2023年12月01日

「お金」や「時間」がない人がすぐ始めるべきこと

「お金」や「時間」がない人がすぐ始めるべきこと
2023年11月30日 ダイヤモンドオンライン

今生きている人生で「悔いのない生き方」をしている人はどれだけいるでしょうか。
しなかったことで後悔するよりも、自分に正直な人生を生きたほうが絶対幸せです。
「やりたいこと」をやり始めてからが本当の人生だからです。

では、「やりたいこと」を見つけるにはどうすればいいのか?
今すぐ「今すぐ、ふせんを使うこと」です。
頭の中で考えたところで見つかりません。「書く」のです。
「面倒くさいな」と感じた方、だから「ふせん」なのです。
ノートや手帳、パソコン、スマホのいいとこどりした最強アイテム「ふせん」
やることは、「書いて貼って並べ替える」だけ。
ふせん特有の5つの特色のおかげで、脳の潜在能力をつかいこなして、人生が180度好転します。『やりたいことが絶対見つかる神ふせん』から一部抜粋して紹介。ふせんを1日1枚書き始めた瞬間から、みるみる自分が変わっていくことに驚きます。自身の変化とふせんのすごさをぜひ堪能してください。

■「やりたいこと」を邪魔する4つの障害を乗り越える
「やりたいこと」が見つかっても、最初の一歩を踏み出せない人が大勢います。
その人が怠け者だから、ではありません。
やり方がわからなかったり、何か障害があって、その乗り越え方がわからないからです。

「時間がない」「お金がない」「自信がない」「家族の理解が得られない」の4つが代表的な障害です。

「時間がない」人は、本から時間の捻出法を学びましょう。
あとは、無駄な浪費を削減する。
スマホ時間を減らせばスマホ脳も防げて一石二鳥です。
ときにはお金で時間を買います。
成功者は皆、お金より時間を大事にした行動をとっています。

「お金がない」人は家計を見直しましょう。
お金をコントロールする術を本から学び、節約して種銭をつくります。
種銭で、163ページにある稼げるライフワークの入門編や初級編のビジネスで、収入を増やしてみましょう。
節税できれば、お金のコントロールができるようになるでしょう。
「自信がない」人こそ、ふせんを使いこなしてください。

毎日1枚以上ふせんを書いて、ノート1冊を埋めることを目標に。ふせんがあなたの背中を押してくれるはず。
あとは、同じ夢や目標を持つ人が集うコミュニティーに参加して、一緒に取り組む仲間を見つけることです。

「家族の理解が得られない」人は、自分のことはいったん脇において、家族の「やりたいこと」を応援しましょう。
心から応援すれば、いつかきっと同じように応援してくれるはず。
リビングなどにこの本をさりげなくおいて、家族に読んでもらうのもいいですね。
(本原稿は、『やりたいことが絶対見つかる神ふせん』から一部抜粋し、構成したものです)
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2023年12月02日

「農家の高齢化で、日本人に餓死の危機」はウソである…専門家が「むしろ農家はもっと減らすべき」と説くワケ

「農家の高齢化で、日本人に餓死の危機」はウソである…専門家が「むしろ農家はもっと減らすべき」と説くワケ
 山下 一仁  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 
2023年12月01日 PRESIDENT Online

高齢化で農業の担い手が減っていることで、主食であるコメの生産が危機的状況に陥るという報道が相次いでいる。
キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「報道の前提が間違っている。減少しているのは非効率な小規模農家なので、むしろ農家が減ったほうが効率化が進み、生産量が増える可能性がある」という――。

■農家が減るとコメ不足になるのか
2023年11月26日のNHKスペシャルは「シリーズ 食の“防衛線” 第一回 主食コメ・忍び寄る危機」 と題して、農業収益の減少や高齢化による農業労働力の減少によって2040年には米の生産が需要を賄えないほど大幅に低下すると主張した。
これは、間違っているだけでなく、コメ政策の根本的な問題から国民の目を逸らすものだ。
こうした報道に接するのは2回目である。
2023年9月18日付の日本経済新聞「農家が8割減る日 「主食イモ」覚悟ある?」は、2050年まで国内の農業人口が8割も減少し、生産が激減するので、国民に必要なカロリーを供給するにはイモを主食にしなければならないと主張している。
この記事は、2050年にかけて、農家経営体数は84%減少し、農業生産額は52%減少するという三菱総合研究所マンスリーレビュー2022年12月号の「2050年の国内農業生産を半減させないために」を基にしているようだ。

NHKスペシャルでも、2040年にはコメの生産量は351万トンで156万トン不足するという三菱総合研究所の試算を紹介している。
日本経済新聞の記事等については、元日本銀行政策委員会審議委員の原田泰氏が、次のように批判している(「農家が8割減って「イモが主食」は本当?→むしろ日本の農業に好都合なワケ」2023年10月2日付ダイヤモンドオンライン)。
「販売金額の少ないところでは多くの経営体があり、販売金額の多いところでは経営体数は少ない。
農産物の販売は、金額の多い経営体に集中している。
数でいうと11.8%の経営体が、販売額の77.8%を占めている。
すなわち、経営体が9割減っても、8割の生産物を維持できる」。

また、規模の大きい層の生産は拡大しており、小さな経営体が廃業しても規模の大きい層が農地を吸収するので供給には心配はないとする。
農業を専門にする私が指摘しなければならないことを原田泰氏に指摘していただいたようである。

実際にも規模が比較的大きい5ヘクタール層が耕作する田の面積シェアは2015年の42.9%から2020年には53.1%に増加している。
日本経済新聞の記者も三菱総合研究所の担当者も農業についてはアマチュアなのだ。

■農家が減っても農業生産額は変わらない
日本経済新聞や三菱総合研究所の間違いは、次のグラフ(図表1)から一目瞭然だろう。
農業生産額は農業就業者ほど減っていない。ということは、一人当たりの生産額は大幅に上昇していることを示している。 NHKスペシャルの前提は完全に間違っているのである。
それだけではない。内容に大きな矛盾があるうえ、公共放送なのに国民が知るべき重大な問題を避けている。

■農業保護強化を訴える報道になっている
NHKスペシャルの概要を紹介しよう。
米は国民の供給熱量の2割を占めていることを紹介したうえで、収益の低下や高齢化で、農地の耕作放棄が増えていると指摘する。
外国からの労働力に頼ろうとしてもヨーロッパの賃金が高いので日本に来てくれなくなっている。
農家に高い米価を保証していた食糧管理制度が廃止されてから米価は大幅に低下している。
規模を拡大すると10ヘクタールまではコストは低下するが、それ以上になるとコスト削減は頭打ちとなる。
スイスでは農業保護を憲法で規定している。
また、いくつかの地方で、農家に高い価格を払って有機栽培米を学校給食で供給しようとする動きがある。
さらに、農家と消費者が対話する“自給圏”という考えを紹介している。
つまりNHKスペシャルは「農業保護」の必要性を訴えている。
これは、農業界が食料自給率を問題視するときと同じやり方である。
食料自給率が38%で海外に6割以上を依存していると言えば、国民は「農業保護が必要」と受け止める(参考記事 「台湾有事が起きれば日本国民は半年で餓死する…『輸入途絶の危機』を無視する農林水産省はあまりに無責任だ」。

食料自給率向上や国消国産を唱えるJA農協とNHKは親密である。
一緒に、日本農業賞や食料フォーラムを開催している。
このNHKスペシャルにもJA農協の関係者は多く登場しているし、最後に登場した鈴木宣弘氏は東大農学部教授でありながら長年JA農協の研究所長を兼務していた。
農家戸数を減少させて農家の規模拡大を図るという構造改革に反対し、小さな農家も含めて農家を丸抱えしようとするのもJA農協の主張である。
“自給圏”はJA農協の国消国産を想起させる。
NHKスペシャルの内容は、JA農協の主張とそっくりなのだ。

■「イチゴ農家」と「コメ農家」を一緒に論じてはいけない
農業を議論する人たちに共通の問題がある。
製造業には、自動車産業、繊維産業、鉄鋼業、セメント工業など、異なる業種がある。工場で生産される点で共通するところがあるとしても、自動車とセメントを同じように議論する人はいないだろう。
農業も同じである。
土地を多く使用するコメや小麦などの農業と土地よりも労働が必要な野菜や果樹などの農業は、生産も経営も全く異なる。
自然や生物を相手にするという点で共通しているだけである。

さまざまな農業があるのに、国民の多くは、農業は全て同じだと考えてしまうのである。
確かに、イチゴやブドウ農家は多くの労働を必要とする。コロナ禍で外国人研修生がいなくなって悲鳴を上げたのは、彼らである。
しかし、NHKスペシャルが対象に挙げたコメは違う。
機械化の進展で、都府県では標準的な1ヘクタール規模のコメ作なら、年間27日だけの労働で十分である。

■コメ作に多くの労働力は必要ない
確かに1951年では、年間251日の労働が必要だった。
米と書いて八十八手間がかかると言われた時代だった。
しかし、機械化が進み、今のコメ作りなら、平日会社勤めをするサラリーマンが週末田んぼに出るだけですむ。
最も手間暇のかからない農業なのだ。
さらに規模が大きくなると、面積当たりの労働時間はいっそう減少する。

■コメ作は大規模化することで収益向上する
今の農家が高齢化して農業の跡継ぎがいなくなって農家人口は減少するという。
また、耕作放棄して農地がなくなっていくという。
これは農業収益が低いからである。
解決するには、農業収益を高めればよい。

10年前に出された“増田レポート”は、人口減少でかなりの市町村が消滅するというショッキングな内容だった。
秋田県は秋田市も含め一つの村を除いて壊滅するとした。
その一つの村というのは、全戸農家で、しかもほとんどがコメ農家の大潟村である。
一戸当たりの規模はほぼ20ヘクタール。都府県の平均的な規模の20倍である。
コメのような土地利用型農業では、次の図(図表3)のように、規模が拡大すると大型機械で効率的に作業・生産できるので、コストは下がる。
所得は売り上げからコストを引いたものなので、規模拡大によって所得は増加する。
大潟村の一戸当たりコメ所得は1400万円である。
子供たちは東京の大学に進んでも必ず村に戻る。全戸後継者がいるので、村は消滅しない。

■農地維持のためにも農家の数は減らしたほうがいい
都府県の平均的な農家である1ha未満の農家が農業から得ている所得は、ゼロかマイナスである。
ゼロの米作所得に、20戸をかけようが40戸をかけようが、ゼロはゼロだ。
しかし、30haの農地がある集落なら、1人の農業者に全ての農地を任せて耕作してもらうと、1600万円の所得を稼いでくれる。
これをみんなで分け合った方が、集落全体のためになる。

農地面積が一定で、一戸当たりの農家規模を拡大するということは、農家戸数を減少させるということである。
特に、コメ作には規模の小さい非効率な兼業農家が多すぎる。
農業で生計を立てている主業農家は9%に過ぎない。 大家への家賃が、ビルの補修や修繕の対価であるのと同様、農地に払われる地代は、地主が農地や水路等の維持管理を行うことへの対価である。
地代を受けた人は、その対価として、農業のインフラ整備にあたる農地や水路の維持管理の作業を行う。

地主には地主の役割がある。
健全な店子(担い手農家)がいるから、家賃でビルの大家(地主)も補修や修繕ができる。
このような関係を築かなければ、農村集落は衰退するしかない。
農村振興のためにも、農業の構造改革が必要なのだ。

■安直な「農業保護強化」は国民負担を高める
NHKスペシャルは、米価(60キログラム当たり)は、1995年まで食糧管理制度で政府がコメを買い入れていた時代の2万1000円から年々下がり、今では1万4000円になっていると指摘している。
農業保護が少なくなって農業収益が落ちたので、農業者数が減少し、耕作放棄が増えたのだと言いたいのだろう。
しかし、農業収益を上げるために農業保護を高めるというのは安直な方法である。米価を上げれば消費者が、補助金を上げれば納税者が負担する。つまり、国民の負担増加に跳ね返るのである。国民負担を高めることなく、規模拡大でコストを下げて農業収益を上げるという王道は、NHKスペシャルでは触れることもなかった。

それだけではない。少しでも経済の勉強をした人なら、需要が高まれば価格は上がり、供給が増えれば価格は下がることを知っている。
農業就業者数が減少して供給が不足しているのであれば、米価は上昇しているはずなのに、NHKスペシャルが指摘するように、その逆である。
NHKスペシャルが報道した主張と事実は大きく矛盾しているのだ。
米価が下がってきたということは、(農業就業者数は減少しているにもかかわらず)供給が需要を上回って推移したということである。
将来農業就業者数が減少しても、コメの供給に心配いらない。
NHKスペシャルが一生懸命指摘しようとした問題は、そもそも存在しないのだ。

■食料危機を招く本当の原因は「減反政策」
これまでも、将来も、供給は需要を上回り続ける。
だから、米価の低下をできる限り抑えるため、補助金で供給を減らして米価を市場で決まる価格よりも高くする減反(生産調整)政策を50年以上も続けているのだ。
減反を止めて、カリフォルニア米並みの収量のコメを作付けすれば、コメの生産は今の670万トンから1700万トンまで拡大する。
国内で消費しないコメは輸出する。
小麦等の輸入が途絶する際は、輸出していたコメを食べればよい。
併せて二毛作を復活させて麦生産を増やせば、食料自給率は70%まで上がる。
正しい政策は減反の廃止である。

1960年から世界の米生産は3.5倍に増加したのに、日本は4割も減少した。
NHKスペシャルもコメは主食だという。
しかし、農業界は、食料危機の際に最も頼りになるコメの生産を毎年3500億円もの減反補助金を出して減らしてきたのだ。減反を廃止すれば、コメの生産が拡大するうえ、3500億円の国民負担がなくなる。
輸出はいざというときの無償の備蓄の役割を果たすので、現在100万トンのコメ備蓄にかけている500億円の財政負担も不要になる。
国民は食料安全保障を確保したうえで、併せて4000億円の国民負担を解消できる。

■「税金」と「高価格」の二重負担を課せられている
NHKスペシャルはスイスの農業保護政策を紹介していたが、OECDによると、日本の農業保護は、EUや中国の2倍以上、アメリカの4倍以上である(※)。
食料安全保障のためだと言われて、国民は高い関税を負担して国産農産物だけでなく輸入農産物にも高い価格を支払ってきた。
この消費者としての負担は4兆円を超えるうえ、国民は納税者として農業保護のために2兆円ほどの財政負担を行っている。
特に、減反政策は、補助金を農家に与えて生産を減少させて消費者が購入するコメの価格を上げる、つまり納税者と消費者に同時に負担させるという、他に例を見ない異常な政策である。

減反補助金を負担する納税者、高米価を強いられる貧しい消費者、取扱量減少で廃業した中小米卸売業者、零細農家が滞留して規模拡大できなかった主業農家、なにより輸入途絶時に十分な食料を供給されない国民、一部の既得権者を除いて、全てが農政の犠牲者だ。
※「Agricultural Policy Monitoring and Evaluation 2023」の国別レポート、「日本」「EU」「中国」「アメリカ」に記載された2020〜22年の%PSE(Producer Support Estimate、農家の受取額に占める価格支持と財政負担の割合)から筆者が算出。

■得をしているのはJA農協
では、誰のために減反政策は維持されるのか。
JA農協は、銀行以外の業務を行える日本で唯一の法人である。
銀行事業で2349億円、保険事業で1323億円、これで272億円の農業部門、255億円の生活事業部門の赤字を補塡(ほてん)している(2021年)。
米価を上げることで滞留した零細な兼業農家のサラリーマン収入や農地を宅地等に転用した膨大な売却益はJAに預金され、JAは、貯金額100兆円を超える日本トップレベルの銀行となった。
JAはそれをウォール街で運用して巨額の利益を得た。米価が下がり零細兼業農家が農業をやめて組合員でなくなれば、こうした利益はなくなる。
減反による高米価はJAのためである。

JA農協は農家戸数や農業従事者の減少を食い止めるに組織的な利益があるのだ。
逆に農家戸数が減少すると政治力が減少する、農家、特に兼業農家が減少するとJAバンクの預金額が減少するというデメリットがある。
JA農協は、これをなんとか食い止めたいと考えているのではないか。
NHKスペシャルに出演したJA農協関係者の発言とは異なり、JA農協は懸命になって減反=コメの生産減少の音頭をとってきた。
そのJAの利益を守る農林水産省は「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とする日本国憲法に違反している。
減反の問題を指摘できない公共放送も同じなのだろう。
しかし、われわれはJAの利益を守るために受信料を払っているのだろうか?
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2023年12月03日

生活保護“引き下げ取り消し”で勝訴 原告ら厚労省に要請書

生活保護“引き下げ取り消し”で勝訴 原告ら厚労省に要請書
2023.12.1   日テレNEWS

生活保護の基準額の引き下げが生活保護法に違反するとして、引き下げの取り消しなどを求めた裁判で11月30日に勝訴したことをうけ、原告と弁護士らは、12月1日、厚生労働省に要請書を提出しました。

1日、生活保護をめぐる裁判の原告と弁護士らの代表団は、厚生労働省に引き下げ前の生活保護基準にただちに戻すことなどを要請しました。
この原告らが起こした裁判で11月30日、名古屋高等裁判所は、厚労省に重大な過失があるとして、生活保護基準額の引き下げ処分の取り消しと、原告の請求通りの賠償を国に命じる判決を言いわたしました。

この判決に対して、原告は「やっと認めてもらえた、理解してもらえたという感情で非常にうれしい」とした上で、生活保護基準額の引き下げに関する同様の裁判が各地でまだ続いていることを理解してほしいと訴えました。
また、弁護士は「今回の判決によって国は非常に強い批判をされているということを真正面からうけとめ、自らおこなったことを改めて再検証をしてただすべきなのではないか」と主張しました。

一方、武見厚労大臣は当時の基準設定の判断について「手順も含めて適切だった」と述べ、「判決内容の詳細を精査し、関係省庁や被告自治体と協議した上で、今後適切に対応したい」としています。
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2023年12月04日

相手にしてはいけない「否定がキホンの人」の特徴

相手にしてはいけない「否定がキホンの人」の特徴
12/3(日) ダイヤモンドオンライン

 AI時代、最重要の教養の一つと言われる「哲学」。
そんな哲学の教養が、一気に身につく本が上陸した。18か国で刊行予定の世界的ベストセラー『父が息子に語る壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書』(スコット・ハーショヴィッツ著、御立英史訳)だ。
イェール大学とオックスフォード大学で博士号を取得した哲学教授の著者が、小さな子どもたちと対話しながら「自分とは何か?」から「宇宙の終わり」まで、難題ばかりなのにするする読める言葉で一気に語るという前代未聞のアプローチで、東京大学准教授の斎藤幸平氏が「あらゆる人のための哲学入門」と評する。
本稿では、同書より特別にその一節を公開したい。

● 彼らは「確かなことはわからない」と言う ──なんでも否定できるワードを使う
 懐疑論をもてあそぶ人びとには気をつけなくてはならない。
あなたが思うより懐疑論者は多い。
哲学では楽しいゲームだが、哲学の外では陰湿なゲームになる。

 ヌ・アンジェル・ピニリョスは最近、気候変動問題に関連してその点を指摘した。
彼も認識論の研究者で、人びとが科学に対して抱く疑念のあり方に関心を持っている。
 大気に放出される炭素が気候変動の原因であることを示す証拠は大量にある。
人間は世界をじわじわと破壊している。
それなのに、私たちはそれを食い止めるために十分な手段を講じていない。なぜか?
 理由はたくさんあるが、その多くは、炭素排出をもたらす経済活動から一部の人が利益を得ており、それを手離そうとしないという事実に起因する。
もちろん、そんなことをストレートに言ったら大変なことになるので、彼らは工夫する。
行動を起こすにはまだ情報が不足している、と言うのだ。
 一部の政治家はこの作戦を採用している。
2​0​1​7年、ニューハンプシャー州知事のクリス・スヌヌは、炭素排出が気候変動の原因なのかと質問されたときにこう答えた。
 確かなことはわかりません。
私はM​I​T(マサチューセッツ工科大学)でこの問題を研究しました。地球科学と大気科学を、世界でもっとも優秀な人たちと一緒に学びました。自分でも詳しくデータを検証しました。……
 私たちは事態の推移を注意深く見守らなくてはなりません。
環境、社会、経済、そのほかすべての分野に気候変動が与える影響を研究し、理解しなければなりません。
過去1​5​0年間、地球がほぼ一貫して温暖化した主要な原因は大気中への炭素排出なのでしょうか。そうかもしれませんが、わかりません。
 理にかなった考えのように聞こえる。
スヌヌがこの問題について研究したのは事実だ。
炭素排出が原因である可能性を否定しているわけでもない。わからない、と言っているだけだ。

 しかし、スヌヌが「確かなことは」という言葉を話に忍び込ませて、知識の基準を高く設定していることに注意しなくてはならない。
炭素排出が「確かに」気候変動を引き起こしていると知っているか、と問われたら、そうとは言えないかもしれない。
しかし、それを言うなら、私たちにはほかにも「確かに」知っているとは言えないことがたくさんある。

 ここで問うべきことは、なぜそれを「確かに」知らなければならないのか、ということだ。
いま行動しなければ壊滅的な打撃を受けるかもしれないのだ。そして、完全に確かではないにせよ、危険水準に近づいていることはかなり確かだ。

● しようと思えば何でも否定できる
 「確かなことはわからない」という言葉を挿入するのは意図的な戦略で、長年採用され続けている。
石油大手のエクソンは1​9​8​0年代までに、自社の科学者の研究によって、人間の活動に由来する気候変動が現実の脅威だと確信していたにもかかわらず、会社として「科学的結論の不確実性を強調する」という方針を決定していた。
 この作戦を編み出したのはエクソンではなくタバコ会社だ。彼らは、自社の研究者が喫煙と癌の関連性を確認していたにもかかわらず、それを疑問視するよう世論を誘導した。
タバコの製造販売を行っていたブラウン&ウィリアムソンの社内メモには、喫煙と癌の「因果関係に対する疑念を広める」という戦略が記されていた。

 疑念を操作して世論を左右しようとする人びとに、どう対処すればいいのだろう?
 難しい問題だ。
私は哲学者という職業上、デカルトと同じように疑うことにコミットしている。
自分が知っていることを問い直し、間違いの可能性を探すことは大切だと思う。
科学者にもそのような傾向があって、不確かさを数値化さえするが、そのため、意図的に疑念を浸透させようとする輩に利用されやすい。

● 質問する人を疑え ──「ただ否定したいだけの人」か「本当に疑問がある人」か?
 レックスと私は、最近この話をするようになった。
 私は彼に、疑うこと、つまり質問することを教えている。
しかし彼には、世の中にあふれている質問は誠実な質問ばかりではないことも知ってほしいと思う。
 だから、質問する者を疑うよう教えている。
 この人は本当に知りたいと思っているのだろうか?  エビデンスに関心があるだろうか?  自分が間違っていたとわかったら、それを認める人だと信頼できるか?  それとも、うやむやにしようとする人だろうか?

 ピニリョスは、公的な文脈では、確率に基づいて話すべきだという戦略を提案している。
確かに、科学的コンセンサスが間違っている可能性はある。
つまり、人間が排出する炭素が気候変動の原因ではない可能性はある。
しかし、科学者はその確率も計算することができ、その値はごく小さい。
 科学が間違っているというわずかな可能性に、子どもたちの未来を賭けることは許されない。

「ダウトモンガー」〔懐疑論で人心を操作する者〕の戦略にはまってはならない。
 行動するために、「確実に」知ることは必ずしも必要ではない。
私たちは完全に知っていなくても確率に基づいて考え、行動している。  
(本稿は、スコット・ハーショヴィッツ著『父が息子に語る壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書』からの抜粋です)
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2023年12月05日

75歳以上の医療費「窓口負担2倍」に…岸田政権が的外れ少子化対策で後期高齢者を狙い撃ち

75歳以上の医療費「窓口負担2倍」に…岸田政権が的外れ少子化対策で後期高齢者を狙い撃ち
12/4(月) 日刊ゲンダイ

 また、岸田政権が高齢者を狙い撃ちにしようとしている。
75歳以上の後期高齢者の「医療費負担」を2倍にするつもりなのだ。
現在、後期高齢者が病院で医療費を払うときの窓口負担は、原則1割となっている。
後期高齢者でも一定の所得がある人は2〜3割負担となっているが、後期高齢者の約70%は1割負担だ。
ところが岸田政権は、12月中に社会保障の改革工程表を策定し、その工程表に、後期高齢者の負担引き上げを盛り込む方針だ。

 後期高齢者の窓口負担を2割に引き上げるのは、岸田政権が打ち出した「異次元の少子化対策」の財源を確保するためだ。  少子化対策には年間3兆円台半ばの追加財源が必要となる。
政府は、このうち1兆円超を社会保障の歳出改革で捻出する方針だ。

 当初、岸田首相は「新たな国民負担は求めない」としていたが、モノ分かりがよく、文句を言わない後期高齢者に負担させるつもりらしい。
 しかし、窓口負担が2倍になれば、安易な医者通いは減るだろうが、後期高齢者が診療を控えて体調を悪化させ、結果的に医療費が膨らむ恐れもある。

なぜ無駄な予算を見直さない  
さっそくネット上では批判が噴出している。
<2割にするのは仕方ないと思うけど、なぜそれが少子化対策の財源にまわるのか納得できない。
医療費は医療費の中での予算組み、例えば子供の医療費無償化とか>
<とにかく取れるところから税金を取っていくことしか考えていないのかな>
<国民同士で世代の異なる者の間での不公平感や対立を煽る目的でもあるのか。
権力を握る自分たちへの民の怒りが向かわない細工>

 経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「高齢者の多くは、日本の将来のために自分たちの負担が重くなるのは仕方ないと考えているはずです。
でも、的を外した岸田政権の少子化対策では、少子化は止まらないと思う。
無駄ガネになるだけです。
それに裕福な高齢者ばかりではない。年金だけでカツカツの生活をしている人がほとんどでしょう。

高齢者に負担増を求める前に、まず無駄な予算をカットするのが先なのではないか。
財源だって、求める先は弱者ではないはずです」

 高齢者は年金の実質支給額も減額される予定だ。
なのに若者に比べ、なぜか高齢者の内閣支持率は高い。
なめられている可能性が高い。
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2023年12月06日

強まる嫌煙社会 喫煙者ゼロは理想だが… 「たばこ=悪、一辺倒の風潮は恐怖」

強まる嫌煙社会 喫煙者ゼロは理想だが… 
「たばこ=悪、一辺倒の風潮は恐怖」
12/4(月) 産経新聞「世論輿論」

「喫煙者と非喫煙者の議論は平行線で分かりあえることはない」と、ある同僚がたばこを小欄のテーマにすることについて難色を示していたが、確かにその通りかもしれない。
寄せられた意見は賛否が分かれるものの、やはり喫煙者に否定的な意見が目立った。
《喫煙者は嫌煙の気持ちが絶対に分かりません。ワガママで言い訳ばかり、よく考えつくなという気がします》
寄せてくれた意見の一部だが、特に非喫煙者からの指摘はかなり手厳しい。

そもそもたばこは、日常生活の中で平然と火をつけ、吸い込んだ煙を吐くという行為だけに、非喫煙者からすれば耐え難いものであることに相違ない。
私事で恐縮だが、およそ20年前、結婚を機にたばこをやめた。
むろん妻が非喫煙者だったため「自主規制」したまでだ。

このころから受動喫煙がクローズアップされ、徐々に喫煙場所が少なくなった。
喫煙するために喫煙ルームのような場所を探す必要があり、「そんなに面倒ならいっそやめてしまおう」との思いも後押しした。
喫煙者の多くが思うことらしいが、自身の煙はなんとも思わないのに、他人の煙はうっとうしい。
ゆえに非喫煙者が喫煙者に厳しくなることは十分理解できる。

《すれ違ったときの服から臭う強烈な臭いは好きではありません。
しかしまだ我慢できるのです。
たばこはそんなものではありません。
それが近くから臭いでもしたら息を止めて通り過ぎます》 こうした意見も寄せられた。

健康に悪いという問題だけでなく「臭い」についても、他のものと比較にならないのがたばこのようだ。
すでに非喫煙者になった身としては、この世からたばこがなくなればいいとすら思う。
ただ、かつて喫煙していた後ろめたさは常にある。

やめたからといって手のひらを返したようにたばこ批判をするのは、説得力にかける気がしてならない。
同様の思いを抱く方からも意見をいただいた。

《私も元喫煙者ですが、今は嫌煙になっています。
屋外喫煙の煙が流れてきたら、心の中では「なんでお前の吐いた汚い煙を臭わないといけないのか」と、昭和、平成初期と職場の非喫煙者に煙を提供していたことを棚に上げて思います》とつづっている。
このようにかつての喫煙者ですら現在の喫煙者には厳しい意見が相次ぐ。
そして極端な嫌煙派からは、受動喫煙によって非喫煙者まで健康を害し、最終的に死に至らしめるといった論も目立つ。

ただ、一度立ち止まって考えてみてほしい。
受動喫煙が要因で病となった人は少なからず存在するだろう。
だが、会社や家庭の応接室に灰皿が必須で、たばこの煙が蔓延(まんえん)していた時代に生き、現在80代や90代を健康に迎えている人は多い。
日本は国際社会においても指折りの長寿国だ。
さらに言うまでもないが、日本は自由が保障された民主主義国家である。
まして多様性が重視される社会で、マナーを守っている喫煙者の言い分も否定するのであれば、それは過剰反応ではないかと思えてしまう。

たばこばかりが非難され、自動車の排ガスを問題視しないことに疑問を抱く男性は、現状をこう指摘する。

《喫煙だけが無条件に悪とされ、喫煙者ならいくらたたいてもよいという今の風潮には、恐怖すら覚えます》
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少子化対策の財源 医療・介護の「3割負担」拡大 「応能負担」鮮明

少子化対策の財源 医療・介護の「3割負担」拡大 「応能負担」鮮明
12/5(火) 朝日新聞DIGITAL

 政権の掲げる「異次元の少子化対策」の財源確保策の一つ、社会保障の歳出改革に関して、政府は5日、2028年度までに実施を検討する具体的なメニューを盛り込んだ改革工程の素案を示した。

医療・介護では、「現役並み」の所得がある高齢者について、窓口負担や利用料を「3割負担」とする対象の拡大を検討。
支払い能力に応じた「応能負担」の仕組みを一層強化する。与党との調整を経て、年末までに閣議決定する方針。

一方、医療保険料とあわせて徴収する「支援金(仮称)」について、政府は26年度から始める方向で調整に入った。

 少子化対策は年3・5兆円の事業規模。既定予算の活用、支援金に加え、改革工程での捻出で、政府は段階的に実施する充実策が出そろう28年度までに財源を確保する考え。それぞれ1兆円程度と見込む。

 改革工程は各項目の実施時期を(1)来年度(2)28年度まで(3)高齢者数がほぼピークとなる40年ごろまでの3段階に整理。
その上で「働き方」「医療・介護」「地域共生社会」の三つの視点で素案を示した。

朝日新聞社
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2023年12月07日

もし総理だったら…前明石市長・泉房穂氏「すぐに国民を救う」生活必需品の消費税0など具体策も

もし総理だったら…前明石市長・泉房穂氏「すぐに国民を救う」生活必需品の消費税0など具体策も
2023/12/6 毎日新聞

 兵庫県明石市の前市長・泉房穂氏(60)が、6日放送のABCラジオ「桑原征平 粋も甘いも」(水曜正午)に出演。
自身が首相になったとしたら、やりたいことを語った。
 パーソナリティの桑原征平から「もしも、泉さんが岸田総理であるとすれば、具体的にどういった政策から手を付けますか?」と質問が寄せられた。
 泉氏は「もし総理やったら、すぐに国民を救います」ときっぱり。

「簡単に言うたら、国民の手元にお金が残るように使えるようにするのがポイント」と続けた。
 具体的な策として「消費税のうち、少なくても食料品など生活必需品は消費税0にします」と宣言。
「イギリスとかアイルランドは消費税20%以上の国ですけど、でも食料品などは消費税ないんです。
ヨーロッパってそういう国が多くて、日本って本当に食べ物にさえ消費税がかかるじゃないですか。
スーパー行った時の買い物も大変。
少なくとも食べ物、食料品、生活必需品は消費税取る必要ないと思います」と語った。

桑原から「なぜ、今の首相ができないのか?」と再び問われると、「なぜ、しないんでしょうね」と呆れ声。
「明石市では、増税も保険料も上乗せする立場にないので、やりくりで子どもに関する予算を2・4倍に増やした。
その結果、明石市は医療費、保育料、給食費、オムツ代、遊び場の利用料は5つの無料化と言ってますけど、こんなん簡単ですよ」と首長を務めた明石市では実現できたと回想した。

 続けて「トップが決断して、そうすると決めた瞬間にお金は生まれますから。
つまり預かっているお金をどこに使うかを決めるのが政治だから、今の日本は政治家が政治をしていない」と批判。

「官僚の言いなりでこれまでやってきたことを漫然と続けてるだけであって、時代に即して国民にとって必要なことを決断するのが政治家ですから、決断したらすぐにできるに決まってる」と政治家たちに国民に寄り添った政治をするよう求めた。

 さらに「日本の場合は中央省庁の官僚が力を持ちすぎていて、特に財務省を中心とした方々が政治家より上のような状況。政治家は本当は国民のために官僚を使いこなさないといけないのに、逆に官僚をほっておくと国民に負担を押しつける宿命的な組織ですから、政治家がちゃんと国民の方を向いた決断をするのが政治」と言い切った。
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2023年12月08日

物価上昇で「生活苦」でも…ストライキすら起こせない“日本人の未来”が超ヤバい理由

物価上昇で「生活苦」でも…ストライキすら起こせない“日本人の未来”が超ヤバい理由
12/7(木)  ビジネス+IT

 日本でもインフレが顕著になってきたことから、国民の生活環境が大きく変化している。
これまでの日本社会は我慢が美徳とされ、耐えることで何とかなった面も多かったが、インフレ時代にはその常識は通用しなくなる。

新しい時代に向けた基本的な価値観の転換が必要である。

デフレは不景気の結果として生じる
 日本では30年にわたってデフレ時代が続いたため、若い世代の中にはインフレというものを直感的に理解できていない人が多い。
中高年も似たようなもので、昔の記憶はとっくに忘れ去り、日本は半永久的にデフレが続くと信じ込んでいる人が少なくなかった。
メディアでも「日本はインフレにならない国」など、経済学の常識ではありえないような主張がまかり通っていたのが現実である。
 筆者は以前から経済の原理原則として、いつまでもデフレが続くことはありえず、日本の金融・財政状況などを考えると、いずれ円安に転じ物価上昇が始まると何度も指摘していた。
だが筆者のような専門家は少数派であり、筆者らの指摘に対しては「分析能力がゼロ」「経済学を分かっていない」など罵詈雑言が浴びせられる始末であった。

 しかしながら、日本が他国と比べてインフレになりにくい体質というのは、まったくの嘘でもない。
 なぜなら、上記のようなバッシングに代表されるように、日本社会は他人の行動を抑圧しようとする傾向が強く、これが国民生活を圧迫し、健全な経済活動を歪ませている現実について否定できないからである。

 デフレというのは、(金利をいきなり10%や20%に引き上げるといった)急激な金融引き締めなどを実施しない限り、不景気の結果として生じる。
日本の長期デフレも同じであり、バブル崩壊以降、日本企業の競争力が著しく低下し、企業の業績や賃金が上がらなくなったことが最大の要因である。
 景気が上向かないので、物やサービスを販売する企業は値引きせざるを得ず、これが物価を押し下げ、さらに賃金の低下を招くという悪循環となっていた。
「デフレマインド」など、得体の知れない「空気」によってデフレが引き起こされるのではなく、明確に不景気の結果としてデフレが生じていたというのが正しい分析と言えるだろう。

 その意味で日本も他国と何ら違ったところはないのだが、デフレが発生した後の動きは国によって大きく異なっている。
大抵の国では、ある程度まで不景気やデフレが進むと、どこかのタイミングで経済は反転し、景気拡大に向かうことになるが、日本の場合、30年間、一向にそうした動きが見られなかった。

日本では「ストライキはわがまま」
 これにはさまざまな理由が考えられるのだが、日本社会特有の息苦しい雰囲気や日本人の行動様式がデフレ長期化と関係した可能性はそれなりに高い。
 一般論として、不景気で企業の業績が上がらず、賃金の引き下げが行われた場合、ある程度までなら労働者は受け入れる。だが一定の限度を超えると大抵の国の労働者は拒絶し、ストライキを起こしたり、より賃金の高い職場を求めて会社を辞めてしまう。

 企業は労働者がいなければ業務を遂行できないので、不景気で経営が苦しくても、相応の高い賃金を提示する必要に迫られ、賃金は自然に上昇に転じる。
ところが日本の場合、賃金の据え置きや引き下げが30年間にわたって継続し、多くの労働者が我慢して受け入れるという、他国では見られない特異な状況が続いてきた。

 日本では賃上げ要求やストライキについて「わがままだ」と考える人が一定数存在しており、互いがこうした行動に出ないよう監視・抑圧している。
企業にしてみれば、どれだけ賃金を下げても会社を辞めずに、文句一つ言わず仕事をしてくれるのだから、これほど都合の良い労働者はいない。
こうした状況が30年にもわたるデフレの原因となった可能性はそれなりに高い。

 日本経済が完全に閉じた状況で、外国との貿易がなければ、我慢に我慢を重ねる生活様式というのも、かなりの期間にわたって継続できる(江戸時代はまさにそうした状況だったと言えるだろう)。
だが近代化以降の日本は、典型的な加工貿易の国であり、輸出入を通じた海外とのやり取りが存在しており、海外の経済状況から大きな影響を受ける。

本来なら日本のインフレはもっと激しい
 変化は大抵、外圧によって発生するというのが近代日本の典型パターンだが、今回もまったく同じである。
「インフレにはならない」などと言われていた日本経済が大きく動くきっかけとなったのは、原油価格や食料価格の上昇という外的要因であった。
 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに原油や小麦の価格が上昇し、食料品を中心に国内では多くの商品の値段が上がった。同時に全世界的なドル高が進み、日本と米国の金融政策の違いから円安が加速。
輸入物価の上昇にさらに拍車がかかり、とうとう日本でも本格的なインフレが発生した。

 全世界的な資源価格の高騰と急激な通貨安というダブルパンチが生じていることを考えると、日本のインフレはもっと激しくなっていてもおかしくない。
だが日本の物価上昇がこの程度で済んでいるのは、やはり国民の我慢体質が影響している可能性が高い。
 先ほど、日本の労働者は賃下げを我慢して受け入れてきたという話をしたが、今回も物価上昇に追いつかない程度の賃上げしか行われていないにもかかわらず、会社に対して激しく賃上げを要求したり、見切りをつけて転職する人は少数派である。

 海外でも似たような事例が存在しないわけではない。
日本よりも状況がひどいトルコでは、激しい通貨安が発生しており、それに伴ってインフレが手がつけられない状況となっている。
一時はインフレ率が90%に迫る状況であり、数字を見る限り、トルコ経済は大混乱となっているはずだ。
実際、多くの国民が生活苦に陥るなど、大変な状況ではあるのだが、思いのほかトルコ国内の秩序は保たれている。

 世界のエコノミストはトルコの状況に対して首をかしげているが、一部からはトルコ特有の労働環境や社会環境が影響しているとの指摘も出ている。

価値観の転換が必要
 トルコはイスラム教国ということもあり、欧米各国に比べると個人に対する社会的抑圧が強い。
通常、インフレが進むと企業はコスト増加分を価格に転嫁するので、国民の生活は一気に苦しくなる。
労働者は賃上げを強く求めるので、企業はこれに応じざるをえず、賃上げが進んでさらにインフレが加速するという循環に入ってしまう。

 だがトルコの場合、コスト増加に苦しんだ企業は従業員の賃金を引き下げたり、弱い取引先を買い叩くといった形で辻褄を合わせようとする傾向が強いとされる。
社会的な弱者に対してコストを押しつける形で処理するため、見かけほどインフレが進まず、何とか国内秩序が保たれた状況になっている。

 日本とトルコを単純に比較することはできないが、経済が悪い方向に向かっているにもかかわらず、国民が我慢を受け入れ、それによってある程度の秩序が保たれるという点では共通項があると思って良いだろう。
 だが、こうした我慢による対応もいつかは限界がやって来る。

日本でも賃金低下がこれ以上進めば、生活が成り立たない人がさらに増えてくる。
当初は家族や親戚などが肩代わりするという形で我慢を続けるだろうが、いつまでも継続できるものではない。

 日本人は経済環境が180度変わったことを理解し、これからは我慢をやめる覚悟が必要である。
 国民が我慢をしなければ、企業は従業員をつなぎとめておくため、より高い付加価値を生み出すための経営努力を行うようになるはずだ。
こうした形で付加価値の高い製品やサービスを提供していくことでしか、インフレを抜本的に克服する方法はない。

執筆:経済評論家 加谷珪一
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大東亜戦争は「侵略戦争」だったのか 「米軍に惨敗」「アジアを植民地支配」の定説≠検証 歴史を正し、誇りを未来に伝える義務

東大亜戦争は「侵略戦争」だったのか 「米軍に惨敗」「アジアを植民地支配」の定説≠検証 歴史を正し、誇りを未来に伝える義務
12/7(木) 夕刊フジ

【井上和彦 歪められた真実】
「日本軍は米軍に惨敗した」「日本はアジアを植民地支配した」「特攻隊は無駄死だった」…。
おまけに昭和の大戦は「日本の侵略戦争だった」などと、これまで大東亜戦争は一方的な批判にさらされてきた。
そこで私は、大東亜戦争を実際に戦った数多の日本軍将兵を取材し、激戦地だった場所に足を運んで、これらの定説≠検証した。
すると、学校で学ぶ歴史やメディアが伝える内容は、真実を著しく歪(ゆが)めていたことが分かったのである。

「日本はなぜ勝てない戦争を始めたのか」
戦後の日本社会に蔓延(はびこ)る大東亜戦争に対する批判は、この後出しジャンケンともいえる雑な批判をベースとしていることが多い。
ましてや、「こうすれば勝てた!」と得意げに語気を荒らげる輩の戦略論なるものは聞くに堪えない。
そもそも、戦争に打って出た日本は、相手に大きな打撃を与えたところで講和に持ち込もうという日露戦争型の「講和勝利」を考えていた。
こうしたことは世界情勢や軍事に明るかった当時の日本の指導層は誰もが分かっていたであろう。

もっとも日本が戦争に突入していたのは米国の謀略であり、国家存亡の危機に立たされた日本は、この挑発に受けて立つ以外に選択肢はなかったのだ。
そしてもう一つ、大東亜戦争は「欧米列強による植民地支配からアジアを解放する戦い」でもあった。
その理念が大東亜共栄圏構想であり、これにアジア各民族が共鳴して日本軍を歓迎したのである。
このことはアジア各国を訪ねて地元の肉声に耳を傾ければすぐに分かる。

にもかかわらず大東亜戦争は、かの東京裁判で「侵略戦争」の汚名を着せられたのだった。
加えて、日本軍は米軍に一方的にやられっぱなしではなかったことも知っておかれたい。

戦争中盤以降でも、日本軍は圧倒的物量を誇る米軍相手に勇戦敢闘し、大きな戦果を挙げていたことも多かったのである。
もちろん敗戦の原因を検証し、個々の作戦の失敗に対する反省が必要であることに異論はない。
しかし、結果からさかのぼってその失敗の原因をあげつらい、得意げに批判をすることに、一体どのような意味があるのだろうか。

そんなことよりも、まずは未来の日本のために精魂込めて戦ってくれた先人への感謝と顕彰があってしかるべきだろう。
大東亜戦争の実戦経験者が次々と黄泉(よみ)の国へと旅立たれ、その肉声が消えてゆく今、歪められた大東亜戦争の歴史を正し、真実とこの国の誇りを未来の日本人に伝えてゆかねばならないと考える次第である。

■井上和彦(いのうえ・かずひこ) 
軍事ジャーナリスト。
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2023年12月09日

「真珠湾を生き延び、特攻で戦死した」飛行機乗り…彼が「壮絶な戦場」で目にしていたもの

「真珠湾を生き延び、特攻で戦死した」飛行機乗り…彼が「壮絶な戦場」で目にしていたもの
12/8(金)  現代ビジネス

太平洋戦争の戦端を開くことになった真珠湾攻撃。
 この攻撃に参加した900人近い隊員のなかには、その後、幾多の激戦を生きのびながらも、1944年に始まる「特攻」で命を落とした人も少なくない。
 そのひとり、原田嘉太男(かたお)さんは、その壮絶な経験のなかで何を感じていたのか
 *本記事は、大島隆之『真珠湾攻撃隊 隊員と家族の八〇年』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです。

来るかわからない未来
 爆弾を装着し敵艦に突入する最初の真珠湾攻撃隊員となったのが、1945年2月21日に戦死した原田嘉太男飛曹長だった。  鳥取県米子の農家に長男として生まれた嘉太男さんは、空母「赤城」の艦上爆撃隊(艦爆隊)の一員として真珠湾攻撃に参加した。
この時嘉太男さんは22歳。嘉太男さんが真珠湾の直前に母のつる子さんに送った手紙には、適齢期を迎えた息子のためにあれやこれやと世話をしようとする母に「一生の伴侶として良き人自分の眼で選びますから安心して下さい」「来年頃はと思って居ます」と書き送っている。
 だが真珠湾後、嘉太男さんが結婚に向けて動いた形跡はない。
それは、艦爆隊員が真珠湾で直面した過酷な運命と無関係ではないかもしれない。
地上すれすれまで急降下して爆弾を投下する艦爆隊は、奇襲攻撃だった真珠湾ですら、15機が撃墜。
赤城の戦闘行動調書を見てみると、原田さんの機体にも多くの銃弾が命中していたことが記されている。

 アメリカ軍の猛烈な対空砲火を相手に戦う艦爆隊は、その後も大きな犠牲を出しつづけた。
紙一重で生と死が分かれる戦場を目の当たりにした嘉太男さんにとって、その人生のなかに結婚を位置づけることは、容易なことではなかったのだろう。

突然の結婚
 そんな嘉太男さんが、1944年10月、突然、結婚をすることとなった。
故郷の母への手紙で、母の決めた女性と結婚する、と伝えてきたのだ。
つる子さんが選んできた相手は、米子で造り酒屋を営む家の娘、達子さん。
嘉太男さんの訓練基地があった愛媛県の松山に両家の親と達子さんがやってきて、式は挙げられた。

 嘉太男さんは、その年の6月に行われたマリアナ沖海戦に空母「飛鷹」から出撃し、辛くも生還している。
そして、マリアナで壊滅した部隊を、松山の基地で訓練し建て直しているところだった。
 この海戦で嘉太男さんは、3人の同期生をはじめ多くの戦友を失った。
自分の命ももう長くはないかもしれない、と覚悟したに違いない。
だが一方でそれは、来るかわからない未来でもあったし、生き延びる運命にあるかもしれなかった。
結婚を先延ばしにしている間に、嘉太男さんも25歳になっていた。

 その時の嘉太男さんの気持ちを、戦後、嘉太男さんに代わって家を継いだ弟の昭さんは、こう推し測っている。

 【昭さん】
 兄は、この戦争を生き抜くことの難しさを骨身に沁みて感じながら、家の長男として跡取りを残すという務めも果たさなければならないと考えたのかもしれません。
そしてそのことを理解してくれた達子さんとの見合いに、踏み切ったのでしょう。

硫黄島への特攻という重責
  嘉太男さんは、松山で達子さんと4ヵ月の新婚生活を送った後、1945年2月中旬、千葉県にある香取基地への進出を急遽命じられる。
そこで、新型の艦上爆撃機「彗星」を使った特攻隊が編成されることが伝えられる。
 目的地は、千葉の南1000キロ離れた硫黄島だった。
直前の2月16日に艦砲射撃が始まり、間もなくアメリカ軍の上陸が予想されていた。
硫黄島まで2時間近く大海原の上を飛び、島周辺の海域にいる敵空母を発見し、これを撃沈する。
この困難な任務を遂行するには、練度の高い偵察員(ナビゲーター)が必要だった。
そして、艦爆、艦攻、戦闘機合わせて32機60人を率いる隊長機の偵察員として選ばれたのが、嘉太男さんだった。

 この日が来ることを、嘉太男さんはあらかじめ、達子さんと細やかに話していたのだろう。
出撃前夜に達子さん宛に残した遺書には、「言ふべきことは松山で言った通り。最後に女々しく何も言はぬ」「元気で暮せ。明日は征くぞ」と記し、「最愛の達子殿」としめくくっている。
 出撃直前の嘉太男さんをとらえた写真がある。
向かって左に立つのは、空母「蒼龍」の艦爆隊として真珠湾攻撃に参加した中川紀雄飛曹長。右に立つのは、真珠湾には参加しなかったものの、ミッドウェー以来の激戦を生き抜いてきた平迫孝人飛曹長。
嘉太男さんと肩を並べる2人の熟練搭乗員の複雑な表情が、胸を打つ。
 ただひとり、吹っ切れたような嘉太男さんの表情は、この期に及んで見苦しい真似はしたくないという、せめてもの矜持だったのかもしれない。

 「第二御楯隊」と名付けられたこの隊で唯一の真珠湾攻撃隊員として、編隊の先頭を飛ぶ隊長機の偵察席に乗り込んだ嘉太男さんは、その重責を全うした。
この隊は、夕暮れ間近の硫黄島近海にアメリカ艦隊を発見し、一隻の空母を撃沈し、一隻を大破させ、他にも多くの艦艇に損害を与えた。
それは絶望的な戦いを続ける硫黄島の陣地からも望見され、将兵を勇気づけたという。

 「行きたくはないですけど、私ひとりじゃありませんから」
 だがこうした崇高な自己犠牲が、負の連鎖に陥っていくのが、終戦間際の日本軍だった。
この第二御楯隊の戦果を聞いた昭和天皇は、海軍の作戦立案の責任者である軍令部総長の及川大将に向けて「硫黄島に対する特攻を、何とかやれ」と命じることになる。

大島 隆之(NHKエンタープライズ ディレクター)
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冬本番 浴室が危ない「ヒートショック」「かくれ脱水」 筋肉量が少ない人は特に注意を【医師が解説】

冬本番 浴室が危ない「ヒートショック」「かくれ脱水」 筋肉量が少ない人は特に注意を【医師が解説】
12/8(金)  FNNプライムオンライン

今、交通事故で亡くなる人よりも、入浴中の事故で亡くなる人のほうが多い。
これは寒い脱衣所と熱いお湯との温度差で、体に負担がかかる、「ヒートショック」が起きてしまうからだ。
お風呂に入る時に事故が起きないよう、注意すべきポイントを兵庫医科大病院の服部益治医師に聞いた。

ヒートショックは血圧の急激な変化で起こる
ヒートショックとは急激な温度変化で、血圧が大きく変動し、身体が大きなダメージを受けることをいい、 浴室はそれが起こりやすい場所の1つだ。
その「ヒートショック」のメカニズムとは、室内では血圧は安定していて、暖かい室内から寒い脱衣所に移動し、その脱衣所で衣服を脱ぐと寒くなるので、体の熱を逃がさないように血管が縮む。そうすると血圧が上がり、脱衣所から浴室に入っても、そのまま気温が低い状態のため、血圧がさらに上昇。浴槽の温かい湯につかることで、血管は拡張し、急上昇した血圧が、急激に低下してしまい、ヒートショックが起こってしまう。

Q.ヒートショックの症状というのはどういうものがあるのでしょうか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
血圧が変動しますので、血圧が下がった時にはフラットしてしまうし、今度は逆に血圧が上がると気分が悪い、頭が痛いという症状が出ます。
心臓が変にドキドキしてしまうとか、やはり脳とか心臓への影響が一番心配されます

Q.それで意識を失ってしまって溺れてしまうという事案が多いのですか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
そうですね。お風呂場だと1人で入っている場合がほとんどですので、そこで気を失ってしまうと溺死してしまう。
海やプールだったら周りに人がいて、助けてもらえる可能性がありますが、お風呂、1人となると、気が付いた時には、お風呂で亡くなってしまっているという
風呂場以外でも注意が必要な「トイレ」
お風呂場以外の場所「トイレ」にも注意が必要だ。
そしてヒートショックに注意すべき人は高齢者、高血圧、糖尿病を患っている方だ。

兵庫医科大病院 服部益治医師:
マンションよりも一戸建ての家の場合、トイレの場所が結構北側にあるため、常に温度が低めです。
寒い所で排便で力をいれると血圧が上がってしまい、血圧の変動で脳や心臓への影響が出てヒートショックが起こります

Q.サウナに入る人も多いと思いますがそれはどうでしょうか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
場合によっては、若い人はいいんですけど、持病を持っている方や高齢者については、かなり体に負担になると思います

Q.糖尿病の方が危険という理由は何でしょうか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
糖尿病というのは体の血糖値が上がるという病気ですが、実は体中の血管を傷つけていくというのが糖尿病の一番厄介なところです。
全身の血管が傷つけられると、脳の病気や心臓の病気、腎臓の病気などがあり、本当に体のいたるところに影響が出るため注意が必要です

ヒートショックの予防方法
「温度差を大きくしない」 死亡事故に繋がるヒートショックを避けるための予防を紹介する。

・お風呂は、入浴する約15分前から脱衣所と浴室を温める。(脱衣所は、暖房設備がついていなければ、電気ストーブなどで温める。ちなみに浴室も、浴槽のフタを開け、湯気で温めておくのもいいそうだ)
・そしてお風呂の入り方は、40度未満のぬるめのお湯に入り、長湯を避ける。
また、トイレは室内を電気ストーブなどで温め、暖房便座をONにする。

Q.お風呂の温度は40度以上で入っている方が多いと思いますが、 それでも40度未満がいいということですか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
もちろん体に持病がなければ、40度以上でも全然問題ないです
例えばご高齢の方がお風呂に入るとき、声かけをするなどの対策が必要だ。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:
実は日本気象協会が日本の気象の予測データに基づいてヒートショック予報というものを出しています。
これ、覚えておいていただきたいんですけど、ウェブでも検索ができるので、お年寄りがもし一緒に住んでいらっしゃる場合は、伝えてあげるといいですし、遠くに住んでいる場合でも、この地方も今これだよって分かるので、ぜひ教えてあげてほしいです

兵庫医科大病院 服部益治医師:
今日もそのサイトを見ると、京阪神、全てヒートショック警戒になっていました

「冬の隠れ脱水」にも注意が必要
また、これからの季節は「冬の隠れ脱水」にも注意が必要だ。
隠れ脱水とはどのような症状なのか、そして予防について解説する。
冬の隠れ脱水の原因は「乾燥」だ。
冬場の乾燥で、呼吸や皮膚からも水分が奪われていき、あまり汗もかかないため、実感がない。

兵庫医科大病院 服部益治医師:
静電気が起きるのは乾燥しているからで、お化粧の時に肌の乾燥を感じることで、冬場になり、空気や自分の周りが乾燥していることは実感できると思います。
また、マスクをすると息が外に出なくなり、マスクの中にこもる分だけ口の中が乾燥しないので、水分を補給するタイミングを逃す形になります
症状は体のだるさ、食欲不振、頭痛、胃もたれ、便秘などの症状がでる

脱水というと夏の熱中症などとよく言われるが、冬も気をつけなければいけない。
「隠れ脱水」になりやすいのは、高齢者や子供、女性といった水分をためる筋肉量の少ない人、そして飲酒をする人も注意が必要だ。

兵庫医科大病院 服部益治医師:
体の中に血液をはじめ体液があります。
体液をどこに貯蔵しているかというと、筋肉です。
なので筋肉が少ない高齢者、女性、子供は注意が必要です。
逆に筋肉が豊富な人は、体に脱水にならない水分を貯められるます。
コーヒーや紅茶、お茶などにはカフェインが含まれています。
カフェインには利尿作用といって、尿を出す作用があります。
アルコールは飲むと血液の循環が良くなり、腎臓にも血液が流れます。
腎臓に血液が来ると尿を出してしまいます。
なので、アルコールを飲むということは、水分を補給しているというよりも、水分を少なくしている可能性もあります

隠れ脱水の予防方法はこまめな水分補給
「隠れ脱水」にならないためにはこまめな水分補給が大事で、起床後もコップ1杯の水を飲むのがよく、また加湿器や濡れタオルを室内に干し、乾燥させないことも有効だ。

Q.習慣化させるまで時間がかかりますね。

兵庫医科大病院 服部益治医師:
厚生労働省のポスターに、寝る前のコップ一杯、起きてすぐのコップ一杯というものがあります。
普通に寝ている間にも、息をしながら実は水分を失っています。
最低でも400ミリリットルは失っているだろうと言われていますので、寝る前に200ミリリットル飲んで、起きてすぐ200ミリリットル飲むと、寝ている間に失われる分が補給できます
倒れる前兆は「胸が苦しい」「頭が痛いか、ぼーっとする」

Q.脱衣所はどれくらいの温度が望ましいですか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
お風呂の温度が40度であれば、あまり離れすぎても困りますので20度後半ぐらいの部屋にしておくと、血圧の変動が少ないかなと思います

Q. 倒れた人を見つけたら何をすべき?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
まず救急車を呼んで、救急車を待っている間も息をしているか、脈があるなどをみていただきたい。
脈がなければ家にAEDはないと思いますので、心臓マッサージをして救急車を待ってください。
交通事故よりもヒートショックで冬に亡くなる方のほうが多いということですので、救急車をすぐ呼ぶということはしてほしいです

Q.倒れる前兆などはありますか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
血圧が不安定になると、心臓であれば胸が苦しい、脳であれば痛いか逆にぼーっとするかです
前兆はあって、なんか変だなと感じることがあれば、この季節は脳と心臓については意識された方がいいと思います

Q.若い人でもヒートショックになることはありますか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
若い人は体も血管もまだまだ弾力性があり若いので、大丈夫だと思いますが、ただ若い人でも無理な生活をしたりアルコールを取りすぎると当然、血圧の変動も出ます。
この季節は体のことを思いやっていただきたいなと思います

Q.ヒートショックと飲酒って関係ありますか?

兵庫医科大病院 服部益治医師:
アルコールも適度であればいいのですが、自分を見失うぐらい飲んでしまうと、自分の体がどうなってるか分かってない状態になり、血圧が上がったり、飲みすぎて利尿作用で尿を出して、逆に血圧が下がってしまうこともあります。
これからの季節、飲酒するタイミングが多くあると思いますが、自分の体調や限界を推し量りながら、楽しくお酒を楽しんでいただきたいなと思います

これから「ヒートショック」、「隠れ脱水」の季節がやってくる。 自分自身の予防はもちろん、周りの方に声かけなどをしてみんなで注意してくことも大切だ。

(関西テレビ「newsランナー」2023年11月29日放送)
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岸田政権下で高齢者イジメが加速…「医療と介護」自己負担増1兆円超で痛みを推し付け、年金減らす

岸田政権下で高齢者イジメが加速…「医療と介護」自己負担増1兆円超で痛みを推し付け、年金減らす
2023年12月08日 日刊ゲンダイDIGITAL

 政府の「全世代型社会保障構築会議」は5日、「異次元の少子化対策」の財源確保に向けた社会保障改革の工程素案を示した。
 2028年度までに実施を検討するメニューが盛り込まれたが、具体性は乏しかった。

「内閣支持率の低迷を気にして、国民の痛みにつながる財源論は避けた」(霞が関関係者)とみられるが、負担増のターゲットが高齢者となることだけは確実。
医療と介護の自己負担を増やし、1兆円超の“痛み”を押し付けるハラだ。

 すでに財界が踏み込んだプランを掲げている。
11月に経済同友会は社会保障改革への意見書を公表。
その中で75歳以上の後期高齢者の医療費負担「2割」への引き上げを提示し、歳出抑制効果は4200億円に上るという。
 現行は後期高齢者の約70%が1割負担。75歳以上の人口は約2000万人(今年9月15日時点)だから、1400万人が対象となり、単純計算で1人あたり年平均3万円の負担増となる。
 さらに、同友会は介護利用者の負担を原則2割にすれば、6700億円の抑制効果になると試算。
医療費負担増と合わせて、1兆円突破だ。
厚労省によると、22年度の介護サービス利用者は650万人で、その多くは1割負担だ。負担倍増なら、年間数万円のアップは避けられない。

「医療と介護の1割負担は、所得が少ない高齢者でも安心して利用できるためです。
そこにメスを入れるのは残酷です。
物価が上がり、生活が苦しくても、高齢者はバイトすら困難。
節約のため、受診を控える高齢者も出てくるはずです。生きる権利を奪うものです」(経済ジャーナリスト・井上学氏)

■なけなしの年金は減らす
 加えて岸田政権は、高齢者にとっての賃金である「年金」は減らす意向だ。
増額幅を物価や賃金の伸びよりも抑制する「マクロ経済スライド」を2年連続で発動する方針。
民間試算では来年度の支給額は0.4%目減りし、抑制は27年度まで続く見通しだ。

「岸田首相は賃金の上昇が物価上昇を上回る実質賃金のプラス化を目玉政策に掲げています。
ところが、高齢者に関しては負担を増やし、年金を減らす。
65歳以上は約3600万人もおり、総人口の約3割を占めるボリュームゾーン。
この世代に痛みを押しつけていては、個人消費は盛り上がりません。
それに、苦しそうな高齢者を見た若い世代も将来不安を抱き、支出を渋るでしょう。
こんな政策を続けている限り、個人消費は低迷し、経済成長は望めません」(井上学氏)
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自由奪われても抵抗、戦争の本質見つめ 特高警察が監視記録

自由奪われても抵抗、戦争の本質見つめ 特高警察が監視記録
2023.12.9 朝日デジタル

 「厳秘」と表紙に記された史料がある。
特別高等警察の内部回覧誌「特高月報」。
戦前から戦中にかけて、すべての国民を監視し、反戦的な言動や天皇制否定の思想を取り締まった記録である。

 その中で、埼玉県に住む作家の高井ホアンさん(29)は、庶民の「生の声」に注目した。
 例えば、1937年8月、56歳の行商の男性は、岡山県内の駅で出征兵と見送りの約50人に「戦争すれば日本人は困るばかりだ、国民は苦しい目に逢(あ)うばかりだ」と絶叫し、20日間拘留された。
 高井さんは4年前、庶民の発言をまとめた「戦前反戦発言大全」「戦前不敬発言大全」を出版した。
国民が自由を奪われ、がんじがらめに縛られた時代にもかかわらず、権力に抵抗した人がいたことに驚きを感じた、という。 そして、そこから国家の意思を感じ取った。

「すべてを戦争に振り向けるためには異論は邪魔になる。
国策に反対する者は弾圧し、見せしめにしたり排除したりする必要があった」

 治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟などによると、同法違反で検挙された人は全国で約7万人にのぼったが、栃木県内は全国でも少ない道府県の一つに挙げられる。
そのうちの一人、浜野清さんは「共産党の地方組織が結成されなかった影響かもしれない。ただ、農民運動は盛んで反戦・平和運動も発展した」と著書に書いた。
「特高月報」も県内の動向を記録している。

 「国家や天皇のための戦争ではない。金持ちのための戦争だから反対」(37年7月、石材職人、27歳男性、不敬罪などで送検)
「戦地に行ったら中国人も俺と同じ境遇だから殺さない」(同年9月、雑貨商、34歳男性、陸軍刑法違反で検挙)
 「日本は負ける。新聞には勝った勝ったと書いてあるが実際は負けている」(38年6月、自動車運転者、49歳男性、同法違反で検挙、取り調べ中)

 発言だけではない。
「特高月報」は落書き、替え歌、投書も記録に残した。
県内では44年3月、茨城県の航空廠(しょう)での境遇を嘆く「いやじゃありませんか徴用工」という替え歌を歌った23歳男性が訓戒処分を受けた。
 「軍国主義を斃(たお)せ」(40年5月、日光・華厳の滝近くの共同便所)
 「戦争反対、聖戦トハ何ぞや 資本主義者のタハゴトナラズヤ」(41年9月、宇都宮市の公衆便所)
 「大日本滅亡」(44年2月、現那須町の掲示板)
 このような落書きも捜査の対象となった。

 岡山県では44年4月、隣組の会合でこんな発言をした農家の37歳男性が、言論、出版、集会、結社等臨時取締法違反で送検された。
「個人あってこそ国家がある。個人が立ち行かぬ様になっては国家もその存立を失う。個人が本当の幸福を得、世界中の者が仲良く出来れば国家など言うものはあってもなくても良い」

 高井さんは、こうした個々の事例が、社会の全体像を示していると指摘する。  
「なぜ特高は町内会や職場での発言をここまで詳しく把握できたのか。そうした発言を許さない空気が支配し、相互監視のなか特高に密告する協力者がいたからです」

 さらに、戦争を冷静にみつめていた庶民の本音を知る意義を、こう説く。  
「ものを言う自由がなかった全体主義社会でも、自分の考えを変えなかった人たちがいた。
その存在や発言を知ることは、現在の自由の状況を考えるうえでも重要です」(中村尚徳)
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2023年12月10日

「安倍やめろ!」「増税反対!」政権批判のヤジを警察が排除 ヤジを言ってはダメなのか? “ヘイト”と“ヤジ”境界線は? 問われる「表現の自由」【news23】

「安倍やめろ!」「増税反対!」政権批判のヤジを警察が排除 ヤジを言ってはダメなのか? “ヘイト”と“ヤジ”境界線は? 問われる「表現の自由」
12/9(土) TBS【news23】

「安倍やめろ!帰れ!」4年前の札幌で行われた当時の安倍総理の演説で聞こえてきたヤジ。
このあとヤジを飛ばした男性が警察に連れて行かれます。皆さんはどう思いますか?

■「大声出すのに許可いるの?」
“増税反対”のヤジを警察が排除…市民が抗議 「安倍やめろ、帰れ」(2019年7月)
ヤジを飛ばしたのは大杉雅栄さん。
すぐに警察官によって強制的に連れ去られました。
その後、もう1人… 「増税反対!」 生まれて初めてヤジを飛ばした当時大学生の桃井希生さんも、別の警察官にその場から排除され、さらに1時間近くも付きまとわれました。

警察官「声を上げないでくれよ」
桃井さん「大声出すのに許可いるの?」
警察官「いらないよ。法律に引っかかっているとかじゃなくて」

年金政策に批判的なプラカードを掲げようとした女性も、道路に出たら危ないなどの理由でその場から移動させられました。 政権批判のヤジを排除するのは、表現の自由を奪うことだとして市民が抗議します。
排除された大杉雅栄さんや桃井希生さんが、北海道警察を所管する北海道に損害賠償を求める訴訟を起こしました。

ソーシャルワーカー 大杉雅栄さん 「人が演説をしているところで異議を唱えたら、それは違法行為なんだ。じゃあ黙っておこうといってどんどん喋らなくなる、意見を言わなくなる。
それは単に僕だけの問題ではなくて社会全体にとってもマイナスだし、言論の萎縮を招く」

北海道警は警察官職務執行法(警職法)などを法的根拠に挙げました。
大杉さんらがヤジを飛ばしたことで、周りの聴衆と小競り合いが起き、放っておけば犯罪が発生する危険性が高かった。
そこで、犯罪を防ぐためと大杉さんらを避難させるために移動させたという主張です。

刑事訴訟法の専門家・神奈川大学の白取名誉教授は、警察の説明には無理があると指摘します。
神奈川大学(刑事訴訟法) 白取祐司名誉教授
「警職法には確かに制止の措置があるが、それは本当に災害とか、信じられないような事態が起きた時のやむを得ない措置。
(警職法)5条である犯罪の予防制止は、まさに具体的な犯罪が起きるときの話なので、かなり強制的な要素を含んだ措置・対応として説明するのは無理がある」

北海道警の元幹部は… 元北海道警察 原田宏二さん
「あるはずのない法的な根拠を説明しようとしたわけでしょう、あるということを。それは無理筋ですよ、最初から。今回の場合、恐ろしいなぁと思うのは、たくさんマスコミのカメラのいる前で堂々とやったこと。あなたたちは無視されたんですよ」

■ヤジは“政治的表現”
声を上げる市民 排除の報道みて「見える形で言わないと気づいてもらえない」
札幌地裁は2022年3月、動画などをもとに警察の違法性を認め、合わせて88万円の賠償を命じました。
さらに、ヤジは政治的表現であり、演説が中止されていないから選挙妨害に当たらないとも指摘。
警察が排除した理由は、安倍元総理の演説にそぐわないものだったからではと踏み込みました。

ソーシャルワーカー 大杉雅栄さん
「排除は不当なんだ、ヤジを飛ばすことは表現の自由の一部なんだということをはっきりと明言してくれたので本当に嬉しい判決」
2022年7月の参院選挙。岸田総理が応援演説に来たとき、大杉さんらはヤジを飛ばしても、プラカードを掲げても、警察に排除されることはありませんでした。
さらに… 桃井希生さん 「最初こうやって(プラカードを掲げて)いた。(聴衆から)『邪魔なんだよ、下ろせてめえ』 と言われた。『えー怖い』となった。
それでも頑張ってやっていたけど。でもLGBTのプラカードを掲げている人が見えて、私も前に行ってやらなきゃと思って」 桃井さんが勇気付けられたトランスジェンダーのカップル。
桃井さんたちのヤジ排除の報道を見て、声を上げることの大切さを知ったといいます。
トランスジェンダーのカップル 「私達がいることをちゃんと見える形で言わないと気づいてもらえないし、気に留めてももらえないという思いがあったので、だから目立つところで声を上げないといけない」

■“見えにくい言論統制”に危機感 
ヤジと表現の自由
しかし、その後に起きた2つの事件によって、選挙の演説会場における表現の自由と要人警護を巡り、再び大きな議論となります。
2023年10月に行われた参院徳島・高知の補欠選挙。
岸田総理が徳島市で応援演説をしていたときのことでした。
岸田総理からおよそ50メートル離れた場所にいた聴衆の男性がヤジを飛ばしました。
すぐに警察官3人が男性のもとに駆け寄り、静かにするようなジェスチャーをします。
男性はそのまま演説会場を後にしました。

映像を見た刑事訴訟法や警察官職務執行法の専門家、九州大学の豊崎教授は…
九州大学(刑訴法・警職法) 豊崎七絵教授
「地声でヤジを飛ばしただけで犯罪や危害を生じる危険を予測させるような、何かそういう客観的な行為をしたわけでもないですから、表現の自由という重要な権利利益を侵害したという意味ではむしろ強制的な措置であり、警職法上の根拠もない違法な行為で、憲法21条(表現の自由)に抵触する」

徳島県警はJNNの取材に対して、「岸田総理を批判する声がしたので、もしかするとその先に何か危険物を投げることがないかなどを確認するために近づいた。
警察官が近づこうと歩み寄ったら、本人からもう帰るという趣旨の発言があった。
制止をするようなことは行っていない」と回答しました。

憲法の専門家・早稲田大学の阪口教授は、徳島県警の回答を疑問視します。
早稲田大学(憲法学) 阪口正二郎教授
「手荷物検査もちゃんとやってるわけだから、その上でヤジを言ったからというだけで、そんな危ない行為をするなんていうのはかなり短絡的で飛躍した発想。
ヤジを言うことはちゃんとした権利だと警察はあまり考えていないのでは。
異質な言論を排除する社会に、どんどん過剰な警備になっていくような気がする」

市民が政治家に直接訴えかける数少ない手段とも言えるヤジ。
4年前の札幌で起きた問題は世の中に大きな波紋を広げ、ヤジと民主主義をテーマにした映画になりました。
ナレーションを務めたのは作家の落合恵子さんです。

作家・落合恵子さん
「言論統制のようなものだと思うが、より複雑でより見えにくい形での統制というのは、さらに進んでくるのかなと思うととても怖い。ただそこでジャーナリズムがどこまで踏ん張るか、あるいは踏ん張ったジャーナリズムを受け手である私達がどこまできっちりと丸ごと受け取れることができるかと問われている」

■ヤジとヘイトをどう区別する?
どこからが選挙妨害? 喜入友浩キャスター:
ヤジ排除で訴えていた桃井さんと大杉さん。
2023年6月、二審の札幌高裁の判決は、桃井さんを警察官が排除した行為について「違法」だと指摘。
一方、大杉さんについては、「周囲の聴衆ともめ事に発展し、暴行等を受ける危険性が切迫」「警察官の行為は社会通念上、妥当なものである」として、「適法」と認定しました。
大杉さんは最高裁に上告しています。

山本恵里伽キャスター:
二審では桃井さんと大杉さんそれぞれに異なる判決が下されたというわけです。
私はヤジは意見表明だと思いますが、言葉を間違えるとヘイトにも繋がりかねないと思っています。
ヤジとヘイトの違いをどう考えますか。

映画「ヤジと民主主義劇場拡大版」の監督も務めるHBC報道部デスク 山崎裕侍氏:
札幌地裁の判決でも、表現の自由とはいえ無制限に保障されるものではないと指摘しています。
大杉さんと桃井さんのヤジに関しては、特定の人種や民族への差別を助長したり、危害を加えるといった犯罪を扇動するものではないと認めてます。

山本キャスター:
ヘイトではないということですね。

喜入キャスター:
表現の自由の一方で、演説に耳を傾けたいという人もいると思います。
選挙の妨害にあたるのか、あたらないのかという線引きはできるのでしょうか。

HBC報道部デスク 山崎氏:
1948年の最高裁の判決では、選挙妨害とは「聴衆がこれを聞き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」としています。
一般的には拡声器を使って多くの人たちが妨害するといった行為を選挙妨害と位置づけられています。

山本キャスター:
演説がかき消されるような行為が選挙妨害ということですね。

HBC報道部デスク 山崎氏:
なおかつ、それによって演説が中止になってしまうというようなことです。
桃井さんや大杉さんの場合、街頭演説として公の場所だったということ、様々な意見を持つ人が自由に集まれる場所で、1人の人が自分の声を出していて組織的でもなく、選挙妨害に当たらないといわれています。

山本キャスター:
山崎さんが“ヤジ排除”を取材をした映画が公開されますが、何を一番伝えたいですか。

HBC報道部デスク 山崎氏:
ヤジというと一見、小さな自由が奪われたようにみえるかもしれませんが、小さな自由が奪われることを放っておくと、権力の暴走が止められなくなって、ロシアや香港のように大きな自由を奪われるということに繋がりかねないと思っています。
そうした危機感を感じてもらえたら嬉しいです。
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2023年12月11日

「裏金も引き継いだのか」昭恵さん、安倍元首相の政治資金3.4億円「税金払わず」ゲット…荒れるSNS「怒りしかない」

「裏金も引き継いだのか」昭恵さん、安倍元首相の政治資金3.4億円「税金払わず」ゲット…荒れるSNS「怒りしかない」
12/9(土) FLASH

 故・安倍晋三元首相の妻・昭恵さんが、巨額の政治資金を非課税で相続したことが問題になっている。
 安倍元首相は政治団体「晋和会」と「自由民主党山口県第四選挙区支部」の代表だったが、死去した2022年7月8日に昭恵さんが両団体の代表を引き継いだ。
その後、晋和会は第四支部や元首相のほかの政治団体から寄付を受け、総額は2億1471万円に上るという。

 現行法では政治資金は非課税扱いで、政治団体の代表を親族が引き継いでも税金はかからない。
つまり合法なのだが、それでも、昭恵さんは「私人」と閣議決定されたこともあり、政治資金を “私物化” しているのではないかとの批判が巻き起こっている。

「12月8日の予算委員会で、政治資金パーティー券問題に続き、野党は昭恵さんの非課税相続について追及しました。
立憲の蓮舫氏は、寄付のほか晋和会のパーティー券収入や繰越金などを加えると約3億4000万円になると指摘し、それがすべて非課税であることを参考人の国税庁次長に確認しています。
 蓮舫氏は岸田首相に対し、『この制度変えませんか?』と問いかけましたが、首相は『政治団体の関係者が判断すること』などとズレた答えしか返しませんでした。
 さらに蓮舫氏は、政治家の世襲問題に踏み込み、二世議員の宮下一郎農林水産相や自見はなこ内閣府特命担当相にも “遺産” について問いただしました」

「X」(旧Twitter)では、昭恵さんに対する厳しい声が殺到している。
《政治家がこれで金を受け継ぐのもおかしいのに昭恵は私人だろ》
《芋づる式だな。自民党アウト》
《怒りしかない》
《安倍昭恵さんの政治資金の継承が無問題なら、もし自見大臣のお父さんが亡くなったら、政治団体の政治資金をお母さんが継承。
次に、お母さんが自見大臣の政治団体に寄付した後に解散すれば、政治資金はまんま継承ということでしょうか。
余ったり解散した場合は返還というのが政党交付金だそうですが…》

 自民党・安倍派では、パーティー券の販売ノルマを超えて集めたカネを議員側にキックバックし、しかも政治資金収支報告書に記載していなかった “裏金問題” が騒動になっている。
そのため、 《安倍昭恵は裏金も引き継いだのだろうか・・・》
《この手口に対する課税、も追加で。安部晋三のキックバックはどのぐらいの規模だったのだろう?そして、この迂回の手口でどのぐらい遺産が税金逃れて安倍昭恵に流れたのだろう?》  などのコメントも寄せられている。

 立憲民主党は10月20日、政治資金規正法の一部を改正する法律案(政治資金世襲制限法案)を衆議院に提出。議員が引退や死去した際、政治団体の代表を配偶者または3親等以内の親族が引き継ぐこと、政治団体が親族の政治団体に寄付することを禁じる内容だ。
「世襲」を抑制する狙いがあるが、はたして法制化は実現するだろうか。
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オスプレイ巡る珍問答=佐藤千矢子

オスプレイ巡る珍問答=佐藤千矢子
2023/12/8 毎日新聞東京夕刊

 人命や国防にかかわる問題を、言質を取られない「霞が関文学」や、意味のわからない「禅問答」のような表現で、ごまかされては困る。
 米空軍横田基地に所属する輸送機CV22オスプレイが、11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落した。
エンジンの周りから火が出ていたとの目撃証言があり、機体の異常が想定される。
 当然、政府は即刻、飛行停止を求め、しばらくは日本上空を飛ばなくなるだろうと思ったら、違った。
他の型式のオスプレイは飛び続け、日本側は「停止要請をした」、米側は「公式な要請は受けていない」と、言い分が食い違う事態になった。

 発端は、政府の及び腰にあると思う。
 木原稔防衛相は事故の翌日、在日米軍司令官に会い「安全が確認されてから飛行を行うよう要請した」という。
「飛行停止」とは言っていない。
 記者会見で「飛行停止を求めたと理解していいか」と聞かれると、次のように答えた。  
「飛行停止という定義が曖昧なので、使っていない。
あくまでも飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請した」

 「飛行停止」に定義も何もないだろう。
明確に飛行停止を求めてはいないのに、国内向けにはそう受け取れるような説明の使い分けをしているのではないか。
米側からすれば、「安全確認」という当たり前のことを言われただけで、正式な要請はないということになるのだろう。
米側を怒らせないように気を使い、国内向けには曖昧な表現でごまかす姿勢が透けて見える。

 米軍は事故から約1週間後にようやく、世界に配備している全てのオスプレイの飛行を停止すると発表した。
日米とも無責任過ぎないか。

 2016年12月13日夜に米軍オスプレイが沖縄県名護市沿岸に落ちて大破した際、政府の初動は比較的、速かった。
翌日未明には米側に「遺憾の意」を伝えて飛行停止を要請し、その日に停止が決まった。
ただし飛行再開も事故から6日後と速かった。
容認した日本政府は大きな批判を浴びた。

 今回の政府の対応は、残念ながら7年前の事故の時にさえ劣ると私は思う。
             (論説委員)
posted by 小だぬき at 12:31 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月12日

歩く速さは「生命の兆候」、健康に長生きできるかのサイン、いつまでも保つ秘訣とは

歩く速さは「生命の兆候」、健康に長生きできるかのサイン、いつまでも保つ秘訣とは
12/11(月) ナショナル ジオグラフィック日本版

改善にはテクニックも必要、実は歩行は驚くほど複雑な行動
 歩くことは単純な行動のように思えるかもしれないが、実はそうではない。
米カリフォルニア・パシフィック医療センター研究所の科学部長である疫学者のペギー・コーソン氏はそう説明する。

歩行は驚くほど複雑な行動であり、高齢者の生活の質をどうすれば高められるか探し求める研究者たちを困惑させ続けている。
「理由はまだわかりませんが、歩く速さは死亡リスクと関連しているのです」と氏は言う。
歩行速度を維持できる人は長生きする可能性が高いのだ。
 それだけではない。こういう人は、より健康な状態で長生きする可能性が高いという。

米国立老化研究所(NIA)によれば、移動能力の低下は高齢者が自立した生活を送れなくなる主な理由の1つだ。
また、認知機能の低下とも密接な関係があるという研究もある。
 この10年ほどで、歩く速さは体温、血圧、脈拍、呼吸数、酸素飽和度などと並ぶ「第6のバイタルサイン(生命兆候)」として注目されるようになった。
歩行速度から、その人がどのような健康問題を抱えることになるかを、幅広く予測できることが明らかになったからだ。
「歩行には身体のあらゆるシステムが関わっています」と、米ピッツバーグ大学の理学療法学教授であるジェシー・バンスウェアリンゲン氏は言う。
通常の診察で何の異変も見つからなくても、歩き方に変化が見られるなら、そう遠くないうちに何らかの診断が下されることになるかもしれない。

 NIAによると、私たちが活動的でいるためには、それぞれ持久力、筋力、バランス、柔軟性に効く4種類の運動が必要だという。
けれども、それは始まりにすぎない。
「運動は大切ですが、すべての問題を解決する万能薬ではありません」とコーソン氏は言う。
 さらに、そこへ脳がどのように関わっているかについてもわかっていないことが多いと、米ハーバード大学医学大学院と米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの助教で、ヘブライ・シニアライフ・マーカス老化研究所のオンイー・ロー氏は指摘する。
「筋肉にはまったく問題がないのに、動いてくださいと言っても動けない患者さんを大勢見てきました」と氏は言う。

 では、幼児期からどんどん遠ざかってゆく私たちは、移動能力を保つために何をすればよいのだろうか?
 いくつかのアイデアを紹介しよう。

動くのをやめない
 最もやってはいけないことは動くのをやめることだ、という点で専門家の意見は一致している。
「影響はすぐに感じられます」と、米スポーツジム、イオス・フィットネスの教育担当ディレクターであるピート・マッコール氏は言う。
何時間も座りっぱなしでいれば体じゅうが痛くなるし、手をよく使う日は関節炎があまり気にならない。
私たちの体は動くことを求めているのだ。

「とはいえ、毎回クタクタになるまでトレーニングをする必要はありません」と氏は言う。
氏は米国運動協議会のウェブサイトで、背骨、腰、足首を柔軟にするための簡単な日課を紹介している。
「歯磨きのようなものです。1日か2日サボると、自分でも違いがわかります」
 氏は、トレーニングの前後や、軽い運動をして疲労回復を促すアクティブリカバリーの日に、腰を回す動きや、片膝をついて反対側の腕を伸ばして上半身をひねる動きなどを取り入れている。

 これでも十分難しいという人に対しては、マッコール氏は自分の80歳の父親にするのと同じ助言をする。
歩いて、ヨガをすることだ。
「ネコとウシのポーズ」や「戦士のポーズ」は、背骨を意識することができる。
 けがをしている人も、水泳やサイクリングなど、自分に合った活動を見つけてみよう。
「自分にできる運動なら何でもいいのです」とロー氏は言う。

4歳の子をもつ働く母親であるロー氏の場合、それは子どもを追いかけ回すことだという。
 あなたはピックルボール(テニス、バドミントン、卓球をかけ合わせたようなスポーツ)に興味があるだろうか?
 社交ダンスは? 
ピッツバーグ大学の理学療法学教授であるジェニファー・ブラック氏は、「新しいスキルを身につけることを怖がらないでください」と話す。
「自分が楽しめるプログラムを見つけることで、それを続けることができます」

上手に歩くための訓練
 しかし、衰えはじめた歩行を本当に改善しようと思ったら、アスリートのように考える必要がある。
テニスをしたいがバックハンドが苦手だとしよう。その場合、漫然とテニスをしていてもバックハンドの問題は解決しないので、テクニックを磨く必要があるとバンスウェアリンゲン氏は言う。歩行も同じだ。

 トレッドミル(ウォーキングマシン)は歩行の仕方を教えてくれる。
「トレッドミルに乗ると足が後ろに引かれるので、前に踏み出すことができます」と氏は言う。
速度を変えて歩いてみて、快適な速度を見つけるのも簡単だ。
氏によれば、ほとんどの人にとって快適な速度は秒速1.3m(時速約4.7km)ほどだという。
適応力を鍛えるために、氏はときどき1分間だけ速度を10%上げることを推奨する。
 バンスウェアリンゲン氏は、どんな表面を歩くときにも「足から歩き始める」ようにと言う。

「足を持ち上げて前に置く」と考えるのではなく、足を使って地面を後ろに押しのけるのだ。
転びたくないなら、下を向いてはいけない。
「脳は、自分が見ている方に行きたがっていると思い込んでしまうからです」
 ピッツバーグ大学が高齢者向けに開発した12週間の歩行訓練教室「オン・ザ・ムーブ」は、このアプローチを基本としている。
この教室では、典型的なフィットネス教室が目標に掲げる筋力や持久力ではなく、筋肉を動かすタイミングとその協調に重点を置いている。
 例えば、歩きだすときには体重を後ろや横に微妙に移動させなければならない。

「私たちのエクササイズの多くは、一歩下がるところから始まります。
そうして後ろ足に体重を乗せたら、それを押して前に踏み出すことができるのです」とブラック氏。
こうした方法を使って上手に歩けるようになれば、体重が減ったり血圧が下がったりと、さらなるメリットが期待できる。

脳を活性化させる
 結局のところ、体のすべてを司っている部位は脳なのだ。
移動能力を保とうとするなら、そのことを忘れないでほしい。
コーソン氏は太極拳の効果に注目している。
太極拳はバランスを改善し、転倒のリスクを減らすことが示されている。
科学者たちは、それが太極拳が肉体に及ぼす効果なのか、それとも一連の動作を学ぶという認知的な負荷による効果なのかを調べている。

 2023年10月31日付で医学誌「Annals of Internal Medicine」に掲載された研究は、「認知機能強化型」太極拳の効果を示している。
太極拳と同時に頭の体操(単語を後ろから前に綴るなど)をした参加者は、通常の太極拳やストレッチをした参加者よりも認知機能テストの結果が良かったのだ。
 認知症の予防法を見つけることができればすばらしいとロー氏は言う。

氏によると、一般の高齢者の30%が転倒の経験があるのに対し、認知症の人では半数が転倒を経験しているという。
太極拳のほかにも、体に傷をつけない方法での脳刺激など、移動能力の改善に役立つ可能性がある有望な介入方法はいくつもある。
 多くの高齢者は、推奨されている運動の内容を知っているが、実践しないとロー氏は言う。
そこで氏は、行動カウンセリングを、意欲や実行機能(目標を達成するために思考や行動を制御する能力)に関係する脳領域への電気刺激と組み合わせるとどうなるかを研究している。
 電気刺激を受けた参加者は、受けなかった人たちに比べて平均歩数が増え、数カ月後も維持しているという。
現在進行中の別の研究では、脳刺激を利用して高齢者の不安定な歩行の改善を試みる予定だ。

 ロー氏は音楽療法士と協力して音楽刺激の実験も行っている。
「認知症やパーキンソン病の高齢者は、自分から動きだすことができなくても、音楽をかけると、それに従うことができるのです」と氏は言う。

今すぐ計画を立てよう
 では、移動能力を保つために何かをするには、いつ始めればいいのだろうか? 
歩行に問題が出てくる時期は、明確には決まっていない。
「あなたが何歳であっても、最大限に活動的であるべきです」とコーソン氏は言う。
氏によると、20歳から30歳にかけて健康だった人々は、将来、加齢に伴う変化に対応しやすいという。

「今始めるのがベストです。次に良いのは明日始めることです」
 自分の移動能力について考えることが重要になるのは、住む場所を決めるときだ。
引っ越すなら平屋か、高層のビルか? 建物にエレベーターは付いているだろうか? 「家を買うときに、将来、スロープが欲しくなるかもしれないなどとは想像しにくいものです」とコーソン氏は言う。

けれども、移動しやすい家であるかどうかで、高齢になってからの暮らしやすさに大きな違いが出てくる。
 家の外の環境も同じくらい重要だ。
「歩道がよく整備されていて、治安が良い地域に住んでいれば、散歩に出かけたくなるものです」とブラック氏は言う。
歩いて用事を済ませられる地域も、高齢者の移動能力を保つのに良い。

 バンスウェアリンゲン氏は、自分の気持ちや考えに注意を払うことを勧める。
例えば、椅子から立ち上がって部屋を横切る必要があるとする。理想は、何も考えずにそれができることだ。手順を考えていたとしたら、それは危険信号だ。「そのような考えが頭をよぎったら、そろそろ手を打つべき時ですね」

文=VICKY HALLETT/訳=三枝小夜子
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2023年12月13日

提言!【メンタルを消耗させる心のムダづかい】は、もうやめましょう。

提言!【メンタルを消耗させる心のムダづかい】は、もうやめましょう。
竹内成彦 心理カウンセラー(公認心理師)
12/12(火)  YAHOO1ニュース

こんにちは。 精神医学と性格心理学に詳しい 心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、「メンタルを消耗させる心のムダづかい」というテーマでお話したいと思います。
では、早速。 メンタルを消耗させる心のムダづかい、ひとつめは、怒るということです。

怒ると、大変にメンタルが消耗します。
怒っている最中は、アドレナリンが出て、元気になった気がしますが、脳は大変に疲労するということをどうぞ覚えておいてください。
じゃあ、怒るのを我慢すればいいのか? というと、そうではなく、怒るのを我慢していてもメンタルが消耗します。
だから、そもそも怒り感情を感じなければいいのです。
どうしたら、怒り感情を覚えなくなるか? それは期待するのをやめることです。
「こうしたらこうしてくれるだろう」などという淡い期待を持つから、期待と違う結果になったときに腹が立つのです。
だから、最初から期待しなければいいのです。最初から期待しなければ、そんなに腹は立たない筈です。

メンタルを消耗させる心のムダづかい、ふたつめは、「あの人は、私のことをどう思っているのだろう」と考えることです。これは、「人から嫌われたくない」と考える人が、よくやりがちなことなのですが、自分が人からどう思われれているかなんて、どれだけ考えてもよくわかりません。
そういう答えの出ない質問を自分自身に投げかけると、脳は延々と考えてしまいます。
それはエネルギーの無駄遣いで、そんなことを繰り返しているから、メンタルが消耗してしまうのです。

人に対して思いやりの気持ちを持つことは大変に尊いことです。
だからと言って、答えの出ない、「あの人は、自分のことをどう思っているのだろうか?」なんてことを考えるのはやめましょう。
考えてもエネルギーの無駄だし、実際に「ねえ、あなたは私のことをどう思っているの?」と聞いてみたところで、本当のことを教えてくれるとは限らないし、もしも本当のことを教えてくれたとしても、今度はそれを信じられるか信じられないかという問題がつきまといます。
だから、「あの人は自分のことをどう思っているのだろうか?」なんて、最初から考えないに限ります。

続いて、メンタルを消耗させる心のムダづかい、みっつめは、ストレスを生活の中から全てなくそうと考えることです。
ストレスは、身体に悪いからといって、それをゼロにしようとすると、結果、ストレスに注目することになってしまい、メンタルが消耗します。
ストレスは、実は少しぐらいあったほうがいいのです。
そのほうが元気になります。
もしも、ストレスをゼロにしたら今度は、今までストレスとは感じなかったことまでストレスになってしまいます。
だから、ストレスは多少あったほうがいいのです。
ちなみに今、現在、私のストレスは、満員電車と自分が好きでやっている筋トレなのですが、ホントこの2つは嫌で嫌でたまらないのですが、もしも私が満員電車に乗るのをやめたり、筋トレをやめたりしたら、他の出来事、たとえばカミさんの私に接するときの態度など、そんな細かいことがストレスとして上位に浮かび上がってくると思います。
よって、くれぐれも生活の中からストレスをゼロにしようだなんて考えないでください。
それは土台無理なことですし、無理やりストレスをゼロにしようだなんて考えると、ストレスに注目することになってしまう結果を及ぼしますし、もしもストレスがゼロになったら他のことがストレスになってしまう…ということです。

続いて、メンタルを消耗させる心のムダづかい、よっつめは、人を自分の思い通りに動かそうとすることです。これは大変にメンタルを消耗させます。
何故なら、過去と人は変えられないからです。
あなただって、人からコントロールされたくないように、他人だって、あなたからコントロールされたくないのです。
だから、人を自分の思い通りに動かそうとするのはやめましょう。
脅したり、罰を与えたり、褒美で釣ろうとしても、人は結局変わらないし、あなた自身がメンタルを消耗させるだけに終わってしまいます。

続いて、メンタルを消耗させる心のムダづかい、いつつめは、自分で自分の悪口を言うことです。
自分なりに、普通に真面目に暮らしていても、ときに人から非難されることがあります。
そんな時に、メンタルを消耗させない人は、直ぐに自分に悪口を言った人のことを忘れてしまいますが、メンタルを消耗させてしまう人は、自分の悪口を心の中で、何度も繰り返し思い出します。
その結果、自分で自分に対する悪口を言い続けてしまうという事態をもたらします。
それでは、メンタルが消耗するのは当たり前です。ですから、人から非難されるのは避けらないかもしれませんが、自分で自分の悪口を言うのは、たとえ心の中だけとしても、やめるよう心掛けましょう。

続いて、メンタルを消耗させる心のムダづかい、むっつめは、人と自分を比べることです。
たとえば、あの人は、英語がペラペラで凄いなあ。それに比べて自分は、英語なんて全然できないなあ。
また、あの人には可愛らしい彼女がいていいなあ。それに比べて自分は、彼女の1人さえ出来たことないなあ、等々です。
自分より優れた人と自分を比べてるとメンタルが消耗します。精神的にダメージを受けます。

人と自分を比べることによって、自分が成長するのであれば、比べる意義もあるかもしれませんが、人と自分を比べても通常は、落ち込むだけです。
だったら、人と自分は比べないに限ります。
比べるのなら、昨日の自分と今日の自分を比べるようにしましょう。
人間には、自己成長欲求があるので、ほんの少しでも、昨日の自分より今日の自分のほうが成長していると感じると嬉しく感じるものなのです。
ぜひ、昨日の自分と今日の自分を比べ、成長を実感してください。
人と自分を比べない、昨日の自分と今日の自分を比べる、ということです。

続いて、メンタルを消耗させる心のムダづかい、ななつめは、どうしようもないことで悩むということです。
たとえば、天気が悪い日が続くのはどうしようもありません。
夏になると暑くなり、冬になると寒くなるのはどうしようもありません。考えるだけ無駄です。
だったら、自分の変えられることで悩むようにしましょう。
天気が悪い日が続いたら、自分はどのような行動を取ればいいのか、暑くなったら、自分はどのように対処していけばいいのか、寒くなったらどのように対処していけばいいのか、そういうことを考えるようにしましょう。そのほうが、うんとうんと建設的になれます。

以上です。
以上の7つ、
「怒る」
「あの人は、自分のことをどう思っているのか? 考える」
「ストレスをゼロにしようと思う」
「人を自分の思い通りにしようと考える」
「自分で自分の悪口を言う」
「人と自分を比べる」
「どうしようもないことで悩む」が、メンタルを消耗させる心のムダづかいです。

次にここからは、メンタルを消耗させない方法についてお教えいたします。 それは、先ほどの逆です。

1.怒らないようにする。そのためには人に期待しない。
2.人からどう思われているか、気にしない。
3.多少のストレスは健康にいいと思う。
4.自分の思い通りに人を動かそうとしない。
5.自分の悪口を言わない。
6.人と自分を比べず、昨日の自分と今日の自分を比べる。
7.どうしようもないことを延々と考え悩まない。 以上です。

その他に、メンタルを強くする方法として、 睡眠をしっかりとる、体にいい物を適量食べる、運動習慣を持つ、人とつながる、等があります。どうぞひとつでもふたつでも自分の生活に取り入れ、健康的な毎日を送ってください。
というわけで、今日は、「メンタルを消耗させない心のムダづかい7選」というテーマでお話させていただきました。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
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《没後30年》政治に風穴を開けた田中角栄・元首相の「人の心をつかむ言葉」 今こそ必要とされる「決断と実行力」

《没後30年》政治に風穴を開けた田中角栄・元首相の「人の心をつかむ言葉」 今こそ必要とされる「決断と実行力」
12/12(火)  ニュースポストセブン

 この国の政治が行き詰まり、政治家が国民の信を失った時、誰が言うでもなく田中角栄待望論が沸き上がってくる。
「もし、角栄が生きていたらどうするだろうか」。
今がそうだ。失われた30年の間に国力は衰え、少子高齢化は止まらない。
高齢者は老後に不安を抱え、若者は将来に夢を持てない社会になった。
それなのに政治は解決の処方せんを示すことができずにスキャンダルを繰り返している。

岸田内閣の支持率は軒並み20%台まで落ち込んだ。
「角栄なら国民に新しい社会への夢を描いてみせるはずだ」──。  そんな期待を抱かせるのである。

2023年12月16日は角栄没後30年にあたる。
生前はロッキード事件で刑事被告人となり、金権政治家と批判されながら、死後もなお、政治家・角栄が国民に鮮烈な印象を残し続けているのはなぜか。
田中内閣の総理秘書官を務め、『日本列島改造論』の執筆者の一人でもある小長啓一・元通産事務次官が語る。
「佐藤栄作長期政権に対し国民のある種の倦怠感が燻る中、田中さんは現状を打破して新しい風、新しい考え方をしようと日本列島改造論を掲げて登場した。
総理になるかもしれない人が、こんな大胆なビジョンを打ち出したのは初めてだった。
それが国民には新鮮に映り、喝采を得たのだろう」
 時代の閉塞感を打ち破った政治家だった。

「列島改造論には前段階があった。
田中さんは高等小学校卒業だったけれど、『学歴ではなく経験、知識が大切なんだよ』と言いながら、ルーティンの合間を縫って政策の勉強をコツコツと積み上げていった。
当時、政治家の多くは『議員の仕事は国会での法案審議』と考え、法律を作ることは役人任せでしたが、田中さんは国民の声を拾い上げ、行政ベースには乗らない難しい課題でも自ら議員立法を成立させて解決していった。
“役所ができない法律をオレがやる”というのだから、役所とは対立関係になることもある。
それでも、田中さんは33本の議員立法を手がけた。
この記録は破られていません。
まさにフロンティアに挑戦する、民主政治家のモデルでした」(小長氏)

 わかりやすい角栄の言葉には人の心をつかむ力があった。
左派学生を前に自由主義経済をこうたとえた。
「子どもが10人おるから羊羹を均等に切る。そんな社会主義や共産主義みたいなバカなこと言わん。
君、自由主義は別なんだよ。チョンチョンと切って、一番ちっちゃいヤツに、一番でっかい羊羹をやる。
分配のやり方が違うんだ。
大きなヤツには『少しくらいガマンしろ』と言えるけど、3〜4歳の子はおさまらんよ。そうでしょう。それが自由経済」

 大蔵大臣時代には、新人官僚にこう訓示した。
「諸君らの上司にはバカがいるかもしれない。もしバカがいたら、バカなんだから諸君のアイデアを理解できないだろう。そんな時は迷わなくていい。遠慮なく大臣室に駆け込んでこい」

 叩き上げの政治家・角栄は持ち前の政策力と実行力、人心掌握力で郵政大臣、大蔵大臣、通産大臣として難題を処理し、54歳で総理大臣へと駆け上がる。
「一気に使え」 「決断と実行」──それが首相就任時に掲げたスローガンだ。
 外交的には日中国交回復を決断、エネルギー問題でも米国の石油メジャー依存からの脱却をめざして独自の資源外交を展開した。文字通り有言実行の政治家だった。

 角栄に関する多くの著書がある政治評論家・小林吉弥氏が語る。 「二枚舌は使わず、やると言ったら必ず実行するのが角栄でした。
『金というものはチマチマ使うより、ここぞという時、一気に使え。そのほうが何倍も効果が大きい』というのが持論で、財政出動する場合も、政権の人気取りでバラ撒くのではなく、国民の一番求めている政策を考え、財源まで手当てして決断する。

たとえば岸田さんの4万円減税はどこを向いた政策かわからないし、チマチマ金を使っても効果が出ない。
角栄であれば思いきってただちに1人10万円以上配るでしょうね」
 あるいは、当時のように国民にこう説くかもしれない。
「目先の握り飯(所得税減税)もさることながら、柿の種(企業減税)を撒き、木(経済)が育てば、おいしい果実はおのずから食べられる」

 角栄の政治には、確かに金が付きまとった。
数々の政策、派閥作り、その全てに莫大な金を必要とした。
金脈問題で総理の座を追われたのは必然だったのかもしれない。
「だが、その目的は最後まで政治のためだった。

いま問題となっている安倍派の裏金のように、私利私欲のためではなかった。
平成、令和の政界は角栄の負の側面だけが受け継がれ、肝心の理念は置き去りにされた」(ベテラン議員秘書)

 時代の曲がり角に登場し、政治に風穴を開けた角栄がもし今の政界にいたら、少子高齢化、国民負担の増大、中東危機やウクライナ戦争による資源価格高騰などの課題にどう立ち向かい、どのように日本社会を元気にするのだろうか。

※週刊ポスト2023年12月22日号
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2023年12月14日

もはや「リベラルvs保守」では語れない...現代社会の「対立構造」は、ここまで複雑化・多様化している

もはや「リベラルvs保守」では語れない...
現代社会の「対立構造」は、ここまで複雑化・多様化している
12/13(水) ニューズウィーク日本版

<政党の支持母体は分裂し始め、地域間でも地域内でもさまざまな「断層」が露わになった現代、政治には何が求められるのか>【加谷珪一(経済評論家)】

パレスチナ情勢の悪化は、アメリカが抱える矛盾を図らずも露呈する形になった。
これまでアメリカはイスラエル支援という点で政党を問わず一致してきたが、今回は様子が異なっている。
紛争を受けて各地でイスラエルを批判するデモが発生しているが、興味深いことにイスラエルに懐疑的な人たちの結構な割合が民主党支持者とされる。

民主党はユダヤ系を支持母体の1つとしてきたリベラルな政党であり、バイデン政権は躊躇なくイスラエル支援を表明したが、一連のデモは足元で地殻変動が起こっていることを示唆している。
来年の大統領選をめぐっては、ケネディ家出身の急進左派で、反ワクチン主義を掲げるロバート・ケネディJr.氏が民主党の指名候補争いから撤退。無所属で出馬すると発表した。
これによって民主党支持者の一部がケネディ氏に流れ、バイデン氏の立場がより厳しくなる可能性も指摘されている。

一方、共和党も分裂寸前の状況にある。
同党は主に資本家や経営者、ビジネスパーソンが支持しており、保守的な側面を持つ一方、ビジネス優先という観点から、変化に対しては寛容な政党であった。
だが共和党は年々保守化の度合いを強めており、穏健派の党員とトランプ支持者との間で抜き差しならない対立が生じている。

■地域間での分断に加え、各地域内でも分断が 地域間の関係性も一層複雑化している。
ハイテク企業が集積し、再エネに積極的な西海岸と、政治・金融の中心地である東部、自動車の製造拠点であり、かつ世界有数の穀倉地帯である中西部、石油産業を中核としたテキサスなど南部では、あまりにも状況が違いすぎて、もはや一つの国家として利害を調整するのが難しくなっている。
加えて各地域の中は一枚岩なのかというとそうではない。

アメリカでは所得が著しく上昇しているものの、高額所得者が平均値を引き上げているという側面が強く、豊かさの象徴とされる西海岸においても、ハイテク関係の高いスキルを持つ労働者とそうでない労働者には埋めようのない格差が生じている。

これからのアメリカは、思想や人種による対立、地域間の対立、地域内における所得格差による対立というあまりにも複雑な方程式を解いていかなければならない。
現在のところ有力な解決策は見えておらず、誰が次期大統領になるにせよ、社会が混沌としてくる可能性は高い。

■日本でも戦後政治の枠組みが機能しなくなった
アメリカが抱えたこうした混乱は、ある意味で世界共通の課題であり、日本でも同じような現象が発生しつつある。

戦後の自民党政治は、基本的に大企業を優遇する経済優先の政治であり、そうした枠組みから外れる中小企業や農業関係者、商店主らに十分な経済的支援を行う代わりに、自民党の票田にするという流れでパワーバランスが確立していた。
だが、そうした戦後政治の枠組みは近年、ほとんど機能しなくなっており、どの層に何をアピールすればよいのか自民党自身が迷っているように見える。

保守vsリベラル、正社員vs非正規社員、都市vs地方、先端産業vs従来型産業など、対立の方程式はあまりにも複雑になっている。
減税策をめぐって迷走する岸田政権に対しては、何をしたいのか見えないといった批判が出ているが、この問題は日本政治全体に言えることかもしれない。
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2023年12月15日

特攻隊、戦果と意義の客観的見直しを 軍事作戦の邪道ではあるが…3倍の敵と刺し違え、戦後の抑止力≠ノも

特攻隊、戦果と意義の客観的見直しを 軍事作戦の邪道ではあるが…3倍の敵と刺し違え、戦後の抑止力≠ノも
12/13(水) 夕刊フジ

【井上和彦 歪められた真実】
戦後の日本社会では、「特攻隊」は悲劇の象徴でしかなく、軍部を批判する絶好の材料となってきた。
だから特攻作戦の意義や戦果を再評価し、特攻隊の顕彰を口にしようものなら、たちまち「戦争を美化している」などと、お門違いの批判を浴びるはめになる。
戦後の日本は特攻隊への評価は、完全な言論統制下にあるといってよかろう。
しかし、事実として、特攻隊は大きな戦果を挙げ、米軍将兵の心胆を寒からしめていたのである。
こうした史実を歪(ゆが)め、特攻隊員に対して偽善的な哀れみの情を込めて無駄死だとか犬死などというのは、英霊に対する冒瀆(ぼうとく)なのだ。

1944(昭和19)年10月25日、フィリピン・マバラカット基地から出撃した関行男大尉率いる神風特別攻撃隊「敷島隊」による最初の攻撃から終戦までの約10カ月間に、海軍の特攻機2367機が敵艦隊に突入して2524人が散華した。そして、陸軍は同1129機が出撃し、1386人が散華した(※資料によって人数は異なる)。

一方、連合軍は甚大な被害を受けていたのである。
筆者の調べによれば、特攻隊によって撃沈または撃破された連合軍艦艇は278隻に上り、資料によっては300隻を超えるとしたものもある。
人的被害もまた驚くほど大きかった。
米海軍だけでも、特攻機の体当たりによる被害は、戦死者が約1万2300人、重傷者は約3万6000人に上り、さらに、あまりの恐怖から戦闘神経症患者が続出している。
つまり日米両軍の戦死傷者の数だけを単純比較すれば、特攻隊は、実に3倍の敵と刺し違えていたことになる。

《日本の奴らに、神風特攻隊がこのように多くの人々を殺し、多くの艦艇を撃破していることを寸時も考えさせてはならない。》(安延多計夫著『あゝ神風特攻隊』光人社NF文庫) これは米海軍ベイツ中佐の言葉である。

戦後の日本は、こうしたことを軍事的見地から客観的に検証し、実戦を経験した軍人の証言に真摯(しんし)に耳を傾けてこなかった。
特攻隊員は、その意志に反して強制的に志願させられたかのごとく言われ、あろうことかかわいそうな若者≠ノ仕立てられてきた。
だが、特攻隊員の肉声はそのようなものではなかった。
彼らは至純の愛国心を胸に戦い、命を祖国のために捧げたのである。

もちろん特攻は軍事作戦の邪道である。
だが、その戦果と意義を客観的に見直し、まずは散華された特攻隊員を顕彰すべきではないか。
特攻隊は、世界の人々の日本人観に多大な影響を与え、戦後も「日本に手を出すと痛い目に遭う」と思わせる抑止力≠ニなって日本を守り続けてきた。
つまり、かつての特攻隊の武勇は、戦後日本の抑止力ともなってきたことを忘れてはならない。

(軍事ジャーナリスト) =おわり
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マイナ保険証に尽きない国民の不安…自民裏金疑惑のドサクサに紛れ健康保険証「廃止」強行

マイナ保険証に尽きない国民の不安…自民裏金疑惑のドサクサに紛れ健康保険証「廃止」強行
12/14(木) 日刊ゲンダイ

「政治は言葉でつくられる」と言われるが、岸田首相が発する言葉のいかにいい加減なことか。
 政府は12日、マイナンバー情報総点検本部の会合を開催。
マイナンバーのひも付け誤りなどのトラブルに関する点検結果を受け、岸田氏は来秋に予定している健康保険証の廃止に関して「予定通り実施」を表明した。
これまで散々、「(廃止は)国民の不安払拭が大前提」と繰り返してきたにもかかわらず、である。

 岸田氏は今国会で「ひも付けの総点検と修正作業を見定め、さらなる期間が必要と判断された場合には必要な対応を行う」などと、廃止時期の見直しに思わせぶりな態度を示してきた。
点検結果の公表は12月上旬の方針だったが、まさかの国会閉会の前日。
国会審議ができないタイミングを狙いすまし、裏金疑惑のドサクサに紛れて公表するとは何とも悪辣だ。

 総点検の結果、ひも付け誤りは解消されつつあるが、決してトラブルが消え去ったわけではない。
マイナ保険証に医療現場は振り回されている。
 健康保険証廃止の撤回を求めている「全国保険医団体連合会」(保団連)は12日に緊急会見を開き、マイナ保険証のトラブルに関するアンケート調査(11月24日〜12月1日実施)の結果を報告。
保険証が廃止された場合の受付業務について、回答があった1000件の医療機関のうち59%が「今も混乱しており、廃止後は受付業務に忙殺されると思う」と回答。
「診察の待ち時間が長くなると思う」が44%だった。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。

■河野大臣はただただ屁理屈
「総点検本部後に開かれた河野デジタル大臣の会見で、国民の不安払拭が果たされたのかを問いただしたところ、河野大臣は『不安を払拭するための措置を取るということで、措置を取りましたので、(健康保険証を)廃止いたします』と屁理屈をこねていました。
また、『イデオロギー的に反対される方はいつまで経っても、不安だ、不安だとおっしゃる』とも。
保険証廃止に不安を抱える医療現場の声に耳を貸さない河野大臣の本音でしょう。

総点検は『不安払拭のための措置を行った』というアリバイづくりに過ぎません」
 マイナ保険証の利用率は、いまだ4.5%にとどまる。不安払拭とは程遠い現状では、廃止撤回の一択しかない。
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2023年12月16日

薬に頼らず自分で血圧を下げるために…知っておきたい「正しい知識」

薬に頼らず自分で血圧を下げるために…知っておきたい「正しい知識」
12/15(金)  現代ビジネス

 病院で高血圧と診断された人の多くは、降圧剤を服用しています。
高血圧で現在お悩みの方は、「血圧を下げるには、薬を飲むしかない」と思っていませんか?
 あるいはすでに薬で血圧を下げているものの「薬をやめたい、でも怖い」と迷っているかもしれません。

 実は多くの場合、血圧は簡単な体操で下がります。
体操で血管が若返れば、血圧以外にもさまざまな面での効果も期待できます。
そのほか、血圧を下げる生活習慣や、目からウロコの血圧の知識などをご紹介しましょう。
 いますぐにできることから始めて高血圧を解消し、これからも血圧の上がらない体を目指してみませんか。    『1日1分で血圧は下がる! 』連載第4回 

140を超えたら誰でも高血圧!? 
 世の中に広まっている血圧の知識は、実はあまり根拠のないものだったり、古いエビデンスに基づいていたりするものが多いということをご存じですか?
 薬に頼らず、自力で血圧を下げるための正しい知識を身につけていきましょう。
 まずは診断についてです。

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」では、血圧の値のうち、上が130〜139 mmHg(以下単位省略)かつ(または)下が80〜89の場合、「高値血圧」とみなされます。つまり、高血圧予備軍ということです。
 それを超えると、数値ごとに「I度高血圧」「II度高血圧」「III度高血圧」「(孤立性)収縮期高血圧」と分類が変わっていきます。

要は上が140、下が90を超えると、太っていようが痩せていようが背が高かろうが低かろうが、一括りに高血圧とみなされ、「下げないと危ないですよ」と薬を処方される。それが今の高血圧事情です。
 ではなぜこのように高血圧の設定値が低く定められているのでしょう?
 実を言うと、かつての高血圧の設定値は今ほど低くはありませんでした。  

1960年代後半に日本の医学部で最も広く使われていた『内科診断学』という教科書には、「日本人の年齢別平均血圧」の算出法として、「最高血圧=年齢+90」という算式が載せられていたのです。
つまり今60歳の人なら「60+90」という計算になり、最高血圧が150以下なら正常血圧とみなされていたということ。70歳なら160以下、80歳なら170以下で正常です。
 ところが1999年にWHO(世界保健機関)とISH(国際高血圧学会)が「140/90以上は高血圧」と定義しました。
すると日本高血圧学会もこれにならい、2000年に「140/90以上」を高血圧とし、目標数値を「130/85未満」にまで引き下げたのです。
 しかしこの時点ではまだ、70歳代の最高血圧の目標値は150〜160、80歳代では160〜170と、年齢によって幅をもたせていました。
ところが2003年になると、日本高血圧学会はこの年齢別の数値も撤廃。
何歳だろうが一律に、140/90以上で高血圧とし、降圧剤を処方することにしたのです。

  その一方で日本人間ドック学会は、2014年に「新たな健診の基本検査の基準範囲」で、健康な男女グループの血圧上限値を、最高血圧で147、最低血圧で94としました。
このため「高血圧の基準がゆるくなった」と報道されたりしましたが、これに対して日本高血圧学会は「科学的根拠の信頼度が低い」と強く反論したのです。
 しかし、やみくもに血圧を下げることが必ずしも健康をもたらすわけではない、という科学的根拠が出てきていることもあってか、同じく2014年に日本高血圧学会は、若年・中年層の降圧目標を130/85未満から140/90に引き上げています。
また後期高齢者に関しても、降圧目標を150/90と引き上げました。
 それでもまだまだ厳しすぎる目標値です。

さらに困ったことに、このように目標値が引き上げられた後も、多くの医者は相変わらずそれまでの数値を採用していて、140を超えたら「はい、高血圧です」と降圧剤を処方しているのです。
 ですからもし血圧が高くなってきたとしても、「医者が高血圧と言ったから」と素直に従って薬を飲むのではなく、運動を取り入れたり生活習慣の改善を図ったりして、まずは自分で血圧を下げる努力をしてほしいと思うのです。
薬を飲むのは、それでも下がらなかったときで遅くはありませんから。

 人間は、歳を重ねるにつれて筋肉量が落ち、血管も硬くなっていきますから、若いときより血圧が少しずつ上がっていくのが自然です。
 その場合でも、降圧体操(第2回の記事を参照)でNOの分泌量を増やすことで改善できますから、少しずつ上がっている程度なら、そんなに心配する必要はありません。
 ただ、多くの人は、毎日きちんと血圧を測っているわけではないと思います。
ある日久しぶりに血圧を測ってみたら、前に測ったときより一気に高くなっている。
それで慌てて病院へ行ったところ、「薬を飲みましょう」となってしまうこともあります。
 ですが、年齢とともにジワジワと上がってきた高血圧を示す数値は、自然なものですから、過度に怖がる必要はありません。

怖いのは、それがジワジワではなく急激に上がった数値の場合。脳の疾患や心臓の疾患など、どこかに大きな病気が潜んでいて、そのサインとして急激に上がっている可能性が高いからです。
 よく医者は、「血圧が高いと重大な病気を招きますよ」と言いますが、そうとは限りません。
血圧が高いから病気になるのではなくて、病気が起こっているから血圧が上がっている可能性があるわけです。

 ジワジワ血圧が上がっているのも、結局は加齢により血管が硬くなったり細くなったりして、血流が悪くなっているから。だから運動をして血管を柔らかくしましょう、慢性の高血圧はそういうサインなのです。

コレステロールは本当に悪者? 
 高血圧の犯人としてまことしやかに言われているのが「コレステロール」です。
中でも悪者扱いされているのが、悪玉コレステロールと呼ばれるLDL。
血管の内壁に溜まってプラーク(血管内壁のコブのこと)をつくり、動脈硬化を促進していると言われています。
 そのため最近は、健康のためにもコレステロールを減らしましょうと声高に叫ばれています。
でも、そんな悪者のコレステロールが、実際には自分の肝臓でつくられているって知っていましたか?
 わざわざ自分の体でつくっているわけですから、悪者どころか重要な物質だということです。

 では、コレステロールの働きをいくつかご紹介します。
1)全身の細胞ひとつひとつの細胞膜の原料です。ですから、コレステロールがなければ細胞分裂はできず、新しい細胞がつくられなくなってしまいます。
2)性ホルモンや副腎皮質ホルモンなど体のあらゆるホルモンの材料にもなっています。
3)骨の成長には欠かせないビタミンDの原料にもなっています。

 つまり、人はコレステロールがなくては生きていけないのです。
 そのコレステロールは、70〜80%が肝臓でつくられ、あとは外からコレステロールを含む食品を食べることで補っています。
もし大量のコレステロールを含む食事をしても、肝臓がつくるのを控えて常に同じ量になるように調整してくれます。
 ですから、きちんと運動をして消費されていれば、心配する必要はないのです。

 血圧を下げる薬を飲むことは、体が発している不調のサインを消してしまう以外にも、多くの危険があります。
なぜなら血圧を下げる薬というのは、血流を悪くする薬でもあるからです。
 たしかに血液の流れを弱めれば、血管にかかる圧も減りますから、血圧の数値自体は下がるでしょう。
でもここで、そもそもなぜ血液が全身を流れているのか、ということを思い出してください。
それは、酸素や栄養を全身に行き渡らせるため。
だから私たちは、心臓から離れた脳や指先や足先まで、元気な状態で活動できているのです。

 ところが薬によって血液の運搬量を減らしてしまえば、全身に充分な栄養が行き渡らなくなってしまいます。
手先や足先といった末端部位は、ものすごく冷えるようになるでしょう。
 何より怖いのが、脳への栄養も減ってしまうこと。
だんだんボーッとするようになるし、その状態が続けば、認知症を発症する可能性も高まります。
また目にも栄養がいかなくなりますから、血圧の薬を飲んでいると、白内障や緑内障といった目の病気を発症することもあるのです。

 薬をたくさん飲まなくとも、降圧体操をしっかり行い、血管の内皮細胞からNOを出して血管を健康な状態にしてあげれば、血圧は下がります。
 もちろん薬が本当に必要な人もいますから、降圧体操をしっかり行ったのに血圧が高いままという人は、医者に相談しながらきちんと原因を探っていってください。
 ですが、大半の方は運動不足のせいで血管が硬くなり、血圧が上がっているだけです。
そういった高血圧は、運動を行ってNOを増やせば正常値に戻るものであり、本来は薬を飲む必要などないのです。

加藤 雅俊
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「“内もも歩き”をすれば、ひざは痛くなりません」名医が語る“肩こりにも効く正しい歩き方”

「“内もも歩き”をすれば、ひざは痛くなりません」名医が語る“肩こりにも効く正しい歩き方”
12/15(金) 文春オンライン

 ひざが痛くなる原因は“歩き方”にあった――。
ここでは初診予約半年待ちの名医が上梓した『 100年ひざ 』(サンマーク出版)より一部改変し、抜粋。肩こりにも効くひざが痛くならない“正しい歩き方”をご紹介する。

 頭が前に出る「ニワトリ歩き」
 これまで僕は、1万4000人の変形性膝関節症の患者さんから「ひざの負担を大きくしてしまう生活習慣」があると教わってきました。
そのひとつが、多くの患者さんに共通する独特な歩き方「ニワトリ歩き」です(1章「ひざの負担を大きくしている生活習慣」の項の図)。
 患者さんの歩き方を見て、その特徴から「ニワトリ歩き」と命名したのですが、大きな駅のコンコースに立って、通り過ぎる人を見ていたら、若い世代にも「ニワトリ歩き」の人がたくさんいて、愕然としました。
 現代はこの歩き方をする人が大変多くなっているから変形性膝関節症になる人が増えているというのが正しいのかもしれない──そう気づいてから、「ニワトリ歩き」を招く姿勢の崩れが、変形性膝関節症の大きな原因だとわかったのでした。

 頭が前に出ることが特徴的な姿勢の崩れ。そのまま歩くと、頭を前後に少し振ってバランスをとらなくては歩みを進められません。まさにニワトリのような歩き方でしょう? 
この歩き方はひざに負担を強いる、歩けなくなる「入り口」です。
 食事や仕事、生活動作の多くは「前かがみ」姿勢で行われます。
日本人ならではの、手で器を持ち上げて皿の上に頭が迎えにいく食事のスタイルをはじめ、パソコン操作、台所仕事、掃除機かけ、裁縫、農作業、庭仕事……。

僕が自分の1日を振り返ってみても、手を体の前方に出し、前にかがんでいる時間がなんと多いことでしょう。
 本来ならばヒトは、骨に寄りかかるわけでもなく、無駄に筋肉を緊張させることもなく、備わっている構造のとおりの姿勢で立つのがラクです。
水をいっぱい頭蓋骨の中にたたえ、その中に脳みそを浮かべた頭の重さは平均約6〜8kg。
これがちゃんと西洋人のように肩の上にあれば、首と背、腰のS字カーブや骨盤などのおかげでバランスがとれ、無理なく頭を支えていられます(1章『とくに日本人に多い「姿勢由来」のひざ痛』の項)。
 ところが、重い頭が肩より前に出てしまったら、それを後ろから支える首の負担は2〜3倍に増え、頭を後ろから支えている首の筋肉(僧帽筋)にのしかかります。
背骨を支えているインナーマッスルである多た裂れつ筋きんにも余計な仕事をさせ続けることになるのです。
そりゃあ、肩もこるわけです。

 頭が前に出ることの弊害は、上半身のこりだけではありません。
 前に行ってしまった頭とバランスを取るために、背中が後方へ出てきて、腰椎の前弯もなくなって猫背になります。
 猫背になると、腰椎と骨盤が後ろに傾きます。その骨盤につられるように大腿骨が外側にねじれ、ひざの関節も外を向き、いわゆるガニ股になってしまうのです。
するとひざは伸ばしにくくなり、軽く曲がって、O脚になります。

 O脚になると、歩くときに足の外側で着地するようになり、つま先は上げにくくなる。何もないところでつまずいたり、こけるリスクも上がってしまいます。
やってはいけない「ニワトリ歩き」を続けると…  この状態で活動を続けていると内側ひざ関節に偏って負担がかかります。平地を歩くとき5倍、階段を降りるとき8倍かかるというその力が、内側ひざ関節に集中するのですから、内側の軟骨はあっという間に減ってしまいます。
 僕らが変形性膝関節症の患者さんの治療法を検討するとき、軟骨が少しでも残っていれば再生する可能性があるので、「軟骨がどれくらい、どこに残っているか」を調べます。
すると、ほとんどの場合、内側が偏ってなくなっている(O脚変形)。
関節軟骨が減るとは、均等になくなるわけではないのです。

 およそ90%の患者さんが、ひざの内側軟骨が減るO脚変形ですが、稀まれにひざの外側関節が減っているX脚変形の患者さんが来られます。
 6歳から12歳までの女性は、内股で歩き、自然のX脚であることが多いのですが、成長とともにまっすぐになっていきます。
大人になってもX脚である人は、足が長い人、ひざのお皿(膝蓋骨)が高い位置(普通の人よりも上のほうにある)の人に多いです。
X脚変形になるメカニズムの詳細は未だ不明です。
 一方のひざだけX脚変形になっている人では、その反対側の股関節が悪い人が多いです。

 股関節が変形していくと、股関節が悪いほうの脚は、反対側に比べて短くなります。
股関節は足の付け根で、そこが変形してくると付け根がからだの上に移動していくからです。
そうすると、股関節が悪くないほうの長い脚を、もう一方に合わせようとして、X脚になることがわかっています。
 そのようなケースでは、原因である股関節の治療を優先し、左右の脚の長さをそろえ、その間、ひざについては保存療法をして、股関節とひざ関節、両方を治すことが根本療法になります。

 ひざ軟骨の内側と外側が均等に減ってしまうのが、先にも説明した、関節リウマチという病気です。
これは自分のからだではない異物を攻撃する抗体が、自分の軟骨を攻撃したために起こります。
その原因は、からだを異物から守っている免疫がおかしくなった、もしくは、軟骨が変性して異物になったから攻撃した─そんな仮説が考えられていますが、今のところ原因不明です。

9割以上の日本人がO脚になり、ひざの内側の軟骨が減っている
 日本では9割以上の人が「O脚(内反膝)」になってひざの内側の軟骨が減っています。
そして5%くらいの人が「X脚(外反膝)」になってひざの外側の軟骨が減っていて、残りはリウマチによって、内側も外側も減っています。
 つまり圧倒的に、脚がO脚に変形して、ひざの内側の軟骨だけが減り、痛みを訴える人が多い、ということです。

 ちなみに初期では、O脚やX脚になっているかどうかはよく履いている靴のかかとを見てチェックできます。
O脚の場合、外側に体重をかけて歩くため、外側ばかり偏って減ります。
逆に、X脚では内側ばかり減ります。
 O脚やX脚の兆しが見られたら、姿勢の崩れや歩き方を改善し、ひざへの負担を減らすことが大切です。

 たとえ自覚はなくても、猫背や巻き肩、ストレートネックなど「姿勢の崩れ」があるなら、O脚になり、ニワトリ歩きになっている可能性が高いです。
無意識にひざが「外側」に傾き、足の親指が浮いた歩き方になっていないでしょうか。
 また、X脚になっていて、無意識に「内側」に傾き、足の小指が浮いた歩き方になっている場合もあります。
先述の「靴のかかとチェック」でそれがわかりますね。

 ニワトリ歩きを脱却してひざにいい歩き方へと変えていきましょう。  
本書でご紹介する歩き方は、姿勢を正し、O脚やX脚の改善に役立ち、ひざへの負担を軽減する好循環のきっかけになる歩き方ですから、ぜひマスターしてください!

O脚さんは内転筋の使い方がポイント
 まずはO脚さんのための歩き方から。
O脚で、ひざの内側関節にトラブルや不安のある人は「内転筋」という筋肉群を大いにはたらかせて歩きましょう。
名付けて「内もも歩き」です。
 どのように歩くのか、くわしい歩き方は3章で写真とともに紹介します。

ポイントは、歩く前に、座ったままひざに手を置き、体重をかけて“普段のひざの状態とは逆”の親指重心の練習をすること。足の小指を浮かせて着地するのを、まずは座った姿勢でやってみます。
これで「からだを正しく使う」コツを感じてください。
 親指重心になるときはたらく筋肉が「内転筋」です。
 内転筋という筋肉群は文字どおり「内転させる筋肉群」で、内転とは太ももを閉じる動きであり、「股関節と連動して股を閉じる」ことです。
大腿骨にくっついている筋肉群で、この筋肉群が弱ると大腿骨が外転(内転の逆、外側に開くこと)・外旋(外側に向かってねじれること)し、いわゆるガニ股になり、O脚が加速してしまいます。
 つまり、内転筋が弱る=太ももは外旋し、О脚コースへまっしぐらとなるわけです。

 さらに内転筋は、内臓を下支えする骨盤底筋群とも関連して骨盤を支えたり、姿勢を支える腹筋の活動も高めたりすることがわかっています。
 内転筋が弱ってしまうと、骨盤底筋群や腹筋にも悪影響があり、加齢に伴って増える尿もれ、脱腸、子宮脱などとも関係します。
つまり内転筋は、中高年以降の筋トレの大事なポイントです。

 しかし、この内転筋は、鍛えにくいうえに、意識的に使わないと弱りやすい筋肉です。
第3章の内転筋トレーニングを日常生活に入れてみてください。
寝転んでできる方法ですから、隙間時間にお笑い番組でも見ながら、リラックスしてやってみてください。

「ニワトリ歩き」から「内もも歩き」に変えよう
 意識的に内転筋を使って歩く。
それは内転筋を鍛え、脱ニワトリ歩きをかなえ、さまざまなトラブル予防に通じる歩き方です。
しばらくは意識的に練習する必要があり、いくらかぎくしゃくするかと思いますが、続けていればからだが覚えて、自然に歩けるようになっていきます。

 内ももの筋肉(内転筋)を使い、ひざを内側に入れることで、大腿骨と脛骨の間に隙間をつくって、親指側で体重を移動させて歩く歩き方が「内もも歩き」です。
この歩き方は、変形性膝関節症の患者さんを診察していて、ヒントをもらって考えました。
 患者さんのレントゲン撮影で、「ストレス撮影」という方式で撮ると、内側の関節が開き、隙間が出ます。
「ストレス撮影」とは、ひざをぐーっと押して撮るもの。
外側からひざを押したストレス撮影の写真だけを見たら、変形性膝関節症ではない人、つまり軟骨の状態が正常であるかのようです。
 実際には押している力を抜くと元に戻り、内側の骨がまたぶつかってしまうのですが、外側から押せば隙間ができる! ならば、内ももを意識して使って、ストレス撮影のときのように隙間をつくって歩けば、軟骨の負担を減らせるはず! 
その発見で「内もも歩き」を考案しました。
 この歩き方で大腿骨と脛骨がぶつかって起こる微小骨折を防ぐことができれば、激痛はなくなります。
 そして、「足放り体操」によって再生した軟骨を減らさずに歩けます。

巽 一郎/Webオリジナル(外部転載)
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2023年12月17日

政治家だけじゃない「耳を疑った失言集2023」、もはや開き直り…こんな国でいいのか?

政治家だけじゃない「耳を疑った失言集2023」
もはや開き直り…こんな国でいいのか?
鎌田和歌:フリーライター
2023.12.15 ダイヤモンドオンライン

早いもので2023年ももう師走。
今年のニュースを失言とともに振り返りたい。
失言といえば政治家に付き物だが、今年は組織や企業、個人からの“失言”も目立った。
並べてみると想像以上にヒドイ。
その傾向から読み取れる深い教訓とは?(フリーライター 鎌田和歌)

 近年では“炎上“する一般人が多い。
飲食店で調味料の容器をくわえるような迷惑行為が拡散され、高額な損害賠償を請求されるまでに発展したし、以前からひんしゅくを買っていた迷惑系YouTuberが「私人逮捕」を理由に逮捕された。
 失言といえば政治家に付き物だが、今年は政治家以外の人々からの“失言”も目立ったように感じられる。
これも、SNSで誰もがスポットライトを浴びる可能性がある時代となったゆえのことなのかもしれない。
 また、組織や企業の不祥事が相次ぎ、記者会見や追及の場でのトップによる失言・迷言も生まれた。
 年の瀬に、政治家ではない人々の「失言」とともに今年のニュースを振り返ってみたい。
なお、2023年の政治家失言まとめは来週に予定している。

【ジャニーズ事務所】 「被害者ではない可能性が高い方々が 虚偽の話をされているケース」
 エンタメ界において今年最大のニュースとなった、旧ジャニーズ事務所で故・ジャニー喜多川氏の長年にわたる性加害が放置されていた問題。
 旧ジャニーズ事務所は第三者的立場の有識者からなる調査とその報告会見、さらに謝罪・説明のための記者会見を開いたが、会見の場で記者の「NGリスト」の存在が明らかになるなど、その対応や会見内容に疑問符がついた。
 さらに10月9日に発表された声明「故ジャニー喜多川による性加害に関する一部報道と弊社からのお願いについて」の中には、「被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報にも接しており、これから被害者救済のために使用しようと考えている資金が、そうでない人たちに渡りかねないと非常に苦慮しております」という一文があった。
 被害を名乗り出た人たちは「金目的」といったネット上での誹謗中傷に苦しんでおり、この後、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーだった男性が自死していたことも明らかになった。
 この段階でこのような声明を出すことが果たして本当に必要だったのか。
「複数あるという情報にも接しており」とあるが、どの程度の確度での情報だったのか明らかにされていないことも問題を感じる点だ。

【宝塚(阪急電鉄)】 「証拠となるものを お見せいただけるよう提案したい」
 ジャニーズと同様に、その会見が悪い意味で話題となったのが宝塚歌劇団の記者会見。
同劇団では9月末に女優が転落死し、その原因がいじめや嫌がらせ、長時間労働にあったのではないかと報道されていた。  11月に行われた記者会見で、同劇団の次期理事長であり阪急電鉄の取締役でもある村上浩爾氏は再検証を求める遺族に対して「そのように言われているのであれば、証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」と発言。
 劇団員の死というあってはならない事態に際してのトップのこの発言は、冷酷を通り越して遺族や世論への好戦的な態度にさえ見えた。

【経団連会長】 「何が問題なのか」
 12月4日の会見で、自民党への毎年約24億円への政治献金について問われた経団連の十倉雅和会長が放った一言「何が問題なのか」がネットで炎上。
 十倉会長はさらに「社会貢献の一つ」「世界各国でも同様のことが行われている」と続けた。
 政治献金は利権政治に直結する。さらに利権政治からの脱却を目指すべく導入された政党交付金制度があるにもかかわらず、企業からの献金が今なお廃止されていないことが批判されている。
 金持ちのためだけの政治をいつまで続けるのか。
開き直りとしか受け取れないこの失言に、庶民の怒りは止まらない。

【林真理子・日大理事長】 「違法な薬物が見つかったとか、 そういうことは一切ございません」
 8月5日に大麻取締法違反で逮捕者が出た日大アメフト部。
学生寮へ捜索が入ったのは8月3日だが、その前日の2日、マスコミの囲み取材に答えた林真理子理事長は「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と発言していた。
 元を辿れば2018年の「悪質タックル問題」が発端となり、名門とされてきた部の体質が批判された。
その記憶が残る中での不祥事だけに、呆れ返る声は大きい。
 10月末に日大の対応を検証する第三者委員会は調査報告を発表し、この際の記者会見で、林理事長のコメントについて「失言に近い」と明言している。
また、12月に行われた逮捕された元部員の初公判では、中村敏英監督の「副学長に見つかって良かった」という発言を聞いたこの部員が「もみ消してもらえると思い、安心した」と当時の正直な心境を語ったことも報道された。
 巨大組織の不健全な力学は、この際全て明らかになってほしいものだ。

【ビッグモーター社長】 「ゴルフを愛する人への冒涜」
 ちなみに不祥事からの記者会見といえば今年は保険金不正請求が発覚した中古車販売大手のビッグモーター社もかなりインパクトがあった。
しかし残念ながら、記憶に残るほどの失言が残っていない。
 強いていえば、ゴルフボールを使って車両を損傷させた行為について、兼重宏行社長が「ゴルフを愛する人に対する冒涜だ」と語ったことだろうか。
当時の報道でもズレたコメントだと言及されているが、これは失言というより迷言の類かもしれない。

【人気ラッパー】 「男子生徒はのぞけるならばのぞく」
 スマートフォンの普及から増加傾向にあり、今年の刑法改正で「撮影罪」が新設されることになった盗撮問題。
教育現場での教師から生徒・児童への盗撮や、生徒同士の盗撮について報道が増える中で、人気ラッパーの投稿が波紋を呼んだ。
 発端は、6月下旬に熊本県立高校の修学旅行で複数の男子生徒が女子生徒の入浴を盗撮したり、のぞいていたりしたと報道されたことだった。
このニュースを引用して「のぞこうと思えばのぞけるような露天風呂を選んだ学校が悪い。男子生徒はのぞけるならばのぞく。当たり前だろ。」と投稿したのがラッパーの呂布カルマ。
この投稿に共感や理解を示すファンもいた一方で、強い批判も巻き起こった。
 これまで未成年同士の性犯罪は「子ども同士のこと」と矮小化される傾向があり、被害者側が泣き寝入りを余儀なくさせられることも珍しくなかった。
その背景には「男の子なのだから多少のやんちゃは仕方ない」といった誤った認識と対応があったことは想像に難くない。
 呂布が昨年ACジャパンのCM(「寛容ラップ」)に出演して、一般からの知名度・好感度を上げていたことや、10月にはNHKの性教育関連の特番に出演したことも、炎上が長引く理由となった。

【アニメーター】 「公開型のつつもたせ」
 夏に大きく報道されたのが、韓国の人気女性DJが大阪のイベントで観客の男女3人から胸などを触られたと訴えた事件。
その後、女性は3人を刑事告発したが、当事者間の和解によって不起訴となったことが報道されている。
 この件でネット上では女性の露出度の高い衣装やパフォーマンスを非難する声が多く上がり、日本における性暴力被害者への二次加害として海外でも取り上げられる事態となっていた。
 その中で特に話題となったのが、ジブリ作品の監督を務めたこともあるアニメーターの男性が「公開型のつつもたせなのだろう」「音楽フェスの主催者は、彼女の芸に加担しないことだ」などと投稿したこと。
 数日後にこの男性は投稿が不適切であったことを認めて謝罪と撤回を行ったが、ネット上ではいまだに女性への誹謗中傷が多く、日本のネット社会の残念さが浮き彫りになった。

 まとめてみると、不祥事を報道された組織の開き直りに近い失言が目立った2023年。
あなたの記憶に残る失言はあっただろうか。
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2023年12月18日

待合室を見るだけでわかる…医師・和田秀樹「高齢者が絶対に罹ってはいけない」医者を見抜く方法

待合室を見るだけでわかる…医師・和田秀樹「高齢者が絶対に罹ってはいけない」医者を見抜く方法
2023年12月17日 PRESIDENT Online

いい医者を見極めるにはどうすればいいか。
医師の和田秀樹さんは「医者選びには相性が重要だが、それ以前に誰にでも感じの悪い医者というのもいる。待合室がドンヨリとして暗い医院は要注意だ。
逆に待合室が賑わっていて明るいのは、真摯に患者さんと向き合う『いい医者』がいる証拠である」という――。
※本稿は、和田秀樹『病気の壁』(興陽館)の一部を再編集したものです。

■どんな医者とめぐり合うかによって運命は大きく変わる
病気は原則としてさまざまな要因が絡み合って発症します。
たとえばがんは遺伝的な要因もあれば、食生活のみだれやアルコールの飲みすぎなど生活のみだれも関係しているとされています。
さらに不幸な出来事や忙しさ、人間関係のトラブルなどからくるストレスによって起こる免疫の低下のために、身体のなかでできた出来損ないの細胞を掃除しきれず、がん細胞になってしまうこともあります。
遺伝的な要因は同じ親から生まれても個人差があるし、どんな出来事によって免疫が落ちるかわかりません。
つまり病気になるかならないかは「運」に左右されるといえるのです。

とはいえ、病気になった時点で運に見放されたと落胆するのはまだ早いといえるでしょう。
その先に待っている出会いの運に恵まれれば、人生のピンチから逃れることのできる可能性がグンと高まるのですから。
勘のいいかたならおわかりだと思いますが、どんな医者とめぐり合うかによって運命は大きく変わってきます。
では、どんな医者と出会うことが良縁なのかといったらわたしの考えでは、元気にしてくれる医者です。
あたりまえじゃないかと思う人がいるかもしれませんが、名医といわれる人が担当医になったからといって、縁に恵まれたとは限らないというのがわたしの意見です。

■「自分は偉い存在なのだ」と勘違いしている医者も多い
医者選びにおける大切なことの一つに相性があると思います。
相性によって、誰かにとっては名医でも、自分にとっては精神衛生上悪い医者だということがあるのです。
たとえばわたしは血圧の数値が高くなって、いくらなんでもこれはマズイということで紹介された病院で、医師からいきなり説教をされてカチンときてしまいました。
「叱られにきたのではない」「なんだこの偉そうな態度は」などといら立ちを覚え、その医者のいうことを素直に聞く気になれなかったのです。
医者に会うと血圧が上がるなんて馬鹿なことがあってはいけません。

その医者に会うと、なんだかホッとする、そればかりか元気をもらえると思えるような医者とめぐり合えたらラッキーです。 相性以前に誰にでも感じの悪い医者というのもいます。
医者であるところのわたしがいうのもヘンですが、たいていの医者は小さいころから成績優秀で周囲の人たちから一目おかれているうえに、若いころから「先生」と呼ばれることも相まって「自分は偉い存在なのだ」と勘違いしていることが少なくないのです。

待合室がドンヨリとして暗い医院は要注意。
逆に待合室が賑わっていて明るいのは、真摯(しんし)に患者さんと向き合う「いい医者」がいる証拠だというのがわたしの持論です。
医者によって患者さんが元気になるから待合室も賑わうのです。
逆に元気のない患者さんばかりだと、薬の出しすぎなどの問題があるかもしれません。

■年よりの医者が信頼できる理由
加齢によってさまざまな不調が出やすい高齢者は、何かあったときに気軽に相談できるかかりつけ医(主治医)を決めておくとよいでしょう。
風邪だと思っていたら、検査の結果、深刻な病の可能性があると判明したといった場合も、専門医を紹介してくれたり、大学病院への紹介状を書いてくれるなど、速やかに治療を始めるための橋渡しをしてくれるはずです。
働き盛りの40代、50代の医者が望ましいと考えてしまいがちですが、そうとも限りません。
同年代だからわかってもらえる不調があると思います。
それに、昔の医者は聴診器を胸に当てながら、その人の顔をよく見て、傾聴を通して「こういう可能性がある」と目星をつけていました。
この、経験から培われた「勘」が侮れないのです。

一方、今は数値至上主義で、パソコンの画面しか見ていない医者が増え、患者さんが不調を訴えても、数値が正常なら「問題ありません」などと告げられてしまうことが多くなりました。
でも問題がなかったら病院へはいきません。
数値的に問題がなくても具合が悪いものは具合が悪いのだから、そこに寄り添ってくれる医者を選ぶべきだと思います。

■大学病院の多い都道府県ほど平均寿命が短い
総合診療(当時は内科診断学と呼ばれました)のトレーニングを受けた世代の町医者と、受けていない世代の開業医がいるということも念頭においておく必要があるでしょう。
総合診療のトレーニングというのは、自分の専門分野だけでなく、患者さんの身体を総合的に診るための教育のことです。
周知のとおり、大学病院には「内科」という科はなく、「呼吸器内科」「消化器内科」「循環器内科」などにわかれています。
こうして細分化することによって、高度医療を提供しているのです。

医学部の医者たちは、それぞれが専門の臓器に特化して学び、研究を通して専門性を高めているのです。
1970年代に各大学で開始された「臓器別診療」による専門性の高い医療のおかげで多くの難病患者さんたちが命を救われてきたのですが、多くの病気を抱える高齢者には不適切な治療である可能性が高いとわたしは考えています。
高齢化が進んだ現在では、大学病院の多い都道府県ほど平均寿命が短い傾向があるのです。

さて、大学病院で専門医として働いていた医者も、通常は、地域で開業する場合、どんな病状の人でもある程度、診ることのできるスキルが求められます。
ところが現在、63歳であるわたしが医者になる以前から医学の専門分化が進み、現在50代より若い医者はほとんど総合診療の教育を受けていないまま開業するのが現実です。

■頭のかたいヘボ医者にはご用心
欧米には「ファミリープラクティス」といって、乳児からお年寄りまで家族全員の健康相談、病気の発見、診断、治療など総合的なケアを学ぶための機関があります。
イギリスでは医師全体の約半数が総合診療医だとされています。
日本には総合診療医の教育をする機関がほとんどありません。
近年になって注目され始めたというのが現状ですが、教える人がいないうえ、スタッフの数が多くないのでうまく機能していないのは事実です。

こうしたことから40代、50代の町医者の多くが、開業する直前まで大学病院や大病院で呼吸器とか消化器といった特定の臓器の専門医として治療にあたっていたと思われます。
それなのに開業するにあたって「内科クリニック」という看板を掲げて、「老人歓迎」「訪問診療もやります」などと掲げるわけです。
といっても、わたしはそういう医者のすべてがヘボだといっているわけではありません。
開業医になった当初は自分の専門分野以外の知識に乏しくても、さまざまな症状の患者さんと向き合うなかで総合診療のプロフェッショナルになっていく人もいます。
問題は頭のかたい医者。
狭い知識だけでわかったようなことをいうヘボ医者は素早く見抜いて回避しなくては、命を縮めることになりかねません。 ----------
和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医
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2023年12月19日

マイナ保険証への移行 不安拭う努力が足りない

「社説」マイナ保険証への移行 不安拭う努力が足りない
2023/12/17 毎日新聞東京朝刊

国民の不安に寄り添う姿勢を欠いている。
このままでは、社会のデジタル化を目指す政府の取り組みは空回りするばかりだ。
 誤登録などが相次いだマイナンバー制度の総点検作業がほぼ終わった。
健康保険証や障害者手帳などで確認されたミスは計1万5907件に上る。
政府はマニュアルの整備や入力作業の自動化を進めて再発を防止する考えだ。

 岸田文雄首相は、計画通り来秋に紙の保険証を廃止し、マイナカードと一体化する方針を表明した。
「国民の不安を払拭(ふっしょく)する措置が講じられた」ためだという。
 だが、不信感は解消されていない。
ポイント付与の効果でマイナ保険証の登録者が急増したにもかかわらず、医療現場での利用が低迷しているのは、その表れだろう。

 マイナンバーは行政の効率化を進める切り札だ。
カードの本人認証機能は、官民のさまざまなサービスに活用できる。
 ただ、多くの国民にとってメリットを享受する機会は限られている。
マイナ保険証には診療の迅速化などの効果が期待されるが、患者の半分程度が利点を感じていないとの政府の調査結果もある。
利便性より情報流出などのリスクに敏感になるのは当然だ。

 そもそも保険証の廃止は昨年10月に唐突に打ち出された。
しかも老人福祉施設の入居者などデジタル弱者への配慮が不足していた。
 批判を受けて政府は、未登録者向けの資格確認書や、認知症の人も使える暗証番号不要のカードの発行に踏み切った。
これなら保険証を残す方が合理的だ。
泥縄式の対応が不信感を増幅させている。

新しい政策には摩擦や混乱がつきものだ。
急を要する場合は政治の突破力も求められる。
だが、マイナ制度は社会システムの根幹に関わる。
時間をかけて国民の理解を得なければ禍根を残す。

 それなのに河野太郎デジタル相は、総点検の記者会見で「イデオロギー的に反対する人は、いつまでたっても不安だと言う」と述べた。
マイナ保険証に抵抗感がある人々を切って捨てるかのような発言だ。
 デジタル技術は便利なだけでなく、リスクも伴う。
政府は期限ありきの姿勢を改め、信頼感を醸成する取り組みを尽くすべきだ。
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2023年12月20日

寒かったり暖かったり…疲れが取れない「寒暖差疲労」に要注意

寒かったり暖かったり…疲れが取れない「寒暖差疲労」に要注意
12/19(火) 日刊ゲンダイ

気温の変動が大きい。
グッと冷え込んだかと思ったら、12月とは思えぬ暖かい日もある。
こういう時に注意したいのが「寒暖差疲労」だ。

寒暖差疲労外来を開く「せたがや内科・神経内科クリニック」の久手堅司院長に聞いた。
 まずは、久手堅院長による「寒暖差疲労チェックシート」(表)を見てほしい。

1つでも該当するようなら、寒暖差疲労を起こしやすいと考えた方がいい。
「寒暖差疲労とは、寒い・暑いの気温差が大きい時に生じる不調を総じて指しています。
前日との気温差、朝夜と日中の気温差、室内外の気温差などが7度以上ある場合に起こりやすい」(久手堅院長=以下同)

 人間は、体温を36〜37度に保つ必要がある。
そのため、気温の変化に対して自律神経が働き、体内を一定の状況にしようとする。
「寒くなると体温が下がりますが、下がり過ぎると生命維持が難しくなり体に悪影響を与える。そこで末梢での血管が収縮し、熱を体から逃がさないようにします。
一方で、体温が上がり過ぎるのも、体には悪影響。高温の状態が続くと細胞へのダメージが大きくなるからです。
今度は末梢血管が拡張し、皮膚で熱交換を行います。これで不十分であれば、汗をかいて、その気化熱で体温を下げます」

 寒暖差への対応は、常に行われているが、寒暖差が7度以上になると、体温調整に使われるエネルギー消費が大きくなり、不調が出やすくなる。

「今年は秋になっても夏日を思わせる日が続き、ところが一転して急激に寒くなった。
それが続けばまだいいのですが、11月、12月だというのに、気温が高くなる日がある。
すると、自律神経が働いて体内を一定の状況にするのにエネルギーをたくさん使い、疲労が蓄積するのです。
寒暖差疲労という名前の通り、8割くらいが全身倦怠感を訴えます。
そこに、自律神経の不調による冷え、頭痛、腹痛、胃腸障害、首こり、肩こり、めまい、月経痛、イライラや不安など、さまざまな症状が加わる」

■放置すると不調が慢性化する
 現代人は、寒暖差疲労を起こしやすい状況にあるという。
スマホやパソコンの長時間使用が原因だ。
「スマホは画面が小さく、うつむき姿勢を取りがち。
人間の頭は4〜6キロと重く、長時間のうつむき姿勢によって姿勢が悪くなり、骨格が歪みます。
自律神経は脳と脊髄から始まり、各臓器や器官に分布していく神経で、骨格が歪むと、自律神経の自然な伝達ルートが妨げられてしまいます。
結果、自律神経の働きが悪くなり、気温の変化にもうまく対応できなくなってしまうのです」 

 エアコンが効いて温度が一定に保たれた部屋で一日の大半を過ごすのも、寒暖差疲労の起こしやすさにつながる。
気温の変化への対応力の低下につながるからだ。

「寒暖差疲労があっても、命に関わることはありません。
しかし、疲労や不調が慢性化してしまう。当外来には、そういった患者さんがたくさん来ています」
 ひどい症状の人には漢方薬などを勧めるが、寒暖差疲労対策の基本は生活習慣の改善だ。
久手堅院長も実践しているという。

「スマホやパソコンの長時間使用は避ける。
私は1時間くらいパソコンで仕事をしたら、伸びをしたりストレッチをしたり、椅子から立ち上がって少し歩いたりします」

 冬の寒暖差疲労対策では、体を冷やすものを取り過ぎないようにする。
「生野菜をサラダで食べるよりは、火を通した調理法が望ましい。
アイスよりホットにし、体を冷やすアルコールやカフェインは控えめにする」

 寒暖差疲労であっても、通常の疲労と同様、その解消に睡眠の質が大きく関係していることは変わらない。
「私はベッドから手の届く範囲にはスマホを置かないようにしています。
スマホのブルーライトは睡眠の質を低下させる。
『時計代わりにしているから』と言う患者さんがよくいるんですが、スマホではなく目覚まし時計に。
それだけでも随分と睡眠の質が変わります」

 入浴をして体をゆっくり温める。
ただし、寝る90分前には入浴を済ませよう。
入浴で高まった交感神経が、副交感神経に切り替わるまでそれくらい時間がかかる。
自然と眠りのスイッチが入る。
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2023年12月21日

「国民支援は蔑ろ」ウクライナに6500億円追加支援表明にネット民の不満爆発「他国支援する余裕あるのか?」

「国民支援は蔑ろ」ウクライナに6500億円追加支援表明にネット民の不満爆発「他国支援する余裕あるのか?」
12/20(水)  女性自身

12月19日、先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議がオンラインで開催された。
議長を務めた鈴木俊一財務相(70)は会議終了後、日本政府として総額45億ドル(約6500億円)のウクライナへの追加支援を行う用意があると表明。
支援の財源は2023年度補正予算や24年度予算から捻出する考えで、鈴木氏は記者団に対し「国際社会の中で貢献ができたのではないか」と振り返った。

安倍晋三元首相の時代から、フィリピンに5年間で1兆円規模の支援実施を決めるなど、国外への経済支援は数多く実施されてきたが、岸田政権に対しては「海外で資金をばらまいている」という批判が特に目立つ。
財務省の4月の発表によると日本の’22年のODA実績は、円安で目減りしたものの円ベースでは前年比18.7%増の2兆2,968億円と、米独に次いで3位となっている。

「岸田政権になって以降、経済支援が活発になっているのは事実です。
背景には、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、世界的な食料・エネルギー価格の高騰など支援する理由が増えたこともあります。
国際情勢が安定することは日本にとっても国益となる上に、国際社会での日本の立場を考えれば必要なものではあるでしょう。
とはいえ、物価の高騰や実質賃金が18カ月連続で低下するなど、庶民の生活は厳しさを増しています。
租税負担率と社会保障負担率を合計した “国民負担率”は約5割にのぼり、働いても税金や社会保険料で可処分所得が増えない。
さらにショボい所得減税政策を打ち出したと思ったら鈴木財務相が”財源はない”と言い出し、トドメは自民党の巨額のウラ金問題。

海外への支援は必要ですが、あまりにも国民生活が軽視されている現状で、不満が加速するのは避けられないでしょう」(経済部記者)
SNS上では、海外への支援金に対する怨嗟の声が溢れている。
《ホントいい加減にしろよ。納税してる自国民が苦しくなっているのに、他国支援する余裕あるのか?》
《国民支援は蔑ろにして更に増税、海外支援は積極的にバラマキ大盤振る舞い。こんな馬鹿げた政治、さっさと終わらせないと暮らしが立ち行かなくなる》
《岸田内閣と自民党を支持してる16〜7%の人たちで支援しろよ ふざけんなクソ自民》
《貧乏国なのに金持ちヅラして、ふざけるな、です》
《今の日本政府に金の使い道を決めて欲しく無い。出来る事なら納税すらしたくないよ》
《日本国民から取り上げて海外にはバラマキ キックバックでもあるのか》

もはや国民は爆発寸前だ。
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2023年12月22日

「金欠」になったら、まず何をしたらいい?

「金欠」になったら、まず何をしたらいい?
12/20 あるじゃん

先日、こんな質問をいただきました。
「金欠から脱却するためには、まず何をしたらよいでしょうか?」
今回は、この質問にお答えします。

◆金欠だったらどうしたらいいのか?
「一過性」の金欠であればその場しのぎもできますが「慢性的」な金欠から脱却するには抜本的に生活を変える必要もあります。
また、節約すれば何とかなる「軽度」の金欠もあれば、節約だけではどうにもならない「重度」の金欠もあります。
金欠の状況によって打ち手は変わってきます。
そこで以下では、金欠を4つのパターンに分類して「筆者が取り組む」ことをまとめていきます。

▼パターン1:一過性の軽度な金欠(節約で乗り切れる)への対処法
給料日が来れば金欠は解消できます。
けれど、「もう今月はお小遣いが足りない! ピンチ!」というときがあります。
こういうとき、筆者は「自炊する」などして乗り切ります。
お金がなかった学生時代は、彼女とのデートは近場の図書館や公園などへ行き、場所代がかからないばかりを選んでいました。

▼パターン2:一過性の重度な金欠(節約だけでは乗り切れない)への対処法
社会人になりたての頃は「税金の支払い」で不意打ちを食らったことがあります。
税金って、忘れた頃に請求が来るんですよね。
こういうとき、筆者はまず「(1)貯金の取り崩し」を考えます。
貯金を取り崩しても足りない場合は「(2)短期間の追加労働(アルバイトなど)」でまかないます。
追加労働でも足りない場合は「(3)所有物を売って換金する」こと検討します。
それでも足りない場合は最終手段として「(4)家族や友人から借りる」と思います。
順序としては「手元のお金と時間でやりくりする」ことを考えて、どうしても難しい場合は最終手段として「自分のことを信用してくれる人に融通してもらう」ことにします。
はじめから周りを頼ると「借りグセ」をついてしまいそうなので、筆者は避けます。

▼パターン3:慢性的な軽度な金欠(節約で乗り切れる)への対処法
子どもができたり家を買ったりすると、独身やカップルの頃よりも支出が増えます。
この支出は「ずっと続く」ため、一時しのぎだけでは対処しきれません。
こういうとき、筆者は「固定費をカット」して乗り切ります。
筆者が実際に検討していることとしては、以下が挙げられます。

・持ち家を厳選する なるべくタイパ(タイムパフォーマンス)
・コスパの良い家を選びます。
・家族計画を考える 出産のタイミングを家計と照らし合わせて計画します。1人あたり年間で年150万円ほどの費用が必要になると考えます。
・自動車を持たない 公共交通機関の利用で事足りるかどうか検討してみます。年30万〜40万円浮きます。
・保険をカットする 自動車や家を買わなければ、入らなくても済む保険が増えます。筆者は生命保険と火災保険のみ加入しており、月々の負担額は2万円かかりません。
・格安SIMを使う スマートフォンやインターネットは格安業者を選んでいます。
三大キャリアのときは家族で月2万円かかりましたが、いまは月7000円で済んでいます。
固定費をカットしたことで、特別な支出がないかぎり月25万〜30万円あれば悠々自適に暮らせます。

生活費以外の大きな支出は「帰省」と「旅行」くらいでしょうか。
1回あたり10万円ほど。帰省は年2回、旅行はスケジュール次第です。

▼パターン4:慢性的な重度な金欠(節約だけでは乗り切れない)への対処法
一過性の金欠と違って、慢性的な金欠のときは「貯金の取り崩し」や「借り入れ」ではしのげません。
慢性的で重度な金欠を解決する唯一の方法は「継続的な収入を増やす」ことです。
できることとしては、以下のような事柄が挙げられます。

・昇給交渉する 今の勤め先で昇給できないか交渉する(固定給または成果給)。
・副業する 複数の仕事をして、収入源を増やす。
・みんなで働く 働ける家族がいるなら働いてもらう。
・転職を考える 今よりも給料の高い会社を探す。
・資産運用する 株式投資などをして、金融所得を作る。
・技術をみがく 収入アップできる技術や知識をつける。

もっとも即効性がありそうなのは「昇給交渉」と「副業」です。
筆者であれば、小さな会社に勤めているので「こういう企画をやるから、利益が出たら成果給として何割かボーナスを出してください」のような交渉だと話がスムーズに進みます。
会社によっては資格を取得すれば昇進できることもあります。
この場合は、昇進資格を手に入れるために技術や知識を身につけるとよいでしょう。

◆ま と め
要点をまとめると、金欠を乗り切るためにできることは以下のようにまとめることができます。

◯一過性かつ軽度な金欠:一時的な節約
◯一過性かつ重度な金欠:貯金の切り崩し、短期労働、借り入れなど
◯慢性的かつ軽度な金欠:固定費のカット
◯慢性的かつ重度な金欠:継続収入アップ

慢性的かつ重度な金欠は、大きなストレスがかかります。
一過性で軽度なうちに「予防する」のが一番ですから、早め早めに手を打つように心がけましょう。

文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)
18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。
主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。
IQ上位2%のMENSA会員。

あるじゃん(All About マネー)
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先手必勝、「冬季うつ」に負けないための10のヒント

先手必勝、「冬季うつ」に負けないための10のヒント
12/21(木) Forbes JAPAN

どんよりとした寒い日に、ベッドから起き上がろうと思うことすら至難の業に感じるとき、その臨床的定義がわからなくとも、何かがおかしいことは理解できるだろう。
「冬季うつ」とも呼ばれる「季節性感情障害(SAD)」は、単に冬の間に気分が落ち込むというものではなく、身体的な健康から認知能力まですべてに影響するれっきとした精神疾患だ。

SADは季節の変わり目、主に冬の間に症状が現れる周期性のうつ病の一種。
日が短くなり、自然光を浴びる時間が減ることで、体内で作られる神経伝達物質セロトニンが不足し、睡眠に関わるホルモンであるメラトニンが正常に分泌されなくなった結果、体内時計やホルモンバランスがおかしくなって発症する。
若者、女性、高緯度地域に住む人に多いとされ、米国では患者が1000万人を超えるとみられる。

なお、夏にSADを発症する人ははるかに少ないが、皆無ではない。
暑い時期が長期化することで冬季うつと同様の症状が出ることがあり、「夏季うつ」と呼ばれる。
また、冬型SADを、長期休暇や家族サービスへの期待、育児スケジュールの変更などによるストレスが原因で不安や気分の落ち込みに襲われる「ホリデーブルー」と混同してもならない。

SADに伴う抑うつ状態は、日照時間の変化に関連したもので、カレンダー上のイベントに関連したプレッシャーは無関係だ。 SAD対策のカギは、早めに兆候を把握し、秋から冬にかけて先手を打つことだといわれている。

一般的なSADの兆候は次の通り。

・気分の変化や落ち込み
SADの主要な症状は、特定の季節(一般的に秋〜冬)にのみ起こる持続的なもの悲しさ、絶望感、気力の低下で、かんしゃくを起こしやすくなったり落ち着きがなくなったりすることもある。ほとんどの場合、春になると症状は治まる。
・睡眠パターンの変化
いつもより長時間寝たり(過眠)、眠れなくなったり(不眠)することが多い。過眠は冬のSADで特によくみられる。
・体重の変化
食欲の著しい変化も一般的な症状で、炭水化物や脂肪分を多く含む食品に非常に強烈な食欲を感じ、栄養価の偏った食生活になることが頻繁に報告されている。このため、体重増加は避けられない。
・興味の喪失
それまで楽しんでいた活動に興味を失ったり、社会的交流から遠ざかったりする人が多い。
冬眠になぞらえて楽天的に構える人もいるが、SADの場合はより深刻で持続的な社会的ひきこもりに発展しないよう注意が必要だ。
・無気力
だるさ、疲労感、集中力の低下も、SADの典型的な症状。
気力が下がるため集中力、記憶力、決断力に影響が出るという人もいる。

SADに苦しむ全員が毎年これらの症状を経験するわけではない。
こうした症状は非常に多くの人にみられるが、SADと診断されるのは季節的なうつ症状のパターンを繰り返している人のみで、たいてい若年成人期に発症する。

SADの症状は深刻で、生活への影響は大きいが、予防・緩和に役立つ戦略はある。
秋の早い時期から対策を始めれば、予防にもなる。

「冬季うつ」を予防・緩和する10の方法

1. 光療法を試す
光療法は、信頼できる冬型SADの治療法として1980年代から用いられてきた。
日の短くなる時期に、明るい光を浴びることで日照時間不足を補うのが目的だ。
自然光を模倣した照明器具が効果的で、光を1日20〜30分、特に午前中に浴びると気分が改善される。
2. 外に出る
寒くても、日中の明るいうちに屋外で時間を過ごすほうがいい。
曇りの日でも、自然光は気分を上向かせる。
自然を利用した光療法だ。天候が許す限り、1日最低10分は外に出よう。
3. 専門家に相談する
症状が長引いたり悪化したりする場合は、専門医療に頼ろう。
具体的な症状に関する情報や抗うつ薬の入手方法など、患者個人に適した助言や薬・治療法の提案を受けられる。
4. 1日の生活リズムを確立する
睡眠、食事、活動など、規則的なスケジュールを立てることで環境が整い、安心感が得られて気分が上向く。
生活にリズムが生まれると自分でコントロールできることが増えるため、ストレスをため込みにくくなる。
5. 定期的に運動する
体を動かすと、気分の高揚や幸福感をもたらす神経伝達物質エンドルフィンが分泌され、憂鬱な気分が和らぐ。
激しい運動でなくても、毎日散歩するなど簡単なことで効果が得られる。
成人の健康維持には週に2時間半以上の運動が推奨されている。
6. 健康的な食生活を心がける
魚や卵、栄養強化食品など、ビタミンDやオメガ3脂肪酸を多く含む食品には、気分を良くする効果がある。
また、糖分や加工食品の摂取を減らすことも気力の安定に役立つ。
7. セラピーを検討する
セラピストやカウンセラーに相談すると、自分の状況に合った対処法を講じることができる。
心理療法、特に認知行動療法は、いつもと異なる考え方や行動を学べるほか、うつ症状を引き起こす習慣を直すのに役立ち、SAD対策として有益だ。
8. マインドフルネスとリラクゼーション法
瞑想(めいそう)、ヨガ、深呼吸などの実践によりストレスが軽減され、心身の健康が全体的に向上する。
ヨガと瞑想はとりわけセロトニンの分泌を促し、メラトニンを分泌して睡眠覚醒パターンを調整する脳器官である松果体を刺激する優れた方法だ。
9. 現実的な目標を設定する
タスクを分割して管理しやすくし、どんなに些細なことでも達成を祝うことで、自信とやる気を高める。
目標を具体的にすると、達成感を得やすくなる。
10. 社交的になる
寒くて外に出たくないときでも、友人や家族とつながるようにする。
ビデオ通話やテキストメッセージでも、社会的交流を維持すれば孤立感と闘うことができる。

忘れてはならないのは、自分に合った方法を見つけるのが重要だということだ。
さまざまな戦略を組み合わせ、焦らず取り組めば、季節性うつ病の症状はコントロールできる。
SADは気のせいなどではなく、非常に現実的かつ対処可能な精神疾患だ。予防とコントロールに役立つ対策は、意識して行うことで効果を発揮する。
Nicole F. Roberts
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2023年12月23日

「本音」か「建前」かを見破る“シンプルな方法”

「本音」か「建前」かを見破る“シンプルな方法”
12/22(金) ダイヤモンドオンライン

 国家を守るため極限の状況で仕事をする公安警察。
その「禁断の仕事術」を学ぶ全4回シリーズ。最終回は「嘘の見破り方」。
スパイを相手にする公安にとって、相手の話が本当か嘘かを見分けることは生死にかかわるほどの問題だ。
公安部外事課に所属した経歴を持ち、ドラマ『VIVANT』(TBS)の監修を務めた勝丸円覚さんに「嘘を見抜く観察術」を解説してもらった。(セキュリティコンサルタント 勝丸円覚)

● 「顔を触る人は何かを隠している」 は本当なのか?
 前回は、公安警察の腕の見せ所である「人脈構築法」について「信頼」できる人についてお伝えしました。
公安時代は、人と関係を築くことができた後も、その人が本当は自分のことをどう思っているのか、いつか裏切るのではないかといった懸念は常にありました。
そんな私の経験から仕事上の対人関係で活かすことができる「本音を見抜く見破り方」についてお話していきたいと思います。

 相手が本音を話しているか、それとも建前や嘘を話しているのか。見分ける方法の一つに、プロファイリングがあります。相手の言動から相手の心理や人格を読み取って、事件の解決につなげたり、最近ではビジネスの文脈でも顧客の分析に使われたりしているのをご存じの方もいるでしょう。

 プロファイリングと聞いて皆さんはどんなイメージを持たれますか。
「ある特徴に当てはまる人間はこういう行動を取る」といったパターンをひたすら詰め込まれるといった想像をされる方もいるかも知れません。
しかし、私が実際に受けた講習で話されるプロファイリングは、市販の心理学の本に書かれている程度のものです。
 例えば、「赤色が好きな人は金銭に強い執着がある」とか「顔を触る人は何かを隠そうとしている傾向がある」など、みなさんも聞かれたことがあるようなことばかりです。
なので、講習で教えることは一般論であって、それに囚われてはいけないと言われていました。
「必ず総合的に判断しないさい」と。

 実習も特になく、講習で学んだことを現場に出て、実践を重ねることで身に着けるしかありませんでした。
経験値がものを言う世界でもありながら、最後にものをいうのがセンス。
たとえば、車の運転のセンスがない人がある程度までしか上手くならないのと同じように、尾行も盗聴、秘匿撮影といった公安の任務もセンスを要求される場面が少なからずありました。

 プロファイリングの仕方も知識量や記憶力といった要素は大きく影響するものの、それを極められるかどうかは感覚的に向いているかどうかといった観点が非常に重要でした。
したがって、得手不得手を早く見極めて、向いていないものは極めることは早々に諦めて、向いているものを極めることが求められました。
ちなみに私は秘匿撮影と運転が苦手で、尾行が得意でした。  センスや感覚といった話だと、FBIの超能力捜査官などもそうです。
アメリカの世界に冠たる超一流捜査機関が、こうした非科学的な捜査を取り入れていることに驚かれる人もいますが、こうした柔軟性は日本の警察にはありません。
もちろんFBIが科学的でないわけではなく、プロファイリングに関する博士号を持った専門家が職員として勤務しています。日本も鑑識などの科学的な捜査では、FBIに引けを取りません。
しかし、科学だけに偏重せず、超能力といった非科学的な手法も取り入れるバランスの良さもFBIのすごいところです。
日本の警察がイタコを使っているようなもので、そんなこと許されそうもないですね。

● 目の前の相手を観察するだけでは 本音は決して見抜けない
 先ほど、プロファイリングといっても、最後は「総合的な判断」と言いました。
やはり人間の本音を探るには、言動も大事ですが、いま目の前にいる人に前回会ったときと違う点はないかを探すことが最も重要です。  
 私は人に会う際にその人の「変化」を見つけようと常に気張ってます。協力者に会うときもそうです。
「いつもと違う髪型だ」とか「普段着ない色やシルエットの服を着てる」といった。わかりやすい「見た目」の変化だけでなく、「いつもは対面で座るのに、今回はあえて隣に座るカウンター席を選ぶ」とかがあれば、「今日はこの場面を誰かに見せて録画をしたいのか」などと私は警戒します。
いつもと違う「行動」を取ったら、その変化を絶対に見逃してはいけません。

 「今日はやけに周りを気にしている」という変化を感じたら、「私に協力していることがバレた」とか「警察官と名乗っていない私を警察官だと疑い始めた」とか「彼がなにかのトラブルに巻き込まれるんじゃないか」と勘ぐっているんだろうなと推察します。
 現場での違和感がプロファイリングのほとんどなので、実際は心理学の知識なんて半分も役に立ちません。
「顔を触る癖があると何かを隠している」「貧乏ゆすりは焦っている証拠」などは参考程度です。
「個人の癖」にすぎないケースもよくあるからです。
 普段は顔を触らない人が顔を触り出したら何かを隠していることを疑うべきですし、いつもは行儀よく座っている人が貧乏ゆすりをしていたら焦りや不安を感じているのかもしれません。
繰り返しますが、大事なのは「変化」なのです。

 だから、プロファイリングで相手が本音で話しているか、建前や嘘を話しているのかを判断するにはセンスが必要なのです。
変化は一瞬で判別できるものではなく、違和感から始まります。
つまり、小さな変化に違和感を抱くことができる視覚的なセンスがない人には難しい。
たとえば、身近な人が髪を切ったときに気がづかない人は諦めたほうがいいでしょう。

 一般の人がここまでやるかどうかは別として、「いつもと違う」ということを察知するためには、それぞれの人ごとに気になった点をメモすることもできます。
特に1回目、2回目ぐらいの情報は、比較の基準となるため重要です。
ただし、最初は相手が緊張していたりするから、2回目あたりの信憑性はかなり高いです。
私が公安のときも1、2回目がその後の異変を察知する基準になることが多かったです。
 私にとって、変化を見つける材料集めは職業病のようなもの。
こうして取材を受けている間も、ここにいる人たちの特徴を頭の中に記憶しています。
現役ではないので、家に帰ってメモしたりはしませんけどね。

勝丸円覚 
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2023年12月24日

第2次大戦中の日本は、なぜもっと早く降伏しなかったのか?…日本人を「大量虐殺」した当時の日本の戦争犯罪者

第2次大戦中の日本は、なぜもっと早く降伏しなかったのか?…日本人を「大量虐殺」した当時の日本の戦争犯罪者
12/23(土)  現代ビジネス

 21世紀の現代の善と悪の原点こそ、フォン・ノイマンである。
 「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」
 彼は、理想に邁進するためには、いかなる犠牲もやむを得ないと「人間性」を切り捨てた。

 『フォン・ノイマンの哲学
 人間のフリをした悪魔』では、「コンピュータの父」「マッド・サイエンティストの代表」と称される天才・フォン・ノイマンが、いかに世界を認識し、どんな奇抜な人生を送ったのかが明かされている。
 ※本記事は高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』から抜粋・編集したものです。

もはや正気を失っていた日本
 第二次世界大戦でいくら考えても理解に苦しむのは、なぜ日本がもっと早く降伏しなかったのかということである。
 そもそも日本が中国と東南アジアに侵出し、アメリカとの開戦にまで踏み切った戦略の背景には、当初は破竹の勢いでフランスまで手中に収めたドイツが、イギリスも占領し、いずれはヨーロッパ全域を制覇するに違いないという大局観があった。

 軍事戦略的な基盤は、何といっても1940年に調印した「日独伊三国同盟」にあったのである。
 ところが、同盟国のイタリアは1943年9月に早々と降伏し、頼みの綱だったドイツも、1944年6月の連合軍によるノルマンディ上陸以降は敗色が濃厚になっている。
 1945年4月30日にヒトラーが自殺し、5月7日にドイツが降伏した。
この時点で枢軸国の日本が勝つ可能性は完全に消滅したのだから、速やかに降伏の道を探るべきだった。

 ところが、日本の大本営は、アメリカ合衆国・英国連邦(イギリス・カナダ・オーストラリアなど)・ソビエト連邦を含めて、ほぼ全世界に拡がる連合国を相手に、たった一国で「本土決戦」を決定した。
背後でソ連に講和の仲介を依頼する動きがあったとはいえ、もはや正気を失っていたのである。
 大本営は「国体護持」や「講和を有利にする」ための抗戦だと位置付けたが、結果的には、被害を大幅に拡大させたにすぎない。
 この頃になると、当初は非常時出撃だった「特攻」が日常的な出来事になり、補給もなく前線に取り残された兵士たちは「天皇陛下万歳」と叫びながら敵陣に突っ込む「バンザイ突撃」を繰り返した。
 アメリカは、これを「狂信的な兵士」による「理解不可能な自殺行為」とみなしたが、日本人兵士が降伏しなかった最大の理由は、東條英機が示達した「戦陣訓」の一節「生きて虜囚の辱を受けず」という「命令」にあったのである。

 兵士に限らず、降伏すれば辱めを受けて殺されると洗脳されていた民間の日本人女子は、4月にアメリカ軍が沖縄本島に上陸してくると、次々と断崖絶壁から海に身を投じた。

原子爆弾「東京ジョー」
 7月16日の「核実験成功」のニュースは、外国通信社が配信している。
日本の大本営も情報を得ていたし、物理学者の湯川秀樹は広島が投下目標であることまで知っていて、友人に広島を離れるように伝えたという証言もある。
それでも日本の指導者層は、無条件降伏を考えようとしなかった。

 8月6日、広島にウラニウム型原子爆弾、9日には長崎にプルトニウム型原子爆弾が投下された。
1発だけでは、それしかないと日本が判断して抗戦を続けるから、2発にしたというのが定説である。
科学的見地からは、2種類の原材料による爆弾の威力を試したかったという理由もあった。
 最終的に「本土決戦」に至らなかったのは、昭和天皇が日本人として最後の理性を振り絞って、あくまで「ポツダム宣言を受諾」し、「無条件降伏する」という強い意志を表明したためである。
 もし「本土決戦」になっていたら、国民は、1945年4月に大本営が発行した『国民抗戦必携』に従わなければならなかった。
 「敵が上陸してきたら国民はその土地を守って積極的に敵陣に挺身切込みを敢行し、敵兵と激闘し、これを殺し、また兵器弾薬に放火したり、破壊して軍の作戦に協力しなければならない」という狂気の「抗戦命令」である。

 この『国民抗戦必携』には、「白兵戦の場合は竹槍で敵兵の腹部を狙って一突きに」とか、「背の高いヤンキーと戦うには、刀や槍をあちこちにふりまわしてはならない。腹をねらって、まっすぐに突き刺せ。
ナタ、カマ、熊手などをつかうときは、うしろから攻撃せよ」などの殺害方法が解説されている。

 実際には、もし日本が降伏しなければ、8月19日に「東京ジョー」と名付けられたプルトニウム型原子爆弾を東京に投下する予定があった。
それでも日本が抗戦を続けたら、札幌から佐世保まで、全国12の都市へ順番に原爆を投下する計画もあった。
 大本営の「抗戦命令」が、どれほど時代錯誤で非科学的な妄想だったか、よくわかるだろう。

兵士の多くは「餓死」で亡くなった
 1977年、当時の厚生省が計算した太平洋戦争の犠牲者数は、310万人である。
そのうち「軍人・軍属・准軍属」の戦没者は230万人、外地で戦没した日本人は30万人、内地での戦災犠牲者は50万人となっている。
 陸軍省は「草や根を食べ、野原に寝ようとも、日本陸軍は、国体を護持する『聖戦』を戦い抜かねばならない。
また、永遠の生命は死中に求めねばならない。
断固とした戦いこそが、絶望的な状態から脱出する道を見いだすであろう」と兵士を洗脳した。
食料や物資はすべて現地調達という作戦である。

 その結果、230万人の戦没兵士のうち120万〜140万人が、栄養失調に起因するマラリアや赤痢などの病死を含めた広義の「餓死」で亡くなった。
彼らは、野ネズミやヘビやコウモリまで食べるという悲惨な状況で亡くなったのである。
 つまり、戦没兵士の60%以上は、補給をまったく考慮しない大本営の無謀な作戦によって殺害された。
ナチス・ドイツはユダヤ人を「大量虐殺」したが、当時の日本の戦争犯罪者は、日本人を「大量虐殺」したのである。

 しかも、戦没者の大多数は、戦争末期に集中している。
もし日本がもっと早く降伏していれば、多くの「餓死」は防げたし、アメリカは原爆を投下できなかっただろう。

ラッセルが主張した「予防戦争」
 改めて振り返ると、「マンハッタン計画」は、約3年間に総計22億ドルの経費で、ピーク時には12万人の科学者・技術者・労働者をつぎ込んで、原爆を完成させた。
この計画に関わったノーベル賞受賞者だけで、21人にもなる。
 責任者のレズリー・グローヴス少将は、ソ連が同じような計画で原爆を開発するには、15年から20年が必要だと考えていた。
つまり彼は、1960年代までは、アメリカが優位に世界を攻略できるとみなしていたわけである。
 ソ連は、第二次大戦で最も多くの犠牲者を出した。
国家は疲弊し、とても新たな戦争に突入する余裕はないはずである。
そこで生じたのが、アメリカだけが原爆を保有している間に、ソ連に「予防戦争」を仕掛けるべきだという強硬な意見だった。

 一般に「予防戦争」とは、潜在敵国が将来、自国を侵略する機会を「予防」するために、機先を制して潜在敵国に戦争を仕掛けることを意味する。
自国が戦力的・時期的に有利な間に、進んで先制攻撃すべきだという考え方である。
 第二次大戦が終結したばかりの1945年10月、ソ連に対して「予防戦争」を実行すべきだと正式に表明したのは、驚くべきことに、後に「核廃絶」を主張するようになるイギリスの哲学者バートランド・ラッセルだった。
 ラッセルによれば、終戦後に設立された「国際連合」のような緩い機関では、とても将来の世界平和を保障できない。
彼は、連合国が民主的な「世界政府」を樹立し、そこにソ連の加盟を要求するべきだと提案した。
 共産党による一党独裁政権の頂点に立ち、恐怖政治でソ連を支配するヨシフ・スターリンが、そんな要求に応じるはずがない。
そこで、その拒絶を「開戦の理由」にして「正当な戦争」に踏み込めばよいというのが、ラッセルの主張だった。

 ラッセルは、1948年5月には、次のように述べている。  
「ヨーロッパがソ連に侵略されると、被害は甚大であり、仮にその地を取り返したとしても、決して元の状態に戻すことはできないだろう。
知識人は、北東シベリアか白海沿岸の強制収容所に送られ、過酷な環境で大多数は死亡し、生き残った人間がいても、もはや人間性を失った動物にすぎなくなるだろう(ポーランドの知識人がソ連に何をされたか、思い起こしてほしい)」

明日爆撃するなら、なぜ今日ではないの
 当時のソ連は、アメリカ・イギリス・フランスの度重なる要求を無視して、ドイツ占領中のソ連軍を撤退させなかった。1949年、ドイツは東ドイツと西ドイツという2つの「分断国家」に引き裂かれ、首都ベルリンも東西に分割された。
その後、西側への市民の流出を防ぐために東側が張り巡らせた「ベルリンの壁」は、「東西冷戦」の象徴となった。

 1950年6月25日、ドイツと同じように分断された朝鮮半島の北朝鮮が、突然、韓国に侵攻し、朝鮮戦争が勃発した。
その背後に存在するのは、もちろんアメリカとソ連の二大強国である。
朝鮮戦争は第三次世界大戦に繫がり、ひいては核戦争が勃発するのではないかと、世界は震撼した。
 ちょうどこの時期に、ジャーナリストのクレイ・ブレアがノイマンにインタビューした貴重な記事がある。

 ノイマンは、ラッセルとまったく同じ論法で「一刻も早く世界政府を樹立すべきですが、ソ連の共産主義が世界の半分を支配している限り、それは不可能です。
したがって、予防戦争をすることは理にかなっているのです」と冷静に答えている。
 さらにノイマンは、「ソ連を攻撃すべきか否かは、もはや問題ではありません。
問題は、いつ攻撃するか、ということです」と主張し、「明日爆撃すると言うなら、なぜ今日ではないのかと私は言いたい!  今日の5時に攻撃すると言うなら、なぜ1時にしないのかと私は言いたい!」と述べたという。

 このインタビュー記事によって、ノイマンは「マッド・サイエンティスト」の代表とみなされるようになった。
スタンリー・キューブリック監督の風刺映画『博士の異常な愛情』は、この発言のノイマンをモデルに「ストレンジラブ博士」を生み出したわけである。

知られざるフックス事件
 1948年、ノイマンの生まれ故郷ハンガリーでは、共産党を母体とするハンガリー勤労者党が一党独裁政権を樹立した。  最高権力者になったのは、スターリンを崇拝するマーチャーシュ・ラーコシ共産党書記長である。
その翌年には、ソ連が主導する「経済相互援助会議(COMECON)」に加盟し、ハンガリーは完全にソ連の「属国」になってしまった。
 この状況が、ノイマンのソ連に対する「憎悪」に繫がったと書いてあるノイマンの伝記や解説書が多いのだが、実はそれよりも遥かに重大な理由があったと考えられる。  

1949年8月、ソ連がセミパラチンスク核実験場で、核実験に成功したというニュースが、世界を驚愕させた。
なぜアメリカの軍部の予想より10年も早く成功できたのか。
 実は、ソ連は、何も「マンハッタン計画」と同じようにゼロから原爆を開発する必要はなく、その出来上がりの情報だけを入手すればよかったからである。
 1950年1月27日、アメリカの原爆情報をソ連に流していた物理学者クラウス・フックスが、イギリスで逮捕された。
この時点で、彼は、イギリスの原子力開発を極秘任務とするハーウェル原子力研究所所長にまで昇りつめていた。

ノイマンの隣にいたスパイ
 フックスは、1911年にドイツで生まれた。
父親が神学部の教授を務めるライプツィヒ大学に進学し、21歳で共産党に入党した。
ところが、その翌1933年、ナチス党がドイツ国会議事堂の放火は共産党員によるものだと弾圧を始めたため、彼は、共産党員の身分を隠すようになった。
 その後、イギリスに留学したフックスは、ブリストル大学大学院で物理学の博士号を取得、さらにエディンバラ大学大学院でマックス・ボルンの助手を務めながら原子核物理学の博士号も取得するという、非常な優秀さを示している。
 1943年にアメリカに渡り、コロンビア大学研究員として「爆縮」を理論化し、そこで「マンハッタン計画」に関わるようになった。
翌年にはロスアラモスに移住し、ハンス・ベーテの下で原爆開発の中枢に関わる任務に就いた。

 彼は、無口だが陽気で、周囲からの評判はよかった。
エドワード・テラーは、「フックスは好人物だった。親切で、有能で、いろいろな仕事にも気配りができたので、ロスアラモスでは人気者だった」と述べている。
 原爆製造が完了した後、ロスアラモス国立研究所では、その特殊技術に関連して、将来の特許取得が見込まれるあらゆる発明について、その詳細を「発明開示書(Disclosure of Invention)」と呼ばれる機密書類にリストアップした。
 この書類を作成するためには、原爆製造に関連する主要分野に精通し、発明の内容を精密に分析できる人物が必要である。そして、その執筆者として選ばれたのが、ノイマンとフックスの二人だった! 
 つまり、フックスは、多くの研究者と共に原爆を製造し、その過程で生じた数えきれないほどの発明の詳細をノイマンと一緒に話し合って、共著で機密書類をまとめた人物である。
そのフックスが、実はソ連のスパイだったわけである。

フックスが世界に与えた影響
 この事件が、どれほど大きなショックをノイマンに与えたのか、触れた文献は見当たらない。
 しかし、それまでの順風満帆な人生で、その種の「信じ難い裏切り」を経験したことのないノイマンは、底知れぬ「恐怖」を感じたのではないだろうか。
そして、彼の「憎悪」が、フックスの背後に存在する「ソ連」に向けられたのではないだろうか。

 1950年3月1日、フックスの裁判が、ロンドン中央刑事裁判所で開始された。
フックスは、自分の罪状を全面的に認め、1943年から47年にかけて、4回にわたり、ソ連に機密情報を漏洩したことを自白した。
その中で最も重要な機密情報が、ノイマンと共著の「発明開示書」だった。
 このスパイ活動によってフックスがソ連から得た報酬は、400ドル余りの経費にすぎない。
彼は「筋金入りの共産主義者」であり、そうすることが人類のために「正しい」という信念に基づいて、ソ連に情報を流したのである。

 もしフックスの裁判がアメリカで行われていたら、国家反逆罪で死刑になったかもしれない。
しかし、イギリスの裁判では、禁錮14年が最高刑だった。
その裏には、司法取引や国家間取引があったのではないかともいわれている。
 フックスは、最高刑の判決を受けたにもかかわらず、9年間の刑に服した後、1959年に東ドイツに引き渡された。
東側では、彼は英雄として迎えられ、「カール・マルクス勲章」を授与された。
その後、ドレスデン工科大学教授に就任し、中華人民共和国の留学生たちに原爆製造方法を教えた。
そのおかげで、中国も早期に核兵器を開発できたという。  彼は、1988年に亡くなった。

        高橋 昌一郎
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2023年12月25日

日本人は「国民負担」の増加にもっと怒っていい、税収増加で財政規律が弛緩している

日本人は「国民負担」の増加にもっと怒っていい、税収増加で財政規律が弛緩している
12/24(日) 東洋経済オンライン

税収の増加が顕著だ。
最近はインフレによる効果が強い。
この結果、財政規律が弛緩し、必要性の疑わしい施策が行われている。
本来は、将来の高齢化社会に備えた財政運営が不可欠だ。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。
野口悠紀雄氏による連載第110回。

■数年間の税収の増加が顕著
 2024年度の税制改正では、所得税の減税が行われる。
これは、妥当性について多くの疑念が提起された政策だ。
それにもかかわらず減税が行われるのは、この数年間の税収の増加が顕著という背景があるからだろう。

 財務省の資料(税収に関する資料、一般会計税収の推移)によれば、2023年度の一般会計税収額(補正後予算額)は69.6兆円だ(注1)。
2022年度、2021年度(決算額)は、71.1兆円と67.0兆円であり、それまで数年間には50兆円台、多くても60.8兆円(2020年度)であったのに比べると、大きく増加している。

 一般会計税収のこれまでの推移を見ると、1990年度から2005年度ごろまでは増減を繰り返していたが、全体として減少気味だった。
 ところが、2009年度に38.7兆円のボトムとなり、その後は増加に転じた。
2014年度には消費税の増税が行われ、税収が一挙に増えた。
2016年度以降は、消費税に加え、所得税、法人税も順調に伸びた。
これは、この当時の経済が、順調に成長していたからだ。
 2019年度には、所得税収や法人税収も落ち込んだ。
しかし、2020年度には、税収は増加に転じている。
そして、その後、冒頭で述べたような顕著な税収増となったのだ。
 2021年後半からは物価が上昇したので、この影響と思われる。
所得税は累進税率になっているので、名目所得が増えれば、名目成長率以上に税収が増える。
消費税は比例税だが、名目消費額が増大したため、税収が増加したと考えられる。

■国民負担率が5割近くに上昇
 この結果、国民負担率が上昇している。
ここで、国民負担率とは、国税や地方税の租税負担と年金や健康保険の保険料などの社会保障負担の合計を、国民所得で割った数字だ。
 財務省の資料によると、財務省の国民負担率の推移によると、昭和50年度の国民負担率は25.7%だった。
その後上昇して平成2年度には38.4%になった。
その後若干低下したが、平成21年頃からは増加の一途をたどっている。
そして、2023年度の国民負担率は46.8%になる見通しだ。

 国民負担率が上昇する主要な原因は、これまでは、社会保障負担の増加だった。
国民負担率と社会保障制度が密接に関連していることは、国際比較からも確かめられる。
 財務省の資料によると、2020年度の国民負担率は次のとおりだ(財務省、国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国))。 ・アメリカ 32.3% ・イギリス 46.0% ・ドイツ 54.0% ・フランス 69.9% ・スウェーデン 54.5%  日本の数字は、ヨーロッパ諸国と比べれば低いが、アメリカよりは大分高い。

 アメリカの国民負担率が低い大きな原因は、公的な医療保険制度がなく、医療保険は民間のものだけであることだ。
したがって、国民負担率が低い半面で、医療費の自己負担が高額だ。
 その半面で、スウェーデンとフィンランドの国民負担率はかなり高くなっている。
それは、福祉サービスが充実していることの反映だ。

 日本の場合にも、国民負担率が上がったのは、社会保障費の影響が大きい。
今後、高齢化社会はさらに進行する。
2025年には団塊世代が75歳以上となり、高齢化率はますます高まる。
高齢者を支える現役世代の人口が減少するため、増税や社会保険料の値上げが必要になるだろう。
これは、先のような自然増ではとても賄えない。

 以上のように困難な状況が将来に予想されるにもかかわらず、実際の予算では、バラマキが行われている。
国債を含めた潜在的国民負担率を財務省が計算している(財務省、国民負担率(対国民所得比)の推移)。
これでみると、2022年度は61.1%、2023年度は53.9%であり、日本はすでにヨーロッパ並みだ。
 このように、税収増にもかかわらず、国債を増やした。コロナが異常な事態であったために、異常な財政支出が容認されてしまった面がある。
しかし、定額給付金や雇用調整助成金の特例措置などが本当に必要だったのか、それがどのような効果をもたらしたかの検証が必要だ。

 2023年補正予算でも、必要性の疑わしいバラマキ的施策が行われている。
基金がいくつも設立されているが、これらは、税収が順調なうちに、とりあえず支出権を確保しようとする動きのようにも見える。
税収が増えているために、財政規律が弛緩している可能性がある。

■公平な税制確立の必要性
 必要なことは、支出の見直しだけではない。
税制の見直しも、不可欠の課題だ。
本来であれば、 インフレが生じたときに自動増税が生じないように、税率をどう調整すべきかが、考えられなければならない。
とくに所得税率は累進制なので、これが重要だ。

 所得税減税をするのであれば、それに先だって、この点に関して十分な検討が必要だった。
実際に行われる定額減税は、あまりに粗雑な考えに基づくものといわざるをえない。
 負担率が高まれば、公平の確保は極めて重要だ。

 現在の日本でとくに問題なのは、資産所得と 政治資金に対する課税だ。
いずれも、社会的な強者が、不当に優遇されている。
 いま、パーティー収入のキックバックが問題となっている。
この報道に接して、政治資金はなぜ非課税なのかと、多くの国民が怒りを抱いたに違いない。
こうした不公平な制度をそのままにして、負担だけが際限もなく増えていく社会は、絶対に阻止しなければならない。

 野口 悠紀雄 :一橋大学名誉教授
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2023年12月26日

「ファーストクラスに相応しくない」ボロボロな87歳老婆の搭乗を拒否する客室乗務員の残念過ぎる末路

「ファーストクラスに相応しくない」ボロボロな87歳老婆の搭乗を拒否する客室乗務員の残念過ぎる末路
2023.12.25 6746 views

私は87歳の高齢女性。
こう見えても昔はバリバリ働いていましたが、今は30歳の孫とのお出かけを楽しみにする隠居生活を送っています。
そんなとき、1つの目的があって、とある飛行機に搭乗することにしたのですが……。

高飛車な客室乗務員にビックリ.
搭乗券に印刷されていた指定席に案内され、のんびり腰を落ち着けようとしたとき、若い客室乗務員がツカツカ近寄ってきました。
「早速、接客してくれるのかしら」と思っていたら、「席が間違っています。ここはファー.ストクラス。
他の方にご迷惑なのですぐ退席を」と言うのです。

 私は、自分のチケットを確認しました。
しかしやはり割り当てられた席はここ。
番号とローマ字を間違えるほどボケてはいないはずです。
するとその客室乗務員は、高飛車な態度で続けました。
「もしかして、チケットを盗んできたのですか? 」 彼女は、私の着ていた衣服を上から下まで値踏みするようにジロジロ眺めるのです。
……たしかに、新品ではないけれど、ちょっとしたアンティークのコレクションでした。
「若い人には古着にしか見えないのかな……それにしても盗人呼ばわりって……」と、ショックを受けてしまいます。
しまいには、「今すぐ降りないなら警察を呼びますよ!」と声を上げるので、周りもざわつき始めてしまいました。
私は自分の席に座っているだけなのに……。
ビックリしていると、手にしていたバッグが奪い取られ、中身が床に散ってしまったのです.
この騒ぎを聞きつけて、機長まで飛んでくる始末。
「ど、どうされました!?」と慌てている様子に、私は申し訳なくなってしまいました。
例の客室乗務員は、「この人が盗んだチケットを使って、ここに居座ろうとしているんです!」と相変わらず憤慨して機長に訴えたのですが、彼は私を見て目を丸くしました。
「この方は、わが航空会社の大株主だぞ!」 そこで私も思い出したのです。
そういえばこの機長、株主総会で何回か顔を見たことがあったっけ……。

私は客室乗務員に向き直り、静かにこう言いました。
「あなたのおかげで、この会社の内部を詳しく知ることができました。
お客を見た目で判断するような客室乗務員を雇っているのね」

強制降機させられたのは 平謝りする機長と、あっけに取られてぼう然としている客室乗務員。
謝りもしない彼女を前に、私は続けました。
「ファーストクラスに限らず、乗客の皆さんはお金を出して空の旅を楽しみにしているはず。
それなのに、見た目や年齢で人を判断し、犯罪者呼ばわりまでして追い出そうとする乗務員は、不快以外の何物でもありません。
これだけの騒ぎを起こした人物に、万が一のとき命を預けるのも不安だし……」

機長は「今すぐ彼女を降ろします!」と動き出しました。
例の客室乗務員は、機長にそんな権限はない、とわめいていましたが、何しろ他の乗客の皆さんも私に同意。
彼女のぶしつけな態度を証言し批判してくれたので、最終的に強制降機されていきました。

フライトは無事終了
その後、飛行機は無事離陸し、目的地に到着。
フライト中に機長がいろいろ言ってきたけれど、私は沈黙を通しました。
実は、私がこの飛行機に乗ったのは、株を持っているこの航空会社の悪評を孫が教えてくれたからだったのです。
今回、身をもって対応の悪さを体感し、証拠も押さえることができました。
あの高飛車な客室乗務員は、当然ながら即クビに。
さらに私は後日、株主総会で現状を伝え、上層部の指導強化と社員の対応改善を求めました。
その結果、会社は生まれ変わり、業績も上がっている様子。
「あのとき株を手放さなくてよかった」と、孫とも話しています。

−−−−−−−−−−−−−−
外見や服装でお客様を見下し、挙句の果てに犯罪者扱いまでして降ろそうとした客室乗務員。
チケットはちゃんと持っていたのに、何ともひどい話ですよね。
再生したという航空会社には、すばらしい接客サービスを期待したいですね。
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。
ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!

著者:
ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班 ベビーカレンダー/ウーマンカレンダー編集室
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岸田政権が今後、予定しているとみられる"庶民殺し増税"を全国紙厚労省担当記者が指摘

岸田政権が今後、予定しているとみられる"庶民殺し増税"を全国紙厚労省担当記者が指摘
2023年12月25日  日刊大衆

 2023年の年の瀬、政界に激震が走った。
「自民党の清和政策研究会(安倍派)が開いた政治資金パーティをめぐる裏金疑惑について、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の容疑で、捜査を進めています」(政界関係者)
 疑惑を受けて、岸田文雄首相は、すぐさま安倍派に所属する松野博一官房長官ら4閣僚を交代。
後任の官房長官には、岸田派の林芳正前外相が就任した。

 だが、国民は冷ややかな見方をしている。
「毎日新聞が12月16、17日に行った世論調査では、岸田内閣の支持率は前月比5%減の16%、不支持率は同5%増の74%に達しました。
減税や子育て支援政策をアピールする岸田政権ですが、国民にそっぽを向かれています」(前同)

その不信感は、どこから来るのか。
政治ジャーナリストの安積明子氏は、こう言う。
「岸田首相は、支持率アップを狙って、来年6月から、納税者とその扶養家族を対象に、所得税と住民税から定額減税(4万円)を決めました。
しかし、岸田首相は総裁選の頃から財政再建を主張していましたし、防衛費を対GDP比で2%まで増やす分は、誰かが負担しなければなりません。
結局、増税を先送りしているだけだと、国民は見透かしているんです」

 では、今後、どんな“庶民殺し”の負担増が予定されているのだろうか。
「12月7日に開かれた厚労省の専門部会で、高齢者が介護サービスを利用したときの自己負担を増やすことが検討されました。
現在は原則1割ですが、近い将来、2割負担となる対象が拡大する見通しです」(全国紙厚労省担当記者)

 12月5日に開かれた政府の経済財政諮問会議では、年3兆円に上る少子化対策の財源確保のため、医療費にも踏み込んでいる。
「28年度までに、75歳以上の後期高齢者の病院窓口での負担額が、現在の原則1割から2〜3割に引き上げられる予定です」(前同)

 この続きは現在発売中の『週刊大衆』1月8・15日号で。
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2023年12月27日

年末年始、旅行中の留守宅が狙われる! 犯罪者の侵入を防ぐための4原則とは?

年末年始、旅行中の留守宅が狙われる! 犯罪者の侵入を防ぐための4原則とは?
12/25(月) レタスクラブ

年末年始は、長期の旅行をしたり、ゆっくり実家に帰省する方も多いと思います。
そんなとき心配になるのが、留守宅の侵入窃盗被害。
帰宅したら家の中がめちゃめちゃ!では、せっかくの楽しい時間が台なしです。
そこで、パナソニックが行った防犯セミナーに参加して、侵入窃盗事件の特徴や、住宅防犯の注意点、侵入者撃退に効果的なグッズまで、詳しく聞いてきました!

▶お話を聞いたのは 防犯アドバイザー 佐々木成三さん 元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補。
これまで数多くの捜査本部で、被疑者の逮捕・取り調べや捜査関係者からの情報収集、被害者対策、遺族担当に従事し、数多くの実績をあげてきた。
現在、スクールポリス理事として中高生を対象としたデジタル危機管理の指導を行う。

防犯アドバイザー、犯罪予知アナリスト 京師美佳さん
トータル防犯アドバイザーを目指し、セキュリティ企業へ就職。
2002年防犯設備士取得後、防犯ガラスメーカーに勤め、防犯アドバイザーとして、防犯診断や電話での相談受付、セミナーなど、幅広く活動を行う。
2009年、一般社団法人 全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構 理事に就任。

■侵入窃盗事件は戸建て住宅に多い。対策は窓を重点的に
侵入窃盗の手口別件数は空き巣がもっとも多く、全体の約1/3を占めると言われます。
こうした侵入窃盗団に狙われやすいのは、じつは事務所や商店よりも戸建て住宅なのです。
下の「侵入窃盗の発生場所別認知件数(令和4年)」の表を見てください。
一戸建て住宅が33.0%と、もっとも割合が高くなっています。

京師美佳さんはこう言います
「確かに、自分で対策を取らないと、戸建て住宅は犯罪者から狙われやすい。
でも、戸建て住宅には、防犯上のメリットもあります。
共用部分の対策には多数の同意が必要なマンションなどと違い、戸建て住宅は家の周りも家の中も、自分で自由に対策を取ることができるからです。
きっちりと対策さえ取っておけば、むしろマンションよりすぐれたセキュリティ環境をつくることができます」

その際に意識したいのが、「犯罪者が嫌がる4原則」です。その4つとは、
「音」「光」「時間」そして「人の目」。

これらを意識して対策を立て、犯罪者に侵入を諦めさせれば、犯罪を未然に防ぐことができます。

なら、窓をあけると鳴るアラームなどを設置して、大きな音で犯罪者を威嚇します。
は、動きを感知すると点灯するセンサーライトをつけたり、夜でもひと部屋だけ電気をつけて家の中を明るくしておいたりするといいでしょう。
時間は、侵入するまでの時間を稼ぐ、という意味です。
侵入までに5分かかると、侵入者の約7割はあきらめると言われています。
侵入の入り口になりやすい窓に防犯フィルムを貼ったり、補助錠をつけておくだけでも、侵入するのに手間取るため効果的です。
人の目とは、日頃から近所づきあいをよくしておき、近所の人々に不審な人物を通報してもらうのはもちろんのこと、防犯カメラを設置しておくのもよい方法です。
とはいえ、防犯グッズを家のあらゆる場所に設置するのはたいへんです。どこから手をつけたらいいのでしょうか。

「犯罪者の多くは窓から入ってきますから、窓を重点的に対策しましょう。
先ほど挙げた『犯罪者が嫌がる4原則』の中で、もっとも大事なのは『時間』です
なので、窓から入られないよう時間稼ぎをしてください。
ホームセンターに行けば、安価な補助錠や防犯フィルムが売っています。
それらを使って、侵入までになんとか5分以上の時間をかけさせ、犯罪者に侵入をあきらめさせるんです!」

全部の窓に設置するのも、それはそれでたいへんです。
「だったら、犯罪者の目線で家の周りをぐるりと点検してください。
自分が犯罪者なら、どこからこの家に入るか。『ここだ!』というところがあれば、まずはその窓から対策しましょう」

■スマート家電は防犯の強い味方!賢く使いこなそう
一方で、佐々木成三さんはこう提案します。
「犯罪者はどこから侵入できるかをよく見ています。
倉庫の屋根からベランダに飛び移れるな、と思われたら、2階からでも入ってくる。
ですから、まずは進入口をつくらないことです。
次に、スマホなどを介してさまざまな操作が行える『スマート家電』を活用すること。

長期に家を留守にするときは、スマートライトなどを利用して、1日1回、1時間でいいから家の電気をつけてください。
電気をつけたり消したりすることで、犯罪者は『この家は不在じゃないんだ』と考えます。
もちろん、センサーが反応すると録画を始める防犯カメラや、明かりがつく防犯ライトなど、屋外につけるわかりやすいセキュリティ対策グッズも、威嚇になるので有効です」

防犯に役立つスマート家電としては、屋内に設置するタイプの防犯カメラもおすすめ。
なぜなら、屋外に設置するものより、幅広い使い方ができるからです。
たとえば、パナソニックの「屋内HDカメラ」を例にとりましょう。
屋内カメラは、普段はペットや子どもの見守りにも使うことができます。
内蔵マイクを使って留守番中の子どもと会話できるので、急なトラブルが起きたときにも安心です。

旅行中や帰省中は、そのまま防犯カメラとして使えば、スマホやタブレットで自宅の様子を確認できます。
「動作検知」「温度センサー」「音センサー」が反応すると、スマホにお知らせが届くので、侵入者を見逃すこともありません。
「マイクつきの屋内カメラなら、侵入者を発見したとき、ただ見ているだけでなく『おいコラ!警察に通報したぞ!』と声をかけて撃退することも可能です。
私はこうした屋内カメラを実家に設置して、高齢の母の見守りに使っています。
もちろん、プライバシーには配慮して使っていますが、母が電話に出ない、メールも既読にならないときに声をかけることができて、本当に助かりました」(京師美佳さん)

■マンションなら安心?過信が招く危険性
最後に、マンションの防犯対策についてもみておきましょう。
オートロックのマンションなら安心、と考える人は多いですが、佐々木さんは「マンション入り口のオートロックはセキュリティ対策ではない」と断言します。
「居住者が帰宅したとき、もしくはウーバーイーツや宅配の業者が来たとき、一緒に入れば誰でも自然に建物内に侵入できてしまいます。
逆に、『オートロックだから大丈夫』という思い込みが危険を招くんですよ。
油断して、部屋のドアに鍵をかけない人が意外に多い。
実際、高層マンションでは侵入窃盗犯の約半数が無施錠のドアから侵入しています」

京師さんも続けます。 「無施錠はとくに高層階に住む人に多いんですよね。オートロックのマンションを専門にする窃盗団もいるので、無施錠は本当に危険だと知ってほしい。とくに、初めてひとり暮らしをする学生や社会人など、戸締まりの習慣がない人は要注意です。
コンビニに行って帰ってくる、ほんの5分の間に侵入されます」
なかには、マンションの1軒のお宅が犯罪者に侵入され、ベランダ伝いに同じ階の横並びの部屋が全部被害に遭った、という事例もあるとか。

「共用部分には勝手にセキュリティ対策グッズを設置することができず、自分はきっちり戸締まりしても被害に遭うことがあるマンションは、意外にセキュリティの安心度が高くない。
だからこそ、できる対策はしっかり取っておきましょう」

犯罪者は、防犯意識の低い家、さらにその家のもっとも弱い部分を狙って突いてきます。
日頃から犯罪の手口や防犯グッズへの感度を高め、できる範囲で対策を取って、心置きなく楽しい休暇を過ごしましょう!

文=高梨奈々
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2023年12月28日

『ゴジラ−1.0』を大絶賛できない人のために…。違和感の正体

『ゴジラ−1.0』を大絶賛できない人のために…。違和感の正体
木村浩嗣 在スペイン・ジャーナリスト
12/27(水)  YAHOOニュース

スペインでもやっと『ゴジラ−1.0』が公開された。
面白かったが、日本で大絶賛、全米でも大ヒットというニュースで膨れ上がった、期待を満たすほどではなかった。
なぜか?
※以下、ネタバレはありませんが、見ていないと理解できない部分があります。見てから読むことをおススメします。

@説明調、絶叫調のセリフ
「俺は●●なんだー!」式のセリフ。
心情は言葉ではっきりと表現される。
パニックになったり緊迫感が高まるシーンであればあるほど声は大きくなり、絶叫になる。
これは山崎貴監督の演出の特徴なのだそうだ。
何を考えているか何が起こっているかがわかりやすい。
反面、見ている方に想像の余地がない。
カメラが寄ることで無言でも感情表現ができるのが映画なのに、まるで舞台のようだった。
この演出が私には合わなかった。
戦後の軍国青年って口下手かと思っていたが、意外に口が回る。
敗戦と戦勝国の振る舞いに忸怩たる思いの者も多かったはずだが、恨み言は無し。ゴジラという国難の前に「今度は勝つ!」という一種の高揚感が生まれたのだろうけど。

A主人公たちの男女関係
二人が親密になる描写がもっとあっても良かった。
特に女性からのアプローチ不足。
男は自分の戦争に頭が一杯だったから、それを解きほぐす女の行動が見たかった。
共働きで共同生活を経済的に支えるとかだけではない心身のサポート。
それがないと結婚の重要性が見えてこない。
単純な話、初めて一緒に寝たと「思わせる」シーン(「見せる」必要は無い)があれば、全然違った。
そもそも女って、男とはまったく違う戦中を生きてきたはずだ。
戦後になり抑圧から解放された女が男の目を開かせて、それが決死のゴジラ退治のモラルを支えるとかできたはず。
男は不器用だった。
愛する女の前で無口なのは昭和の男の常だが、戦闘シーンや男同士ではあれだけ雄弁なのに女に対してはからっきしダメ。
あと、敵性語だった英語の使用も気になった。

B状況もゴジラも意外に小さい
主人公の周りでしか物語が起きていない印象が残った。
あれだけの大災害なのだから、もっと見知らぬ人たちのドラマがあったはずなのに。
主人公の成長ストーリーなのだからしょうがないのだが、最後になるほど仲間とか同志とかの内輪へと収束していった。
国難なのに私難とか私怨に近くなっていた。

ゴジラの横幅は銀座の大通りにすっぽり収まるサイズ感。
群衆パニックシーンはあれで良かったのかな?
人間って散り散りにならず直線に走るものなのか?
路地に入って身を隠し、敵から見えないところへ逃げるのが、生存本能だと思うが。
実際、横道に逸れて助かっているし。

続く爆発の描写、きのこ雲と黒い雨のシーンが素晴らしかったので、残念。

Cゴジラの残虐性の欠如
いや、数万人レベルで殺しているので、残虐ではある。
だが、それは数字であり映像ではない。
人間を口で噛むシーンは斬新だったが、食べないで放り投げるので、血が出ないし、体も千切れない。
残虐描写が無いのは年齢制限への配慮らしいが、それによって怖さが少し減ってしまったのは残念だ。
ゴジラにとって人間は虫けらだろう。
人間を踏み潰すのはアクシデントなのか、それともわざとやっているのか?
もちろんわざとだろうが、人を喜んで殺す狂気を描写して怖さをボリュームアップする手もあった。

今回のゴジラの目は意外に知的に見えた。
怒る動物であって、それゆえに飛行機を追い掛けたりするわけだが、目に感情がこもり顔に表情がある分、爬虫類の冷血さが薄れた。
何を考えているかわからない薄気味悪さが薄れた。
泳いでいるシーンでは、丸い頭と鼻が突き出たラインが哺乳類のようにも見えた。
ある程度、知的でないと、集中力散漫だと囮には引っ掛からない。
災害には敵意はない。

台風や地震はあなたに何の恨みもない。
が、ゴジラは人間、特に日本人への殺意に満ちている。
となると、ある程度、知的にせざるを得ないが、そうするとゴジラの脅威に型をはめることになる。
人口密集地以外には現れないなどの行動パターンが生まれてしまう。
日本国民全体の脅威ではなくなってしまう。
主人公周辺での脅威になってしまいかねない。
次回作の伏線は、そんな危険な兆候のように見えたのだが……。

※『ゴジラ−1.0』のオフィシャルサイト
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2023年12月29日

自民の"悪しき体質"を問題視

自民の“悪しき体質”に批判次々
2023年12月28日 日刊ゲンダイDIGITAL

 東京・江東区の区長選挙をめぐる公職選挙法違反事件で、東京地検特捜部が28日午前、公選法違反容疑で前法務副大臣、柿沢未途衆院議員(52)を逮捕した。
 柿沢容疑者は、同区長選で木村弥生前区長(58)=辞職=の票の取りまとめのために区議らに現金を配るなどした疑いが持たれている。
 特捜部はこれまでに柿沢容疑者を複数回、任意で事情聴取。
柿沢容疑者は「現金は区議選への陣中見舞いだった」などと、買収の趣旨を否定。
一方、複数の区議は特捜部に区長選の買収の趣旨だったことを認めていた。

 議員側からカネを渡す買収事件で現職の国会議員が逮捕されるのは、2019年の参院選広島選挙区で、地元議員らに現金を配ったとして公選法違反容疑で逮捕、起訴された河井克行元法相(60)と妻の案里元参院議員(50)以来だ。

■買収に使っていたカネは政策活動費だったのか…
「買収目的」か「陣中見舞い」なのかを巡り、識者らの間でも立件の可否について様々な意見が飛び交っていた今回の事件。果たして起訴、有罪に至るのだろうか。
「広島の大規模買収事件でも、河井元法相は『陣中見舞い』などと否定していましたが、地元議員らの証言もあって起訴、有罪となりました。
柿沢容疑者の事件も広島のケースと類似性が高いでしょう。
さらに柿沢容疑者の場合、木村前区長陣営の運動員に対する報酬の支払いなども明らかになっており、特捜部は悪質性が高いと判断したとみられます」(司法記者)

 忘れてならないのは、離党したとはいえ、柿沢容疑者が自民党に所属していたことだ。
《自民党の、しかも法務副大臣が大っぴらにカネを配っていたという異常》
《買収に使っていたのは例の政策活動費とかいうカネだったのでは。やっぱり自民党だよ》
《資金の出どころ。カネの流れ。ついでに自民党の裏金についても明らかにしてほしい》

 SNS上では改めて、政治資金パーティーをめぐる裏金事件でクローズアップされた自民党の悪しき体質を問題視する声が出ている。
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2023年12月30日

じつは多くの人が誤解している…日本人が絶対に知っておくべき「年金」の「嘘と本当」

じつは多くの人が誤解している…日本人が絶対に知っておくべき「年金」の「嘘と本当」
12/29(金) 現代ビジネス

老後の生活には、いくら必要になるのだろうか。
 日本中に激震が走った「老後は2000万円が必要」という金融庁の報告書は、残念なから全くの現実である。
そして若者や現役世代を中心に年金制度そのものに不信感が募っている。
年金の支払額に世代間格差があるのは現前たる事実であり、その財源も20年から30年後には枯渇することが予測されている。
 本記事では、前編〈「老後の生活費2000万円」のためには銀行預金も退職金もあてにならない「衝撃の事実」〉にひきつづき、年金についてくわしくみていく。  ※本記事は島澤諭『年金「最終警告」』から抜粋・編集したものです。また本書は2019年に上梓された本であり、示されているデータや肩書きは当時のものです。

「100年安心プラン」への誤解
 金融庁の報告書が問題視されると、日本の至る所で、政府が言っていた年金の「100年安心」はウソだったのか? という批判が溢れました。
 今回の大騒動の元をたどれば、2004年の公的年金制度改革、いわゆる「100年安心プラン」にまで遡ることができます。

 それまでの公的年金制度では、高齢者が受け取る年金額は、賃金や物価の伸びに合わせて増え、その増えた分だけ現役世代に多く負担してもらう仕組みでした。
こうした仕組みは現役世代の数が右肩上がりに増えている時代には合理的でした。
 なぜなら、高齢者に配る年金が増えてもそれ以上に負担する現役世代が増えるのなら、高齢者の貰える年金額が増え、しかも現役世代の負担は軽くなるWin-Winの関係にあったからです。
 でも、現役世代が減り高齢者が増え続ける時代は違います。
高齢者の年金が増えると現役世代の負担がどんどん重くなります。
この仕組みを維持したままにすれば、現役世代の負担が重くなりすぎて、いずれは公的年金制度を支える肝心要の基盤である現役世代の生活が破壊されてしまいかねません。
負担できる人がいなくなれば給付はできません。年金制度は崩壊です。

 そうならないようにするために、2004年に今後100年間の年金財政の収支動向をにらみながら、現役世代が年金制度を支える力や日本人の平均余命の延びに応じて年金額 を減らす仕組み「マクロ経済スライド」が導入されました。
 マクロ経済スライドの発動は今後不可避です。
実際、2015年4月に初めて発動された後、2度目のマクロ経済スライドが、2019年に発動されました。
政府の資料では、「マクロ経済スライドは年金水準を調整するために行われます」、と書いてありますが、霞が関用語では「調整」とは「削減」を意味します。
したがって、今後年金額の減額は不可避なのです。

 マクロ経済スライドのほかにも、念には念を入れて、5年に一度年金財政の状況を再評 価する「財政検証」という定期健康診断も取り入れられました。
この定期健康診断で年金財政に異常が見つかった場合には、年金財政の健康を回復するために相応の制度改正という手術を行うことにしたのです。
 これまで、2009年、2014年、2019年の3度にわたって財政検証が公表されました。
幸か不幸か、いずれの年も、大規模な手術を行う必要があるとの診断結果は、出されていません。
ただし、この見立てが信用できるのかは専門家の間でも意見が割れています。
 このように2004年の年金制度改革では、少子化、高齢化の進行を考慮して、現役世 代の負担と高齢者への給付のバランスが極端に悪化せずに、年金財政が100年後まで安定するように制度設計がなされました。
そういう意味で「100年安心プラン」と呼ばれているのです。

 この「100年安心プラン」によって、高齢者への年金給付額がまずありきで、それを賄うために現役世代の負担を決めるというこれまでの公的年金制度から、現役世代が無理なく負担できる範囲内で、高齢者への年金支給額を決める仕組みへと180度大転換が果たされたのです。
 しかし、向こう100年間の年金財政の健全性を保つためとはいえ、「100年安心プラン」のもとでは、現役世代が負担できる水準に連動して、高齢世代の給付額が決まることになります。

もし、現役世代の負担限度がどんどん下がっていくと、高齢者が貰える年金額も際限もなく下がっていくことになってしまいます。
 そこで「100年安心プラン」では、一定の年金給付水準を確保するため、その下限を 現役世代の所得の50%と決めました。
年金支給額が現役世代の所得の何割に相当するかを所得代替率と呼びます(※1)。
したがいまして、所得代替率が50%のもとでは、現役世代の平均所得が月40万円であれば年金給付額は40万円×0.5=20万円となります。
 年金給付水準の下限を導入したとはいっても、現役世代の所得水準が下がり続けれ ば、それにあわせて高齢者への年金給付額は下がり続けることになります。
例えば、現役世代の平均所得が月20万円になれば、高齢者の年金額は20万円×0.5=10万円となってしまうのです。  〈「老後の生活費」は夫婦で「7600万円」…年金をもらっても足りない「老後の資金」の真相〉にある世代別の生活費をもう一度思い出してもらうと、高齢者の生活費は平均26万円ほどですので、毎月16万円もの赤字が発生することになってしまいます。
これではとても暮らしていけません。金額が絶対的に足りないからです。

 「100年安心プラン」のもとでは、所得代替率50%を維持することが大きな目標とし て掲げられていますが、50%という数値には、高齢者の生活を考える上では意味はありません。
 確かに、「100年安心プラン」で、公的年金制度の安定性は確保されました。
しかし、その結果、今度は逆に高齢者の年金給付額の安定性が損なわれることになったのです。

裏を返せば、高齢者の年金額を犠牲にして、公的年金制度を100年先まで存続させる道が選ばれたのです。
 残念ながら、国民は誤解していますが、100年安心なのは公的年金制度であって、わ たしたちの年金額ではありません(※2)。
 *  (※1)現行の年金制度では、一定の経済前提のもと、所得代替率が50%を切る事態が予測されれば、抜本的な制度改革が求められるという意味で、所得代替率は重要な意味を持っています。
 (※2)麻生太郎財務大臣は、国会の質疑で、「100年安心」の意味について、年金制度の持続可能性と給付水準両方の「安心」を意味しているかのように、「制度の安心もあるし、年金を貰われる方のかなりの部分が安心できる」と、従来の政府見解と矛盾する形で答弁しています。
したがって、わたしたち一般国民が、「100年安心」の意味を誤解しても仕方のないことかもしれません。

        島澤 諭
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2023年12月31日

へとへとな人を労う日。元日に「してはいけない」2つのこと【年末年始のマナー】

へとへとな人を労う日。元日に「してはいけない」2つのこと【年末年始のマナー】
12/29(金) レタスクラブ

年末年始には、古くから伝わる風習がたくさんあります。
でもその意味や正しい作法は、意外と知らないもの。
いざというときに迷わないよう、年末年始のしきたりやマナーを「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に教えてもらいました。

今回は、元日の過ごし方。
新しい年のはじまりの日、実は「してはいけないこと」があるってご存知ですか?

■元日にしてはいけないタブーとは?
お正月はさまざまな行事がありますが、一方でやってはいけないこともあります。
その一つが、元日の掃除です。
「元日に掃除をすると、わざわざやってきた年神様を「掃き出す」ことになり、縁起が悪いとされています。
洗濯も神様を水で洗い流すことになるので、避けた方がいいでしょう」(岩下先生)

掃除のほかに、料理もタブーとされています。
理由は諸説ありますが、一つは「かまどの神様に休んでいただくため」というもの。
昔は、あらゆる場所に神が宿ると信じられていて、煮炊きに使うかまどにも神様がいると考えられていました。
そのため、お正月におせち料理を食べるという習慣が生まれたと言われています。

お正月に料理をしない代わりに、前年の大晦日までにおせち料理が作られるようになりました。
そのため、昔ながらのおせち料理には生物は入れず、煮物や焼き物など日持ちするものが中心になっています。

「掃除や料理がタブーとされるもう一つの理由は、普段家事を担う人に休んでもらうためでもあります。
お正月ぐらいは家事を休んで、家族とゆっくり過ごせるように、という労いの意味も込められています」(岩下先生)

怒涛のように走り抜けた年末。
元日くらいは心穏やかに過ごしたいですね。
掃除も料理も思い切ってお休みして、大切な人たちとの時間を楽しみましょう。

教えてくれたのは 岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。

 文=さいとうあずみ
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大晦日

本年もお世話になりました。
 つもりちがいをしない自分を
  つくっていきたいです
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【神様は見ている】運がいい人、お金持ちの人が1月1日「元旦の朝」限定で、必ずすること

【神様は見ている】運がいい人、お金持ちの人が1月1日「元旦の朝」限定で、必ずすること
2023年12月31日 ダイヤモンドオンライン

「今日、何する?」「どこ行く?」「何食べる?」と思ったとき、開くと必ず答えが見つかる書籍、『旬のカレンダー』。
1年12ヵ月、四季に合わせてそのとき「旬」の、食べ物、花、レジャー、家事、行事、そして神社参拝やお墓参りの作法……など、お金をかけなくても毎日を充実させるために知っておきたいことを400個以上も紹介しています。
今回は、Dr.コパさんに追加で伺った日々の小さな開運法について紹介します。

■元旦の朝に、すべきこと
間もなく2024年が始まりますね!
1月1日から、しっかり開運するために元日の朝にすべきことを、紹介しておきます。
まず、朝起きたら窓を開けて元旦の新鮮な空気を胸いっぱい吸うこと。
それから、新品の下着に着替えること。
前日の夜にきれいな下着に着替えていたとしても、です。
下着はもっとも肌に触れるもの。それらを新しくすることで、新年の運気をさらに取り込むことができますよ!

■家にも挨拶をしましょう
元旦の朝、家族に新年の挨拶をすませたら、家にも忘れずに挨拶をしましょう。
「あけましておめでとうございます。今年も1年間、よろしくお願いします」と声に出すことが開運のポイントです。
風水の基本は、家からパワーをもらうこと。
ツキをつかみたいと思うなら、家を味方にすることです。
簡単なことばかりですから、ぜひ試してみてくださいね。

また、もし年末年始にしていることが毎年ほとんど同じで、毎年なんだか運気が変わり映えしない……と思うなら、思い切って変えてみるのもいいでしょう。
たとえば、初詣に行く神社を変える、家で過ごしているなら、温泉で新年を迎えてみる、など思いきって変えることで、運気がガラッと変わることがありますよ。

『旬のカレンダー』では、普段の生活のなかの、衣食住にまつわる「これやりたかったのに、もう過ぎてる!」「もっと早く知っていれば!」と思うようなことを400個以上も紹介しています。
季節感は、意識しなければどんどん日常から失われていってしまいますが、旬のものを味わい、年中行事をたのしむことは、慌ただしい日々のなか、少し立ち止まって心を落ち着けてくれるだけでなく、開運にもつながります。行うだけで開運につながる年中行事のほか、季節料理、旬の野菜、魚、菓子、花、など、お金をかけなくても暮らしと心を豊かにしてくれる様々なことを紹介しています。
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