押し寄せる値上げの波、たこ焼き「1個100円」時代が 顧客が不快感覚える「見慣れた物やサービス」の値上げ
田中靖浩 公認会計士・作家
2023.7/12 ZAKZAK
まだ梅雨が明けてないというのに、この暑さはどういうことでしょう。
うんざりしながらも、7月になって聞こえてきた「お祭り」の話題に心が躍ります。
やっとお祭りが戻ってきたかと思うと本当にうれしい。
日本の夏はこれがないと始まりませんからねえ。
さっそくご近所の神社で行われた夏祭りに行ってきました。
3年ぶりの屋台とあって、子供たちも大勢来ています。
その顔がみんな楽しそうで、こちらまで幸せな気分。
金魚すくいに輪投げに射的。
そして食べ物はたこ焼きにお好み焼き、リンゴ飴にチョコバナナ、その看板を見るだけで夏を感じます。
日本人でよかった。
これから7、8月は花火も始まるし、全国的にますます盛り上がることでしょう。
ぜひ皆さん、久しぶりのお祭りをご堪能ください…と、幸せを感じる半面、「ここまできたか」と少々憂鬱になってしまうのが「値上げ」なんです。
今年のお祭り屋台、ぐるっと回ってみて、その値上がり具合に驚きました。
何と、たこ焼きは700円ですよ! 8個入って700円。
もはや大切に食べないといけない高級食材。
為替レートならぬタコレート急上昇です。
おそらく来年には800円を超えて「1個100円時代」に突入することでしょう。
金魚すくいや射的も軒並み500円超え。
なかには1回1000円のくじ引きもありました。
すでにお祭り屋台は4桁時代に突入しているのであります。
これだけ高額になると、子供が「お祭りで楽しく遊ぶ」と、ゆうに5000円以上は掛かります。
「お祭りか、小遣いやるから遊んでおいで」と送り出すためには5000円札か1万円札を渡さないといけません。
もはや自分の飲み代より高いじゃありませんか。
なんという時代でしょうか。
おぼろげな記憶ですが、私が小学校の頃、1000円札1枚あればかなり楽しめました。
いまや1000円では「くじ引き1回」でおしまい。
いまのところすべて現金取引≠ナしたが、そのうちスマホで「ピッ」と支払うようになるんでしょうね。
嗚呼、平成は遠くになりにけり。 調査によれば、われわれが感じる値上げの不快感は必ずしも「値上がり幅」に比例しないそうです。不快感を感じるのは「見
慣れた商品・サービスの価格が値上がりしたとき」だそうで。
それが本当だとすれば、年に1回の「お祭り屋台の価格」が上がってもさほど不快感を感じないということ。
これは確かにそうかもしれません。
逆に、たとえ少しの値上げ幅であっても「見慣れた物やサービス」の価格が少しでも上がると顧客は不快感を覚えるわけです。
だから食料品は簡単に値上げできず、中身を減らす「実質値上げ」がはやるのですね。
年に1回のお祭りから始まり、これからだんだん生活に近いところへ値上げの波がやってくるかもしれません。
これにはちょっぴりため息ですよね、ご同輩。