2023年09月28日

「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か

「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か
2023年09月27日 PRESIDENT Online

性格診断によく利用される血液型だが、科学的根拠はない。
しかし、ここ数十年の研究で、血液型によって病気のリスクが異なることが明らかになっている。
岡山大学医学部の中尾篤典教授は「理由はわかっていませんが、O型の人は、概してA型、B型、AB型と比較してさまざまな病気になるリスクが低いです」という――。
※本稿は、中尾篤典・毛内拡(著)、ナゾロジー(協力)『ウソみたいな人体の話を大学の先生に解説してもらいました。』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

■怪我での死亡率と病気のなりやすさも血液型でわかる?
A型は几帳面、B型はマイペース、O型がおおらかで、AB型は変わり者……血液型といえば、日本では性格診断によく使われています。
こうした診断は不思議と自分や周りの人に当てはめてみると当たっているように思うことが多いのですが、実際には科学的根拠はなく、日本でしか話題にならないことです。

もともと、血液型はカール・ラントシュタイナーという病理学者によって、1900年に発見されました。
彼は、人の血清に他の人の赤血球を混合すると、固まる場合と固まらない場合があることを見つけ、これが今日のABO血液型になります。
A型の赤血球にはA抗原、B型にはB抗原、AB型にはAとBの両抗原がありますが、O型にはどちらの抗原もありません。
この発見は、血液型不適合による輸血事故を減少させ、輸血を発展させるきっかけとなりました。

血液型は当初、血液だけでの判定方法として出発しましたが、その後、血液以外(他の体液や細胞、毛髪のように生きていない組織も)にも同じ特徴が分布することがわかってきました。
つまり、すでに血液型は「血液」だけではなく、個人を血清学的に識別する方法のひとつでもあり、そのため同じ血液型の人がどんな病気になりやすいかなどの特徴があるのは、ある意味当然のことかもしれません。
実際に、ここ数十年の研究の数々から、血液型によって病気のリスクが異なることが明らかになっています。

@ ■O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍……
例えば、2010年にスウェーデンの大学が発表した研究結果によると、A型の人の胃がんのリスクは、最もリスクの低かったO型の人と比べて1.2倍でした。

A 2009年にアメリカ国立がん研究所が発表した論文では、B型の人は最もリスクの低かったO型の人に比べて、膵臓がんのリスクが1.72倍高いと報告されました。

B さらにB型の人は、O型に比べ2型糖尿病になる頻度が1.21倍であると報告されています。

C 脳卒中のリスクは、AB型の人が最も高いと報告されています。
2014年に発表されたアメリカの研究では、AB型の人は最もリスクの低かったO型の人と比べて、脳卒中のリスクが1.83倍高いそうです。

D さらに、AB型の人は、認知症になる可能性がO型の人に比べ約1.82倍といわれています。

E このように、O型の人は、概してA型、B型、AB型と比較して、様々な病気になるリスクが低いことは事実のようですが、その明らかな理由はわかっていません。
また、O型の人は蚊に刺されやすい、という話を聞いたことがあるかもしれません。
これは実は実験で証明されています。
メスのハマダラカを20匹入れた箱に、いろんな血液型の被験者の腕を入れて10分間に何カ所刺されたかを数えます。
実際に蚊の体内から吸った血液を取り出し、その血液型も確認したところ、O型の人は5.045カ所刺されるのに対し、非O型の人は3.503カ所しか刺されませんでした。
ハマダラカは、O型を好んで刺す傾向があるようです。

F ■O型は他の血液型より血が止まりにくい
一方で、O型の人は、大量出血するような大怪我をした場合、死亡率が他の血液型の倍以上です。
重症外傷の患者さん901人の分析から、O型の患者さんの死亡率が28%、そのほかの血液型は11%であることがわかりました。

G この理由はO型の人は健常者であっても、血を止めるための大切な因子の一部が他の血液型に比べて25〜30%しかないことがわかっており、止血能力や血液を凝固させる能力がO型の人は弱いためです。 つまり、O型の人は血液が固まりにくい(血液がさらさら)ため、血栓(血液が固まること)が原因で発生する病気が、他の血液型の人よりも少ないといわれているのです。

O型以外の人は、O型の人と比べ、心筋梗塞のリスクが1.25倍、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)のリスクが1.79倍との報告があります。
血液型による性格診断も、社会の中での自分の生き方を考えるのに役立つかもしれませんが、科学的にも自らの血液型の特徴を知り、食事や運動など日常生活を考え直すことで、リスクを減らすことができるかもしれません。
例えば、O型であれば、大怪我をしたときに自分の血がほかの血液型よりは止まりにくい可能性を考慮しておけば、より気をつけることにつながります。

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中尾 篤典(なかお・あつのり)
医師、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科救命救急・災害医学講座教授

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毛内 拡(もうない・ひろむ)
脳神経科学者、お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系助教
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする