2023年09月01日

「政府は赤字が基本?」100人の島に例えて解説

「政府は赤字が基本?」100人の島に例えて解説
日本国が存続する限り、円の価値は消えない
ムギタロー : 経済評論家
2023/08/31 東洋経済オンライン

値上げや増税で経済を圧迫している日本。
結局国の赤字はどれほど問題なのか? 債券の価値って? 知っているようで意外と知らない「お金の働きと仕組み」をわかりやすく説明した『東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった!』著者のムギタロー氏が解説します。

国の赤字はどれくらい「ヤバい」のか?
「日本の借金が○○兆円」とニュースなどでよく見ます。
この借金というのは「債務」のことです。
前回の記事で解説した通り、日本政府は、国債を約1000兆円発行しています。
日銀は約600兆円の「円」を発行していて、国債を約500兆円買い取っています。
国(日本政府+日銀)の資産と債務をざっくり整理すると、以下のようになります。

<国(日本政府+日銀)の合計資産> 国債500兆円分
<国(日本政府+日銀)の合計債務> 国債1000兆円分+通貨発行600兆円分 通貨発行600兆円分が債務として計上されているのに違和感があるかもしれませんが、日本銀行が1万円札を発行すると、日本銀行の債務が1万円分増えることになっています。
日本銀行の公式HPにも「銀行券は……(中略)……現在も負債として計上しています」という記載があります(※負債=債務)。
国(日本政府+日銀)は債務超過していますが、これは問題はありません。
前回の記事で解説した通り、ただ、国による「通貨発行量」を計上しているのと同じことだからです。
世界の主要国政府も債務量を増やしている 以下のグラフは、2001年時点でのその国の債務量を「1」として、債務量がどのくらい変化したかを示すグラフです。事実として、世界中の政府も債務量(≒通貨発行量)を増やしていっています。

(2021年時点では)日本の政治は「政府と日銀を合わせて考えても債務超過している。ヤバい。債務を減らそう! 増税したり支出を減らしたりしよう!」という方向に動いています。
これを前々回と前回の記事で示した西遊記の孫悟空の例え話で言えば、「え、オラとカッパ君を合わせたら、債務が1000億エン分もあるじゃねえか! なんかやべえぞ。無駄遣いをやめよう。
財源が足りない! 増税しよう! もってくれよ国民の身体! 消費税3倍だあぁああ」と騒いでいるような状況になります。

実際は、孫悟空が「強い」限り、債務不履行にはならないのでまったくヤバくはありません。
もしも孫悟空とカッパ君が「エンが足りないから、保育園増やせねえし、保育士の給料上げられない。すまねえ」と言ったら、どうでしょう。

「財源が足りない」という誤解
「いや、エン作ってるの君らなんだから、エンが足りないことはないだろう」と思うのは当然です。
もちろん短期間でとてつもない量のエンを発行したら、島の物価が高騰するなど混乱する危険はあります。
また「保育所を一気にそんなに建てられるほど大工がいない」といった物理的制約もあり得ます。
これらについて心配するのは真っ当なことです。
しかし「エンが足りないから」「オラの債務量が多いのがヤバイから」という理由で、孫悟空が判断を変えるのは、明確に間違いです。
これは意見や考えではなく、単なる事実です。

エンを発行するのはそもそも国ですし、通貨発行すると、国の債務に計上されるため、債務は増えて当たり前だからです。
以上のように、「国は通貨を発行できるので、いろいろとやれること」があります。
でも実際のところ世間は、経済について誤解だらけで、やれることもやらないでいたり、やらなくていいことをやったりしています。

なぜ誤解があるのでしょうか。 原因のひとつに、「日本円」というものを、塩や金属のような「有限な商品貨幣」のようなイメージで捉えている人が多いということがあげられます。
仮にもし、「塩」を税収で集めて、政府が「塩」で支払いをしていた場合、政府の財源は塩の物理的な量に依存するでしょう。
世の中の「塩」の量が増えすぎれば、1人の人間が必要とする塩の量は知れているので、塩の価値は暴落し(急激なインフレ)、限りなく0に近づいていくでしょう。
そこら中に塩が落ちているレベルになれば、塩はお金として機能しなくなるのです。
だから、「塩を増やしすぎるな」「海外から日本の塩に価値を感じてもらえなくなるから」という発想になっても仕方ありません。

しかし、円のような「信用通貨」は違います。
円の量を増やして、物価上昇を進めたところで、「去年は住民税10万円だったけど、今年から30万円」というように、「自由(逮捕されない)の値段」が変わるだけです。

円が増えても価値がゼロになることはない
外国に「日本の産物を買いたい」と思う人がいるかぎり、 「日本のモノを手に入れるには、生産者の日本人に対価を渡さなければならない」 →「日本人は、円に価値を感じるから、円で払ってほしいようだ」 →「誰か、俺のドルを円と交換してくれないか?」 ということになるので、円の需要は消えません。

円とドルの相場は動きますが、日本の産物に魅力があり、国家が存続する限り、日本円の価値がゼロになることはありません。
仮に外国の人が「円そのもの」に価値を感じなくても、日本人にとっては「税金として払えば逮捕されない(=自由)」という価値があるので、円の需要は消えないのです。
よって、「日本が、円を発行しすぎると、インフレが止められなくなるのでは?」という考えは、円を塩のような商品として捉えているために起こる誤解です。
もちろんインフレにはなります。
国が通貨を発行して国を運営する限り、通貨の量が増えていくから当たり前です。

だから緩やかなインフレが良いとされているのです

(※物資の供給不足のときは、インフレし続けることはあります。
飢えた人が100人いるのに、食料が20個しかない状況であれば、通貨を増やしても食料の値段は高騰し続けます。
ジンバブエドルの例などがそれにあたります。
これは物資不足が原因であり、通貨の発行しすぎが直接の原因ではありません。
他にも極端なインフレの例としてギリシャ危機やロシア危機がありますが、これらについても外貨建て債務が原因であり、通貨の発行しすぎが直接の原因ではありません)。
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関東大震災と朝鮮人虐殺 差別意識を克服できたか

記者の目
関東大震災と朝鮮人虐殺 差別意識を克服できたか
島袋太輔(東京社会部)
2023.9.1 毎日新聞東京朝刊

 私たちの社会は、おぞましい虐殺の根底に横たわる差別意識を克服できているのだろうか。
10万人超の死者・行方不明者が出た関東大震災が、1923年9月1日の発生から100年を迎えた。
犠牲者は建物の倒壊や火災旋風に巻き込まれただけではない。
朝鮮人による武装蜂起や放火が起こるとの流言を引き金に、自警団に命を奪われた人もいる。
だが、残念ながら各地で起きた虐殺は、全容が解明されることなく、歴史に埋もれそうだと言わざるを得ない。

思い込みからか 沖縄県人も被害
 虐殺の全体像に関する公的な記録は残っていない。
内閣府中央防災会議の報告書(2009年)は、震災における死者・行方不明者全体の1〜数%が虐殺されたと推計した。
朝鮮人虐殺とも呼ばれるが、朝鮮人と疑われるなどして殺された日本人も100人超に上るという。

 教科書に載る歴史上の出来事をどう取材するか。
私は春先から、当時の新聞など資料を読みあさった。
関心を抱いた事件の一つが、「沖縄県人」の肩書とともに記された人を含む男性3人が命を落とした「検見川事件」だ。

 1923年11月27日の東京日日新聞(毎日新聞の前身)は、自警団の関係者たちの刑事裁判について報じた。
記事によると、同年9月5日、千葉県検見川町(現在の千葉市花見川区)の自警団が東京から避難してきた3人を日本刀や竹やりで殺害したとされる。
 出身地の沖縄にまつわる歴史的な出来事を自費出版などを通して記録している東京都葛飾区の島袋和幸さん(75)によると、3人は朝鮮人の襲来を警戒していた自警団に捕まった。
警察官は3人が朝鮮人ではないと判断したが、駐在所は群衆で混乱し、自警団が虐殺に及んだという。
 島袋さんは、沖縄出身の男性が殺された理由について「ウチナーンチュ(沖縄の人)はなまりがあるから、朝鮮人と思い込まれたのでは」と推測する。
残る2人は秋田、三重両県の出身だ。
2人もなまりを理由に殺されたとみる。

 似たような話は他にもある。
震災当時、上京していた沖縄出身の歴史学者、比嘉春潮(しゅんちょう)(1883〜1977年)の著作によると、比嘉は「朝鮮人だろう」「言葉が少し違う」と詰問されるなどした。
虐殺を免れたのは警察官の知人がいたからだ。
 虐殺された日本人は新聞でフルネームが掲載される一方、朝鮮人は「氏名不詳」とされるのが大半だった。
公的機関から連絡があったとは考えづらく、朝鮮人は大切な人の死を知るのは難しかっただろう。

一方で沖縄の男性の場合、なぜか新聞各紙で名前の表記が異なっていた。
日本人でもその死を遺族が気づけたかどうかは分からない。
 私が検見川事件に関心を持ったのは、殺された男性と同じく沖縄で生まれ育ったからだ。
大学に進んで沖縄を出た私は「内地で差別されていないか」と祖母(91)に心配された。
戦争の前後に出稼ぎで県外に行った人の多くが、飲食店で「沖縄出身者はお断り」の張り紙を目にするなど、つらい経験をしたからだ。

繰り返さないため教訓の共有が重要
 朝鮮人だから武装蜂起をしようとしている、知らない言葉を使うから、発音が滑らかでないから朝鮮人に違いない――。
こんな思い込みは、どれも差別意識の産物に他ならない。
試しに朝鮮人を日本人に置き換え、自分が海外にいると想像すればよく分かる。
 幸いにも私は出身地を理由に差別された経験がない。
でも、差別意識がうかがえる出来事は今も散見される。

沖縄では16年10月、米軍施設工事に反対する市民を機動隊員が「土人」という言葉で侮蔑した。
在日コリアンが集住する京都府宇治市のウトロ地区で起きた21年8月の放火事件を巡り、京都地裁判決(22年8月)は「偏見や嫌悪感に基づく、独善的かつ身勝手な犯行」と指摘した。

 こうした状況を踏まえ、島袋さんは「(隣人への)無関心が行き着く先は差別だ。(虐殺の)教訓を学ばないから差別は繰り返されるのではないか」と危機感を募らせる。
 虐殺の聞き取り調査に取り組む市民団体によると、当時を知る住民からは証言を拒まれることが多いという。
不都合な記憶について加害者の多くが口をつぐみ、周囲に語っていないことは想像に難くない。
被害者の遺族は、身内が虐殺に遭ったと特定できていない可能性もある。

 負の歴史を直視して実態を解明し、同じことを二度と起こさないように教訓を共有する――。
私たちは節目の時を迎えるにあたり、そんな機運を高められたのか。
非業の死を遂げた犠牲者を追悼する人もいるが、社会の大多数が同じ立場だとは言い切れない。
記者としてできることを考えたい。
posted by 小だぬき at 10:19 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

氷で冷やすのはNG? 消防局が教えるやけどの対処法に「知らなかった」

氷で冷やすのはNG? 
消防局が教えるやけどの対処法に「知らなかった」
2023.9.10 views

子供の事故で上位3つに入るほど多いのが、『やけど』。
シャワーの設定温度が高すぎたり、ラーメンや味噌汁などの熱い食べものをこぼしたり、日常のさまざまなシーンで子供のやけどが発生しています。

そういった場面にいざ遭遇すると、「どうしたらいいのだろう」と焦ってしまい、誤った対処でかえって悪化させてしまうことも。
兵庫県尼崎市にある、尼崎市消防局のInstagramアカウントが紹介する対処法を学べば、急なピンチから子供を守ることができるかもしれません。

子供のやけどの対処法
尼崎市消防局は、子供のやけどの対処法を4つ紹介しています。

まず1つ目は、水道の流水で痛みが和らぐまで、10〜20分冷やしてあげること。

2つ目が、氷や氷水で冷却しないことです。
熱いものに触ってしまった後は、とにかく冷たいもので冷やしたくなりますが、急な冷却はかえって悪化させてしまう可能性があるとのこと。 常温の水道水で冷やすようにしましょう。

3つ目に紹介したのは、水ぶくれは触らずにそのままにしておくこと。
水ぶくれには、傷口を保護する効果があるため、むやみに触ったりつぶしたりせず、そっとしておくのがよいでしょう。

最後に4つ目は、服が燃えて皮膚にくっ付いてしまった場合は、服を脱がさずに流水で冷やすこと。

尼崎市消防局によると、これらの応急処置をしておけば、悪化することはないといいます。
続けて、どうしようもない時には、119番通報をしてほしいと呼びかけました。

 [文・構成/grape編集部]
posted by 小だぬき at 16:13 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月02日

海外記者が見た「日本のジャニーズ報道の異常さ」

海外記者が見た「日本のジャニーズ報道の異常さ」
「弱きを挫き、強きを助ける」歪みまくった構造
レジス・アルノー :
『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員
2023.9.1 東洋経済オンライン

温泉のお湯を6カ月間入れ替えなかったことと、50年間何百人もの子どもたちを触ったり、口腔性交したり、肛門性交を強要すること、どちらが重大な罪だろうか。
日本のメディアにとって答えは明白のようだ。
日本のテレビ局の幹部らは、今すぐ自分の名刺にこう刷るべきだろう。
「弱きを挫き、強きを助ける」。
テレビ局に対して長きにわたって娯楽を提供してきたジャニー喜多川という男が、世界最悪級の連続児童性加害者の1人であったということに対して、日本のジャーナリズムはことごとく「無力」だった。
人的、財務的、物質的資源が豊富にあるにもかかわらず。 バックのない弱いものばかり過剰に報道する 海外のテレビ局が日本のテレビ局についてつねに驚くのは、日本の同業者がヘリコプターを惜しげもなく使うことだ。

東京都庁前での50人規模の東京オリンピックに対する反対デモや、各大臣の靖国神社参拝、カルロス・ゴーンの釈放などを撮影するためにヘリコプターを使う。
だが、ジャニー喜多川の被害者には金を使って取材をしようともしない。
昨年、福岡の温泉経営者である山田真は、半年間ホテルのお湯を入れ替えず、温泉の衛生記録を改ざんしていたとして摘発された。
テレビカメラは、まるで彼が麻薬組織のリーダーであるかのように、段ボール箱の撤去を伴う警察の家宅捜索を取材した。
この国民的嫌がらせ(コクハラと言っていい)、緩慢な大衆リンチは、山田が自ら命を絶った時ようやく収まった。

すぐさま、メディアは次のターゲットを見つけた。
それは、寿司をなめる自分の姿を愚かにも撮影したティーンエイジャーだ。
メディアは彼を赤軍の一員であるかのように「寿司テロリスト」とのレッテルを貼った。
次のターゲットは誰だろう?
仕事中に同僚の運転手に「こんにちは」と言ったバスの運転手? 鼻に指を突っ込んだ少年? いずれにせよ、次なるジャニー喜多川や、統一教会の創始者、文鮮明ではないだろう。

メディアは不倫をした有名人を容赦なく攻撃する。
それなのに、有名人が何百人もの子どもに対して性加害したことはスルーするのか。
発展途上国においては報道の自由が保障されていなかったり報道の質が高くなかったりするために、自国の出来事を理解するために先進国のメディアに頼らざるを得ないことが多い。
これと同じことが日本でも起きた。

3月にイギリスのBBCのドキュメンタリー番組で日本語を話せないイギリス人ジャーナリストがジャニー喜多川の行為を暴露したことで、多くの人がようやく実態を把握し、目を背けることができなくなったのだ。

報告書が「解明しなかったこと」
今回、林眞琴氏率いるジャニーズの再発防止特別チームが、報告書でジャニー喜多川の60年にわたる性加害の実態を最も生々しい形で暴露したことは評価されるべきである。
下は8歳から14、15歳の少年たちが触られたり、肛門性交を促されたりしたことは地獄の旅としか言いようがない。
だが、報告書では”喜多川システム”が完全に解明されることはなかった。

つまり、誰が彼に少年たちを提供したのか?
誰が被害者を黙らせたのか? 誰が? 誰が?
メディア業界でこのことを知っていて、しかも、報じずに無視したのは誰なのか?
子どもたちの魂が殺され、夢が打ち砕かれたにもかかわらず、国民全体が見て見ぬふりをできたのはなぜか?
こうした疑問は未解決のままである。

今回の報告書は、イギリスの連続性犯罪者ジミー・サヴィルを想起させる。
サヴィルは、喜多川とほぼ同時期に何百人もの人々に性的暴行を加えた人気司会者である。
2022年の『ガーディアン』紙の記事で、元BBC記者のマーク・ローソンは、サヴィルの疑惑に対してイギリスのメディアと権力が消極的だったことを認めている。
「本当の物語は、彼の被害者たち、そしてBBC、保健省、保守党、カトリック教会、警察、地方議会、名誉毀損法がいかに被害者らを失望させたかである。
(中略)政治、王室、放送、教会、医療、慈善など、イギリスの体制がまばゆいばかりの盾を提供した怪物だったのだ」。
同じことが、今日の日本のメディアや社会全体にも言える。

23年前にNYTが報道してた不都合な真実
日本でも以前から勇気を持ってジャニー喜多川の行為の暴露を試みた人や、メディアがあった。
『週刊文春』は、雑誌の評判と財務を危険にさらして喜多川の行為を報じ続けた。
この時、文春の報道や、日本のメディアの姿勢について報じているのがアメリカのニューヨーク・タイムズ紙だ。
同紙は2000年1月30日付の記事で、文春の報道にもかかわらず、日本のメディアが同件を扱っていない理由を報じている。同記事では日本の芸能記者が、「ジャニーズ事務所に従わないと、ジャニーズの人気タレントを番組に出させてもらえず、バラエティ番組の視聴率が下がる」「出版社も同じだ」と語っている。
また、同記事ではニューヨーク・タイムズ紙の記者が、文春の記者帯同のもと、被害を訴える1人のほか、喜多川の弁護士、矢田次男にも取材(ジャニー喜多川にも取材依頼をしたが断られている)。
この時矢田は、依頼人に対する性的虐待疑惑は「完全なでっち上げ」であり、「ジャニー喜多川氏は素晴らしい評判を持つ善良な人物であり、誰も掲載された嘘を信じていない」と語っている。

今回、改めて矢田に報告書についてコメントを求めたところ、「(コメント)できない」と回答。
ニューヨーク・タイムズ紙による取材は覚えていないが、「当時そう答えたならそう考えていた」とするが、現在については「答えられない」と話した。
ニューヨーク・タイムズ紙は同年4月1日に、自民党の阪上善秀議員(当時)が、「少年問題に関する特別委員会」で喜多川に関する性的虐待に対して厚生労働省などに意見を求めたことを報じている。
同紙によれば、阪上議員が「児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではないか」と質問したのに対して、厚労省の担当者は「性的な行為を強要した人物がこの手引き(「子ども虐待対応の手引き」)に言う親または親にかわる保護者などに該当するわけではないので、手引で言うところの児童虐待には当たらないというふうに考えている」と回答している。

ニューヨーク・タイムズ紙は阪上議員が本件を取り上げたことについて「主要メディアがこの特別委員会や調査について取り上げるか定かでない中でのギャンブル」と書いている。
「この委員会がメディアで取り上げられることは、小渕首相(当時)の心臓麻痺よりショッキングなことだろう」。

サヴィル死後に報告書が出された理由
サヴィルの場合、彼の死後に疑惑が浮上すると、イギリスメディアは複数のドキュメンタリー番組を制作した。
BBCは現在、彼のドラマシリーズを準備中である。
当局の対応については、ロンドン警視庁(MPS)が小児性愛者や重大犯罪捜査の経験を持つ警官30人を動員し、児童保護チャリティーの大手NSPCC(全英児童虐待防止協会)と連携して、独立した透明性の高い報告書を発表した。
「当然のことながら、ジミー・サヴィルが死んだ以上、彼に対する刑事訴追は不可能であり、被害者の証言は法廷で争うことができないという問題が提起されている。
しかし、MPSとNSPCCが、我々の共同報告書に含まれる情報を公開すべきだという見解を示したのは、このような刑事訴訟の欠如、そして被害者のための正義の欠如のためである」と報告書は述べている。

報告書はサヴィルが単独で犯した犯罪、サヴィルの周囲の人々が関与した犯罪、サヴィルに関する公表の結果、名乗り出た人々への犯罪という3つの柱に焦点を当てた。
「最も早く報告された事件は1955年のマンチェスターで、最後に報告された犯罪は2009年である(中略)。
名乗り出た被害者の年齢層は、8歳から47歳(虐待当時)」と報告書は記している。600人が名乗り出た。

一方、今回再発防止特別チームの報告書がヒアリングをしたのは23人だけだった。
そもそも、ジャニーズ事務所が調査員を人選しているような組織をどれだけ信用できるのだろうか。
同組織は藤島ジュリー社長にジャニーズの代表を辞任するよう勧告したが、100%株主である同氏がこのまま辞任したとて、同じような権力構造は残るだろう。
日本のメディアはイギリスのメディアのように責任を取らない。

テレビ局はChatGPTを使って声明を書いているのだろうか?
 報告書が出された翌日、各局は同時に同じような薄い水割りのような空文を発表した。
よく「日本のBBC 」と表現されるNHKはこう書いている。
「『人権、人格を尊重する放送を行うこと』を定めており、性暴力について、『決して許されるものではない』という毅然とした態度でこれまで臨んできたところであり、今後もその姿勢にいささかの変更もありません」。
では、5冊の著書、国会傍聴、そして文春の度重なる報道にもかかわらず、なぜジャニー喜多川の破滅的な性犯罪をもっと取り上げないのだろうか?
一方、テレビ朝日はこう書いている。「テレビ朝日グループでは従前より、人権尊重を明確に掲げて事業活動を行っておりますが、調査報告書に盛り込まれたマスメディアに対する指摘を重く受け止め、今後ともかかる取り組みを真撃に続けてまいります」。
現在、テレビ朝日では毎週土曜日午後4時から、子を持つ親なら誰もが戦慄する『裸の少年』というタイトルの番組を放映している。
テレビ局はすっかり鈍感になってしまったのだろうか?
子どもたちが目の前で性的虐待をされないと行動を起こさないのだろうか?
この国には親はいないのか?

23年前から何1つ変わっていない
「私を含むマスメディアが、特に最初に本が出た時、被害者の訴えについてかなり前からきちんと調査をしていれば、他の少年が性的被害に遭うことを避けられたかもしれない」と、2000年にニューヨーク・タイムズ紙にコメントしている前述の芸能記者は語っている。
今から23年の前ことである。
今に至っても薄っぺらな反応しか示さないことで、日本のテレビ局はジャニー喜多川のような人物を守る沈黙の陰謀に加担しているのだ。
ここでメディアが変われない限り、日本の芸能界が、彼のような怪物にとって理想的な遊び場であり続けることは間違いない。
              (敬称略)
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福山雅治さんも交通取り締まりに「異議」…違反する前に警察官が注意しないワケ

福山雅治さんも交通取り締まりに「異議」…
違反する前に警察官が注意しないワケ
9/1(金) ドライバーWEB

■違反する前になぜ注意しない?
「福山雅治、交通違反取締りに異議『どうして途中で止めてくれなかったんですか』共感の声が続々!」と、なんとも私向けな記事が8月29日、「おとなカワイイWebマガジン COCONUTS」というサイトに。
読ませてもらった。そこに、こんな部分があった。

◆◆◆◆◆
一時停止や矢印信号などの違反は、あらかじめ警察官が柱の陰から見張っているケースも多いもの。
福山さんは「見てるわけだから。曲がり切る前に注意すれば、注意で済むじゃないですか。
でも、曲がり切って、出てくるでしょ?」「どうして途中で止めてくれなかったんですか?」と、警察官に異議申し立てすると言います。
◆◆◆◆◆
同様に思う方は、ほんと多いようだ。
じつは私も昔、同じことを思い、かつその疑問を警察官にずばりぶつけたことがある。

裏通りで交通量が少なく、30mかそこらだけが一方通行のところを、私はバイクでゆっくり逆走。
待ち伏せていた若い警察官に止められた。
私は言った。

今井 
「入り口で立ってればいいのに」 すると警察官は答えた。

警察官
「(入り口に立っていると)誰も違反しないから」

「うわお!」と私は思った。正直な若者だ。
警察官は「しまったことを言ったなあ」と気づいたようで、しばし黙った。

今井 
「で、どうするの、切符、切るの切らないの?」

警察官
「う〜ん…」

なんだか可哀想になり、私はこんなことを言った。

今井 
「じゃあね、あなたがいいと思うようにやりなさいよ」

警察官
「じゃ、切符、切ります」

切るんかーい。って切るでしょ普通。
切符を切るために、隠れて待ち伏せていたんだから。
違反切符のサイン欄(事件原票の供述書甲の欄)に「私が上記違反をしたことは相違ありません。事情は次のとおりであります」と小さな不動文字がある。
そこに私は、不服を書いてからサインした。
警察官はサイン欄を呆然と見てから、あたふたと去った。
その後、私は検察官により不起訴とされた。

交通取り締まりの警察官は、なぜ隠れて待ち伏せるのか。
「運転者の皆さんの普段の運転を見ているのです。警察官がいるから違反しない、いなければ違反する、ということでは困ります」などと警察は言う。なるほど、確かに。

■具体的に危険かどうかは関係ない?
しかし、約40年間にわたり交通違反・取り締まりを取材・研究してきたところからは、要するにこういうことかと思える。

1、交通の安全と円滑、交通事故(以下、事故)防止のために道路交通法(以下、道交法)はある。
2、道交法を守れば事故は起こらない。守らないから事故が起こる。
3、事故を防ぐには違反を取り締まるべし。 この論法がまずがっちりある。さらにこういう考え方がある。
4、道交法違反は抽象的危険犯である。 要するに、「危険防止のため定めた道交法に違反する行為はすなわち危険なのである。具体的に危険かどうかは関係ない」という考え方だ。
これは刑事裁判の法廷で裁判官も言っていた。

そして、警察の側にこんな事情があるのだ。

5、現場の警察官は実績を上げなければならない。現場の実績は上司の実績にもなる。
6、実績は数字で計る。努力目標の数字を達成すべく頑張る。 この「数字」は、件数のこともあるし、点数のこともある。たとえば、青切符の違反よりも、酒気帯びなど赤切符の違反のほうが点数は断然高いとか。2人で協力して取り締まったなら点数を半分ずつ分けるとか。 交番勤務のある警察官は、職務質問が得意で、窃盗や覚醒罪の犯人をときどき検挙する。そっちの点数がどかんと高いもんだから、しょぼい交通取り締まりなんかぜんぜんしない、なんて話も聞こえてきたりする。

逆に、「実績低調者」は肩身が狭いという。
「お前は無能者か! 違反を1本取るまで戻ってくんな!」とか怒鳴られたりするそうだ。

■違反者の署名押印を取れないと、警察官は嫌がる
さあ、そんな組織にいて、あなたならどうします? 

具体的な危険性などない違反を、多くの運転者がつい犯しそうな場所で、姿を隠して待ち伏せる、そうなってしまうんじゃないですかね。

  職務質問が苦手で、しょぼい待ち伏せ取り締まりでこつこつ実績を稼ごうとする、そんな警察官にとって嫌なのは、運転者が反則金を払わず争うことだと聞く。
反則金が不納付だと、刑事手続きへ移行し、検察へ送致(いわゆる書類送検)することになる。
その書類の作成がめんどうなのだそうだ。
上司から「お前が取り締まったのは否認ばっかだな。どうなってんだ!」と叱られたりもするだろう。

元警察官氏からこんな話を聞いたことがある。
「違反切符に違反者の署名押印を取れないと、否認事件の扱いになる。それが嫌だから、まず署名押印を求める。
拒む違反者はさっさと行かせる。
途中まで作成した違反切符は、次の違反者に使う、なんて奴もいるんです(笑)」
でも、そういう「奴」は少数派らしい。

署名押印を拒みさえすれば逃れられる、というものではないと思いますよ。
警察庁のデータによれば、反則金の納付率は毎年100%に近い。
2020年は98.4%だ。取り締まりに対し「ずるい、汚い」と文句を言う人、疑問を持つ人はけっこういるが、ほぼすべての人が反則金を納付する、警察官は手間をかけずに実績を上げられる、そうしたこともちらっと考えてみてもいいんじゃないでしょうか。

文=今井亮一 肩書きは交通ジャーナリスト。
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自衛隊の戦場医療認識に欠けている第一線での救命の取り組み。正しい処置ができていれば防ぎ得た死をできるだけ減らそうという世界的潮流に遅れをとるワケ

自衛隊の戦場医療認識に欠けている第一線での救命の取り組み。正しい処置ができていれば防ぎ得た死をできるだけ減らそうという世界的潮流に遅れをとるワケ
9/1(金)  集英社オンライン

『「自衛隊医療」現場の真実』
日本では予測することが難しい自然災害に加えて、紛争やテロのように「人が発生させる危機」による平時医療体制の破綻にも備えなければならなくなってきている。
しかし有事医療体制に関する自衛隊の認識は世界的なスタンダードから程遠いというが、問題はどこにあるのか。
『「自衛隊医療」現場の真実 - 今のままでは「助けられる命」を救えない -』(ワニ・プラス)より、一部抜粋・再構成してお届けする。

「世界で最も安全な国」の医療が破綻する時
平時の日本は世界で最も安全な国であり、世界中で好印象を持たれている国でもある。
救急医療についても、119番通報の覚知から救急車が現場に到着するまでに「平均7分程度」であるように、その体制が整えられた国のひとつに数えられる。
しかし現在、私たちが享受している救急医療体制はあくまでも「平時」ゆえに機能しているものであり、「有事」となれば脆くも破綻してしまう危機が発生する。
しかも「有事」に至る蓋然性が意外にも高いこともまた、日本の特徴と言える。

これまで「災害大国・日本」と呼ばれるように、平時医療体制が破綻する「有事」に至る要因の最たるものは、自然災害だった。
今もその優先度は変わらないが、台湾有事に関連した日本の南西諸島方面での衝突や、全国の在日米軍基地へのテロの危険性も考慮せざるを得なくなっている。
こうした危険性が、安全保障や危機管理の専門家だけでなく一般の人々にとっても「他人事ではない」と感じられるようになった要因のひとつには、2022年2月24日から始まった、ロシアによるウクライナへの侵攻が挙げられる。
そしてもうひとつが、同年7月8日に発生した、安倍元総理銃撃事件だ。

「個人的な恨みであって、テロではない」という解説もあるが、本来、警護担当者によって安全が確保されているはずの要人が、日本では想定外の銃撃を受けたことは、国内外に大きな衝撃を与えた。
つまり、これからの日本は、予測することが難しい自然災害に加えて、紛争やテロのように「人が発生させる危機」による平時医療体制の破綻にも備えなければならなくなった。

実は日本でも、安倍元総理の銃撃やロシアによるウクライナ侵攻前から、「一般人が有事に巻き込まれ、複数の傷病者が発生し、通常医療が破綻する」ケースは想定されてきた。
例えばメディアでは、当初2020年に予定されていた東京五輪(実際はコロナの影響で1年延期となり、2021年に開催)に向けたテロ対策として、厚生労働省が爆発物や銃器、刃物による外傷治療に対応できる外科医養成に乗り出すことが報じられていた。
テロが世界で多発する中、日本国内ではこうした外傷治療の経験がある医師は限られているため、不測の事態に備えるのが狙いだ。
銃創や爆傷に対して行う手術は、通常の外科手術とは別の専門性が必要とされる。
特にテロ発生現場では患者の容態が不安定なことが多く、術前に十分な検査をする余裕がないまま、メスを入れて初めて損傷した臓器がわかるような緊急手術が大半だ。
執刀医には、速やかに適切な手術法を選び、あらゆる臓器損傷に対応できるだけの技量が求められる。

平時医療体制が破綻するいずれのケースも、医師が最大の治療能力を発揮できるような体制づくりが重要であることは共通しており、そのための戦術を持たなければならない。
「手術」も「作戦」も英語では同じく「operation」と表現する。
それらを効率よく実行するための「tactics」(戦術、戦法)が重要で、今の日本はここが決定的に欠けている。

自衛隊に欠けている「戦傷医学」の戦術
特に自衛隊がTCCC(米陸軍旅団戦闘傷病者救護後送指針)について認識を誤っていることが致命的だ。
TCCC(ティートリプルシー)とはTactical Combat Casualty Careの頭文字を取ったもので、日本では「戦術的戦傷救護」や「戦術的第一線救護」と言われるが、どちらも誤認である。

1996年に米軍が始めた第一線の救命の取り組みで、「戦闘による死者の90%は、治療施設に到着する前の戦場で亡くなっている」こと、さらに「大動脈の損傷によって起こる大量出血は、通常は非常に性急で、おびただしいため、負傷者は助けが来る前に亡くなってしまう」ことを踏まえ、大量出血を負傷から短時間のうちに防ぐことで、死者を大幅に減らすことができることから始まり、世界的なスタンダードになりつつある。

現代の戦闘外傷では同時に手足を2本、3本失うもので、1人の治療には交通事故による外傷治療の2倍、3倍もの医療従事者が必要となることがあるからだ。
しかも戦傷病者は同時多発する一方で、現地のインフラは破壊されるなど機能不足に陥っている。
そこで、軍隊では作戦地域では戦闘傷病者の決定的治療は行わず、生命または機能維持のための処置だけを行い、治療能力を有する後方地域へと引き継ぐSOP(Standard Operating Procedure=作戦実施規定)が定められる。
NATO軍も採用している米軍のTCCCは国際標準となった。

Tactical:軍事用語では作戦基本単位、機能集合体による戦闘及びその部隊、2023年現在の米陸軍では「旅団」を意味する Combat(戦闘):軍事用語ではTacticalは「作戦単位」を指すため「戦闘」を表現するためには「Combat」を用いる。例としてCAT(Combat Application Tourniquet=戦闘時に適用する救命止血帯)がよく知られる。

Casualty(傷病者):医師の診察を受ける前の人を意味する。診察を受け、医師の治療の管理下にある人は「患者(Patient)」だ。
Care(処置):医師以外が行う救護や治療に繋げるために施されるものである。
医師が行うものは「Treatment(治療)」である。

台湾有事となれば、日本国内の病院を中継することもあるが… TCCCとは、平時の医療では現場から救急病院に直行して決定的治療を施すことに対して、戦場では治療をせず、救命または機能維持のための処置にとどめ、必要最少の応急治療によって設備の整った病院治療を受けられるまでの間を中継するための取り決めだ。
図2-3「TECCとTCCCの地域的概念図」にあるとおり、テロや戦闘が局地的であり医療インフラが機能している場合は、上半分のTECC(テックシー)が適用される。
武力侵攻を受けている状態であれば下半分のTCCCの適用となる。 TCCCには図2-4「米軍の治療・後送体制」にあるとおり、Role1から4の段階があり(Roleについては第四章で詳述)、イラク・アフガニスタンの戦闘では決定的治療はドイツで行われ、制服を着て帰国できる状態になるまで治療を受けてから、ワシントンDC近郊にある、日本で言えば防衛医大と自衛隊中央病院を合わせたようなWalter Reed Army Medical Centerにて専門的な高度医療を受けることになっていた。

台湾有事となれば、ハワイに送られることになるが、ベトナム戦争時のように日本国内の病院を中継することもあるだろう。 逆に言えば、こうした対策が徹底されなければ戦死者は増える。
正しい処置ができていれば防ぎ得た死を、できるだけ減らそうというのが世界的潮流なのだ。
だが自衛隊の戦場医療には、こうした観点が欠けている。
「戦術、戦法」を組み立てるためには「諸元」、つまり目安が必要となり、時間的目安は特に重要なのだが、考慮されているとは言い難い状況にある。 文/照井資規

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照井資規(てるい もとき)
軍事・有事医療ジャーナリスト
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2023年09月03日

防災に役立つ"9つの日用品"

防災に役立つ"9つの日用品"
2023年09月02日 PRESIDENT Online

災害に備えるためには何をすればいいのか。
災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは「わざわざ防災用品を買う必要はない。
大事なのは『いつ、何が起きてもおかしくない』という考え方をベースに持ち、日々の暮らしの中で防災を意識することだ」という――。(第1回)
※本稿は、和田隆昌『今日から始める生活防災』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです

■「防災袋を買ったから安心」ではない
NTTドコモが2020年6月に行なった「防災対策に対する意識調査」で、「防災対策はしていない」および「防災対策をどちらかというとしていない」と回答した人の割合は、65.3%にのぼりました。
とはいえ災害に備えて、防災グッズや食料・水の備蓄をしている方も多いことと思います。
しかし、防災袋が押し入れの奥にしまい込まれていたり、非常用食料の賞味期限が切れていたりしてはいませんか? 
「防災用品」として売られている専用の商品は割高なモノが多いのに、もったいないですよね。
それに防災用品を買っただけで安心して、「私は災害に備えている」という気になってしまうことも否定できません。

災害はいつ襲ってくるかわかりません。
そこが一番怖いところなのです。
ですから、毎日歯を磨くように、顔を洗うように、常に頭の片隅で防災についての意識を保っておくことが大事です。
なにも戦時下の国の人たちのように、毎日怯えて暮らせというわけではありません。
家の中の通路に避難時に障害となるモノが置かれていないか、ドアや窓はスムーズに開閉できるかなど、あたり前の住まいの点検をしておくことがいざというときの生死を分けるのです。
それは防災だけではなく、日々快適な生活を送ることにも直結しています。

■防災用品を用意するより大事なこと
コロナ禍の間に手洗いやうがいが習慣化して、沈静化したといわれる現在でも継続している方、個人の裁量に任されたけれども人込みや店舗ではマスクを着用する方が大勢いらっしゃいます。
これは3年にも及んだコロナ禍で習慣化されたからに他なりません。
防災も同様に習慣化することが何より重要です。

災害から大事な生命と財産を守れるか否かのすべては、個人の心構えにかかっているのです。
災害に見舞われたとき、「なぜ、こんな時間に!」「どうして私が住む地域に!」などと驚いたり、あわてていても始まりません。
「いつ、何が起きてもおかしくない」という考え方をベースに持ち、日々の暮らしの中で防災を意識していただきたいと思います。

自動車の教習所や免許センターでは「だろう運転」「かもしれない運転」ということを、教えています。
「だろう運転」とは、「この交差点を急に曲がっても大丈夫だろう」などという根拠のない予測に基づいた運転で、
「かもしれない運転」とは「もしかしたら子どもが飛び出してくるかもしれない」など、あらゆる可能性を想定した安全な運転のことです。
この「かもしれない運転」の意識をぜひ防災に関しても持っていただきたい。それが「生活防災」の基本です。

そして、「防災用品をわざわざ用意する」のではなく、いざというときのために「普段使うものを防災に役立つかどうかという観点を入れて選ぶ」というのが、「生活防災」のために重要な点です。
では具体的な「生活防災」の方法についてご説明していきましょう。

■防災グッズになる9つの日用品
「生活防災」で何より重要なのは、先にお話ししましたが、「いざというときの備えの防災用品」ではなく「日常的に使うモノを防災グッズにしておくこと」です。
その代表的な例をご紹介しましょう。

◎新聞紙
溜まるとかさばるので、つい処分してしまいがちな新聞紙。
新聞紙はさまざまな用途に利用できます。
燃料がないときの焚きつけに使うほか、加工してコップや食器、避難所で使うスリッパを作ることもできます。
その方法はネット上で数多く紹介されています。
衣服の間に入れれば保温効果もあり、細長く丸めれば骨折時の副え木になるなど大活躍します。
最近では新聞をとっていないご家庭も増えてきていますので、チラシや雑誌などを一定量保管しておくのもお勧めです。

◎ダンボール
自宅で避難生活をしている場合に、割れたガラス窓の一時的な補修、家財の整理や持ち出しの際など、多くの用途に使えます。
また、災害発生時に自宅を離れ、避難所へ移動しなければならない場合にも、隣の家族との間のパーテーションとして使用したり、簡易ベッドを作ったりなど、ダンボールは非常に役立ちます。
敷物として使えば断熱効果も高く、ある程度のクッション性もあるため、学校の体育館など避難所の硬い床でも体を休めることができます。
トイレが使用できないような状況では、ダンボール箱を座りやすいように加工して、ビニール袋をかぶせて簡易トイレを作ることもできます。
ダンボールや新聞紙などは余裕のあるときにすぐ持ち出せるよう、一定の量を玄関近くに保管しておくことをお勧めします。

■防寒にもなるアルミホイル

◎ガムテープ
ガムテープはダンボールを活用するときの必需品です
壊れた家屋の一時的な修繕などにも利用できます。
割れたガラスの破片を取るときにも活躍しますし、ケガをしたときの簡易的な止血や骨折時の副え木を固定するときにも使えます。
また、避難所で持ち物の名札や伝言用メモなどをいろいろな場所に貼りつけるのにも便利です。
油性ペンで書きやすい布製のガムテープを用意しておくのがいいでしょう。
そしてガムテープとペンは一緒に保管しておきましょう

◎ラップ
ラップは新聞紙などで作った食器に巻けば、食後にそのまま捨てることもできるので、水の節約になります。
ケガをしたときに患部に巻いたり、食料の保存、細くねじってひものようにしたりするなど、多くの用途で活用できます。

◎アルミホイル
アルミホイルはフライパンに敷いて調理してそのまま捨てれば、洗剤もいらず、片づけも簡単です。
アルミホイル自体を加工して調理器具にすることもできます。
丸めて、たわし代わりに調理器具の汚れ落としに使うこともできます。
寒冷期の被災時に、断熱効果が高いアルミホイルを服の間に入れたり、二重にした靴下のつま先に入れたりして防寒することも可能です。

■簡易トイレにもなるビニール袋

◎レジ袋
スーパーやコンビニでもらうレジ袋は2020年から有料化されましたが、少量でもストックしておきましょう。
避難所で私物を分類・収納するだけではなく、腕をケガしたときに三角巾代わりにしたり、自宅のトイレが使えなくなったときに、取っ手の部分を便座のU字部分に引っかければ簡易トイレとして使用することができます。

◎カセットコンロ
鍋料理などに使うカセットコンロは、災害時に電気やガスのライフラインが止まったときに大活躍してくれます。
カセットガスボンベ(CB缶)の保管期間は約7年とされていますので、毎年1、2本を消費するように心がけてカセットコンロを使い、新しいボンベを補充するようにしましょう。

◎家族人数分のカトラリー
被災時でも食事は健康と体力を保つために欠かせません。
キッチンが被害を受けたときに備えて、普段使っているお箸やスプーン、フォークなどの予備を家族の人数分セットにして、防災袋などに入れておきましょう。
避難所などで必ず役立ちます。

◎衛生用品
旅行用の歯ブラシ、タオルなどと合わせてマスクや除菌用ウェットティッシュなどを防災袋にまとめておきましょう。
コロナ禍が落ち着いても避難所の衛生状態は悪く、感染症はすぐに蔓延します。

次に「生活防災」の備蓄についてお話ししましょう。
これらも「いざというときのため」ではなく、毎日の生活で使うものです。

■もっとも備蓄すべきもの

@水
備蓄の優先順位の第一は「水」です。
水道が止まると日常生活が営めなくなり、避難所へ移動せざるを得なくなるからです。
例えば非常用トイレなどは持っていないご家庭が大半でしょう。
しかしマンションなどでは電気が止まると水道が止まります。
そうするとトイレも思うように使えなくなるのです。
つまり「水」の準備が最優先なのです。
成人男性が1日あたり体内に取り入れている水の量はおよそ3リットル。
一般的には3日分の水の備蓄が必要といわれていますが、余裕を見て1週間分はあるといいでしょう。
過去の災害例を検証しても、1週間も経てば配給物資がほぼ届き始めています。
ということは、家族1人あたり1日3リットル×1週間×人数分の水を備蓄しておけば安心です。
ちなみに私は、2カ月分くらいの飲料水を備蓄しています。

■「風呂の水を溜めておく」はお勧めできない
それ以外にも、食器洗いや洗濯のための水が必要なので、水道水を2リットルのペットボトルに入れ、10〜20本くらい用意して定期的に交換しています。
注意していただきたいのですが、よく言われる、「お風呂に水を溜めておく」ことはあまりお勧めできません。
風呂水というのは、非常に不衛生です。
お風呂に誰かが一度入ったら体表面の細菌が流出して、お湯が大腸菌などでいっぱいになり、日を追うごとに数千倍に菌が増殖します。
被災時の過労やストレスで免疫力が落ちていると、そういう不衛生な水が目に少し付着しただけで簡単に結膜炎などになります。
風呂水は、火を消したり、植木の水やり、トイレを流したりするぐらいにしか使えないのです。

マンションなどの集合住宅でトイレが流せなくなった場合に備えるには、風呂水を溜めておくよりも、普通の水道水をある程度の量、ポリタンクなどに用意しておくことをお勧めします。

■高価な非常食を買う必要はない

A食料
「ローリングストック」という備蓄の方法を最近よく耳にするようになりました。
普段食べている食材で、缶詰、レトルト食品、パスタなどの乾麺など、わりと保存の利くものをやや多めに購入し、賞味期限の古いものから消費していくやり方です。
賞味期限が長期にわたる「非常食」は、普段食べているものと比べると割高です。
昔の非常食の定番だった「乾パン」などに比較すれば、種類も豊富になり、栄養価も高く、味も素晴らしいものが揃っています。
それでも、しまい込んだあげくに賞味期限を過ぎてしまい捨てるという悪循環に陥りがちなのです。
ローリングストックなら、「賞味期限5年」「賞味期限10年」といった特別な長期の保存食を購入する必要はありません。
被災時には、手間がかからず簡単に栄養を補給でき、かつ満足感を得られるものを食べることが、二次的な健康被害を防ぐ意味でも重要です。

■お勧めの食材は「パスタ」
ちなみに、私は約1週間分の麺類や缶詰などの保存食料は常にストックしています。
一般的には3日分の水や食料を備蓄することが推奨されていますが、今後、大規模な災害が発生する可能性が高い日本に住む限りは、家族全員が配給などを受けずに、1週間過ごせるよう計算して、水や食料を用意しておくようにしましょう。
「1週間分、そんなに!」と思われるかもしれませんが、普通のご家庭では冷蔵庫の中に、だいたい3日分くらいの食料が入っているそうですから、それに4日分の水と食料を追加すれば大丈夫だということです。
そうしておけば被災しても1週間、家族が飢えや渇きに苦しむことがなくなるのです。

では、どのような食料を備蓄しておけばいいでしょうか。私は「パスタ」をお勧めしています。
賞味期限も約3年あり、パスタは誰でも簡単に調理ができ、時間もかかりません。
例えば、毎月15日と30日は「パスタの日」と決めて、食べた分だけその都度補充していけば、ローリングストックができます。 これも立派な「生活防災」です。
そして、災害時に1日3食を食べる人はあまりいません。
切羽詰まったときの人間は、お腹が空かないものです。
2食ないし1食あれば十分です。
ただし、免疫力の低下に備えて、梅干し、蜂蜜、保存性の高いコンパクトな個別包装の緑茶ティーバッグなども用意しておきたいところです。

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和田 隆昌(わだ・たかまさ)
災害危機管理アドバイザー
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交通取り締まりに異議

福山雅治さんも交通取り締まりに「異議」…
違反する前に警察官が注意しないワケ
9/1(金) ドライバーWEB

■違反する前になぜ注意しない?
「福山雅治、交通違反取締りに異議『どうして途中で止めてくれなかったんですか』共感の声が続々!」と、なんとも私向けな記事が8月29日、「おとなカワイイWebマガジン COCONUTS」というサイトに。
読ませてもらった。そこに、こんな部分があった。

◆◆◆◆◆
一時停止や矢印信号などの違反は、あらかじめ警察官が柱の陰から見張っているケースも多いもの。
福山さんは「見てるわけだから。曲がり切る前に注意すれば、注意で済むじゃないですか。
でも、曲がり切って、出てくるでしょ?」「どうして途中で止めてくれなかったんですか?」と、警察官に異議申し立てすると言います。
◆◆◆◆◆
同様に思う方は、ほんと多いようだ。
じつは私も昔、同じことを思い、かつその疑問を警察官にずばりぶつけたことがある。

裏通りで交通量が少なく、30mかそこらだけが一方通行のところを、私はバイクでゆっくり逆走。
待ち伏せていた若い警察官に止められた。
私は言った。

今井 
「入り口で立ってればいいのに」 すると警察官は答えた。

警察官
「(入り口に立っていると)誰も違反しないから」

「うわお!」と私は思った。正直な若者だ。
警察官は「しまったことを言ったなあ」と気づいたようで、しばし黙った。

今井 
「で、どうするの、切符、切るの切らないの?」

警察官
「う〜ん…」

なんだか可哀想になり、私はこんなことを言った。

今井 
「じゃあね、あなたがいいと思うようにやりなさいよ」

警察官
「じゃ、切符、切ります」

切るんかーい。って切るでしょ普通。
切符を切るために、隠れて待ち伏せていたんだから。
違反切符のサイン欄(事件原票の供述書甲の欄)に「私が上記違反をしたことは相違ありません。事情は次のとおりであります」と小さな不動文字がある。
そこに私は、不服を書いてからサインした。
警察官はサイン欄を呆然と見てから、あたふたと去った。
その後、私は検察官により不起訴とされた。

交通取り締まりの警察官は、なぜ隠れて待ち伏せるのか。
「運転者の皆さんの普段の運転を見ているのです。警察官がいるから違反しない、いなければ違反する、ということでは困ります」などと警察は言う。なるほど、確かに。

■具体的に危険かどうかは関係ない?
しかし、約40年間にわたり交通違反・取り締まりを取材・研究してきたところからは、要するにこういうことかと思える。

1、交通の安全と円滑、交通事故(以下、事故)防止のために道路交通法(以下、道交法)はある。
2、道交法を守れば事故は起こらない。守らないから事故が起こる。
3、事故を防ぐには違反を取り締まるべし。 この論法がまずがっちりある。さらにこういう考え方がある。
4、道交法違反は抽象的危険犯である。 要するに、「危険防止のため定めた道交法に違反する行為はすなわち危険なのである。具体的に危険かどうかは関係ない」という考え方だ。
これは刑事裁判の法廷で裁判官も言っていた。

そして、警察の側にこんな事情があるのだ。

5、現場の警察官は実績を上げなければならない。現場の実績は上司の実績にもなる。
6、実績は数字で計る。努力目標の数字を達成すべく頑張る。 この「数字」は、件数のこともあるし、点数のこともある。たとえば、青切符の違反よりも、酒気帯びなど赤切符の違反のほうが点数は断然高いとか。2人で協力して取り締まったなら点数を半分ずつ分けるとか。 交番勤務のある警察官は、職務質問が得意で、窃盗や覚醒罪の犯人をときどき検挙する。そっちの点数がどかんと高いもんだから、しょぼい交通取り締まりなんかぜんぜんしない、なんて話も聞こえてきたりする。

逆に、「実績低調者」は肩身が狭いという。
「お前は無能者か! 違反を1本取るまで戻ってくんな!」とか怒鳴られたりするそうだ。

■違反者の署名押印を取れないと、警察官は嫌がる
さあ、そんな組織にいて、あなたならどうします? 

具体的な危険性などない違反を、多くの運転者がつい犯しそうな場所で、姿を隠して待ち伏せる、そうなってしまうんじゃないですかね。

  職務質問が苦手で、しょぼい待ち伏せ取り締まりでこつこつ実績を稼ごうとする、そんな警察官にとって嫌なのは、運転者が反則金を払わず争うことだと聞く。
反則金が不納付だと、刑事手続きへ移行し、検察へ送致(いわゆる書類送検)することになる。
その書類の作成がめんどうなのだそうだ。
上司から「お前が取り締まったのは否認ばっかだな。どうなってんだ!」と叱られたりもするだろう。

元警察官氏からこんな話を聞いたことがある。
「違反切符に違反者の署名押印を取れないと、否認事件の扱いになる。それが嫌だから、まず署名押印を求める。
拒む違反者はさっさと行かせる。
途中まで作成した違反切符は、次の違反者に使う、なんて奴もいるんです(笑)」
でも、そういう「奴」は少数派らしい。

署名押印を拒みさえすれば逃れられる、というものではないと思いますよ。
警察庁のデータによれば、反則金の納付率は毎年100%に近い。
2020年は98.4%だ。取り締まりに対し「ずるい、汚い」と文句を言う人、疑問を持つ人はけっこういるが、ほぼすべての人が反則金を納付する、警察官は手間をかけずに実績を上げられる、そうしたこともちらっと考えてみてもいいんじゃないでしょうか。

文=今井亮一 肩書きは交通ジャーナリスト。
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2023年09月04日

松本穂香が目にした理不尽「弱者は一方的に消費されてしまう現実」

松本穂香が目にした理不尽
「弱者は一方的に消費されてしまう現実」
9/2(土) 女子SPA

 数々の映画やドラマに出演している、若手注目株の女優・松本穂香さん。
大の映画好きでもあるという松本さんが世界各国の映画界で活躍する女性監督と女優により制作されたアンソロジー映画『私たちの声』について語ります。

「弱者」は「消費」されてしまうという現実
 今回、わたしがご紹介させていただく作品は映画『私たちの声』です。
この作品は、女性の社会問題をテーマにした7つの短編を集めたものになっています。
 主人公の女性を演じるのは世界を代表する俳優陣。
日本からは、杏さんが出演されています。
7つの短編すべて見応えがあり、同時に同じ女性として考えさせられる作品ばかりでした。
 作品を見終えたいま、わたしの中に浮かぶふたつの言葉があります。

それは、「弱者」は「消費」されてしまうということ。
前提として、私たち女性は絶対に弱者ではありません。
 ただ、時として弱者にされてしまうことがある。理不尽に、一方的に。
私たち女性だけでなく、世間的に弱者とされる者たちがどうしようもなく傷つけられてしまうことがある、この世の中。

いつの間にか理不尽にも目を背けていた
 大袈裟ではなく、そういったことが今も私たちのすぐ傍で起き続けていることを感じました。
それは身体的なことかもしれないし、何気なく言った一言かもしれない。
同じ女性でありながら、そのことからいつの間にか目を背けていた自分に気づきました。

 私の周りにも、幼い頃に痴漢に遭った人や、夜中に後をつけられたりして怖い思いをした人がいます。
ただ、ファッションを楽しむためにミニスカートを履いただけで、盗撮された人もいます。
 そういった被害をゼロにはできないのかもしれないけれど、ひとりひとりの意識を少しずつ変えていくことは、きっとできるはず。

幼い頃から植え付けられてきた「思想」
 女性は痩せていてきれいでなければならない。
結婚して家庭を持つべき。男性は妻や子供を養うべき。強くいなければならない。

 こうあるべきという、幼い頃からいつの間にか植え付けられてきた思想が、軽はずみな発言や行動につながって、誰かに深い傷をつけてしまうことがあるんじゃないかと思います。
 今もどこかで起き続けている事実。この映画を通して、そんな事実と今一度向き合っていきたい、深くそう思いました。

●『私たちの声』 配給/ショウゲート 新宿ピカデリーほか全国ロードショー中 c2022 ILBE SpA. All Rights Reserved.

<文/松本穂香>
【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。
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60代からの「人間関係」。大切なのは“他人との比較”と決別すること

60代からの「人間関係」。
大切なのは“他人との比較”と決別すること
9/3(日)   ESSE-online

「あの人は自分に比べて人生が楽しそう」「この人に比べれば、自分の人生なんてむなしい」と、つい卑屈になってしまうことは、人間ならだれしもあることです。
しかし、長年、高齢者専門の医師として、数多くのシニア世代と接してきた和田秀樹さんは、「60代以降は他人と比べる人生を送っても意味がない」と語ります。

60代からの「人間関係」のコツ
ここここでは、『60歳からはやりたい放題[実践編]』(扶桑社刊)の内容を抜粋し、和田さんが提案する60歳からの人生を豊かにする秘訣をご紹介します。
●人間関係で「勝ち負け」を気にしない
60歳からは、“やりたい放題”の人生が始まる。
そんなふうに私が思うのは、60歳以降は「他人と比較する生き方」をしても、あまり意味がないからです。
私たち日本人は、本当に小さい頃から成績や受験、入社試験や出世などの競争にさらされてきました。
だから、無意識のうちに、何事も勝ち負けで考える習慣がついています。
ただ、60歳になったらもう「勝ち負け」の感覚は捨てて、「比べない人生」を意識してほしいと思います。

●60歳以降は個人差が大きいので、比べても意味がない
なぜなら、60歳以降の人生は同じ年齢であっても、大きく個人差が出てきます。
前までは同じような人生を歩んでいた同級生であっても、60代になってお互いの健康状態だけを比較してみても、元気に現役時代と同じように働いている人もいれば、病気を患っている人、けがをして外出が思うようにできない人、なかにはすでにこの世を去ってしまった人もいるかもしれません。

人によっては仕事で成功し、資産もたくさん蓄え、家族もつくったけれども、病気になって余命があと数年しかないという人もいます。
一方、独身のまま生きてきて、家族がいないけれども、体は健康で一人の人生を謳歌している人もいます。
両者を見て「どちらが勝っているか」は、一概には言えません。
つまり、人によって状況が大きく異なるなか、「勝ち負け」を気にしても意味がないのです。

●「勝ち負けを気にしすぎる人」の特徴
「勝ち負け」を気にする人が不幸なのは、どんな人にもなんらかの悪い感情を抱いてしまう点です。
学歴が高い人を見たら、「あの人は偉そうにしている」。
お金持ちの人を見たら、「あの人は悪いことをしてお金を儲けているはずだ」。
いつでも友達に囲まれている人を見たら、「あの人は八方美人だからいやだ」。
なにを見ても自分と比べてしまい、「負けている」と思ったら、なにかしらの理由をつけてケチをつけたくて仕方がない。

●「この人はすごい」と素直に受け入れた方が、人生は楽になる
ただ、こうした人は、当然周囲からは当然、嫌われます。
若い頃ならまだ「まぁ、若いから仕方ない」と許されたかもしれませんが、60代で同じことをやっていたらあきれられるのは当然です。
さらに、次から次へと優れた人が現れるたびに、常に劣等感にさいなまれるので、精神的にもつらいものがあります。
ならばいっそ、すべての勝ち負けを捨てて、「この人はここがすごい」と素直に受け入れてみてはどうでしょうか。
批判をやめてみるだけで、その先の人生はぐっと生きやすくなるはずです。

●肩書を気にしないことが「比べない人生」の大前提
「比べない人生」を送る上で、かなり重要なポイントだと思うのは「肩書をいかに気にしないでいられるか」です。
60代までの人生は、会社組織の癖が抜けず、肩書にとらわれた生き方をする人が多いです。
「課長よりも部長のほうが偉い」「小さな会社よりも、世間的に名前の通った有名な会社で働いているほうが偉い」など、どうしても肩書を持ち出して、他人と自分を比べ、評価してしまいます。
しかし、60代になれば、みんな一緒です。
仮に出世競争に勝った人であっても、役職定年を迎えるので大半の人は会社に残れません。
私たちのような医者も、仮に有名大学の医学部教授になれたとしても、65歳になって定年を迎えるとその座はなくなります。 なかには、それでも肩書を諦めきれず、会社を離れた後、知り合いの会社などに頼んで「相談役」や「顧問」、「名誉教授」などという役職をもらい、自分でつくった名刺に書きたがる人もいます。

ただ、肩書に固執すると、いつまでたっても「勝ち負け」の思想からは離れられません。 嫌われる60代にならないためにも、「勝ち負け」や「他人との比較」とはきっぱり決別してください。
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2023年09月05日

中高年必見!こむら返りになる原因って?

中高年必見!こむら返りになる原因って?
2023年9月4日  ココカラネクスト

 就寝中や体を動かそうとした瞬間、ふくらはぎに激痛が起こったことはありませんか? そう、こむら返りです。
こむらがえりの「こむら」は ふくらはぎの事を指しますが、ふくらはぎだけではなく、足の裏、指、太ももなど体のどこにでも発生すると言われています。

「こむら返り」は体からの危険信号
 そもそも、こむら返りってどんな症状?
こむら返りは、筋肉の異常な収縮が関係してると考えられています。
私たちの体は、ふだん こむら返りを起こさないように防ごうと働いており、伸びすぎを防ぐのが筋紡錘(きんぼうすい)、縮みすぎを防ぐのが腱紡錘(けんぼうすい)と言われています。
腱紡錘の働きが低下すると、筋肉が異常に収縮し 痙攣が起きやすくなってしまうそうです。

こむら返りがおこる原因は?
・ミネラルバランスの乱れ
カルシウムとカリウムは、筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにする働きがあり、この2つのミネラルを調整しているのがマグネシウムです。
カルシウム、カリウム、マグネシウムで特にマグネシウム不足は腱紡錘の機能低下に影響を与えます。

・血行不良や体温低下
特に夏の場合、エアコンをつけっぱなしで寝ていると体が冷えて血行不良になりやすく、こむら返りが起こりやすくなると言われています。

・筋力低下
ふだんから あまり運動をしなかったり、座っていることが多いと こむらがえりが発生しやすくなることも。
加齢による筋力低下もあり、中高年の世代でこむら返りが発生する回数が増えると言われています。

・水分不足
こむら返りの原因でよく言われているのが、水分不足です。
日頃コーヒーやお酒を飲んでいると利尿作用により脱水症状が起こりやすくなります。
また、就寝中は汗による脱水症状が起こり、こむら返りの原因となります。
こむら返りを予防するには水分補給をしっかりとし、ビタミンEやミネラルの補給をすると良いでしょう。

また、上記以外にも 糖尿病や腎不全、動脈硬化などの病気の可能性もありますので、日頃の生活習慣に気を付けていきたいですね。
健康には自信がある!大きな病気をしたことがないから大丈夫! 病気になったらすぐ病院にいけばいい! そんな風に思っていませんか?
私たちが思っている以上に身体は変化しやすく、数値は変わりやすいものです。

[文:銀座血液検査ラボ -ketsuken-]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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2023年09月07日

細分化する鬼畜な盗撮手口。盗撮魔が狙う「モンロースポット」驚きの正体とは

細分化する鬼畜な盗撮手口。盗撮魔が狙う「モンロースポット」驚きの正体とは
9/5(火)   SPA!  

盗撮の被害が後を絶たない。
ネット上に無数にある「有料盗撮動画サイト」では、実際に盗撮された本物の動画が売り捌かれている。
そんな鬼畜な盗撮犯たちの手口と素顔を追った。新しく施行された撮影罪によって、彼らは駆逐されるか。

細分化する鬼畜な盗撮手口。
女性が盗撮犯であることも
 今年6月、大阪市の商業施設などで、女性110人のスカート内などを盗撮したとして、47歳の男が懲役1年6月の実刑判決を下された。
「『Mr.研修生』という投稿名で知られており、盗撮界隈では“盗撮のカリスマ”として有名でした。
手口は主にカバンに小型カメラや分解したスマートフォンを取りつけるやり方。
逮捕されるまで、15年以上は続けていたようです」(テレビディレクターの竹輪次郎氏・以下同)

 スカート内、いわゆる「パンチラ盗撮」の常套手段としてもっともポピュラーなのがカバン型カメラだという。
ほかには、どういったものがあるのか。
盗撮用アイテムが小型化し、事犯が常習化 「鍵型、フリスク型、靴カメラなど多岐にわたります。
どんどん小型になるうえに、ネット通販で数千円と、安価で購入できてしまう。
『誰でも明日から始められる』環境になってしまっているのも、盗撮件数が増え続けている理由かもしれません」

 その手口はある程度確立している。
「トイレであれば人がいないタイミングを見計らって侵入して、ゴミ箱などに設置。排泄の瞬間を収めた動画にも需要があるため、便器の裏に防水カメラが仕込まれていることもあります。
 また、大浴場であれば、シャンプーの容器に小さな穴をくりぬいて盗撮カメラを作成。内部にはメモリやマイクも仕込まれています。
その場合、もちろん男は入れないので『女撮り師』とチームを組んで行っています。
以前逮捕された『和歌山アクションクラブ』という大浴場を専門に盗撮するグループも夫婦で動いていました」

店側が犯罪に加担している場合も
 また、「店員」側が悪事に加担している場合もあるという。
「販売サイトで多く見かけるのが、更衣室を盗撮した動画です。
店員や、同僚など内部の関係者が小型カメラを設置していることがあるのです」

 盗撮の手口だけが細部化されているわけではない。
「盗撮する場所」も多岐にわたる。
「パンチラであれば、階段、エスカレーター。なかでも一列しかない狭い場所が危険です。
100円ショップ、書店なども陳列棚の間隔が狭く、格好の餌食になる。
やはり若い女性が狙われやすく、女子高生が集まる吉祥寺や新宿・渋谷などのターミナル駅の混雑した場所には、毎日のように盗撮魔が潜んでいると言っても過言ではありません」

盗撮犯が狙う「モンロースポット」
「強風が吹きすさぶ場所」にも、注意が必要だ。
「海風があるお台場とか、ビル風が強い東京駅などは、ヤツらにとっては絶好のスポット。
今は対策されていますが、池袋のサンシャイン大通りには『モンロースポット』と呼ばれる場所までありました」
 地下から排気口の風が強く吹く場所があり、マリリン・モンローのようにスカートがめくれ上がる瞬間を狙うのだ。
 これらの事実を把握しておくだけでも、盗撮犯の存在に気づきやすくなるはず。

いまや、身の回りのものすべてに「盗撮」されている可能性がある時代なのだ。

「私は子ども専門」盗撮オフ会で男が語った本音
 今年6月、露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件で、グループのリーダー格が懲役2年10月を言い渡された。なんでも被告は、馴染みの盗撮仲間や購入者たちを集めて、盗撮動画を持ち寄り“オフ会”なるものを開いていたという。

以前、別の盗撮オフ会に潜入した経験がある竹輪氏が、そのときの様子を語る。
「きっかけは、盗撮した画像を交換したり、オススメの盗撮スポット情報を教え合ったりする『掲示板』でした。
詳しい内情を知るためにサクラとして書き込んでいたんですが、ある日『一緒に活動しませんか?』というメッセージが来たんです」
 それが、しばらくの付き合いとなるK氏だった。
「Kは当時30歳ぐらいで、身長175pぐらいの痩せ形。やや色白でちょっと早口で喋るようなタイプ。
仕事ができそうな印象を持たせる会社員でした」

卑劣な会話が飛び交うオフ会
 見た目はさておき、知り合った場所は犯罪の温床となっている掲示板。
すぐに“本性”を現した。
「最初はカフェで落ち合ったんですが、『今からゲームセンターに行って、パンチラ撮りに行きましょうよ』といきなり言われました。
さらに、上りのエスカレーターに乗っていたら、急に『白ですか? 黒ですか?』って聞いてきたんです。
『えっ、何がですか?』と返したら、『決まっているじゃないですか、好きなパンツの色ですよ』って。
初対面なのに、いきなり卑劣な猥談をしてきたのにはびっくりしました」

 しばらくして、K氏は結婚。愛人も2人いて、非モテではない人物でも、どっぷり浸からせる魔力が盗撮にはあることが窺える。
そして竹輪氏は、K氏の誘いで盗撮オフ会に顔を出すことになった。
「Kに、『盗撮愛好家が集まる飲み会があるなら行ってみたい』と話して向かったのが、神田での集まり。
普通の居酒屋で行われ、参加者は全員男性で、全部で6〜7人でした。
そこには会社員だけではなく、社長クラスの男性も交じっていました」

盗撮犯が集まることで罪の意識が薄れてゆく
 この飲み会でも、面食らう出来事が竹輪氏を待ち受けていた。
「第一声が『最近なに撮ってる?』でした。
20代のカッコいい男がいたんですが、先陣を切って『僕はチアリーダー専門なんですが、撮りたいがために興味のない高校野球にいつも行っています(笑)』などと軽口を叩いていて。
ほかにも、女子高生を盗撮するために高校の多い東西線沿線に住んでいるという40代の男や、更衣室を盗撮するために某ハンバーガー店でアルバイトをしているという男もいました。
店内には若そうなお客さんもいたんですが、そんなことはお構いなしに“熱”をぶつけ合っていました」

 唯一、自分の本音を話せる場所なのだろうか。
参加者全員があだ名で呼び合っていたことが印象的だったという。
「私は、普段盗撮犯がどんなふうに生きているのかを知りたかったんです。
こうやって、オフ会に参加してみてわかったことが『仲間がいることで、どんどん酷い方向にいっているな』ということです。
『〇〇さんは子ども専門だもんな』『おう、ハハハ』なんて、耳をふさぎたくなるようなやり取りもありましたから。
やっぱり、同じ人種が集まっていたら、自分のやっていることを正統化してしまうし、罪の意識もなくなっていくと思うんです」
 同じ趣味を持つ者たちの親睦を深めるのが本来のオフ会の役割だ。
しかし、そのオフ会が盗撮犯たちを妄信的にし、犯罪を助長している現実があった。

日本で痴漢をし盗撮動画を売る中国人男性たち
 日本国内で撮影した盗撮動画を闇で売り捌いているのは、日本人だけではない。
 英BBCの報道によれば、日本の電車内で痴漢を行う中国人痴漢グループが存在し、彼らはその様子を撮影した動画をサイト上で販売しているという。
 その動画の内容は鬼畜かつ卑劣極まりない。女性の体に触れるだけでなく、男性器を押し付け、挙げ句の果てには精液を服や頭髪に付着までさせているという。
中国人の犯罪事情に詳しいライターの西谷格氏が話す。
「中国から見ると日本は痴漢が非常に多い国というイメージがあるようです。
もともと中国人は“日本=変態文化”というイメージを持っています。
加えて、日本のアダルトビデオの存在感があまりにも大きいため、実態以上にそうした印象を強く持っているのではないでしょうか」
 その痴漢の多さが盗撮という二次被害を生み出しているのだ。
 中国の広州市共産党委員会宣伝部は同痴漢グループのトップの男を特定。
だが、逮捕には至らず動画の販売サイトはいまだに運営されている状態だ。
一刻も早い逮捕と、販売サイトの閉鎖を願うしかない。

【テレビディレクター・竹輪次郎氏】
民放キー局の報道番組で20年以上盗撮犯の実態を追い続けているテレビディレクター。
地方の裁判や現場まで足を運び取材をしている

取材・文/東田俊介 
[[鬼畜な盗撮犯]たちの正体]―
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日本では「6人に1人が貧困状態」 働けど働けど苦しい生活を強いられる人たちであふれている

日本では「6人に1人が貧困状態」 働けど働けど苦しい生活を強いられる人たちであふれている
9/7(木)  マネーポストWEB

 かつては『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という本がベストセラーになるほど、経済大国として世界に君臨していた日本。
だが、長きにわたって賃金も物価も上がらず、競争力も国際的地位も下がり、「安い日本」と揶揄されるまでになった。
いまや、貧困はあなたのすぐ足元まで忍び寄っている──。

栄養不足で持病が悪化
「この夏は、殺人的猛暑などといわれていますが、できるだけクーラーを使わずに過ごしました。
日中は図書館など公共機関やショッピングセンターなどで過ごし、夜は極力扇風機で。
熱中症になっても自業自得だとわかっているのですが、少しでも節約したいと思って……。
 親が残してくれた家はありますが、オンボロで処分するのにお金がかかるだけ。
この先どうやって暮らしていけばいいのか、考えると暗い気持ちになります」

 肩を落としてこう打ち明けるのは、新潟県に住む女性・Aさん(52才)。
30代半ばで離婚して以来、ひとり暮らしを続けているが、非正規で働く期間が長かったこともあり、貯金もわずか。
値上げや、電気代高騰などで生活は逼迫する一方だ。

いまこの国には、Aさんのように働けど働けど、苦しい生活を強いられる人たちがあふれている──。
“生活が苦しい中、子育てのために自分の食事を減らし、栄養不足による貧血を起こした”“食品の値上げで料理をしなくなり、冷凍食品に頼っていたら血糖値が上がり、持病の糖尿病が悪化”──こんな壮絶な暮らしぶりを伝えたのは、7月18日放送の『クローズアップ現代』(NHK)だ。
 番組のテーマは「値上げ時代と健康」。
食費節約のために低栄養状態に陥っている実態やその危険性が紹介され、大きな反響を呼んだ。
番組を見ていた60代の女性が声をつまらせる。
「自分の娘くらいの女性が食べるのをがまんして栄養失調なんて……しかも、彼女は看護師としてきちんと働いているのにそんなに生活が苦しいのかと驚きました。
働いていても、年金をもらっていても、こんなに貧しくなるなんて、私が若い頃には想像もできなかった」

リーマン・ショックが日本の“貧困元年”
『ルポ コロナ禍で追いつめられる女性たち 深まる孤立と貧困』(光文社新書)などの著者でノンフィクションライターの飯島裕子さんが貧困問題に関する取材を始めたのはリーマン・ショックの直前だ。
「80年代のバブル期には貧困が社会問題として認識されることはありませんでした。
ところがバブル崩壊後、非正規雇用で働く若者が増えてきた。
『あえてフリーターを選んでいる』といわれたけどそんなことはなかった。
“必死に仕事を探しても見つからない状況にある”ことがわかってきたのです。

 そんななか、2008年にリーマン・ショックが起こり、派遣切りに遭い家を失う人も出てきた。
貧困が見える形で人々の前に現れたこの年は“貧困元年”といってもいいでしょう」

 日本テレビのディレクター時代に「ネットカフェ難民」という言葉を世に送り出し、以来貧困問題に携わってきた上智大学文学部新聞学科教授の水島宏明さんが続ける。
「リーマン・ショックの後、非正規雇用者が一気に増え、ワーキングプア、年越し派遣村、ネットカフェ難民などの貧困問題がクローズアップされるようになりました。
規制緩和やアベノミクスで『給料が上がる』といわれ続けてきたのに、世界の中で日本だけ収入が増えなかった。
ウクライナ情勢や急激な円安で、賃金は上がらないのに物価が急上昇し、生活困窮者はますます増えています」

 いまや先進国の中でもっとも貧しい国の1つとなってしまった日本で、貧困は極めて身近な問題になった。
「貧困問題が顕在化し始めた20年前は、なぜそんな状況に追い込まれたのか、“自己責任”ではないか、と言う人も多かった。でもいまは、貧困はもはや他人事ではないと思う人が増えているのではないでしょうか」(飯島さん)

 実際、日本人の貧困率は高止まりを続けている。
厚生労働省が今年7月に発表した『国民生活基礎調査』の最新値によると、2021年の日本の相対的貧困率は15.4%にのぼる。
相対的貧困率とは、等価可処分所得が中央値の半分未満世帯員の割合をさす。
 6人に1人が貧困状態にある──これが今の日本の現実というわけだ。

      ※女性セブン2023年9月14日号
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2023年09月08日

「関東大震災後のデマ」による100年前の殺人事件 「誰もが加害者になる可能性も」

「関東大震災後のデマ」による100年前の殺人事件 「誰もが加害者になる可能性も」
9/6(水) ニッポン放送

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
『福田村事件』(2023年9月1日公開)という映画があります。
関東大震災から5日後の9月6日に起きた、いまから100年前の事件を描いた映画です。
関東大震災による死者・行方不明者は約10万5000人。
そのうち6割に当たる約6万6000人が、東京の火災で亡くなりました。

延焼が続き、焼け出された人々が逃げ惑うさなか、「朝鮮人が井戸に毒薬を投げた」「朝鮮人が武器を持って襲ってくる」などの流言飛語が、関東一円へ余震のように広がっていきました。
震災の翌日、政府と軍部は戒厳令を出し、関東各県に命令して、在郷軍人や青年団、消防団などによる自警団の結成を伝達します。
これらも、根も葉もないデマを信じてしまう要因になったようです。

映画『福田村事件』で資料などの協力をされたのが、「福田村事件を記録する旧田中村・民の会」事務局・松丸健二さんです。
松丸さんは福田村事件が起きた隣の田中村(現在の柏市)出身で、事件を知ったのは1975年、高校1年生のときでした。 「市の広報を読んで、田中村の住民が隣の福田村までわざわざ出向き、事件に関わっていたことを知りました。
人ごとではないと思いましたね。
静かなこの土地で、なぜあのような残虐な事件が起きたのか、ずっと心に引っかかっていました。
3年前に定年を迎え、自分の時間ができるようになって事件を調べ始めたら、驚くことばかりでした」

福田村事件は、長く歴史の闇に埋もれていました。
いまから44年前の1979年、遺族の連絡を受けた千葉県の高校教諭と、協力を依頼された香川県の高校教諭らの調査で明らかになりました。
また事件当時、九死に一生を得た生存者がおり、その手記や聞き取り調査などで事件の詳細が見えてきたそうです。

関東大震災が起きた日、香川県から来た薬の行商人一行15人は、醤油の町で知られる野田に滞在していました。
余震のなかでも商売を続けていましたが、そろそろ場所を変えようと9月6日に商人宿を出て、福田村にある利根川の渡し場に向かいます。
川を渡れば茨城です。

筑波山が富士山よりも大きく見える、のどかな農村で事件は起きました。
午前10時ごろ、渡し場の手前の香取神社で一行が休憩していると、大勢の村人に囲まれます。 「お前たちの言葉遣いが日本人ではないように思うが、朝鮮人だろう」
いくら「日本人だ」と言っても信じてもらえず、押し問答が続きます。
そのとき、行商人の1人がタバコの火を借りようと立ち上がったのを見て、「逃げるのか! 殺してしまえ!」と、日本刀や竹槍、猟銃を持った自衛団が襲いかかりました。
幼児・妊婦を含む9人が殺害され、近くの利根川に投げ込まれたそうです。

これは偶発的に起きた事件なのでしょうか。
松丸さんに伺うと、「いえ、前日の9月5日には千葉県の検見川で、沖縄・秋田・三重出身の男性3人が殺害される『検見川事件』が起きているんです」と教えてくださいました。
大正12年という時代背景ですが、明治38年に日露戦争に勝利し、明治43年に韓国併合……大正に入ると植民地支配した朝鮮半島で独立運動が起こり、それを次々と弾圧してきました。
当時の日本人には「いつか仕返しをされるかも知れない」という恐怖心があったのでしょう。
そんなときに関東大震災が起きて、通信網が大混乱するなか、誤った情報が住民をたちまちパニックに陥れました。

それにしても、なぜ子どもや妊婦の命まで奪ったのか……松丸さんはこう話します。
「この事件を調べてわかったことは、特殊な事件ではなく、『誰もが加害者になるかも知れない』ということです。
私もその場にいたらと思うと、とても怖くなりました」
福田村事件が起きた香取神社を訪ねると、人影もなく、事件を伝える解説板もなく、ただ蝉が鳴くばかりでした。

■映画『福田村事件』
9月1日(金)より、テアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開
監督:森達也
出演:井浦新、田中麗奈、永山瑛太、東出昌大、コムアイ、ピエール瀧、水道橋博士、豊原功補、柄本明 ほか
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2023年09月09日

【軍隊教育?】まるで子供達の行軍…大豪雨なのに「登校せよ」学校現場の命に関わるナンセンスなルール

【軍隊教育?】
まるで子供達の行軍…大豪雨なのに「登校せよ」
学校現場の命に関わるナンセンスなルール
9/8(金)  FORZA STYLE

日本列島の広範囲にわたって線状降水帯が幾度となく発生し、浸水や土砂災害などの大規模被害をもたらしている昨今。
この季節は台風が多く発生し、一年の中でも最も危険度の高いシーズンだ。
今回は6月に起きた豪雨で、愛知県内で被害が大きかった地域にお住まいのお二人MさんとKさんに、小中学校の対応に関するお話を聞いた。

災害級の雨となることが大きく報じられていたわけだが、Mさんはお孫さんの小学校が、Kさんはお子さんの中学校がそんな状況下でも休校とならなかったことに対し、大きな疑問を感じている。
「大雨の前日から、”災害級の雨だ””備えをしておけ”とニュースで言っていたので、私もお水や食糧を買い込んだり、家のまわりの物を片付けたりしておいたんです。
うちは娘夫婦が朝早くから仕事なので、私が孫の世話をしているんですが、今回の大雨については小学校から前日にメールを受け取りました。
明日は午後から雨がひどいようなので、午後の授業はとりやめて下校させますと」

災害級の雨なのに孫を登校させるのか、午後からひどくなる予報なら午前から備えるべきではないのか、と戸惑いを覚えたMさん。
しかし、最近は「何十年に一度の〇〇」という予報があっても、フタを開けてみたら想像よりも大したことはなかったというケースが多かったので、油断もあったという。
「学校が言ってきたことに従う、という癖がついているというのもあると思います。
その姿勢がいけないわけじゃないけど、こんなふうに危険が迫っている場合は、もっと主体的に”いや、うちは休ませます”と私が言っても良かったんですよね」 Mさんはそう自分を責めた。

「結局、今回の雨は私たちの想像を上回るひどさでした。
私が子どもの頃は、うちの辺りはよく冠水していたんですよ。
それ以前の私の親世代はもっとひどくて、どの家も水害に備えて小舟を常備していたという話も伝え聞いています。
ですが、何十年とそんな被害もなく、水害対策に力を入れてきた成果もあるのかしらと高をくくっていましたね」
Mさんのお孫さんは、おばあちゃん思いの優しい子だという。
学校から「今回は保護者が迎えに来ても良い」という知らせが来たため、「おばあちゃんが迎えに行ってあげる」と申し出たものの、お孫さんは「歩いて帰るからお家にいて!」と答えたのだそう。
「ですが、後で聞いた話では、多くのお子さんがお迎えで帰ったとのことです。
うちの孫たちは通学班担当の先生が付き添ってくれたとはいえ、かなりの少人数で帰ってきました。
途中でもし何かあったら、先生お一人でも子どもたちを守り切れるかどうかわかりませんよね」

Mさんは、市から示されている休校に関する従来のガイドラインを、今すぐに見直す必要を強く感じている。
「最近は天気の予想がつきづらく、深刻な事態になることも多いんですから、予報が出たら結果はどうあれ、早めに休校を決めるべきではないでしょうか。
市では大雨警報では原則通常どおりに登校となっていて、無条件に休校となるのは暴風か暴風雨警報が出た時のみです。
最近の雨の降り方を見てれば、こんなルールはすぐに見直さなければダメですよね」
Mさんは、自分たちで判断すべきだったという自戒の念も持ちつつ、そう語ってくれた。

確かに昨今の異常気象から考えれば、該当する警報が発令された時のみの休校措置では危険を回避できない場合もあろう。
今回の被害を教訓に、早急な見直しが求められる。

今回お話を伺った2人目のKさんは、愛知県内にお住まいの会社員。
居住地域には床上浸水の被害も多数出たという。
「こんなひどい雨は生まれて初めて経験しました。
激しい雨がまったくゆるむことなく長時間続いて、まさに命の危険を肌で感じましたね」
しかし、Kさんは夫ともども今回の豪雨でも仕事を休むことはできなかった。
子どもが通う中学も休校とはならず、部活のみ取りやめとなる旨、事前に学校から連絡があったそうだ。
「その報告も二転三転したんです。前日までは部活もやると聞いていました。
それで豪雨当日に部活中止が決まり、下校時間が変更されたんです」

被害が拡大した当日は、朝早くから雨がひどかった。
後で友人から聞いた話では、子どもを送ってきた保護者の車両で、中学校付近も大渋滞していたらしい。
「雨で視界が悪いなか大渋滞なんて危ないし、うちみたいに親がもう出勤しちゃって送れない子はズブ濡れで登校するんですよ。
そもそも不公平ですよね。
そんな不公平な登校となること自体、公立中学ではあってはならないのではないでしょうか」

しかし、Kさんがもっと問題視しているのは、休校措置が取られなかったことだという。
「うちのあたりは避難指示が出たんです。
私の職場でも帰宅命令が出ましたが、それよりも前に子どもの中学からまたメールが入って、やっぱり下校時刻を早めると言ってきたんです」

そもそも仕事中にメールをよこされても、見られないことの方が多い。
緊急連絡が必要な状況などは、可能な限り避けるべきだとKさんは思う。
「下校時間が何度も変更になったうえ、”迎えに来たい保護者は来てください”って。めちゃくちゃじゃないですか?」
Kさんの憤りはさらに熱を帯びる。

それは、避難指示が出ている最中に、学校が通常通りの下校をさせたからだ。
衝撃の後編に続く。

    取材・文 中小林亜紀
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誹謗中傷と批判の境界を解説

誹謗中傷と批判の境界を解説
2023年09月08日 THE GOLD ONLINE

誹謗中傷は法的に問題のある行為であることも多く、刑事責任を問われたり損害賠償請求をされたりする可能性があることは、認知されつつあるでしょう。
では、誹謗中傷をする意図ではなく批判をする意図であれば、法的に問題となることはないのでしょうか?
 本記事では、「誹謗中傷」と「批判」のボーダーラインについて、Authense法律事務所の弁護士が解説します。

「誹謗中傷」と「批判」の違い
誹謗中傷」と「批判」とは、どのように異なるのでしょうか。
はじめに、広辞苑でどのように解説されているのか、それぞれの意味を見ていきましょう。

誹謗中傷とは?
「誹謗中傷」とは、「根拠のない悪口を言って相手を傷つけること」とされています。
一般的なイメージと、さほど違いはないでしょう。

批判とは?
「批判」とは、次のことを指すとされています。

・物事の真偽や善悪を批評し判定すること。ひばん。
・人物・行為・判断・学説・作品などの価値・能力・正当性・妥当性などを評価すること。
否定的内容のものをいう場合が多い。
哲学では、特に認識能力の吟味を意味することがある。
批判というと、よくない点を指摘するというイメージが強いかもしれません。
しかし、本来はこのように、悪い点だけでなくよい点も含めて評価したり判定したりすることを批判といいます。

誹謗中傷ではなく「批判」なら法的責任は問われない?
書き込みの意図が「誹謗中傷」ではなく「批判」であれば、法的責任は追及されないのでしょうか?
 結論をお伝えすると、批判であるからといって、必ずしも法的責任に問われないわけではありません。

そもそも、法的責任を追及できるか否かは、誹謗中傷なのか批判なのかによって決まるものではなく、書き込みの内容や状況などから、個別に、人の権利を侵害しているといえるかどうかにより判断されます。
そのため、誹謗中傷であるか批判であるかにかかわらず、その内容や態様が次で紹介する罪などに該当するのであれば、法的措置の対象となります。

誹謗中傷や批判で問われる可能性のある法的措置
誹謗中傷や批判はどのような法的措置の対象となるのでしょうか? 主なものは次のとおりです。

1.刑事上の責任
法的措置の1つ目は、刑事上の責任追及です。
刑事上の責任を平たくいえば、罰金や懲役など刑事罰の対象となったりすることを指します。
誹謗中傷や批判が刑法上の罪に該当する場合には、多くの場合相手の身元を特定したうえで、警察に対して刑事告訴を行います(※相手の身元を特定できていなければ刑事告訴ができないということではありません)。

刑事告訴とは、犯罪行為があったことを被害者が警察などに申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示です。
告訴が受理されれば、警察で捜査が行われ、場合によっては逮捕されます。
その後、検察に事件が送致され、起訴か不起訴かが決まります。起訴されると略式起訴である場合を除き刑事裁判が開始され、そこで有罪か無罪か、有罪の場合には刑罰の内容と執行猶予の有無などが決定されるという流れです。

誹謗中傷や批判が該当する可能性のある主な罪には、次のものなどが存在します。
・名誉毀損罪 ・侮辱罪 ・脅迫罪 ・信用毀損罪/偽計業務妨害罪

■名誉毀損罪
名誉毀損罪とは、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」が、「その事実の有無にかかわらず」該当する罪です(刑法230条)。
「公然と」が要件とされているため、1対1の個室で行われた発言や、他者が見ることのない個別のメッセージなどでなされた言動は、原則としてこの罪には該当しません。
また、「事実を摘示」したことが成立要件となっており、抽象的な批判や悪口は名誉毀損罪の対象外です。
ただし、「その事実の有無にかかわらず」とされているため、真実であっても事実無根の内容であっても名誉毀損罪は成立し得ます。
さらに、「人の名誉を毀損」したことが必要です。
そのため、言動の対象者が主観的に傷付いたとしても、社会的評価が低下したと判断されなければ、名誉毀損罪は成立しません。
名誉毀損罪を犯した者は、次のいずれかの刑罰に処されます。
・3年以下の懲役もしくは禁錮
・50万円以下の罰金 なお、
名誉毀損罪には、「違法性阻却事由」が存在します。

違法性阻却事由とは、これに該当したら、罪に問えないという要件のことです。
問題となっている言動が次の要件をすべて満たす場合には、名誉毀損罪で相手を罰することはできません(同230条の2)。 ・公共の利害に関する事実に係るものであること
・その目的が専ら公益を図ることにあったと認められること
・事実の真否を判断し、真実であることの証明があったこと

代表的なものとしては、政治家が汚職をしたとの報道などでしょう。
この違法性阻却事由が定められていなかったとすると、新聞や雑誌などの記事の多くが名誉毀損罪に該当してしまいます。

■侮辱罪
侮辱罪とは、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱」した場合に該当する罪です(同231条)。
名誉毀損罪と似ていますが、事実の摘示は不要とされており、抽象的な誹謗中傷であっても該当する可能性があります。
侮辱罪を犯した者は、次のいずれかの刑罰に処されます。
・1年以下の懲役もしくは禁錮 ・30万円以下の罰金 ・拘留 ・科料

なお、侮辱罪の刑罰は、令和4年(2022年)7月6日まで「拘留または科料」のみとされていました。
しかし、SNS上で誹謗中傷をされたプロレスラーの女性が自ら命を絶った事件を受け、刑罰が軽すぎるとの批判が生じたことから、厳罰化に至っています。

■脅迫罪
脅迫罪とは、相手や親族の「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」した場合に該当する罪です(同222条)。
脅迫罪を犯した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処されます。
こちらは、名誉毀損罪や侮辱罪とは異なり、「公然と」行うことは要件とされていません。
そのため、個別のメッセージなど他者の目に触れない場での言動であっても、対象となる可能性があります。

■信用毀損罪・偽計業務妨害罪
信用毀損罪や偽計業務妨害罪とは、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害」した場合に該当する罪です(同233条)。
たとえば、嘘の口コミを書くなどしてお店や会社の評判を下げたり業務を妨害したりした場合には、これに該当する可能性が高いでしょう。
また、コロナ禍においては、「自分はコロナだ」などと嘘をつき出向いた先の施設に消毒の負担を負わせ、偽計業務妨害罪などで逮捕されるケースが頻発したことも記憶に新しいかもしれません。
信用毀損罪や偽計業務妨害罪を犯した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

2.民事上の責任
法的措置の2つ目は、民事上の責任追及としての損害賠償請求です。

損害賠償請求とは、相手の行為によって被った損害を、金銭で賠償させる請求を指します。
刑事上の責任追及とは異なり、損害賠償請求には警察や検察は関与しません。
また、損害賠償請求が認められても相手の刑事責任まで当然に認められるわけでもありませんので、混同しないよう注意しましょう。
誹謗中傷や過度な批判に対して損害賠償請求をするためには、まずは発信者情報開示請求などを行って相手を特定しなければなりません。
その後、判明した相手に対して、損害賠償請求を行います。
しかし、損害賠償請求をしたところで、相手が請求を無視するなどして任意に支払わない場合もあるでしょう。
また、相手から減額を請求され、金額の交渉がまとまらない場合もあります。
このような場合には、裁判上で損害賠償を請求する必要があります。
裁判では、裁判所が損害賠償請求の可否や金額を決定し、相手はこれにより決められた金額を支払わなければなりません。

誹謗中傷や批判に関するよくある誤解
誹謗中傷や批判には、誤解が少なくありません。
よくある誤解としては、次のものなどが挙げられます。

発信者が匿名なら法的責任は追及できない
インターネット上の誹謗中傷や過度な批判の多くは、匿名で行われています。
匿名で誹謗中傷などをしている人は、「匿名である以上は法的責任を追及されるはずがない」などと考えているのかもしれません。
しかし、匿名であっても法律上問題のある行為をすれば、発信者情報開示請求などによって相手を特定することは可能です。もちろん、匿名であることを理由に、法的責任が問われないなどということもありません。

お店や会社の悪口なら法的責任は追及できない
個人への誹謗中傷ではなく、お店や会社の悪口であれば法的措置を追及できないと考えている人もいるでしょう。
しかし、これは誤解です。
もちろん、常識的な範囲での口コミであれば、法的責任を問われることはないでしょう。
一方で、嘘の口コミでお店や会社の信用を毀損したり社会的評価を低下させたりした場合などには、刑罰の対象となったり、損害賠償請求をされたりする可能性があります。
実際に、「この店はコロナでやっていない」などと嘘をついて飲食店の信用を傷つけたとして、19歳の少年が逮捕された事例も存在します※。
これはインターネット上の事例ではありませんが、インターネット上でこのような嘘の口コミを書き込んだ場合にも、同様の罪に問われる可能性があるでしょう。
※朝日新聞:「この店はコロナ」ウソついた疑いで少年逮捕愛知県警

有名人は「有名税」があるから批判や誹謗中傷をしてもよい
SNS上などで、「有名税」という言葉を目にすることがあります。
これは、「有名人であれば、多少の誹謗中傷などをされても仕方がない」というニュアンスで使用されることが多いようです。
しかし、有名税などという制度は存在せず、明示的な法的根拠はありません。誹謗中傷をした相手が有名人であったとしても、そのことだけを理由に罪が減免されたり損害賠償請求が免除されたりすることはないので、誤解のないよう注意しましょう。
むしろ、有名人であれば名誉毀損などによる影響が大きくなる傾向にあるため、損害賠償請求額が高額となる可能性さえあります。

誹謗中傷や行き過ぎた批判の被害に遭ったら
誹謗中傷や、行き過ぎた批判の被害に遭ったら、どのように対処すればよいのでしょうか?
 基本の対処方法は次のとおりです。

証拠を残す
インターネット上で誹謗中傷や行き過ぎた批判の被害に遭ったら、まずは証拠を残しましょう。
証拠がなければ、発信者情報開示請求などが難しくなってしまうためです。
証拠を残す方法としては、たとえば次の内容がわかるスクリーンショットを撮影することなどが考えられます。

・書き込みの内容 ・書き込みの日時 ・書き込みのURL ・SNSなどの場合には、相手のユーザー名やアカウント名、相手のプロフィールページ なお、スクリーンショットを撮影する際には、画像ではなくPDFで保存することをおすすめします。
画像でのスクリーンショットの場合、URLなどが不完全となる可能性が高いためです。

できるだけ早く弁護士に相談する
書き込みの証拠を残したら、できるだけすぐに誹謗中傷問題に強い弁護士へ相談しましょう。
誹謗中傷への法的措置は、時間との勝負です。
そのため、できれば当日か翌日などには相談ができるとよいといえます。
なお、書き込みの内容によっては、すぐに削除してほしいと考える場合もあるでしょう。
しかし、可能であれば、弁護士への相談までは削除請求をしないことをおすすめします。
なぜなら、スクリーンショットの撮影に漏れや不備があった場合には追加での撮影が必要となるものの、すでに投稿が削除されていれば、追加撮影が困難となるためです。

単なる「批判」と諦めずに弁護士へ相談を
誹謗中傷と批判に、法律上、明確な線引きがあるわけではありません。
いずれであっても、名誉毀損罪などそれぞれの罪の成立要件を満たすのであれば、刑事罰の対象となる可能性があります。
また、書き込みによって損害が生じた場合には、損害賠償請求の対象となる場合もあるでしょう。
「批判ともとれる内容だから、法的措置は難しいかもしれない」などと自己判断で諦めず、まずは弁護士へご相談ください。

   Authense 法律事務所
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2023年09月10日

非公然に存在する自衛隊「別班」のスパイ活動は首相もコントロールできない…極秘組織の知られざる成立経緯

非公然に存在する自衛隊「別班」のスパイ活動は首相もコントロールできない…極秘組織の知られざる成立経緯
2023年09月09日 PRESIDENT Online

TVドラマの影響で注目を集めている自衛隊の非公然スパイ組織「別班」。
その取材に5年以上をかけ2013年に「別班は現在も存在し活動している」というスクープ記事を出した共同通信の石井暁さんは「別班は陸上自衛隊の組織図に載っていない。
幹部や防衛大臣はもちろん、自衛隊最高指揮官である総理大臣すらどんな活動をしているか把握しておらず、透明性がない。
民主主義国家である日本にとっては危険な存在だ」という――。
※本稿は、石井暁『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。

■10年前「別班」のスクープ記事を出すまでの取材のきっかけ
「別班」の取材は、ある自衛隊幹部からもたらされた“すごい話”が端緒になった。
手元の取材メモによると、その幹部と会って話を聞いたのは、2008年の4月10日。
彼とはその時点で10年以上の付き合いだった。
場所は都内のレストラン。
赤ワインを飲みながらの会話がふと途切れた直後、幹部は「すごい話を聞いた」と話し始めた。

「陸上自衛隊の中には、『ベッパン』とか『チョウベツ』とかいう、総理も防衛大臣も知らない秘密情報組織があり、勝手に海外に拠点を作って、情報収集活動をしているらしい。
これまで一度も聞いた事がなかった」

事実ならば、政治が、軍事組織の自衛隊をまったく統制できていないことになる。
シビリアンコントロールを大原則とする民主主義国家にとって、極めて重大な問題だ。
直感でそう思い、執拗(しつよう)に質問を重ねたのだが、彼が把握していたのは伝聞で得た情報のみで詳しいことは知らず、会食後に取材メモをまとめてみると、幹部は「ベッパン」と「チョウベツ」という言葉を混同して使っていた。

■公式な諜報機関として「調別」の存在は知られていた
「調別」の正式名称は、陸上幕僚監部調査部別室。
前身の陸上幕僚監部第2部別室時代は「2別」と呼ばれていた。
現在の防衛省情報本部電波部の前身で、いわゆるシギント(SIGINT=SIGNALS INTELLIGENCEの短縮形で、通信、電波、信号などを傍受して情報を得る諜報(ちょうほう)活動のこと)を実施する、公表されている情報機関であって、自衛隊の組織図にも載っていない秘密情報部隊「別班」とは全く違う組織だ。

調別時代から室長は警察官僚が務め、電波部長も例外なく警察官僚がそのポストに就いている。
警察庁にとって手放したくない重要対外情報の宝庫だからだ。
特にロシア、中国、北朝鮮情報については、アメリカの情報機関でさえも一目置く存在だ。
自衛隊幹部から話を聞いたのが、2008年4月10日。

「陸自が暴走」「文民統制を逸脱」「自衛官が身分偽装」といった記事の見出しが脳裏に浮かび、半信半疑のまま翌11日から早速、資料収集や取材を開始した。
そして記事として最初に新聞に掲載されたのが、2013年11月28日。
まさか、5年半以上も「別班」取材に費やすことになるとは、当然のことながらその時はまったく考えなかった。

■別班本部は防衛省の市ヶ谷駐屯地内に堂々と存在する?
取材の端緒になったこの幹部は、いろいろと駆け回って情報収集に努めてくれた。
当初、別班の姿形はまるで見えなかったが、数回会って話を聞いていくうち、やがて濃い霧のはるか向こう側に、ぼんやりとした輪郭のようなものが浮かんできた。

彼によれば、別班は陸上幕僚監部の「第2部別班」を振り出しに、組織改編による「調査部別班」を経て、「運用支援・情報部別班」が正式名称(2008年時点)だという(その後、さらなる組織改編によって2017年3月、「指揮通信システム・情報部別班」となっている)。
通称「DIT」と呼ばれており、どうもこれは「DEFENSE INTELLIGENCE TEAM」の頭文字をとった略称だろうということだった。
トップの班長は1等陸佐で、旧日本軍や外国軍の大佐に相当する。
歴代、陸上自衛隊の情報部門出身者が班長を務め、人事的なルートが確立している。
ただし、全体像を把握する関係者が極めて限られているため、班員数など別班の詳細は不明という。
表向き、別班は存在しないことになっている秘密組織でありながら、陸上幕僚監部運用支援・情報部長(当時)の直属で、本部は防衛省がある市ヶ谷駐屯地内に堂々と存在するともいう。

■主な任務は海外にダミーの拠点を置いてのスパイ活動
別班は、中国やヨーロッパなどにダミーの民間会社をつくって別班員を民間人として派遣し、ヒューミント(HUMINT=HUMAN INTELLIGENCEの短縮形で、人を媒介とした諜報活動、人的情報収集活動)をさせている。
有り体に言えば、スパイ活動だ。

日本国内でも、在日朝鮮人を買収して抱き込み、北朝鮮に入国させて情報を送らせるいっぽう、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)にも情報提供者をつくり、内部で工作活動をさせているという。
また、米軍の情報部隊や米中央情報局(CIA)とは、頻繁に情報交換するなど緊密な関係を築き、自ら収集、交換して得た情報は、陸上自衛隊のトップの陸上幕僚長と、防衛省の情報本部長(情報収集・分析分野の責任者)に上げている。

ではいったい、どのような人物が別班の仕事に従事しているのかというと――陸上自衛隊の調査部(現・指揮通信システム・情報部)や調査隊(現・情報保全隊)、中央地理隊(現・中央情報隊地理情報隊)、中央資料隊(現・中央情報隊基礎情報隊)など情報部門の関係者の中で、突然、連絡が取れなくなる者がいる――それが別班員だというのだ。

■別班は孤独な存在だが、決裁なしに300万円まで使えるとも
いくら自衛隊の情報部門の人間でも、普通は人事システムの端末をたたけば所属先ぐらい簡単にわかる。
しかし、端末を叩いても何もわからない者がいる、との話だった(それでも、“同期”などごく近い人たちは感づくと思うが……)。
別班員になると、一切の公的な場には行かないように指示される。
表の部分からすべて身を引く事が強制されるわけだ。
さらには「年賀状を出すな」「防衛大学校の同期会に行くな」「自宅に表札を出すな」「通勤ルートは毎日変えろ」などと細かく指示される。
ただし、活動資金は豊富だ。
陸上幕僚監部の運用支援・情報部長の指揮下の部隊だが、一切の支出には決裁が不必要。
「領収書を要求されたことはない」という。
情報提供料名目で1回300万円までは自由に使え、資金が不足した場合は、情報本部から提供してもらう。
「カネが余ったら、自分たちで飲み食いもした。天国だった」という。

シビリアンコントロールとは無縁な存在ともいえる「別班」のメンバーは、全員が陸上自衛隊小平学校の心理戦防護課程の修了者。
同課程の同期生は、数人から十数人おり、その首席修了者だけが別班員になれるということを聞いて、すとんと胸に落ちるものがあった(後から、首席でも一定の基準に達していないと採用されないとも聞いた)。
同課程こそ、旧陸軍中野学校の流れをくむ、“スパイ養成所”だからである。

■ほぼ全員が陸自小平学校の心理戦防護課程の修了者
中野学校は1938年7月、旧陸軍の「後方勤務要員養成所」として、東京・九段の愛国婦人会別棟に開校した。
謀略、諜報、防諜(ぼうちょう)、宣伝といった、いわゆる「秘密戦」の教育訓練機関として、日露戦争を勝利に導いたとされる伝説の情報将校・明石元二郎大佐の工作活動を目標に“秘密戦士”の養成が行われた。
1940年8月に中野学校と正式に改称し、1945年の敗戦で閉校するまでに約2000人の卒業生を輩出したとされる。

卒業生の日下部一郎『決定版陸軍中野学校実録』や加藤正夫『陸軍中野学校 秘密戦士の実態』などによると、実際の教育内容は、郵便物の開緘(かいかん)盗読(封を開けたとわからないように読むこと)、特殊爆薬、秘密カメラ、偽造紙幣、盗聴、変装、潜行、候察、開錠、暗号解読。さらには武道、射撃、自動車運転や語学、心理学、政治、経済など、まさにスパイ養成そのものだったことがわかる。
卒業生らは、特務機関員や情報将校となって、日本国内やアジア・太平洋をはじめとする海外で「秘密戦」に従事した。

■旧陸軍中野学校の亡霊のような精神が引き継がれているのか
それでは、この旧陸軍の中野学校と、陸上自衛隊小平学校の関係はどうなっているのだろうか。
小平学校は2001年に調査学校(情報要員養成)と業務学校(会計、警務などの業務要員養成)が統合してできた陸自の教育機関で、情報、語学、警務、法務、会計、人事、システム・戦術の7部からなっている。
警務教育部では、各国軍の憲兵に近い存在の警務隊員養成を目的としている。

情報教育部は第1教育課と第2教育課から構成されている。
第1教育課では幹部上級、幹部特修、陸曹の各情報課程や地誌、航空写真判読などの教育コースがある。
第2教育課は幹部、陸曹の調査課程(防諜部隊である情報保全隊員養成)と心理戦防護課程(別班員などの養成)の各コースからなる。
つまり、第1教育課は“表”の教育コースであるのに対して、第2教育課は“裏”の教育コースということができる。

2018年の機構改革で、富士駐屯地に陸上自衛隊情報学校が新設された。
情報教育部のうち、第2教育課を情報学校第2教育部として小平駐屯地に残し、ほかは情報学校第1教育部に再編、富士駐屯地に移転した。
そのような小平学校において、直接的に中野学校の流れをくむと言われているのが、情報教育部第2教育課の心理戦防護課程だ。
かつては対心理情報課程と称していたが、1974年、現在の名称に改称された。

■中野学校の教官が前身の調査学校で教えていた
中野学校と、小平学校情報教育部の第2教育課心理戦防護課程との連続性は明白だ。
たとえば、元中野学校教官だった藤原岩市が、小平学校の前身である調査学校(1954年発足)の校長を務め、やはり元中野学校教官の山本舜勝が調査学校の副校長に就いていた。
調査学校の初期の教官には、中野学校出身者が多かったとされる。

藤原岩市は太平洋戦争開始直前、タイのバンコクに特務機関「F(藤原)機関」を創設し、機関長として対インド侵攻などの工作活動に従事した“伝説の情報将校”だ。
調査学校の校長時代には、対心理情報課程(小平学校情報教育部第2教育課心理戦防護課程の前身)を設置している。

山本舜勝は陸軍大学校卒業後、参謀本部参謀などを経て、中野学校教官として謀略論を担当した。
陸上自衛隊入隊後は藤原の指示で米軍特殊戦学校に留学し、帰国後、対心理情報課程創設に直接関与している。

中野学校と小平学校の心理戦防護課程の教育内容は、恐ろしいほど似通っている。
心理戦防護課程はまさに、歴史上、敗戦で完全消滅したことになっている“中野学校の亡霊”とも言える存在なのだ。

■告白本によれば非公式のスパイ組織を復活させたのは米軍
そもそも、旧帝国陸軍の“負の遺伝子”を引き継ぐ別班は戦後、なぜ“復活”したのか。
1970年代から関係者による一連の告白本が刊行されるまで、その誕生の経緯は長い間、謎とされてきた。
しかし、元別班長の平城弘通(『日米秘密情報機関』の著者)によれば、1954年ごろ、在日米軍の大規模な撤退後の情報収集活動に危機感を抱いた米軍極東軍司令官のジョン・ハル大将が、自衛隊による秘密情報工作員養成の必要性を訴える書簡を、当時の吉田茂首相に送ったのが、別班設立の発端だという。
その後、日米間で軍事情報特別訓練(MIST=MILITARY INTELLIGENCE SPECIALIST TRAINING)の協定が締結され、1956年から朝霞の米軍キャンプ・ドレイクで訓練を開始。
1961年、日米の合同工作に関する新協定が締結されると、「MIST」から日米合同機関「ムサシ機関」となり、秘密情報員養成訓練から、情報収集組織に生まれ変わった。
「ムサシ機関」の日本側メンバーは、陸上幕僚監部2部付で、実体は2部別班。「別班」誕生の瞬間だ。

■1961年に「ムサシ機関」という名になり本格始動した
ムサシ機関の情報収集活動のターゲットは、おもに共産圏のソ連(当時)、中国、北朝鮮、ベトナムなどで、当時はタイ、インドネシアも対象となっていた。
平城によると〈その後、初歩的活動から逐次、活動を深化させていったが、活動は内地に限定され、国外に直接活動を拡大することはできなかった〉という。
それでは、いつから海外に展開するようになったのだろうか。
平城は草創期の別班員の活動について、次のように記述している。

〈工作員は私服ではあるが、本来は自衛官であり、米軍と共同作業をしている。
そして工作員は、自身がいろいろと工作をやるのではなく、エージェントを使って情報収集をするのが建前である。
身分を隠し、商社員、あるいは引揚者、旅行者などと接触し、彼らに対象国の情報を取らせるのだ〉
現在の別班員の姿の原型と考えると、非常に興味深い証言といえる。

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石井 暁(いしい・ぎょう)
共同通信社編集局編集委員
posted by 小だぬき at 07:03 | 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

海外記者がジャニーズ会見に見た日本の「大問題」

海外記者がジャニーズ会見に見た日本の「大問題」
日本が陥っている状況が問題を大きくさせた
レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長
2023/09/09  東洋経済オンライン

9月7日に開かれたジャニーズ事務所の劇的な会見は、私が日本で経験したジャーナリスト人生の中で最も奇妙な体験の1つだった。
ジャニーズ事務所は、これ以上ないほど積極的に報道陣を迎え入れた。
日本人、外国人、主要メディア、フリーランスのジャーナリストなど、誰でも参加できた。
しかも、会見は14時から4時間以上続いた。何十台ものカメラやビデオカメラが彼らを見守った。
どんな質問もタブーではなかった。
報道陣が望めば、何日でも続いただろう。

「家族会議」のような奇妙な会見
しかし、長引けば長引くほど、私たちが知ることは少なくなっていった。
すべての瞬間が妙に空虚だった。
まるで家族会議が開かれ、そこにいる人が皆で一緒に癒やされようとしているようにさえ感じられた。
ジャニー喜多川の何十年にも及ぶ少年への性的加害が認められたにもかかわらず、会場全体がジャニーズ事務所の存続を望んでいるような雰囲気さえあった。

おそらく会見会場にいる誰もが、自ら調査をしなかったことを恥ずかしく思っていただろう。
ジャニーズ事務所はそのトップであったジャニー喜多川が、何百人もの少年に性的加害をしながらジャーナリストからファンまでをその巨大な軌道に取り込み、劣化させ、見て見ぬ振りをさせることに見事に成功してきた。
会見では、ジャニー喜多川は、その旧態依然とした振る舞いが長い時を経てようやく露呈した、孤独で卑劣な「おじいちゃん」として描かれたが、はたしてそうだろうか?

会見直前、私は日刊ゲンダイデジタルに掲載された記事に目を引かれた。
そこには、2005年に発売された元ジャニーズJr.の山崎正人氏が、木山将吾のペンネームで書いた『Smapへーそして、すべてのジャニーズタレントへ』が紹介され、ジャニーズの東山紀之新社長が後輩たちにしていた振る舞いが書かれていた。

「彼はマージャンだけではなく、人のパンツを脱がすことが大好きだった。
僕も何度もヒガシに背後からパンツを引きずり下ろされ、イタズラされたことがある。
そして、パンツを脱いだままよろける姿でいる僕に、ヒガシは『こっちへ来い!』と命令しながら、無理やりに僕の手を引いて、マージャン卓のある部屋まで引き摺っていくのだ」

記事によると、連れていかれた先ではジャニー喜多川が待っており、時折、性器を触られることもあったという。
もし木山の主張が事実でないなら、東山は木山を名誉毀損で訴えるべきだ。
記者会見で筆者を含めて複数の記者がこの点について尋ねると、東山の答えはどんどんと変わっていった。
筆者が最初に尋ねたときは「中身は読んでいないが、事実ではないと思う」としていたが、別の記者が同様の質問をすると、「したかもしれないし、していないかもしれない。よく思い出せない」という趣旨の発言をした。

だが、こんなシーンを忘れることができるだろうか。
アルコール依存症の治療をバーテンダーに任せるよう 私は彼自身に個人的な不満はないが、ジャニー喜多川の「お気に入りの息子」である彼にジャニーズ事務所の更生を担当させるのは、バーテンダーにアルコール依存症対策プログラムを担当させるようなものだ。
東山はジャニーズ事務所の再生にもっとも不向きな人物である。
彼に任せることは、性的加害、そしてその隠蔽を可能にした「喜多川システム」の共犯者たちに庇護を与えることになりかねない。

日本の刑法では、酒気帯び運転をした場合、助手席の同乗者にも運転させた責任がある。
バーテンダーには酒を提供した責任がある。
同じ理屈が、ジャニー喜多川の捕食行為を何十年も野放しにしてきた東山や藤島ジュリー景子前社長、その他の側近メンバーにも当てはまらないだろうか?

真実は、ジャニー喜多川1人で罪を犯すことはできなかった、ということだ。
彼が捕食することを可能にしていた環境があり、彼の悪癖を“助ける”者たちがいた可能性もある。
ジャニーズのタレントたちにも責任の一端はないのだろうか。
彼らが有名であるほど、大人であるほどその責任は重い。

多くは「知らなかった」というが、正確には「知らないふりをしてきた」というべきだろう。
東山は、その最たる例なのではないか。
そして、彼らが見て見ぬ振りをし、真実から目を背け続けたことで、真実を知る機会を奪われた多くの少年たちが、彼らのようなスターになることを夢見てジャニーズに集まってきたのだ。

外圧がなければ放置されたままだった
秘密によって集団が引き裂かれる物語では、しばしば部外者がその秘密を暴露する。
今回はBBCのジャーナリストだ。
モンスターになる前のジャニー喜多川は、たんに心に問題を抱えた人間だったのかもしれない。
彼のそうした問題が早い段階で見抜かれ、有罪判決や治療によって、キャリアの早い段階から正しい方向に戻っていたなら、その素晴らしい才能を善のためだけの力として発揮できたかもしれない。
だが結局、彼は何十年も自分の好きに振る舞うことが許されていた。

日本のメディアは、なぜ自分たちは一部の人々にはとんでもなく小さなネタで嫌がらせをする一方で、大きなネタは眠らせておくのか疑問に思うべきだ。
ジャニー喜多川が何百人もの人間を自由破壊できる一方で、不倫した俳優が事務所から契約を解除されたり、マスコミから執拗な取材を受けたりするのはなぜか。
経済的、社会的衰退のために、海外への日本に関する報道が減少し、日本にポジティブな影響を与えてきた「外圧」が減っている今、日本のメディアはこのことを自ら真剣に考えるべきだ。

「ジャニーズ問題」はすべての日本人の問題だ
ジャニーズの物語はすべての人に影響を与えるものであり、それは今やすべての人の責任である。
社会にとってこれほど悪質な実績を持つ企業と関係を続けるかどうかは、スポンサー企業の判断に委ねられている。
スポンサー企業は、ジャニーズ事務所や、同事務所を支援した企業との関係を完全に断ち切るべきである。

より責任が重いのはテレビ局だ。
テレビ局の中には、早々にジャニーズ事務所所属タレントの番組出演について変更する予定がない旨を表明した局もあるが、開いた口が塞がらない。
テレビ局は、ジャニーズと組むことで社会的責任を回避するのをやめるべきだ。
テレビ朝日はこれからも『#裸の少年』を放送するつもりなのだろうか。
大手テレビ局が、こんなタイトルの番組を放送するのは普通なのだろうか?
テレビ朝日のウェブサイトにある「ESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組み」が何と空々しいことか。

テレビ各局は、「未来志向」の声明を出しているが、本当にそれだけですますつもりなのだろうか。
最低でも第三者委員会を立ち上げ、ジャニー喜多川の性加害について、いつ認識し、それがなぜ報道に至らなかったのか、いつ、誰による圧力や働きかけがあったのかについて、詳らかにすることこそ、メディアとしての責任だろう。
ジャニー喜多川は、残念ながらこの世で最後の異常性癖者ではない。
何の検証もしないで、また彼のような人物が現れたとき、メディアはいったいどうやって再発防止を図るつもりなのだろうか。             
              (敬称略)
posted by 小だぬき at 10:30 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月11日

総理大臣も防衛大臣もその存在を知らない…元自衛隊幹部でも恐れる闇組織「別班」最大のタブー

総理大臣も防衛大臣もその存在を知らない…元自衛隊幹部でも恐れる闇組織「別班」最大のタブー
2023年09月10日 PRESIDENT Online

冷戦時に海外で諜報活動をするため米軍の発案で作られたという自衛隊の“影の軍隊”「別班」。
その実態は謎に包まれていた。
石井暁共同通信編集局編集委員は「取材を続けるうちに、別班が今も存在しているという感触を得たが、記事を出すには自衛隊関係者の証言が必要だった。
2011年、思い切って旧知の陸上幕僚長経験者に質問を投げた」という――。
※本稿は、石井暁『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。

■防衛大臣すら知らない存在を誰に証言してもらえるのか
現在に至るまで、陸上自衛隊が独断で、別班に海外での情報収集活動をさせてきたことについては、取材を通じて徐々に確信を深めていった。
考えたのが、証言だ。
防衛省・自衛隊の高級幹部たちに別班の存在と海外情報活動について認めてもらい、さらに具体的に話してもらう。
OBでもやむを得ないが、できれば現役幹部がいい。
欲を言えば、匿名ではなく実名での証言が望ましい。
さらに、証言者の地位は高ければ高いほどいいし、証言者は単数より、複数(それもできるだけ多数)が望ましい……。
では、具体的にどのポストをターゲットに取材をしていけばいいのか。
防衛省・自衛隊の長である防衛大臣(旧防衛庁長官)については、取材の結果、関係者が一致して「内閣総理大臣、防衛大臣は別班の存在さえもまったく知らない」と証言しており、当初から対象外だった。

■取材拒否が続いた後、陸上幕僚長経験者に切り込んだ
自衛隊幹部、OBらの相次ぐ門前払い、取材拒否に喘ぎながら、なんとかたどり着いたのが、陸上幕僚長経験者だった。
旧知の間柄でもあるこの陸上幕僚長経験者とは、何度も酒席をともにし、一緒にカラオケを歌ったこともあった。
しかし、会うのはいつも呑み屋。冗談以外の会話を交わした記憶がない。
真面目な取材を申し入れること自体、違うような気がして、これまでなんとなく敬遠していた。

2011年7月16日午後9時、室内の灯りがついていることを確認してから、初めてこの陸上幕僚長経験者(以下、Bとする)の自宅のチャイムを鳴らした。
東京都内の閑静な高級住宅地。
はたして、チャイムの音に反応して玄関を開けて出てきたのは、B本人だった。
「石井さん、どうしたの」 部屋着姿でリラックスしていたBは、いつもとは違うこちらの様子に怪訝な表情を見せた。

緊張を隠すため、笑顔で「今日は、珍しく真面目な取材をさせてもらいに来ました」と努めて明るく言うと、「まあ、お上がりなさい」と応接間へ通してくれた。
Bも緊張をほぐすためか、ご家族に缶ビールを持ってこさせ、「暑い。暑い。1杯ならいいでしょう」と言ってコップに注いでくれた。

■実在を把握したら、万が一の時に責任を問われてしまう
形だけの乾杯のあと、ビールを一口含んだところで「別班についてうかがいたい」といきなり切り込んだ。
いつものようにBとだらだら呑み始めたら、肝心のことが聞けなくなる、と焦ったからだ。
すると、Bはそれまでとは違った厳しい口調になり、「もう、別班はないんじゃないか」と曖昧な表現で否定。
続けて「別班だけじゃないでしょう。あの組織はいろいろ名前を変えているので……」と逃げを打とうとしてくる。
そこですかさず、「そうですね。DIT、MIST、別班、特別勤務班、ムサシとたくさん通称名を持っていますね」と相槌を打つと、「俺よりよく知っているな。あそこは何回も組織改革をしているので、現状はどうなのか詳しくは知らない」とようやく別班の存在そのものについては、率直に認めた。

Bはまさに竹を割ったような、真っ直ぐな性格の“軍人らしい軍人”。差しで眼を合わせ、真剣なやり取りをしている中で、嘘をつくことなどできないことは、わかりきっていた。
その後は、覚悟を決めたのか、別班の海外拠点、海外での情報収集活動について、率直に話してくれた。
「陸上幕僚長に就任前も就任後も詳しく聞いた事はなかったし、聞かないほうがよかった。
万が一の事態が発生した時、聞いていたら責任を問われてしまう」
まさに“驚くべき本音”だが、さらに畳みかけるように、陸上幕僚長がどんな責任を問われるのかと尋ねてみた。

■別班は自衛官の身分を離れ海外で諜報活動をしている
「もっとも(別班の)彼らは自衛官の身分を離れているので、陸上幕僚長の指揮下ではないので問題はない。
万が一のことがあっても大丈夫にしてある」
陸上自衛官の身分を離れる方法については、「詳しくは知らない。知らないほうがいい」と明かした。
別班の収集した海外情報をどう評価するのか、との問いには、「陸上幕僚長は毎日、戦略、戦術情報の報告を受けている。
どの情報が別班が収集したものか、駐在武官が収集したものか、情報本部電波部が収集したものかわからないが、そのチーム(別班)の情報も有用と考えていた」と事実上、別班の海外情報収集活動を認めた。 そこで、陸上自衛官が身分を離れて海外で活動することの危険性について質問すると、こう言い切った。

「別に強制されてやっているのではない。俺はオペレーション(運用=作戦)一筋の人間だから本当のことはわからないと思うが、情報職種の人なりのやりがいがあるのだろう。
そうでなくては、危険な任務はできない。
われわれは軍人だから、危険な任務は日常だ」

■別班を指揮しているのは政府や外務省、もしくは…
話題を少し軟らかくするために「別班の本部に行ったことはあるか」と尋ねると、「ないない。(本部は)何回も移転しているからなあ」と笑いながら話したが、一方で「石井さんもいろいろ面白い記事を書いているけど、情報が出ると、情報の出所はけっこうわかってしまうよ」とブラフめいたことも口にした。
別班が陸上幕僚長の指揮下でないなら、いったい誰が指揮していたのか。
運用支援・情報部長か、それとも、その下の情報課長、地域情報班長なのか。

「そうじゃないんだ。もっと違うもの。
政府とか内調(内閣情報調査室)とか外務省とか……」 なんとも中途半端な回答だった。
時間も相当経過していたため、残念なことに最終的にこの場では詰め切れなかった。
だが、Bが最後に継ぎたかった言葉は、「米軍」ではなかったか――私はそう想像した。

何しろ別班は、米軍が自衛隊の情報工作員を養成する目的で始まった、軍事情報特別訓練(MIST)を母体に創設された秘密組織だ。
1975年、日本共産党は別班長の内島が週5日、米軍キャンプ座間に通勤していることを確認している。
その誕生から、米軍が別班を育成してきたとも言えるのだ。
未だにその関係が継続していても不思議ではない。
この日の取材で、いくつか残った疑問については、再度取材させてもらえばいい、と軽く考えていたが、現時点に至るまで再取材の機会はやってきていない。

■「特定秘密保護法案の通過前に」とタイムリミットに焦る
そしてついに、別班取材の成否を決する日がやってきた。
2013年4月16日の衆議院予算委員会で、安倍晋三首相は情報漏洩を防ぐため、罰則規定を盛り込む「特定秘密保全法」の整備に意欲を示し、「法案を速やかに取りまとめ、国会提出できるように努力したい」と述べていた。
加えて、政府は日本版NSC(国家安全保障会議)設置に向け、国の機密情報を流出させた国家公務員への罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案を秋の臨時国会に提出する方向で調整に入ろうとしていた。
法案成立への流れは急速に激しさを増している。もう余裕はない――。

同年7月16日、情報本部長経験者のFと対峙(たいじ)した。
以前、別班について糺(ただ)した時には、別班が現在も存在することだけでなく、別班、現地情報隊と特殊作戦群の一体運用構想についても認めていたが、肝心の別班の海外展開については回答を得られなかった。
そのリベンジを果たすべく、意気込んで取材に臨んだ。

■かつては旧ソ連、韓国、中国の3カ所に拠点があった
決心を固め、真正面から「すいぶん前にもうかがったが、例の別班の海外展開先はどこなのか」と切り込むと、さまざまな話を持ち出して迂回(うかい)しながらも、最終的には海外展開を認め、歴史的経緯と変遷にも言及した。
「かつては旧ソ連、韓国、中国の3カ所だった。
冷戦終結後はロシアの重要性が著しく低下して、韓国、中国が中心になった時期もあった。
現在の最新の拠点については詳しくは知らない」

また、海外での具体的な任務については、「別班員が海外でやっている仕事はいわゆる、ケースオフィサー(工作管理官)だ」と話してくれた。
決定的証言だ――心の中のガッツポーズを見破られないように、冷静に受け止めたそぶりをした。
そして、少し間を置いて「失礼します」と告げるとトイレに駆け込み、メモ帳を広げてボールペンでキーワードを走り書きした。
決して上品な行為とは言えないが、この日は不自然なほどトイレに立っては、走り書きを繰り返した。6
Fからは怪しまれていたに違いない。
何しろ、防衛省・自衛隊の情報収集・分析機関のトップを経験したほどの男だ。
私がトイレに行った回数や時間を冷静にカウントしていても不思議ではない。
しかし、そんなことに構ってはいられない。まさに必死だった。

「別班の海外情報は防衛省内でどう扱われるのか」
こう問いかけると、Fは詳細を明かしてくれた。
「別班長から、地域情報班長、運用支援・情報部長、陸上幕僚長の順に回す。
陸上幕僚副長と情報課長には回さない。
万が一の時(副長と課長が)責任を免れるためだ」
まったくの初耳で、まさに当事者しか知り得ない具体的な証言だった。

■海外で暗躍する別班員の身分もわかり、決定的な証言を得た
収穫はほかにもあった。
非公然情報組織の別班の存在についての認識を求めると、率直に告白してくれた。
「運悪く新聞に書かれたら、自衛隊を辞めるしかないと覚悟していた」

さらにシビリアンコントロールの問題で、首相、防衛相(旧防衛庁長官)の関与についてただしたところ、
「(歴代の)総理も防衛大臣(旧防衛庁長官)も存在さえ知らされていない」と断言。
海外展開する別班員の身分についても、裏の事情まで教えてくれた。
「海外要員は自衛官の籍を外し、外務省、公安調査庁、内調(内閣情報調査室)など他省庁の職員にして行かせる。
万が一のことがあっても、公務員として補償するためだ」

「陸幕(陸上幕僚監部)人事部に別班担当者が一人いて、別班員の人事管理を代々秘密裏に引き継いでやっている」
もう十分だろう――取材はこれ以上ないほどの成果を上げることができた。

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石井 暁(いしい・ぎょう)
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ジャニーズのタレントやメディアを支配した「空気」とは何なのか? なぜ日本人は「空気」に縛られるのか?

ジャニーズのタレントやメディアを支配した「空気」とは何なのか? なぜ日本人は「空気」に縛られるのか?
亀松太郎 記者/編集者 9/10(日) 

ジャニーズ事務所の性加害問題をめぐり、藤島ジュリー景子前社長らが9月7日、記者会見を開いた。
4時間に及んだ会見。藤島前社長や東山紀之新社長らは被害者たちへ謝罪し、反省する姿勢を示したが、その中で出てきた「空気」という言葉が気になった。
ジャニーズのタレントやメディアを支配し、被害の拡大を招いた「空気」とはいったい何なのか。

噂に触れてはいけない「空気」があった
「空気」という言葉を口にしたのは、ジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦氏だ。
ジャニー喜多川氏の性加害について認識したのはいつごろか? そんな質問に対して、井ノ原氏は、小学校6年生ごろにジャニーズ事務所に入ったときに、そういう噂を聞いていたとしつつ、「被害に遭われた方が、相談に乗ってくるとか、そういうことができない空気はあったと思います」と振り返った。

「小学生とか中学生の自分たちが『それ、ちょっとおかしいんじゃないか』『噂、、、聞いたぞ』というようなことが言えなかったのは、本当に今となっては後悔していますが、言い訳になるかもしれませんけれども、なんだか得体の知れない、それには触れてはいけない空気というのはありました」(井ノ原氏)

ものを言えない「空気」で何もできなかった
また、藤島前社長も、叔父であるジャニー喜多川氏の性加害を知らなかったというのは信じられない、という指摘に対して「空気」という言葉を使った。
ジャニー氏の姉であり、事務所の副社長だったメリー喜多川氏を母にもつ藤島前社長は、ジャニー氏の性加害問題に関する暴露本や雑誌の存在は知っていたが、その内容が真実なのか確かめようとしなかったと釈明。
事務所の実権を握っていたジャニー氏とメリー氏に対して、自分の意見を表明することができなかったと説明した。

「その2人に、私が親族であっても、ものを申せなかったという空気が弊社の本当にいびつなところだったと思いますし、それを親族だからこそもっとなにかできることがあったのではないかというのは、もちろん反省しておりますが、当時は何もできなかったです」(藤島氏)

ジャニーズ事務所の中の「空気」が所属タレントや関係者を支配し、ジャニー氏の性加害問題を追及させない状況を作り出していたと言える。

戦後80年たっても「空気」に押し流されている
ジャニーズ事務所の記者会見を論評する討論番組の中でも「空気」という言葉は登場した。
会見後に放送されたネット番組「ABEMA Prime」で、ジャーナリストの佐々木俊尚さんは、今回の性加害問題はジャニー喜多川氏の責任であると同時に、それを許してきた社会の「空気」にも注目する必要があると述べた。
佐々木さんは、評論家の山本七平が書いた著名な書籍『「空気」の研究』に言及しながら、その内容を紹介した。
「日本が太平洋戦争に突っ込んでたのも空気に圧力だったと。
御前会議をやって、戦争やりましょうという話になって、みんな内心では『これは無理だよね、アメリカ相手に戦争なんて』と思ってたんだけど、結局、誰も言えない。
空気に押し流されて。家に帰ってから、将軍が奥さんに『いやぁ、俺はダメだと思うんだよね』とボソッとこぼすみたいな。でも、会議の上ではそういったことを言わない。
そういう空気の圧力があったという話をしている」

佐々木さんは「戦後80年たっても、いまだに同じようなことをやっている」と指摘。
そのような空気に対して、メディアが抵抗するどころか、むしろジャニーズ事務所の意向を忖度して、空気を助長する側に回っていたと批判した。

「空気」とは、我々が抵抗できない「何か」
佐々木さんが紹介した山本七平の『「空気」の研究』は、1977年に発表された。
40年以上前の書物だが、いまも読み継がれている。
そこにつづられているのは、次のような言葉だ。

<「空気」とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である。一種の「超能力」かも知れない>
<もし日本が、再び破滅へと突入していくなら、それを突入させていくものは戦艦大和の場合の如く「空気」であり、破滅の後にもし名目的責任者がその理由を問われたら、同じように「あのときは、ああせざるを得なかった」と答えるであろうと思う>
<「空気」とは何であろうか。それは非常に強固でほぼ絶対的な支配力をもつ「判断の基準」であり、それに抵抗する者を異端として、「抗空気罪」で社会的に葬るほどの力をもつ超能力であることは明らかである>
<「空気」とは、一つの宗教的絶対性をもち、われわれがそれに抵抗できない何か≠セということになる。もちろん宗教的絶対性は、大いに活用もできるし悪用できる>

山本は、日本社会を支配する「空気」について、このように述べながら、西洋文明との対比を通じて、その発生原理や対処法を明らかにしようと努めている。
今回のジャニーズ問題は、日本人の行動をいまだに支配している「空気」について、改めて考える良い機会といえるのではないか。

ABEMAの番組の中で、佐々木さんは「この空気の圧力をどうやって破壊するか」が課題だと指摘した。
その上で、メディアが信頼を取り戻すためには、「なぜ我々が報じなかったかということを、洗いざらい明るみに出すしかないのではないか」と述べている。
posted by 小だぬき at 05:25 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

なぜ「月曜日の朝」は会社に行くのがツラいのか…医師が「7割の人に当てはまる」と指摘する"休日の悪習慣"

なぜ「月曜日の朝」は会社に行くのがツラいのか…
医師が「7割の人に当てはまる」と指摘する"休日の悪習慣"
2023年09月11日 PRESIDENT Online

休み明けにやる気が出ないのはなぜか。
脳神経内科医の田中伸明さんは「月曜日の朝に会社に行きたくなくなるのは、一人暮らしの若い人に多い。
十分なケアが必要なケースもあるが、相談に来る人の7割は『生活パターンの乱れ』に原因がある。
週末の夜更かしや寝だめはやめたほうがいい」という――。
※本稿は、田中伸明『自分のやる気が上がるのは、どっち?』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■休みが長かった分、憂うつな気分も増す
週末の休日が終わる頃、ちょうど日曜日の夕方になると、「明日は仕事か……」と憂うつな気分になることがあります。
「サザエさん症候群」「ブルーマンデー症候群」と呼ばれる症状です。
この症状は学術的に裏付けのあるものではありませんが、多くの人が抱えていると見られ、休み明けは朝からやる気がしないと悩む人も少なくありません。
とくにゴールデンウィークやお盆休み、正月休みの後は、休みが長かった分、憂うつな気分も増すため、気持ちを切り替えて仕事に取りかかるのが難しくなります。

連休明けにやる気が出ない人は、次の2タイプのどちらかではないでしょうか。
@連休を楽しく過ごし、充実した時間を送った人
A連休明けにストレスのある用件がある人

@の連休が充実していた人は、休みが楽しかった分、連休明けの日々への期待値が相対的に低くなるためモチベーションは上がりません。
Aの連休明けに難しい仕事や人とのつき合いが入っている人は、それを乗り越えられるか不安であり、失敗することを想像してどんどん暗い気持ちになります。

@とAのいずれか、もしくは両方に該当している場合、連休最後の日の夜や休み明けの朝は憂鬱な気持ちに支配されることになります。

■「休みの日」と「働く日」の関係を見直す
では、連休明けをやる気のある状態で迎えるには、どうしたらいいかを考えてみましょう。
例えば、最悪の連休を過ごすというのも1つの解決策になるかもしれません。
「早く会社が始まらないかな」「これなら仕事に行っている方が楽しいな」と思えるひどい休日をあえて演出していくのです。
とはいえ、それではせっかくの休みが台無しになってしまいますから、この方法は現実的ではありませんね。

まじめな提案としては、人生を長い時間軸でとらえて、「休みの日」と「働く日」の関係を見直すことをお勧めします。
どういうことかというと、1日単位で休みの日と働く日を捉えるのではなく、5年とか10年単位で考えてみるのです。
すると人生には懸命に働く繁忙期と、調子が悪くパッとしない閑散期があることに気づきます。
実際私も、30代までは医師としてコンサルタントとして、しゃにむに仕事をしていました。
しかし、その後ベンチャーの起ち上げに参画していた40歳のときに大腸がんになり、強制的に自分の生き方を見つめ直す時間をもつことになりました。
人生には波があることを再認識すると、「休み」も「仕事」もどちらも楽しめるようになります。
働けるときは全力で働き、休めるときは全力で休む──。
そんなふうに、自分と休み、自分と仕事の関係性を見直すと、やる気が大きく上下動することはなくなるはずです。

■原因の多くは、週末に乱れた睡眠サイクル
誰にでも「今日は会社に行きたくない」と思う日があるでしょう。
そんなときはいっそ休んだ方がいいのか、それとも頑張って行ったほうがいいのか? 皆さんはどちらだと思いますか?
脳科学的には、「休んだ方がいいケースが多いが、休まずに行ったほうがいいケースも少なくない」となります。
私のクリニックにも、「会社に行くのがツラい」と相談に来る人が多いですが、ツラいと感じる理由を聞いた上で、休む・休まないを判断し、アドバイスしています。
月曜日の朝になると会社に行きたくなくなる、週明けになると仕事がイヤで会社を辞めたくなる……と訴える患者さんが一定数います。
一人暮らしの若い人に多い相談です。 もちろん、深刻な原因があり、十分なケアが必要なケースもありますが、7割の人は生活パターンの乱れに原因があります。
本人は「上司との関係が悪いからだ」「会社との相性が最悪だから……」と不調の原因を挙げてきますが、じっくり話を聞くと、週末に睡眠のサイクルがずれており、それが月曜日の不調の原因となっている場合が多いのです。

■「時差ボケ」のような状態が月曜の朝をツラくする
実際、金曜や土曜日の夜に夜更かしをして、次の日は昼まで寝ているような生活を送れば睡眠のサイクルは崩れていきます。 そのまま日曜の夜になって「明日は会社だから」と早めに寝ようとしますが、当然眠くならないわけです。
結局、睡眠不足で月曜日の朝を迎えることになり、体はだるくて動かない……。
自業自得にもかかわらず、「このダルさの原因はきっとストレスだ」と考えて、仕事や会社での人間関係などに原因を求めるのです。
原因を誤解するのは、寝不足で遅刻をしたり、ミスをすることが多いため、上司からの評価が下がり、その下がった状態をとらえて「自分は上司に嫌われている」と思い込んでいるからでもあります。
こうしたケースは、週末の生活パターンを立て直すだけで解決します。
週末に、あなたが引き起こした“時差ボケ”のような状態が、月曜日の朝をツラくさせているだけ──。
そう説明すると、不満げな表情になる人もいますが、実際に生活サイクルを整えると多くの人はツラさがだいぶ解消されます。
月曜日の朝になると、会社に行きたくないと感じる人は、週末の生活を見直してみることをお勧めします。
見直さないまま会社を休んでしまうと、ずるずると火曜日も水曜日も休み続けることになりかねないので、注意が必要です。

■医師がサラリーマンに休職を勧めるケース
一方、医師として会社を休んだり、休職することを提案するケースもあります。
本人が無理して出社したものの、普段のように働くことができず、頑張っているのに評価が下がってしまう場合です。
ツラさの原因は、対人関係の悪化や仕事の分量の問題、人事異動など環境の変化にあることが多いですが、本人がそれをうまく言葉にできないときは、質問をしながら原因を探っていきます。
そしてひとまず休むことを提案します。

休息による心身の回復が必要だからです。
その後休職した場合は、休みながら次のステップを探っていきます。
上司との人間関係が原因なら、部署を変える方向で復職を目指すなど、休みが明けた後のことを見据えて動いていきます。
復職後の対策をしないまま、ただ休み続けるのは避けたほうがいいです。休むことで体がラクになったとしても、休職した原因が解消されていなければまた同じことが繰り返される可能性が高いからです。

■面談の時間を取ってツラさの原因を探っていく
人間とは不思議なもので、会社の椅子に座るまでは「会社がイヤだ」と感じていても、作業が始まると集中できるというケースもあります。
一見、仕事に意欲的に取り組んでいるように見えるため、上司は部下のメンタル不調に気づくことができません。
もしあなたの部下が「調子が悪い」「会社に行きたくない」などと相談してきてくれたときは、聞き流さず、しっかりと向き合ってほしいと思います。
「2、3日休んで、様子を見て」「もうひと頑張りしたら、繁忙期も過ぎるから」などと適当にアドバイスするのではなく、面談の時間を取って一緒にツラさの原因を探ってあげてください。

「会社に行くのがツラいときは休んでもいい? 休まない方がいい?」という問いに対する正解はなく、1人ひとりのツラさの原因に応じた対応の仕方があるのです。

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田中 伸明(たなか・のぶあき) 脳神経内科医
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2023年09月12日

ジャニーズと戦った元文春編集長が、記者会見を見て感じたこと

ジャニーズと戦った元文春編集長が、記者会見を見て感じたこと
木俣正剛 元週刊文春・月刊文芸春秋編集長
2023年09月11日 ダイヤモンドオンライン

■今でも忘れられない「ジャニーズの女帝」の言葉
 ジャニーズ事務所の元副社長・メリー喜多川氏から聞いた、忘れられない言葉があります。
「木俣さん、私はね、タレントには手を上げませんよ。顔に傷つけたら、商品ですからね。
だけど、スタッフには手を上げます。身体で覚えさせるしかないこともあるから」
 このセリフ、それほど昔の話ではありません。
2015年、SMAP解散の契機となった『週刊文春』でのインタビュー記事の直後、彼女が文春を訪れたときに言い放った言葉です。
「メリーさん、今の時代、体罰をやっているなんてことを言うもんじゃないですよ。しかも、あなたは副社長。
私はマスコミですよ」
 そう軽く言い返しながら横を見ると、同席していたジャニーズの女性弁護士が下を向いたまま、聞かなかったふりをしていました。

 インタビューは、「SMAPは踊れない」「飯島(SMAPを育てた女性マネージャー)は踊れる子を育てられない」「だからジャニーズは任せない」「出て行きたいならSMAPを連れて出て行きなさい」と、取材班の目の前で激しくSMAPとそのマネージャーをこき下ろす内容でした。
「聞いたことは全部書いていい」と言われていたし、抗議を受ける立場でもないのですが、担当役員である私や新谷学編集長などが呼び出されて、延々と文春への長きにわたる恨みを聞かされました。
数時間長広舌をふるい、最後に一言。
「でも、おたくの編集長(ジャニーズとの裁判が起きたときの松井清人編集長)って、お子さんいらっしゃらなかったのよね。
それじゃあ、子どものことなんかわからないかも。ごめんなさい、人様のプライベートなことを言って……」
 そして、巨大なリムジンに乗って帰って行きました。

 もう80代というのに、黒い革ジャンに黒い革パンツの颯爽とした姿が似合う女性でしたが、その一方で、この人の下で働くのは願い下げだと思ったことを、9月7日に開催されたジャニーズ事務所の記者会見を見ながら、昨日のことのように思い出しました。

「ジャニーズ崩壊の第一歩」
――私は、ジャニー喜多川氏の性加害問題についてジャニーズ事務所が開催した、4時間12分におよぶ記者会見が終わったあと、そう感じました。
いや、「誰しもそう感じただろうな」と思ったのですが、翌日の新聞やスポーツ紙には「東山新社長・人類史上もっとも愚かな事件」「鬼畜の所業」といった見出しが並び、事務所が全面的に反省し、補償に応じる構えであることを強調した、ある意味、好意的な記事がほとんどのように見えました。

 相変わらず芸能メディアも大マスコミも、問題の本質から目を背けているのではないか――。
私はジャニーズと孤独な戦いを続けた週刊文春の当時の指揮官として、脱力感を覚えてしまいました。

なぜいるべき人たちが 出席していないのか
 最初に疑問を感じたのは、記者会見の出席メンバーでした。
東山紀之新社長、井ノ原快彦ジャニーズアイランド社長、そして藤島ジュリー景子前社長が出席しているのは妥当だと思います。
しかし、当然出席しているべき白波瀬傑副社長は辞任したという理由で欠席。
いつも記者会見に同席している顧問弁護士も出席していません。
代わりに、西村あさひ法律事務所の木目田裕弁護士が同席しています。

 会見の趣旨を考えると、ジャニーズとは関係性の薄い人が同席していて、本来いるべき人たちがいないのです。
「人類史上最も愚かな事件」の実態を解明し、補償することを宣言するのが会見の趣旨のはずなのですが、それなら危機管理専門の弁護士が出席する必要はありません。
危機管理の目的は英語でいえば、リスクコントロールとダメージコントロール。つまり、事務所のイメージがなるべく悪くならないように記者会見を運営することですから、最悪の事件の解明に必要な人なのかは、疑問です。

「鬼畜の所業」による被害者への補償を認定するためには、相当な専門的技術が必要です。
何よりも、ジャニー氏とメリー氏の2人だけで取締役会も開かれない密室で決められていた会社の運営について詳しく証言できる人がいないと、補償のための実態解明が不可能になるからです。
 ご存じのように、週刊文春はジャニー喜多川氏による性加害を裁判で認定させることに成功しました。
当時、ジャニー氏側の弁護士が詳細に彼の反論を聞き取って弁護をした以上、どういう風に言い訳をしていたかを証言できるのは、その顧問弁護士だけなのです。

 また、これまでジャニーズと対立するメディアに自社のタレントを出演させない、ジャニーズタレントの登場する広告を掲載させないといった判断は、同社の広報部門が行っていたはずです。
その責任者だったのは白波瀬前副社長です。
実情はどうだったのかを本人に聞いてみないと、今後のマスコミとの関係を進歩させることはできません。
 このように、ジャニーズ事務所の内情をよく知る弁護士や役員が記者会見に出席しないのなら、マスコミがいくら質問したところで、補償のための取り組みについて聞けることは限られています。
 この時点で、ジャニーズ事務所の本音が透けて見えたと思ったのは私だけでしょうか。

記者会見は、正直的を射ないものでした。
私は、これからでもいいので、会見に出席しなかった関係者が別々に記者会見を行い、被害者たちの前でジャニー氏やメリー氏が何を語っていたかを証言する義務があると思います。
 21世紀に入っても、部下に手を上げるのが悪いことではないと思っている経営者の下で働いていたタレントたちが、二人のことを完全否定することなどできるはずはありません。
たとえば今回の記者会見で出た「噂は知っていたが、実際に相談されたことはなかった」などという言葉は、空疎にしか聞こえませんでした。

一般企業の社長就任会見なら 大荒れになったはず
 私は先日、ジャニーズ事務所と一人で戦った芸能リポーター、梨元勝さんの生き方を振り返る記事を書きました。
ベテランの梨元さんがもし今生きていたとしたら、記者会見で東山氏にこんな質問を投げかけたでしょう。
「東山さんは森光子さんと非常に親しく、彼女のことを神様であり恋人だともお話になっていました。
それって、メリーさんの命令だったのですか?
もしそうだとしたらパワハラを受けていたことになるし、違うのなら年齢差(森さん1920年生まれ、東山氏1966年生まれ)を考えると、大組織の社長さんとしてはギネスものの大恋愛事件ですね」

 実際の会見でも、東山氏と森光子さんの関係についての質問は出ましたが、このように相手がはっきり返答せざるを得ない二者択一の質問の仕方ではなかったため、簡単に否定されて、そのまま終わってしまいました。
 ただ、この質問一つをとっても、なぜかメディアは優しい対応で済ませてしまいます。
普通の企業の社長就任会見なら、このような話題が出ただけで大荒れ確実です。

 ある意味救いだったのは、ジュリー前社長が、私財を投げ売ってでも補償をすると示唆したことです。
強すぎる母の下でお嬢様として育った彼女にも、もちろん責任はあります。
しかしメリー氏も、兄の性癖を娘に聞かせたいとは思わなかったはずです。
彼女が現実をほとんど知らなかったというのは事実でしょうし、これを機にすべてを投げ出し、株を売って、静かな余生を送る選択もあったはずですから、これはいい意味での「お嬢様の判断」だと思って、信用したいと思いました。
 それ以外は、ほとんどの言葉が私には疑問に思えたし、また未来や理想形が見えないものでしかありませんでした。

 最も課題を感じるのは、現役タレントの「被害告白」がないことです。
会見でも東山氏は「私の方から聞くわけにはいかない」などと苦しい発言に終始しました。
しかしBBCが火をつけ、世界が今ジャニーズと日本のメディアを見続けている視点は「Me Too」なのです。
同僚や後輩のために、海外で女性たちが勇気を出して声を上げたのは、自らの人権を守るための行為であり、それは結果として、彼女たちや女性全体の地位向上を促しました。

 現役タレントたちが声を上げるのは、立場上、非常に難しい判断であることはよくわかります。
彼らの中にもし悩みを抱えている人がいるとしたら、自らが不利益を被ることなく、安心して相談できる仕組み作りを、ジャニーズ経営陣は早急に行うべきでしょう。

再発防止策を講じる だけでは意味がない
 私は提案します。
今後全マスコミ(キー局と大新聞だけでも構いませんが)が、ジャニーズ事務所やタレントに関する報道に対して事務所から圧力をかけられるようなことがあった場合、それに一丸となって適切に対抗するための「共同宣言」を出してほしいと。
そうでなければ、今回明るみに出た問題は、解決に向けて前進することなく、半年もたてば元の木阿弥に戻ってしまうでしょう。
 またジャニーズ事務所も、世の中の評価を真摯に捉えないと、そう遠くない未来に、立ち行かなくなってしまうはずです。

すでにいくつもの企業が、同事務所のスポンサーを辞退する宣言を出し始めました。
通常、ここからのスピードは早いです。
ジャニーズの今の体制では、失ったスポンサーに復帰してもらえるまでに信頼回復することは、不可能のように思います。

 考えてみれば、再発防止特別チームによる調査や、事務所が発表した構造改革の実効性には疑問符が付くと言わざるを得ません。
事件の当事者であるジャニー喜多川氏が故人となった以上、これから性加害が起こる可能性はないわけで、再発防止策を考えるだけでは意味がありません。
この機に自らの体質を抜本的に改めていくことを、肝に銘じるべきでしょう。

(元週刊文春・月刊文芸春秋編集長 木俣正剛)
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2023年09月13日

「忘れること」は人間最強の武器! 理不尽や不運を乗り切る4つの方法

「忘れること」は人間最強の武器!
理不尽や不運を乗り切る4つの方法
9/12(火)  GOETHE
放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位の
桝本壮志のコラム。

ツイてない日は「見逃せますか選手権」の日と考えるべし
桝本壮志さん 突然ですが、最近ツイていますか?
理不尽なことをされた。 職場で意味なく嫌われた。 パートナーの機嫌が悪かった。 さっきLINEをスルーされた。 ……などなど。生きてりゃ、街中で歯医者の看板に出合うくらいの頻度で「ツイてないこと」が襲ってきますよね。
ですが、これほどツイてないことが起こるということは、そもそも人間は“ツイてない日々を過ごしていく生き物”とも考えられないでしょうか?

なので僕は、人間はオギャーと泣いた日から、運が良くない日常をスルーしていく“見逃せますか選手権”の出走者だと思っています。
そんなに簡単に見逃せないよ。ムカつく上司、ズルい同僚、理不尽なヤツ……。
看過できないヤカラがたくさんいるんだから。そうおっしゃる方も多いでしょう。
では今週も、見逃せますか選手権を勝ち抜く思考法をゆっくり押さえていきましょう。

@見逃せないと、ずっと嫌いなアイツの下僕になる
大声で怒る人、嫌味を言ってくる人、他人を出し抜くセコい人など、いくら「近づかないようにしよう」と思っていても、学校の席替えのように“事故物件”は近くにやって来ます。
しかし、彼らの言動にいちいち引っかかって、「何であんなことするんだろう?」と気を揉んだり、眠れない夜を過ごしたりしている時間は、ずっと“その人が主人公”。
わざわざ嫌いな相手のために、あなたが時間を割いているのです。
さらに、彼らが周囲にバラまいている「怖さ」「ズルさ」「セコさ」の正体は“弱さ”です。
臆病だったり、ズルをしないと勝てなかったり、セコくないとお金を手にできなかったり、彼らは“弱さ”から自己防衛に励んでいるんです。
なので、強いあなたが許してあげましょう。

A「忘れること」は人間の最強スペック
ふと学生時代の友達や教室を思い出して「なつかしいなぁ」と思うことはありませんか?
 ひょんなことで過去の思い出が蘇って、甘酸っぱい感覚や、郷愁に浸れるのは“一度、忘れたから”。
そう、人間が持っている能力の中でも“忘れる”は最強のスペックなんです。
一度、忘れたから、なにげなく横にいた旧友の温もりを再認識したり、かつて思いついたビジネスアイデアや企画の良さに改めて気づいたりする。
この最強スペックを活用しない手はありません。
さあ、さっさとツイてない事象や人物は忘れてやりましょう。

B 他者の落ち度も、最強スペックで忘れましょう
緊張してプレゼンがボロボロだった、大切なデートに遅刻したなど、自分にさえガッカリするのに他人にガッカリするのは当然なので、他者の失言、失敗、過ちに敏感になり過ぎず、“見逃してあげること”も大切です。
特に昨今の、失敗した人を吊るし上げて、SNSでボコボコにしないと気が済まない風潮からは距離を置いて、“それはその人が克服すべき課題”と許容できれば、あなたの生活にゆとりが生まれます。
なぜそうするべきなのか? 究極は“誰かを許さない人は、誰かに許されない”から。
言い方を変えれば、“うまく見逃せる人は、大切な人からも見逃されない”のです。

C「ツイてる人」の正体は「私はツイてる」と言える人
売れっ子芸人や一流企業の社長さんに、「なぜ成功できたんですか?」と聞くと、「ツイてただけです」と返答する人の多さに驚かされます。
彼らがそう答えるのは“うまくいかなかった”よりも“うまくいった”体験のほうを大切にしているから。
ツイてなかったことは早々に忘れ、うまくいった体験をガソリンにして前向きにやってきた証なんです。

よく“幸せのカタチ”という言葉を聞きますが、その形を作るのは“気分”。
そう“ツイてる人”の正体は“私はツイてる”と言える、思っている人のことなんですね。
では、もう一度、冒頭の質問をしますね。
最近、ツイてますか?
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2023年09月14日

『VIVANT』で話題の「日本の公安警察」…「誰も書けなかった」その正体、「厚いベール」に覆われた知られざる「内側」

『VIVANT』で話題の「日本の公安警察」…「誰も書けなかった」その正体、「厚いベール」に覆われた知られざる「内側」
青木 理(ジャーナリスト)
9/13(水) 現代ビジネス

 TBS系日曜劇場『VIVANT』(日曜よる9時〜)が話題となっているが、役所広司演じるノゴーンベキがかつて「裏切られ​」、阿部寛演じる野崎守の所属する公安警察とはどんな組織なのか? 
 本記事では、〈日本の「治安機関の中枢」といわれる「公安警察」の知られざる内側〉に引き続き、公安警察の組織構造と役割について、くわしくみていく。  
*本記事は2000年1月に刊行された青木理『日本の公安警察』から抜粋・編集したものです。

  さて警察庁警備局の組織を簡単に検証することを手始めに、日本の公安警察の巨大な塔へと分け入っていこう。
警備局は警備局長を筆頭とし、配下に警備企画課、公安第一課、公安第二課、公安第三課、警備課、外事課の計六課を置いている(次図参照、以下「第」を省略)。

 なかでも警備企画課は「警備警察に関する制度及び警備警察の運営に関する企画及び調査に関すること」
「局の事務の総合調整に関すること」(警察庁組織令)などを行う警備局の筆頭課であり、いわば公安警察の「中央センター」である。
 以下、同等の格付け(実態は違うが)を持って、公安一課から三課、警備課、外事課が存在し、対象団体や機能別にそれぞれが各都道府県警の公安部、警備部を睥睨する体制が取られている。

 公安一課は共産党を中心に、労働組合など大衆団体の情報収集を担当する、公安警察における「花形」である。
最近では課内に特殊組織犯罪対策室と命名されたセクションが配置され、オウム真理教に関係する情報の集約もここで行われている。

 公安二課は「極端な国家主義的主張に基づく暴力主義的破壊活動に関する警備情報」(同)を担当する。
主として右翼団体に関する公安情報の収集、犯罪の取り締まりを行っているセクションだ。
皇室やVIPの警護を行う警衛、警護なども同課の担当とされる。

 公安三課は「極左的主張に基づく暴力主義的破壊活動に関する警備情報」(同)や取り締まりを担当。
中核派や革マル派など、公安警察内で「極左暴力集団」と呼ばれる新左翼セクトを担当する。

 警備課は主に機動隊などの警察部隊活動の配備計画などを統括する。

 外事課はスパイ事件や海外に本拠を置く日本人のテロ組織動向、朝鮮半島情勢、旧共産圏諸国を対象にした情報収集活動にあたっている。

 警察庁警備局が公安警察の「頭脳」とするならば、その手足となるのが、強力な中央集権性によって束ねられている全国の都道府県警察の警備部であろう。
中でも首都警察である警視庁には全国の警察で唯一「公安部」と名称を冠せられた部門がそびえ立つ。
日本の公安警察における実働部隊の中枢であり、公安警察の「顔」ともいえる組織だ。

 警察庁の隣、皇居の杜を見下ろすように屹立する地上18階、地下4階建ての白亜のビルが警視庁本部庁舎である。
警視庁公安部の中枢機能は同ビルの13階から15階にあり、公安部長の下に公安総務課、公安一課から四課、外事一、二課、公安機動捜査隊、外事特捜隊が置かれる体制が取られている(次図参照)

 公安部の筆頭課は公安総務課である。
同課は共産党などの情報収集活動を行う一方、部内調整や法令解釈まで幅広く行うセクションであり、警察庁警備局との関連で言うならば、警備企画課と公安一課の業務を包括している。

公安総務課というどことなく平穏さを漂わせる名称とは裏腹に、日本の公安警察における実働部隊の中枢ともいうべき部門である。
 公安一課は、新左翼の各セクト、いわゆる「極左暴力集団」を担当。
少々複雑だが、警備局で言うと公安三課と連動することになる。
公安二課は革マル派や労働団体を担当。公安三課は右翼団体を対象とする。
公安四課は各団体の機関紙誌やビラ、個人データなどの資料を管理するセクションである。

 警視庁を除く各道府県警には、機動隊などの運用を行う部門と一体の組織形態となる「警備部」が置かれ、公安警察部門を包括している。
その規模によって配下にいくつかの課が置かれ、例えば大阪府警では警備部の下に警備総務課や公安一課から三課、外事課などがあり、山口県警を例に取れば、警備部の下には公安課、外事課などがあるだけだ。

    青木 理(ジャーナリスト)
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脳科学から見た、やる気が上がる意外な「口ぐせ」 「グチる」も脳にとって決して悪いわけではない

脳科学から見た、やる気が上がる意外な「口ぐせ」 「グチる」も脳にとって決して悪いわけではない
9/13(水) 東洋経済オンライン

生きている限り、誰にでもやる気が出ない時期はあるものです。
それが長く続くこともあれば、1〜2週間で回復することもあります。
やる気が出ない今の状況を、どうすれば「やる気が出る状況」に変えられるのでしょうか? 

  新刊『自分のやる気が上がるのは、どっち?』を上梓した脳神経内科医でメンタルクリニック経営する田中伸明氏が、脳科学の視点とメンタルケアの実践から、「やる気が出ない」という悩みを根本から改善するために、2つの選択肢を提示しながら、どちらのやり方がより効果的かを3回にわたり解説します。今回が2回目です。

■口ぐせとやる気の関係とは? 
 今回は、やる気が上がる「口ぐせ」について、脳の視点から考えてみましょう。
 皆さんは「きっとできる!」という口ぐせと、「ま、いいか」という口ぐせ。どちらのほうがやる気が上がると思いますか? 
 「きっとできる」のような自分へのポジティブな声かけは、基本的にやる気を高めます。
ただし、逆効果になるケースもあります。

 それは「きっとできる!」と口にして行動した結果、手痛い失敗をしたことが過去にある場合です。
すると「きっとできる!」が、「あのときはうまくできなかった」という記憶を呼び起こすスイッチになってしまい、やる気が下がってしまうのです。
 思い当たる過去がある人は、失敗の原因を分析して「次こそはできる」と思える状況をつくってみてください。

 いい結果を期待できる状況で、今度こそ「きっとできる!」を使うのです。
期待通りの結果が出れば、その後は「きっとできる!」はポジティブな行動を後押しするキーワードになるはずです。

 もう1つの選択肢である「ま、いいか」は、気持ちを切り替えるときのスイッチとなる言葉です。
うまくいかないことが起きたときに、それをネガティブに受け止めてしまう前に、「ま、いいか」とつぶやくのです。
 自分ではどうにもならないことについて、くよくよ悩んでいても精神衛生上よくありません。
だったら「ま、いいか」といったん事実を受け入れてみるのです。
 このとき、できれば声に出して言ってみてください。
すると、モヤモヤした気持ちに対してひと区切りがつくはずです。

 皆さんは毎日のように、「疲れたな」「しんどいな」と言っていませんか? 
 夜帰宅して靴を脱ぎながら「あー、疲れた」。
朝起きぬけに思わず「しんどいな」……。
 無意識のうちに言っているかもしれませんが、こういう場合は心身のどこかによくない状況が起きていて、それが言葉として表出していることがありますから、意識して自分自身の行動をふり返ることをお勧めします。
 「なぜ私は毎日のように、疲れた、と言うのだろう?」  「しんどいって、何がしんどいのだろう?」
 鏡を見ながら、自分に向かって問いかけてみてください。
そして、肉体的に疲れているならば休養を、精神的にしんどいのならば原因を探って、それを取り除くような行動を起こしましょう。

 無意識のうちにこぼれ出るネガティブな言葉は、その原因を意識的に振り返ってほしいという脳からのサインです。
 そんなふうに捉えて、次の行動につなげていくことが大切です。

 一方、意識して「今日は本当に疲れた」とか「マジでしんどいな」とぼやくのは、気持ちを切り替えるうえでは役に立ちます。
感情を吐き出すことで、すっきりすることもあるからです。
 ただし、口にする前に、周りに人がいないことを確認するようにしてください。
周囲の人がその言葉を聞くと、あなたのネガティブな感情に巻き込まれてしまうからです。
 あなたがチームリーダーの場合、メンバーのやる気を下げてしまう可能性もあるので、注意が必要です。

■グチは脳からのメッセージ
 では、最後の質問です。
 グチを言うとやる気は上がるでしょうか?  それとも下がるでしょうか?
  当然下がりそうなものですが、脳科学的には「そうとも限らない」といえます。
やる気を上げる効果までは期待できませんが、グチにはやる気を下げない効果がありそうなのです。

 そもそも人がグチを言うときは、脳があなたに「その問題を見直しなさい」と伝えているのだと考えることができます。  人間関係のグチが多ければ、「その関係を見直したらどうか?」。  仕事がつまらないというグチが多いならば、「その仕事を続けるか考えてみよう」と、脳はあなたに伝えているのです。

 でも、ほとんどの人は考え直したからといって、すぐに人間関係を断ち切ったり、仕事を辞めたりすることはできませんよね? 
 だからグチを言って、現状を変えられない自分と折り合うためのガス抜きをしているわけです。
 現状をすぐに変えることはできないけれど、希望を失わず、変化が訪れるまで今の状況で頑張るためにグチを言っているのです。
 居酒屋でのぼやき合いでやる気は上がりませんが、下げもしません。
グチを言うのをやめて苦しくなるぐらいなら、積極的にグチってしまうのも手だと思うのです。

田中 伸明 :
ベスリ会総院長、日本神経学会認定医、
医師会認定産業医、東洋医学会専門医
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2023年09月15日

秋バテの予防は先手必勝!看護師が実践しているテクニックを紹介

秋バテの予防は先手必勝!
看護師が実践しているテクニックを紹介
9/14(木) サンキュ!

気候の変化と1日の寒暖差が多い秋は、体調をくずすかたが多く「秋バテ」という言葉があるほどです。
じつは、この秋バテ予防は先手必勝。涼しくなる前から取り組むのが効果的です。
秋バテ予防の方法を、看護師・薬膳師としての知識を活かした記事を得意とするライターの薬膳ナースけいこさんに教えてもらいました。

秋バテって何?どんな人がなりやすいの?
「秋バテ」とは、秋におきる不調のことです。
主な症状は… ・疲れやすい ・やる気が出ない ・胃腸症状 ・1日中眠い などの不調を感じるかたが多く、夏バテとよく似ています。
夏バテを引きずってそのまま秋バテに移行してしまうこともありますが、秋バテになりやすいかたは…
・夏に冷たい飲食物を多くとった
・手でさわるとお腹のあたりが冷たい
・元々、胃腸が弱い
・寒暖差があると不調をおこしやすい などの傾向があります。

秋バテ予防に暦を活用する
秋バテ対策は涼しくなってから行うよりも、まだ暑さの残る時期から開始したほうが効果が上がります。
でも、暑い季節は秋のことなど忘れています。
そこで活用したいのが暦(こよみ)です。

暦とは、時の流れを年、月、週、日などの単位で区切り体系づけたものです。
暦の上ではもう○○といった使われかたをすることが多いのは、四季をさらにこまかく6つに分けた二十四節気です。
8月に「暦の上ではもう秋」という情報を聞いたかたは、まだ熱中症警報が出る日もあるのに、実感が湧かないと感じたのではないでしょうか。
少し早めに季節の移り変わりを知らせてくれる暦。
この「少し早い」という性質を利用して、来る季節の健康管理スタートのリマインダーとして活用すると、季節の移り変わりからくる健康状態のゆらぎを和らげることが期待できます。

夏バテを引きずらない食生活
秋バテ予防のために暑さが残る時期に対策しておいたほうがよいことは、夏バテを引きずらないことです。
秋の寒暖差から体温を安定させるために、体はかなりエネルギーを使い、自律神経を働かせる必要があります。
秋の体は体力勝負です。
そこで活用したいのが、冷たいものをとりがちな夏の胃腸ダメージを癒しつつ、消化にやさしい食材で体力をつける食材です。

薬膳では、そのような目的で食材を選ぶときに「イモ類」を使います。
疲れて料理をしたくないときでも、蒸し器やレンジで加熱すれば単品でとることも可能ですし、食欲がないときでもイモ類のポタージュスープは食べやすく栄養が吸収されやすいです。

夏バテで火を使った調理が辛ければ、市販のポタージュスープを活用するのもよいでしょう。
夏よりも秋が疲れるかたは意外と多い 夏の疲れを引きずったまま、気温が下がる、徐々に空気が乾燥してくる秋を迎えると、風邪などの感染症にかかりやすくなったり、疲れが心のコンディションの悪化を招く原因になることもあります。
夏よりも秋のほうが不調を強く感じるというかたは意外と多いです。

季節の変化で心と体のコンディションにゆらぎを感じるかたは、季節の健康づくりを先取りして生活習慣を整えることを始めてみましょう。

■執筆/薬膳ナースけいこ…
薬膳師/看護師/経絡ヨガ指導者/薬膳茶エバンジェリスト。
知って活用、暮らしに溶け込む健康づくりをテーマに情報を発信中

編集/サンキュ!編集部
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2023年09月16日

四年で学んだ諦めること。世の中には頑張っても報われないことがある

四年で学んだ諦めること。
世の中には頑張っても報われないことがある
2023.9.15 2033 view

私は今、大学4年生だ。
2019年、私は受験勉強に必死だった。
とある教授のもとで勉強したくて、来る日も来る日も受験勉強に精進していた。
当時の私は、そこで学べないなら、大学に行く必要はないとまで思っていた。
結果は虚しく、私は周りの大人に説得されて出願していた後期の大学に入ることになった。
今までの自分が全て否定されたような気持ちになったし、新しい目標も見つけられなかった。

◎ ◎

私はもぬけの空になりたかった。
誰とも会いたくなかった。4
しかし、私はきょうだいがたくさんいる家庭の長子で、家族に心配をかけるわけにはいかない。
両親が共働きなので、家事をこなす必要もあった。
私は普通に振る舞わないといけなかった。

自分の部屋はもちろんないから一人になれない。
ほんとはもっと泣きたかったし、誰かに今までの努力を認めてほしかった。
私には強くなる必要があった。
幸か不幸か、2020年春、世の中は大きく変わった。
コロナ感染症が広まり緊急事態宣言が出されるなど、行動が大きく制限されることとなった
描いていたような大学生活のかけらは一ミリたりともなかった。

◎ ◎

2020年のゴールデンウィークくらいに得点開示がきて、合格ラインまで数点だったことを知った。
もちろんこの数点にたくさんの人がいるのかもしれないが、人生がこの数点、センターの問題一問でうまく行っていたと思うととても悔しかった。
私は自分の生まれ持った才能が皆無だから努力するしかないと信じていた。
勉強をすれば学校のテストや模試の結果は良くなったから、努力は報われると信じて疑わなかった。
私の努力不足かもしれないが、世の中には頑張っても報われないということを学んだ。

私は受験の失敗やコロナ感染症拡大というこの四年間の大きなイベントから、諦めることを学んだ。
そして、受験が終わるまで、勉強をやっていたおかげで他に趣味はなく、空っぽな人間だということに気付かされた。
そして、真面目に向き合うことができていた勉強にも「どうせやっても無駄」という思いがどこからか生まれてしまい、それまでのように真面目に取り組むことができなくなった。

授業を聞く分には知的好奇心が刺激されて良いのだけれども、知識の定着をする勉強にしっかりとは取り組めなくなった。
こんなに適当でも生きていけること、成績も悪くはなりはしないことが不思議だった。
容量のいい人はもっと早くに気づいて、余暇を充実させて生きていたのかもしれない。
私は昔の自分が馬鹿馬鹿しく思える。

  ◎   ◎

それまでの私は、本当に諦めが悪い(よく言えば一途に粘り強い)人間だった。
自分が怠けてるからよくないことが起きる のだと信じていた。
周りが見えていなかった。
しかし、それはとても傲慢な考えだと思った。

私みたいは何の才能もない人間が、努力だけで何でもできるようになるんだったら、世界中の才能に溢れた人たちが、どんな困難をも穏やかに乗り越えてきただろうし、世の中をもっと良くしていたはずだ。
それがそうはなっていない。

大人に近づくということは、選択していくこと。
裏返すと、自分の限界を見出し、諦めていくことなのかもしれない。

子どもの頃、キャラクターになりたいなどと憧れていた自分が懐かしい。

■ぷにたんのプロフィール
都内在住の大学生 
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2023年09月17日

ウォーキングは「1日1万歩」より、はるかに現実的な "歩数" で十分と判明! 新研究で明らかに

ウォーキングは「1日1万歩」より、はるかに現実的な "歩数" で十分と判明! 新研究で明らかに
9/16(土) Harper’s BAZAAR(ハーパーズ バザー)

毎日ウォーキングすることには無数のメリットがある。
「1日1万歩」が目標だと聞いてはいるものの、多くの人にとってはなかなか達成できる歩数ではない。
長生きや減量に必要な特定の歩数はないことは多くの専門家が発見しているが、ついに新しい研究から、あらゆる健康にメリットがあり、達成しやすい1日当たりの歩数目標がわかった。

心臓血管系の医学雑誌『European Journal of Preventive Cardiology』に掲載された研究では、世界の22万人以上(平均年齢64歳)を対象にした17の長期的研究のデータを分析。
1日当たりの歩数と、あらゆる原因による死亡率(死亡リスク)、特に心疾患による死亡リスクに注目した。
その結果、1日3867歩で、あらゆる原因による死亡リスクが低下し始め、1日2337歩でも心臓病で死亡するリスクを低減するのに役立つことを発見。
つまり、1日2300歩以上歩けば、心臓の健康に違いが生まれるのだ。

さらに、少し変化を加えることで大きな違いをもたらすこともわかった。
1日にさらに1000歩多く歩くと、どんな原因による死亡リスクも15%低減。
500歩歩くと心臓病による死亡リスクが7%低減するのだ。

なぜ、ウォーキングが健康維持のために、そこまで重要なのか 心臓血管の健康には運動が重要だと、心臓専門医のジェーン・モーガン医学博士は言う。
「ウォーキングは非常に効果的な有酸素運動である上、気分や認知力も高めます。
また衝撃が少なく体重負荷で、ほとんどの人ができます」

ウォーキングは健康的な体重の維持や血圧・血糖値低下、心臓病リスクの低減にも役立つとモーガン博士。
さらに体重負荷のため、骨量減少を遅らせられるとも言う。
「歩くと、骨は引力に逆らって機能するので、骨粗しょう症で骨量が減るのを遅らせたり、骨粗しょう症のリスクを低減したりする可能性があります」

特に年齢を重ねるにつれて、骨を強く健康に維持することが重要になると博士。
ウォーキングは脚の静脈瘤の改善やエネルギー増強、睡眠の質や認知力、想像力や生産性の向上にも役立つ。
「簡単に言えば、ウォーキングは心臓の健康にいいだけではなく全体の健康にいい運動なので、もっと評価されるべき運動なのです」

さて、1日何歩歩くべき?
1日1万歩というのはあくまで任意の歩数だとモーガン博士。
「素晴らしく、完全で活発な歩数ですが、そうはいっても、やはり任意です」。
たとえほんの少しでも構わない、どんな歩数でもいいから、まずは歩くことが重要なのだと言う。
アメリカ心臓協会(AHA)は、心臓を最善の健康に維持するには、適度から激しい運動を1週間に150分するよう推奨している。
歩くことに限らず、1日30分を5日に分けて運動したり、1回10〜15分と短時間でもいいと、コロンビア大学アーヴィン・メディカル・センターの心臓病部医療科学准教授ブルック・アガワル博士は言う。
歩く距離や歩数だけが健康メリットを測る基準ではなく、ペースも大事だとモーガン博士は言う。

「1日当たりの歩数とは別に、速く歩くと、よりメリットがあるのです」
年齢や病状によって個人差があるので、1日当たりの目標を定める際は医師に相談することを、心臓病専門サイト『Cardiology Consultants of Philadelphia』の心臓病専門医ブレット・ビクター医学博士は勧める。
「多くの人は1日の歩数を記録するアプリを持っていますから、それに1000歩プラスすることを目標にするのもいいでしょう」

結論 この研究では、1日15分、1週間に4回歩く高齢者は、歩かない人より長生きしたことがわかっているとモーガン博士。「さらに、高齢者は1日11分運動するだけで心疾患や脳卒中、がんのリスクを低減する可能性があります」
ウォーキングはもっと評価されるべき、心臓の健康にいい運動だとも博士は言う。
ビクター博士はほとんどの人が1日当たりの歩数ばかりを過大評価しすぎているようだと言う。

「ウォーキングする時は、単にA地点からB地点に移動するのではなく、“運動で”歩いているのだと意識するようにしましょう。
意識を変えるだけで、ただブラブラ歩くより速く歩くことができ、よりカロリーを燃焼する可能性が高くなります」
歩数を記録すると、歩数が増える可能性が高くなるともビクター博士は言う。
「負けず嫌いな人は、パートナーや友人、あるいは自分自身に挑戦して、翌週はもっと歩数を増やそうとすることもできます」

さまざまな運動が流行しては消え、ランニングでさえ、全体的な健康メリットに関しては評価されたりされなかったりしてきた。
だが、ウォーキングには決して流行り廃りがなく、常に健康にいいと博士。
ウォーキングは、ともするとランニングや他の高強度のエクササイズほど優れていないと見下されがちだが、早歩きは心臓の健康向上に完璧な激しさがありながら、けがのリスクは少ないとアガワル博士は言う。

「ウォーキングは素晴らしい運動で、誰でも簡単に実行できます。自然の中を歩くとメンタルヘルスを向上させるメリットもありますよ」 
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2023年09月18日

99%と100%が決定的に違う理由

99%と100%が決定的に違う理由
2023年09月17日 ダイヤモンドオンライン

頑張っているのに成果が出ない。
どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。
そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。
「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。
猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。
コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。
本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。

■99%と100%は何が違う?
 99%と100%は「1%しか違わない」と思う人が多い。
 だが、本当にそうだろうか。
 私にとってこの差はものすごく大きい。  正直、「1%以上に大きい」と感じている。

 ここでいう100%には2つの意味がある。
 一つは周囲から見て完璧な状態を目指すこと。
 もう一つは自分なりの100%を目指すこと。

 まず、前者の話をしていきたい。
 本書で何度か触れてきたが、私たちが扱っている製品は、ほとんどが後発だ。
 空飛ぶ自動車のような特別な新製品をつくってきたわけではない。
 充電器、バッテリー、ケーブル、イヤホンなど、どれも新たに製品カテゴリーをつくったわけではない。

 私たちはレッドオーシャンに船を漕ぎ出した。
 すでに競合が多数存在し、競争が激しくなっている市場に後から進出した。
 レッドオーシャン市場は、競合が多いことから新規参入でのシェア拡大は困難で、価格競争が起こりやすいことから、資本力がない企業は難しい市場とされている。
 それでもシェア1位を獲得した。

■最後の最後で効いてくる習慣
 なぜ1位になれたのか?
 本書では第4章まで 「全体最適」 「バリューを出す」 「学ぶ」 「因数分解」  という4つの習慣を話してきた。
 ここからは「1%にこだわる」という第5の習慣を紹介する。

 これが実は、シェア1位になるために、最後の最後で効いてくる習慣だ。
 アンカー・ジャパンの急成長を見て、「特別なこと」をやったと思っている人が多いかもしれない。
 だが、ウルトラCは私個人の感覚では一度もない。
 当たり前のことを積み上げてきただけ。
 だからこそ再現性があるといえる。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)
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ネットの誹謗中傷、誰もが「被害者」にも「加害者」にもなり得る 傷つける側にならないためには

ネットの誹謗中傷、誰もが「被害者」にも「加害者」にもなり得る 傷つける側にならないためには
9/17(日) AERA dot.

侮辱罪が厳罰化されたが、ネット上での誹謗中傷が後を絶たない。
なぜなのか。私たちに求められること何か。AERA 2023年9月18日号より。

 20年5月、プロレスラーの木村花さん(当時22)が、SNSでの容赦のない中傷に悩み、命を絶った。
 この痛ましい事件を受け昨年7月、「侮辱罪」が厳罰化された。
「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」から、「1年以下の懲役・禁錮か30万円以下の罰金」が加わった。
公訴時効も1年から3年に延びた。
さらに、昨年10月には「プロバイダー責任制限法」の改正法が施行され、誹謗中傷した投稿者の情報開示までの期間が1年ほどかかっていたのが、数週間から半年程度に短縮された。

 それでも、ネットで相手を傷つける罵詈雑言は止まない。なぜなのか。
 刑事法が専門の専修大学の岡田好史(よしふみ)教授は、「侮辱罪の厳罰化がなされたことが多くの人の間で薄らいでいることが問題」と指摘する。
「法律ができると一時的に事件は沈静化します。
昨年、侮辱罪が厳罰化された前後は、メディアでの情報を通じ、人を誹謗中傷すれば厳罰を受ける可能性もあるということが広がり、一定の抑止効果を果たしました」
 本来であれば、時間をかけて教育や啓発を進め、誹謗中傷についての規範意識を高めていく必要があった。
だが、じきにマスコミでの厳罰化の報道もなくなった。
刑罰がどういうものか市民に伝わらなければ予防効果は薄れる。
こうして、誹謗中傷に対する人々の規範意識が高まる前に、元の状態に戻ったのではないかという。

「刑法は、犯罪に対して事後的に罰を与えるものです。
インターネットを使う以上、誹謗中傷の被害をなくすことはできないと思います。
だとすると、誹謗中傷は起きるという前提で、対策を取る必要があります」(岡田教授)

 残念ながら、現時点で誹謗中傷に対する特効薬はない。しかし、対処は待ったなしの課題だ。
 ネット上で中傷被害に遭った際の対策として注目されているのが、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)の「誹謗中傷ホットライン」だ。
ネットで相談を受け付け、誹謗中傷に当たると判断した書き込み等は、本人に代わり、プロバイダーに投稿削除の依頼を無料で代行してくれる。
SIAによれば、今年1月からの半年で1119件の連絡が寄せられた。
そのうち「死ね」「生きている価値はない」といった誹謗中傷や、被害者になりすまして行われた誹謗中傷など418のURLの削除等の要請をプロバイダーに行い、262のURLの投稿が削除された。削除率は約63%だ。

SIA事務局の吉井まちこさんは言う。
「削除されるケースがあるので、一人で悩まずに連絡してほしい」

■数百万円の損害賠償も「6秒ルール」で冷静に
 また、総務省の「違法・有害情報相談センター」では、「削除したい」「身の危険を感じる」といった悩みの内容に従い、無料で専門的なアドバイスを受けられる。
 インターネットは「諸刃の剣」だ。
クリックしただけで、誰もが、「被害者」にも「加害者」にもなり得る。
中傷する側にならないためには、どうすればいいのか。

 専修大学の岡田教授は、「教育が大切」と説く。
迷惑行為をした動画のSNSへの投稿や、投稿者を特定して非難するような最近のケースを見ていると、ソーシャルメディアがどのようなメディアなのか十分に認識していない人が多い印象を受けるという。
「飲み屋で他人の悪口を言っているのと同じ感覚なのだと思います。
しかし、ソーシャルメディアに書き込むと、情報は一気に拡散します。
それが相手を傷つけることに結びついていません。
官民において総合的に対策を講じていくことが重要ですが、規範意識を高めていくためには、ソーシャルメディアに対するリテラシー向上や、それを実践できる教育が何よりも重要です」(岡田教授)

 ネットメディア論が専門の国際大学GLOCOMの山口真一准教授は、大切なのは「他者の尊重」と語る。
「つまり、自分がやられて嫌なことを他人にしないよう心掛けることが重要です。
そのためには、投稿する前に文章を読み返し、自分が言われて嫌なことを書いていないか確認する癖をつけてほしい。
また、投稿が侮辱罪や名誉毀損罪などに問われれば、数十〜数百万円の損害賠償を請求されるなど、自分にも返ってきます。そのことも忘れないでほしい」

 自分の感情を吐き出すツールとしてネットを使うのではなく、意見を発表する場として使うことが大切──。
そう話すのは、ネット上の誹謗中傷に詳しい、慶應義塾大学大学院KMD研究所所員の花田経子(きょうこ)さんだ。
「しかも、その意見が、相手にどう伝わるか相手を傷つけていないか、表現に気をつけて投稿する。
そして、自らのネット上での発言を時々読み返し、自分はどういう書き込みが多いのか確認し、客観視することも必要です」

 その上で、花田さんも投稿する際はワンクッション置き、冷静さを取り戻してほしいという。
 具体的には「6秒我慢する」。
これは脳内興奮物質のアドレナリンが分泌されるピークが6秒以内であることから「6秒ルール」と呼ばれ、怒りを自分でコントロールするアンガーマネジメントの教えの一つだ。
花田さんは言う。
「すぐ送信しない、すぐ拡散しない。6秒待って、その言葉が相手にどう届くか、よく考えてほしい」

 2019年の池袋暴走事故の遺族で、ネット上で誹謗中傷を受けた松永拓也さん(37)は、交通事故と同じように、ネットの誹謗中傷で苦しみ、命を絶つ人をなくしたいとの思いから、誹謗中傷対策の必要性も訴えている。
松永さんは言う。
「法律で誹謗中傷の罰則を強化し、SNSを運営するプラットフォーム企業は誹謗中傷の投稿を削除する仕組みなどを確立する。
道徳教育やデジタル教育など教育も大切です。
こうして、あらゆる側面から対策を取っていくことが重要です。
国は、どんな言葉が誹謗中傷に該当するのかガイドラインをつくってもいいと思います」

 炎上目的、正義感、自分の意見──。
どのような理由であっても、言葉は相手を傷つけることがある。
松永さんは、こう言った。 「何を信じて何を言うか、言葉や表現の自由は尊重されるべきです。けれど、自分とは違う意見の人に対し、強い言葉で罵倒するのは違います。
画面の向こうには、心を持った人間がいることをよく考えてほしい」

(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年9月18日号より抜粋
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2023年09月19日

これだけは覚えておいて!「警戒レベル5を待たずにレベル4のうちに逃げる!」|知っておきたい天気のことばvol.2

これだけは覚えておいて!「警戒レベル5を待たずにレベル4のうちに逃げる!」|知っておきたい天気のことばvol.2
近藤肇 気象予報士
9/18(月) Sitakke

「天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!」をテーマに、毎日の生活に役立つお天気情報の”見方”を気象予報士がお伝えします。
記録的な猛暑の夏もようやく落ち着いて季節が進み始めました。
ただし、秋は大雨の季節です。
前線や台風の影響で大量の雨が降って、北海道も何度も洪水被害に見舞われています。 そこで、今回は、本格的な大雨の季節を前に、風水害から命を守るために知っておきたい用語の解説をランダムに、最新の事情を反映した解説をしていきたいと思います。

これだけは覚えておいて!「警戒レベル(5段階)」の基礎知識
「警戒レベル(5段階) ニュースなどでよく耳にしますよね。
用語のくわしい説明の前にこれだけ覚えてください。
「レベル5を待たずにレベル4のうちに逃げる!」
天気警戒レベル.jpg天気警戒レベル.jpg
・・・では、本題です。
大雨に関するニュースや天気予報の中で、「警戒レベル〇」という言葉を見聞きすることがあると思います。
このレベルは、大雨による災害発生の危険度と言い換えてもよいでしょう。
この警戒レベルは、気象庁からの情報をもとに、市町村が発表(実際に発表されるのはレベル3以上)するもので、この情報を受け取った住民はレベルに応じた避難行動が必要です。

主にテレビやラジオで報道されるのは「レベル3」からです。
「レベル3」は「高齢者等避難」と言い換えられます。
危険な場所にお住まいの方の中で、ご高齢の方や体を動かすのが不自由な方は、この段階で避難を始めるようにします。
「レベル4」は「全員避難」。
昔は「避難勧告」と「避難指示」と2種類の避難情報がありましたが、違いが分かりにくいなどの声があり、「避難勧告」は廃止され、いまではこの「レベル4」が「避難指示」と同じことを意味しています。
危険な場所にいる人は全員、このレベル4のうちに、危険な場所から離れて安全な場所にいるようにします。
「レベル5」は「緊急安全確保」です。
この段階ではすでに川があふれて道路が冠水していたり、土砂災害が発生していたり、または、そういった災害がまさに起ころうとしている切迫した状況です。
この段階では、避難所へ移動するため外に出ること自体が危険な状況です。
“緊急”に、いまいる場所でどうやって命を守ることができるのかを考えて、行動します。
家の中でも、浸水から逃れるためできるだけ上の階に上がる、土砂災害から身を守るためできるだけ崖から離れた部屋に移動する、などの行動をおすすめします。

以上、風水害から命を守るために知っておきたい用語の解説をご紹介しました。
“近藤流の解説”ということで、それぞれの用語の定義をそのままコピペするのではなく、わかりやすさ優先のため、定義を多少アレンジして解説しています。
正確な定義を知りたい方は気象庁HPなどで直にご覧になることをおすすめします。

***
:HBCウェザーセンター・近藤肇気象予報士
→X(旧:Twitter)@hajimenokondo

編集:Sitakke編集部 ナベ子
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2023年09月20日

なぜ日本人は「理不尽」を受け入れてしまうのか…学校から「いじめ」がなくならない理由

なぜ日本人は「理不尽」を受け入れてしまうのか
…学校から「いじめ」がなくならない理由
9/19(火)  現代ビジネス

 いま日本はどんな国なのか、私たちはどんな時代を生きているのか。
 日本という国や日本人の謎や難題に迫る新書『日本の死角』が発売たちまち7刷が決まり、普段本を読まない人も「意外と知らなかった日本の論点・視点」を知るべく、読みはじめている。
 「日本の学校から「いじめ」が絶対なくならないシンプルな理由」という論考でそのテーマを深く掘り下げている。
一部を紹介したい。

全体主義が浸透した学校の罪と罰
 学校は「教育」「学校らしさ」「生徒らしさ」という膜に包まれた不思議な世界だ。
その膜の中では、外の世界では別の意味をもつことが、すべて「教育」という色で染められてしまう。
そして、外の世界のまっとうなルールが働かなくなる。

 こういったことは、学校以外の集団でも起こる。
 たとえば、宗教教団は「宗教」の膜で包まれた別の世界になっていることが多い。
オウム真理教教団(1995年に地下鉄サリン事件を起こした)では、教祖が気にくわない人物を殺すように命令していたが、それは被害者の「魂を高いところに引き上げる慈悲の行い(ポア)」という意味になった。
また教祖が周囲の女性を性的にもてあそぶ性欲の発散は、ありがたい「修行(ヨーガ)」の援助だった。

 また、連合赤軍(暴力革命をめざして強盗や殺人をくりかえし、1972年にあさま山荘で人質をとって銃撃戦を行った)のような革命集団でも、同じかたちの膜の世界がみられる。
 そこでは、グループ内で目をつけられた人たちが、銭湯に行った、指輪をしていた、女性らしいしぐさをしていたといったことで、「革命戦士らしく」ない、「ブルジョワ的」などといいがかりをつけられた。
そして彼らは、人間の「共産主義化」「総括」を援助するという名目でリンチを加えられ、次々と殺害された。

 学校も、オウム教団も、連合赤軍も、それぞれ「教育」「宗教」「共産主義」という膜で包み込んで、内側しか見えない閉じた世界をつくっている。
そして外部のまっとうなルールが働かなくなる。
よく見てみると、この三つが同じかたちをしているのがわかる。
 このようにさまざまな社会現象から、学校と共通のかたちを取り上げて説明するとわかりやすい。
あたりまえすぎて見えないものは、同じかたちをした別のものと並べて、そのしくみを見えるようにする。
たとえば、学校とオウム教団と連合赤軍をつきあわせて、普遍的なしくみを導き出すことができる。

なぜ「理不尽」を受け入れてしまうのか
 こうして考えてみると、学校について「今まであたりまえと思っていたが、よく考えてみたらおかしい」点が多くあることに気づく。
 これらのポイントに共通していえるのは、クラスや学校のまとまり、その場のみんなの気持ちといった全体が大切にされ、かけがえのない一人ひとりが粗末にされるということだ。
全体はひとつの命であるかのように崇拝される。
 この全体の命が一人ひとりの形にあらわれたものが「生徒らしさ」だ。
だから学校では、「生徒らしい」こころをかたちであらわす態度が、なによりも重視される。
これは大きな社会の全体主義とは別のタイプの、小さな社会の全体主義だ。

 大切なことは、人が学校で「生徒らしく」変えられるメカニズムを知ることだ。
それは、自分が受けた洗脳がどういうものであったかを知る作業であり、人間が集団のなかで別の存在に変わるしくみを発見する旅でもある。
 ある条件のもとでは、人と社会が一気に変わる。
場合によっては怪物のように変わる。
この人類共通のしくみを、学校の集団生活が浮き彫りにする。

 学校の全体主義と、そのなかで蔓延しエスカレートするいじめ、空気、ノリ、友だち、身分の上下、なめる―なめられる、先輩後輩などを考えることから、人間が暴走する群れの姿を明らかにすることができる。
学校という小さな社会の全体主義とそのなかのいじめを考えることから、人間の一面が見えてくる。
 わたしたちは長いあいだ、学校で行われていることを「あたりまえ」と思ってきた。あたりまえどころか、疑いようのないものとして学校を受け入れてきた。
 だからこれを読んだ読者は、「こんなあたりまえのことをなぜ問題にするのだろうか」と疑問に思ったかもしれない。

だが、その「あたりまえ」をもういちど考え直してみることが大切だ。
 理不尽なこと、残酷なことがいつまでも続くのは、人がそれを「あたりまえ」と思うからだ。
それがあたりまえでなくなると、理不尽さ、残酷さがはっきり見えてくる。
逆にあたりまえであるうちは、どんなひどいことも、「ひどい」と感じられない。
歴史をふりかえってみると、このことがよくわかる。
 これを読んで心にひっかかっていたものが言葉になったときの、目から鱗が落ちるような体験を味わっていただければと思う。
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2023年09月21日

【神様からの教え】人生は「楽しむもの」…人に「喜ばれるため」に存在している

【神様からの教え】人生は「楽しむもの」…人に「喜ばれるため」に存在している
2023年09月20日 ダイヤモンドオンライン

2016年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの奇跡』。
本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。
あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。

■人生は「楽しむため」に存在している
 私はこれまで、200人くらいの人から「臨死体験」(一度死んだと思ったのに、再び生き返ること)の話を聞いて、その話から「あの世までの構造」を、だいたい、このようなものであろうと考えてみました。
 心臓が止まると、「魂」は肉体を離れ、トンネルを抜けるそうです。
トンネルを抜けると林があり、林を歩いていくと、お花畑が見えてきます。
 お花畑は、「自分が好きだった花」で満たされていて、おもしろいことに、花も、空も、雲も「半透明」で、色も形もわかるのに「透き通って見える」と、聞きました。

 お花畑を100メートルほど進んだ先には、「1本の川」が流れていて、川の流れは3種類。@「流れが速い川」、A「せせらぎのように穏やかな川」、B「流れがまったくない川」。
この3種類の川を「三途の川」と言うようで、私たちは、そのうちのひとつの流れに出合うそうです。

 生前、誰からも愛されず、「よき仲間」にも恵まれず、「おまえなんか、いなければよかったんだ」と否定されながら生きてきた人は、「流れが速い川」を渡ることになるようです。
「愚痴も悪口も言ったし、でもときには喜んで、ときには幸せだった。一喜一憂しながら普通に生きてきた」という人は、「せせらぎのように穏やかな川」を渡るそうです。
 そして、愚痴や悪口を言わず、常に喜びに満ちあふれていた人、「喜ばれる存在」として「感謝」を忘れなかった人は、「流れがまったくない川」を渡る…と聞きました。

 60歳を過ぎたくらいの会社社長がいました。
彼は30年あまり、ワンマン社長として辣腕を振るってきたのですが、ある日、突然、心臓麻痺で「臨死体験」をされたそうです。
その社長から聞いた話です。
 肉体から抜けた彼の「魂」は、トンネルと林を通り、お花畑に差し掛かりました。
すると、天から声が聞こえてきたそうです。
「川べりまで行ったら『人生のまとめ』について尋ねる。
川べりに着くまでに、自分がどんな人生を歩んできたかを、まとめておきなさい」と。
 その社長は、人の20倍も30倍も努力をして、頑張って、怠けることも、休むこともなく、ただただ働き続けました。
会社は大きくなり、従業員は1000人。
商工会の役員も勤め、地位と名誉を手に入れたのです。
 自分が成し遂げた実績に自信を持っていた社長は、「努力し、頑張り続けた自分は、きっと神様に褒めていただける」と胸を張り、川べりまで歩いていったそうです。
 川べりにたどり着いたとき、再び、あの声が聞こえてきました。
「それでは『人生のまとめ』について聞く。
人生をどれほど楽しんできたか?」
 社長は絶句し、答えられませんでした。
なぜなら、「人生を楽しんだ」と思った瞬間は、ほとんど、なかったからです。
言葉を失った社長に、天の声は言ったそうです。
「あなたは人生を勘違いして生きてきました。もう一度やり直しなさい」と。
「えっ」と思った瞬間、社長は意識を取り戻したそうです。
社長はこの経験を「自分の頭の中で想像した話ではない」と断言しておられました。

「神様の声」は、「人生は、努力するものでも、頑張るものでも、地位や名誉を手にいれるものでもない」ということを教えてくれているのでしょう。
 では、人生は何のためにあるのでしょうか。
 人生は「楽しむもの」。
つまり、人生は「喜ばれるため」に存在しているようです。
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2023年09月23日

野党の顔となった日本維新の会が、令和版「昭和維新」を目指しかねない不安

野党の顔となった日本維新の会が、令和版「昭和維新」を目指しかねない不安
木俣正剛 元週刊文春・月刊文芸春秋編集長
2023/9.22 ダイヤモンドオンライン

大阪と仲が良くない京都で 維新議員が誕生した驚き
 私は京都人です。
1980年から横浜市に住んでいるので、横浜暮らしのほうが長いのですが、いまだに高校野球は京都の高校を応援します。
そんな京都人がびっくりしたのが、京都で日本維新の会の国会議員が誕生したことでした。
 正直、京都人と大阪人は仲がいいとはいえません。
京都人は大阪人を庶民的だと思い、大阪人は京都人をお高くとまっていると考えています。
だから、「大阪ナショナリズム」ともいうべき大阪維新の流れを組む日本維新の会の国会議員が京都で誕生するとは、夢にも思っていませんでした。
 そして、同時にこうも思いました。
京都で当選するなら、日本維新の会は東京も制覇するかもしれない。
つまり、政権政党になりうるかもしれないと。

私は大阪維新という政党ができたとき、ちょっと面白いなと思っていました。
関西人は東京嫌いです。
京都で共産党が強いのも、「反東京=反自民」という心情があるからだと思います。
またドイツでは、同じキリスト教系の保守政党でも、キリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟というように、仲の悪いプロイセン地域とバイエルン地域で別の二つの政党が生まれ、連合して政権運営をしていたことがありました。
あんな風に地域政党の連合体になったほうが、自民党の中央集権的体質が変わる、そんな風に考えたからです。

 しかし、大阪維新はともかく、日本の維新を唱えるには、彼らの政策は新味もなく、ただ過激な言葉が並んでいるにすぎないように見えます。
 私には彼らが掲げる「維新」という言葉が、日本を西欧の植民地化から救い、徹底的な封建制度の廃止と近代化への道をつくった「明治維新」を目指すものなのか、
大陸侵略で行き詰まったあとの愛国主義(ヘイト)に凝り固まった「昭和維新」を目指しているのか、わからなくなってきました。

 確かに明治維新には、市民革命などではなく、薩摩や長州など、関ヶ原の合戦に敗れた雄藩による江戸幕府の打倒、武力革命という側面がありました。
関西・大阪という地域で、かつての藩主に近い知事や市長中心の政党が東京から政権を奪取するなら、新しい日本をつくる、明治維新に近い「革命」ということになります。
 しかし、明治維新との整合性は、これくらいしか見つからないのです。

一方、昭和維新との整合性はどうでしょうか。
昭和維新といってもピンとこない読者も多いでしょう。
日本が満州事変から日中戦争へと大陸に引きずり込まれ、経済は疲弊し、政党政治が混乱している時期、陸軍や海軍の一部の「改革派」が唱えたのが「昭和維新」でした。
 その中心は軍部の若手であり、何度もクーデター計画を企画し、とうとう5・15事件や2・26事件を引き起したのですが、彼らが口ずさんだ歌が『昭和維新の歌』でした。
当事者たちが、政策的には独裁的な政治と統制経済、つまりはファシズムに近い政治に憧れていたことは否めません。

維新の会に感じるのは 明治維新ではなく「昭和維新」
 日本維新の会を見ていると、この「昭和維新」の空気を感じてしまうのです。
それは、かつての党首・橋下徹氏の従軍慰安婦肯定論のような、わかなりやすいタカ派議論からだけではありません。

 以下は、政治学者のローレンス・ブリット氏が「ファシズムの14の特徴」について列挙したものです。

1)強大で執拗な国家主義の宣伝
2)人権の重要性の蔑視
3)団結のための敵/スケープゴートづくり
4)軍隊の優位性/熱烈な軍国主義
5)性差別の蔓延
6)マスメディアの統制
7)国家の治安への執着
8)宗教と支配層エリートの癒着
9)企業権力の保護
10)労働者の力の抑圧もしくは排除
11)知性と芸術の軽視と抑圧
12)犯罪取り締まりと刑罰への執着
13)縁故主義と汚職の蔓延
14)不正選挙

1番目の「執拗な国家主義の宣伝」については、読者の皆さんも、彼らの演説やSNSを参照すればわかると思います。

2番目の「人権の重要性の蔑視」に関しても、これでも議員かという低レベルな言動が目立ちます。以下は、これまでメディアで報じられた維新関係者の不祥事です。

【梅村みずほ・参議院議員】入管施設で亡くなったスリランカ人女性をめぐり、「ハンスト(ハンガーストライキ)によって亡くなったのかもしれない」と発言し、「人権感覚を疑う」と炎上。6カ月の党員資格停止処分。
【丸山穂高・元衆議院議員】北方領土で「戦争で島を取り返す」などと発言。酒席で「おっぱい! おっぱい! おれは女の胸をもみたい」といった発言もあり、除名処分に。
【笹川理・大阪府議(元府議団代表)】同じ維新の女性市議にパワハラやストーカー行為をしていたと判明。一時は厳重注意だったが、その後に性的関係を迫るLINEも発覚し、最終的に除名処分に。
【藤間隆太・飯塚市議】福岡県飯塚市議会で市の男女共同参画に関する啓発を巡り、無所属の女性議員を名指しし、「セーラー服を着て、PR動画を投稿すれば再生数を稼げる」と述べた。
藤間氏は市議会でただ一人の維新議員で、取材に対して「失言だった。注意したい」と謝罪。
現代表までセクハラ発言 垣間見えるファシズムの特徴

3番目の「団結のための敵/スケープゴートづくり」については、何度も繰り返した大阪都構想選挙がよくわかる例です。

5番目の「性差別の蔓延」については 人権感覚を疑う失言をした議員たちの例を見れば、同じだということもわかります。

大体、現在の代表の馬場伸幸氏自身がセクハラ発言をしています。
京都タワー前(京都市下京区)の街頭演説で、参院選比例代表に擁立予定の新人女性の名前を間違えた際、「あまりにかわいいので間違えた」と発言しました。
 また石井章参院議員は、栃木県日光市で開かれた女性候補の事務所開きで「顔で選んでくれれば1番を取る」と容姿に関する発言をし、厳重注意を受けていたにも関わらず、その後、茨城県牛久市の街頭演説で、参院選茨城選挙区に同党から出馬を予定する新人女性を紹介する際に「あまり顔のことを言うとたたかれるから言えない」と居直る始末。
男女差が世界の中でもひどいといわれる日本で、その改革に挑む政党の幹部の発言とは思えない有様です。  

6番目の「マスメディアの統制」は、橋下徹氏や吉村洋文・大阪府知事の、会見は開くものの質問にはほとんど答えないか、はぐらかす様子を見ればよくわかります。

 すでに14の項目の6番目まで、4番目の「軍隊の優位性」を除けば、すべてファシズムの特徴に合致しています。

8番目以降については、まだ政権に就いたことがないので判断できない点もありますが、

10番目の「労働者の抑圧」については、大阪府による保健所のリストラが激し過ぎたため、コロナ禍で犠牲者を増やす原因なったことが思い起こされます。

そして11番目の「知性と芸術の軽視」については、文楽への補助金の廃止などが当てはまります。

 まるでブリット氏は、日本維新の会を見て「ファシズムの14の特徴」を挙げたとしか思えません。
金銭に関する不正も 呆れた言動の背景とは  そして、この政党に多いのが金銭に関する不正です。

これについても、メディアで報じられた維新関係者の不祥事を挙げてみましょう。
【中条きよし・参議院議員】年金保険料の一部313万円を未納。
【上西小百合・元衆議院議員】政治資金にまつわる疑惑。国会を病欠したはずが、居酒屋で3軒はしご酒をしており、除名処分に。
【下地幹郎・衆院議員】カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業の汚職事件を巡り、贈賄の疑いが持たれている中国企業側から現金100万円を受領したことを認めたものの、辞職せず。
【光本圭佑・元尼崎市議】会派の同意を得ずに政活費250万円を引き出し、購入したパソコンなどの納品書を偽造。本人は幹事長を務めるが、250万円の支出について議会事務局が会派に確認したところ、大半の議員は知らなかった。
【松尾翔太・元吹田市議】会派の口座から政務活動費を13回引き出し、同額を入金する処理を3間繰り返していた。 【池下卓・衆院議員】地元の大阪府高槻市議だった男性2人を市議の任期中に公設秘書として採用。2人が兼職していた期間はそれぞれ約4カ月〜約1年半で、いずれも税金が原資の秘書給与と議員報酬を二重で受け取っていた。うち1人は2022年中に総額約2000万円の報酬を得ていた。

 とにかく公募で急拡大を目指したため、政策立案や勉強より「見た目」を重視した候補者選びが先行していることが、不祥事続発の大きな要因の1つでしょう。
しかし、ここで挙げたのは、報じられた問題議員の3分の1程度に過ぎません。
あまりにセコい、馬鹿馬鹿しい失言と不正で、これでも議員になれるのかと考えざるをえないほどです。
 極めつけは、殺人未遂犯が公設秘書になっていたことでしょう。
前出の梅村参院議員の公設第一秘書となっていた人物が、過去が発覚して一度は辞職したものの、党職員として復活就職しているという事実が報じられました。
 いやはや、すごい倫理観です。
考えてみれば、私は編集局長時代、松井一郎氏の裏口入学疑惑を報じましたが、彼はその記事の正誤については応えずじまい。
ただ、文春がいまだに告訴されていないことは事実です。

「ホワイト」に見える吉村洋文氏も、かつて弁護士時代、消費者金融武富士のビジネスを記事にした記者に対して総額2億円の損害賠償を訴える「スラップ訴訟」に参加していたと報じられたことを、忘れてはいけません。
巨額の報酬を得たこのスラップ訴訟については、弁護士会から厳しい追及の声が上がりました。
 また、元祖維新の橋下徹氏は、弁護士時代、『週刊現代』の連載で、田中真紀子氏の長女の離婚記事の仮処分差し止め(簡単にいうと、発禁)を「当然」であると発言していました。
 政治家になってからは、この考えを撤回していますが、橋下・吉村両氏はマスコミを威圧することに対して抵抗感がない人物であることにも注目しておくべきでしょう。

不祥事が報道されても 支持率が上がり続ける懸念
 それにしても、なぜこれだけ不祥事が報道されるのに、維新は支持率が上がり、党勢が拡大しているのでしょうか。多くの国民が「維新」「改革」「公務員の削減」といったイメージ先行のスローガンに魅せられているか、自民党のひどさに呆れて「第二自民党」としての期待をかけているからだと思われます。
 しかし、維新の会は第二自民党ではありません。自民党はかなり独裁的にはなりましたが、いまだに代議制民主主義の枠の中にある保守政党であり、ファシズム政党、つまりは独裁を肯定するような政党ではないからです。
私自身、自民党から一度は政権を剥奪すべきだと考えていますが、その替わりを維新が務められるとは思えないのです。

 日本維新の会の勢力拡大が、令和版の「昭和維新」に繋がりかねない不安を感じているのは、私だけでしょうか。
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2023年09月24日

「やればできる」という昭和の根性論は通用しない…「やってもできない人」はどうすればいいかの最終結論

「やればできる」という昭和の根性論は通用しない…「やってもできない人」はどうすればいいかの最終結論
2023年09月23日 PRESIDENT Online

よく「やればできる」と言われるが、現実は「やってもできない」ことが多いのではないだろうか。
人材育成コンサルタントの山本直人さんは「『やればできる』は、いわゆる『昭和の職場』であれば通用していた発想。
日本の働き方の変化とともに、同じようにはいかなくなってきている」という――。
※本稿は、山本直人『聞いてはいけない スルーしていい職場言葉』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

■「やればできる」という謎の言葉
入社した時から知っているとある後輩が30歳になった頃、ゆっくりと話す機会がありました。
そして、こんなことを言ってきました。
「それにしても、やっと新人とか若手を見ていて『何が問題か』がわかるようになりました」
「それで、何が気になったわけ?」
「いや〜よくハッパかける時に『やればできるんだから!』って言う人いるじゃないですか?」
「ああ、いるねえ」
「でも、問題はそこじゃないと思うんですよ」
「なんで?」
「仕事って『やってもできない』ことがあると思うんです」
「……なるほどぉ……」
「それなのに、『やればできる』って意味ないと思うんです」

シンプルですが、いいところを突いていると思います。

「やればできる」が無意味だと言っているのではなく、「やってもできない」ところに注目しているのも鋭いと感じました。

■「やってもできない」という事実
ちなみに、彼は営業セクションに所属しています。
気になったので、その辺りの話をもう少し聞いてみることにしました。
「実際、何ができないの?」
「基本的に言われたとおりに見積もり作って、注文を受けて作業を回すことはできるんですよ。
でも、商談で新しいことを提案して、先方のニーズを聞き出していくようなことは全くできないですね」
「それ、君はできてたの?」
「う〜ん、いきなりはできなかったですけど、けっこう先輩がうまく引っ張ってくれたような気がするんですよね」
「じゃあ、その時のことを思い出してみればいいんじゃない?」
「そうなんです。ちょうど、その辺りを考え始めてるんですけど、周りには相変わらず『やればできる』って感じの人が多くて……」
「でも、『やってもできない』に着目したのは良かったと思うよ。
『やればできる』と言われても、そもそも何を『やる』かが曖昧なんだよね、きっと」
「しかし、あれって変な言葉ですよね。わかったようなわからないような」
「まあ、ロクに勉強しない子どもに言う言葉だよね。
そもそも、社会人で『やらない』ってなったら、それで終わりなんだから」

■「やればできる」はおまじないと同じ
こんな会話をしたのは、相当前のことでした。
相談してきた彼は、観察力もあり冷静です。
その後も、いいリーダーとなっていきました。
それにしても、「やればできる」というのはたしかに妙な言葉です。
よく耳にするけれど、冷静になって考えるとよくわからない言葉の典型ではないでしょうか。
先に言ったように、「そもそもやるべきことをしない」状態の人に対して鼓舞する言葉のはずです。
具体性はありませんから、いわば精神論の一種です。
だから、せいぜい中学生くらいまでに説教する時の「おまじない」としてならいいかもしれません。
しかし大人の社会でこのような言葉が必要だとすると、それは相当にまずい状況なのではないでしょうか。

■「為せば成る」は当たり前なのか
そして、この言い方をさらに立派にした言葉があります。それが「為せば成る」でしょう。
こちらはより厳めしく、しかも出典もはっきりしています。
米沢藩主上杉鷹山が家臣に示したものとして伝えられています。
そのために、訓話などでもよく引用されますが、結局「よくわからない」ことについては同じようなものではないでしょうか。

「為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」
やはり、「やればできる、やらないからできない」ということでしょう。
ちなみに「為せば成る」を辞書で調べてみると、その中には「やればできる」と書いてあるものもありました(スーパー大辞林3.0)。
同じ意味といっていいわけです。
「為せば成る」については、武田信玄が同じようなことを言っていますし、中国の『書経』を出典とするなどの説もあるようです。
その辺りを探ると、鷹山の「為せば成る」とはややニュアンスも異なるようですが、ここではそのことに深入りはしません。 それよりも、なぜそのような言葉が当たり前のように広まっているのか?
 この辺りのことを、もう少し考えてみましょう。

■「とにかくやればできた」昭和
精神論というのは、とかく具体性がありません。
それでも、それなりに広がったのには理由があると思います。
そこで、この「やればできる」をちょっと掘り下げてみようと思います。

手がかりは「やってもできない」時にどうするか? という着眼です。
これは、実際によくあるのではないでしょうか。
同じ仕事に複数の人間が取り組めば、段々と差がついていきます。
誰にでも得手不得手があるのだから、当たり前です。
それは子どもの体育と同じです。
一斉に走り出せば差がつくし、同時に懸垂をすれば段々と脱落していく。
そういうことが、さまざまな局面で起こります。

単純なようですが、もともと持っている能力は人それぞれです。
それに応じて仕事を割り当てていくことが組織の基本です。
だから、誰に対しても同じように「やればできる」と言って、みんなが「やった」としても差はつきます。
それでもとくに問題がなかったとすれば、こんな理由があったからだと思うのです。

・誰もがとにかく言われたことを「やる」ことで、出来が良くない人でもそれなりにどうにかなった。
・そもそも、「やる」ことの内容が、それほどスキルを必要とせず頑張ればよかった。つまり、いわゆる「昭和の職場」であれば、通用していた発想だと思うのです。

営業職であれば、とにかくアポをとって訪問していく。
人によって差はつくけれど、コツコツ頑張ればいくつかは成約できる。
そして、どうにか「同じ船」に乗ることができたわけです。
それが、今の職場では同じようにはいかなくなっています。

そして、「やればできる」だけではどうしようもないことを直視した企業は、きちんと未来を拓いていくと思っています。
それは、日本の働き方の変化と密接に関わっていくと考えます。

■「できることをやる」職場に
近年、企業の雇用形態をめぐって「メンバーシップ型」と「ジョブ型」という二つの方法が話題になることが多くなりました。
多くの日本企業がおこなってきたのが、いわゆる「新卒一括採用・終身雇用」を核としたメンバーシップ型です。
正社員として一つの企業のメンバーになれば、何らかの形で定年まで仕事が与えられる仕組みです。
ただし、その組織の中でどのような仕事をするかは、基本的には会社が決めます。

ジョブ型は、「こういう仕事をする人を求めています」という求人が起点になります。
その仕事で実績のある人を採用しやすくなりますし、学校での専攻などを活かして仕事をしたい人にはやりがいを感じやすいでしょう。
これは、欧米では主流といわれています。

■「属する」から「契約する」へ
実際の雇用においては、その中間のような形態も考えられますし、部分的に導入することもあります。
そして、日本においてもジョブ型の雇用を取り入れていく会社が段々と増えつつあります。
そうなると、一つの領域で実績を挙げた人は、より良い待遇を求めて会社を移ることもさらに増えていくでしょう。
いずれは、一つの会社に「属する」よりも、自分の能力にふさわしい条件で「契約する」という感覚になっていくと思います。
メンバーシップ型とジョブ型には、それぞれの長短があります。
しかし、これからは「メンバーシップの一員になればOK」というわけにはいきません。
なぜなら、その制度は日本で人口が増え続けて高度経済成長が続いた時代に確立されたものだからです。
そして、「やればできる」はメンバーシップ型の雇用だからこそ、合言葉になりえたのだと思います。
仮にジョブ型の雇用になれば、能力への要求はハッキリとしてきます。
「やってできる」人も、時代とともに「やってもできない」人になるかもしれません。
メンバーシップ型の企業なら、「それなりのポスト」を用意することもできたでしょう。

■「学び直し」が求められる時代へ
しかし、ジョブ型であれば「できるようになる機会」を提供することが必要になります。
それぞれの人が「できること」を探す時代になっていくでしょう。
そこで、「学び直し」が求められるようになったのです。
最近では「リスキリング(re-skilling)」という表現になり、政府も推進していくようです。
ただし、そういうカタカナ語を広めるよりも、こう宣言した方がいいのではないでしょうか。

「もう、これからは『やればできる』という発想では通用しません」 そう言われて困るのは、根性論だけで威張っているスポーツ指導者くらいだと思います。
「やればできる」という言葉への引っ掛かりを探っていけば、実はこうした働き方の大きな変化につながっていきます。
何気ない言葉に違和感をおぼえたら、じっくりと掘り下げてみることで、大きな流れの変化が見えてくるかもしれません。

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山本 直人(やまもと・なおと)
コンサルタント
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2023年09月25日

“私人逮捕” 正義の味方なのか?過激化する「世直し系YouTuber」どこまで許される? 法的問題は? 専門家が解説

“私人逮捕” 正義の味方なのか?過激化する「世直し系YouTuber」どこまで許される? 法的問題は? 専門家が解説
9/24(日) TOKYO FM+

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜6:00〜9:00)。
9月21日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「過激化する“世直し系”YouTuber」。
情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
痴漢や盗撮をしている犯人を取り押さえ、駅員や警察官に身柄を引き渡す様子を動画に納めてアップする「世直し系/自警団系YouTuber」。
逃げ出す犯人を追いかけて、押さえ込み制圧する姿が荒々しかったり、怪しい行動をしていた人物に「今、悪さをしようとしていただろう?」などと声をかけ、謝るまでの様子をモザイクなしで配信するといった行為に「行き過ぎではないか?」と、疑問視する声が上がっています。
はたして「世直し系YouTuber」の行為は、どこまで許されるものなのでしょうか?

◆世直し系YouTuberとは?
ユージ:
「世直し系YouTuber」と呼ばれる方々のチャンネルでは、どのような内容の動画を配信しているのでしょうか?

塚越:
動画の内容はさまざまですが、痴漢や盗撮をしている人物を取り押さえる内容のほか、ライブ会場でのチケット転売、あおり運転をする人物や路上喫煙・ポイ捨てをする人へ注意したりする動画を配信しています。
法律違反やマナー違反をしている人を見つけて注意して回る動画が多いですが、場合によっては電車内で相手の胸ぐらをつかんだり、床に押し倒して制圧したりと、過激なものもあります。
さらに、顔や車のナンバーなどにモザイクをかけずにさらすコンテンツもあり、過激さの程度はさまざまという感じです。

◆冤罪だった場合、逆に罪に問われる可能性も
吉田:
そもそも、警察官でもない人が「逮捕」したり「身柄を拘束」したりしても良いのでしょうか?

塚越:
一般人による現行犯逮捕は「私人逮捕」と呼ばれています。
いろいろとルールはあるものの、逮捕状がなくても一般人による私人逮捕は刑事訴訟法でも認められています。
私人逮捕が認められるルールの1つは、犯人が「現行犯」に限ることです。
実際に犯行をしているところや、犯行直後なら誤認逮捕の恐れが限りなく少ないからということです。
他にも細かなルールはあるのですが、そうした条件に該当しないで逮捕した場合は「暴行罪」や「逮捕監禁罪」などに問われるケースもあります。
また動画を撮ってネットにアップしている場合、名誉毀損やプライバシー侵害、脅迫罪に問われる可能性もあります。

ユージ:
これまで、どのような問題が起きていますか?

塚越:
実際にあったものでは、わざと路上に財布を落として拾った人がどう対応するかを撮影し、(拾った人に)財布を持っていかれたので警察に被害を申告したケースがあります。
この場合、撮影した人が逆に偽計業務妨害罪の容疑で逮捕されました。
要するにウソ、つまり財布を盗まれたということが虚偽申告にあたるとして、警察の業務を妨害したということで逮捕されました。
この場合は世直し系というより「検証動画」と言われる部類にもなりますが、いずれにしても再生数稼ぎの悪質なものと考えられます。
他にも麻薬の密売人に売買を持ちかけて警察に情報をタレコミして、おとり捜査のようなことをして、大麻を持ってこさせる指示行為が「教唆そそのかし」に該当するとしてYouTuberが書類送検されたこともあります。
人気YouTuberは法律関係にかなり配慮しているのですが、大した知識もなく「やってみた」といった感じの場合、法令違反に該当することがあります。

◆視聴者側が気を付けるべきことは?
ユージ:
こうしたチャンネルに対して、視聴者である私たちはどのようなスタンスでいるべきでしょうか?
そして動画を作るYouTuberに対して、注意喚起できることは何かありますか?

塚越:
一口に「世直し系YouTuber」と言っても常識の範囲内でやっていたり、法的なことをわきまえていたりする人もいるので、こうした方々すべてを(問題だと)判断できるものではありません。
ただし、やはり再生数が収益につながる今の構造では、結果的に過激化する可能性があるかなと思います。
YouTuberは私人逮捕の要件をよく調べて、別途警察へ通報するという手段を考える必要があります。
そうしないと、私人逮捕が過激化して誤認逮捕になるケースが増えますし、モザイクなしの動画がネットに広がれば、万が一、動画内で取り押さえた人物が犯人と違った場合、大きな人権侵害につながる可能性もあります。
一方で私たちも「これは社会正義だ」と言いつつも、実際は「エンタメ」として消費していることもあるため、「実際はどうなんだろう」と考える必要があります。
アメリカでは、トランプ元大統領が出てきた2016年くらいから、(トランプ元大統領の発言に感化された人々がSNSなどで)“本音”を発信していて、アメリカは「本音が暴走している」などと言われています。

一方で、日本では本音は言いづらいため「これは社会正義だ」などのように建前を使い、「建前の暴走」が起きています。
これは非常に日本人的だなと思います。
建前として「これは社会正義」と言っておきながら、実は「世直し系YouTuber」がおこなっているような行為を見たいのだろうと、(そうした気持ちは)私も含めてあると思います。
そのため、建前であれ重要なのは本質的なところだと思います。
今の構造では見る側が再生数に紐づくので、「本当にこれが意味あることなのか」と考えることが必要ですが、実際は難しいので注意して見ていただけたらと思います。

(TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」9月21日(木)放送より)
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2023年09月26日

【健診】"たかが尿検査、されど尿検査"驚きの実力

【健診】"たかが尿検査、されど尿検査"驚きの実力
2023年09月25日 東洋経済オンライン

健康診断などにおいて最もスタンダードな検査といえるのが、尿検査。
簡便でありながら病気を早期発見できるすぐれた検査として、1930年ごろから健診などで導入されている。
今も3歳児健診から始まり、学校や企業、自治体の健診など、さまざまな場面で当たり前のように行われているが、尿検査からどんなことがわかるのか。

尿検査で発見できる病気や結果の見方について、総合内科医、腎臓専門医である浦安ツバメクリニック院長の坂井正弘医師に聞いた。
画像検査や内視鏡検査、遺伝子検査など、医療の進歩に伴ってさまざまな検査法が開発されてきたが、100年ぐらい前から始まったとされる尿検査は、現在もなお一般的な検査として実施され、病気発見の手段として重視されている。

マルチに役立つ尿検査
「患者さんには、よく『たかが尿検査、されど尿検査』と話します。
尿検査は人の体を傷つけることなく評価でき、簡便で低コストですが、そこからたくさんの情報が得られ、万病のスクリーニング(特定の病気が疑われる人を選び出すこと)、診断、治療効果の判定などマルチに役立っています」と坂井医師。
健診などで実施される尿検査では、尿の中に含まれている物質の種類や量などから、病気の可能性を判断する。
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2023年09月27日

和田秀樹「60代はお金を無理にため込む必要ない」

和田秀樹「60代はお金を無理にため込む必要ない」
2023年09月26日 東洋経済オンライン

高齢者専門の精神科医として6000人以上の患者を診てきた和田秀樹さんが上梓した『60歳からはやりたい放題[実践編]』。前作『60歳からはやりたい放題』に続いて、具体的に「どうすれば60代以降の人生をさらに楽しめるのか」「どんな点に気を付けるべきなのか」を、60個のコツにして解説しています。
同書より一部抜粋・再構成してお届けします。

お金をバンバン使って幸せに
長年、老年医学に携わり、多くの患者さんが死ぬ前に後悔していたことがあります。
その1つが「お金をもっと使っておけば良かった」という後悔です。
将来が不安だから……と、お金をどんどんため込んでいたものの、気が付けば自分も年を取り、体の自由も利かなくなっている。
もはや海外旅行にも行けないし、美食を楽しめるほどの胃袋も気力もない。
おしゃれをしても出かける場所がない。
会いたかった人もすでに他界してしまい、会うべき人もいない。

つまり、あまりに年齢を重ね過ぎると、お金を使って楽しむことができなくなってしまいます。

だからこそ、体も心も現役に近くて元気なうえ、時間や経済的にも若い頃より余裕がある60代のうちに、お金をどんどん使って人生を楽しむべきだと私は思います。
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2023年09月28日

「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か

「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か
2023年09月27日 PRESIDENT Online

性格診断によく利用される血液型だが、科学的根拠はない。
しかし、ここ数十年の研究で、血液型によって病気のリスクが異なることが明らかになっている。
岡山大学医学部の中尾篤典教授は「理由はわかっていませんが、O型の人は、概してA型、B型、AB型と比較してさまざまな病気になるリスクが低いです」という――。
※本稿は、中尾篤典・毛内拡(著)、ナゾロジー(協力)『ウソみたいな人体の話を大学の先生に解説してもらいました。』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

■怪我での死亡率と病気のなりやすさも血液型でわかる?
A型は几帳面、B型はマイペース、O型がおおらかで、AB型は変わり者……血液型といえば、日本では性格診断によく使われています。
こうした診断は不思議と自分や周りの人に当てはめてみると当たっているように思うことが多いのですが、実際には科学的根拠はなく、日本でしか話題にならないことです。

もともと、血液型はカール・ラントシュタイナーという病理学者によって、1900年に発見されました。
彼は、人の血清に他の人の赤血球を混合すると、固まる場合と固まらない場合があることを見つけ、これが今日のABO血液型になります。
A型の赤血球にはA抗原、B型にはB抗原、AB型にはAとBの両抗原がありますが、O型にはどちらの抗原もありません。
この発見は、血液型不適合による輸血事故を減少させ、輸血を発展させるきっかけとなりました。

血液型は当初、血液だけでの判定方法として出発しましたが、その後、血液以外(他の体液や細胞、毛髪のように生きていない組織も)にも同じ特徴が分布することがわかってきました。
つまり、すでに血液型は「血液」だけではなく、個人を血清学的に識別する方法のひとつでもあり、そのため同じ血液型の人がどんな病気になりやすいかなどの特徴があるのは、ある意味当然のことかもしれません。
実際に、ここ数十年の研究の数々から、血液型によって病気のリスクが異なることが明らかになっています。

@ ■O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍……
例えば、2010年にスウェーデンの大学が発表した研究結果によると、A型の人の胃がんのリスクは、最もリスクの低かったO型の人と比べて1.2倍でした。

A 2009年にアメリカ国立がん研究所が発表した論文では、B型の人は最もリスクの低かったO型の人に比べて、膵臓がんのリスクが1.72倍高いと報告されました。

B さらにB型の人は、O型に比べ2型糖尿病になる頻度が1.21倍であると報告されています。

C 脳卒中のリスクは、AB型の人が最も高いと報告されています。
2014年に発表されたアメリカの研究では、AB型の人は最もリスクの低かったO型の人と比べて、脳卒中のリスクが1.83倍高いそうです。

D さらに、AB型の人は、認知症になる可能性がO型の人に比べ約1.82倍といわれています。

E このように、O型の人は、概してA型、B型、AB型と比較して、様々な病気になるリスクが低いことは事実のようですが、その明らかな理由はわかっていません。
また、O型の人は蚊に刺されやすい、という話を聞いたことがあるかもしれません。
これは実は実験で証明されています。
メスのハマダラカを20匹入れた箱に、いろんな血液型の被験者の腕を入れて10分間に何カ所刺されたかを数えます。
実際に蚊の体内から吸った血液を取り出し、その血液型も確認したところ、O型の人は5.045カ所刺されるのに対し、非O型の人は3.503カ所しか刺されませんでした。
ハマダラカは、O型を好んで刺す傾向があるようです。

F ■O型は他の血液型より血が止まりにくい
一方で、O型の人は、大量出血するような大怪我をした場合、死亡率が他の血液型の倍以上です。
重症外傷の患者さん901人の分析から、O型の患者さんの死亡率が28%、そのほかの血液型は11%であることがわかりました。

G この理由はO型の人は健常者であっても、血を止めるための大切な因子の一部が他の血液型に比べて25〜30%しかないことがわかっており、止血能力や血液を凝固させる能力がO型の人は弱いためです。 つまり、O型の人は血液が固まりにくい(血液がさらさら)ため、血栓(血液が固まること)が原因で発生する病気が、他の血液型の人よりも少ないといわれているのです。

O型以外の人は、O型の人と比べ、心筋梗塞のリスクが1.25倍、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)のリスクが1.79倍との報告があります。
血液型による性格診断も、社会の中での自分の生き方を考えるのに役立つかもしれませんが、科学的にも自らの血液型の特徴を知り、食事や運動など日常生活を考え直すことで、リスクを減らすことができるかもしれません。
例えば、O型であれば、大怪我をしたときに自分の血がほかの血液型よりは止まりにくい可能性を考慮しておけば、より気をつけることにつながります。

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中尾 篤典(なかお・あつのり)
医師、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科救命救急・災害医学講座教授

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毛内 拡(もうない・ひろむ)
脳神経科学者、お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系助教
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2023年09月29日

核ミサイルを積んだ海自の潜水艦が突如、反乱逃亡……伝説の漫画『沈黙の艦隊』がついに実写化される!

核ミサイルを積んだ海自の潜水艦が突如、反乱逃亡……伝説の漫画『沈黙の艦隊』がついに実写化される!
9/28(木) 現代ビジネス

 かつて、そのテーマ性の高さと世界規模の予測不可能なストーリー展開によって、社会現象となった漫画があった。
1988年から1996年まで『モーニング』で連載されていた、かわぐちかいじ氏の『沈黙の艦隊』である。
本作が今秋、30年以上の時を経て、満を持して実写化される。

絡み合う、日米両政府と「やまと」の思惑
 物語の舞台は、限りなく現実に近い架空の現実世界。
 日本近海で海上自衛隊の潜水艦がアメリカの原子力潜水艦(原潜)に衝突し、沈没。
乗組員全員死亡という衝撃のニュースが日本中に流れたが、事故は日米両政府による偽造工作であった。

 日米政府の真の目的は極秘に建造した高性能原潜〈シーバット〉に、海上自衛隊員たちを秘密裏に乗務させること。
その艦長を任されたのが海自一の操艦を誇る海江田四郎である。
 だが、日米両政府の期待とはうらはらに、海江田はシーバットに核ミサイルを積載し、突如反乱逃亡を開始。
自身を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」の建国を全世界に宣言する――やまとを核テロリスト認定し撃沈を図るアメリカ、海自ディーゼル艦〈たつなみ〉を用いてアメリカよりも先に「やまと」を捕獲しようと追いかける日本政府。
その両者のあいだを複雑にすり抜けて目的遂行へと動く「やまと」。
三者の思惑が複雑に絡み合ていく。

 本作で主人公・海江田を演じるのは、映画『キングダム 運命の炎』でも話題を集める大沢たかお。
「やまと」を追う<たつなみ>の艦長役を玉木宏、事故のニュースを報じるキャスター役を上戸彩、内閣官房長官役を江口洋介がそれぞれ演じる。
 以前から原作を読んでいたという大沢氏は、プロデューサーとしても本作に参加しており、実写化には並々ならぬ思いがあった。
きっかけは『キングダム』撮影時のプロデューサーとの何気ない会話であったと語る。  

「『“沈黙の艦隊”って読んだことありますか』『すごい作品ですよね』『面白いですよね』という話になり、そこをきっかけに実写化の話がはじまっていきました。
その当初はロシアのウクライナ侵攻もはじまっていなかったけれど、世界がすごく不穏な空気になりつつあった。
そうしたなかで、この作品が実写化したときのインパクトの強さは相当なものになるだろう、と考えました」

実写化への壁
 しかし、熱意を持って動き出したものの、実写化への道のりは容易ではなかった。
 「魚雷のシーンなど要所要所にCGが不可欠で、撮影規模も大きい。日本映画の通常の作り方では予算がとうてい収まりません。
制作開始当初はコロナ禍のはじめでもありましたから、少し現実的ではないかな、と。
 加えて核や潜水艦というタブーに触れる面もあるため、防衛省の協力を得る必要もありました。
 そんなとき、Amazonがコンテンツを探しているという情報があり、本国アメリカ側も原作をとても気に入ってくれているとのことで予算面をクリアすることができたんです。

 防衛省との交渉も難航するのでは、と危惧していましたが、不思議とタイミングが良かったのか、全面的に協力してくれることになりました」
 いくつかの幸運が重なり、映画『沈黙の艦隊』はついに始動する。
 しかし、撮影中にロシアがウクライナへ侵攻。連載当時、冷戦の真っただ中だった原作では当時の不安定な世界情勢が物語にも反映されているが、期せずして“新冷戦”といわれるような国際情勢の揺らぎのなかに世界が再び立たされることとなった。  

「防衛省は有事がないという前提での協力でしたから、正直撮影している場合ではなくなるのではないか、という懸念もありました。
一方でこの状況下で映画を観に来てくれるお客さんにはリアリティを持って映画を観てもらえるのではないか、という思いもあり、複雑でしたね」
 撮影は防衛省の協力によって貸し出された実際の潜水艦を用いて行われた。
 「本物の潜水艦を使った外観が映し出されるシーンは圧巻です。
アクションカメラをつけて水の中を走らせたり、走っているところを水中ダイバーが撮影したり。同じような映像はあまりないんじゃないかな。
スクリューがずっと回っていて、危ないですから。

 浅めの水域を走っているところを上からドローンで空撮もしています。これも国防に関わることなので、通常は許可が下りないことだと思います。
 内部での撮影にも実際の潜水艦を使おうとすると狭くて、カメラを構えたり、照明機材を設置したり、ということができないので、そこは工夫して実際の潜水艦よりも少し大きめのセットを作成しました。
片側の壁面も取れるようになっていて、撮影がしやすいようなつくりになっています」

 記事後編は「大沢たかお、日本のタブーに触れる衝撃の漫画『沈黙の艦隊』実写化にかける思いを明かす」から。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大沢たかお、日本のタブーに触れる衝撃の漫画『沈黙の艦隊』実写化にかける思いを明かす

大沢たかお、日本のタブーに触れる衝撃の漫画『沈黙の艦隊』実写化にかける思いを明かす
2023.9.28 現代ビジネス

かつて、そのテーマ性の高さと世界規模の予測不可能なストーリー展開によって、社会現象となった漫画があった。
1988年から1996年まで『モーニング』で連載されていた、かわぐちかいじ氏の『沈黙の艦隊』である。
本作が今秋、30年以上の時を経て、満を持して実写化される。

物語の舞台は、限りなく現実に近い架空の現実世界。
日本近海で海上自衛隊の潜水艦がアメリカの原子力潜水艦(原潜)に衝突し、沈没。乗組員全員死亡という衝撃のニュースが日本中に流れたが、事故は日米両政府による偽造工作であった。

日米政府の真の目的は極秘に建造した高性能原潜〈シーバット〉に、海上自衛隊員たちを秘密裏に乗務させること。
その艦長を任されたのが海自一の操艦を誇る海江田四郎である。
だが、日米両政府の期待とはうらはらに、海江田はシーバットに核ミサイルを積載し、突如反乱逃亡を開始。
自身を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」の建国を全世界に宣言する――やまとを核テロリスト認定し撃沈を図るアメリカ、海自ディーゼル艦〈たつなみ〉を用いてアメリカよりも先に「やまと」を捕獲しようと追いかける日本政府。
その両者のあいだを複雑にすり抜けて目的遂行へと動く「やまと」。
三者の思惑が複雑に絡み合っていく。

緻密な潜水艦のセット その圧倒的スケールから、長きにわたり“実写化不可能”と目されていた『沈黙の艦隊』。
作者であるかわぐちかいじ氏も撮影現場へ見学に訪れたという。
主人公・海江田を演じ、本作のプロデューサーも務める大沢たかお氏は語る。
「かわぐち先生は潜水艦内部のセットがどのような仕上がりになるのか、とても気にかけておられました。
大がかりなセットになるため、丁寧につくることができるのか、ご不安があったのだろうと思います。
けれども、実際にセットを見にいらして、すごく喜んでくださり、安心していただけたのかな、と思いました。
その際に、かわぐち先生の話を聞いて驚いたのが、かわぐち先生は『沈黙の艦隊』を描くにあたって防衛省や海上自衛隊の人に話を聞いたり潜水艦の現物を見に行ったり、そうしたリサーチをほとんどしていないそうなんです。
公開されている書類や写真を見ながら、それだけであの壮大で緻密なストーリーを考えておられたと知り、衝撃を受けましたね……」

上の世代の決定に振り回されるのを嫌悪した
30年以上の時を経て実写化されることで、連載当時には生まれていなかった世代も本作に多く触れることになる。
そんな世代と、主人公である海江田を、大沢氏は重ね合わせる。
「今世界では問題が頻発していて、その問題が大きくなったときに影響を一番受けるのは今の若い世代です。
そういう意味では、そうやって上の世代の決定に振り回されることをもっとも嫌悪したのがこの主人公なんです。
大人から見ると『なんだ、こいつ。おかしいな』と思っても、若い子からすると『もっとやれ!』と思うかもしれない。

海江田は現状を悪くしようと思って突飛な行動を起こしているわけではなくて、自身の使命感からイチかバチかの勝負に出ている。
それは意外と若い世代のほうが、すんなりと受け入れられちゃうのかもしれない」

核や戦争について考えるきっかけに
実写化にあたっては「いま、このテーマだ」という直感のようなものもあった、と話す大沢氏。
昨今の揺らぐ世界情勢とも不思議と重なり合う本作が、社会に投げかけるテーマとはどのようなものなのだろうか。
「核に対して、戦争に対しては、制作チームのなかでもいろいろな考え方がある気がしていて、それは全部バラバラで然るべきです。
ただ、世の中がマイナスになればいいとは思っていないはずだし、次世代の子どもたちがより良い暮らしになることを願っているはずで、それは制作チームのみならず、世界中みんなに共通していることだと思います。
それでもずっと戦争は無くならなくて、そのことをみんなどこかで疑問には思っているんですよね。

でも、自分の生活に追われるなかで、なんとなく見て見ぬふりをしてしまう。
映画は楽しいものなので感想は『かっこいい』とか『すごい』とか何でも良いと思っています。
あくまでエンターテインメントの枠組みのなかで『そのような疑問を突き詰めて、現実を直視した主人公がいた』ということを伝える。

核や戦争について考えるきっかけになる作品になることを願っています。」

やまとは戦闘中にモーツァルトの交響曲を大音量で海中に響かせる。激しい戦闘バトルと優雅なクラシック音楽と言う鮮やかな対比も本作の魅力のうちのひとつである。
五感を包まれるような映画の悦楽のなかに、私たちが向き合わなければならない現実の問題が潜んでいる。
本作は9月29日(金)より、全国の映画館で公開される。
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2023年09月30日

首相側ミスで国民の怒り爆発

首相側ミスで国民の怒り爆発
2023年09月30日 女性自身

「インボイス」(適格請求書等保存方式)の開始が10月1日に迫っているが、制度を進める岸田文雄首相(66)に“落ち度”があったようだ。
「中国新聞デジタル」は9月28日、岸田首相が代表を務める自民党広島県第1選挙区支部による収支報告書の記載ミスを報じた。
記事によれば、’21年に他の自民党支部から受けた寄付金10万円を政治資金収支報告書に記載していなかったとのこと。
このほかにも資金管理団体や後援会、選挙運動費用の収支報告書で、日付や団体名の誤りが計9件あったようだ。
岸田首相の事務所担当者は同紙の取材に、「訂正する」と回答したという。

岸田首相といえば昨年11月にも膨大な収支報告書の不備が判明し、批判が相次いでいた。
「『文春オンライン』が岸田首相の21年の衆院選に伴う選挙運動費用収支報告書に、宛名や但し書きがない空白の領収書94枚を添付していたと報じたことが発端でした。
報道を認めた岸田首相は、不備の原因を『出納管理者の確認漏れ』と釈明。
いっぽう選挙運動に関する支出は『適正だった』とし、『収支報告書本体には目的を明記した』と“言い訳”したのです。
その後、広島県選挙管理委員会は、岸田首相が関係する政治団体の報告書に添付された領収書を公表しました。
驚くことに250枚のうち、宛名や但し書きが記載されていないものが計50枚もあったと判明。
各所から“目的を記載しない領収書は公職選挙法に違反する”との指摘が相次ぎました」(全国紙記者)

再び明るみになった岸田首相の“怠慢”――。
松野博一官房長官(61)は29日の記者会見で、「事務的なミスであり、総理から事務所に対し速やかに報告するよう、すでに指示されているものと承知している」と語った。

いっぽう岸田首相は同日午前、「インボイス制度円滑実施推進に関する関係閣僚会議」に出席。
報道によれば「事業者の悩みを的確に把握し、一つ一つの課題にしっかりと対応してまいります」と、事業者の不安解消に取り組む姿勢を見せたという。
取引の正確な消費税額と消費税率を把握することを目的とするインボイス。
しかし事業者によっては手取り分が減る可能性があるだけでなく、請求書や納品書に記載事項が増えるため、売り手・買い手ともに事務負担が煩雑になることも懸念されている。

国民には正確な手続きを求めるにもかかわらず、岸田首相自身は”不備まみれ”の実態にネット上では怒りの声が噴出。
インボイスの導入目前に、“特大ブーメラン”となっている。

《おめえが、間違えていて 国民には複雑なインボイスやれっていうのか》
《「ミスでした」で済むから増税メガネは楽だな》
《こんな奴がやれインボイスだの電帳法などやれという。まずは自分がやってみてはどうですか? どうせ出来ないでしょうし、発覚しても訂正しましたで終わり。国民の場合は延滞税とか払うんですよ! 議員は優遇され過ぎ》
《国民にインボイスを押し付けて自分達は使途不明金を悪用する。インボイスを押し付けるならこの不明金も明確にする必要がある。議員もインボイスをやれって!》

杜撰すぎる日本のトップの金銭管理に、一部ネット上で“増税メガネ”と呼ばれるのも無理はないだろう。
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