2023年08月26日

特殊詐欺の犯人はなぜ「固定電話」を狙う? 元刑事が解説する理由と対策法 被害を防ぐ電話機の機能とは?

特殊詐欺の犯人はなぜ「固定電話」を狙う? 元刑事が解説する理由と対策法 被害を防ぐ電話機の機能とは?
8/26(土)  Fav-Log by ITmedia

 オレオレ詐欺や還付金詐欺など、主に高齢者からお金をだまし取る「特殊詐欺」の被害は、2020年までは6年連続で減少を続けていたものの、その後増加に転じています。
離れて住む高齢のご両親がいる方などは、不安に感じているのではないでしょうか。

特殊詐欺は、最初に犯人側から「アポ電」と呼ばれる電話がかかってくることが多く、被害に遭わないためにはアポ電を防ぐことが重要です。
 今回は、固定電話にアポ電がかかってきやすい理由や対策について紹介します。

固定電話にはアポ電がかかってきやすい
 特殊詐欺では、最初に犯人が被害者へアポ電をかけてくることが多くあります。
犯人はアポ電の反応によって犯行を行うかどうかを判断しているのです。
 警察庁が2023年4月にまとめた「特殊詐欺の手口と対策」によると、2022年11〜12月に認知した事件のうち、被害者側の通信手段は97.2%が固定電話だったそうです。
確かに筆者の経験からも、アポ電が携帯電話にいきなりかかってきたという事例はほとんど記憶にありません。

固定電話にアポ電が多い理由
 なぜ固定電話にアポ電がかかってきやすいのでしょうか。
大きく2つの理由が考えられます。

電話番号が名簿として出回りやすい
 固定電話は電話帳が作成されているため、名簿として出回りやすいです。
犯人は「名簿屋」と呼ばれる業者から名簿を入手し、名簿を元にアポ電をかけます。
名簿は電話帳のほかにも、学校の卒業生名簿や通販の高額利用者など、さまざまなリストから作られています。
 筆者も何度か特殊詐欺の捜索を行ったことがありますが、捜索先でアポ電用の名簿をしばしば目にしました。

固定電話を契約している人は高齢者が多い
 固定電話の契約者に高齢者が多いことも理由に挙げられます。
携帯電話に慣れている若い世代にとっては、固定電話の必要性が感じられないため、契約していない方も多いのではないでしょうか。
 しかし、かつては固定電話の契約が社会的信用にもつながっていたことなどから、高齢者世代では現在も固定電話を契約し続けている方も多いでしょう。
 そのため、犯人の立場からすると、固定電話の名簿からアポ電をかければ、ターゲットである高齢者層にヒットする可能性が高いのです。

アポ電を防ぐ対策
 アポ電を防ぐ対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは3つの対策を紹介します。

ナンバーディスプレイ/ナンバーリクエスト
 ナンバーディスプレイはアポ電を防ぐために必須の機能です。
ナンバーディスプレイがなければ固定電話にかかってきた電話をとらざるを得ませんが、ナンバーディスプレイがあれば知らない電話番号からの電話に出ないという選択ができます。
 もう一つ有効な機能として、「ナンバーリクエスト」があります。ナンバーリクエストとは、非通知で電話をかけてきた相手に、番号を通知してかけ直すように自動的にアナウンスされるサービスです。
固定電話の着信音は鳴らないため、非通知でアポ電をかけてきた場合には、自動的にシャットアウトできます。

 NTT東日本とNTT西日本では2023年5月から、70歳以上の契約者、または70歳以上の方と同居している契約者の回線であれば、ナンバーディスプレイ・ナンバーリクエストを無償で利用できるサービスを始めています。
まだ申し込んでいない方は、この機会に申し込むことをおすすめします。

通話を録音する
 通話を録音することも有効な対策です。
犯人はできるだけ自分たちの証拠を残したくないため、音声が録音されることを警戒しています。
しかし、音声を録音できる電話機がない場合も多いでしょう。
 その場合は、電話機を常に留守番電話にしておき、電話にはすぐに出ず、録音された内容を確認してからかけ直すことをおすすめします。

用事がある人であれば留守番電話にメッセージを残すでしょうし、アポ電であればわざわざ留守番電話にメッセージを残すことは考えにくいからです。

電話番号を変更する
 アポ電がすでに何度かかかってきたことがある場合や、かかってくる可能性がある場合は、電話番号の変更も有効です。
変更後は、家族や知人など限られた人にだけ番号を知らせるようにして、名簿として売られないように気を付けましょう。

手軽に特殊詐欺対策ができる固定電話機を紹介
 ここまでアポ電を防ぐための対策について説明してきましたが、そもそも固定電話を置かないことが最も有効な対策です。しかし、さまざまな事情で廃止できない人もいるでしょう。
また、ナンバーディスプレイなどの契約や設定を行うのは、機械の設定に慣れた人でなければ難しいかもしれません。
 そこで、手軽に特殊詐欺対策機能を設定できる電話機を紹介します。

シャープ 「JD-AT95CL」
 シャープの 「JD-AT95CL」は、さまざまな特殊詐欺対策機能を持つ電話機です。
着信すると、着信音が鳴る前に「通話が自動録音されている」などの警告メッセージが流れます。
 また、家族など電話番号を登録した人からの着信は緑色のランプが点灯しますが、登録外の番号からかかってきた場合は赤色ランプが光るため、不審な電話かどうかがすぐに判断できます。
 これらの防犯機能はあらかじめ設定されているため、機械の設定に不慣れな方でも安心して使えるでしょう。

パナソニック 「VE-GD27DL」
 パナソニックの「VE-GD27DL」も、さまざまな特殊詐欺対策機能を持つ電話機です。
先述したシャープの 「JD-AT95CL」のような、自動録音や着信前の警告メッセージもあります。
 そのほか、ボイスチェンジ機能も搭載しています。
女性の場合でも、男性のような声に変えることができ、特殊詐欺だけでなく、しつこいセールス電話などにも有効です。
ショッピングサイトでの販売価格が7000円台とリーズナブルな点も見逃せません。
posted by 小だぬき at 13:11 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"加齢を受け入れる、若づくりで闘う"はどっちがいいか…医師・和田秀樹「老いとの向き合い方」の最終結論

"加齢を受け入れる、若づくりで闘う"はどっちがいいか…医師・和田秀樹「老いとの向き合い方」の最終結論
2023年08月25日 PRESIDENT Online

老いとはどのように向き合うべきか。
医師の和田秀樹さんは「外見を若々しくすることは、気持ちまで明るくし、心の老化のスピードを緩める。
『老いと闘うこと』と『老いを受け入れること』は、対立関係にあるのではなく移行するものだ。
闘える間は闘ったほうがいい」という――。
※本稿は、和田秀樹『65歳から始める和田式心の若返り』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

■定年退職は自分の居場所も人間関係も失う最悪な制度
「定年後にうつになる人が多いんだよなぁ」 というのは、精神科医なら誰もがする話です。
もともと、セロトニンの分泌量が低下しているところに、定年退職がきっかけとなって老人性うつを発症する人たちは、非常に多く見られます。
それほど定年制とは、心の健康において最悪の制度です。
まるで理にかなっていない、おかしな制度なのです。

まだ能力があって会社に貢献できる人材でも、65歳、もしくは70歳になると、一律に解雇する会社がいまだに多いのは、年齢による差別制度といえます。
こんな前時代的な制度が、日本という国にはまだあるのです。
「人の心を無用に苦しめる制度なんぞ、なくしてしまえ!」 と、精神科医として日々叫んでいますが、残念ながら、社会はどうにも変わっていきません。

ではなぜ、定年が老人性うつのきっかけになりやすいのでしょうか。
それは、長年、仕事で積み上げてきたものを一日で喪失するからです。
古典的な精神分析の考え方では、うつ病の最大の原因は、「対象喪失」とされています。
愛する対象を失ったときに、人間は心理的に不安定になり、うつ状態に陥ります。
その状態が2週間以上続いたとき、「うつ病」と診断されます。

定年後にうつになる人が多いのは、会社を離れることが対象喪失になるからです。
熱い想いを持って長年勤めてきた会社を去ることになるため、居場所も人間関係も一気に失い、それが心に大きなダメージを与えてしまいます。

一方、現代的な精神分析では、「自己愛喪失」が心の健康に最も悪影響を及ぼす、としています。
自己愛喪失とは、自己愛が満たされないこと、あるいは自己愛を満たしてくれる対象を失うことです。
具体的には、自分の働きを認めてくれる人、自分を尊敬してくれる人、自分の心の支えになる人、自分が同じ仲間と思える人などを失うことが、自己愛喪失になります。
定年退職を迎えると、これらを一気に失うことになります。

このように、定年退職は、対象喪失と自己愛喪失がダブルで押し寄せてくる、心の健康において最悪の状況を生み出しやすいのです。

■65歳を過ぎたら「自分がやりたいことをやる」
ところが、定年退職という最悪な制度も、自分の考え方を変えると、最高の制度に見えてきます。
よく考えてみてください。
定年退職は、それまでの束縛から解放されて、「自由を手に入れる」という最良の機会とも考えられます。
65歳は、老いてきてはいるものの、体力・気力は十分にあり、試せることはたくさんあります。
むしろ、時間的な余裕が増えるぶん、できることも増えていくでしょう。
この先、20年も30年も生きることを考えれば、その数は無限大です。

そこで、65歳以降のご自身に対して、1つルールを設けてはいかがでしょうか。
「65歳を過ぎたら、自分がやりたいことをやる」というルールです。
現役時代は、社会のルールに従って生きてきました。
しかし、現役を引退したのちは、あなたを縛るものはもう何もなく、一人の人間としての自由を謳歌できます。
年齢を重ねてまで、嫌なことをする必要はありません。
取り返しがつかなくなるような大バクチ以外のことなら、なんでも気軽に試してみましょう。
そうすることで、新たな刺激を前頭葉に与えられます。

セロトニンの分泌が減っていく65歳以降は、なんでもやりたいことをするようにしないと、人生を楽しむ意欲など湧いてこないのです。

■老いと「闘える間は闘う」で老化のスピードが落ちる
「老いと闘う派」と「老いを受け入れる派」。
このように世間では、老いに対する考え方が二極化しています。

「努力をすれば、老いは遠ざけられる」といって、アンチエイジング(抗加齢)に勤しむ人がいれば、「年を取ったら、老いるのが当たり前。自然なままに生きていく」と、老いていくことを素直に受け入れている人もいます。
どちらも素敵な考え方で、否定するつもりはありません。
ただ、高年者専門の精神科医としてわかることは、「老いと闘うこと」と「老いを受け入れる」ことは、対立関係にあるのではなく、“移行するもの”だということです。
老いと闘える間は、闘ったほうが老化のスピードを緩められます。
60代はまだまだ、十分に闘える時期です。
この時期に老いと闘わずにいると、年齢以上に老け込んでしまいます。

実際、何もしないでいると、60代でもヨロヨロして転びやすくなったり、顔つきが老人そのものになってきたりします。
ただ、どんなに頑張っても、老いることは止められません。
ある時期が来れば、闘うフェーズ(局面)から受け入れるフェーズへと移行していくことになります。
しかし、歩行がおぼつかなくなっても、認知症になっても、寝たきりになっても、人生が終わりかといえば、そんなことはありません。
そのとき、「老いを素直に受け入れられた」ならば、できなくなったことをあきらめるぶん、今できることが愛(いとお)しく感じられるでしょう。
たとえば、歩けなくても絵は描けます。
寝たきりでも俳句は詠(よ)めます。
やってみたかったけれど、やらずにいたことを、そのときが来たら始めてもよいのです。
そう思えば、「寝たきりになったら、どうしよう」という不安が軽くなりませんか。
そんな穏やかな時期が、生きていればやがて訪れます。
ただ、その時期はなるべく遅くできるに越したことはありません。
そのためにも、老いと闘える間は闘って、老化のスピードを緩やかにするとよいと思います。

■外見を通して心が若がえると、免疫の働きもよくなる
老いと闘うことは、老人性うつの予防にもなります。
それなのに、「若づくりは恥ずかしい」「60歳を過ぎて派手な格好はできない」などと考えていないでしょうか。
外見を若々しくすることは、気持ちまで明るくし、心の老化のスピードにも影響します。
臆することなく、どんどんやっていきましょう。

とくに男性は、見た目の若さにあまり気を遣わない傾向があります。
外見が老人らしくなっていくと、その影響を受けて心も老化し、全身の身体機能も老け込みます。
実際、精神神経免疫学という医学の分野では、外見を通して心が若がえると、免疫の働きも高確率で若がえる、という研究が進んでいます。

ですから、「いい歳をして恥ずかしい」などと、自分を抑えないでください。
美容医療の力を借りて、外見の若がえりを図るのもよい方法です。
シミやシワが1つ消えるだけで、こんなにも心が軽くなるのか! と実感されるでしょう。
髪が薄くなったのなら、植毛やウィッグを試されるのも素敵なことです。

■補聴器や紙オムツをどんどん活用しよう
また、体のさまざまな機能が落ちてきたとき、現代には、それを支えてくれるグッズがたくさんあります。
高年者用のグッズを使う勇気を持ちましょう。
耳が遠くなったら補聴器をつける、足腰が弱ったならば杖つえや歩行器を使う、尿もれが気になるのならば紙オムツをはく。 こうして、文明の利器をどんどん活用すれば、老いた部分をカバーしてもらえるぶん、自由度が増します。
外出して日光に当たれば、セロトニンの分泌が促進されて、老人性うつの予防にもなります。
高年者用グッズは、老いた人生を楽しませてくれる、最高の支援者なのです。

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和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする