ウォーキングは「1日1万歩」より、はるかに現実的な "歩数" で十分と判明! 新研究で明らかに
9/16(土) Harper’s BAZAAR(ハーパーズ バザー)
毎日ウォーキングすることには無数のメリットがある。
「1日1万歩」が目標だと聞いてはいるものの、多くの人にとってはなかなか達成できる歩数ではない。
長生きや減量に必要な特定の歩数はないことは多くの専門家が発見しているが、ついに新しい研究から、あらゆる健康にメリットがあり、達成しやすい1日当たりの歩数目標がわかった。
心臓血管系の医学雑誌『European Journal of Preventive Cardiology』に掲載された研究では、世界の22万人以上(平均年齢64歳)を対象にした17の長期的研究のデータを分析。
1日当たりの歩数と、あらゆる原因による死亡率(死亡リスク)、特に心疾患による死亡リスクに注目した。
その結果、1日3867歩で、あらゆる原因による死亡リスクが低下し始め、1日2337歩でも心臓病で死亡するリスクを低減するのに役立つことを発見。
つまり、1日2300歩以上歩けば、心臓の健康に違いが生まれるのだ。
さらに、少し変化を加えることで大きな違いをもたらすこともわかった。
1日にさらに1000歩多く歩くと、どんな原因による死亡リスクも15%低減。
500歩歩くと心臓病による死亡リスクが7%低減するのだ。
なぜ、ウォーキングが健康維持のために、そこまで重要なのか 心臓血管の健康には運動が重要だと、心臓専門医のジェーン・モーガン医学博士は言う。
「ウォーキングは非常に効果的な有酸素運動である上、気分や認知力も高めます。
また衝撃が少なく体重負荷で、ほとんどの人ができます」
ウォーキングは健康的な体重の維持や血圧・血糖値低下、心臓病リスクの低減にも役立つとモーガン博士。
さらに体重負荷のため、骨量減少を遅らせられるとも言う。
「歩くと、骨は引力に逆らって機能するので、骨粗しょう症で骨量が減るのを遅らせたり、骨粗しょう症のリスクを低減したりする可能性があります」
特に年齢を重ねるにつれて、骨を強く健康に維持することが重要になると博士。
ウォーキングは脚の静脈瘤の改善やエネルギー増強、睡眠の質や認知力、想像力や生産性の向上にも役立つ。
「簡単に言えば、ウォーキングは心臓の健康にいいだけではなく全体の健康にいい運動なので、もっと評価されるべき運動なのです」
さて、1日何歩歩くべき?
1日1万歩というのはあくまで任意の歩数だとモーガン博士。
「素晴らしく、完全で活発な歩数ですが、そうはいっても、やはり任意です」。
たとえほんの少しでも構わない、どんな歩数でもいいから、まずは歩くことが重要なのだと言う。
アメリカ心臓協会(AHA)は、心臓を最善の健康に維持するには、適度から激しい運動を1週間に150分するよう推奨している。
歩くことに限らず、1日30分を5日に分けて運動したり、1回10〜15分と短時間でもいいと、コロンビア大学アーヴィン・メディカル・センターの心臓病部医療科学准教授ブルック・アガワル博士は言う。
歩く距離や歩数だけが健康メリットを測る基準ではなく、ペースも大事だとモーガン博士は言う。
「1日当たりの歩数とは別に、速く歩くと、よりメリットがあるのです」
年齢や病状によって個人差があるので、1日当たりの目標を定める際は医師に相談することを、心臓病専門サイト『Cardiology Consultants of Philadelphia』の心臓病専門医ブレット・ビクター医学博士は勧める。
「多くの人は1日の歩数を記録するアプリを持っていますから、それに1000歩プラスすることを目標にするのもいいでしょう」
結論 この研究では、1日15分、1週間に4回歩く高齢者は、歩かない人より長生きしたことがわかっているとモーガン博士。「さらに、高齢者は1日11分運動するだけで心疾患や脳卒中、がんのリスクを低減する可能性があります」
ウォーキングはもっと評価されるべき、心臓の健康にいい運動だとも博士は言う。
ビクター博士はほとんどの人が1日当たりの歩数ばかりを過大評価しすぎているようだと言う。
「ウォーキングする時は、単にA地点からB地点に移動するのではなく、“運動で”歩いているのだと意識するようにしましょう。
意識を変えるだけで、ただブラブラ歩くより速く歩くことができ、よりカロリーを燃焼する可能性が高くなります」
歩数を記録すると、歩数が増える可能性が高くなるともビクター博士は言う。
「負けず嫌いな人は、パートナーや友人、あるいは自分自身に挑戦して、翌週はもっと歩数を増やそうとすることもできます」
さまざまな運動が流行しては消え、ランニングでさえ、全体的な健康メリットに関しては評価されたりされなかったりしてきた。
だが、ウォーキングには決して流行り廃りがなく、常に健康にいいと博士。
ウォーキングは、ともするとランニングや他の高強度のエクササイズほど優れていないと見下されがちだが、早歩きは心臓の健康向上に完璧な激しさがありながら、けがのリスクは少ないとアガワル博士は言う。
「ウォーキングは素晴らしい運動で、誰でも簡単に実行できます。自然の中を歩くとメンタルヘルスを向上させるメリットもありますよ」