってもさほど不快感を感じないということ。
これは確かにそうかもしれません。
逆に、たとえ少しの値上げ幅であっても「見慣れた物やサービス」の価格が少しでも上がると顧客は不快感を覚えるわけです。
だから食料品は簡単に値上げできず、中身を減らす「実質値上げ」がはやるのですね。

年に1回のお祭りから始まり、これからだんだん生活に近いところへ値上げの波がやってくるかもしれません。
これにはちょっぴりため息ですよね、ご同輩。
posted by 小だぬき at 06:01 | 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月16日

防衛産業救済の愚C

 みす防衛の専門家は誰に忖度しているのか?「政策の誤り」を指摘しない異様
文谷数重元3等海佐・軍事研究家
2023/07/15 日刊ゲンダイデジタル

 岸田政権が進める「防衛基盤強化」は、恐らくうまくはいかない。
企業支援は防衛産業を補助金漬けにするだけであり、輸出促進も商社を儲けさせるだけで終わるだろう。
 しかし、防衛の専門家はそれを口にしない。
安全保障や戦略、あるいは外交、国際政治、国際法で商売している人たちは「防衛装備産業を成長産業にする」は、空虚であり失敗すると知っている。
それでいながら口を閉ざしている。  他分野の専門家では、ありえない話である。政策に誤りがあれば、その不可を指摘するのが専門家の使命だからである。
 なぜ、防衛だけが例外となるのか。

 政府の政策に異を唱えない人材だけが専門家になれるからである。
民間から安全保障や戦略の専門家になるキャリアパスは狭い。
そしてその経路は政府べったりの安保屋が押さえており選別をかけている。
政府の防衛政策に異を唱えない、宗主国である米国を批判しない人材だけに専門家の職を与えているのである。
 だから防衛の専門家は政府や政権を決して批判しないのである。

 それが国を誤る事態になると分かっていても何も言わない。
実際、過度に強調された中国脅威論にも、空中楼閣の台湾有事論にも、専門家は苦言一つ呈してはいない。
 もちろん専門家にもいろいろいる。
政府方針は常に正しいという幇間ばかりではない。
生計のために仕方なく最低限の肯定だけにとどめる良識派もいる。
問題政策を批判しないが、良心から肯定もせず完黙をとおす廉直の士もいないわけではない。
 ただ、批判が存在しない不健全な構造は変わらない。
廉直人士も結局は批判はしない。

 だから防衛では政権が思いつきで持ち出すトンチンカン政策がそのまま実行され失敗する。
専門家がその不可を指摘しないのでそうなる。

■安倍政権下の武器輸出も批判せず
 例えば安倍政権下で先行した武器輸出である。
インド向けUS2飛行艇、ニュージーランド向けP1哨戒機、C2輸送機の輸出に見込みはなかった。
商品に問題を抱えており、それを政治主導のゴリ押しで売る筋悪案件であった。
それにもかかわらず、専門家は批判せず、実施を許し、失敗するにまかせた。

 岸田政権が進めている、今回の「防衛基盤強化」も同じ形である。
もともと、熱意のない産業と目利きのいない防衛省が進める「成長産業化」でしかない。
他省庁の政策であれば、構想段階で部内、部外の専門家の批判を受けて沙汰やみになる中身である。
それが批判を受けずにそのまま実施される。
成功するはずはないのである。 (おわり)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【ryuchellさん急逝】ネットやSNS上で誹謗中傷を繰り返す人には共通点も

【ryuchellさん急逝】
ネットやSNS上で誹謗中傷を繰り返す人には共通点も
2023年07月15日 SPA!

7月12日、タレントのryuchellさんが東京都内の事務所で急逝されたというショッキングなニュースが報じられました。
理由については本稿作成時点(7月13日)で詳細が判明しておらず、慎重に推移を見守る必要がありますが、LGBTQを自認し積極的に情報発信を行ってきたryuchellさんのSNS上には執拗な誹謗中傷コメントが多数寄せられていたことは事実のようです。
芸能人をはじめとする有名人がネットやSNS上で誹謗中傷のターゲットとされる事例が後を絶ちません。
なぜこのような愚行が繰り返されるのでしょうか?

 これまで数多くの問題投稿と向き合ってきたSNSリスクコンサルタントの筆者(井ノ口樹・いのくちたつき)が、誹謗中傷投稿を繰り返す人の思考の特徴やプラットフォームの対策の現状、そして誹謗中傷を受けた場合の対策などをお伝えします。

◆なぜ、芸能人に対して誹謗中傷を行うのか
まず、誹謗中傷投稿を繰り返す層の特徴として、自分と異なる意見や価値観を持つ者を敵とみなし、その象徴的存在となっている芸能人を格好のターゲットとして徹底的に攻撃する行動指向が挙げられます。

これらは偏った正義感に起因するものにとどまらず、自分が持つ様々な不満の矛先を、大きな影響力を持つ芸能人に向け、あわよくばそのターゲット本人から反応を引き出すことを狙うのです。
そして、世間に大きく報道されることで、自分の行動が社会に影響を与えているという優越感に浸り、自分の存在意義を確かめる歪んだ承認欲求がその根底にあります。

彼らは投稿が削除されたりアカウントが凍結されることを最初から想定済みで、誹謗中傷専用に多数の“捨てアカウント”を用意し、悪意を持って執拗に攻撃を繰り返しているのです。
このような投稿は、良識を保った他のユーザーから批判を集めることもありますが、それらを顧みずひたすら炎上投稿を繰り返す人々の心理的要因をさらに深掘りすると、“負の感情スパイラル”に陥っている可能性が考えられます。

◆自分は不利益を被っていると思い込む
“負の感情スパイラル”の第1段階として、自分は正当な利益を得ていない、自分の能力は過小評価されている、自分以外が優遇されている、自分は不当に差別・抑圧されているといった過剰な被害者意識を持ってしまうことが発端となります。

また、自分自身は全く損をしていなくても、他人が得をするのは許せない、他人の幸せは許せないが、他人の不幸は嬉々として受け入れて優越感に浸るという「僻み、妬みの思考」から抜け出せなくなっている場合もあります。

◆自分ではなく他者のせいにする“他責思考”
次に第2段階では、自身の実力や努力が不足しているといった可能性を考慮することなく、自身の失敗や理想と現実のギャップの要因は全て他者にあると考えてしまう他責思考に至ります。
自分を客観視して分析する視点に欠け、時としてその原因の矛先が一般社会に向いてしまうと、さらに危険な思考に陥ることがあるのです。

さらに第3段階では、上記の他責思考に至る要因を補完するため、自身と異なる論説や反証となる事象を検討することなくそれらから目を逸らし、自身への賛同意見や持論を肯定する事象しか受け入れなくなるチェリーピッキング行動が現れます。
最初は意図的ではありますが、段階が進行してくると無意識のうちにこういった行動をとるようになります。

◆最終的には極端な“ゼロサム思考”に
そして第4段階では、物事を判断するにあたり必要不可欠なバランス感覚を失い、客観的な視点を持つことができなくなり、自分の極端な考えが絶対的に正しいと思い込んでしまうゼロサム思考に至ってしまいます。
右か左か、白か黒か、2極に先鋭化し対立する相手の意見だけではなく、中庸な立場の冷静な意見をも受け入れられなくなり、激しく敵視し攻撃するようになるのです。
これらはSNSやネット上の対立構図でよくみられる心理的傾向であり、芸能人への誹謗中傷を繰り返す層だけでなく、政治的な左右対立や陰謀論、カルト、フェイクニュース、ヘイト思考に陥る層や、独善的な正義感に囚われ過激な行動に走る層と親和性が高いのが特徴です。

◆“少数なはずの書き込み”が多数派に見えてしまう理由
もちろん、こういった思考に至るのは全体のネット利用者の割合からすればごく少数ではありますが、同じ考えを持つ者同士がSNSやネットという手段を通して簡単に繋がりやすくなったこともあり、自分の意見を声高に主張するノイジーマイノリティーが世間の多数派に見えてしまう傾向があります。
ネット上で極端な意見ばかりが目立つのは、これらの要因に加え、バランスの取れた中庸意見は対極的な意見を持つ双方から攻撃されたり、そもそも投稿数が少ないためです。

◆ターゲットが有名人だと「削除対象となりにくい」
こうした誹謗中傷から利用者を守るため、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
SNSやネット掲示板を運営するプラットフォーム(事業者)では、各社が定めたポリシーやガイドラインに沿って、AIと人の目による監視を組み合わせ、誹謗中傷だけでなく差別や犯罪行為を助長する投稿や性的な投稿など、問題のある投稿の削除やアカウントの凍結といった対策が行われています。

しかし誹謗中傷の場合、一定の知名度のある有名人をターゲットとした投稿は、公益性を伴う場合があるといった理由で、一般人や未成年に比べ保護されにくい、つまり削除対象となりにくい仕組みとなっています。
一部の海外のプラットフォームでは、悪意ある投稿をAIが瞬時に判断し、最初から非表示としたり投稿できないようにする機能も提供されつつありますが、まだ一般的ではありません。

また、昨今のGAFAをはじめとする世界的なIT業界の不況を受け、各社ではネット上のコンテンツ監視業務に掛かる人員や予算を削減する傾向にあり、リソース不足から対応が追い付いていないことに加え、一部のプラットフォームを除き、悪意のあるユーザーが複数のアカウントを作成し問題投稿を繰り返す行為を制限する仕組みは今のところ存在せず、結果としてそのような投稿が溢れてしまっているのが現状です。

◆誹謗中傷から身を守るためには…
このような誹謗中傷から身を守るには、どうすればいいでしょうか。
まず前提として、まっとうな批判意見には真摯に耳を傾ける必要がある場合もありますが、先に申し上げた通り、酷い誹謗中傷は決して世間のマジョリティーではなく、ごく少数の悪意を持った者が何度も執拗に投稿を繰り返しているということをしっかりと理解し、それらを気に病む必要は全くないことを心得ておく必要があります。

酷いコメントに反論したくなる気持ちは十分理解できますが、彼らのコメント一つ一つに反応せず、ブロックとレポート(通報)に徹し、可能であればコメントを削除したり最初からコメント欄を閉じておくことも有効です。
これらにより「こいつ逃げた」といった類の煽りコメントがさらに投稿される可能性もありますが、反応を引き出すことで優越感に浸るのが彼らの目的であり、同じ土俵には決して乗らないことが鉄則です。
それでも収まらない場合は、証拠保全を行ったうえで法的処置を含めた毅然とした対応が必要です。

◆“ていねいに無視”することが一番有効
相手の顔が見えないネットやSNSは、どんなに注意を払っても炎上してしまう可能性はありますが、世の中に大きな影響力を持つ芸能人や有名人の場合は、特に誹謗中傷のターゲットになりやすい傾向があります。
しかし、いかなる場合でも、全く関係のない者が自分の価値観を押し付けたり正義感を振りかざすことは、決して他人を誹謗中傷してもよい免罪符とはなりません。

匿名性の強いネット上で他人を攻撃することでしか自我を保つことができない彼らが最も嫌がるのは、“ていねいに無視”されることです。
ネットやSNSを利用する際は、自らが被害者だけではなくそのような加害者とならないように、ネガティブな感情をうまくコントロールすることで負の感情スパイラルを断ち切り、今回のような悲しい出来事がなくなる日が来ることを心より願ってやみません。

   <TEXT/井ノ口樹(いのくちたつき)>
posted by 小だぬき at 02:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月17日

じつは65歳以上が「高齢者」になるのは「ナンセンス」…「老人の定義」が変わると日本の未来が明るくなる「驚きの理由」

じつは65歳以上が「高齢者」になるのは「ナンセンス」…
「老人の定義」が変わると日本の未来が明るくなる
「驚きの理由」 7/16(日) 現代ビジネス

ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中の堀江貴文氏。
彼の新刊『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(徳間書店)から一部抜粋し、少子高齢化による人手不足などが問題視される日本の現状について解説する。

老人の定義が変わっていく
 日本の高齢者の定義は「65歳以上」とされる。
さらに65歳以上74歳以下を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者として定めている。
でもこの線引きはもうナンセンスだろう。
 現在の65歳はとても若い。あの明石家さんまさんは68歳だ(2023年現在)。
どう見ても老人じゃない。
さんまさんをそんな目で見ている人はいない。

 さんまさんは芸能人だから例外?
 そうじゃない。
 あなたの身近な人を思い浮かべてほしい。
あなたの祖父母と両親を、同じ年齢で比較してみてほしい。
祖父母が65歳だったときと、両親が65歳のときとではぜんぜん違うと思う。
両親のほうが若々しいはずだ。

社会問題が一気に解決
 例えば年金制度だ。
日本の年金制度は、現役世代が納めた保険料を高齢者に受け渡す「賦課方式」を採用している。
少子高齢化により、現役世代と高齢者のそのバランスは悪化の一途だ。
 そこでかりに高齢者の定義を「75歳以上」と繰下げたとしよう。
2021年時点で65〜74歳の人口は1754万人、総人口に占める割合は14%だ。これだけのボリュームが「高齢者」でなく「現役世代」としてカウントされれば、年金問題はかなり改善される。
 さらに高齢者の医療費削減にもつながる。

私は「現役時代」が長くなると、健康寿命が延びると考えている。
人間とは不思議なもので働いていると老けにくい。
これはある産業医から聞いた話だが、65歳以上の人は社会的責任の有無によって寿命が7〜8歳も違ってくるのだという。
適度な張り合い、忙しさ、ストレス、責任感が健康に直結するのだ。

 今後、老人の定義は変わるだろう。
年金をはじめとする社会保障費のことを考えても変えざるをえない。
そしてそれを私たちは歓迎すべきだ。
繰り返すが、実際に私たちは若返っているのである。


posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「水は一日2リットル飲むと健康にいい」は間違い。むしろ肥満の原因になることも

「水は一日2リットル飲むと健康にいい」は間違い。むしろ肥満の原因になることも
2023年07月17日 SPA!

50代を超えると健康の悩みは尽きない。
世は健康食ブームだが、良かれと実践していた食事法や健康食品でカラダに害が及んでいたとしたら……。
最新研究で導き出された食の新常識を総ざらいするとともに、健康寿命を伸ばす最強の食事術を徹底リサーチ。
120歳まで長生きできるカラダを手に入れろ!

◆水を飲みすぎると代謝不良による肥満の原因に
「水は一日2ℓ飲むと健康にいい」――。
老廃物の排出促進や血栓予防、美容効果が謳われているが、多くの人にとって一日2ℓの水は不要だとか。
むしろ腎臓による水の処理能力が追いつかず、むくみや代謝不良による肥満の原因になってしまう。

◆デスクワーカーの目安は夏に1ℓ、冬に500ml
「デスクワーカーなら夏に1ℓ、冬に500mlが目安で十分です。
必要以上に飲むと、冷え症、腹痛、低ナトリウム血症による頭痛や吐き気も引き起こしてしまいます。
ただし、運動時は別で喉の乾きを感じる前にしっかり水を飲んでおくことを忘れずに」(ボディワーカー・森拓郎氏)

◆水の飲みすぎでカラダが冷えると…
また、水の飲みすぎでカラダが冷えると白血球の活動が悪くなって免疫力が低下。
肺水腫や、胸水、腹水などにもつながる恐れがある。
喉が渇いたと感じたときにコップ1杯の水を飲む。これ以上は毒でしかない。

【ボディワーカー 森拓郎氏】
大手フィットネスクラブを経て、’09年にスタジオrinatoを設立。
ダイエットやボディメイクを指導。
著書は50冊で累計100万部超

取材・文/週刊SPA!編集部
posted by 小だぬき at 10:02 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月18日

猛暑でも「水がぶ飲み」は危険

猛暑でも「水がぶ飲み」は危険   電解質バランスが崩れ10歳児が緊急入院
2023年07月16日 Sirabee

子供たちは普段から汗っかきだが、この季節は汗だくになる。
そのため、スポーツドリンクを常備している家庭は多いだろう。
しかし、「水だけ」を与え続けることの危険性を教える1つの症例が、アメリカで話題になっている。
サウスカロライナ州の『WIS-TV』『KCRA-TV』などが伝えている。

■1時間の間にペットボトル6本の水
サウスカロライナ州に暮らすレイ・ジョーダンくん(10)とその両親が、真夏に起きやすい子供の危険な体調不良について、自らの体験を紹介した。
ある週末、同州コロンビア市に暮らす親類の家を訪ねた一家。
いとこたちと遊び回って大量の汗をかいたレイくんは、午後8時半から約1時間の間に、ペットボトルの水を6本続けざまに飲んだという。

■けいれんを起こし嘔吐
そして午後10時半ごろ、レイくんは突然けいれんを起こし嘔吐。
両親はあわてて、プリズマ・ヘルス小児病院の救急センターに連れて行った。
父親のジェフ・ジョーダンさんは「レイは意識障害も起こしており、誤ってお酒や麻薬を摂取してしまったかのようにも見えました」と語っている。
さまざまな検査が行われた結果、医師は「これは水中毒。血中ナトリウム濃度がひどく低下しています」と説明した。

■スポーツドリンクは大切
午前4時から正午まで約8時間をかけ、少しずつナトリウムとカリウムを投与したことで、レイくんの血中電解質のバランスは徐々に正常化していった。
医師は母親のステイシーさんに「スポーツドリンクの塩分は、電解質のバランスを維持する働きがある。
汗をかいたら水と交互に飲ませてあげて」と指導したという。
なお、含まれているブドウ糖にも水分の吸収率を上げる働きがあるそうだ。

■生命の危険すらある水中毒
午後1時半ごろにレイくんは目を覚まし、「お腹が空いた。僕、今どこにいるの?」と尋ねた。
退院後、特に後遺症などが現れていないことに両親もほっとしているという。
水だけを短時間に大量に摂取すると、体内の血液が希釈されて低ナトリウム血症に陥り、頭痛、嘔吐、失禁、意識混濁などを起こすことがある。
レイくんは腕も脚も自力ではまったく動かせず、危険な状態だったそうだ。 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月19日

「国が滅ぶぞ!」通勤手当、社宅にまで手をつける岸田政権「サラリーマン増税」検討に巻き起こる悲鳴

「国が滅ぶぞ!」通勤手当、社宅にまで手をつける岸田政権「サラリーマン増税」検討に巻き起こる悲鳴
7/15(土)   FLASH

7月3日に発表された2022年度の国の決算では、一般会計で71兆円余りの税収を記録。
3年連続の過去最高を更新した。
ところが、増税の波は止まりそうにない。
いま注目を浴びているのは「サラリーマン増税」の検討だ。

「6月末に岸田文雄首相に提出された、政府税制調査会の中期答申が波紋を呼んでいます。
これまでにも、数々の増税を検討してきたことで猛反発を受けていた岸田首相ですが、ここでもその勢いは止まりません。
なかでも目をひくのは『退職金増税』です。

 答申のなかで、退職金については『近年は、支給形態や労働市場 における様々な動向に応じて、税制上も対応を検討する必要が生じてきています』と言及されています。
現状、退職一時金から控除額を引いたものの2分の1の金額に、所得税と住民税を課税していますが、勤続年数によって控除額が異なります。
勤続20年までは1年ごとに40万円なのに対し、それを超えると70万円まで広がるのです。
この差が格差を広げる一因とされ、見直しの方針が示されています」(経済担当記者)

 そして、答申で“狙い撃ち”されたのは退職金だけではない。
現在、一定額まで非課税となっている通勤手当や、社宅の貸与なども「増税検討リスト」に上がっているのだ。
「答申のなかでは、こうしたものについて『経済社会の構造変化の中で非課税等とされる意義が薄れてきていると見られるものがある場合には、そのあり方について検討を加えることが必要』としています。
そのうえで、ほかにも食費の支給、従業員割引での販売なども課税の対象にあがってきています。

 いますぐに増税されるというものではありませんが、サラリーマンが働くうえで当然ともいうべき手当に目をつける政府の姿勢に、批判の声があがっています」(同前)
 SNSでは批判を通り越し、悲鳴が飛びかっている。
《オイオイ、いい加減にしろ!国が滅ぶぞ》
《物価が上昇し、ようやく給与も上がり始め税収も伸び、年末にかけて日本が先進国の中で最も経済を伸ばすことができるというのに、このタイミングで増税をすると元の木阿弥》
《国民の声はどのようにしたら届くのでしょうか。通勤手当に課税されたらお金払って働いてる感じになる》

 7月7〜10日に時事通信が実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は30.8%。
前月比では4.3ポイントの減少となった。
サラリーマン狙い撃ちの増税が実行されれば、ますます国民の心は離れていってしまうだろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「詐欺のターゲットになりやすい人って?」ついやりがちなNGと対策、警察に聞いてみた

「詐欺のターゲットになりやすい人って?」
ついやりがちなNGと対策、警察に聞いてみた
2023.7.19 2387 views

年々増え続けている「特殊詐欺」。
警察庁の発表によると、その被害額は令和5年4月の時点で約123億円にものぼるそう。
近年はインターネットやSNSの普及により、手口も複雑化してきています。
そこで今回は、特殊詐欺の実態について警視庁に取材。最近の詐欺被害の傾向や、具体的な対策方法を詳しくうかがいました。

最近の詐欺被害の傾向は?
オレオレ詐欺や還付金詐欺、預貯金詐欺などの手口や名目が巧妙化し、年代に関係なく、誰もが詐欺被害に遭う可能性があります。
最近はインターネットやSNSが普及していることもあり、架空料金請求詐欺やサポート詐欺といったインターネットを使った手口も増えています。
特に、若年層(30〜50代)は高齢者世代と比べて、スマートフォンやタブレット端末の所持率が高くインターネットやSNSの利用者も多いため、架空料金請求詐欺などのターゲットになりやすいでしょう。

--年代関係なく、詐欺被害に遭う可能性はあるのですね。
架空料金請求詐欺とサポート詐欺について教えてください。

架空料金請求詐欺は、有料サイトや消費料金について「未払いの料金があります。今日中に払わなければ裁判になります」などとメールやハガキ(封書)で知らせ、金銭等をだまし取るものです。
幅広い年齢層が被害に遭う可能性があります。

サポート詐欺は、パソコンやタブレット端末で動画やWebサイトなどを閲覧中に「ウィルスに感染」などと警告表示と連絡先が出て、ウィルス除去名目で現金振込や電子マネーカードの購入を要求する手口です。

今も特殊詐欺が増え続ける原因
--なぜ特殊詐欺の件数は増えているのでしょうか?

原因として考えられるのは「自分は詐欺の手口を詳しく知っているから大丈夫」
「自分は若いから騙されない。騙されるのは高齢者だけ」といった、心の油断があるからなのかもしれません。
相手は犯罪のプロ。
日々新しい手口を考えています。

みなさんは防犯のプロになり、他人事とは思わずに「どうしたら詐欺の被害に遭わないか」「大切な人を詐欺の被害から守るためにはどうしたらよいか」と、興味を持つことが大切です。

--被害に遭わないためにも最新の手口について知っておきたいです。詐欺対策のために、何をチェックすればよいでしょうか?

特殊詐欺の新たな手口や対策は、インターネットやSNSでこまめにチェックするのがおすすめです。
街中のATMや商店街、コンビニ、デパートなどでも、詐欺被害対策のポスターや電子掲示板(デジタルサイネージ)の放映で知ることができますよ。
重要なのは、それらに興味を持って目を向けることです。

みなさん一人ひとりが「自分は大丈夫」という意識を変えて、「最近はどんな手口が増えているのか」「どんな対策をしたらいいのか」と興味を持つことが被害を減らすことに繋がります。

詐欺に遭わないために!気を付けてほしいポイント
--詐欺に遭わないために、日頃から気を付けたほうがいいことや、注意点はありますか?

まずは、電話の相手が家族・親族の名前を出したとしても、キャッシュカードやお金の話が出たらすぐに信じないことです。いったん電話を切って、必ず家族に確認しましょう。
家族・親族の氏名、住所や銀行の口座番号、暗証番号などの個人情報は話さないようにしてください。
家族だけの合言葉を決めておくのもおすすめです。
電話では相手の顔が見えないため、声を聞き間違えて騙されてしまう可能性があります。

そして、一番大事なのは犯人と直接会話しないことです。
留守番電話機能を活用して、知らない番号や非通知の番号の電話には出ないようにしてください。
相手のメッセージを確認してからかけ直すようにしましょう。

--合言葉を決めておくのは今すぐできそうです。早速、家族と話し合ってみます!

ご自身の親や家族のために「迷惑防止機能付き電話機」や「ナンバーディスプレイ」、「ナンバーリクエスト」の導入を検討してみてください。
例えば、令和5年5月1日から、NTTと契約している70歳以上の利用者、または同人と同居している家族の契約回線は、ナンバーディスプレイ・ナンバーリクエストの月額料金と工事費用が無料となっています。
離れて暮らす家族でも代理で申し込むことが可能なので、積極的に利用してほしいです。

自分と大切な家族を守るために、詐欺に遭わない意識を 年々巧妙になっている詐欺の被害に遭わないためには、他人事だと思わず、意識して情報をキャッチしたり、家族と話し合って対策を考えたりしておくことが大切です。
自分だけではなく大切な家族を詐欺から守るためにも、今回のお話を参考にしてみてください。

取材協力:警視庁
編集:吉田穂菜美(TRILLニュース)
posted by 小だぬき at 16:54 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月20日

マイナ保険証で「質の高い医療」は“大ウソ”! データ閲覧可能が「40日後」のポンコツぶり

マイナ保険証で「質の高い医療」は“大ウソ”!
データ閲覧可能が「40日後」のポンコツぶり
7/19(水) 日刊ゲンダイデジタル

【集中企画・マイナ狂騒】#21

「本人の受診履歴に基づく質の高い医療を実現する」──。
マイナ保険証のメリットについて、岸田首相はそう説明してきたが、“大ウソ”だった。
現実は質の向上どころか、ほとんど診療に役に立たないことが分かってきた。
ポンコツの極み。頼みの電子処方箋も暗雲が漂う。
  ◇   ◇   ◇  
マイナ保険証の最大のセールスポイントは、受診履歴や処方された薬剤情報が閲覧できるということだ。
ところが、医療関係者は「情報が古すぎて診察ではとても使い物にならない」とこう続ける。
「患者さんの医療情報は、レセプト(診療報酬明細書)のデータがもとになっています。
医療機関はデータを月末で締め、翌月10日に健保組合などに提出する。

例えば、7月1日に受けた受診情報は8月10日にマイナ保険証のデータに反映される。
40日後にやっと閲覧できるのです。これでは参考情報にしかなりません」

 開業医らでつくる埼玉県保険医協会(以下、埼玉協会)が実施したアンケート(5月16〜19日)でも〈情報が遅い〉〈直近の情報を取得できるわけではないのであまり意味がない〉〈お薬手帳で十分〉といった声が寄せられた。

これなら「お薬手帳」で十分
 こうした状況を打開すべく、厚労省が期待する“切り札”が電子処方箋だ。
埼玉協会の担当者は「厚労省は電子処方箋に移行すれば、医療情報のうち薬剤情報については、リアルタイムに閲覧できると説明してきました」と語る。
 電子処方箋は今年1月26日に運用が開始された。
医療機関・薬局は全国に約23万あり、厚労省は2025年3月までに「ほぼ全施設に導入」という目標を掲げている。
ところが、7月9日時点で導入しているのはわずか2.1%(4870施設)にとどまる。

厚労省は「高い目標だが、まだ1年8カ月はある。導入した施設でのメリットなど紹介しながら進めていきたい」(医薬局総務課)と答えたが、目標達成は不可能に近い。
「電子処方箋は薬剤情報に限られ、レセプトより範囲が狭く、しかも全体の2割で行われている院内処方(調剤薬局ではなく、受診した医療機関で薬を受け取ること)は対象外です。
情報として不十分なのです。

電子処方箋導入に対して補助金が出るとはいえ、病院の経費負担も小さくない。
そして何より、マイナ保険証の相次ぐトラブルを目の当たりにした医療関係者は、厚労省が進めるシステム導入に強い不信感を抱いている
電子処方箋の導入は任意でもあり、多くの医療機関は導入に前向きになれないようです」(厚労省担当記者)

 医療情報の閲覧には最長40日のタイムラグがある上、電子処方箋も普及率2%。これでは「質の高い医療」は絵に描いた餅だ。
「電子処方箋の普及は想定以上に低迷しており、見通しも立たない状況です。
岸田政権が掲げる、マイナ保険証による『質の高い医療』の達成は全くメドが立っていないと言っていいでしょう」(前出の埼玉協会の担当者)

 マイナ保険証を柱にした“医療のデジタル化”は破綻も同然。
それでも岸田政権はゴリ押しするつもりなのか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

増税地獄で支持率はどんどん下がっているのに…自民党内の「岸田おろし」が盛り上がらない根本原因

増税地獄で支持率はどんどん下がっているのに…
自民党内の「岸田おろし」が盛り上がらない根本原因
2023年07月19日 PRESIDENT Online

岸田内閣の支持率が下がり続けている。
政治ジャーナリストの鮫島浩さんは「マイナンバーカード問題、増税、長男の不祥事と続いているが、自民党内から『岸田おろし』が起きる気配はない。
低支持率の岸田政権が延命できているのには、3つの背景がある」という――。

■マイナンバー問題で内閣支持率は急降下
岸田内閣の支持率が続落している。
朝日新聞の世論調査(7月15〜16日)では前月から5ポイント下落して37%、不支持率は4ポイント上がり50%に達した。 共同通信の世論調査(14〜16日)でも支持率は6.5ポイント減の34.3%、不支持率は7ポイント増の48.6%。
キーウ訪問や広島サミットで急上昇した内閣支持率は、閣僚辞任ドミノが発生した昨年11〜12月の低水準へ急降下した。
6月の国会会期末に吹き荒れた解散風は一気にやみ、早期解散論はすっかり萎んだ。

岸田首相は8〜9月に日米韓首脳会談(米国)、ASEAN首脳会議(インドネシア)、G20首脳会議(インド)、国連総会(米国)と続く「岸田外交」で支持率を回復し、合間をぬって内閣改造・自民党役員人事を断行して体制を立て直す考えだが、いったん離れた民心を取り戻して支持率を再浮上させるのは容易ではなかろう。

マスコミはマイナンバーカードをめぐるトラブル続出や首相長男の不祥事による秘書官更迭、異次元の少子化対策に伴う負担増への不満を支持率急落の要因にあげているが、最大の要因は、首相が自ら解散風を煽り、政治決戦へのエネルギーを極限まで高めながら、あっけなく解散を見送ったことにあると私はみている。

■それでも「岸田おろし」が起こらない3つの理由
政界もマスコミ界も世論も拍子抜けし、しだいに「伝家の宝刀」と呼ばれる解散権を弄んだ首相への不信感を募らせ、ついには「この首相には解散を断行する覚悟はない」と舐め始めたのだ。
6月解散を見送った時点では「9月解散論」がまことしやかに語られていたが、今では年内解散どころか、来年秋の自民党総裁選前の解散も難しいのではないかという見方が強まっている。

6月解散におののいた与野党の緊迫感は今は昔、永田町は弛緩(しかん)し切った夏を迎えた。
自民党内で「岸田降ろし」の狼煙が上がる気配もない。
内閣支持率は続落し、党内基盤も強くないのに、岸田政権がダラダラと続く奇妙な膠着(こうちゃく)状態に突入してしまったのだ。
これはいったいなぜだろう。

以下、3つの理由を解説したうえ、岸田政権の行方を展望してみたい。

■まとまりきれない「安倍元首相なき安倍派」
一つ目の理由は、自民党内に有力なポスト岸田が見当たらないことだ。
岸田政権の主流派は、麻生太郎副総裁が率いる第2派閥・麻生派(55人)、茂木敏充幹事長が率いる第3派閥・茂木派(54人)、そして岸田首相が率いる第4派閥・岸田派(46人)である。

非主流派は二階俊博元幹事長が率いる第5派閥・二階派(41人)と菅義偉前首相が束ねる無派閥グループだ。
そして中間に位置するのが、最大派閥・安倍派(100人)である。
二階氏や菅氏が安倍派と組めば党内の過半数に達し、岸田政権は一転して窮地に追い込まれる。
安倍派を分断して「反岸田」で結束させないことが政権維持の基本戦略といっていい。

安倍派は安倍晋三元首相の一周忌(7月8日)を経ても後継会長が決まらず、岸田首相の思惑通り、内部抗争を抱えたままだ。萩生田光一政調会長、西村康稔経済産業相、世耕弘成参院幹事長、松野博一官房長官、高木毅国会対策委員長のいわゆる「5人衆」が譲らず、リーダー不在の集団指導体制の様相をみせている。
さらに一世代上の下村博文会長代理が「5人衆」を批判するなど混迷を深めている。

政界引退後も影響力を残してきた安倍派重鎮の森喜朗元首相は萩生田氏を後継会長に推しているが、安倍派の半数以上は森氏の政界引退後に政界入りしており、森氏の鶴の一声で決まる気配はない。
当面は「会長は萩生田氏、総裁候補は西村氏」とする案や「萩生田・世耕共同代表」とする案が飛び交うが、決定打に欠ける。

■岸田首相を脅かす「茂木幹事長」
会長レースのトップを走る萩生田氏は8〜9月の人事で幹事長職を射止め、一気に安倍派会長に就く戦略を描く。
茂木氏が岸田首相の後見人である麻生氏の後押しで幹事長に就任したのを契機に派閥会長の座をつかんだように、岸田首相に早大の先輩として助言を重ねてきた森氏の威光を背景に幹事長に昇格した勢いで安倍派会長にのしあがろうという算段だ。
だが、萩生田氏の思惑通りに事は進まないだろう。

岸田政権の基本戦略は安倍派分断であり、わざわざ萩生田氏の会長就任を後押して安倍派の結束に手を貸すメリットはない。萩生田、西村、世耕のライバル3氏を留任させ、来年秋の総裁選まで張り合わせておくのが最適解だ。
安倍派が内紛状態のなかで、岸田首相を脅かす一番手は茂木幹事長である。
茂木氏は昨年11月に内閣支持率が急落した後、ポスト岸田への意欲を隠さなくなった。
5月には訪米して「次期首相」としての存在をアピール。
7月にはウクライナ支援の拠点であるポーランドに加え、来年のAPEC議長国ペルーやG20議長国ブラジルを訪問し、茂木政権誕生への布石を露骨に打った。
内政でも官邸に十分根回しすることなく児童手当の所得制限撤廃を打ち上げるなど独自色を強め、岸田首相との亀裂は深まるばかりだ。

■茂木政権への道は平坦ではない
茂木氏の強気の根拠は、岸田政権の生みの親である麻生氏が「茂木推し」を崩していないことだ。
政界引退後も茂木派に影響力を残しつつ茂木氏を毛嫌いしてきた青木幹雄元官房長官が6月に他界したことも、茂木氏の強気を後押ししている。

しかし本人が思うほど茂木政権への道は平坦ではない。
岸田―麻生―茂木の主流派体制を突き崩すため、非主流派の二階氏や菅氏に加え、安倍派内でも幹事長就任に意欲を燃やす萩生田氏を筆頭に、幹事長交代を求める声が高まっているからだ。
公明党は麻生氏や茂木氏と折り合いが悪く、二階氏や菅氏と気脈を通じて「茂木更迭」を画策している。
東京の選挙区調整に端を発する自公対立は、岸田首相に対して「茂木更迭」を迫る側面が強い。
都連会長を務める萩生田氏が公明党に歩み寄りをみせないのは、自公対立の責任を茂木氏に負わせることを公明党と示し合わせた「共作共演」の可能性が高いと私はみている。

次期首相は次の衆院選の「顔」となるのに、衆院選を共闘する公明党に露骨に嫌われているのは、茂木氏の「政権獲り」の致命傷になりうるだろう。
岸田首相としても茂木氏を留任させれば、青木氏が他界した後の茂木派を完全掌握して政治基盤が強まり、いよいよ岸田首相を脅かす存在となってしまう。
ここで勢いをそぐには、幹事長から外すのが良い。
その代わりに茂木派の次世代ホープの小渕優子元経産相を要職に抜擢すれば、世代交代の歯車が回り、茂木氏の求心力は大きく失われるだろう。

■「次の首相」の常連、河野太郎の失速
自民党内には「来年秋の総裁選に向け茂木氏の動きを封じ込めるには幹事長職にとどめておくのが得策」との声もあるが、私の見解は逆だ。
茂木氏はエリート臭が強く、個人の魅力で党内支持を獲得するタイプではない。
要職を歴任することで首相候補にのしあがったのだ。
ポストを奪えば、無役の立場で反撃を仕掛ける胆力があるとは到底思えない。
安倍政権で幹事長職を外された石破茂氏が瞬く間に影響力を失っていったのと同じ道をたどるのではないか。

茂木氏に続くポスト岸田の有力候補は、世論調査で「次の首相」のトップを走ってきた河野太郎デジタル担当相(麻生派)だ。
世代交代を恐れる麻生氏と折り合いが悪く、前回総裁選では同じ神奈川選出の菅氏に担がれたものの、麻生氏が推す岸田首相に完敗した。
それでも世論調査の人気を保っていたが、ここにきてマイナンバーカードをめぐるトラブル続出で批判が殺到し、8〜9月の人事で交代論が飛び交う。
ただでさえ党内基盤が弱いのに、国民人気が陰り、ポストまで失えば、ポスト岸田レースからの脱落は免れない。

安倍氏を唯一の後ろ盾としていた高市早苗経済安保担当相は安倍氏急逝ですっかり存在感を失った。
岸田派ナンバー2の林芳正外相は有力候補だが、第4派閥に過ぎない岸田派から2代続けて首相を輩出することは現実的ではない。
麻生氏はすでに82歳で「選挙の顔」にはなり得ず、菅氏も74歳で健康不安説がくすぶる。
茂木氏さえ潰せば、ポスト岸田の有力候補は見当たらない。
内閣支持率が続落しても「岸田降ろし」の狼煙が上がらない最大の要因はここにある。

■野党同士の激しいいがみ合い
二つ目の理由は、野党がバラバラであることだ。
立憲民主党の政党支持率が日本維新の会に追い抜かれる状況が定着し、野党の主役は維新に移った。
維新の馬場伸幸代表は「立憲をぶっ潰す」と公言し、打倒自民よりも打倒立憲を優先して次の衆院選で野党第1党の座を奪うことを目標に掲げている。
立憲との選挙協力は断固拒否し、立憲を上回る候補者を擁立する方針だ。

立憲は通常国会で維新と共闘して選挙協力につなげる戦略を描いたものの、あえなく頓挫し、維新と罵り合う事態に陥った。維新に接近するために断ち切った共産党やれいわ新選組との選挙協力を再構築するのも容易ではない。
泉健太代表は維新や共産との選挙協力を完全否定したものの、小沢一郎氏らの反対意見に突き上げられて前言を翻し、地域事情に応じた候補者調整に取り組む方針に転じたが、自公与党に対抗して野党候補を一本化させることはほぼ絶望的な状況だ。 ただでさえ支持率が低迷しているなか、自公与党が候補者を一人に絞り込んでくるのに、野党候補が乱立したら、たった一議席を争う小選挙区で勝ち目はない。
どんなに内閣支持率が低迷しても、いつ解散総選挙を断行しても、野党がバラバラでは自公与党が政権を失うことはあり得ない。

■維新が大勝しても“自公政権”には全く影響がない
万が一、維新が大躍進して自公与党が過半数割れに追い込まれる事態が発生しても、維新との競争に敗れ弱体化した立憲の残党を連立政権に引き込んで「反維新」を大義名分とした自公立連立政権を築けば良い。
民主党政権で消費税増税を主導した野田佳彦元首相や安住淳元財務相、枝野幸男元官房長官ら立憲重鎮は、財務省と密接な関係のある岸田派と極めて近く「維新より自民がマシ」という立場だ。

内閣支持率と政党支持率を足して50%を切ると政権は持たない――永田町では青木氏がかつて唱えた「青木の法則」が信じられている。
これに照らすと岸田政権は危険水域に近づいているが、「青木の法則」は民主党が政権交代を掲げて勢いづいていた時代に生まれたものだ。
野党バラバラの政治状況では内閣支持率や自民党支持率がどんなに落ち込んでも、それに代わる選択肢はなく、政権は持ち堪えてしまう。
いつ解散総選挙に突入しても政権交代が実現することはないというリアルな現実が、政界から緊張感を奪い、岸田政権を延命させているといっていい。

■日本人に嫌われても、バイデンには愛されている
最後の理由は、岸田政権がバイデン米政権の強い支持を得ていることだ。
岸田首相は昨年末、日本の防衛力を抜本的に強化し、防衛費を大幅に増額する安保3文書を閣議決定し、「端的にいえば、戦闘機やミサイルを購入するということだ」と語気を強めた。
その後、専守防衛を逸脱すると指摘される巡航ミサイル・トマホーク400基を米国から2000億円で一括購入し、米タイム誌に「真の軍事大国を目指している」と持ち上げられた。

防衛費増額に加え、ウクライナ復興への1兆円にのぼる支援表明も、中国に対抗するための日韓関係改善も、岸田外交の実像はバイデン政権の言いなりであることは疑いない。
6月にはバイデン大統領が日本の防衛費増額について「広島を含め3回、日本の指導者と会い、彼を説得した」と口を滑らせた。
日本政府の申し入れで慌てて訂正した後も「日本の軍事予算は戦後ずっと増額されてこなかったが、我々を助けるために大幅に増額された」と公言し、岸田首相を「手下」としか思っていないことをうかがわせた。

■結局、バイデン頼み…
岸田首相は7月、NATO首脳会議が開かれたリトアニアを訪問した際も、欧州首脳たちの面前でバイデン氏から「この男がウクライナのために立ち上がると思った人は欧米にはほとんどいなかった」とベタ褒めされ、満面笑みを浮かべた。
バイデン政権の支持を受けている限り、自民党内の「岸田降ろし」を封じて政権を延命できると踏んでいるのだろう。
裏を返せば、岸田政権の「バイデン頼み」はアキレス腱(けん)ともいえる。

バイデン氏は来年11月の大統領選への出馬を表明しているが、再選を果たして任期を終える時には86歳になる。
最近、聴衆の面前で何度も転んだり、言葉が詰まったり、固有名詞を間違えたり、高齢不安をさらけ出す出来事が続出し、民主党内からも「バイデンでは勝てない」との声が上がり始めた。
トランプ氏が返り咲いても、民主党の他の政権が誕生しても、「ウクライナ支援疲れ」から米国の外交政策は大転換して岸田政権はハシゴを外される恐れがある。

来年は自民党総裁選と米大統領選がある日米同時政局の年だ。岸田首相が国内に敵なしだとしても、バイデン再選の黄信号が灯れば、日本政界にも波及して、岸田首相にも勇退を求める声が高まるだろう。

■「人事より選挙」の安倍、「選挙より人事」の岸田
安倍政権は「麻生副総理―菅官房長官」の骨格人事を動かさない一方、先手必勝で早期解散を繰り返し、憲政史上最長の政権になった。
「人事より選挙」を優先した政権だったといっていい。

岸田政権は対照的に解散権を封印し、ライバルを蹴落とす人事を断行して総裁再選を目論んでいるように見える。
永田町では昔から「解散は政権の力を強め、人事は弱める」と言われてきた。
解散総選挙で勝ち上がった多くの議員たちは首相に感謝するが、人事で処遇されなかった大勢の議員たちは首相を恨むからだ。
はたして岸田首相の政権延命策は成功するのか。
8〜9月の内閣改造・党役員人事の成否が第一関門であり、それを乗り越えたとしてもバイデン政権と一蓮托生(いちれんたくしょう)の運命が待っているというのが、現時点での私の見立てである。

----------
鮫島 浩    ジャーナリスト
posted by 小だぬき at 08:55 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月21日

いざというときにやっぱり必要?固定電話のメリットとは?

いざというときにやっぱり必要?固定電話のメリットとは?
7/19(水)  ファイナンシャルフィールド

利用料金が高いので固定電話を解約しようか考えているものの、いざというときには固定電話があったほうがよいのか、迷っている人も多いでしょう。
本記事ではそのような人に向けて、固定電話のメリットやデメリット、固定電話が必要な人について解説します。

解約するかどうかについて悩んでいる場合は、メリット・デメリットを比較して、必要、もしくは不要か、と考えたうえで決めることが大切です。

固定電話のメリット
ここでは固定電話のメリットについて紹介します。

■社会的信用度が高い
社会的信用度が高まることで、住宅ローンをはじめとした各種ローンの審査も有利になると期待できるでしょう。
個人事業をおこなっている場合は、固定電話の電話番号を持っていることで、その会社が存在しているという正当性をアピールすることにもつながります。
また、法人口座を開設する場合は固定電話番号の記載が必須になっている金融機関もあるため、そのような場合にも対応することが可能です。

■通話料金が安い
固定電話は携帯電話を使用する場合と比べて通話料金が安くなるケースが多くあります。
プランによって差はありますが、一般的には携帯電話で通話をするよりも通話料金が安くなるため、長電話をしたい人に適している場合もあるでしょう。

■災害に強い
固定電話は電話回線から供給される、わずかな電力で稼働することが可能です。
そのため、災害により停電などが起きても、電話回線が切断されない限りは利用できます。
携帯電話は通信の混雑で利用が制限される可能性があります。

■充電しなくて良い
携帯電話は、充電が切れると使えません。固定電話は電源が入っていれば使えます。
携帯電話を使用する際には、常に充電を気に掛ける必要がありますが、固定電話はそのような心配は不要です。

固定電話のデメリット
固定電話のデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

■詐欺や営業の電話がかかってくる可能性がある
詐欺の電話は高齢者の使用率が高く、固定電話をターゲットにする事例が多く見受けられます。
営業の電話も在宅の状況を確認しやすく、勧誘を繰り返すのに好都合であることから固定電話にかかるケースが多いです。

■利便性に欠ける
どこでも使用できる携帯電話と異なり、使える場所が固定されてしまうことや、市外局番が異なる場所に引っ越す場合は、電話番号の変更が必要になる点が注意点といえるでしょう。

固定電話を解約しないほうがよい人
固定電話を解約しないほうがよいのは、社会的信用が必要な人や、万が一の災害に備えて電話ができる手段を残しておきたい人、そもそも携帯電話を持っていない人などが挙げられます。
ただし、固定電話があることで詐欺や営業の電話がかかる可能性が高いなどのデメリットがある点に留意が必要です。

メリット・デメリットを比較して、固定電話を契約することのメリットが多いと感じる場合は固定電話を解約しないほうがよいでしょう。

固定電話を解約する前によく考えよう
固定電話には詐欺や営業の電話がかかってきたり、引っ越す場所によっては電話番号を変更しなくてはいけないなど、いくつかのデメリットもあります。
しかし、本記事で紹介したように、通話料金が安いことや災害時に強いなど、固定電話ならではのメリットもあります。

解約を考えている人は、今一度、固定電話のメリット・デメリットを踏まえて本当に解約すべきか、よく考えてから決めることが大切です。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウクライナ侵略・安倍元首相銃撃…私たちは歴史の分岐点に立っている」金平茂紀氏が高知市で講演

ウクライナ侵略・安倍元首相銃撃…私たちは歴史の分岐点に立っている」金平茂紀氏が高知市で講演
7/19(水) テレビ高知

さまざまな分野で活躍する人たちが講演する「高知市夏季大学」が18日夜から始まりました。
初日の講師はジャーナリストの金平茂紀(かねひら・しげのり)さんで、「現在の日本は新しい戦前だ」と危機感を訴えました。
金平茂紀さんは1953年北海道生まれの69歳。
1977年にTBSに入社後モスクワ支局長や報道局長などを歴任し、現在はTBS「報道特集」の特任キャスターを務めています。

18日夜の講演で金平さんは、ロシアによるウクライナ侵略と安倍元総理の銃撃事件が起きた去年は「歴史の分岐点」と説明。
侵略により戦争をしてはいけないという理念が揺らいでいることや、安倍元総理が銃撃で死亡したことで功罪の罪の部分の検証を避けようとして、言論の自由が奪われていることなどを指摘し、現在の日本はこれまでの戦後ではなく「新しい戦前」の状態にあると強調しました。

(ジャーナリスト 金平茂紀さん)
「ウクライナ侵略戦争と安倍元首相の銃撃事件というショッキングな出来事があったら、その隙に乗じて一気に普段できないことをやってしまおうという。
僕は端的に言うと、日本を戦争のできる国に変えようとしているんじゃないかと僕は思います。
みなさんはどう思っているかわからないですよ」

この上で金平さんは、少数派であることを恥じることなく、間違っていることは間違っていると声をあげていくことが、新しい戦前を生きていくうえで重要だと述べました。
posted by 小だぬき at 01:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月22日

「悪徳商法を見抜く」うたい文句6選。高齢になった親の“孤独感”につけ込む手口とは

「悪徳商法を見抜く」うたい文句6選。高齢になった親の“孤独感”につけ込む手口とは
2023年07月21日 SPA!

必要もない高額な商品を無理やり買わされたとか、「絶対儲かる」と言われて投資したのに、儲かるどころか、投資したお金すら戻ってこなかったといった、悪徳商法の被害に遭う高齢者のニュースが連日のように報道されています。
 周囲に同居している家族がいれば、いったん相談して冷静に判断することもできますが、自分の高齢の親が“おひとりさま”だった場合、どういった情報を教えるべきなのでしょうか。
 近年頻出する悪徳商法の手口と、実際にだまされた際の相談窓口を、おひとりさま高齢者の日常生活から入院・介護、亡くなってからの葬儀・相続までの心配事を解決するムック『おひとりさま[老後生活]安心便利帳』より、抜粋します。

◆高齢者の優しい心につけ込む悪徳商法の手口
 悪徳商法の手口は、電話での強引なセールスやネット上での嘘の広告などさまざまです。
 あるいは、いきなり家に訪ねてきて、「屋根の修理をしないと危ない」とか、友人に誘われて行ったセミナーで商品を買わされたといったケースもあります。

 悪徳商法に引っかからないためには、うまい話を信用しない、すぐに契約しない、ハッキリ断るといったことが大切です。

◆家族や知人に相談することが大事
 NPO法人渋谷介護サポートセンター 理事長の服部万里子氏は、「不安をあおって契約させたり、『お得だから』と勧めてくるサービスは危険です」と警鐘を鳴らします。
 加えて「少しでも変だと思ったら、自分ひとりでは判断せず、まず家族や知人に相談しましょう。
相談する相手がすぐに思い浮かばなかったら、消費者ホットライン『188』や警察相談専用電話『#9110』に、迷わず電話するか、地域包括支援センターに相談してください」とアドバイスします。
 ただし、消費者ホットライン(188)や警察相談専用電話(#9110)は、ダイヤル式や一部のIP電話からはかけられません。ご注意ください。

◆悪徳商法は、自分は絶対にだまされないと思っている人ほど危険!
 悪徳商法で厄介なのは、被害者自身が気がつかないうちにだまされていることです。
 自分の判断能力が低下していることは自覚しづらく、また、たとえ判断能力に自信があったとしても、近年は悪徳商法の手口がより巧妙かつ複雑になっているので、より注意が必要だと認識しましょう。

 ほかにも、おひとりさまが悪徳商法や詐欺に狙われやすい理由があります。

 1つ目は昼間ひとりで家にいることが多いということ。
ひとりでいると自分の判断だけで焦って行動を起こしてしまうため、大きな被害につながりやすいのです。

2つ目は、孤独感から、親切な態度で接してくる相手を信じやすいということです。
こういった高齢者の心理をだます側は、よく理解してつけ込んでくるので注意しましょう。

「だまされたかも?」と気づいたときは先に紹介した消費者ホットラインや警察相談専用電話を活用できますが、もっとも大事なのは、だまされないように相手の手口を知っておくことです。

◆悪徳商法でよく聞くうたい文句6選  

最後に、悪徳商法でよく聞くうたい文句を以下に6つ紹介しますので、これを耳にしたら、すぐに危ないと思ってください!

1:「お試しなので、今なら安く買えます」  契約書をよく読むと、条件として自動的に継続購入の契約になっていることも。

2:「以前申し込んだ商品をお送りします」 ※申し込んだ記憶がなければ、完全に詐欺。
送りつけ商法と呼ばれるものです。

3:「支援だと思って、買ってください」  困っている人を助けるという、うたい文句。不当に高い物を買わされることも。

4:「無料で点検できるので、一度見させて」  家の修理や害虫駆除など。
その後に高額な工事をされたり、商品を売られます。

5:「火災保険の活用で無料修理できます」
 経年劣化の修理費は火災保険の対象外です。それでも、工事費は請求されます。

6:「元本割れしないので、安心な投資です」
 リスクのない投資はありません。
元本保証と言われたら、まず疑ってください。

構成・文/日刊SPA!編集部
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

無宗教の日本人が「スピリチュアル」にはまる謎

無宗教の日本人が「スピリチュアル」にはまる謎
2000年以降の江原啓之ブームは何だったのか
井艸 恵美 : 東洋経済 記者
2023/07/21 オンラインオンライン

安倍晋三元首相が銃弾に倒れて1年。
旧統一教会問題(世界平和統一家庭連合)やエホバの証人など、新宗教の問題がクローズアップされてきた。
一部の宗教が批判にさらされる一方、パワースポットや占い、癒し、スピリチュアルをテーマにしたイベントの人気は衰えない。
その根底にあるのは、「霊を信じるが無宗教」という日本人のメンタリティだ。

オウム事件以降、2000年代から本格化した癒しやスピリチュアル・ブームの背景について、スピリチュアリティ研究が専門の東京大学の堀江宗正教授に話を聞いた。

霊という文字の暗いイメージから脱却

――日本で「癒し」や「スピリチュアル」という言葉がはやり出したのはいつ頃でしょうか。

日本では1970年代からオカルトやニューエイジ、精神世界と呼ばれる、宗教団体と一線を画したブームが起こりました。1995年のオウム真理教事件を経て下火になるかと思いきや、2000年代にはテレビ・書籍を中心にスピリチュアル・ブームが起こります。
その象徴的な存在はスピリチュアル・カウンセラーの江原啓之氏です。
ピークは2007年あたりで、その後、江原氏がテレビ出演を控えたのでブームは衰退したように思われています。
しかし、出版やネットユーザーの動向を見る限り、2011年の東日本大震災以降にも関心の高まりがみられます。
つまり、テレビとは異なるメディアを通して、拡散と深化は続いているのです。

――2000年代初頭は江原氏が芸能人を霊視するテレビ番組「オーラの泉」が放送され、一般にスピリチュアルという言葉が定着したように思えます。

年に2度ほど放映された特別番組「天国からの手紙」も、故人となった霊のメッセージを江原氏が遺族に伝えるという内容でした。
このような能力をもつ存在は、従来なら「霊能者」「霊能力者」と呼ばれてきましたが、江原氏は霊という文字の暗いイメージからの脱却を図るため、自らを「スピリチュアル・カウンセラー」と呼びます。

江原氏は集団を組織する権威主義的な「宗教」とは距離を置きます。
心理学用語やカウンセリングという言葉を用いながら、個人カウンセリングは行わず、メディアを活動の中心としました。「スピリチュアル」をキャッチフレーズとした生活に役立つ商品(聖地の旅行ガイド、音楽作品、ダイアリー、育児書など)を販売しました。

――江原氏のような存在がブームになったのは、日本人の宗教観から見て、どう解釈できますか。

国語辞典や英語圏の辞書を見る限り、宗教とは超越的な存在や力を前提とする信念と実践ということになります。
占いなどもこれに当てはまりますが、日本人の間では、個人的な信念や実践は宗教とは呼ばれません。

個人と社会の間の拘束力が強い中間団体が、とくに「宗教」と呼ばれる傾向があります。
各種の宗教意識調査を総合すると、「宗教」を信仰する人は20%台であり、大学生に至っては1割に満たない。
ところが、霊魂やあの世の存在への肯定回答率は過半数を超えることがあります。

つまり、現代日本においては「霊を信じるが無宗教」という層が広まっている可能性があります。
江原氏のように「宗教」と批判的距離を置きながら、「霊」への関心を満たしてくれるようなカリスマ的存在が受け入れられる背景には、このような宗教意識の土壌があるのです。

もう1つの要因は、オウム事件以降の特殊なメディア環境です。

カルトはたたくがスピリチュアルは持ち上げる

――特殊なメディア環境とは何でしょうか。

オウム事件があった1995年から1999年までは、メディアにおける「カルト」批判が最も激しい時期でした。
この時期、心霊番組や超常現象を扱うテレビ番組は一気に姿を消します。
ところが、2001年以降は急速に復活を遂げます。
江原氏以前に注目を浴びていた霊能者である宜保愛子氏は、2001年以降はテレビで復活しますが、2003年に他界してしまう。
そこに、江原氏がテレビに登場するようになったのです。

2000年までは反カルト一色でしたが、2001年からは「カルト」はたたくが、「スピリチュアル」は持ち上げるメディア環境に転じたと見ることができます。
それを矛盾と感じないような「霊を信じるが無宗教」というメンタリティが定着しているといえます。
超越的な力を前提とする信念や儀礼であっても、「特殊な拘束集団」と関わりがなければ、つまり個人的信念にとどまるものであれば「宗教」とは呼ばずに受け入れる態度が、メディアを中心に、またその影響を受けやすい若者から中年世代に広がりました。

――オウム事件によって宗教への警戒心は高まったが、新たに「スピリチュアル」という言葉が「霊を信じるが無宗教」という層の受け皿になったということですね。

そうです。
オウム事件が起きたすぐ後、宗教学者の阿満利麿(あまとしまろ)氏が書いた『日本人はなぜ無宗教なのか』では、日本人の7割が無宗教であると答えるのに、その4分の3が広い意味での宗教心は大切と答えているという調査を取り上げ、この「無宗教の宗教心」の形成過程を明らかにしました。
オウム事件直後の反カルト的な雰囲気が充満する中、日本人の宗教性が「無宗教の宗教心」として規定されたのは示唆的でした。
実際、事件後は宗教団体の活動は目立たなくなりましたが、無宗教の宗教心に近い「スピリチュアル」や「癒し」が台頭したのですから。

――現在は統一教会問題を機に宗教への批判が高まっています。

オウム事件後のように、数年したらスピリチュアル・ブームが再燃するのでしょうか。
つねにニーズはあると思います。
2000年代にテレビで心霊やスピリチュアルが急に復活したのも、やはりニーズがあったからです。
今はテレビからYouTubeなどへ媒体がシフトし、江原氏ほどでなくても、捉えにくい形で特定のYouTuberの人気が出ていく可能性があります。

客は消費者であり生産者でもある

――2005年にスタートした「癒しフェア」というイベントでは、占いから美容商品まで、癒し関連のセミナーや商品の販売者が出展しています。

2023年4月に大阪で開催された癒しフェアでは、2日間で7626人(オンライン参加含む)が来場し、大盛況でした。
「癒し」の人気が出たのはスピリチュアル・ブームより前の1997年頃からです。
トラウマ(心の傷)という言葉が認知され、傷の癒しが注目されるようになりました。
それ以前は、癒しは自発的な治癒力の活性化を意味していました。
ところが、その意味を離れて、リラックス効果をうたった商品のキャッチフレーズとして使われるようになりました。
商品販売を主とする出展者が多い癒しフェアなどのイベントも、このような時代の流れと一致しています。
癒しフェアでは、出展するセミナー会社や癒し関連商品の販売者自身も、空き時間にはほかの販売店を回るなど客のように行動しています。
逆に今回は出展者ではない客が、普段は占いやヒーリングなどを実践している場合もあります。
癒し関連の民間資格が得られるセミナーを受けると、「消費者であり生産者でもある」という状態にすぐになれるのです。

――癒しやスピリチュアル、ヒーリングなどさまざまな言葉が使われているのはなぜでしょうか。

ネット上では「スピリチュアル」が虚偽や詐欺、信じやすさというイメージで批判されるため、当事者がスピリチュアルという言葉を使うのを避けています。
特に彼らは宗教と同一視されることを恐れます。
耳に心地よいスローガン的な言葉が登場しても、世間に流布すると「宗教」と同様ではないかとたたかれて廃れていき、別の言葉に取って代わられる。
その結果、さまざまなニュアンスの異なる言葉が乱立することになります。

政党と関わりたくないという人が多い

−−−陰謀論や反ワクチンに関わる主張をする人たち、例えば参政党の支持者と、スピリチュアル信奉者は重なりますか。

私の調査では、一般の人に比べれば、スピリチュアリティに関心のある層で陰謀論に引きつけられる人が多いのはたしかです。
ただ、参政党などの支持者は、スピリチュアリティに関心がある人の中でもごく一部のマイノリティです。
スピリチュアリティ関心層は個人主義的で、組織的運動を嫌います。
参政党は食と健康と環境を守るオーガニック政党という面だけでなく、天皇中心の排外主義という右派の面が強いです。

スピリチュアリティには反原発など左派的な面もあり、概して無党派層が多い。
陰謀論を唱えるカルトや参政党などに関わりたくないという人は多いと思います。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月23日

「もしかして認知症かも?」初期症状のサインとなるたった1つの口癖とは

「もしかして認知症かも?」初期症状のサインとなるたった1つの口癖とは
7/22(土) ダイヤモンドオンライン

 老いてきた親とのコミュニケーションは非常に複雑で繊細です。
相手のことを思って言った一言が引き金となり「年寄り扱いするな!」「死ねってことか!」とかえって揉め事になってしまうケースは少なくありません。
免許返納や認知症検査、デイケアサービスの提案など、親の自尊心を傷つけずに自分の意見を伝えて話し合いに持っていくのには時間がかかるものです。
こういったコミュニケーションが上手くいかず親は子どもに対し「年寄り扱いされた」、子どもは親に「意地になって話も聞いてくれない」と親子の関係が拗れてしまうことも少なくありません。
今回はこういった悩みを少しでも解決すべく、これまでのべ50万人を支援してきた行列ができる介護・リハビリ施設の創業者である萩原礼紀氏の記事をお届けします。

認知症初期症状のサインとなる口癖
 認知症初期症状のサインとなる言葉があります。
それは「知らない・していない」です。
単純な否定形の反応は初期の認知症の特徴として認められます。
 必要以上に敏感になる必要はありませんが、「知らない・していない」は何気ない日常に潜んでおり、つい見落としてしまいがちです。
たとえば、次のような会話はどうでしょうか?

あなた:テーブルの上のケーキ食べたのお母さん?
親 :知らない。

あなた:トイレ使ったら水流しておいてよ!
親 :使ってない。  

あなた:テーブルの上のケーキ食べたのお母さん?
親 :違うわよ。

あなた:トイレ使ったら水流しておいてよ!
親 :流さないなんてことあるわけないでしょ。

 ピンと来る人ももしかしたらいるかもしれません。
 何かの問いかけに対して回答を出す際に、自分の頭の中の記憶を思い返して判断するというプロセスを踏んでいる場合は、ただの「記憶違い」であって認知症ではありません。
その場合の返答はほとんどの場合、「違う・そんなことない」です。

 しかし、このように実際の行動を思い返さずに返答をしている場合は「記憶違い」ではない可能性があります。

では、「知らない・してない」と「違う・そんなことない」はどう違うのでしょうか?

● 「知らない」と「違う」の差
 私は「知らない」私は「していない」はどちらも「私(親自身)」中心のメッセージです
ここでは「自分メッセージ」と呼びます。
 「自分メッセージ」は私が「そう思ったら、そう」という自己完結型の思考から生まれます。

一方、「違う」と「そんなことない」は何かと比較しての言葉です。
何か(例えばAとB)を想起し、それらは同じでない。だから違うという言葉となります。
自分なりに違うという根拠を持っています。

 つまり、「知らない、してない」も同じような意味として受け取ってしまいがちですが、実はメカニズムがまったく違うのです。

 まとめると、サインを見極めるポイントは「私(親自身)」が中心で発している「自分メッセージ」なのか、周囲や前後の状況を想起した返答なのかというのが認知症の初期症状を疑うポイントです。

● 認知症とは、「自分の世界で生きている状態」
 認知症になると、一般的にものを見てわかるはずが、わからない。
状況的に見て行動したはずが、やってない。と答えるようになります。
 たとえば、失禁した下着をタンスの裏に隠すケースでは、下着の中で漏らすのは良くないことだと理解しています。
しかし、粗相をしてしまった。
そんな「都合の悪いこと」は「私(自分の世界)」では認められないのです。
悪臭で下着が発見され、下着の名前や状況から誰がやったのか明らかになってしまいますが、自分を取り巻く環境、背景までは考えられないのが認知症です。

 複雑な、あるいは論理立った段階的な思考プロセスは踏めずに、短絡的、直線的な思考と判断がされてしまいます。
決して善悪の判断がつかないわけではありません。
 しかし、認知症で社会性が乏しくなると、他の誰かにとって不都合であっても「私」が優先されます。
 もし、親から「知らない・していない」という発言を聞く機会が増えてきたら、反射的な回答をさせる前に、親に対して質問の意図を説明し、前後の記憶や状況について考えてもらうように優しく誘導してみてください。

親には悪気などありません。
 認知症が進行していくと感じたら、早めに受診して認知症検査を受けるか、最寄りの地域包括支援センターに、今後どうすべきかの相談をしてみると良いかもしれません。
一人で悩むよりも、まわりの人に相談しながら対応していくのがいいでしょう。

       萩原礼紀
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

社会に異議 誰かが言わないと 作家・赤川次郎さん

池上彰のこれ聞いていいですか?
社会に異議 誰かが言わないと  
作家・赤川次郎さん
2023/7/22 毎日新聞

文学界には政治や社会問題について発言することを控える風潮があると言われる中で、ベストセラー作家の赤川次郎さん(75)は異彩を放つ。
新型コロナウイルスの感染拡大で、開催か中止かを巡って大きく揺れた2021年夏の東京オリンピック・パラリンピックに「五輪中止 それしか道はない」と声を上げたのだ。
ジャーナリストの池上彰さんとの対談では、時代の空気感にあらがう理由などについて語った。
  
       *
池上
 推理小説を好きになったのは、NHKに入局したてに勤務した放送局や通信部時代でした。
警察担当の時、先輩から「松本清張の作品を読め。汚職事件が題材になっているから取材の勉強になるんだ」と勧められまして。
そんな時に、赤川さんの「三毛猫ホームズ」といった作品が飛び込んできたのです。
こういうミステリーがあるのかと。
毎年ものすごいペースで作品を発表されていますが、創作の秘訣(ひけつ)はどのようなものでしょうか。  

赤川
 30代、40代は1年間で24冊といったペースで作品を出していました。今はだいぶ落ちています。
夕方に音楽を聴いてリラックスして、執筆はもっぱら深夜ですから、まさに昼夜逆転の生活を送っています。

池上
 手書きで執筆しているとうかがっています。  

赤川
 手で原稿を書くほうが早いというか、パソコンだと漢字に変換する時にタイムラグがあります。そこで文章のリズムが失われるのが嫌で、ずっと手書きで書いています。
ただ、編集者の方々は読みにくい字に苦労していますね。  

池上
 私はニュースを扱う仕事ですから書く題材には困らない。
しかし、作家はゼロから創り出す。これは大変な労力が必要だと推察します。  

赤川
 先の心配はしていません。締め切りがくれば何とかなる、と。
それに子どもの頃の経験が大きいですね。
戦後、手塚治虫さんをはじめ大勢の漫画家が活躍し、漫画雑誌が何冊も世に出ました。
僕は3歳ぐらいから漫画を夢中で読み、まねをして描いていました。
ストーリーを自分で考えることは、その頃から習慣になっていて。
ですから今でも物語を作るということに苦労したことはないですね。

池上
 朝日新聞の読者投稿欄に、赤川さんの氏名が載っていたのを見て驚きました。
21年6月の朝刊で「東京五輪は中止すべきだ」という内容でした。  

赤川
 新聞社側と相談すれば寄稿といったスタイルも取れたかもしれませんが、あくまで僕は読者として発言する形にしたかったのです。
字数が少なかったので苦労しましたけど。
載った後、関係者や知人に会う度に「読みました」と言われましたね。そういえば図書券をもらいました(笑い)。  

池上
 五輪には、やむにやまれぬ思いがあったということですね。  

赤川
 コロナ禍の中での強引な開催に黙っていてはいけない、という気持ちがありました。
特に東京五輪は大手新聞社がスポンサーになっていましたから発言力が弱いと感じていました。
それだけに誰かが言わないといけない、と。
僕の投稿後、朝日新聞の「素粒子」で取り上げていただいた。
「胸のすく思い」と。うれしかったのですが「それで終わり? 新聞社として何とかしないの?」とがっかりしたのも事実です。  
女性週刊誌にコラムを書いていますが、社会に対して発言するのは自分のためでもあるのです。自分で書いたから責任を持つ。
後から変な言動をしないようにと、自分を律する意味もあるのです。

「五輪」「国葬」議論が不足

池上
 安倍晋三元首相が銃撃されて亡くなってから1年です。
振り返ると「国葬」が何となく決まってしまった。あの頃はおかしいと思っても言い出しにくい空気感がありました。

赤川
 本当にそうです。反対しづらい空気が広がっていました。
だからこそ報道機関が中心となって、五輪も国葬も「本当にやる価値があるのか」という国民的な議論をすべきでした。  

池上
 作家は事件や社会で話題になった出来事を作品に取り入れますが、政治問題や社会情勢について自ら発言される方は少ないですね。  

赤川
 確かにあまりいないですね。
政治や社会問題に関心がないのかと思ってしまいます。
僕らの世代は学生運動を経験していますが、一つ下の世代の人々は政治に何を言っても変わらないと、ちょっとしらけているのかもしれません。  

池上
 日本の若者には、社会を変えたという成功体験がないことが大きいかもしれません。
一方、フランスを見ていると、若者たちにはフランス革命での成功体験がいまだに受け継がれているように思えます。  

赤川
 日本の学生運動は結局、何も変えられませんでしたから。  

池上
 赤川さんの作品には刑事がよく出てきますが、主役ではありません。
しかも間抜けだったり、事件解決の役に立たなかったり。その理由とは?  

赤川
 テレビドラマは刑事ものばかりですが、現実は立派な刑事ばかりというわけではありませんから。
先日も捏造(ねつぞう)を証言した公安刑事がいました。
しかし大ニュースになりませんでした。おかしいと思いませんか? 我慢しているのが美徳は間違い  

池上
 作品に登場する刑事らの言動を通して反権力、反権威といったことを表現しているのでしょうか。  

赤川
 エンターテインメントの中にでも、警察の在り方といった批判的なことを盛り込んではいます。  

池上
 そのような視点が作品のあちこちににじみ出ているから、より面白さがあるのでしょうね。  

赤川
 面白さだけではなく、自分が持っているモラルの基準みたいなものを読者の方には伝えたいという思いがあります。
作家として活動し始めた頃に発表した「マリオネットの罠」という長編ミステリーは15人ぐらいが殺されます。
たくさん殺されたほうが面白いだろうという考えがありました。
 しかし、年を取るにつれて殺される人数が減って、最近の作品では1人から2人かな。
昔ならば絶対殺していたという場面でも、最近の作品ではギリギリのところで命を取り留めた、という展開にしています。
架空の人間でもあまり殺したくないからです。
子どもを大人まで育て上げるのは大変なことですし、反対に人が亡くなるのも大変なこと。
僕も人生でいろいろ経験しましたから、簡単に人を殺してはいけないと強く思うのです。
架空の人物だとしてもそれは同じ。
そういったことで、命の大切さが伝わればいいなと。  

池上
 ただ、他の作家では多くの人が犠牲になる作品も目に付きます。  

赤川
 ある賞を選考した時、最終段階に2点残りました。その2冊で殺される人を合計したら100人を超えていた。
こんなに簡単に人を殺していいのかと……。
もちろん今の社会を見れば、大量殺人はあり得るかもしれません。それを作品の中に盛り込めば、現代を描く上でふさわしいのかもしれません。
でも、ちょっと違う気がします。
悪を描くのと、悪事を描くのは違う。
誰の中にもある悪を描くのが小説であって、悪事だけを取り出して書いても悪を表現したことにはならない。
それに残酷な描写は嫌いで。気が弱いものですから。  

池上
 現実には、安倍晋三元首相が銃撃されて命を落とすという事件が起きました。  

赤川
 思いもよらない事件でしたね。お悔やみ申し上げます。
 ただ、事件だけを見ていると、なぜ事件が起きたのかという原因を見落としてしまいます。
今回の事件の背景を調べる中で、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党との関係が明らかになりました。
当然、追及すべき問題です。
統一教会という名前は何十年も目にしてこなかったけれども、実はずっと存在していた。こういう問題はジャーナリズムがずっと見張っていないといけません。
 安倍政権の政治も銃撃事件から切り離して検証しなければなりません。
「積極的平和主義」といった変な日本語は安倍政権の時に誕生しました。
また、閣議決定が大きな権限を持つようになってしまった。
閣議決定で方向性を決めてしまい、国会は数の力で押し切ってしまう。  

池上
 国会での与野党の議席の差が大きすぎます。
野党には、何を言っても無駄という無力感があるのでしょうか。
やはり与野党の勢力が伯仲していて、議論して、解決に向けて妥協もしながら結論を出す。
以前は「熟議」という言葉もありましたが、今はほとんど聞かれません。

赤川
 国会で議論しなければならないことを、あらかじめ閣議決定して、国会では形だけ「議論はやりました」と済ませてしまう。このような閣議決定の使い方は独裁政治に近いと思っています。
 世界では、米国のトランプ前大統領、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席といった独裁に近い政治が国民から支持されています。
ロシアと中国は、再び帝国主義を掲げたかのように領土を拡大したいとの意思を感じます。その熱意、情熱はどこからくるのでしょうか。  

池上
 「昔の栄光を再び」ということなのでしょう。
ロシアはウクライナに侵攻していますが、武力ではなくて、音楽や文学といった素晴らしい芸術を世界に広げたほうが影響力を発揮できると思うのですが。  

赤川
 戦争の根底には、力で人を支配する快感があるのでしょう。
銃を持って人を脅して、力で言うことを聞かせる。
それには一種、麻薬のような快感があるのだと。それを理性で抑えるようにしていかないと、武力紛争はなくならないのでは。
国同士の争いに発展させないためには、文学や芸術の力が大きいと思っているのですが。  

池上
 ロシア文学が人気になれば、ロシアのことをもっと知りたいという人が増えて、国を超えた交流が生まれていきます。  

赤川
 もちろんミサイルがいつ飛んでくるか分からない状況は一刻も早く止めるべきで、「文学が大事」と言ってはいられないのは分かっています。
 それでも僕は19世紀のヒューマニズムの文学で育った人間ですので、ヒューマニズムを取り入れていない作品はエンターテインメントではないという考えです。
人との信頼関係に軸足をおいていないと物語は書けません。
人間性を大事にした作品に、多くの人々が触れてくれたら、との思いがあるのです。  

池上
 そのような作品が読まれれば、世界は変わっていくかもしれない。  

赤川
 そうですね。もちろん、それだけで文学の中で世界を描けるとは思いません。
作家の数だけ、主義主張があるわけですから。
 僕が今気になっているのは、日本人の諦めの良さ。
東日本大震災であれだけの被害を受けたのに被災地で暴動などは起きませんでした。
被災者の皆さんは我慢するというか、耐え忍んで……。
でも別の視点で見れば、悲しみを怒りに変えるエネルギーが日本人は足らない。
自然災害は防げませんが、備えをきちんとしていなかった、多くの命を助ける仕組みができていなかった、原発で大事故が起きた時の対策がなかった。そのようなことに、日本人は怒らないといけない。
我慢しているのが日本人の美徳、というのは間違いですよ。
 日本は長く戦争に巻き込まれずに今日まできましたが、東日本大震災から大きな出来事が続いています。新型コロナウイルスの世界的な流行、そしてウクライナ侵攻。とんでもない時代に生きている気がしてなりません。
子どもや孫の世代に、このままの世の中を引き継いでいいのか……。  

池上
 だからこそ、政治的な発言をされていくと。  

赤川
 発言はしていきます。「いけない」と思うことは言っておかないと。
その決意には、ある方との出会いも大きかった。
反戦、平和を訴え続けたジャーナリストのむのたけじ(本名・武野武治)さんと、1度だけ講演会でご一緒して、対談したことがあります。
「朝日新聞をやめたのは間違いだった。残って民主化を実現すべきだった」とお話しされたことが記憶に残っています。
貴重な機会でした。
 昔の米国映画を見ると、政府の陰謀に巻き込まれた人物が、証拠を手にして駆け込むのはニューヨーク・タイムズといった新聞社でしょう。
ここに行けば守ってくれるという新聞社に対する信頼感がありました。本当にうらやましい。
日本の報道機関にも弱者を守るために存在しているという立ち位置をきちんと守っていただきたい。
また、さっきお話しした公安の警察官が捏造(ねつぞう)を認めた証言は大きなニュースにすべきでした。
警察権力に捏造されたら誰しもが犯罪者になってしまう恐れがあることに気が付かないのでしょうか。
 一方、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が優勝した時に、ある新聞社は号外を出しました。
テレビやスマホで試合を見ているのに必要はあったのでしょうか? 情けないことです。  

池上
 赤川さんのご意見は人ごとではありません。
自分も報道の責任の一端を担っていますから。日々の仕事で自問自答していきます。


【構成・瀬尾忠義】
お礼申し上げます 
posted by 小だぬき at 06:37 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月24日

何年続くかわからない「老後」。還暦を迎え「一回引退」と思ったら気がラクになりました

何年続くかわからない「老後」。
還暦を迎え「一回引退」と思ったら気がラクになりました
7/22(土)  クウネル・サロン

〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーで、整理収納アドバイザーの青木美詠子さんは、先日60歳のお誕生日を迎えられました。
「還暦」という節目を迎えて、心に去来することとは??

60歳を迎えて、「残りの人生」について考えてしまいます
今月、還暦を迎えました。
自分でも驚きです。
50歳になる時も「わー、50かあ」という感慨がありましたが、60歳はさらに。一言では言えませんが、「私が還暦か。本当に60年も生きてきたんだな」と思ったり、「残りはどれくらいあるんだろう」と考えたりします。

この頃、芸能人から知人、親戚、さまざまな方の訃報も、より身近に感じるようになりました。
今年70歳、71歳で連続して亡くなったミュージシャンの訃報には、なぜかぐっときて「え。もし70歳だったら、あと10年?すぐだ」と愕然。
いっぽうで「人生100年時代」と言われていて、「本当にそんなに生きるのなら、健康もお金も持つのかな」と思います。

老後というのは、考えてもわからず、相反する可能性の中で漂うようなところがありますね。
そんなことを考え続ける中、最近ひとつ思うことがありました。
それは「誰でも平等に旅立っていくのだ」ということ。
有名な俳優、歌手、小説家、経営者、スポーツ選手などなど、どんな偉業を成し遂げた人も、死なない人はいなくて、そして少しずつ忘れられていくのです。
残酷な言い方ですが。

そしてその手前では、どんな人でも衰えを感じたり、人気や仕事が減ったり、引退とかを味わっているのです。
一握りのそうではない人もいますが、そんなトップの人も、トップゆえの凄い情熱があるはずで、その気持ちに比べると、最後まで意欲通りに活躍できていないのでは。
それを表明していないだけで、私達にはわからない苦しみがあるのだと思います。

歳をとると、気力は衰えるもの?
私も衰えを感じます。
この歳で「また本の出版ができたら」とか考えているのに、ままならず、実力不足で成果が出ていないと思ってしまいます。世の中から見たらもう十分なのかもしれないけれど、もっとやりたい人にとっては、ただ足りないのです。
でもいっぽうで、今までずっと長く頑張ってきたので、ここにきて気力の衰えも感じ、「もういいのかな」と思うことも。
同世代の友達と「気力って衰えるね」話で盛り上がったこともありました。

完全に引退して田舎に帰る同級生もいて、しみじみ「そういう歳か」と認識します。
それで私も心の中で「一回引退」と思ってみると、状況は変わらなくても、気もラクになったりします。
でもまた、ふと気力が湧いて、「やっぱりこれはやりたい」なんて思う時もあります。
そうすると「この歳になってもまだ願望が強いなんて、その仕事が好きなんだな」とも思え、その気持ちを持ったまま、成果が出なくとも、最後まで行くのは、幸せなことかもしれないと思えました。

いい結論は出ませんし、これからも複雑な気持ちを持ったまま、揺れ動いていくことだけがわかります。
そこに健康や老後資金の悩み、夫婦や介護のことなどが絡み合って、より重たい状況になっていくのですよね。
この世代は、そういうすべてを抱えたまま、悩んだあげく「楽しく日々をやっていくしかない」という結論に達し、明るく過ごしているんだとわかりました。

人生はうまくいかないことが起こるからこそおもしろい
最近なぜか、このふたつの歌詞をよく頭に思い浮かべます。
「全てが思うほどうまくはいかないみたいだ」 (「夜空ノムコウ」作詞:スガシカオ)
「人生はあなたが思うほど悪くない」 (「元気を出して」作詞:竹内まりや)

人生はいくら努力しても、自分が思ったように、全部の夢が叶っていくわけじゃない。
でも、そんなにすごく悪いものではないということ。

逆に全部の願望が自動的に次々と叶う天国のような場所なら、面白みはなく、退屈でノイローゼになるかも。
ちっともうまくいかないから、叶った時がとびきり嬉しいのだと思います。
だから辛いことも味わいながら、叶ったことに感謝し、この人生を送っていく、ということなのでしょうか。
私もあきらめつつ、あきらめないで、楽しんだり、苦しんだりしながら、暮らしていけばいいですかね。
そんなことを思う還暦でした。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイナンバーカードでトラブル続出。政府は勇気を持って運用を一時停止すべきだ

マイナンバーカードでトラブル続出。
政府は勇気を持って運用を一時停止すべきだ
7/23(日) mi-mollet

マイナンバーカードに関する深刻なトラブルが相次いでいますが、河野太郎デジタル大臣が名称を変えるという話まで持ち出すなど、まさに制御不能の状況となりつつあります。
政府はマイナンバーカードの普及を目標として掲げており、健康保険証や自動車免許証との統合化を進めていく方針です。

保険証については来年の10月に紙の保険証を廃止することが決まっており、マイナカードに一本化するスケジュールになっていますから、これは事実上のマイナカードの義務化と考えて良いでしょう。
しかし、実際にマイナカードの運用が始まると、あちこちで深刻なトラブルが発生しており、このままのスケジュールで運用するのは危険な状況となっています。

一部の論者は、システム開発に失敗はつきもものであり、大目に見る必要があるといった主張をしていますが、今回の件には全く当てはまりません。
一連のトラブルは本来、あってはならないものであり、システム全体に深刻な欠陥があることを示唆するものです。

今、発生している一連のトラブルは、複数のデータを連携する際の重複チェックや書式の統一が十分に進んでいない中、無理にデータ連携を図ろうとしたことに起因しています。
これまで個人情報データというのは、多くの機関が様々な書式で保有していました。
例えば銀行では漢字の名前に加えてふりがなを使って本人を特定していますが、一方で戸籍にはふりがなという概念はなく、漢字でしか本人を特定できません。

そうなると戸籍のデータと銀行のデータをシステム上で連携させる場合、誰と誰が同一人物であるのか、機械的に完全一致させられない状態となります
(さらに細かいことを言えば、フリガナはひらがななのかカタカナなのか、姓と名は一文字空いているのか、番地の表記は統一されているのかなど、様々な問題があります)。

こうした問題を回避するために導入されたのがマイナンバー制度です。
全国民に対して、ただ一つの固有番号を振り、すべてのデータにその番号を反映させれば、誰がどの人物であるか確実に示すことができ、住民票のデータと戸籍のデータを結びつけたり、銀行の口座情報を連携させる場合でも、間違いなく個人を紐付けることが可能となります。
しかし、それぞれの機関が持つデータをしっかりとチェックせず、誰にどの番号を振っているのか十分に確認しないまま一気にデータを連携すれば、あちこちで深刻なエラーが発生するのは当然の結果といえるでしょう。

自分の住民票を請求したら他人のものが出てきたといったトラブルはその典型です。
こうした事態を防ぐためにこそマイナンバー制度があるわけで、一連のトラブルが発生していることが自体が問題であり、本末転倒な状況といって良いのです。

政府はかつてマイナンバーカードを普及させないと行政のデジタル化が進まないといった趣旨の説明をしていましたが、これは正しくありません。
カードの保有というのはマイナンバー制度全体のごく一部分でしかなく、カードがなくてもマイナンバーシステムは何の問題もなく運用することができます。
カードがあれば利便性が多少、向上するというだけの話に過ぎません。

しかし政府は、どういうわけかカードの普及ばかりを最優先し、本来、実施しておくべきデータ整備をおざなりにしたままシステム連携に邁進し、惨憺たる結果を招いているのです。
一部報道では、政府がここまでカードの普及を急ぐことの背景には、何らかの政治的・ビジネス的利権があるといった指摘も出ているようです。
本当のところは分かりませんが、これだけ多くのトラブルが発生することが分かっていながら、カードの普及だけをゴリ押ししている状況を見ると、何かウラがあるのではないかと疑われても仕方のないことだと思います。

マイナンバーは行政デジタル化のカギ握る制度であり、各国にIT化で後れを取った日本にとって、重要な政策であることは間違いありません。
この大事な制度をしっかりと運用するためにも、杜撰な状態でカードの普及を進めることだけはやめるべきでしょう。

政府は勇気を持ってプロジェクトを一旦停止する決断を行い、問題を解決してから再スタートすべきだと筆者は考えます。
その方が結果的にはトラブルは少なくなりますし、行政のデジタル化もうまくいくはずです。
河野氏は突破力や指導力のある政治家と言われています。もしその力量がホンモノなのであれば、たとえ政治的に難しい状況であっても、一旦立ち止まるという決断を下せるはずです。
河野氏の政治的力量がまさに試されているといえるでしょう。

加谷 珪一
posted by 小だぬき at 10:29 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月25日

神様をバカにする人は運に見放される…脳科学者が「神社を参拝するメリット」を脳科学的に説明する

神様をバカにする人は運に見放される…
脳科学者が「神社を参拝するメリット」を脳科学的に説明する
7/24(月) プレジデントオンライン

運をつかむためにはどうすればいいのか。
脳科学者の茂木健一郎さんは「私はよく神社やパワースポットに出かける。それは自分の心が整い、積極的に動く習慣が身につくからだ。
『神社やパワースポットなんて迷信でしょう』という人は損をしている」という――。(第1回)  
※本稿は、茂木健一郎『強運脳』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■なぜわれわれは神社にお参りに行くのか
 豊臣秀吉や徳川家康といった、日本を動かしてきた天下人の多くが神社を大切にし、参拝を続けてきたといいます。
また、これまで成功を収めてきた偉大な企業人の多くも、積極的に神社参りをしてきました。
 松下電器産業(現パナソニックホールディングス)の創業者で、「経営の神様」と呼ばれていた松下幸之助は神様を大切にしてきたことでも有名で、本社や事業所内のあちこちに神社をつくり、現在も同社には祭祀担当の社員がいて社内の社(やしろ)を管理しています。

 日本人にとって神社は身近な存在です。
商売繁昌の神様として知られる東京の神田明神にはビジネスパーソンが日々多く訪れますし、ある人たちは疲れた心を癒して運気を上げようと全国各地のパワースポットへ出かけたりもします。

 なぜ、私たちは神社やパワースポットに行くのでしょうか。
「苦しいときの神頼み」といいますが、神社に参拝したり、パワースポットに行くことで、今より少しでも運気を上昇させたいと願うからでしょう。
 ただし、科学的には神仏にお祈りしたからといって、あるいはパワースポット行ったからといって、何らかのパフォーマンスが上がるというエビデンスはありません。

それでも、自分ではコントロールできない、どんなに力を尽くしてもどうすることもできないことに対して、何とか神様のご加護を得ようと参拝し、手を合わせるわけです。

■脳科学で考えるメリット
 では、神社やパワースポットに行くことで、どのようなメリットがあるのか、運を引き寄せることができるのか、脳科学的に説明していきましょう。
 脳科学の立場からいえば、神社に参拝したり、パワースポットへ行くことが意味するのは、それによって「自分の内面が変わる」ことにあると私は考えています。
 神前で手を合わせ、日常の雑事から離れた空気の中で自分の心を整える。
そうすることで、翌日からの仕事や日常生活に弾みがつくというわけです。

 私自身も、実はよく神社やパワースポットに出かけることがあります。
それは神様に何かをお願いするのではなく、むしろ神様の前で「自分はこんなことをする」と誓う意味を込めているのです。事を成すのは、あくまでも自分自身だからです。

 目の前のことに集中し、手を動かし、智恵を絞り、一所懸命に働く。
その心の準備をするために、時間やお金を使って神社やパワースポットに出かけ、そこで祈ることが心を整えるうえで有効なのです。

■行動力が運を引き寄せる
 以前、世界遺産に登録されている熊野本宮大社に行ったとき、宮司さんからとても興味深いお話を聞いたことがあります。世界中を飛び回っているある有名な起業家が、関西空港から直接車で熊野に向かって参拝した後すぐに東京に帰る、というようなことをされているとおっしゃっていました。
 その起業家は決して神頼みに来ているのではなく、むしろ忙しい日常の中で心を整えるためのひとつの区切りとして、熊野本宮までの長い道のりをやってきたというのです。
 誰もが簡単にできることではない行動力です。

 実はこうした行動力こそ、運を引き寄せる大きな要因となるのです。
 たとえば、Aという行動をとる人は、他のBやCという行動にも積極的であるという傾向があります。
つまり、どんなに忙しくても神社やパワースポットに出かける行動力のある人は、普段の仕事や日常生活でも積極的に何か新しいことにチャレンジする傾向があり、その準備をしているということです。
 逆に、「神社やパワースポットなんて迷信でしょう。そんなの自分には関係ない」などと言っている人は、何に対しても積極的ではなく、むしろ消極的な行動しかできないようにも見受けられます。

 行動力とは、自ら進んで実行に移せる力であり、それと同時に自分が知らないことや経験がないことに対しても、興味を抱けるということです。

■すぐに行動できない人ほど前頭葉が動いている
 世の中には、何に対しても素早く行動できる人とできない人がいます。
運を引き寄せられる人が前者であるのは、いうまでもありません。
 素早く行動できる、できないという差はどこから生まれてくるのでしょうか。
実は、そこには脳の働きが大きく関係しています。

 すぐに行動できない人の原因を脳科学的に説明すると、意外なことに脳が正しく働いている証拠だといえます。
つまり、すぐに行動できない人の脳というのは前頭葉が指令通りに機能して、抑制が利いてしまっているのです。
 私は仕事柄、海外のビジネスパーソンとも話す機会が多いのですが、「なぜ、日本人の多くはすぐに決断したり、すぐに行動できないのか」と言われることがあります。
この理由もまた、真面目な日本人がルールや決まり事をしっかりと守るところからきているのです。

 「行動に移す前に、まずは慎重に検討しよう」
 あなたのまわりでこんな言葉が交わされてはいないでしょうか。
こうしたルールや決まり事が脳の抑制となり、私たちの行動にブレーキをかけているのです。
 真面目な日本人の脳がしっかり働いているからこそ、すぐに行動に移せない。

何とも皮肉な話ですが、変化が激しい現代社会においては、時には大胆に行動しなければいけない。
私が常々考えていることのひとつです。

■こうすれば行動力を得られる
 では、いったいどうすれば、大胆かつスピーディーな行動力を手に入れることができるのでしょうか。
そのための手掛かりとして、脳の抑制に着目してみましょう。
 人間の脳には、すぐに行動できる脳とできない脳が共存していて、すぐに行動できるようになるには脳の抑制を外せるかどうかにかかっています。
これを脳科学的には「脳の脱抑制」といいます。

 「なかなか行動に移せない……」と悩んでいる人は、決して行動力がないわけではなく、脳の抑制の外し方が苦手なだけです。
でも、それはある意味では仕方がないこと。なぜなら、脳の抑制の外し方というのは、誰かが教えてくれるわけではないからです。
それどころか、先に述べたように一歩社会に出れば「こうしなければいけない」「こんなことをしてはいけない」といったルールや決まり事だらけで、多くの行動が制限されてしまっているのが実情でしょう。
 もちろん、それはそれで悪いことばかりではないのですが、結果として自分の行動にストップをかける癖がついてしまっているのです。
 けれどもその一方で、持ち前の行動力を発揮して成功しているトップランナーたちがいます。
プレッシャーをものともせずに素早く行動し、誰も成し遂げられなかったイノベーションを実現している人たちです。

 私は、彼らの成功は脳の抑制を外すことができた成果だと考えています。
つまり、ちょっとした工夫次第で誰にでも脳の抑制は外すことができるということ。
そこで大事なのが、あまり慎重に考えずに瞬間的にトップスピードで行動する習慣を身につけるということです。
 私はこれを「瞬間トップスピード法」と呼んでいます。

■運は待つのではなくつかみに行くもの
 たとえば私の場合、この本のように原稿を執筆しようと決めたときは、とにかくパソコンをパッと立ち上げて、準備もしないですぐにトップスピードで書き始めます。
 そこには、「さぁ、原稿を書くぞ!」といったやる気や、「あれをやって、これをして」といった心の準備をするという意識はまったくありません。
 どんな行動もまるで歯磨きでもするように、あれこれ考える前にパッとやってみる。
完璧など求めずに、やり散らかしたっていいということです。

 大事なのは、自分が何か特別なことをやっていると思わないこと。
特別なことをやっていると意識することで、脳が身構えてしまうからです。
運気アップまずは今すぐ、何かをやってみる。

----------
茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう) 脳科学者
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お金が貯まるひとは絶対やっていない、5つの「ダメ習慣」

お金が貯まるひとは絶対やっていない、5つの「ダメ習慣」
7/24(月 WITHonline

お金との上手な付き合い方、勉強しましょう!
〈気づくとお金がなくなってます……そんなアナタへ〉

フツーにお給料もらってるし、贅沢やムダ遣いなんかしてないのに毎月お給料前にはお財布が寂しい……。
同じくらいの収入でちゃんと貯めてる人もいるって本当? 
私とどこが違うの??? 
自分でも気づいていない原因を突きとめることが、貯まる人への第一歩に! 
ファイナンシャル・プランナーの深田さんに、お金が貯まる人は絶対やっていない、5つのダメ習慣を教えてもらいました!

お金が貯まる人は絶対やらない!【5つのダメ習慣】
今日だけまぁいいか! このくらいならいいよね……なんて言いながら、ついついやってしまっている人、こんな習慣は危険です!!

1.やめられない日々のチリツモ出費
「ちょこちょこ使っちゃうけど、たかが数百円だし、節約してもあんまり意味なさそう」
➡“ビニール傘とカフェラテ”……まぁいいか、のチリツモ出費に要注意!

2.お金が足りなくなったらキャッシング
「どのクレジットカードにも普通についてるサービスだし、便利に活用してまーす」
➡引き出したお金は、高金利で借金したお金です

3.ポイント大好き!集めなきゃ損!!
「お得情報に目がないワタシ。ポイントアップキャンペーンの時は逃さずお買い物!」
➡「ポイントがつくから買う」のは本末転倒!

4.クレジットカードは3枚以上
「よく行くデパートとかネットショップで、 すぐカードを作ってるけど……ダメなの?」
➡支払いを把握できなくなるかも!?“お金の出口”は多すぎないほうがいい

5.高いお買い物は便利なリボ払いで
「いいバッグとか、一括で買うのはさすがに無理。リボ払いってホント神〜」
➡ズバリ、リボ払いは借金です。絶対ダメ!

ついつい立ち寄ってしまうコンビニ、把握しきれないほど増えていくクレジットカードやポイントカード……心当たりのある人も多いはず。
下記の記事一覧では、自分の浪費グセを知るチェックテストや、賢いお金の貯め方などを解説しています。
月末も潤うお財布目指しましょ

♡ アドバイス/深田晶恵さん
(ファイナンシャル・プランナー) (株)生活設計塾クルー取締役。外資系電機メーカー勤務を経てFPに転身。個人向けのコンサルティングのほか、各メディアで活躍中。自他ともに認めるお酒好き。
posted by 小だぬき at 08:29 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

9割が知らない!うつ病サイン7選

9割が知らない!うつ病サイン7選
2023/7/24 専門マスター

こんにちは、えらせんです。
最近涙もろくなったり、疲れているのに眠れなかったりすることはありませんか?
もしかしたら自分でも気づいてないうちに心が疲れているかもしれません。
うつ病は突然なるのではなく、じわじわ心が消耗していく病気です。
早めに心のSOSに気付けるように、うつ病の早期サインを紹介するよ。

1.集中力が15分続かない
頭がぼんやりとして、集中力が続かないと感じること。
仕事をしていても、学校で授業を受けていても、何をしていても15分もすると気が散ってしまう、そんな状態。
この状態が続くと、日常生活や仕事に支障をきたすこともあるよね。
これはストレスや過労、生活リズムの乱れが原因になることが多いし、うつ病の初期症状の一つでもあるんだ。

2.上手に笑えなくなる
普段なら笑えるはずのことが、何となく笑えなくなる。
これは感情が鈍くなってしまっている可能性があるんだ。
うつ病の初期症状としてもよく見られることだよ。

3.気づいたら涙が出ている
理由もなく涙が出てくることがあるなら、心の中にたまったストレスや苦しみが溢れ出てきている状態かもしれない。
こういった涙は、内面的な苦痛や感情のもつれを表していることがあるよ。

4.不眠または寝すぎる
睡眠パターンの変化もうつ病の一つのサイン。
不眠だけでなく、逆に寝すぎることもある。
ストレスや心身の疲労が原因で、睡眠リズムが乱れてしまうんだよ。

5.何もやる気が起きない
何をやっても楽しくない、やる気が出ないと感じること。それは心が疲れてしまっていて、普段楽しんでいたことに喜びや興奮が感じられなくなってしまっているんだ。
これはうつ病の一つの特徴で、日常生活に対する興味が薄れることを指すよ。

6.自分が価値のない人間だと感じる
自分のことが嫌いになる、自分には何も価値がないと思い込んでしまう。
自己否定感が強まっていて、自己評価が極端に低下してしまっている。
これもうつ病の特徴で、罪悪感が強くなることがあるんだ。

7.怒りやイライラが爆発する
ちょっとしたことで怒りが爆発したり、すぐにイライラしてしまったり。
感情のコントロールが難しくなっている証拠で、ストレスのせいで感情が過敏になってしまうことが原因かもしれない。
これもまたうつ病のサインとなることがあるよ。

これらの症状が当てはまっていたら、うつ病のサインかもしれない。
こういったサインを見逃さないように、自分の心と体の状態に気をつけて、早めに対策をとることが大切なんだよ。

有名な心理療法家カール・ロジャーズの言葉を思い出してみて。
「私たちが自分自身を理解し、自分自身を受け入れることができたとき、私たちが変わり始めることができる。」
自己理解と自己受容が心の健康にとって、とても大事なんだよね。
あなたが今、何かしんどいなあと感じていたら、無理に抑え込むのではなく、まずは自分自身の感情を受け入れてみて。
そして、もしも支えが必要なら、専門家への相談を恐れずに、自分自身のために一歩を踏み出してほしいと思います。
posted by 小だぬき at 15:32 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月26日

岸田政権が画策…「サラリーマン増税」「ステルス増税」庶民イジメ地獄のカレンダー

岸田政権が画策…「サラリーマン増税」「ステルス増税」庶民イジメ地獄のカレンダー
7/25(火)  日刊ゲンダイデジタル

 放っておくと、国民負担が大変なことになる。
 岸田自民は、2022年度の一般会計税収が71兆円超と過去最高を更新したことから、防衛費倍増の財源確保のための「増税」時期先送りを示唆。
「24年以降」としていた増税時期を25年以降に先送りする公算が大きくなってきた。
しかし、「本格増税はまだ先か」と思いきや、そうではない。

少子化対策の愚策! 社会保険料の月額500円上乗せ案は「ステルス値上げ」

 いま、国民の猛批判を招いているのは「サラリーマン増税」だ。
政府税調の中期答申では、退職金や通勤手当、配偶者控除、扶養控除、生命保険控除に加え、社宅の貸与、食事の支給、従業員割引といった現物支給まで、課税制度の見直し対象として俎上に載せられている。
 さらに、保険料の上乗せや控除の縮小など、国民が気づきにくい「ステルス増税」のスケジュールも固まっている。
岸田政権の「増税カレンダー」は“予定”がビッチリなのだ(別表)。

「国民年金」支払い5年延長で100万円の負担増
 庶民にとって何より苦しいのは、国民年金の保険料の支払期間延長だ。
現在の40年間(20歳以上60歳未満)から5年延長し、64歳までの45年間になる。
現在の国民年金の保険料は月1万6520円で、年間約20万円。
支払期間が5年間延びれば、約100万円もの負担増となるのだ。
 現行制度では40年間満額支払っても、65歳から受け取れる受給額はわずか月6万5000円だが、制度変更後に100万円多く支払っても受給額が増える保証はない。
ただただ、負担だけが大きくなる可能性が高い。

 75歳以上の後期高齢者医療保険の保険料上限も、24年に73万円、25年には80万円に引き上げられる。
高所得者のみならず、一部の中所得者も対象となるため、ただでさえ生活が苦しい高齢者には大ダメージだ。

 こんな庶民イジメの「増税プラン」が許されるのか。
経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「政府が国民に見えづらい社会保険料などのアップをチョコチョコと連発させるのは、将来的な消費増税を狙っているからではないか。
消費税を上げた後では、社会保険料などの増額は打ち出しづらい。
『また上げるのか』と批判の的になりやすいからです。
今のうちに『ステルス増税』を済ませてしまおう、ということでしょう。
本来、増税するなら、この間、法人税を段階的に下げたことで潤ってきた大企業に応分の負担をお願いすべき。
それ以上に、米国の言いなりで始めた防衛費倍増といった“無駄遣い”を見直すことが先決です」

 サラリーマンや庶民から搾り取るしか知恵がないのか。
防衛増税を先送りするからといって、国民は騙されてはいけない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

多死社会ニッポン…「孤独死」回避のため、元気なうちから着手したい〈生前対策〉

多死社会ニッポン…「孤独死」回避のため、
元気なうちから着手したい〈生前対策〉
7/25(火) 幻冬舎coldonline

高齢になって単身で暮らしていると様々な心配ごとが生じます。
いわゆる「孤独死」もそのひとつ。
体調が急に悪化して、誰にも気づかれないまま亡くなり、長期間発見されず、多くの人に迷惑もかける……。
そんな最期は、誰でも避けたいと思うでしょう。
本記事ではそのためにできることを考えてみます。

1人暮らしの高齢者の増加で「孤独死の増加」も必然か
近年、孤独死の話題がよく聞かれるようになっている背景には、1人暮らしの高齢者の増加があるでしょう。
『令和3年版高齢社会白書』(内閣府)によれば、65歳以上の1人暮らしの人は、1980年には男性約19万人(4.3%)、女性約69万人(11.2%)でした(カッコ内は65歳以上人口に占める割合)。
これが、2025年には、男性268万人(16.8%)、女性483万人(23.2%)に増加すると予測されています。
男性高齢者の6人に1人、女性高齢者の4人に1人が1人暮らしとなるのです。

とはいえ、1人暮らしの人が全員孤独死をするわけではありません。
「孤独死」という言葉は法律で定義された用語ではありませんが、一般的には、同居者のいない1人暮らしの人が、誰にも看取られないまま、自宅で亡くなり、死後長い間発見されない状態を指します。
1人暮らしの人でも、病院や介護施設で、スタッフに看取られながら亡くなるような場合、孤独死とは呼ばれません。

「家族がいれば、救急車を呼んでもらえたのに…」
孤独死の状況には、事故死や自殺なども含まれますが、多くは病死です。
『令和3年 人口動態統計月報年計』(厚生労働省)によれば、高齢者の死因の上位は「がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎」の順ですが、85歳を過ぎると老衰の割合が増え、95歳以上では老衰がトップになります。
高齢になれば、心疾患や脳血管疾患など、生命に直接かかわるような重篤な疾病を発症するリスクが高まります。
とくに生活習慣病などのリスク要因がある場合はなおさらです。

心疾患、脳血管疾患は、発症してすぐに医療機関で適切な治療を受ければ、死亡には至らないケースも多いのですが、ひとり暮らしの場合、医療機関への連絡ができずそのまま死亡してしまうことも少なくありません。
家族がいればすぐに救急車を呼べたかもしれず、適切な治療を迅速に受けられなかったばかりに死に至ってしまうのは、実に寂しい話です。
また、病死ではありませんが、年齢が高くなれば老衰で亡くなる心配もあります。

孤独死は「発見が遅れる」ことが多い 1人暮らしの高齢者は、急病に対応できにくいというだけでなく、死後の発見が遅れがちという問題もあります。
1人暮らしの高齢者が自宅で死亡した場合でも、仕事をしていれば職場の人が、日頃から行き来する友人がいればその人が、連絡がないことを心配し、比較的早期に発見されるでしょう。
しかし、そんな「社会的つながり」が希薄な人の場合は、発見が遅れるリスクがあります。
場合によっては、数週間以上の長期間にわたって発見されず、遺体の損傷が進んでしまうこともあります。
そうなれば、後始末のために、多くの人に迷惑をかけることになります。

孤独死を避けるには、健康管理とコミュニティへの参加が大切
では、そんな孤独死を避けるにはどうすればいいでしょうか。
まずは手始めに、自身の健康管理からです。
日々健康に留意し、異変を感じた場合は、すぐに病院で受診しましょう。
1人暮らしだと、どうしても食事が簡素で栄養も偏りがちです。
いまは比較的安価で、栄養バランスが考えられた配食サービスも増えていますので、そのようなサービスを利用するのもよい方法です。
また、筋力の衰えは、万病のもととなります。
毎日の散歩、ラジオ体操など、自身の体力に応じた運動をこころがけましょう。

仕事をしていないと、社会とのつながりも失われがちです。
そうなると、刺激も減り、認知症を発症しやすくなったりします。
趣味のサークルに参加する、SNSやLINEなどを活用したりして知り合いを増やし、自分の存在が社会から認知されるようにしておくことも役立ちます。
そうすれば、異変があったときに「おかしい」と気づいてくれる人が現れる可能性が高まるからです。
また、民間の見守りサービスを利用することも、とても有効です。
見守りサービスにもいろいろなものがありますが、たとえば、電気や水道などのインフラが一定期間使用されていない場合に、担当者が訪問してくれるといったものもあります。

これらのサービスを賢く利用することで、最悪の事態となるリスクを回避できるでしょう。 
posted by 小だぬき at 12:41 | 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月27日

81歳小沢一郎、政権交代へ「最後の戦い」の現実味

81歳小沢一郎、政権交代へ「最後の戦い」の現実味
立憲と維新、野党候補1本化が必要不可欠と力説
泉 宏 : 政治ジャーナリスト
2023/07/26 東洋経済オンライン

2023年12月に国会議員54年目となる小沢一郎氏が、ここにきて政権交代での「最後の戦い」に強い決意をアピールし、政界の注目を集めている。
  同氏は、次期衆院選での自公政権打倒には、野党第1党を競う立憲民主と日本維新の会両党を中心とする野党候補1本化が必要不可欠と力説。
そのための予備選導入などを両党に呼びかけるなど、豊富な政治経験や人脈を駆使して「オール野党の軍師」を狙う構えだ。

小沢氏はまず、7月14日の立憲民主参院議員のパーティーでの講演で、「政権交代の実現こそ、野党第1党にとって最大の目標でなければならない」と主張。
同党執行部が次期衆院選に向け150議席を獲得目標に掲げていることについて「(過半数に満たない)150人でどうして政権交代ができるのか」と指摘した。
そのうえで、「政権交代を実現することが、野党第1党の最大の目標。
自民党はけしからんとかいろいろ批判するが、政権を取る意思がないのに、私たちはこうしますって言えるのか。
政権を取る気がないのに、ああします、こうしますって、有権者を欺いている」と党執行部の姿勢を真っ向から批判した。

「野党予備選実施」で橋下氏と意気投合
続いて小沢氏は、翌15日夜に橋下徹・元日本維新の会代表とインターネット番組で対談。
橋下氏が、次期衆院選で、小選挙区で候補者を一本化するため、野党間での予備選を主張すると、我が意を得たりとばかりに「大賛成だ。維新も立憲も全選挙区に立てて、重複したところは予備選をやればいい」と応じた。
小沢氏はこの対談で、「(立憲民主は)このままだと野党第一党といいながら沈没してしまう」と危機感を露わにし、野党候補統一で政権交代に挑む決意を繰り返し、橋下氏と意気投合してみせた。

小沢氏は前通常国会閉幕直前の6月16日、小川淳也前政調会長ら12人の同党衆院議員と一緒に発起人となり、「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を設立。
これに党所属衆院議員96人のうち53人が賛同したことが、今回の小沢氏の“決起”につながったとみられている。
そうした中、長妻昭・立憲民主政調会長は7月20日の記者会見で、小沢氏が「もう一度、政権交代を」と党執行部への批判を展開していることについて、「いろいろな意見が党内から出るというのは好ましい」と歓迎。
党執行部中枢からの支持が、さらに小沢氏の背中を押す結果となっている。

党内過半数の「有志の会」バックに党執行部に圧力
これも踏まえ、今回の小沢氏の動きの支援母体となった、次期衆院選での野党候補一本化を求める「有志の会」の呼びかけ人が24日、国会内で会合を開催。
その中で小沢一氏は「野党が候補を統一すれば与党候補に負けないのが現実であり、国民の願いだ」と熱っぽく訴えた。
会合には小沢氏や手塚仁雄幹事長代理ら6人が参加。
共産党など他の野党との連携に後ろ向きだった泉健太代表が、候補者調整に乗り出す方針へ軌道修正したことも踏まえ、今後も小沢氏を中心に、党執行部への“圧力”を強めることを確認したとされる。

そもそも同氏は、ここ半年以上党勢低迷ばかりが際立つ立憲民主の重鎮として、党執行部の顔となる泉代表、岡田克也幹事長に対する批判を強めてきた。
だからこそ党内の半数以上の議員を束ねて「野党統一候補」を要求することで、改めて存在感を誇示したのだ。
しかも、小沢氏は橋下氏だけでなく志位和夫・共産党委員長との太いパイプを持つ強みもある。

こうして、「一躍、野党の時の人となった」(立憲民主若手)小沢氏だが、多くの野党陣営幹部には、同氏に対する警戒感も根強い。
同氏は1993年夏の衆院選後の8党派連立・細川政権と、2009年の政権交代選挙での民主党政権という2度の政権交代実現を主導したが、路線対立などから両政権を短期間で崩壊させたのも同氏で、「政界の壊し屋」の異名もとるからだ。

神話崩壊で「もう過去の人」との声も
今年5月に81歳となった小沢氏は「もう一度政権交代をなしとげなければ、死んでも死にきれない」と自らの心情を吐露。「終結が迫る自らの政治家人生」も意識し、遅くとも2025年夏までと見込む次期総選挙に勝負をかける考えだ。
ただ、2021年10月の前回衆院選では、初当選以来圧勝を続けてきた岩手3区で自民候補に敗北、比例復活となったため、「選挙の神様」という神話は崩壊し、「もう過去の人」との厳しい声も少なくない。

「炎暑の中のべた凪とみられている政局を、何とかかき回そうと動き出した小沢氏」(自民長老)。
まさに「最後の戦い」とみられるが、その先に見据える政界の新たな構図がはたして現実味を持つのか。
それともあえなく「見果てぬ夢」に終わるのか。
故田中角栄元首相の“秘蔵っ子”として27歳で中央政界にデビューしてから53年余。
その間の、幾多の“大政変”で常に中心に居続けた「政界の風雲児」の小沢氏が最後に仕掛ける「日本政治大改革」だが、その結末は「現在の政界を覆うもたれあいと現状維持の濃霧」(同)に遮られ、まだまだ見えてこないのが実態だ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

熱中症】救急搬送急増「水分補給の誤解」を解説  脱水状況かどうか、見分けるカギは「トイレ」

熱中症】救急搬送急増「水分補給の誤解」を解説
 脱水状況かどうか、見分けるカギは「トイレ」
7/26(水) 東洋経済オンライン

異常気象が続く日本列島、体温超えの「危険な暑さ」に襲われている地域も少なくない。
連日続く酷暑に「あづい!」という言葉しか出てこないが、こんなときに注意したいのが熱中症だろう。
「サ活で汗をかいているから」「暑さに強いから」といった油断は禁物だ。
見逃しがちな”熱中症の落とし穴”があるそうだ。
新百合ヶ丘総合病院救急センターのセンター長で救急医の伊藤敏孝医師に話を聞いた。

 毎年、熱中症患者が病院に救急搬送される話題がニュースになるが、今年は例年と少し違うと、伊藤医師は感じている。

■患者は5月以降右肩上がりで増加  
「例年だと、6月に入ったあたりから搬送される患者さんが増えてきて、7月の始めと後半に1回ずつ、ピークの山ができるような感じでした。
それが今年は5月ぐらいから患者が出始めて、右肩上がりで増えています」

 熱中症とは、体内に熱がこもることで、さまざまな臓器がダメージを受ける状態を言う。
われわれの体はつねに36〜37度ぐらいの体温を保つようできていて、体温が上がると血管が拡張して体内の過剰な熱を体外に放出したり、汗をかくことによる気化熱で熱を逃がしたりして、体に熱がこもらないようにしている。
 そして、これらの機能のどこかが破綻すると、熱中症になってしまう。

 総務省消防庁によると、7月17日〜23日までの全国の熱中症による救急搬送人員は、9190人(速報値)。
 ※ 高齢者が5195人(56.5%)と最も多いが、18歳〜65歳までの成人も2961人(32.2%)いて、決して少ない数ではない。
 もちろん、多くの人は熱中症がキケンな疾患であり、予防が大事であることを知っている。
だが、それでもかかってしまうのは、熱中症に関して誤解している点や、正しく理解していない点があるからだ。

 「その1つは、水分の摂取不足です」と伊藤医師。さらにこう話す。
 「熱中症対策には十分な水分を摂ることが大事なのですが、実はその量が足りておらず、脱水状態に陥っているケースが多い。
実は”自分が思っている以上に水分を摂る必要がある”のです」

■トイレに何回行ったかが目安に
 摂取量の目安は、その日のコンディションや気温などにもよるので一概に言えないと伊藤医師。
「何リットル飲むか」よりもむしろ、「トイレに行ったか」を基準に考えたほうが良いと話す。
 ヒトの場合、ふつうは体重1キロあたり最低でも0.5ccの尿が1時間ほどで溜まる。
体重が60キロの人だと、1時間で30ccほど溜まる計算だ。
膀胱に尿が200ccほど溜まると尿意を感じるため、計算上は6時間に1回トイレに行きたくなる。
 「つまり、午前中に1回もトイレに行かないというのはおかしく、明らかに水分が足りていないサインになります。
トイレに行ったとしても、少しの量しか出ないとか、尿の色が通常は薄い黄色ですが、濃い黄色や茶色になっているとかであれば、脱水を起こしている可能性があります」(伊藤医師)

 なお、水分の摂り方のポイントは、一度にたくさん摂らないこと。こまめに少しずつ口に含むのがよいという。
 そしてもう1つは、”ナトリウム不足”だ。
 実は、脱水を起こしたときに失われるのは水分だけではなく、塩分も多量に出ていってしまう。
それが熱中症の発症に大きくかかわっている。
筋肉痛やこむら返りはまさに、ナトリウム不足によって起こる症状だ。
 だが、ここにもちょっとした落とし穴がある。

 実は喉が渇いたとき、あるいは脱水予防としてスポーツドリンクと呼ばれるタイプの飲みものを飲む人が少なくないが、これらには、肝心のナトリウムがそれほど含まれていない。
熱中症対策で勧められている経口補水液と比べると、3分の1程度だ 。
 「ですので、適度にスポーツドリンクを飲むのは問題ありませんが、そればかり飲んでいるとナトリウムが足りなくなって、『低ナトリウム血症』を起こしてしまう恐れがあります。
もちろんミネラルウォーターや麦茶も同様です。
熱中症予防のための水分補給であれば、昆布茶のような塩味がある飲みものを摂ったほうがいいでしょう」(伊藤医師)
 昆布茶の代わりに、塩あめや梅干しといった塩辛い食べものを摂っても、もちろんOKだ。

 日本人は食事で塩分をかなり摂っていることが指摘されている。
だが、汗をかく夏は食事だけではナトリウムが不足しがちなので、意識して塩分を摂っていきたい
必要な塩分量に関しては水分と一緒で特に目安はなく、「自分が欲する量」を摂るとよいそうだ。

■朝は水分と朝食をしっかり摂る
 そのうえで、伊藤医師が勧めるのが「朝起きたときのコップ1杯の水+朝食」。
 ヒトは寝ている間に500ミリリットルほどの水分が汗で失われる 。
起きたときには脱水状態に陥っているため、適度な水分とナトリウムの補給が必要になる。
 「ですから、起きたらまずは水分補給を。そして朝食で塩分を摂ります。
朝食を摂ることで1日のコンディションもよくなるので、ダブルで熱中症予防ができるわけです。
反対に、朝起きて、水も飲まず、朝食も食べず、暑い中に出て会社に向かう。実はこれがかなり危ないと思ってください」(伊藤医師)

 なお、水分補給に関しては心臓病などの持病によっては、水分を控えなければならないケースもある。
かかりつけ医に確認してから飲むようにしよう。

 では、過ごし方に関してはどうか。
 この時期はやはりエアコンが適度に効いた涼しい室内にいるのが、最大の熱中症予防になる。
環境省は温暖化対策の一貫として「室温は28℃に設定」を推奨しているが、伊藤医師によると、「28℃ぐらいでも湿度が80%ぐらいあれば熱中症になる」とのこと。
 「それは、湿度が高いと汗をかきにくくなり、水分が蒸発しにくくなるからです。
汗は体の熱を気化熱にして、体温を下げてくれる働きがあるので、汗をかきにくい環境は、それだけ熱中症のリスクを高めます」

 ということで、室温は25〜26℃ぐらいまで下げるのが理想的だが、なかにはクーラーの効きすぎで具合が悪くなる人もいる。
その場合はエアコンの除湿機能を使うとよいそうだ。
湿度が低くなると汗をかけるようになるため、熱中症のリスクは下がる。

 さらに、無理をしないというのも大事なポイント。
コンディションが悪いと熱中症にかかりやすい。
疲れたら休憩をとって、体調を整えること。
睡眠不足にも気をつけよう。
 それでも、油断ならないのが熱中症だ。

熱中症かも……と思ったらどうしたらよいのか。  
「まず、屋外なら風通しの良い涼しい場所、屋内であればエアコンが効いた部屋で安静にします。
体を冷やすことは大事なのですが、保冷剤などで皮膚の温度を下げると汗をかきにくくなり、かえって体内の温度が下がりにくくなるので注意しましょう」と伊藤医師。
 もし保冷剤などを使うのであれば、首やわきの下、太ももの付け根など太い血管が走っているところに当てるとよいそうだ。
水風呂も皮膚の温度を下げるだけで、体の熱を逃がしてくれないため、避けたほうがいいとのこと。
 もちろん、水分と塩分補給も忘れずにしたい。

 ちなみに、プールでも熱中症は起こることも覚えておきたい。
その場合の対策は涼しい場所への移動と水分補給に加えて、やったほうがいいことがあるそうだ。  
「それは、体を拭くことです。全身が濡れていると汗をかきにくいので、汗をかけるよう乾いたタオルなどで水滴をしっかりとってあげてください」(伊藤医師)という。

■夏風邪と熱中症の違いはどこにあるか
 さらに、今はやっている夏風邪との見分け方ついても伊藤医師に聞いた。
「鼻水、喉の痛み、咳などの症状があれば、風邪の可能性が高いです。
一方、めまい、集中力の低下、生あくびは熱中症を疑ったほうがいいかもしれません」

 頭痛は風邪でも熱中症でも起こりやすい症状だ。
 「その場合は、まずは市販の風邪薬、あるいは痛み止めを飲んでみてもいいでしょう。
風邪であれば症状が改善しますが、熱中症であれば症状はよくならないことが多いです。
いずれの場合も、快適な室温で安静にして、しっかり水分補給をすることが大切です」

 熱中症は暑さがピークになるこれからが最もキケンな時期だ。
実際、病院への搬送数も一気に増える。
そして、暑さが残る9月ぐらいまではしっかり対策をとったほうがいい。

■特に高齢者は冷房と水分に注意を
 エアコンを使いっぱなしになるため電気代も気になるが、命や健康のほうが大事だと、そこは割り切る必要がありそうだ。

 「特に高齢者は注意が必要です。加齢によって暑さを感じにくく、かつ脱水を起こしやすいという特徴があるうえ、クーラーが嫌いな方も多い。
そういう方が熱中症で搬送されてきます。
ご家族のなかに高齢者がいる場合は、『冷房を入れてね』『水分摂ってね』と、声掛けをぜひお願いします」(伊藤医師)

 (取材・文/山内リカ)

新百合ヶ丘総合病院
救急センター センター長 伊藤 敏孝医師
2004年、防衛医科大学校医学研究科卒業。
同年航空自衛隊第3術科学校業務部衛生課長。
2007年に横浜市みなと赤十字病院救急部部長。
2016年に新百合ヶ丘総合病院救急センター長に就任。
2022年杏林大学医学部臨床教育教員臨床教育准教授。
posted by 小だぬき at 01:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月28日

"突然の雨"で金銭感覚を診断

"突然の雨"で金銭感覚を診断
2023年07月27日  シンリ

心理テストの質問

【質問】 あなたは、外出先で強い雨に見舞われました。
その日の天気予報は晴れだったので、傘を持っていません。
急いで帰らなければいけないわけではありませんが、あなたはどうしますか?

次のA〜Dのなかから選んでください。  

A. 走って帰る
B.タクシーを呼ぶ
C.カフェで雨宿りをする
D.コンビニで傘を買う

この質問では、「あなたの金銭感覚」が分かります。

それでは、診断結果を見ていきましょう。
A 走って帰る
B タクシーを呼ぶ
C カフェで雨宿りする
D コンビニで傘を買う

心理テストの診断結果
A 走って帰ると答えたあなたは…、「目先の損得を考えてお金を遣います」
あなたは、コンビニで傘を買うとお金がかかる、カフェで飲み物を頼むとお金がかかる…というように考えているのでしょう。
傘を購入しない代わりにずぶ濡れになってしまうので、帰宅後に洗濯しなければいけません。
所持品も濡れてしまうと大変なので、目先の損得だけ考えていると、実は損しているかもしれないでしょう。

B タクシーを呼ぶと答えたあなたは…、「必要なときにお金を遣えます」
あなたは、風邪をひいて体調を崩さないようにするためにタクシーを呼ぶのでしょう。
必要なときにお金を遣えるので、無駄遣いはあまりしません。
ほかの人はタクシーを呼ぶのはもったいないと考えますが、あなたは雨宿りする時間をほかのことに使いたいと考えているのでしょう。

C カフェで雨宿りすると答えたあなたは…、「シビアに節約することはありません」
あなたは、自分に必要ではないものにお金を遣いません。
だからといって、友人と外食しない、欲しいものを我慢するということは無いでしょう。
無理をしない範囲で楽しみながら節約できるタイプです。

D コンビニで傘を買うと答えたあなたは…、「小さな無駄遣いが習慣になっています」
あなたは、大きな金額の無駄遣いはしませんが、コンビニなどで数百円単位の無駄遣いをするタイプです。
そのため、財布を見るとお金が減っていて驚いてしまいます。
500円玉貯金などに取り組むと、楽しみながらお金を貯められるでしょう。

ライター : シンリ編集長
心理学を学び、さまざまな診断に関する造詣が深い。
恋愛診断から性格診断などまで幅広い見識を備え、現在は心理系記事のライター、編集長として活動中。

編集 : シンリ編集部 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月29日

他人を見下す人の残念な特徴

他人を見下す人の残念な特徴
2023年07月28日 ダイヤモンドオンライン

ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。
しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。

内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)

■Q. 自己肯定感が低いです

読者からの質問 
どれだけ自分の能力を高めて実績を出しても、「自分より優れた人はたくさんいる」と考えてしまい、なかなか自信が持てません。どうすれば自分に自信が持てるようになりますか。

ジル・チャン氏
 自分の仕事が計画通りに進んで、ちゃんと成果が出ているのであれば、他人と比べる必要はまったくないと思います。
 重要なのは、過去の自分といまの自分を比べて、「どんな能力が伸びたのか」「初心を失わずに仕事ができているか」などを、しっかりと自己分析することです。
 もちろん、周りの人の能力や実績を、まったく気にしないようにするのが難しいのは事実です。
私も、つい他人と比較してしまいそうになることもあります。
 しかし、自分のやるべき仕事や達成すべき目標に集中していれば、自然と気にならなくなりますよ。

■他人を見下す人=自信がない人

チャン氏
 逆に、「自分が他人より優れた成果を出した」という優越感がモチベーションにつながることもゼロではないと思いますが、周囲との競争に勝ち続けられる人はほとんどいません。
 自分に自信がない人ほど、周りを見下そうとしがちです。
でも、他人との比較で自己肯定感を高めようとしても長続きしないのが現実なんです。

 そもそも、仕事にかぎらず人生全般において、「他人」というコントロール不可能な存在に自分の感情を振り回される「他人本位のメンタル」はとても不安定です。
 比べる対象は「過去の自分」だけにして、自分のやるべきことにフォーカスしましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月30日

シニア狙う「電話使った特殊詐欺」その驚く手口

シニア狙う「電話使った特殊詐欺」その驚く手口
国や大手キャリアの強化対策で詐欺撲滅なるか
松原 治雄 : トビラシステムズ株式会社 取締役 技術部長
2023/07/29 東洋経済オンライン

「ダウンロード開始押したらいいです。『はい』を押したらいいです」
「問題解決するために遠隔操作が必要なんです!」
「コンビニに行って2万5000円のGoogle playカードを買ってきてください!」
「私の時間を無駄にしないでください!」
「お客様、頭はないんですか?」

インターネットを利用していたら突然、パソコンの画面に「ウイルスに感染しました」と警告が出てしまった。
表示された、某大手ソフトウェア会社を名乗るサポートの電話番号に慌ててかけてみると、カタコトの日本語を喋る女性が出た。
彼女はパソコンを遠隔操作しようと執拗に迫ったり、プリペイドカードを購入させようとしたり、そして最後は激しく罵倒してきた――。

いまだに「オレオレ詐欺」被害は増えている
この驚くようなやり取りは、迷惑電話をはじめとするセキュリティ領域のシステム開発を担うトビラシステムズ株式会社が、同社のYouTubeチャンネルで公開した動画(「【詐欺音声】サポート詐欺の番号に電話をかけると何が起こるか調査してみたら、最終的に詐欺師に怒られた!」)によるもの。
80万回再生(2023年7月27日現在)と大きな反響を呼んでいる。
動画に出てくるのは、昨今急増している「サポート詐欺」と呼ばれる特殊詐欺で、利用者をニセのサポート電話番号に誘導し、パソコンを遠隔操作しているフリをしながら不要なソフトの購入やサポートのための契約をさせて、お金を巻き上げる手口だ。
高齢者を中心に被害者は後を絶たない。

筆者は、当社で迷惑電話や迷惑SMSの対策サービスを提供している。セキュリティの観点特殊詐欺はなかなか減らない。
警察庁によると、2022年の被害額は、前年より88億円増の370億円で、8年ぶりの増加に転じた。
例えば、2000年代初頭から話題になった、家族を装う電話をかけてくる「オレオレ詐欺」。
すでに全国での啓発活動が活発に行われ、いまどきこんな電話に引っかかる人がいるわけがないと思う人も多いだろう。
しかし、2022年のオレオレ詐欺被害額は129億円(警察庁公表)と、特殊詐欺被害額の中で最も大きな割合を占め、いまだ被害者が減ることはない。

また、昨今は広域強盗事件、いわゆる「ルフィ事件」も問題となった。
ルフィ事件の指示役は複数の特殊詐欺にも関与していたという。
最近の犯行グループは、まず「アポ電」を仕掛けることがある。
ターゲットの在宅状況や資産を確認するため事前に電話でコンタクトを取るものだ。
例えば、「犯行グループの名簿にあなたの名前が載っている」などと不安をあおり、「今、自宅に家族はいるか?」など、在宅状況や資産状況、家族構成などを言葉巧みに聞き出すのである。
金銭を要求される電話ではないため、うっかり回答してしまう人もいる。

電話口で安易に応じるのは、もちろん危険だ。

犯罪に使われる「電話番号」の変化
電話が、特殊詐欺や強盗等の犯行のきっかけとなることは多い。
当社で、月毎に新たに出現する迷惑電話番号の動向について調査したところ、電話の発信元に変化が見られた。
これまでは固定電話番号(03などいわゆる0ABJ番号)が多かったが、2022年9月ごろから徐々に050番号が増えはじめ、その割合が逆転したのだ。
2023年4月に新たに出現した迷惑電話番号は、固定電話番号よりも050番号が約9倍多かった。
また、調査対象の050番号の中には、サポート詐欺や架空料金請求詐欺などに使用された可能性があるものも多数見つかっている。
未納料金があるなどとウソをつき金を騙し取る「架空料金請求詐欺」は、警察庁調べで、2023年5月末時点で2055件が認知されており、前年同期比2倍となっている。

当社の調査員が、架空料金請求詐欺の番号へ騙されたふりをして応答調査を行った際には(「【詐欺音声】不審なSMSの番号に電話してみたら驚くほど丁寧な説明で架空料金を請求された!」)、某大手企業のカスタマーセンターを名乗る男性が「有料サイトで未納料金が29万円」「今支払えば国の救済制度で95%返金する」「守秘義務があるので誰にも相談しないで」など、言葉巧みに誘導してきた。
050番号のIP電話は、電話回線や設置工事が不要で、申し込みからわずか数日で使用できる。
加えて固定電話より安価な料金で使用できることから、利用者を大幅に伸ばしてきた。
これらのコスト面や利便性のメリットから、050番号はビジネスの開業時や新規事業開始時、事務所の移転拡張時などに広く活用されている。
また、IP電話専用アプリをダウンロードしたスマホやパソコンで使用できることから、コロナ禍でテレワークを始めた企業が在宅勤務者に付与するなど、本来はとても利便性の高い電話番号だ。

一方で、その利便性を逆手に取り、特殊詐欺などの犯罪にも悪用されるケースが散見されるようになっているのも事実だ。
現行の携帯電話不正利用防止法では、050のIP電話は、契約時の本人確認義務の対象外となっていることが1つの大きな要因だろう。
手軽に番号が取得でき、安価であることは、大きなメリットである反面、「使い捨ての番号」として犯行に使用されやすくもなってしまう。
詐欺などの悪用防止のため、本人確認をしっかり行っている事業者も、もちろんいる。
しかし、中には特殊詐欺グループに050番号を大量に卸している悪質な番号再販事業者も存在しているようだ。
過去にはそういった悪質な事業者が逮捕された事例もある。

「050番号」の規制で犯罪を未然に防げるか
このような状況を受け、行政機関や民間団体なども対策に動き出している。
総務省は6月に、これまで契約時の本人確認義務がなかった050番号のIP電話について、本人確認を義務化する方針を発表した。
まずはこの方針に対する国民からの意見を受け付け、その後、法律施行規則の改正に動き出す予定だ。
また、行政機関だけでなく、民間団体も対策に力を注いでいる。

IP電話サービス提供事業者が複数加盟する「⼀般社団法⼈⽇本ユニファイド通信事業者協会(略称:JUSA)」は、総務省や警察庁と連携して、特殊詐欺などの犯罪に悪用された番号を停止する「番号停止スキーム」を2022年12月から運用している。 この「番号停止スキーム」について、2023年6月には、悪⽤された電話番号だけでなく、悪⽤した契約者や再販事業者がすでに保有する電話番号(在庫番号)を⼀括停止できる仕組みも追加された。
これは、特殊詐欺に対する小さくない抑止力となるはずだ。

行政機関や民間団体により、特殊詐欺防止の取り組みは進んでいるとはいえ、犯行グループは、つねにあの手この手で抜け道を見つけ出し、ターゲットを狙っている。
私たち1人ひとりが、日頃から防犯を心がけることも忘れてはならない。

対策として、不審な電話に出ない・応じないということは大前提である。
知らない番号からの着信は、番号をネットで検索してみて、発信元に心当たりがあるか確認してみるのもいいだろう。
不審な電話を自動で遮断する対策もある。
例えば大手携帯キャリアでいうと、NTTドコモは「あんしんセキュリティ」、ソフトバンクは「迷惑電話ブロック」、KDDIは「迷惑メッセージ・電話ブロック」という、セキュリティオプションがある。
これらを利用すると、データベースに登録のある迷惑電話が自動的に警告される仕組みだ。
特に1人暮しの高齢者などは、「アポ電」相手につい話し込んでしまうことや、不審な電話を受けても相談する相手がいないこともある。

テクノロジーをうまく活用し、危険な電話を察知することは有用な対策だといえる。
ただ、新たな電話番号も日々発行されている。
すべてを遮断できるわけではないということを念頭に置き、気を緩めてはならない。
詐欺にあった人のほとんどが「自分だけは大丈夫」と考えていたと話すという。
自分は大丈夫と過信せず、テクノロジーもうまく活用して自分自身や家族を守っていきたい。
それでも詐欺に遭ってしまったら… 冒頭に出たサポート詐欺については、そもそも警告メッセージに慌てない心構えも必要だ。

インターネットを利用していて、突然パソコンの画面に「ウイルスに感染しました」といった警告画面が出てしまったら、慌ててクリックしてしまうなど、その先に進んではいけない。
「タスクマネージャー」を立ち上げて、警告が出ているブラウザを選択し、「タスクの終了」をクリックすれば画面は消える。
また、万が一、何らかのソフトウェアをインストールしてしまった場合は、まずは外部からパソコン内部を見られたり操作されるのを防ぐため、インターネットを切断していただきたい。
そのうえで、ソフトウェアのアンインストール(削除)をしたほうがいいだろう(手順は以下の画像の通り)。

超高齢化社会となった日本では、高齢者を狙う特殊詐欺や犯罪が深刻になっている。
行政機関や通信事業者、民間団体などの対策推進や、テクノロジーの活用、個々人での意識の底上げなど、全方位的な対策が求められるだろう。
犯罪被害者が減ることを期待したい。
       (構成:井澤 梓)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

困難を筋肉と団結で乗り越える…通称「小原台刑務所」で繰り広げられる防衛大の"しょっぱい学生生活"

困難を筋肉と団結で乗り越える…通称「小原台刑務所」で繰り広げられる防衛大の"しょっぱい学生生活"
2023年07月29日 PRESIDENT Online

防衛大学校は神奈川県横須賀市小原台にある。
卒業生で元自衛官のぱやぱやくんさんは「学生たちからは『小原台刑務所』や『ニューホテル小原台』と呼ばれている。
新入生は1日に1回は入学したことを後悔するが、不思議な魅力がある」という――。
※本稿は、ぱやぱやくん『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■通称「小原台刑務所」「ニューホテル小原台」
防衛大学校(防大)は、神奈川県横須賀市小原台(おはらだい)(※1)にあり、学生たちからは「小原台刑務所」や「ニューホテル小原台」とも呼ばれ親しまれています。
防衛省管轄の教育機関であり、陸・海・空、各自衛隊の幹部自衛官となる者を教育訓練している施設です(文部科学省が管轄する機関ではないので、「大学」ではなく「大学校」なのがポイントです)。

防大は、諸外国で言えば士官学校に該当する学校であり、学生の身分としては「特別職の国家公務員」です。
そのため、学費・衣食住が無料のうえ、学生手当が支給され、防大を卒業すると「一般幹部候補生(曹長)」として任官します。
防大卒業後に与えられる「曹長」という階級は、一般入隊の隊員の場合だと定年まで勤務して到達する階級です。
さらに、現在の制度では防大を卒業すると佐官への昇任はほぼ確定のため、自衛隊内部では「防大はエリートコース」と言われています。

■1日1回は思う「防大になんて来るんじゃなかった」
一方で、防大は全寮制で規律は厳しく、ジューシーで甘酸っぱいキャンパスライフを想像すると間違いなく後悔します。
どちらかと言うと、田舎のおばあちゃんが作った塩まみれの梅干しを想像したほうがいいでしょう。
そのため、残念ながら防大に進学した新入生は「防大になんて来るんじゃなかった」と少なくとも1日に1回ぐらいは思います。

新入生は坊主頭やおかっぱ頭になり、朝から晩までシャウトし、精神と肉体の限界に挑むからです。
進学よりも「出家」に近い学校であり、一般社会を娑婆(しゃば)と感じることさえあります。

■学力だけではなく、生命力を求められる
防大の基本コマンドは「走る」「叫ぶ」「飛び跳ねる」です。
忌野清志郎さんのライブのように躍動感のある生活であり、縦ノリのリズムが求められます。
これは、防大では学力だけではなく、生命力をも求められるからです。
生命力とは「限界に立ち向かう力」「不条理に耐える力」「困難を乗り切る力」のことであり、高校時代に全てであった学力偏差値はなんの役にも立ちません。

防大OBはよく「防大は学力偏差値では測れない」と語ることが多いですが、これは生き物として強くあらねば防大を卒業できないからです。
ボルネオのジャングルにおいて、フーリエ変換と英作文が得意でも、あまり役に立たない感じに似ています。
こうした過酷な環境で生き残っている防大生は非常に個性的な人が多く、「筋肉はパワーであり、パワーは生きる力」と言う筋肉至上主義者も一定数生息しています。
薩摩藩士は困ったときに「チェスト!」と叫んで気合を入れると聞きましたが、かつての防大はそれに近い文化でした。

■一般の自衛隊の文化と少し違う「防大ワールド」
防大では、連帯責任の大反省会、整理整頓不良で空飛ぶ魔法のマットレス、作業服がボロボロになるまでの全力の雑巾がけ、制服にシワを一つも残さないエクストリーム・アイロンなどを行うことになります。
防大生活では「団結力」「挫けない心」「手先の器用さ」「ユーモアのセンス」などの全ての要素が必要です。
新入生は押し寄せる不条理に立ち向かいながら強くなり、国家の一大事を救うヒーローに成長していきます。

ただ、試練があまりにも多いので、「まず1年間を生き残れ。話はそれからだ」という世界観なのです。
このように書くと「とんでもない学校だ!」と読者の皆様は思うかもしれませんが、卒業生である私も「やばい学校だなぁ」と思って4年間を過ごしていました。
しかし、防大生活には不思議な魔力があり、月に1〜2回ぐらいは「防大に入ってよかったなぁ」と思う瞬間がやってきます。卒業生が集まって飲み会をすると狂ったように防大の思い出を語り、昔を偲びます。

防大は陸海空3軍種の統合教育を行っており、文官の教官も多数在籍しているため、一般の自衛隊の文化と少し異なる「防大ワールド」があります。
この特徴が、防大の秘境感、そして多様性に溢れたガラパゴスな感じを醸し出しています(自衛隊内部でも防大卒は「やや独特な雰囲気がある」と言われることが多いです)。

■防大の生活はホグワーツ魔法学校に近い
防大は全寮制であり、学校の敷地内に居住区、講堂、実験室、グラウンド、食堂、浴場、医務室、売店、射撃場や訓練場もあります。柵と塀が校内に張り巡らされており、一般大学よりも「駐屯地」や「基地」に近い構成になっています。
校内には戦車や戦闘機、魚雷なども展示されていて、学生寮には小銃などを保管する武器庫なども存在し、ミリタリー要素で溢れています。
防大の学生は1800名程度であり、1学年は400〜500人ほどです。
全学年を1〜4大隊という編成に分けて寮が分類されます。
ハリー・ポッターでたとえるなら、ホグワーツ魔法学校の「グリフィンドール」「スリザリン」などの寮に所属している生徒それぞれが、自他の寮に誇りとライバル心を持っているように、防大も大隊ごとに伝統や文化がやや異なり、他大隊にはライバル心を持っている学生が多いです。

■筋肉と同期の団結で困難を乗り越える
私が在籍していたときは、ざっとこんな感じの特徴がありました。
・「お祭り大好き1大隊」(男子学生が多く、ノリのよい荒くれ者が多い)
・「お掃除大好き2大隊」(海上自衛隊の文化が強く、清掃や整理整頓に厳しい)
・「楽勝(※2)3大隊」(全体的に規則がゆるく、生活が厳しくないと言われている)
・「パレード4大隊」(観閲式パレード(※3)に対する情熱が強い)

ホグワーツ魔法学校では困難に直面すると魔法と友情で乗り越えますが、防大では筋肉と同期の団結で乗り越えます。
そのため、MP(マッスルポイント)が重要になります(MPがなくなると腕立て伏せができなくなります)。

各大隊には1〜4中隊があり、各中隊はフロアごとに分類され、100人規模の学生がいます。
これが防大における生活単位であり、全員の顔と名前が一致する最大の単位でもあります。

※1防大は横須賀市小原台にあるため、関係者は防大のことを「小原台」と呼称することが多い。防大卒に「小原台はどうだった?」と聞くと、間違いなく「関係者か?」と思われる。なお、住所は走水。

※2防大生は「楽勝」という言葉をよく使う。楽勝とは「ゆるい、簡単」という意味。

※3正装をし、小銃を持って行うパレード訓練。入校式や開校記念祭などで見ることができる。学生からは不人気。

----------
ぱやぱやくん 元陸上自衛官
posted by 小だぬき at 15:00 | 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月31日

糖質制限ダイエットをしても効果が出ない理由 糖質の抑えすぎにも注意を

糖質制限ダイエットをしても効果が出ない理由 
糖質の抑えすぎにも注意を
2023年07月30日 PRESIDENT Online

糖質制限ダイエットを始めたのに、体重が落ちない、痩せられないダイエッターは多い。
その原因はどこにあるのか。
糖尿病専門医であり女子栄養大学名誉教授の田中明さんは、「ごはんを減らすのはむしろ太る要因になる。そればかりか、極端な糖質制限が不調や将来の病気にもつながる」という――。

■糖質が余ると中性脂肪となり肥満や脂肪肝に
手軽で始めやすいダイエットとして定番化した糖質制限。
糖質は、主にごはんやパン、麺などの炭水化物に多く含まれる栄養素で、活動するためのエネルギー源になっています。
私たちが生きるために欠かせない栄養素といえる糖質ですが、摂りすぎて余ると中性脂肪となり体内に蓄積。
脂肪細胞に蓄えられることで、体重が増えたりぜい肉に変わったりして肥満につながります。
また、脂肪細胞だけでなく、中性脂肪が肝臓に蓄積すると脂肪肝に。
まるでフォアグラのように脂肪が溜まった肝臓になり、進行すると肝硬変や肝臓がんのリスクが高まります。

お酒を飲まない女性でも、糖質の摂りすぎによって脂肪肝になることもあるのです。
そのため糖質を抑えた食生活を送ることは、ダイエットや体型維持につながるとされ、多くの人が糖質制限を取り入れていることでしょう。
しかし中には、「糖質制限をしているのに痩せられない」という人がいます。
ダイエットが成功しない原因は“過剰すぎる制限”にあるかもしれません。

■極端な糖質制限ダイエットは逆効果に
糖質制限の効果が表れない人の特徴として、糖質を抑えすぎていることが挙げられます。
実は「炭水化物=太る」は間違い。
ごはんの食べすぎは当然太りますが、減らしすぎても太るのです。
「炭水化物はひと口だけ」「ごはんは一切食べない」など、糖質を極限まで減らした食事をしていませんか。
このような人に共通するのが、間食の増加です。
糖質を減らしすぎると、食事による満足感が低下します。
小腹が減ったり、口寂しい感じがしたりして、3食以外のおやつについ手が伸びていることも。

一回の食事から摂る糖質量は少なくても、間食が増えるとその分全体の摂取カロリーが上がり、痩せられない要因になります。
次に考えられるのが、糖質の高いイモ類や野菜類の摂取です。
ジャガイモ、サツマイモ、サトイモといったイモ類、カボチャやトウモロコシ、レンコンといった野菜類は、食物繊維は豊富ですが糖質は高く、ダイエットには注意が必要。
ジャガイモを使ったポテトサラダや、カボチャの煮物など、健康にいいと思って食べたおかずが実は糖質過多だった、ということも。

糖質制限をする際は、このような野菜類にも気をつけましょう。
意外と盲点なのが、果物です。
ビタミンやミネラルが豊富な果物は毎日摂りたい食材ではありますが、糖質が多いため食べすぎると中性脂肪が上がりやすくなります。
「ヘルシーだから」といって、果物を山盛り食べていると糖質制限の効果が半減するといえるでしょう。

また、糖質制限でリバウンドを繰り返しているという人も多いのではないでしょうか。
極端な糖質制限は一時的には有効かもしれません。
しかしがまんしすぎることでストレスとなり、結果的に過食に走ってしまうパターンも多いのです。

■炭水化物抜きの食生活が続くと筋力低下やむくみに
過剰な糖質制限がダイエットの逆効果になることを解説しました。
そのほかにも体にとってさまざまな弊害が起こることがわかっています。
その一つが筋力の低下。
食事で摂る糖質が減ると、タンパク質がその代わりをせざるを得ない状況に。
本来タンパク質は、筋肉やあらゆる細胞をつくる材料として働きますが、糖質の働きであるエネルギー源として使われてしまうのです。
この状況が長く続くことで、年齢問わず筋力の低下につながっていきます。

タンパク質がエネルギー源に使われることで、血中では低タンパク質血症も起こります。
タンパク質濃度が薄くなると、それを補正しようとして血中から水を排出して濃縮。
排出された水は体の組織に溜まり、むくみが発生しやすくなります。

また、糖質を抑える代わりに、大量に肉を食べている人もいますが、塩分摂取量が増えて高血圧になったり、タンパク質の代謝に関わる腎臓にも負担がかかります。
肉の大量摂取は、同時に脂質量も増えるため、高コレステロールのリスクも高まります。
さらに、アルコールを飲む人は尿酸値にも影響するなど、過剰な糖質制限によって食事のバランスが極端に偏ることは、長い目で見ると健康に悪影響といえるのです。

■糖質は3食摂ったほうが実は痩せる
筋力を落とさずに健康的に痩せるためには、糖質は3食摂ることが大切です。
糖質制限という言葉と真逆のことをいうようですが、糖質はむしろ食べたほうが理想的な体重、体型に近づきやすいのです。タンパク質がしっかり筋肉の材料になり、代謝のいい体をキープできるからです。

食事は1日3食摂り、1食の中で炭水化物は50〜60%、タンパク質は15〜20%、脂質は20〜25%の割合にするのが、糖質制限の黄金バランスです。
めざすのは、ごはん、汁物、肉もしくは魚、野菜を使った副菜がセットになった定食スタイル。
ごはんは、1食につき茶わんにさらっと1杯盛った程度の「150g」が適量。
白米でも問題ありませんが、ミネラルや食物繊維が豊富な麦ごはんや雑穀米に置き換えるのもおすすめです。

果物の1日の目安量は、リンゴなら2分の1個、バナナは1本、スイカは2切れ、ブドウは10粒程度です。これ以上食べると糖質が多くなるので注意を。
副菜や付け合わせには、糖質やカロリーが低い、野菜や海藻、キノコ、こんにゃくを料理にたくさん使うのが効果的です。

糖質制限をしても痩せられない、もしくはリバウンドを繰り返しているという人ほど、食事による満足度が不足しています。これらは糖質を抑えながらダイエットできる優秀な食材といえます。

■糖質で太らないためには食べる時間にも注意を
糖質はしっかり摂ったほうがいいと述べましたが、一つだけ注意したいのが、食べる時間帯です。
「何をどの時間で食べるか」を研究した時間栄養学によると、22時〜深夜2時までは、糖質が吸収され中性脂肪が増えやすくなる時間帯といわれています。
活動量が減る夜の時間帯は、糖質を摂らないようにしましょう。
どうしても仕事で食事が遅くなる場合は、炭水化物とそのほかのおかずや汁物を分けて食べる「分食」を。
例えば17〜18時頃の早い時間帯に炭水化物を食べて、仕事が終わってからそれ以外を食べる工夫をすると、糖質の吸収を抑えることができ、ダイエットに効果的です。
糖質は、タンパク質や脂質とともに3大栄養素の一つで、体にとってなくてはならないものです。
極端にカットすれば一時的には痩せますが、長続きはしません。
痩せるか太るかを決めるのは、糖質の摂り方が重要。
適正な量を正しいタイミングで摂り、健康的に痩せる体をつくりましょう。

----------
田中 明(たなか・あきら)
糖尿病専門医/女子栄養大学名誉教授
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

少子化直撃・ハラスメント問題で自衛官採用に逆風…最前線の「士」、予定の6割しか採用できず

少子化直撃・ハラスメント問題で自衛官採用に逆風…最前線の「士」、予定の6割しか採用できず
7/30(日) 読売新聞

ハラスメント対策、処遇改善急ぐ
 自衛官の採用活動に逆風が吹いている。
少子化の直撃を受けているうえ、ハラスメント問題に揺れた昨年度は、最前線で活動する自衛官を予定の6割しか採用できなかった。
人材確保のあり方を議論してきた防衛省の検討会は今月、ハラスメントの根絶や処遇の改善など抜本的な改革を提言しており、自衛隊は対応を急ぐ。(狩野洋平)

「天王山」の夏
真夏の日差しが照りつける東京・秋葉原。
21日昼、制服姿の高校生に自衛官が駆け寄った。
「自衛隊です。全国でイベントをします。ぜひ来てください」。
大粒の汗を流しながらチラシを渡していった。

 防衛省は8月末まで、各地の施設で艦艇の一般公開や部隊の見学など約600の交流イベントを開く。
これまでにない規模のキャンペーンで、この日は錦糸町や水道橋などの繁華街でもPRに励んだ。
 来春卒業予定の高校生に対する採用広報活動が解禁されたのは1日だ。

陸上幕僚監部募集・援護課の松元三展1佐は「この夏が採用活動の天王山という気持ちで臨んでいる。
自衛隊の勤務環境や雰囲気、成長する過程を懸命に伝え、まずは興味を持ってもらいたい」と強調する。

人がいなくて−
 強引な海洋進出を強める中国を念頭に、政府は2023〜27年度の防衛費を現行の1・5倍にあたる43兆円に引き上げる方針だ。
 しかし防衛省の検討会は12日に公表した報告書でこう指摘した。

 <どれだけ高度な装備品をそろえようと、運用する人材の確保がままならなければ、防衛力を発揮することはできない>
定員約24万7000人の自衛官は、〈1〉最前線で活動する「士」〈2〉部隊の中核となる「曹」〈3〉それらを指揮する「幹部」などに分かれている。特に採用が難航しているのが士の階級だ。

 防衛省によると、士の採用率は過去10年間、8割から10割で推移してきた。
しかし、昨年度は1万6225人の必要人員に対し、確保できたのは1万120人で、採用率は62%に急落した。
士階級の中でも、2〜3年間の任期で活動する「自衛官候補生」の採用率は43%にとどまる。

 背景には、コロナ禍で採用を控えていた企業の求人が回復したことや、ロシアのウクライナ侵略を目の当たりにし、子どもを入隊させることをためらう親が増えたことがあるという。
陸自の元女性自衛官が性暴力を受けた問題が発覚し、同省が全隊員に特別防衛監察を行う事態となったことも影響したとみられる。
 今年度に入っても、自衛官候補生による銃撃事件が起きるなど、採用活動には逆風が吹いている。

 防衛省幹部は「士階級は体力のある若者が中心で、それが集まらなければ、自衛隊の力が徐々にそがれてしまう」と危惧する。

Z世代
 採用の対象となる18〜32歳はネットに親しんだ「Z世代」だ。
防衛省は勤務環境の改善を急いでいる。
 数か月に及ぶ長期航海の任務がある海自は、乗員がスマホで家族らと連絡できるように、米宇宙企業スペースXの衛星通信網「スターリンク」の高速通信サービスの導入を検討している。
現在も限られた区画で無線LANが提供されているが、通信速度は遅く、若い隊員らに不満が根強いためだ。

 議論は髪形に関するルールにも及ぶ。
例えば空自では、男性隊員に側頭部を短く刈り上げる「ツーブロック」にすることを禁じている。
陸自では女性隊員に「ショートカットが望ましい」とし、ポニーテールにしないように求めている。
主に制帽や装備を身につける際に妨げとならないように設けた規則という。

 しかし、検討会の報告書は自衛隊内のルールについて、「国民の信頼が損なわれない範囲で、合理性に乏しいものは変更・廃止すべきだ」と指摘した。
 報告書は、自衛官の給与・手当の増額などにも言及し、ハラスメントについては「一切許容しない組織環境が不可欠」と強調した。
同省はこうした提言を踏まえ、改革を進める。

「人材採りこぼさぬように」
 厚生労働省が公表している昨年の出生者数は過去最低の77万人で、200万人前後だった1970年代と比べ半数以下となっている。
少子化が進む中で、将来の募集環境はさらに厳しくなることが予想される。
 同志社大の太田肇教授(組織論)は「Z世代は縦の人間関係を避ける傾向があり、組織内でハラスメントが横行していれば敏感に感じ取る。
少子化が進んでも、自衛官の仕事にやりがいを見いだし、目指す若者はいるはずだ。
こうした人材を採りこぼさないように、ネットを駆使し、組織改革も進める必要がある」と指摘する。
posted by 小だぬき at 14:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする