2023年09月14日

脳科学から見た、やる気が上がる意外な「口ぐせ」 「グチる」も脳にとって決して悪いわけではない

脳科学から見た、やる気が上がる意外な「口ぐせ」 「グチる」も脳にとって決して悪いわけではない
9/13(水) 東洋経済オンライン

生きている限り、誰にでもやる気が出ない時期はあるものです。
それが長く続くこともあれば、1〜2週間で回復することもあります。
やる気が出ない今の状況を、どうすれば「やる気が出る状況」に変えられるのでしょうか? 

  新刊『自分のやる気が上がるのは、どっち?』を上梓した脳神経内科医でメンタルクリニック経営する田中伸明氏が、脳科学の視点とメンタルケアの実践から、「やる気が出ない」という悩みを根本から改善するために、2つの選択肢を提示しながら、どちらのやり方がより効果的かを3回にわたり解説します。今回が2回目です。

■口ぐせとやる気の関係とは? 
 今回は、やる気が上がる「口ぐせ」について、脳の視点から考えてみましょう。
 皆さんは「きっとできる!」という口ぐせと、「ま、いいか」という口ぐせ。どちらのほうがやる気が上がると思いますか? 
 「きっとできる」のような自分へのポジティブな声かけは、基本的にやる気を高めます。
ただし、逆効果になるケースもあります。

 それは「きっとできる!」と口にして行動した結果、手痛い失敗をしたことが過去にある場合です。
すると「きっとできる!」が、「あのときはうまくできなかった」という記憶を呼び起こすスイッチになってしまい、やる気が下がってしまうのです。
 思い当たる過去がある人は、失敗の原因を分析して「次こそはできる」と思える状況をつくってみてください。

 いい結果を期待できる状況で、今度こそ「きっとできる!」を使うのです。
期待通りの結果が出れば、その後は「きっとできる!」はポジティブな行動を後押しするキーワードになるはずです。

 もう1つの選択肢である「ま、いいか」は、気持ちを切り替えるときのスイッチとなる言葉です。
うまくいかないことが起きたときに、それをネガティブに受け止めてしまう前に、「ま、いいか」とつぶやくのです。
 自分ではどうにもならないことについて、くよくよ悩んでいても精神衛生上よくありません。
だったら「ま、いいか」といったん事実を受け入れてみるのです。
 このとき、できれば声に出して言ってみてください。
すると、モヤモヤした気持ちに対してひと区切りがつくはずです。

 皆さんは毎日のように、「疲れたな」「しんどいな」と言っていませんか? 
 夜帰宅して靴を脱ぎながら「あー、疲れた」。
朝起きぬけに思わず「しんどいな」……。
 無意識のうちに言っているかもしれませんが、こういう場合は心身のどこかによくない状況が起きていて、それが言葉として表出していることがありますから、意識して自分自身の行動をふり返ることをお勧めします。
 「なぜ私は毎日のように、疲れた、と言うのだろう?」  「しんどいって、何がしんどいのだろう?」
 鏡を見ながら、自分に向かって問いかけてみてください。
そして、肉体的に疲れているならば休養を、精神的にしんどいのならば原因を探って、それを取り除くような行動を起こしましょう。

 無意識のうちにこぼれ出るネガティブな言葉は、その原因を意識的に振り返ってほしいという脳からのサインです。
 そんなふうに捉えて、次の行動につなげていくことが大切です。

 一方、意識して「今日は本当に疲れた」とか「マジでしんどいな」とぼやくのは、気持ちを切り替えるうえでは役に立ちます。
感情を吐き出すことで、すっきりすることもあるからです。
 ただし、口にする前に、周りに人がいないことを確認するようにしてください。
周囲の人がその言葉を聞くと、あなたのネガティブな感情に巻き込まれてしまうからです。
 あなたがチームリーダーの場合、メンバーのやる気を下げてしまう可能性もあるので、注意が必要です。

■グチは脳からのメッセージ
 では、最後の質問です。
 グチを言うとやる気は上がるでしょうか?  それとも下がるでしょうか?
  当然下がりそうなものですが、脳科学的には「そうとも限らない」といえます。
やる気を上げる効果までは期待できませんが、グチにはやる気を下げない効果がありそうなのです。

 そもそも人がグチを言うときは、脳があなたに「その問題を見直しなさい」と伝えているのだと考えることができます。  人間関係のグチが多ければ、「その関係を見直したらどうか?」。  仕事がつまらないというグチが多いならば、「その仕事を続けるか考えてみよう」と、脳はあなたに伝えているのです。

 でも、ほとんどの人は考え直したからといって、すぐに人間関係を断ち切ったり、仕事を辞めたりすることはできませんよね? 
 だからグチを言って、現状を変えられない自分と折り合うためのガス抜きをしているわけです。
 現状をすぐに変えることはできないけれど、希望を失わず、変化が訪れるまで今の状況で頑張るためにグチを言っているのです。
 居酒屋でのぼやき合いでやる気は上がりませんが、下げもしません。
グチを言うのをやめて苦しくなるぐらいなら、積極的にグチってしまうのも手だと思うのです。

田中 伸明 :
ベスリ会総院長、日本神経学会認定医、
医師会認定産業医、東洋医学会専門医
posted by 小だぬき at 06:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『VIVANT』で話題の「日本の公安警察」…「誰も書けなかった」その正体、「厚いベール」に覆われた知られざる「内側」

『VIVANT』で話題の「日本の公安警察」…「誰も書けなかった」その正体、「厚いベール」に覆われた知られざる「内側」
青木 理(ジャーナリスト)
9/13(水) 現代ビジネス

 TBS系日曜劇場『VIVANT』(日曜よる9時〜)が話題となっているが、役所広司演じるノゴーンベキがかつて「裏切られ​」、阿部寛演じる野崎守の所属する公安警察とはどんな組織なのか? 
 本記事では、〈日本の「治安機関の中枢」といわれる「公安警察」の知られざる内側〉に引き続き、公安警察の組織構造と役割について、くわしくみていく。  
*本記事は2000年1月に刊行された青木理『日本の公安警察』から抜粋・編集したものです。

  さて警察庁警備局の組織を簡単に検証することを手始めに、日本の公安警察の巨大な塔へと分け入っていこう。
警備局は警備局長を筆頭とし、配下に警備企画課、公安第一課、公安第二課、公安第三課、警備課、外事課の計六課を置いている(次図参照、以下「第」を省略)。

 なかでも警備企画課は「警備警察に関する制度及び警備警察の運営に関する企画及び調査に関すること」
「局の事務の総合調整に関すること」(警察庁組織令)などを行う警備局の筆頭課であり、いわば公安警察の「中央センター」である。
 以下、同等の格付け(実態は違うが)を持って、公安一課から三課、警備課、外事課が存在し、対象団体や機能別にそれぞれが各都道府県警の公安部、警備部を睥睨する体制が取られている。

 公安一課は共産党を中心に、労働組合など大衆団体の情報収集を担当する、公安警察における「花形」である。
最近では課内に特殊組織犯罪対策室と命名されたセクションが配置され、オウム真理教に関係する情報の集約もここで行われている。

 公安二課は「極端な国家主義的主張に基づく暴力主義的破壊活動に関する警備情報」(同)を担当する。
主として右翼団体に関する公安情報の収集、犯罪の取り締まりを行っているセクションだ。
皇室やVIPの警護を行う警衛、警護なども同課の担当とされる。

 公安三課は「極左的主張に基づく暴力主義的破壊活動に関する警備情報」(同)や取り締まりを担当。
中核派や革マル派など、公安警察内で「極左暴力集団」と呼ばれる新左翼セクトを担当する。

 警備課は主に機動隊などの警察部隊活動の配備計画などを統括する。

 外事課はスパイ事件や海外に本拠を置く日本人のテロ組織動向、朝鮮半島情勢、旧共産圏諸国を対象にした情報収集活動にあたっている。

 警察庁警備局が公安警察の「頭脳」とするならば、その手足となるのが、強力な中央集権性によって束ねられている全国の都道府県警察の警備部であろう。
中でも首都警察である警視庁には全国の警察で唯一「公安部」と名称を冠せられた部門がそびえ立つ。
日本の公安警察における実働部隊の中枢であり、公安警察の「顔」ともいえる組織だ。

 警察庁の隣、皇居の杜を見下ろすように屹立する地上18階、地下4階建ての白亜のビルが警視庁本部庁舎である。
警視庁公安部の中枢機能は同ビルの13階から15階にあり、公安部長の下に公安総務課、公安一課から四課、外事一、二課、公安機動捜査隊、外事特捜隊が置かれる体制が取られている(次図参照)

 公安部の筆頭課は公安総務課である。
同課は共産党などの情報収集活動を行う一方、部内調整や法令解釈まで幅広く行うセクションであり、警察庁警備局との関連で言うならば、警備企画課と公安一課の業務を包括している。

公安総務課というどことなく平穏さを漂わせる名称とは裏腹に、日本の公安警察における実働部隊の中枢ともいうべき部門である。
 公安一課は、新左翼の各セクト、いわゆる「極左暴力集団」を担当。
少々複雑だが、警備局で言うと公安三課と連動することになる。
公安二課は革マル派や労働団体を担当。公安三課は右翼団体を対象とする。
公安四課は各団体の機関紙誌やビラ、個人データなどの資料を管理するセクションである。

 警視庁を除く各道府県警には、機動隊などの運用を行う部門と一体の組織形態となる「警備部」が置かれ、公安警察部門を包括している。
その規模によって配下にいくつかの課が置かれ、例えば大阪府警では警備部の下に警備総務課や公安一課から三課、外事課などがあり、山口県警を例に取れば、警備部の下には公安課、外事課などがあるだけだ。

    青木 理(ジャーナリスト)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする