2024年02月01日

「党の未来のためです…」党員vs.共産党の「異例裁判」を起こす元共産党員が明かした決意

「党の未来のためです…」党員vs.共産党の「異例裁判」を起こす元共産党員が明かした決意
1/30(火)  FRIDAY

共産党は1月18日、志位和夫委員長(69)の退任を発表。後任に田村智子参議院議員(58)が就くこととなった。
党として初の女性委員長で、実に23年ぶりとなる交代劇は近く衆議院選挙が行われることを見越したイメージ刷新を意図してのものだろう。
しかし、新体制となって早速、党内から懐疑的な意見が噴出している。

元党員でジャーナリストの松竹伸幸氏(68)は昨年2月、「重大な規約違反があった」として党から除名された。
11月に除名処分撤回を求める再審査を請求するも、今月の党大会で請求棄却されている。
その決定に神奈川県議が異を唱えると、田村委員長は「全く節度を欠いた乱暴な発言」「問題の政治的本質を全く理解していない」などと激しい口調で畳み掛けた。
この新委員長の発言に対して「パワハラ」を指摘する声が相次いだのだ。

「今の、そして今後の共産党に一番必要なのは透明性だと思います。それを明らかにするためにも、党を相手に司法の場で戦う決心をしました」

著書『シン・日本共産党宣言』(文春新書)のなかで「党首選挙制」の導入を訴えている松竹氏は今後、法廷で除名処分撤回を求め闘うことになる。
共産党に今、何が起こっているのか――。
「党の未来のために訴訟に踏み切った」という松竹氏に、今後の展望について聞いた。

「主な争点は除名処分撤回を求める地位保全と、しんぶん赤旗の紙上などで『松竹は(権力と結託し)分派活動を行っている』という、いわれのない個人攻撃を受けたことに対する名誉毀損です。
既に3名の弁護士団と打ち合わせを重ねています。
私の再審査請求の審査をしたのは約800人の大会代議員ではなく、21名の党幹部でした。
大会代議員には私の再審査請求は配られてすらいなかった。
このプロセスには納得できません。
もちろん今でも『党に戻りたい』という思いは強い。
ですが、私の本当の目的は裁判を通して党の規約や、党幹部の判断などを可視化すること。
党の規約の解釈には現状、齟齬が生じている部分がある。
それが裁判の過程で明らかになれば、党員の自由な発言が可能となり、健全な組織に変わっていく可能性があるのではないか、という思いがあります」

昨年2月に除名されて以降、党員からも「除名はやりすぎ」というな意見がSNS上で散見されるようになった。
1月11日には、現役党員ら7名が除名処分撤回や、ハラスメント対策を訴え、集団会見を行っている。

共産党において、党員が執行部への意見を会見で述べることは異例中の異例だ。

しかし、党の機関紙であるしんぶん赤旗は“松竹氏除名は当然”という論調で、「処分は適切に行われた」という意見が相次いだ、と報じられている。

松竹氏が言う。
「党員の言論や、集会の自由が脅かされていると感じます。
私の除名以降、自主的に考えを発信する党員が出てきました。
これは党批判ではなく、本来なら単なる意見であるはず。
それを『分派活動』と断定されることには違和感しかありません。
動画配信も行われていた党大会という公の場で、異論を唱えた一般党員を糾弾するという行為は、パワハラと捉えられても仕方ないでしょう。
パワハラに対して世間の厳しい目が向けられている昨今、一般社会と共産党の常識との大きな乖離を感じせざるを得ない。
ハラスメント問題を追及してきた共産党において、その矛盾は大きい。
党大会の結果を受けて嫌気がさし、離党の意思を表明した党員も出てきています」

裁判は長期化が予想される。
松竹氏は費用は1000万円ほどと見積もり、支援者からのカンパや、自身のメルマガ配信などで資金調達を行っていく予定だという。
党員と党を巡る判例は、’88年に除名した党員に対し、党所有の家屋の明け渡しを求めた「共産党袴田事件」がある。
だが、政党内部の行為について原則的に司法審査は及ばないとして、元党員が敗訴した。
今回も厳しい闘いになることは十分に理解している。
それでも「法廷の場で闘い続ける意思を持つのは理由がある」と続けた。

「共産党は党員数も議席数も減少を続けています。変化すべきところは柔軟に対応することが必要だと考えています。多くの有権者にとって共産党は“日本の最左派”でしょうが、私は“左側の自民党”と捉えています。やり方次第では、中間層から保守層まで支持者を伸ばしていける党だと思います。理念を持って党員間で議論を行うことで、そんな理想に近づけると信じています。未来の党員達のためにも、私は闘い続けるつもりです」

共産党を相手どった元党員の闘いは、はたして何を生み出すだろうか。

FRIDAYデジタル
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2024年02月02日

“差別”ってなんですか?憲法学者 木村草太さんに聞く“差別”の仕組み

“差別”ってなんですか?憲法学者 木村草太さんに聞く“差別”の仕組み
2/1(木) TBSラジオ

武田砂鉄のプレ金ナイト
2024年1月26日放送

今回のゲストは、憲法学者の木村草太さんでした。
木村さんはTBSラジオ『Session』に出ることが多く、『国会論戦珍プレー・好プレー!』という名物企画内の掛け合いで砂鉄さんの名前を絡めたことも。しかし、今回が初対面のお二人でした。


TBSラジオのトイレは憲法に通ずる?!
前述した通り、TBSへお越しになることも多い木村さん。
2021年2月に発売された著書『憲法学者の思考法』では、「とあるラジオ局のトイレに、“居眠りはやめましょう”と書いてあって、これはなかなか驚いた」と書かれていました。
そのラジオ局、実は…TBSラジオのことです。


砂鉄
「”居眠りはやめましょう”っていうところから憲法の話に移っていって。憲法っていうのは、“過去の失敗の反省の張り紙のようなものだ”っていうふうに書いてあって、なるほどと。そうすると、そこで座っている人が居眠りはやめようと。これは非常に憲法に通じるということを書かれていて、なるほどというふうに思ったんですよね。」

木村
「そうなんです。そういうことを書いたことがありますね。」

砂鉄
「でも憲法っていうのは、そういう性質があるということでよろしいですかね?」

木村
「そうですね。過去に拷問をした人がいるから、拷問をされない権利が書かれていて、過去に任期も考えずに居座った政治家がいるから、議員の任期がちゃんと書かれていてってことになるんですね。」

砂鉄
「お金をちょろまかした人がいたら、それについて厳しくやっていこうというふうになっていくっていうのが…」

木村
「政治資金規正法って昔は無かったわけですから、それはやっぱりダメだということで出来て。
今、20万円以上であれば名前を書かないといけないけど、それ未満だと書かなくていいっていうのがあるので、こういう問題が起きているので、じゃあ書きますか、みたいな話になればいいんですけど、なかなかそこまでいかないっていうことですよね。」


「差別かどうかを自分だけで判断出来ると思っている時点でアウト」
木村草太さんは2023年12月に新刊『「差別」のしくみ』を発売しました。
同性婚・夫婦別姓などのジェンダー、人権をめぐる差別など、その構造を徹底検証した一冊です。


砂鉄
「恐らく多くの人は、差別と言われたら“それは良くないものだ”って言うけれども、では“差別ってなんですか?”とか、“差別ってどういうふうに定義されるんですか?”ってなると、ちょっと口籠るというか、あんまり明文化出来なかったりするところもあるような気はするんですけれども。
差別というのはそもそもどういうふうに定義をされるのか、定義することが可能なのかどうなのかっていう辺りも聞きたいんすけどね。」

木村
「そこが大変重要なポイントですね。
例えば、自分の意思で変えられない性別・人種・性的指向とか、そういった要素で区別をすることが差別なんだみたいな、そんな行為の形で差別を定義しようとする人が多かったんですが、私はそれは差別というものが感情とか評価の問題であるために、行為の形で定義をしようとする試みは失敗するんじゃないかというふうに考えてきました。
(中略)
私が定義をするとすれば差別というのは、人種とか性別とか、人間の類型に向けられた否定的な評価、あるいは蔑視感情のことであるというふうに定義をすべきだと考えています。
(中略)
例えば、愛情という感情について考えて欲しいんですが、例えば1万円以上のプレゼントをくれれば、それが愛だと定義出来るかっていうと、これは出来ないでしょうね。
1万円のプレゼントがすごく愛情が籠っていると受け取られることもあれば、気持ち悪いストーカーの行為として受け取られることもあるということなわけですね。
なので、愛情に基づく行為が形で定義出来ないのと同じように、差別的行為というのも、こういう行為の形式があれば差別があるとは定義出来ないんだと、こういうふうに考えていけば差別というものをより明確に捉えられるんじゃないかな、というのが私の議論ですね。」

砂鉄
「差別っていうものをシンプルに考えたい人というのは、これをやったら差別ですとか、この言葉を出したら差別ですと。
でもそれを逃れれば差別じゃないって言いたがるわけですよね。
そうすると、かなり乱暴なことや危ういことが起きるってことですね。」

木村
「差別に基づく行為がきちんと捉えられないっていうことも起きますし、差別でないものを差別と認定してしまうってこともあるわけですね。
例えば、女性が活躍するのはムカつくという感情に基づいて、大学入試などで女性を減点する、これ差別ですね。
一方、単なる計算ミスで、たまたま計算ミスの対象が女性だった・外国人だった、これは計算ミスであって差別ではないわけですね。
差別ではない・間違いというのは、間違いを指摘すればすぐに解消されるんですけれども、差別感情が背景にあると、明らかに不合理・間違いに見えるものであっても、何かと理由をつけて維持しようとしたりする。ということで差別の問題として深い問題になっていく、こういうものなわけですよね。」

砂鉄
「それこそ国会議員の中にもそういう人がいるのが残念ですが、差別的な言動を繰り返すような人が、それはおかしいではないかって言われても、自分は差別していませんって繰り返す場合ってのがありますよね。
当然その言動というのを控えて欲しいと思うわけですけれども、その発言が刺さってしまう人もいるわけですよね。
これに対してどうすればいいんでしょうね。」


木村:「まずですね、差別かどうかを自分だけで判断出来ると思っている時点でアウトということですね。
何故あなたが差別かどうかを自分だけで判断出来ると思ったんですか?という問いを立てなきゃいけない。
差別というのは自分の感情の一種ですから、多くの場合はそれは正しい感情・正しい評価だと思っているので、自分はこれは
恥ずかしい感情だ・恥ずかしい評価だと思っている方がむしろ少ないわけですね。
(中略)
だから、差別かどうかということではなくて、あなたはどういう評価や感情に基づいて行動したんですか?と問う、ということが大事かなと思いますね。」
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2024年02月03日

このままでは13年後に紙の新聞は消滅する…熱心な読者からも"質が落ちた"と苦言を呈される残念な理由

このままでは13年後に紙の新聞は消滅する…熱心な読者からも"質が落ちた"と苦言を呈される残念な理由
2/2(金) 11:17配信 プレジデントオンライン

■2036年には紙の新聞は姿を消す計算になる
 紙の新聞が「消滅」の危機に直面している。
日本新聞協会が2023年12月に発表した2023年10月時点の新聞発行部数は2859万部と1年前に比べて7.3%、225万6145部も減少した。
2005年から19年連続で減り続け、7.3%という減少率は過去最大だ。

 新聞の発行部数のピークは1997年の5376万部。
四半世紀で2500万部が消えたことになる。
全盛期の読売新聞と朝日新聞、毎日新聞の発行部数がすべてごっそり無くなったのと同じである。
このまま毎年225万部ずつ減り続けたと仮定すると、13年後の2036年には紙の新聞は消滅して姿を消す計算になる。

 昨今、朝の通勤時間帯ですら、電車内で紙の新聞を読んでいる人はほとんど見かけなくなった。
ビジネスマンだけでなく、大学生の年代はほとんど新聞を読んでいない。

■「デジタルで新聞を読んでいる」学生はごく一部
 私は、教えている大学で学生に「紙の新聞をどの程度読んでいるか」を毎年アンケート調査で聞いている。
2023年度に教えた、のべ1026人の学生のうち、紙の新聞を「まったく読まない」と回答した学生は728人と7割に達した。一方で「定期購読している」という学生はわずか13人、1.3%だった。
この数には自宅通学生で親が購読している新聞を読んでいる学生も含まれているから、ごくわずかしか毎日読んでいる人がいない、ということになる。

 たまに読むという学生も「レポートなどで月に数回程度読む」という回答で、もはや「紙の新聞」は学生の情報源ではないのだ。
学生時代に紙の新聞を読んだことがなければ社会人になっても読む習慣はほぼないから、ビジネスマンが新聞を読んでいる姿をほとんど見ることがなくなったのも当然だろう。
ますます紙の新聞の発行部数は減っていくことになるに違いない。

 いやいや、デジタル新聞に移行しているのだから、紙の新聞が減るのは当然だろう、と言う人もおられるだろう。だが、電子新聞など新聞社の情報メディアを使っている学生もごく一部で、「新聞」という媒体自体が凋落しているのは明らかである。学生の情報源はタダのSNSが主体だし、ビジネスマンの多くも無料の情報サイトで済ませている人が少なくない。つまり、情報を得るために「新聞」を買って読むという行為自体が、失われつつあるように見える。

■新聞社が儲からなくなり、人材も育たなくなった
 紙の新聞の凋落による最大の問題点は新聞社が儲からなくなったことだ。
新聞記者を遊ばせておく余裕がなくなり、今の若い記者たちは私が新聞社にいた頃に比べて格段に忙しくなっている。
紙の新聞は日に何度かの締め切りがあったが、電子版は原則24時間情報が流せるから、記者にかつてとは比べ物にならないくらいの大量の原稿を求めるようになった。
ハイヤーで取材先の自宅を訪れて取材する「夜討ち朝駆け」も減り、取材先と夜飲み歩く姿もあまり見なくなった。
新聞社も働き方改革で「早く帰れ」と言われるようになったこともある。

 新聞社は取材を通じて勉強していくOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が伝統で、ベテランのデスクやキャップから、若手記者は取材方法や原稿の書き方を学んでいた。
そんなOJT機能が忙しさが増す中で失われ、人材が育たなくなっているのだ。
儲からなくなった新聞社で人材枯渇が深刻化し始めている。

 もちろん、それは新聞記事の「品質」にも表れる。
長年、新聞に親しんだ読者からは、最近の新聞は質が落ちたとしばしば苦言を呈される。
また、新聞の作り方が変わってきたことで、伝統的な紙の新聞のスタイルも変化している。

■貴重な情報が隠されている「ベタ記事」が激減
 最近の新聞からは「ベタ記事」が大きく減っている。
かつて「新聞の読み方」といった本は必ず、「ベタ記事こそ宝の山だ」といった解説を書いていた。
新聞を読まない読者も多いので、ベタ記事と言われても何のことか分からないかもしれない。
紙の新聞では1ページを15段に分けて記事が掲載される。
4段にわたって見出しが書かれているのを「4段抜き」、3段なら「3段抜き」と呼ぶ。
これに対して、1段分の見出ししか付いていない記事を「ベタ記事」と呼ぶ。
そうした細かい、ちょっとした記事に、貴重な情報が隠されているというのだ。

 ところが最近は、このベタ記事がどんどん姿を消している。
デジタルでネットに情報を出すことを前提に記事を作るため、ひとつの原稿が長くなったことで、ベタ記事が入らなくなった、という制作面の理由が大きい。
長い読み物的な記事が紙の新聞でも幅をきかせるようになり、新聞が雑誌化している、とも言われる。
一見同じページ数でも、記事の本数が減れば、実質的に情報量が減ることになる。
細かいベタ記事に目を凝らして読んでいた古い新聞愛読層が新聞の情報量が減ったと嘆くのはこのためだ。

■「成功している」日経ですら電子版は100万契約にすぎない
 一方で、細かいベタ記事がたくさん必要だった時代は、記者が幅広に取材しておくことが求められた。
駆け出しの記者でもどんどん原稿を出すことができたのだ。
ところが、雑誌化すれば訓練を積んだ記者しか原稿が出せず、結果、若手の訓練機会が失われている。
これも記者の質の劣化につながっているのだ。
それが中期的には紙面の質の低下にもつながるわけだ。

紙の新聞の凋落による経営の悪化や、デジタル化自体が、記者を劣化させ、新聞の品質を落としている。

 デジタル版が伸びているので新聞社の経営は悪くないはずだ、という指摘もあるだろう。
確かにニューヨーク・タイムズのように紙の発行部数のピークが150万部だったものが、デジタル版に大きくシフトして有料読者が1000万人になったケースなら、紙が半分以下に落ち込んでも十分にやっていける。

 デジタル化で成功していると言われる日本経済新聞も、紙はピークだった300万部超から半分になったが、電子版は100万契約に過ぎない。
紙の新聞は全面広告などで高い広告費を得られたが、デジタルの広告単価は低い。
マネタイズする仕組みとして猛烈に優秀だった紙の新聞を凌駕できるだけの仕組みがまだできていないのだ。
1000万部を超えて世界最大の新聞だった読売新聞はデジタルで大きく出遅れている中で、紙は620万部まで減少している。

■「新聞の特性」自体が消滅しつつある
 このまま紙の新聞は減り続け、消滅へと進んでいくのだろうか。
本来、紙の新聞には情報媒体としての優位性があった。
よく指摘されるのが一覧性だ。
大きな紙面にある見出しを一瞥するだけで、情報が短時間のうちに目に飛び込んでくる。
36ページの新聞でも、めくって眺めるだけならば15分もあれば、大まかなニュースは分かる。その中から興味のある記事をじっくり読むことも可能だ。

 ネット上の記事は一覧性に乏しいうえに、自分の興味のある情報ばかりが繰り返し表示される。
便利な側面もあるが、自分が普段関心がない情報が目に飛び込んでくるケースは紙の新聞に比べて格段に低い。

自分の意見に近い情報ばかりが集まり、反対する意見の情報は入ってこないネットメディアの性質が、今の社会の分断を加速させている、という指摘もある。

 そんな紙の特性を生かせば、紙の新聞は部数が減っても消えて無くなることはないのではと私は長年思っていた。
ところがである。前述の通り、デジタル版優先の記事作りが進んだ結果、1ページに載る記事の本数が減り、ベタ記事が消滅するなど、新聞の特性自体が消滅しつつある。
新聞社が紙の新聞を作り込む努力をしなくなったのだとすれば、紙の新聞の消滅は時間の問題、ということになるのだろう。

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磯山 友幸(いそやま・ともゆき)
経済ジャーナリスト

千葉商科大学教授。1962年生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年に退社、独立。
著書に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。
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2024年02月04日

メディアが報じないワクチン被害の実態 500人超を訪問診療した医師が指南

メディアが報じないワクチン被害の実態 500人超を訪問診療した医師が指南
2/3(土) 週刊大阪日日新聞

 医療法人社団それいゆ会こだま病院(兵庫県宝塚市)理事長で(一社)ワクチン問題研究会業務執行理事の児玉慎一郎医師による講演会が昨年末にあった。
タイトルは「マスコミが報じないワクチン被害の実態〜諦めないでワクチン後遺症〜」。
講演の模様を要約する。
(加藤有里子)

会場となった大阪市平野区の平野区画整理記念会館には、市民ら93人が集まった。

 児玉医師は冒頭で生い立ちや、医学部に入学するまで水商売や建築現場で働いたことなど経歴に触れた後、500人を超えるコロナ患者の治療を行ってきた経緯について話した。

 新型コロナウイルスが流行した当初は中等症から重症までの入院治療をしていたが、第4波から感染者が激増。
2021年4月後半に、外来患者の入院ベッドが確保できなかったことを機に、外科医でありながら宝塚市の保健所から依頼を受け、訪問診療を始めた。
児玉医師は「訪問診療をしている医師が自身以外に、宝塚市にはいないことを保健所に確認したことで知り、愕然とした。
そのため、平時の診療以外は訪問治療に徹するようにした」と話す。

マスク未着用 防護服なしで往診
 第5波の途中からは、自身の体調への懸念から防護服やマスクを着用せずに訪問診療を続けた児玉医師。
「医師会を含めた周りからクレームが入ることも多々あったが、目の前に居る患者に対してベストを尽くすことのみに集中していた」。

 保健所から依頼を受け訪問診療した患者の事例として、転倒で鼻血が止まらず、救急搬送された高齢の男性。
PCR検査で陽性判定となったため、救急車で自宅に帰されたケースや、歯痛を訴え救急搬送された高齢の女性も陽性だったため自宅に返されたケースなど、現場の秘話を語った。

 児玉医師は「保健所に出入りし、コロナ患者の往診に追われていた結果、宝塚市内でのコロナの発生状況が把握できた。
コロナはほぼ治せる病気であり、医療機関の診る体制が整っていなかっただけ。
政府やメディアによって恐怖だけがあおられた」と遠慮なく意見を述べる。

健康被害申請受理 5700件超
 一方、ワクチンによる健康被害については、10〜90代の老若男女問わず被害が出ており、動悸や血尿、帯状疱疹など症状も人によってさまざまだという。
さらにワクチン摂取による後遺症の疑いがあっても、診断する医療機関が少ないのが現状だ。

 新型コロナウイルスワクチン接種による健康被害申請受理件数は23年12月27日現在、累計で9789件。
そのうち死亡例は1094件にのぼる。
また、認定件数は5735件、否認は952件保留は70件。

 こうした中、ワクチンに関するさまざまな研究を行うため、児玉医師は京都大の名誉教授、福島雅典医師を代表とする「ワクチン問題研究会」を23年6月に立ち上げた。
「日本には優れた科学や技術があるのにも関わらず全く生かされていない。
医療の未来のために徹底して研究に取り組むつもりだ」(児玉医師)

 質疑応答では、聴講者から他のワクチンについての質問や、自身の家族がワクチン後遺症で亡くなった可能性があることなどさまざまな意見が挙がった。
 児玉医師は締めくくりに「例えば『マスク』『黙食』これらを推奨したことでどのように変わったのか。
コロナウイルスに関するさまざまな事項の検証が行われていない。
ものの本質を一人一人、しっかり考える必要があるのではないか」と投げかけた。
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「日本人は集団主義」は間違い…なのに多くの人に信じられてしまったワケ

「日本人は集団主義」は間違い…なのに多くの人に信じられてしまったワケ
2/4(日)   現代ビジネス

 いま日本はどんな国なのか、私たちはどんな時代を生きているのか。
日本という国や日本人の謎に迫る新書『日本の死角』が8刷とヒット中、普段本を読まない人も「意外と知らなかった日本の論点・視点」を知るべく、読みはじめている。
 ここでは「『日本人は集団主義』という幻想」という文章の一部を特別公開する。

「日本人は集団主義」説の始まり
 なぜ間違った「常識」ができあがってしまったのだろうか? 
 この「常識」の淵源をたどっていくと、パーシヴァル・ローウェルというアメリカ人に行きあたる。
ボストンの資産家の息子で、「火星の表面に見える縞模様は、火星人が掘った運河だ」という説を唱え、有名になったアマチュア天文家である。
 このローウェルが、明治時代の日本にやってきて、日本をテーマにした『極東の魂』という本を書いた。
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)はこの本を読んで感激し、それが日本に来るきっかけになったというから、かなり影響力の強い本だったのだろう。
 この『極東の魂』のなかで、ローウェルは「日本人には個性がない」と繰りかえし主張しているのである。
なぜローウェルはそう主張したのか? 

 ローウェルがこの本を書いたのは、日本に来て日本語を学びはじめてから、1年ほどにしかならない時期である。だから、日本人について、ずいぶん珍妙なことも書いている。「日本人には個性がない」という主張は、日本人についての正確な観察から出てきたわけではないのである。

 この主張は、おそらく、ローウェルの「先入観」に根差している。
 ローウェルは、「アメリカ、ヨーロッパ、中近東、インド、日本と東に行くほど、人の個性は薄くなっていく」と書いている。
 その半世紀ほど前、哲学者ヘーゲルは、『歴史哲学講義』のなかで、「西のヨーロッパから東の中国へと向かうにつれて、個人の自由の意識が減少していく」と論じていた。そっくりである。

 欧米の植民地がなお拡大をつづけていた時代、ヘーゲルのこうした思想には、抗しがたい魅力があったのだろう。

 アメリカを「西の端」、日本を「東の端」に置くと、アメリカ人と日本人は対極的な存在ということになる。
 そのアメリカ人は、「強い自我をもつ個人主義的な国民」ということになっている。
とすれば、その対極にある日本人は、「はっきりした自我をもたない集団主義的な国民」であるにちがいない。

 「日本人には個性がない」というローウェルの主張は、こうした「先入観」にもとづく演繹的な推論の産物だったのではないか。
 太平洋戦争のころまでには、ローウェル流の日本人観は、欧米の知識人のあいだでは、すでに「常識」になっていたらしい。
 大戦中、アメリカ政府は、「敵国」日本を知るために、著名な歴史家、社会学者、人類学者などを集めて会議を開いた。
その席上、大半の専門家が「日本人は集団主義」という見解で一致したという。
 アメリカ人にとって、個人主義は、アメリカ文化の誇るべき特質である。
民主主義の礎であり、独創的な科学研究や起業家精神の源である。

 そう信じてきたアメリカ人にとって、「敵国」日本の文化が、個人主義の対極にある集団主義という特質をもっているというのは、しごく当然のことと感じられたにちがいない。

現代新書編集部
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2024年02月05日

防犯カメラでは止められない“無敵の強盗”、侵入を防ぐ「備え」と命を守る「初動」とは?

防犯カメラでは止められない“無敵の強盗”、侵入を防ぐ「備え」と命を守る「初動」とは?
「狛江強盗殺人事件」や相次ぐ「ポケモンカード窃盗事件」の教訓
松丸俊彦:セキュリティコンサルタント
2024.2.3 ダイヤモンドオンライン

強盗や窃盗に関するニュースを目にする機会が増えた。
いつも驚かされるのが、犯行の瞬間を捉えた防犯カメラの映像が残っていること。
彼らは防犯カメラの存在に気づいていないのではない。防犯カメラがあることを認識したうえで盗みを働いているのだ。
こうした“無敵の泥棒”は、プロか素人か。彼らの行動特性を専門家に分析してもらった。
「犯行を未然に阻止する防犯対策」と「強盗犯と遭遇したときの防衛術」をここで確認してほしい。
(構成/ライター 奥地維也)

“無敵の泥棒”が増加した背景
 いま、強盗が増えています。
多くの人が自宅で過ごしていたため犯行に及びづらかったコロナ禍が明け、彼らの活動が再び活発になっているのです。
強盗の低年齢化も顕著です(下図)
これは、未成年の少年たちが小遣い欲しさから安易な気持ちで闇バイトの募集に応じて犯罪に手を染めていることを物語っています。

防犯カメラでは止められない“無敵の強盗”、侵入を防ぐ「備え」と命を守る「初動」とは?
 防犯カメラを恐れない“無敵の強盗”の多くは、こうした闇バイトの募集で集められた素人と、指揮役の玄人とで構成されています。
2024年1月19日に滋賀県草津市のトレーディングカードショップで発生したポケモンカード盗難事件も、犯行をとらえた防犯カメラの映像を見ると、実行犯の1人は明らかに動きがどんくさく、素人であることは明らかでした。

 素人のほうが手加減してくれそう、と考えるのは間違いです。
2023年1月19日に東京都狛江市で発生した強盗事件では、抵抗する力が弱いはずの90代の女性が殺害されました。
犯行に及んだ10代から50代の実行犯4人は、全員が闇バイトで集められた素人。
物取りに徹するプロは刑罰の重い強盗殺人を犯すことを避けますが、場慣れしていない素人は感情のコントロールが効かず、パニックから凶行に及ぶ危険があります。
本当に怖いのは、素人のほうなのです。

ターゲットに”選ばれない”ために
 狛江市の強盗殺人事件でも明らかになったように、素人で構成される“無敵の強盗”団には、雇い主である指示役が遠隔で指示が飛んでいます。
プロの犯罪グループに属する彼らは、住人の行動パターンや目当ての貴重品の場所などを事前に把握したうえで、一般宅の強盗に臨みます。

 犯罪グループはこうした情報をどのように入手しているのでしょうか。
まず、個人情報の取り扱い規制がまだ緩かった時代に名簿業者が作成していた各種名簿や、企業が流出させた個人情報を闇サイトで手に入れます。
同時に、個人宛にスパムメールを送ってハッキングしたり、電話口でセールスやアンケートなどを装って情報を聞き出したりして、データを蓄積します。
 さらに、こうした情報を複数の犯罪グループ間で共有することで、より多くの、より詳細な個人情報が集約された“標的データベース”を作り上げます。
この工程は「名寄せ」と言い、大規模な組織の場合は「名簿調達」とか「名簿作成」と呼ばれる役割を担当するメンバーが存在します

 本名、生年月日、住所、電話番号、家族構成、出身高校・大学、勤務先、自宅金庫あり・なし、通信販売での高額商品購入履歴、詐欺被害履歴、電話の応対記録……データベースにはありとあらゆる個人情報が載っていて、「東京都」などと条件を指定して検索することもできます。
百貨店の外商顧客リストが流出しているのを見たこともありますよ。
金目のものを狙う強盗からすれば、喉から手が出るほど欲しい情報でしょうね。

 皆さんが気になるのは、こうした情報の流出をどうしたら防げるのかということだと思います。
もちろん、最大限の自己防衛は必要です。
電話で怪しい調査に答えたり、「口座が凍結されました」と語る不審なメールのリンクをクリックしたりしてはいけません。知らない番号からの電話は出ない、怪しいと思ったら電話をすぐ切るなどの対策も有効です。
 しかし、大学の卒業名簿や企業の顧客情報の流出は自分ひとりでは防ぎようがないので、個人情報を完全に守ることは不可能です。
私たちは、「情報は流出している」という前提で防犯対策をしなければいけません。

強盗に狙われやすい場所は?
 犯罪グループが商店を襲撃するときも、一般宅を狙うときと同様、詳細な間取りや商品の位置などを事前に洗い出しています。
わずか2分のうちに1300万円分のポケモンカードが盗まれた草津市の盗難事件では、高額なカードが保管されている場所を示した詳細な店舗図面が流出していました。

 強盗のターゲットにされやすいのは、宝石店や時計店など、小さくて運びやすく高価な商品を扱っている店です。
ポケモンカードはまさにこの条件を揃えていますね。
 ポケモンカードが狙われやすいもうひとつの理由は、海外で売れるということです。
近年は質屋と警察の連携が進んでおり、盗んだ高級時計や宝石などを国内で売ることは非常に難しくなっているため、犯罪グループは盗んだものを海外で売りさばこうとしています。

 ポケモンカードは海外でも人気で、市場も大きく高値で取り引きされています。
加えて、カードは高価でも実際はただの紙ですから、金の延べ棒などとは違って空港の金属探知機で発見される恐れもないので、隠すのが容易です。これ以上ないほど狙い目の品だと言えるのです。

 他にも、売り上げがそのまま店舗に置いてあるような飲食店や小さな工場なども、現金目当てで強盗が入りやすいので、特に注意が必要です。

“無敵の強盗”への対応策
“無敵の強盗”は、事前に入手した侵入先の情報をもとに短時間で犯行を終わらせるつもりだからこそ、防犯カメラの存在をものともしません。
 もちろん、防犯カメラに全く効果がないというわけでは決してありません。
単独で行動するプロの強盗に対しては高い効果を発揮しますし、犯行が起こったとしても証拠映像が残っていれば事後捜査において役立ちます。
しかし、防犯カメラという心理的障壁を突破してくる以上、“無敵の強盗”から資産や家族の身の安全を守るためには、物理的に屋内に侵入させないということが重要になります。

 まずは、主な侵入経路となるドアと窓の2カ所を対策してください。
強化ガラスにしたり防犯フィルムを貼ったりすることでガラスの強度を上げ、ドアは鍵を増やして二重ロックにしたり隠しロックを設置したりしましょう。
 侵入に時間がかかれば、相手は犯行を諦めるかもしれません。
アラーム音や夜間のセンサーライトといった、五感で強盗犯をひるますような防犯システムを導入することも手です。
自宅の防犯はこのくらいが現実的ではないかと思います。

 次に、ポケモンカードショップや貴金属店など高級品を取り扱う場所の防犯対策について説明します。
このとき、店員がいる場合と店員がいない場合をわけて考える必要があります。

 日中、人がいる店舗の場合、店先にインターホンをつけるのは有効です。
入店前に様子を見ることができるので、怪しい人物の入店を未然に防ぐことができます。
防犯カメラよりもハッキリと人物を捉えることができるので、インターホンを突破してまで犯行に及ぶことはリスクが大きすぎます。

 夜中など店から誰もいなくなる時間帯の窃盗対策としては、まずはセンサーで反応すると防犯灯を店内外につけるとよいでしょう。犯人は光を嫌います。

 もう少しお金をかけられるなら、遠隔で警備会社が監視をして侵入者に声をかけるというシステムもあります。
他にもセンサー式の自動ロックで犯人を店内に閉じ込めてしまうシステムもあります。
この場合、犯行を未然に防ぐというよりは、持ち去られないようにして未遂に終わらせる方法になりますが。あとは、日中でも夜中でもトラッキングシステムを商品につけておくのも犯人逮捕や商品の返還に繋がりやすくなります。

 ただ、こうした策もむなしく、侵入を許すケースもあります。
草津市のポケモンカード盗難事件も、警備会社のアラームが鳴り響くなかの犯行でした。
そうなってしまった場合は、なにより自分と家族の命を守ることを最優先に行動してください。

だから、戦ってはいけない絶対に!
 鉄則は、相手を刺激しないことです。
そのためには、相手が覆面をしているかどうかを問わず、絶対に目を見ないでください。
目を直視すると、「顔を見られた→捕まる→殺さなければ」という強盗犯の思考も引き起こしかねません。
相手のボディランゲージを見逃さないように、胸か腹あたりを見るようにしてください。

 強盗犯と鉢合わせてこう着状態になった場合も、自分から事態を打開しようとアクションを起こすのは危険です。
一刻も早くその場を立ち去りたいのは犯人のほう。相手が行動を起こすのを待ちましょう。

「泥棒!」と叫ぶと犯人が逃げたという話がありますが、これは薦めません。
逃げたのはあくまでも結果論です。
大声を出せば犯人を刺激してしまい、最悪の結果になることも考えられます。

 強盗は進入時に使用したバールやハンマーといった凶器になりうる道具を持っているケースがほとんどです。
もし犯人が襲いかかってきたら、前回の記事で説明したとおり、とにかく攻撃の動線から外れることを意識してください。
具体的には、犯人に対して体の側面だけを向けながら、攻撃をかわし続けてください。

 犯人が転ぶなどして攻撃が中断されたり、戦意を喪失したり、自分から距離を取ったりしたら逃げるチャンスです。
逃げるときは、常に犯人を視界に留めておくようにしてください。
距離が取れて攻撃の射程から外れたら、脇目もふらずに全力で逃げて問題ありません。

 逃げる場所ですが、ドアや窓、勝手口などから外へ出られれば、外に出ましょう。

 強盗犯に経路をふさがれて外に出るのが難しい場合、「パニック・ルーム」に逃げ込むのも有効です。
パニック・ルームとは、セーフ・ルームなどとも呼ばれ、犯罪や災害から身を守る目的でつくられる避難部屋のことです。
なるべく鍵のかかる部屋にするといいでしょう。
突破するのに時間がかかるとなれば、犯人が諦めて立ち去ることも考えられます。

 残念ながら、私たちは誰もが“無敵の強盗”に狙われています。
実際にターゲットにされるかどうかは運の要素もあるでしょう。

しかし、出来る限りの防犯対策をとれば彼らの犯行を遠ざけられるということ、正しい防衛術を身につければ最悪の事態を生き延びる確率が上がるということは、心に刻んでおいてください。
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2024年02月06日

だから共産党アレルギーは消えない…党首は女性に交代、政策も悪くないのに、共産党が怖がられる根本原因

だから共産党アレルギーは消えない…党首は女性に交代、政策も悪くないのに、共産党が怖がられる根本原因
2024年02月05日 PRESIDENT Online

日本共産党のトップが23年ぶりに交代した。
「野党共闘」にはどんな影響があるのか。
ジャーナリストの尾中香尚里さんは「共産党の綱領に書かれた政策の大半は、他の野党の主張と重なる。
目指す社会像は野党各党の間で、かなり共有されている。
だが、異論を『指導』で抑えてしまう政党文化には問題がある」という――。

■初の女性党首、23年ぶりの委員長交代
1月18日に4日間の日程を終えた第29回共産党大会は、田村智子氏の委員長就任という「23年ぶりのトップ交代」が大きく注目された。
102年の党の歴史で初の女性党首が誕生したことは、率直に歓迎したい。
だが、トップ交代という大きな節目にもかかわらず、党大会が共産党の新たな時代を切り開いたとは感じられなかった。
むしろ、この20年あまり「現実・柔軟路線」を掲げ、他の野党と「共闘」しつつソフトイメージを構築し、政権参画の可能性さえ視野に入れてきた流れから一転、組織が大きく「先祖返り」しているように思えた。

長い歴史を持つ日本じゅうの組織で現在起きていることかもしれないが、共産党も党内で「伝統的価値観」と「新たな価値観」のせめぎ合いが生じていると感じる。
党勢が低迷すればするほど、伝統的価値観が強く前面に出てきて、時代の変化に対応できなくなってしまう。
そんな苦しい現状を感じさせる党大会だったと思う。

■過去には「たしかな野党」で党勢拡大
少し歴史を振り返ってみたい。
1990年代初めの選挙制度改革によって、他の野党が二大政党の一翼を担うべく再編に明け暮れるなか、共産党は「たしかな野党」をうたい、こうした動きから距離を置いてきた。
自民党と、かつて自民党政治のど真ん中にいた小沢一郎氏率いる新進党の「保守二大政党」状態だった90年代半ばには、共産党が「総与党化への唯一の対抗勢力」として、党勢を拡大したこともあった。

■政権も視野に入れた「現実・柔軟路線」へ
だが、97年に新進党が解党し、翌年に菅直人氏率いる民主党が「民主中道」を掲げて野党第1党となると、共産党は徐々に立ち位置を変化させていった。
「たしかな野党」から脱却し「野党陣営の一員として政権の選択肢となる政党」に向かおうとしたと言える。

こうした「現実・柔軟路線」を牽引したのが、当時委員長だった不破哲三氏だった。
この年の夏の参院選で民主党が勝利し、参院で野党が多数となる「ねじれ国会」が誕生すると、共産党はその後の臨時国会の首相指名選挙で菅氏に投票。
不破氏は「しんぶん赤旗」のインタビューで、他の野党との「暫定政権」への参画に言及した。

2000年の党大会で不破氏は議長となり、書記局長だった志位和夫氏が委員長に就任した。
基本的には志位氏も、前任の不破氏の路線を引き継いだ党運営をしていたと思う。

同党はこの党大会で規約を改定し「社会主義革命をへて日本に社会主義社会を建設」などの表現を削除した。
04年には綱領を改定し、自衛隊や天皇制を「当面容認」する考えを打ち出した。
民主党への政権交代を目前に控えた09年、志位氏は記者会見で、民主党政権への対応について「『行動する是々非々』という立場で対応する」と述べた。

■21年衆院選の敗北直後から起きた「反動」
2017年の衆院選直前に野党第1党の民進党(民主党から改称)が分裂し、枝野幸男氏が立憲民主党を結党した時は、共産党は全国67の小選挙区で候補者の擁立を自主的に取り下げ、立憲を側面支援した。
「野党第1党が消える」非常事態とはいえ、党内手続きを重視する共産党が、瞬時の「政局的判断」を行ったのだ。

そして21年の前回衆院選。共産党は「野党共闘」を前面に出し、立憲民主党などと「限定的な閣外からの協力」という政権合意を結んだ。
街頭にはためく同党ののぼりには「政権交代をはじめよう」の文字。
立憲民主党が「変えよう。」の表現にとどめるなか、共産党の「前のめり感」がやたらと目についた。

だが、この衆院選で共産党は公示前議席を減らす結果に終わった。
この直後くらいから、党の内部にある種の「反動」が始まったように思う。
衆院選の敗北を受け、影を潜めていた原理主義的な考えが、一気に浮上したように筆者には思えた。

■「折れすぎている」ことへのベテラン党員の不満
実は同党の「現実・柔軟路線」に対し、戦前からの苦しい時代を乗り越えてきた党の歴史を長い間学習しているベテラン世代の党員は、必ずしもしっくり来てはいなかったのではないか。
他党に「折れすぎている」とのフラストレーションは、「共闘」を批判する外野より、もしかしたら内部にこそあったのかもしれない。

一方で同党には「現実・柔軟路線」の下、選挙による民意の付託を得て政界入りした中堅・若手の国会議員や地方議員も少なくない。
彼らは他党ともフランクに付き合い、SNSなどを通じて自分の言葉を持ち、党外の有権者とも対話のチャンネルを持つ。
55年体制当時の同党にはあまり見られなかった存在だ。

両者の間に微妙な認識の違いが生まれていたのではないだろうか。
そのことを感じさせるきっかけになったのは、他ならぬ田村氏だった。

■共産党内に流れる不穏な空気
2010年初当選、当選3回の田村氏は、どちらかと言えば「現実・柔軟路線」の下で育った世代のはずだ。
田村氏は政策委員長時代、21年衆院選での党の退潮について「野党としての共産党ならば、スルーした問題が、政権に関わる存在になった時、全く異なる不安になるのでは?」などとツイッター(現X)に投稿して党内で問題視され、これを削除した。

筆者はこの衆院選での野党陣営「敗北」の理由が、共産党との「共闘」戦術にあるという立場はとっていないが、田村氏の発言は、当時の野党議員のものとして自然に受け止められるものだ。
この程度の発言が問題視される党内の空気に、筆者はかすかな危惧を抱いた。

その危惧は今回の党大会で、田村氏自身によって確信に変わった。
委員長に就任した田村氏は、党首公選制の導入を著書で訴えた党職員の除名問題に関し「排除ではなく包摂の論理の尊重を」と発言した大山奈々子・神奈川県議に対し「発言者の姿勢に問題がある」などと、厳しい言葉で延々と非難した。
発言は党員の間に衝撃を生み、SNSでは今なおさまざまな声が飛び交っている。

■「上から国民を染め上げる」組織文化は健在
筆者には非難された大山県議が、かつての田村氏自身と重なって見えた。
ツイッターで発言した田村氏と、党大会での田村氏。前者の方が実像に近いのではないかと思う。
昨年、週刊誌の企画で自民党の野田聖子、立憲民主党の辻元清美の両氏と「女性リーダーを増やす」ことをテーマに対談した時も、率直な物言いに好感を持った。

党大会で大山県議に対処した田村氏の硬直した姿勢は、そうした印象とはかなり違っていた。
田村氏個人というより、大会全体の空気感を体現したものだったと思う。
それは大会決議によく表れていた。
驚いたのは、前回(2020年)の大会決議にはなかった「革命」という言葉が、大きく前面に打ち出されたことだ。
「不屈性と先見性を発揮し、革命の事業に多数者を結集する」という言葉が、本文どころか見出しに躍っていた。

もちろん、共産党はとうの昔に暴力革命を排除しているし、現在の綱領でも「日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、資本主義の枠内で可能な民主的改革」とうたっている。
だが、この言葉からは、上層部が上から国民を「指導」し、一つの方向性に染め抜く組織原理が垣間見える。
どうしても統制的な組織文化を想起させてしまう。

前述の大山県議の発言は、こうした党風への違和感の表明であり、それに対する田村氏の姿勢は、結果として上記の「統制的な組織原理」が現存していることを、内外に広く知らしめる形になった。

■時代に合わない「政党の体質」は若者にも嫌われる
共産党にとって不幸なのは、こうした組織原理が、同党の目指す政策や政権戦略と合わなくなりつつあることだ。

「ジェンダー平等社会をつくる」「性的指向と性自認を理由とする差別をなくす」「長時間労働や一方的解雇の規制」「企業・団体献金を禁止」「再生可能エネルギーへの抜本的転換」「国民のくらしと社会保障に重点をおいた財政・経済の運営」……。
共産党の綱領に書かれた政策の大半は、他の野党の主張と重なる。
目指す社会像は野党各党の間で、かなり共有されている。
また、しばしばやり玉に挙げられる「日米安全保障条約の廃棄」については、党自身が「連立政権には持ち込まない」姿勢を明らかにしている。

だが、政策と並んで重視すべきなのが「政党の体質や政治手法」だ。
上意下達で統制的、異論に対し「指導」の形で結果的に発言を抑えてしまう政党文化は、人権を尊重し多様性を重んじる社会を目指す姿勢とは相容れない。

共産党が本気でこうした社会像を目指しているのか、姿勢が疑われかねない。
近年注目されている「心理的安全性」の概念からも外れており、若い世代にも敬遠されそうだ。
国政政党として時代に合っているとは言い難い。

■「新しい支持層」も「他の野党との関係性」も失いかねない
2022年に亡くなった元新党さきがけ代表の武村正義氏が、著書『小さくともキラリと光る国・日本』(光文社)にこんなことを書いていたのを思い出す。

「政界再編の過渡期においては、政党の体質、政治手法が、これまで以上に注目を浴びる。
(略)党内の空気がリベラルであるのか、それとも親分子分的であるのか、統制的であるのか。それらを国民がどう感じるか。ここのところも選択の大きな要素となるはずである」

裏金事件に揺れる自民党が国民の支持を失いつつあるのも、政策以上に党の体質や政治手法が嫌われているからだろう。

共産党に限らず、党の低迷期に自らの原点を見つめ直すのは大事なことだ。
だが、時代の要請を無視した過剰な先祖返りに走れば、これまでの「現実・柔軟路線」を通じて党への警戒感を解きつつあった「新しい支持層」を手放しかねない。
「目指す社会像」をともにできるはずの他の野党との「共闘の再構築」も困難になる。

現在共産党に批判のまなざしを向けているのは、前回衆院選で「立憲共産党」批判を浴びせたような、いわゆる保守層ではない。
むしろ、共産党の基本政策と親和性が高く、同党が「共闘」の対象と想定しているような中道・リベラル層(この言い方は好きではないが)であることに思いを致すべきではないか。

■過剰な原理主義に寄りかかりすぎてはいけない
党大会を終えて永田町に戻った田村氏は、大会で見せた硬直性を少し和らげたかにみえる。
通常国会初日の26日、各党へのあいさつ回りに臨んだ田村氏は、党大会で「悪政4党」とこき下ろした日本維新の会の馬場伸幸代表に「(裏金事件の)真相究明は国会の責務だ」、国民民主党の玉木雄一郎代表に「力を合わせて政治を変えたい」と呼びかけた。

日本経済新聞のインタビューでも、次期衆院選に向けた「野党共闘」に関し「すべての政策を各党が一致させる必要はない。一致できるところで力を合わせるべきだ」と述べた。
立憲民主党の泉健太代表が最近掲げている「ミッション型内閣」と言いぶりはあまり変わらないのではないか。

この柔軟性を維持してほしい。

政党には守るべき歴史も、譲れない基本政策もあるだろう。
それこそ多様性の時代なのだから「日米安保条約破棄」をうたう政党もあっていい。
だが、同時に国政政党として、すでに耐用年数を過ぎている自民党政治を終わらせるために、現時点で自らに何が求められているのか、常に考えて行動してほしい。
過剰な原理主義に寄りかかりすぎて、日ごとに激動する政治状況を見誤らないでほしいと思う。

大変厳しい道だと思うが、同世代の女性である田村氏が今後、どのように党のかじ取りをしていくのかを見守りたい。
----------
尾中 香尚里(おなか・かおり)
ジャーナリスト
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なぜ、小保方晴子氏の不正は世界から異様に注目されたのか? ――あなたが知らない科学の真実

なぜ、小保方晴子氏の不正は世界から異様に注目されたのか? ――あなたが知らない科学の真実
スチュアート・リッチー,矢羽野薫 の意見
2024.2.6 ダイヤモンドオンライン

「すべての科学研究は真実である」と考えるのは、あまりに無邪気だ――。
科学の「再現性の危機」をご存じだろうか。
心理学、医学、経済学など幅広いジャンルで、過去の研究の再現に失敗する事例が多数報告されているのだ。

鉄壁の事実を報告したはずの「科学」が、一体なぜミスを犯すのか? 
そんな科学の不正・怠慢・バイアス・誇張が生じるしくみを多数の実例とともに解説しているのが、話題の新刊『Science Fictions あなたが知らない科学の真実』だ。
単なる科学批判ではなく、「科学の原則に沿って軌道修正する」ことを提唱する本書。
イギリスで発刊された本書の中から、今回は、かつて「STAP細胞」で日本中を騒然とさせた小保方晴子氏に関する本書の記述の一部を抜粋・編集して紹介する。

小保方氏は「目を引く証拠を大量に集めていた」
2014年、日本の理化学研究所(理研)の研究チームが、人工多能性幹細胞(iPS細胞)に関連して新たな成果を報告する2つの論文を『ネイチャー』に発表した。

幹細胞と違って、iPS細胞は成熟した大人の細胞から作製できるため、胚由来の細胞を使う必要が少なくなる。
この種類の幹細胞を作製する標準的なプロセスを発見した科学者は2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞しているが、問題は、手間がかかって効率が悪く、数週間を要して多くの無駄が出ることだ。

理研の研究グループは、STAP(刺激惹起性多能性獲得)と呼ばれる別の方法で幹細胞を作製することに成功したと発表した。
成熟した細胞を弱酸性の溶液に浸す(あるいは、物理的な圧力など軽度のストレスを与える)だけで、面倒な手順をかけずに多能性幹細胞に変わるとされた。
研究リーダーの小保方晴子は、顕微鏡写真、グラフ、成熟細胞がリプログラミングされて多能性を獲得したことを示すDNAのブロッティング※画像など、目を引く証拠を大量に集めていた。

※ブロッティングとは、分子生物学の実験で生成したり調べたりする化学物質の組成を解析する手法で、さまざまな種類がある。

世界の研究者が気づき始めた「画像の矛盾」
これは画期的な成果で、小保方は日本で一躍、脚光を浴びた。
彼女個人と風変わりな研究環境(ペットの亀を飼っている、研究室をムーミンのキャラクターで飾る、白衣の代わりに祖母からもらった割烹着を着る)に関する記事が日本中にあふれ、めずらしい女性研究者の輝かしい例として持ち上げられた。
ただし、長くは続かなかった。論文の発表から数日後には、ほかの研究者が画像の矛盾に気がつき始めた。

特にDNAブロッティングの4本の「レーン」は、同じブロッティングのものとされていたが、よく見ると1本だけ背景がほかのものより濃くて、端が不自然にとがっていた。
検証の結果、この1本は別のブロッティングの写真から切り貼りして、別のレーンに合うように微妙にサイズを変えていることが判明した。
論文の本文にそのような説明はなく、透明性を重視する科学者の行動とは到底、思えなかった。

画像の複製・反転・色の調整…次々と異常が明らかに
その後もさらに多くの異常が明らかになった。
写真の一部は現像後に色が調整されていた。
小保方は画像の複製もおこなっていた。2本目の論文で異なる対象とされている写真のうち2枚は同じ写真で、もう驚きさえないが、片方を裏返しにしただけだった。

一方で、普通はあまりないことだが、世界中の研究室が小保方たちの実験結果を再現しようと躍起になった。
STAP細胞の欠点の1つは、あまりに単純な手法だったために、ほかの研究者が簡単に再現を試みることができたことかもしれない。
ある細胞生物学の教授は、再現実験の経過報告を発表できるサイトを作った。
肯定的な結果や有望な結果は緑色の字で、再現に失敗したものには赤色の字で表示したが、次々に届く報告はほぼすべて赤色だった。

「STAP細胞の物語」あまりに悲しい結末
 画像の検証や再現実験を通じて圧力が高まるなか、理研は調査委員会を設置し、画像の改ざんを認定した。
小保方たちは『ネイチャー』に論文の撤回を申請し、2014年6月までに撤回された。小保方は同年12月に理研を退職した。
さらに詳細な調査がおこなわれ、小保方の罪状は画像の改ざんだけではないことが判明した。
古い研究の画像を新しいものと偽って添付したり、細胞の成長速度を示すデータを捏造したりしていたのだ。
多能性を示す証拠はどれも、彼女がサンプルに胚性幹細胞(ES細胞)を混入させたために生じていた。

STAP細胞の物語はあまりに悲しい結末を迎えた。
幹細胞の研究で知られる優秀な生物学者で小保方の論文の共著者だった笹井芳樹は、不正行為には直接関与していなかったが、理研の報告書では小保方の結果をダブルチェックしなかった「重大な責任」があると指摘され、2014年8月に理研の建物内で首を吊って自殺したのだ。
52歳だった。彼は遺書で、小保方の不正が発覚したことで始まったメディアの騒動に触れていた。

不正な論文が“異常なほど”世界の注目を集めた
これは、不正な論文が異常なほど注目を集めた事例だ。
小保方氏の論文は世界でも権威ある『サイエンス』と『ネイチャー』に掲載された。
これほどわかりやすい偽物がこれらの学術誌の審査を通過したことだけでも十分に問題だが、その名声ゆえに論文はすぐに世界の注目を集め、詮索にさらされた。

このような不正が科学界の最高レベルでおこなわれているのであれば、知名度の低い学術誌では、はるかに多くの不正が目立たないようにおこなわれているのだろう。

(本稿は、『Science Fictions あなたが知らない科学の真実』の一部を抜粋・編集したものです)


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2024年02月07日

がん闘病の森永卓郎氏 マイナ保険証の切り替えに「非現実的」「保険証で誰か困るのか、誰も困っていない」

がん闘病の森永卓郎氏 マイナ保険証の切り替えに「非現実的」「保険証で誰か困るのか、誰も困っていない」
2/5(月) スポニチアネックス

 ステージ4のすい臓がん闘病を公表した経済アナリストの森永卓郎氏(66)が5日放送の文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(月〜金曜後1・00)に生出演。
マイナンバーカードを保険証として使う「マイナ保険証」について語った。

 番組では今年12月の現行保険証の廃止に向け厚労省がマイナ保険証の利用促進を訴える中、昨年11月分の国家公務員の利用率が4・36パーセントだったとするニュースを紹介。
パーソナリティーの大竹まことは「防衛省の利用が2・5パーセントと。市民の間でも下がってきているんですけど、防衛省が下げているという話になっちゃいますね」と話した。

 森永氏はがん治療に加えて1月に尿管結石で救急搬送されたことを明かしており、「私この1カ月半、もの凄い数の病院とクリニックに行っているんですけど、マイナンバーカード出して下さいって言った病院1個もないですよ。
私個人的には0パーセントです。
だって出せって言わないんですもん」と言及。
「私はどっちでもいいんですけど。マイナンバーカード持って行ってないので言われても困るんですけど、言われないので」と自身の経験を語った。

 これに大竹も「私もこの間、薬もらったんですけど、保険証。私も保険証しか持ってない」と同意。
森永氏は「だからマイナ保険証に全面切り替え自体がちょっと非現実的、無理しすぎている。
保険証で誰か困るのかって。
誰も困っていない」と語り、
大竹は「森永さんがこんなに病気しても困らないっていう。それこそ困りましたね」と苦笑いで応じた。
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日本人はまんまと旧ジャニーズの「時間がたてば忘れる作戦」にハマった…元文春編集長「怒りの公開質問10カ条」

日本人はまんまと旧ジャニーズの「時間がたてば忘れる作戦」にハマった…元文春編集長「怒りの公開質問10カ条」
2/6(火)  プレジデントオンライン

ジャニーズは約束を何も果たしていない。
あれほど「反省」を口にしていたメディアも、年が明けたらもう、ジャニーズ頼みの番組編成に戻りつつある。
能登半島地震や松本人志の性加害事件に話題が集中する陰で、目論見通り「時間がたてばみんな忘れてくれる」という戦略。そんなジャニーズとメディアに、元週刊文春編集長が、10カ条の公開質問状をたたきつける――。

■口先だけの「反省」で終わらせようとしているのか
 やはり、ジャニーズ問題は「一億総懺悔」で終わってしまうのでしょうか。
 BBCの報道に始まったジャニー喜多川氏による、1000人以上という大規模な性加害に対して、藤島ジュリー社長は2023年5月に動画で謝罪し、元NHKの武田真一氏は「報道側として報じる責任があった」と認めてからは、9月以降、宮根誠治や大物キャスターが次々反省の弁を述べ、メディアの社長も軒並み報道機関としての責任を感じるとコメントしました。

 そして9月7日と、10月2日には2度にわたりジャニーズによる記者会見も行われ、ジャニー氏の犯罪行為への謝罪と被害者への補償を尽くすことが繰り返し強調されたことは記憶に新しいはずです。
 しかし、それから約3カ月、ジャニーズ側の記者会見は行われていません。
被害者補償が成立した人数が発表されたり、旧ジャニーズは新会社「SMILE=UP.」として補償のための清算会社となり、タレントとはエージェント契約を結ぶための新会社である「STARTO ENTERTAINMENT」と看板は変わったものの、あの記者会見で約束されたことはほとんど闇の中です。

 たとえば、マスコミへの圧力をかけた白波瀬傑副社長について、「いずれ会見させる」とコメントしたはずですが、いつのまにか退職。会見に出てくる気配ありません。
 戦後の「一億総懺悔」と同様に、みんながただ口先だけの「反省」を繰り返し、責任の所在をあやふやにしている。
そして、ただほとぼりが冷めるのを待っている……。


 「ジャニーズ性加害問題当事者の会」は10月8日、記者会見のやり直しを求める要請文まで発表しましたが、放置されたままです。

 いや、その間、重大な事件もおこりました。
被害者の自殺です。
遺族らによると、深刻なトラウマを抱えていた被害者は元タレントで、5月には被害を事務所に訴えたものの、連絡するという返事が来たまま5カ月の間、全く放置されていたとのことです。
 また、ジャニーズ性加害問題「当事者の会」の石丸志門副会長によれば、「当事者の会」を通じて、被害者補償が行われたことはないと言い切っています。
事務所が公言した「法を超えた補償」はどこヘ行ったのでしょうか。

■この「謝罪騒動」は茶番に終わると思っていた
 私は、週刊文春のキャンペーン、そして、その後の裁判勝利、以降続いた彼らの文春への圧力の数々を経験していたため、元々この「謝罪騒動」は茶番に終わると思っていました。


 ジャニーズ側の記者会見は、危機管理専門弁護士を起用したり、NG記者リストをつくったりと、事実を直視し、公開するより、時間がたてばみんなが忘れるという作戦だったと睨んでいました。
 そして、それは見事にうまくいっているようにみえます。
たしかに補償は少しは行われていますが、解決の速度はきわめて遅いといわざるを得ません。

 反省したはずのメディアも、新年になって、4月改編のドラマでは木村拓哉主演の番組が発表されるなど、続々ドラマ主演の話が飛び出してきました。
 ジャニーズ抜きのNHK紅白歌合戦が史上最低視聴率を記録したり、ジャニーズ中心のカウントダウンTVをバラエティ「逃走中」に切り換えたものの視聴率は3.4%。
もう、ジャニーズ頼みの編成に戻ろうとしているのです。

 メディア、特にテレビ局は、ジャニーズに忖度(そんたく)し、性加害の場所まで提供した、いわば共犯者であるという自覚があまりに足りないと思うのは私だけでしょうか。
 殻にこもって、なんとか逃げようとする人間に大声を上げても、立ち止まるはずはありません。
いや、国民全体も、記者会見をみて、記者のパフォーマンスでしかない行動に呆れ、メディアの反省もジャニーズの反省も一時のことだと悟ってしまったのではないかと思います。

■確約していた記者会見はいつ開かれるのか
 しかし、私は、このまま放置して、かつての「一億総懺悔」のようにしてしまえば、日本人が変わる機会を失うと思っています。
再度、二つに分かれた会社の記者会見を要求するとともに、まず、事情をもっとも知る元週刊文春の編集長として、公開質問を送りたいと思います。
まずはこの基本的問題に会見で答えてから、各自の質問に移れば、NG記者リストなどつくっても無意味になるからです。

 以下、私の公開質問です。
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1.白波瀬傑元副社長の会見はいつ行うのか?
2.矢田次男弁護士の会見はいつ行うのか?
3.新会社の原資はどこから調達するのか?
4.新会社の名前やグループ名の選定は、ファンクラブにどのように相談するのか?
5.なぜそこまでファンクラブに権限をもたせるのか?
6.ヤング・コミュニケーションの社長には誰が就任するのか?
7.誠実に被害者への補償に向き合う気持ちが本当にあるのか?
8.ジャニー氏の行動が刑事事件に値するという認識はあるのか?
9.メディアへの圧力に対する謝罪の意志はないのか?
10.各メディアは、性加害に手を貸した自社の職員を探しだす気はないのか?
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 まずは1.記者会見で、東山紀之社長が出席を確約されていた、マスコミイジメ、いや「マスコミ抱き込み」のプロ・白波瀬傑元副社長の会見はいつになるのでしょうか。

 そして2.同じく裁判でのジャニーのホモセクハラの言い分(編集部注)を聞いていた顧問弁護士矢田次男氏の出席はないのでしょうか。ジャニーズ内部では、裁判の敗北は、顧問弁護士が下手だったからと言われていたと記者会見で公言されて、矢田弁護士は、黙っているのでしょうか。

 3.スマイルカンパニーの100%の株をもつジュリー氏は、すなわち旧ジャニーズ事務所の財産をすべて握っています。
その状態で、多数のタレントを抱えている新会社は、いったい何を原資として、稽古場や打ち合わせ場所など新会社に必要な施設を用意するのでしょうか。
その原資はどこから調達するのでしょうか。

 ジュリー氏は、一切カネを出していないと言っていますが、今のところ、ジュリー氏のもつ会社のものを借りて、原資もジュリー氏から借りるしかないのではないでしょうか。
新会社の福田淳CEOは、金融機関からの借り入れで、当面の運転資金はめどがついたとメディアに語っていますが、本当でしょうか?

 4.新会社の名前やジャニーズを冠したグループ名の選定をファンクラブに相談するということですが、これは全員にアンケートでも取ったのでしょうか。
それともファンクラブの一部幹部と話し合ったのでしょうか。

(※編集部注)1999年10月から14週にわたって行われた『週刊文春』のジャニーズに対する「ホモセクハラ」追求キャンペーンに対し、ジャニーズ側が同年11月にジャニーズ事務所とジャニー喜多川氏が文春に対して名誉毀損(きそん)で提訴。裁判でジャニー氏は、少年たちへの性加害に対して「一切ございません」と答えているが、「少年たちがウソをつく理由がありますか?」という弁護側の問いに、「彼らがウソの証言をしたということを、僕は明確には言い難い」と答えた。文春の弁護は、その瞬間に「勝った」と思ったという。

■500億円のファンクラブの収入
 5.なぜ、そこまでファンクラブに権限をもたせるのでしょうか。
ファンクラブはファミリークラブと称しますが、以前から1200万人の会員を抱えるとジャニーズ事務所は公言していました。
入会金は1000円。年会費は4000円。
一人4000〜5000円を1200万人の会員数と計算すると、約500億〜600億円もの収入があることになります。
このクラブの収入は、どこに上納されるのでしょうか。

 2022年12月に東京国税局から“お年玉”など約9000万円を経費計上していたものは経費に認められないとして、約4000万円を追徴課税されていましたが、事務所の“常識外れ”な会計処理がうかがえます。

 また、これはあくまでも会費です。
チケットを買うために家族を全員会員にしているケースもあるといいますし、ファンクラブに入るのはコンサートで「ファンクラブ優先チケット」を申し込むためですが、そのチケットに当選したファンが代金を支払う先は、ジャニーズFCを運営しているジャニーズ事務所ではなく、「ヤング・コミュニケーション」という企業になっています。

 6.7日の会見で、ジャニーズ事務所社長の辞任を発表したジュリー氏ですが、9月の時点ではヤング・コミュニケーション社の代表取締役は外れていません。
発表もありません。オカネのなる木であるこの会社は、大事なはず。
グループ会社をすべて引退するとジュリー氏が言うなら、この会社の社長は誰になるのでしょうか。

 7.補償については、その後も、被害者が増加しているにもかかわらず、補償が確定した人数はわずかです。本当に誠実に補償に向き合う気持ちはあるのでしょうか。元々性加害に関する補償は、経験豊かな弁護士などによると、大体数百万円にしかなりません。

 被害者の多くは、ただ性加害を加えられただけでなく、その精神的苦痛により、人生そのものを破壊された人々が多く、その人々に、弁護士ばかりのチームで彼らの人生を取り戻すような気持ちのこもった補償ができるのでしょうか。

 HPの申し込みフォームを通じて、被害を届け、外部の三人の弁護士により、聞き取りをして補償額を決めるということは、あまりに、誠意のない補償行為だと考えます。多大なトラウマを抱えた被害者が自殺までしているという現状なら、このスキームでは、また自殺者がでないとも限りません。

 弁護士を増やすとか、ジュリー氏本人が被害者一人ひとりと話し合うとか、人間味のある対応ができないのでしょうか。
そして、プライバシーの保護を前提として、補償額も公表すべきです。

■刑事事件になったら共犯者は自首してほしい
 8.事務所に残ったメンバーには、ジャニー氏の行動が刑事事件に値するという認識はあるのでしょうか。
児童保護法の時効は7年です。加害者自身が死亡しているとしても、これだけ多くの被害者が存在しているのです。
中には時効以内であるこの7年以内に被害を受けた人物もいるでしょう。
 彼らが被害を告発したなら、捜査は司直の手に委ねられます。
その場合、共犯者は当然ながら刑事事件に問われます。
私の目には、刑事事件に値する事件であることは明らかですが、事務所の謝罪の中には、刑事事件を犯した、それに手を貸したという自覚はあるのでしょうか。

 もし共犯であると自覚した人物がいるなら、ぜひ自首して、事務所が児童を扱っているにもかかわらず、あまりに保護者の視点が足りなかったということを公表し、良心をみせる職員が出てきてほしいと思います。

 9.記者会見では、ジャニー氏の性加害については何度も謝罪がされていますが、マスコミへの圧力や、テレビ局へのタレント起用の圧力については、何ら触れられていません。
これは、謝罪の意志はない、あるいは間違ったことはない、という意志の表れなのでしょうか。
それとも、今後徹底的に調査して、謝罪する意志はあるのでしょうか。あるのであれば、即刻調査チームを結成発表していただきたいものです。

 10.各メディアは検証番組や記事で、性加害の場所を局内などで提供した事実を認めています。
犯罪行為に手を貸した職員を探し出し、警察に協力させて、その施設を利用した職員をあぶりだす行為はしていないのでしょうか。
昔の話で分からなかったなどと弁明している会社がありますが、報道機関の調査力とは、その程度のものなのでしょうか。

■現役タレントに被害者はいなかったのか調査せよ
 そして、最後に申し上げます。
現役タレントにも被害者がいなかったか、プロの調査チームを結成して徹底的に調べていただきたいと思います。
被害者でありながらスターの地位を失いたくないばかりに泣き寝入りしている人物がいたら、それこそ気の毒です。

 私はその彼に言いたいのです。勇気をもって発言することこそが、名もなき被害者への勇気づけであり、また女性をはじめ、弱い立場に寄り添い、勇気をもって世の中の不正と戦うことこそ、人生を取り戻す機会になることを教えることになる、と。

 口だけの反省……私たち日本人は戦後、「一億総懺悔」という情けない行動をとりました。
昨日まで戦争万歳だった先生が、教科書に墨を塗って民主主義を叫び、徴兵がくれば大喜びで、近所の若者を兵隊に送り出していた国防婦人会が、突然、軍部の暴走により空襲でひどい目に遭いましたと告白するようになりました。

 そして、そんな反省はいつのまにか忘れられ、敗戦によって得た男女平等も、三権分立も、報道の自由も、時がたつにつれてどんどん後退しているというのが私の持論です。

 経済界はCM自粛という手段をとり始めましたが、刑事事件にすることを考えなかった司法機関、児童保護機関の見識も問いたいと思います。なにしろ、あの記者会見の真っ最中に、辞めたとはいえジャニーズのシンボルともいえる近藤真彦に一日署長を平気でさせていた警察です。ジャニーズのこういう警察抱き込み行為に騙されていたことを告白する幹部は出てこないのでしょうか。

 たかが週刊誌が発掘した事件、たかが男性の性被害……そんな古い感情でメディアは、最高裁で認められた性加害を報じることを見送り、警察も捜査さえしようと思いませんでした。令和の時代は、この数十年の日本の閉塞感を吹っ切って、明日を切り開く時代になってほしい。

 そのためには、まず、この事件を克服しましょう。女性ファンたちも、現役が告白することを応援し、それを望む声明を出してこそ、時代を切り開く行動になると自覚してほしいと考えます。

 そして、「反省」を口にしたメディアの幹部やMCのみなさん。その言葉を私はずっと覚えています。そのことを忘れないでください。

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木俣 正剛(きまた・せいごう)
元週刊文春編集長
1955年生まれ。編集者。元週刊文春編集長。元文藝春秋編集長。大阪キリスト教短期大学客員教授。OCC教育テック上席研究員。
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2024年02月08日

医者が教える「老化を止めて若々しくなるための方法」ベスト1

医者が教える「老化を止めて若々しくなるための方法」ベスト1
2024年02月07日 ダイヤモンドオンライン

「老化を止めて若々しくなるための方法を教えましょう」

そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。
「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。
この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

■「老化」の原因とは?
「最近、急に老けた」
 そんな悩みを持っていませんか?

 人間の「老化」は常に一定方向で、巻き戻しはできない。
そんなことは当たり前と認識されていますが、じつはこの「老化」というプロセスは、「ストレス」によって変化することがわかっています。

「ストレスは万病のもと」という言葉があるほどに、ストレスは人間の体にさまざまな変化を引き起こすことは科学的にも認められています。
 ストレスによって気分が落ち込んだり、睡眠障害を引き起こしたりするなど、精神的な影響は一般的ですが、ストレスが大きすぎると高血圧や胃潰瘍など、人体に多大な影響を及ぼすことも明らかとなっています。
 そんなストレスですが、最近の研究によって、私たちの「老化」プロセスにも関連していると示されています。

 学術誌『セル』に掲載された研究によると、手術や新型コロナウイルス感染症の重症化、妊娠など、大きなストレスを伴う状況では生物学的な老化が急速に進行することが示されています。

■「老化」のプロセスを止める方法
 あなたの周囲にも「急に老けた」と感じる人はいませんか?
 白髪が増えたり、シワが目立つようになったり、急激に体重が減少し、肌荒れが起こったりと目に見える変化が起こることがあります。

 そんなストレスによる老化ですが、じつは外見だけでなく、精神面や脳にも影響するとわかっています。
 耳の聞こえが悪くなったり、記憶力が悪くなって忘れ物をしたり、仕事中や大事な場面でぼーっとしてなにもできなくなったりと、「もしかして自分は認知症かもしれない」と思うような状態になってしまいます。

 これほど私たちの「老化」というプロセスには「ストレス」が大きく影響するのです。

 ただ、同じ研究の中で「ストレスを減らすことで老化も逆転できる」ということも示されています。
 あなたの周りにも、「仕事をやめた途端に若々しくなった」とか、「育児がひと段落して肌ツヤが良くなった」など、ストレスが減ったことで若返ったように見える人もいるでしょう。
 そんな人は外見だけでなく、ストレスから解放されたことでハキハキと話したり、活動的になったりと思いっきりエネルギッシュに見えることだってあります。

 私たちが普段考えている以上に、人間の「老化」とは柔軟なプロセスであり、進んだり、また戻ったりと、私たちの普段の生活に影響を受けているのです。

 ストレスを減らして、楽しいことを見つけて、日々を彩る。
たったそれだけでも、私たちは若返る可能性を秘めているのです。

(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)

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2024年02月09日

前橋・京都市長選の結果にみる「自民離れ」の深刻さ

前橋・京都市長選の結果にみる「自民離れ」の深刻さ
保守王国でも大敗、裏金事件に有権者の怒り
泉 宏 : 政治ジャーナリスト
2024/02/08 東洋経済オンライン

2月4日に投開票された前橋、京都両市長選の結果が自民党に衝撃を与えている。
保守王国・群馬では自公推薦現職が大敗、「非共産対共産」の構図となった京都では、自公に立憲民主、国民民主が推薦した最有力候補が、共産支援の候補にあと一歩まで追い詰められたからだ。

今回の選挙結果を客観的に分析しても「裏金事件での自民党の拙劣な対応への有権者の怒りの表れ」(自民長老)であることは明らかだ。
各メディアの出口調査では保守層が棄権するか一定割合が共産支援の候補に投票したとの分析もあり、「まさに、自民への不満、不信が有権者の投票行動を一変させた結果」(自民選対)であることは否定しようがない。

最新の各種世論調査では、下げ止まったとみられていた岸田文雄政権の内閣支持率も再下落、しかも自民党の政党支持率は多くの調査で「過去最低」となっている。
ただ、その一方で、立憲、日本維新の会の「2大野党」も支持率は低迷したままで、「現状では直ちに政権交代という可能性は低い」(選挙アナリスト)との見方もある。

そうした中、当面の焦点の4月28日投開票の統一補選として実施される島根1区、東京15区、長崎3区については、今回の両市長選結果も踏まえ、自民党内でも「与野党対決の構図となれば全敗しかねない」(選対幹部)との危機感が広がっており、「その場合は党内で本格的な岸田降ろしが始まる」(麻生派幹部)と予測する声も出始めている。

山本・群馬県知事が「初めて目撃した現象」と驚く
 まず、前橋市長選は、自民、公明両党が推薦した無所属現職として4期目を目指した山本龍氏を、立憲、共産などの地方議員から支援を受けた元県議の新人、小川晶氏が大差で破り、事実上の与野党対決を制した。
福田赳夫、中曽根康弘両元首相(いずれも故人)ら首相を輩出し、県選出の全国会議員が自民という全国でも有数の保守王国・群馬での野党系候補の圧勝は、裏金事件での自民批判の厳しさを立証した格好だ。

自民党参院議員を4期務め、2019年7月に知事に転身し、今回も現職を支援した山本一太同県知事は、選挙結果を受けて自らのブログに、「今回の選挙は、現職陣営の完敗だ!!(キッパリ)」と書き込んだ。
同知事は約1万4000票差の敗北について「思った以上の差がついた。投票率は、前回より3.77ポイント低い39.9%だった!! 投票率が4ポイント近く低下したことを見ると、今回の選挙で新人候補のブームが起こったわけではないことがよく分かる!!」と指摘。
そのうえで「最大の要因は、『本来なら現職候補を支持してもらえるはずの保守系の票』の一部が、相手候補に取り込まれたことだ!! 
加えて、『無党派層からの支持』という点で、終始、新人候補に大きく水を空けられていたことも、主要な敗因の1つだろう」と分析し、「30年近い政治家としてのキャリアの中で初めて目撃した現象」と驚きを隠さなかった。

京都は福山氏が「負けても勝利」と胸張る
一方、京都市長選は、自民、立憲、公明、国民民主の4党が推薦した元官房副長官で新人の松井孝治氏が、共産党が支援した弁護士の福山和人氏と「大接戦の末の辛勝」(自民府連)を余儀なくされた。

選挙戦は4期16年務めた前市長・門川大作氏の引退表明を受け、新人5人の争いに。
その中で、松井氏は、自民、立憲など4党に加え、門川氏や各経済団体、連合京都などから幅広い支援を受け、「非共産候補」として万全の態勢で圧勝を狙った。
しかし、共産党支援の福山氏に得票率で約3.5ポイント(約1万6000票)差まで迫られた。
各中央紙の出口調査などでは、投票した有権者の6割超が「政治とカネ」の問題を考慮したと回答するなど、自民の裏金事件への有権者の厳しい判断が、大接戦の要因となったのは間違いない。

選挙戦序盤から防戦を強いられた松井氏陣営は「自民色を前面に出すのは逆効果」と判断し、自民執行部も党幹部の応援演説を控えた。
このため、自民府連は松井氏の当選を受け「膿(うみ)を出し切って、国民の政治不信を払拭(ふっしょく)しなければならない」と厳しい表情で語った。

自民に代わって選挙戦を主導した岡田克也・立憲幹事長は5日、「自民はほとんど動けなかった。やはり自民に対する逆風はあると思う」と思わざる辛勝に肩を落とした。
対照的に、敗北した福山氏は「政治に対する市民の不満がマグマのようにたまっていた。ここまで肉薄できたのは市民の勝利だ」と胸を張った。

両市長選結果の最大の特徴は、投票率が上がらなければ有利となるはずの組織票を持つ自公支援候補が、保守層が敵視するはずの共産系候補に惨敗や苦戦するという「これまでにない戦いの構図」となったことだ。
特に出口調査などでの無党派層の支持動向をみると「自民支持の激減」は明らか。
だからこそ、4・28統一補選への自民の危機感が広がるのだ。

「4・28補選」は「自公VS乱立野党」の構図に
その統一補選だが、現状では細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、柿沢未途前法務副大臣の議員辞職に伴う東京15区、裏金事件で立件された谷川弥一前衆院議員の議員辞職に伴う長崎3区の3か所となる見通し。
この3補選で自民の司令塔となる茂木敏充幹事長は2月1日のBSフジ「プライムニュース」で「2つ不戦敗はありえない」として最低でも2つの補選での候補者擁立を明言した。

まず島根1区補選は、安倍派前会長の細田博之前衆院議長の死去に伴うもので、自民党島根県連は1月16日、同補選に新人で元財務官僚を擁立する方針を決めた。
これに対し、立憲民主は同選挙区で比例復活した衆院議員を、さらに共産党も独自候補をそれぞれ擁立することを決めており、与野党対決の構図となるのは確実だ。
そもそも故細田氏については、自民の裏金事件を巡って「安倍派会長として直接関与した」(司法関係者)との指摘もあり、同補選の自民新人候補も「苦戦必至」との見方が少なくない。
ただ、次期衆院選で立憲との野党第1党争いを目指す維新も独自候補擁立の構えで、「野党乱立となれば、公明の支援も受ける自民が優位」(選挙アナリスト)との声も出始めている。

次の東京15区も、この「自公対乱立野党」の構図となる可能性が大きい。
衆院は2月1日の本会議で、江東区長選での買収容疑により逮捕・起訴された柿沢氏の辞職を許可。
これを受けて各党はそれぞれ擁立候補の選任を進めているが、自民、立憲、維新の“3強”に加え、「新興勢力」として注目されている日本保守党も候補擁立の構えだ。

作家で同党代表を務める百田尚樹氏は2月3日、ネット上で同補選について「誰かを立てます。初陣になります」と明言した。昨年9月結成の同党にとって初の国政選挙となり、百田氏は出馬希望者との面談を経て、近く候補者を決めて公表する見通しで、今後の展開次第では島根1区以上の「野党乱立」となる可能性がある。

長崎3区は自民内に「不戦敗」論も
一方、残る長崎3区は「他の2補選と状況を異にする」(自民選対)。
自民裏金事件で立件され、自民党を離党したうえで議員辞職した谷川氏の後任を決める補選となるが、自民党内には「主戦論」と「不戦敗論」が交錯している。
というのも、すでに決まっている衆院選挙区の「10増10減」で、次期総選挙から同県内の選挙区は1減となる。
しかも、今回補選となる3区は新2区と新3区に分かれるため、「補選で当選しても、次期衆院選で新たな選挙区から立候補できる可能性は低い」(自民選対)とみられているからだ。

自民県連幹部も「自民の候補擁立には大義がない」と語るなど県連内には「不戦敗論」がくすぶる。
その一方で「(逆風でも)立候補すること自体がみそぎだ」との「主戦論」も多く、自民内の調整は難航必至。
これに対し立憲はすでに同区を地元とする衆院議員=比例九州=の擁立を決定。
さらに維新も2月6日、新人を擁立する方針を固め、近く正式発表する段取りだ。

 こうした状況から、永田町では「3補選とも野党乱立なら自民の漁夫の利による勝利もあり得る。
要は、4月以降の政局展開次第」(選挙アナリスト)との見方がある。

ただ、7日の衆院予算委基本的質疑でも岸田首相は野党の追及に防戦一方で、しかも“論点外し”の答弁が目立つことから「今後も国民の岸田批判は強まるばかりで、楽観論などあり得ない」(自民長老)との厳しい声も広がる。


泉 宏 政治ジャーナリス
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2024年02月10日

政治家や官僚の皆さんは、自分たちがマイナカード使わないのなら、国民にあーだこーだ言うのやめてくれないか

政治家や官僚の皆さんは、自分たちがマイナカード使わないのなら、国民にあーだこーだ言うのやめてくれないか
2/9(金)  FNNプライムオンライン


マイナ保険証利用は100人中たった5人
病院に行って健康保険証でなくマイナンバーカードを出すと、昨年までは「すみません、機械がまだ来ないので受付けできません。保険証お持ちですか」と言われることがよくあったのだが、年が明けてようやくそんなこともなくなった。

マイナ保険証が根付いたのかなとも思ったのだが、一方でマイナ保険証を取得できない人、したくない人のため、保険証の代わりになる「資格証明書」を取得しやすくなった。

12月には普通の保険証が廃止され、形式的にはマイナ保険証のみになるのだが、実際にはマイナ保険証なしに保険医療を受けられる。
これではマイナ保険証は普及しないのではないかと薄々思っていたのだ。

案の定、2月6日付けの朝日新聞に「マイナ保険証利用、国家公務員も低迷。利用訴える厚労省は4.88%」という記事が出た。
あれだけ国民にマイナカードと保険証を合体させると言っている厚労省の官僚100人のうち、マイナ保険証を使っている人はたった5人しかいない。
ずいぶん国民をナメた話ではないか。

政治家と官僚が国民をナメている
これについて武見敬三厚労相は6日の会見で「国家公務員はもっと頑張らなきゃいけないな。これではまだ低すぎる」と語ったという。
頑張らなきゃいけないな、か。ずいぶんのんびりしてますな。

筆者は高齢者にこそデジタルは必要なものだと思っている。
だからマイナカードについてもこれまでその必要性を説いてきたつもりなのだが、厚労相がその程度の認識ならもう言うのやめようかな。
そう言えば一昨年、ある野党の議員が菅義偉内閣の政務3役はマイナカードを持っているのかという質問主意書を出したことがあった。
答えは77人の政務3役のうち10人が持っていなかった。

政治家や官僚が「マイナカードはデジタル社会にとって必要だ」と言うから、筆者は7年前にマイナカードを取得し、1度更新もした。
いちいち区役所に行かねばならずホントに面倒くさかった。マイナ保険証の手続きもすぐにした。
だが実は政治家も官僚も、マイナカードやマイナ保険証は別にあってもなくてもいいと思っているのではないか。

アナログ日本でいいんじゃないの?
マイナカードやマイナ保険証が根付かないのは、デジタルを「敵視」する高齢者の問題なのかと思っていたのだが、どうやら違うようだ。
推奨している側の政治家や官僚に当事者意識がないことが理由だったのだ。

たとえば病院にマイナカードを持って行き、受付けしても、それだけではすまない。
診察券を出せ、問診票も書けという。薬局に行くと、おくすり手帳を出せ、問診票を書けという。
そういうのはマイナになればなくなると思っていたのだが昔のままで、理由を聞いても誰も教えてくれない。
これではマイナ保険証を使う人は増えないだろう。

これは厚労省および医療業界の意識の問題だと思うのだが、他のマイナカードを使えるサービスも一事が万事こういう感じだ。
マイナカードを「持っていれば得をする」のであれば使う人も増えるかもしれない。
マイナ取得にポイント還元というのもあったし、政府は例えばマイナカードを提示すればショッピングや飲食で割引、という制度を考えているという。
それはそれでいいと思うが、「持っていれば得」には限界があって「持ってないと損」にしないとだめだと思う。だがそれは日本においては無理だろう。

結論から言うと日本にはマイナカードも、マイナ保険証も、そしてデジタルそのものも、しばらくの間は限定的にしか使われないと思う。
それは日本がアナログでも十分に便利な国だからだ。
おそらく今年65歳になる筆者が生きている間、この国はアナログのままなんだろうな。


平井文夫
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2024年02月11日

プロは知っている「犯罪者に狙われやすい家」に共通している特徴

プロは知っている「犯罪者に狙われやすい家」に共通している特徴
2/10(土) 女子SPA!

 2023年、社会を震撼させた広域強盗事件。“ルフィ”などと名乗る指示役が闇バイトで実行役を募り、各地で引き起こした一連の強盗事件は、日本人の防犯意識を高める出来事でした。
YouTubeでプロならではの住宅の情報を発信する平松建築の平松明展さんも、防犯意識の高まりを肌で感じているそうです。

減り続けていた刑法犯の認知件数が増加傾向に
 平松さんは「防犯対策の動画をYouTubeにアップしたところ、100万再生を突破しました。以前と比べて防犯に対する意識や関心は確実に高まっているのではないでしょうか」と指摘します。

 警視庁が公表している「令和4年の犯罪情勢」によると、2002年をピークに減り続けてきた刑法犯の認知件数が、20年ぶりに増加に転じたとのこと。
 増えた犯罪のひとつが在宅中の住人を脅して金品を奪う「住宅侵入強盗」で、2022年の認知件数は前年比20.6%増でした。

こんな家は泥棒や強盗に狙われやすい!
 住宅のプロである平松さんをもってしても、「泥棒や強盗が絶対に入れない家は作れない」と言いますが、「狙われにくい家にはできる」と教えてくれました。

「泥棒や強盗が入りやすい家には、いくつかの共通点があります。
まず、塀が高い家。乗り越えにくいイメージがあると思いますが、中に入ってしまえば身を隠せるので、侵入者にとっては好都合なんです。窓が多い、窓が広い家も侵入しやすくなるので避けたほうがいいですね。あとは勝手口も極力付けないほうが安全。
これは長年、泥棒を追ってきた刑事さんの家を建てたときに聞いたのですが、勝手口があると施錠を忘れることがあるほか、たとえ施錠していても通風口の窓の鍵を開けて侵入するケースもあるようです」

手軽にできるオススメの防犯対策
 これから家を建てるときは塀を低くして、窓を減らしたり、小さくしたりする、さらに勝手口を付けないのが防犯対策として期待できそうです。
また、すでに家を購入した人でも手軽にできる防犯対策を聞きました。

「侵入者は目立つことを嫌がるので、歩くとものすごい音がする防犯砂利を庭にまくのが有効です。
死角になりそうな場所に、人感センサー付きのライトを設置するのもいいでしょう。
人感センサー付きのライトは、防犯性を高めつつ利便性を高めることができます。

あとは、クラウド保存ができる録画機能付きの防犯カメラとインターフォンもオススメ。防犯カメラは高いと思うかも知れませんが、1万円前後で購入できます。
犯人に壊されてもいいように、Wi-Fiで動画を送れたり、クラウドに保存できたりするものだと安心です。

侵入する前に、インターフォンを鳴らす犯人もいるようなので、より防犯性を高めるならインターフォンも録画機能付きに新調するといいでしょう」

 防犯のため、あらかじめ準備できることは少なくありません。
物騒なニュースが少なくない昨今、ぜひ参考にしてみてください。

<取材・文/黒田知道>
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2024年02月12日

党員減少の要因は「党中央の方針の誤りだった」

共産党初の女性委員長・田村智子氏単独インタビュー 党員減少の要因は「党中央の方針の誤りだった」
2/11(日)   AERA dot.

 共産党で初の女性委員長になった田村智子氏。期待は大きいが、課題も少なくない。
党員が半減した理由は何か、党名の変更はあるのか──。AERAの単独インタビューに応じた。

*  *  *
――共産党の新委員長に選ばれ、大きな期待がかかっています。
今回の人事について、前委員長の志位和夫議長は「田村委員長は、あらゆる面で最も適任の方だということでみんなの意見が一致した」と言われました。
ご自身、どうして委員長に選ばれたと思われますか。

田村:
選ばれた側からは、それ以上は言えないところがあります。
ただ、受け止めということで言えば、私はどうしたら日本共産党を大きくできるか、今の日本の政治を変えるにはどうすればいいかという、ただその思いでやってきたらこうなった――。これが私の実感です。

――委員長になってプレッシャーは?

田村:
もちろんプレッシャーはあります。だけれども、「よし、やっていこうじゃないか」という、その決意は固めることができたと思っています。

──共産党の委員長交代は23年ぶりで、初の女性委員長です。

田村:
まず「自分ごと」というより、「あぁ、日本共産党にとって新しい歴史が一つ刻まれることになるんだ」と感動しましたね。その上で、日本はジェンダーギャップが大きい国です。
女性が感じてきた不利益は、ジェンダーの視点で変えていかなければいけないと思っています。
 一番は、私もそうでしたが、妊娠・出産をして、しばらく活動を抑えなければいけませんでした。
社会人であれば、いろんな経験を経て脂が乗った時期に、いったん最前線から身を引かざるを得ない。
これを不利益にしないためにどうすればいいのか。党にとっても、日本社会にとっても大きな課題です。

■党員半減の二つの要因
──共産党の党員は1990年に50万人ほどいたのが2020年には27万人と、ほぼ半減しました。理由はどこに?

田村:
実は、この問題は1月の党大会で一番の焦点でした。
これについて科学的に解明しましたが、大きな要因が二つありました。
 まず90年代は、ソ連・東欧の崩壊がありました。
日本共産党は、他国に軍事介入し自国で民主主義を破壊し弾圧するソ連共産党を、「社会主義ではない」と厳しく批判してきました。だけど、一緒くたにされました。

 あと一つは、その困難な時代の一時期に、党員拡大より機関紙「しんぶん赤旗」の読者を増やすことに軸を置き、党員拡大の努力を弱めたことです。
入党は政治を変革していくという立場に立つことですから、「しんぶん赤旗」を読んでいただくのとは違います。
この点は党中央の方針の誤りだったと、党大会で反省しました。

──その党大会で、共産党が目指す社会を明確に打ち出したと聞きます。

田村:
そうです。私たちが目指すのは「人間の自由が全面的に花開く社会」です。
格差や貧困、非正規雇用。これらは資本主義の利益第一主義がもたらしたもの。目先の利益だけを追い、人間を犠牲にした結果です。
それでいいのかという問いかけをし、その害悪をなくしながら資本主義を乗り越えていけば、自由で希望が持てる社会になると思います。

――一方、共産党として変わらないことは?

田村:
綱領の路線は変えてはダメだし、変えたら共産党ではなくなります。
柱になっているのは、日米安保条約の廃棄です。
一方的にアメリカの言いなりになり、顔色を伺っている政治がいいのかと。憲法の立場に立った平和外交が求められています。
 天皇の制度は、現憲法の厳守が何より大切です。
人間の平等という原則と両立するものではないと考えますが、その解決には主権者である国民の総意に委ねるという立場です。

■裏金の全容解明を追求
──ただ「共産党」の名称にアレルギーを持っている人は少なくありません。党名の変更は?

田村:
私たちが目指すのは、「人間の自由が花開く社会主義、共産主義」だと語れるところまでいま来ました。
逆に、共産党の共産党たるゆえんを堂々と魅力を持って語る時代がやってきたのです。ここで、名前を変えるなんてありえません。

──これから共産党をリードする上で、「田村カラー」をどう出していきますか?

田村:
私が大切にしているのは、生き方では「諦めない」(笑)。
理不尽なことを理不尽なままにしないで、諦めずに声を上げることです。
これは子どもの頃から、自分の中にあるものです。
 党活動で大切にしたいのは対話です。
党の政策を伝えるのも一方的に「こうだ」で終わるのではなく、違う角度からくる意見は「みんなで探求していこうじゃないの」と、他流試合のように意見を交わす。対話は、民主主義の根本ですから。

──1月26日に始まった通常国会を「さよなら自民党政治国会」と表現されました。

田村:
自民党政治の最大の問題は、何と言っても政治資金パーティーの裏金づくりです。
これは単なる事務的ミスじゃなく、政治資金収支報告書を偽造した組織ぐるみの犯罪。
岸田文雄首相は、企業団体献金について企業にも政治活動の自由があると擁護されるけど、企業がなぜ献金するかと言えば、金の力で政治を動かすためです。
まさに今の自民党は利権政治。その結果、自民党は財界や経済界の言いなりとなり、国民の声を切り捨てました。
それがもたらしたのが「失われた30年」です。そこから転換するためにも、裏金の全容解明を追求していきます。

──次期衆院選は?

田村:
市民と皆さんの力を合わせ他の野党との共闘も再構築し、野党の責務として自民党政治を終わらせる。
そんな戦いにしなければいけないと思っています。

(構成/編集部・野村昌二)
※AERAオンライン限定記事
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2024年02月13日

警察の「大量監視」、容認した日本の司法。「ムスリム捜査情報流出事件」から考えるレイシャルプロファイリング

警察の「大量監視」、容認した日本の司法。「ムスリム捜査情報流出事件」から考えるレイシャルプロファイリング
2/12(月)  ハフポスト日本版

近年、日本における典型例として人種差別的な職務質問の問題が明るみになり、1月には外国にルーツがある3人が国などを相手取り裁判を起こすなど関心が高まっている。
だが、出身国や宗教、民族など特定の属性を持つ人たちを「犯罪者の疑いがある」と公権力がみなすことは、決して「新しい問題」ではない。
2010年の「ムスリム捜査情報流出事件」は、日本の警察のレイシャルプロファイリングを明るみにし、被害に遭ったイスラム教徒(ムスリム)らによる訴訟にも発展した。
一連の裁判は、警察によるレイシャルプロファイリングの違法性を問うた先駆的な事例となったが、出身国や宗教を理由とした個人情報の収集・データベース化の違法性は日本の司法で認められなかった。

裁判では何が争われ、裁かれたのか。この事件を巡る司法判断が、現在も続く日本のレイシャルプロファイリングに与えた影響とは。
当時の原告弁護団に加わった福田健治弁護士と林純子弁護士に話を聞いた。

ムスリム捜査情報流出事件とは?

まず、事件の概要と裁判の流れを振り返る。
「ムスリム捜査情報流出事件」とは、2010年10月、警視庁や警察庁が「国際テロ捜査」を名目に集めた日本国内のイスラム教徒や、当時のイスラム諸国会議機構(OIC)加盟国の出身者らの個人情報を含む、大量の捜査情報がインターネット上に流出した事件。
「警視庁国際テロ捜査情報流出事件」とも呼ばれる。
流出したファイル数は114件に上り、個人情報には本人や家族の氏名、住所、勤務先のほか、モスクへの出入り情報も記載されていた。

事件発覚から約2カ月後、警視庁は漏えい情報について「警察職員が取り扱った蓋然性の高いものが含まれていた」と発表。「不安や迷惑を感じる方々がいる事態に至ったことは極めて遺憾」だと謝罪した。
個人情報が流出した後、勤務先を退職せざるを得なくなったり、経営する店の売り上げが大幅に低下したりするなどの経済的な損害を受けた人もいた。
信教の自由など憲法上の権利を侵害し、個人情報を収集・保管した上、インターネット上での漏えいで精神的苦痛を受けたなどとして、ムスリムとその配偶者計17人が2011年、国と東京都を相手取り国家賠償請求訴訟を起こした。

裁判では主に、
@捜査資料を漏えいしたことの違法性
A宗教や出身国を根拠に個人情報を収集し、データを保管・利用することの違法性

━の2点が争われた。

一審・東京地裁判決(2014年)はAについて、「モスク把握活動を含む本件情報収集活動によってモスクに通う者の実態を把握することは、(中略)国際テロの発生を未然に防止するために必要な活動であるというべき」だとして、違憲・違法ではないと判断した。
さらに、「信教に注目した取扱いの区別に合理的な理由があるか否かについては、慎重に検討することが必要」とした上で、当該事件に関してはテロ防止という合理的な根拠があるといい、「情報収集活動それ自体が、国家が差別的メッセージを発するものであるということはできない」として、原告の主張を退けた。

一方、@の情報流出については、注意義務を怠った過失があるとして東京都の責任を認定。
「第三者が見れば、原告らがテロリストもしくはその支援者であるか、少なくとも警察からその疑いをかけられているとの印象を抱くことは避け難い」
「流出事件が原告らに対して与えたプライバシーの侵害及び名誉棄損の程度は甚大なものであったといわざるを得ない」と判断し、都に対して原告一人当たり550万円(一人は220万円)の支払いを命じた。

二審・東京高裁判決(2015年)は一審判決をほぼ踏襲。最高裁は2016年、上告を棄却した。

「何の検証もされないまま」
流出事件を巡る一連の訴訟で、日本の裁判所は「あくまで任意の情報収集活動であり、それ自体が原告らに対して信教を理由とする不利益な取扱いを強いたり、宗教的に何らかの強制・禁止・制限を加えたりするものではない」と指摘。
「テロ防止」などの理由があれば、宗教や出身国を理由に警察が個人情報を大量に集め、データベース化することは違憲・違法ではないとの判断を下した。

これに対し、福田健治弁護士は「今問いたいのは、ムスリムというだけで監視され、情報収集する警察活動は本当に必要なことだったのか?ということ」だと話す。
「この事件で浮かび上がったのは、銀行やホテルなど民間業者から情報を集め、モスクに出入りする人を監視し、尾行までして『面割り』(対象者が誰であるかを特定すること)するという警察の手法です。
基本的には逮捕も捜索もない行政警察活動であり、強制を伴わない。

強制に及ばなければ何の制約も受けずに、警察が自らの判断で大量に情報を収集しても良いのだと、裁判所が認めたのです。現実に行われたのは、テロリストと何の関係もない個人を『テロリスト関係者』であるようにレッテルを貼り、プライバシーに制約を加える活動でした。
そうした情報収集活動は、果たしてテロ防止に本当に役立ったのでしょうか。
何の検証もされないまま今に至っていることが大きな問題です」

二審判決は、一審の判断をほぼ追認した。
一方で、「本件情報収集活動が、実際にテロ防止目的にどの程度有効であるかは、それを継続する限り検討されなければならず、同様な情報収集活動であれば、以後も常に許容されると解されてはならない」とも付け加えた。
だが実際には、ムスリムに対して行われた情報収集活動の有効性に関して警察組織で検討が進んでいるとは言えないと、福田弁護士は指摘する。

「『国際テロ対策』のような正当化される理由の説明がつけば、宗教や出身国を理由とした個人情報の大量収集は許容されると、司法がお墨付きを与える結果になりました。
広い裁量が警察にあることを前提に、ゆるやかな審査基準で(情報収集の)合憲性を認める判断は妥当だったのか。
裁判所にこそ振り返ってほしいです」(福田弁護士)

ムスリムをターゲットにした警察による「プロファイリング」(犯罪捜査において、データなどを基に犯人の特徴や犯罪の性質を分析し、犯罪行為に関わった可能性の高い人物を特定する手法)が明るみになって15年近くになるが、林純子弁護士は「今でもモスクによっては、金曜の礼拝日に警察官が近くに来て見張っている、というムスリムの訴えを聞きます。
『モスクに行く時は警察に監視されていても仕方がない』と諦めている人も多いです」と話す。

ムスリムの監視、「深刻な差別」と国連の委員会が指摘
ムスリムに対するプロファイリングを巡っては、その手法が当事者らにもたらす弊害やテロ防止効果の低さが国際人権機関からも指摘されている。
国連の特別報告者が2007年に国連人権理事会へ提出した、テロ対策における人権の保護などに関する報告書では、「特定の『人種』、国籍、民族的出身や宗教の人が特に罪を犯しやすいというステレオタイプ的な仮定に基づくプロファイリングは、非差別原則と相容れない行為につながる可能性がある」と言及。
2001年のアメリカ同時多発テロ以降、出身国や宗教などの特徴を含む「テロリスト・プロファイル」に基づくテロ対策が様々な国で行われていることは「重大な懸念だ」と述べている。

さらに報告書では、「民族や出身国、宗教に基づくプロファイリングは、潜在的なテロリストを特定する手段として不適切で効果がないだけでなく、テロとの闘いにおいてこれらの手段を逆効果にしかねない重大な悪影響をもたらす」との見解を示した。

また、日本の警察によるムスリム監視に関しては、国連の自由権規約委員会が2014年の総括所見で懸念を表明。日本の法執行機関に対して、広範なムスリムの監視を含むレイシャルプロファイリングが認められないことなどの教育を行うよう求めた。

このほか、国連の人種差別撤廃委員会も日本政府に対する同年の総括所見で、特定の民族や宗教的集団に属することのみを理由とした個人に関する治安情報の組織的な収集が「深刻な差別の一形態」だと明記した。
法執行官がムスリムに対するプロファイリングを行わないことを確実にするよう、日本政府に求めた。

これらの勧告はいずれも、遅くとも2015年の二審判決より前に出されていたが、日本の裁判所の判断は、「ムスリムへのテロリスト・プロファイリングは有効性を欠く上に差別だ」とする国際人権機関の見解に反するものとなった。

ターゲットを変えて繰り返される懸念
ムスリム捜査情報流出事件のように、特定の集団や属性の人々に照準を当てたプロファイリングは過去の話ではなく、今後も十分起こりうると福田弁護士は考える。

「特定の集団にターゲットを絞り、情報収集のために民間業者を巻き込みネットワークを作る、集めた情報をデータベース化していつでも参照可能にする。
裁判では『流出したことはまずかったけれど、やり方自体は問題ない』とされてしまったので、応用可能なわけです。
その対象が9.11後の当時はイスラムコミュニティであり、そうしたターゲット設定がある意味で国内外で『流行り』でした。

『外国人=罪を犯す疑いがある』という偏見が警察内部にある中、『国際テロ対策』のように公安警察が予算と人員をかけられる名目や仮説さえあれば、ムスリムに行われたことと同様のプロファイリングがまた繰り返されても不思議ではありません」

アメリカでは違法性認める決定
ムスリムに対する監視捜査を巡っては、アメリカでも訴訟となっていた。
アメリカ連邦控訴裁判所第3巡回区は2015年、被告のニューヨーク市警が行ったレイシャルプロファイリングの違法性を認める決定を出した。

裁判所は、最高裁の過去の判例を引用する形で、「差別そのもの、つまり『古くてステレオタイプ的な観念』を永続させたり、冷遇された集団のメンバーに対し『本質的に劣っている』との烙印を押し、共同体の参加者としてふさわしくないという汚名を着せたりする行為が、不利な集団に属するという理由だけで平等に扱われない人々に深刻な非経済的損害をもたらしかねない」と判断した。

裁判所の決定を受け、原告団と被告は2018年に和解。「ニューヨーク市警は人種や宗教、民族を実質的・動機的とする捜査を行わないこと」などの条項が合意された。ニューヨーク市警を相手取った類似の民事訴訟でも、2017年に同様の和解が成立している。

ニューヨーク市警は2024年1月に市議会で可決された法改正に基づき、警察官が職務質問で呼び止めた人の「人種」、性別、年齢を記録することが義務付けられた。
同警は現在3万6000人の警察官が所属し、同国最大の警察組織。

司法判断の過ちを正す仕組みが日本にも必要
公権力による人種差別の防止や被害者救済のために、どんな仕組みが必要なのか。
福田弁護士は「まず、日本に個人通報制度(※)がないことが大きな問題だ」と強調する。

国際人権規約である『自由権規約』の違反が疑われる個別の事案を訴える機関が日本にはなく、司法で被害を認定されなければ、他に救済される手段がありません。
日本の裁判所が行った誤った条約解釈が、正される機会がない。そのため、司法判断の過ちは放置されたままなのです」

日本はこれまでに、自由権規約や人種差別撤廃条約など8つの人権条約に批准しているが、個人通報制度を定める条約ごとの選択議定書の批准などをしていないため、同制度が適用されていない。
一方、世界では約150カ国がなんらかの個人通報制度を導入している。

林弁護士は「誰もがマイノリティになる可能性を持ちながら生きています。
ある日突然、行動によってではなく、属性を理由に公権力の監視の対象になるかもしれない。
それを日本の裁判所が『違法ではない』としていることの恐ろしさを考えてほしいです」と話す。


(※)個人通報制度・・・国際人権条約で保障された権利を侵害された人が、条約機関に被害を直接訴えることができる制度。条約機関が審査を経て出した見解に法的拘束力はないものの、見解を踏まえて国内の法制度が改正されるケースもある。各条約機関は日本政府に対し、同制度を導入するよう繰り返し勧告している。

<取材・執筆=國ア万智>

▽参考文献
『国際水準の人権保障システムを日本に 個人通報制度と国内人権機関の実現を目指して』(日本弁護士連合会第62回人権擁護大会シンポジウム第2分科会実行委員会・編、明石書店)

『国家と情報 警視庁公安部「イスラム捜査」流出資料を読む』(青木理、梓澤和幸、河ア健一郎・編著/現代書館)

『レイシャル・プロファイリング 警察による人種差別を問う』(宮下萌・編著/大月書店)、第2章「ムスリムに対するレイシャル・プロファイリング」(井桁大介)
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2024年02月14日

米山隆一氏、橋下徹氏は「意図的曲解も交えて罵倒する事で自身への批判を封じて来た人物」

米山隆一氏、橋下徹氏は「意図的曲解も交えて罵倒する事で自身への批判を封じて来た人物」
2/13(火) 日刊スポーツ

 立憲民主党の米山隆一衆院議員(56)が13日までにX(旧ツイッター)を更新。
元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(54)のX投稿に異論を唱えた。

 米山氏は、橋下氏が「立憲の泉代表は、テレビ以外の放送法の適用のない場で僕が元明石市長の泉氏の発言を立憲民主的だと批判したら、政治番組を辞めろと言ってきた。
なんと非立憲的か!」とした投稿に反応。
橋下氏が念頭に置いたとみられる立憲民主党泉健太代表の昨年7月17日の投稿を貼り付け、「また橋下氏が、こういう意図的曲解で人を罵倒しています」と言及した。

 泉氏は当該投稿で「泉房穂氏との対談なのに、橋下徹氏はひたすら立憲民主党ばかり攻撃している。
私怨を持ち込んだ感情的な姿勢なら、政治番組のコメンテーターはやめるべき」と指摘しており、この投稿について米山氏は「見識が求められる立場に対する批判として当然で、全く非立憲的ではありません」と説明。

「橋下氏は、自分を批判する相手をこういう意図的曲解も交えて罵倒する事で自身への批判を封じて来た人物であり、それこそ非立憲的、非民主的で政治を歪める危険のある人物と言われてやむを得ないと思います。

TV局は、氏の様な人物を中立な識者・コメンテーターとして起用するべきではないと思います」と私見を述べた。
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あらゆる仕組みが危機に瀕する「少子化のわな」

あらゆる仕組みが危機に瀕する「少子化のわな」
2/13(火)  毎日新聞

 元連合会長の古賀伸明氏は毎日新聞政治プレミアに寄稿した。

 「出生率が上向いたとしても、出生数の増え方は緩やかにとどまるか下手をすれば減り続ける。
流れに任せていては、あらゆる制度や仕組みが危機にひんすることになる」と語った。
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 今年1月9日、民間有識者による「人口戦略会議」が、人口危機に関する提言「人口ビジョン2100」を発表した。

 同日、会議の議長、三村明夫・前日本商工会議所会頭は首相官邸で、岸田文雄首相に2100年を見据えた長期的な国家戦略の策定と推進を求めた。
蛇足ながら、この会議(28人)のメンバーには私も加わっている。

 増田リポートとよばれた増田寛也氏編著の「地方消滅」(副題は“東京一極集中が招く人口急減”)が出版されてから10年の月日が流れた。
 当時は本の題名とともに、日本中に衝撃を与えた。
このままだと約半数の自治体が消滅することをデータとして示したからだ。
その傾向は止まるどころか加速している。

 ◇高齢化率は上昇を続ける
 昨年4月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「将来推計人口」では、20年の国勢調査で1億2615万人であった総人口は、50年後の70年には現在の7割まで減少して約8700万人になるとみている。
 1億人を下回るのは56年で、6年前の前回推計に比べて3年遅くなっている。
その背景にあるのは、平均寿命の伸びと日本で暮らす外国人の増加だ。
この推計で人口減少のトレンドが改善したと受けとめるのは、あまりにも楽観的過ぎる。

 外国人増加の要素を除くと、今回の推計はむしろ厳しさを増している。
合計特殊出生率は、前回推計(1.44)を下回る1.36で日本人女性に限ると1.29まで下がり少子化は加速する。

 65歳以上よりもそれ以下の減少が進み、人口規模が縮小する中でも、高齢化率は上昇を続け約4割を占めると試算した。

◇外国人は本当に増えるのか?
 特に影響が大きいのが外国人の増加で、コロナ前と同じ年約16万人ペースで増えると見込み、70年には20年時点(2.2%)の3.4倍の約940万人にまで増え、全人口の10.8%の推計になっている。
 しかし、実際にこれだけ増えるのかは疑問であり、希望的観測との印象も否めない。
先進国の多くは人口減少や少子化に直面する国が増え、これからは外国人材の獲得競争が一段と激しくなる。

 外国人に選ばれる国であるためには、海外に見劣りしない賃金水準をはじめとした労働条件や就労環境の整備が求められる。

 もちろん、受け入れに当たっては就労のみならず、教育や住宅といった生活支援体制、社会保障など地域で安心して暮らせる環境を整えるために、共生社会を見据えた幅広い国民的な議論が必要だ。

 ◇支え手が不足
 今回の推計結果が示したのは、日本の人口減少は着実に進むことが、ほぼ確定した未来だ。
 出生率が長期的に2.20まで上がる最高位のシナリオでも、人口が反転増加するのは、70年よりも後になる。
 しかも、高齢化と少子化が同時に加速する社会であり、15歳から64歳までの生産年齢人口が大幅に減少し、推計によると、40年には現状より2割も減り社会・経済の支え手が不足する。

 このような情勢の中で、まず、第一に人口減少の大きな要因である少子化については「子どもを育てるのは社会全体の責任」ということを、より明確にし、より浸透させることが必要だ。

 少子化の背景は複雑で、若い世代の女性も男性も一人一人が将来に希望を持ち、安心して働きながら子どもを育てられる環境を、いかにつくっていくのかが重要な課題だ。

 ◇賢く縮む

 将来の漠然とした不安、非正規雇用の増加などに伴う不安定な生活、両立支援に消極的な考え方や組織体質、性別役割分担意識、妊婦や幼児を迷惑とみなす社会的風潮などが積み重なり、子どもを持つことをためらわせる社会状況をもたらしている。

 すぐに取り組むべきは、出産を望む人への支援だが、先に述べたような社会全体の意識や行動が変わっていかなければ、日本は少子化のわなから抜け出せず、社会構造改革の決意とこれを継続する強い意志が求められている。

 二つ目は、人口減少のスピードを抑える政策を推進することは大前提として、人口規模に合わせた社会制度の再構築だ。いわゆる、賢く縮む、スマートシュリンクといわれるものだ。
 出生率が上向いたとしても、出生数の増え方は緩やかにとどまるか下手をすれば減り続ける。
流れに任せていては、あらゆる制度や仕組みが危機にひんすることになる。

 こうした現実に向き合い、少子化対策や高齢化支援を含む社会保障制度改革はもちろん、国と自治体の行政サービスや財政、税制、道路・橋・公共交通機関などインフラのあり方、大都市圏と地方圏との関係など、中・長期の日本社会のあり方を描き直す必要がある。

 いわばうまく縮みながら社会機能を維持して、規模を求めるより質を高める成熟した国にふさわしい、国民一人ひとりが生きる幸せを実感し豊かに暮らせる社会を描くべきだ。

 ◇プラスの面も
 一方では、超高齢・人口減少社会の負の側面ばかり見るのではなく、経験豊富で元気な高齢者が活躍する機会でもある。
積極的に社会に参画することにより、支え手として日本社会を活性化させる契機にもなる側面も忘れてはならない。

 3点目は、これらのことを総合して議論し、国民に選択肢を示しながら国民的議論を展開するのは、まさに政治の役割と責任だ。
人口政策に高い優先度を与え、政府内に人口問題を多角的に検討し国家ビジョンを策定する司令塔「人口戦略推進本部(仮称)」を設置することが急務だ。

 政府、自治体、企業、私たち自身が危機感を共有し動き出さなければ、将来の日本は悲惨な状態となる。
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2024年02月15日

中高年の睡眠は「遅寝、遅起き、だらしなく」が大原則…「75歳までに身につけたい理想の睡眠習慣」

中高年の睡眠は「遅寝、遅起き、だらしなく」が大原則…「75歳までに身につけたい理想の睡眠習慣」
2024年02月14日 PRESIDENT Online

高齢者に理想的な睡眠時間は何か。
三代にわたって90年以上睡眠研究を続ける睡眠医療専門家の遠藤拓郎さんは「中高年にとって、理想の睡眠時間は夜11時半(23時半)から朝6時半の7時間である。
言い換えれば、この時間帯以外は床にいないで、起きているべきだ。
そのうえで、1日7000歩程度を確保し、日中の活動性を上げることで、睡眠の質を上げるといい」という――。
(第3回/全3回)※本稿は、遠藤拓郎『75歳までに身につけたいシニアのための7つの睡眠習慣』(横浜タイガ出版)の一部を再編集したものです。

■目覚めのスッキリ感は、朝の太陽の光から
本稿では「75歳までに身につけたい睡眠習慣」について、お話ししますが、「習慣作り」の手始めとして、拙著『朝5時半起きの習慣で、人生はうまくいく!』について、簡単に触れておきたいと思います。
この本のテーマは「早起きの習慣をいかに作っていくか」でした。
この本で、私は「体に負担をかけない早起きの習慣は、朝5時半起きが限界である」と結論づけました。

なぜ、私は「朝5時半起きが限界である」と主張したのでしょうか?
その理由について、論点をコンパクトにまとめてみたいと思います。
のちほど解説しますが、ヒトの体内時計の周期は25時間で、朝の太陽の光で24時間に修正されています。

朝の太陽の光には「体内時計を1時間早める機能」、つまり「体内時計の調節機能」があるのですが、実はもう1つ大事な役割があります。
それは「メラトニンの分泌を抑える働き」です。
メラトニンについても、のちほど詳しく説明しますが、例えば、朝の太陽の光を浴びると、何となく「スッキリ感」を得られますよね?
その理由は、朝の太陽の光を浴びることによって、メラトニンの濃度が「眠気が消失するレベル」にまで一気に下がるからです。

眠気を吹き飛ばし、目覚めのスッキリ感を出すためには、朝の太陽の光が欠かせないのです。

■朝4時起きは肉体的にも精神的にも負担がかかる
ちなみに、バリバリ仕事をしているビジネスパーソンの中には「朝2時起き」「朝4時起き」といった「極端な早起き」を実践する方がいらっしゃいます。
なぜ、こうした極端な早起きが可能なのでしょうか?
それは、体内時計に「履歴効果」と呼ばれる機能が備わっているからです。

「履歴効果」とは、何でしょうか?
簡単に説明すると、過去に同じリズムを続けていると、そのリズムを続けやすくなる性質を持っているということです。
ですから、朝2時起きや朝4時起きといった極端な早起きであっても、それを強制的に続けていると、そのリズムを維持しやすくなります。
結論から言えば、朝2時起きや朝4時起きといった極端な早起きは、やってできないことはありません。
しかし、可能だからと言って、「実践していいですか?」と問われれば、私の答えは「NO」です。

なぜなら、太陽が上がらないうちに起床をすると、メラトニンの分泌を抑えることができない状態で無理矢理、体を起こすことになってしまうからです。
少なくとも東京で、朝の4時に太陽が上がってくることはありません。
ホルモンバランス的にはまだ寝ているのに、体だけ無理矢理起こしてしまうと、肉体的にも精神的にも負担がかかってしまいます。

■朝5時半起きが「体に負担がかかりにくいギリギリのライン」
そのように考えると、理想的なのは、朝起きてから、比較的すぐに太陽の光を浴びることができる時間に起きることです。
そこで、実際に「東京の1年間の日の出の時間」を調べてまとめたのが、図表1のグラフになります。

「1年の間で、平均的な日の出の時間が何時なのか」を調べてみると、東京の場合、春分や秋分の時期の「朝5時半くらい」が1つの目安になります。
先ほど説明をしたとおり、体内時計には履歴効果があるため、いったん習慣を身につけてしまえば、同じ習慣を続けやすくなります。
履歴効果を活かして、太陽が早い時間に上がってくる「春分から秋分の半年間」で朝5時半起きの習慣を身につけましょうというのが、私の主張でした。

日の出の時間が遅い冬の季節は、起きるのが少しつらく感じられるかもしれません。
しかし、春分から秋分の半年間で身につけた生活習慣の履歴効果によって、残りの半年間を乗り切ることが可能になります。
このように、様々な点を考慮すると、朝5時半起きが「体に負担がかかりにくいギリギリのライン」なのです。

■中高年に朝5時半起きが不向きな理由
さて、ここまでをご理解いただいたうえで、本題に入りましょう。

中高年の方の中には、朝5時半、もしくはその前の時間帯に起きて、早朝から散歩をしている方が数多くいらっしゃいます。
しかし、こうした早起きは、中高年の方々にはオススメできません。
なぜなら、朝5時半起きは、あくまでも若いビジネスパーソン向けの習慣であって、中高年の方々の睡眠習慣としては、明らかに不向きだからです。

なぜ、中高年の方々にとって、朝5時半起きは不向きなのでしょうか?
その理由は、中高年は1日のサイクルをできる限り遅らせた方が良いからです。

分かりやすくイメージしていただくために、子どもと高齢者の睡眠を比較してみましょう。
高齢者と違い、子どもは体力(起きている力)だけでなく、睡眠力(眠れる力)もあります。
ですから、例えば、起きている時間が17時間、眠っている時間が8時間だとすると、1日が25時間になってしまいます。

れに対し、高齢者は体力も睡眠力も落ちてしまっています。
仮に起きている時間が15時間、眠っている時間が7時間だとすると、1日が22時間になってしまいます。

先の記事でお話ししたように、ヒトが眠れる時間はどんどん短くなっていきます。
この時間を長くすることはできません。
ですから、1日を24時間にするためには、起きている時間を15時間でなく、がんばって17時間に延ばす必要があるのです。

■「眠る努力」より「起きている努力」を
実は、睡眠における努力の方向性は1つしかありません。
例えば「眠る努力」と「起きている努力」、仮に2つの努力の方向性があるとするならば、あなたにできるのは、いったいどちらでしょうか?
例えば、眠くもないのに「眠る努力」をしても、絶対に眠ることはできません。

あなたにも経験があると思いますが、「眠らなければならない」と思えば思うほど、逆に目が覚めてしまうものです。
ヒトは「眠る努力」はできません。
あなたにできるのは「起きている努力」だけで、それこそが「睡眠における唯一の努力の方向性」なのです。

さて、「体内時計の履歴効果」と「睡眠力の低下」について、ご理解いただいたうえで、「どのような習慣を作っていくべきか」について、具体的に話を進めていくことにしましょう。

健康寿命を延ばしたり、アンチエイジングをしたりするのに欠かせないのが「成長ホルモン」です。
中高年の睡眠を考えるうえでは、「成長ホルモンの分泌量をいかに増やすか」が大事で、ここがゴールと言っても過言ではありません。

次からは「成長ホルモン」について、詳しく解説します。

■7時間以上床にいない
成長ホルモンの分泌には、深い睡眠が欠かせません。
つまり、成長ホルモンの分泌を増やすためには、質の良い睡眠が欠かせないということになります。

では、睡眠の質を高めるためには、いったいどうすればいいのでしょうか?
そのためには、「メラトニン」や「コルチゾール」といったホルモンをうまく活用する必要があります。
「いかにうまく眠れるか」を司るのが「メラトニン」というホルモンです。

これに対し、「いかにうまく起きられるか」を司るのが「コルチゾール」というホルモンです。

これらのホルモンは毎日決まった時間に分泌されますが、これは「体内時計」によって、その分泌がコントロールされているからです。
例えば「これから夜ですよ」という信号を体内時計が出すと、メラトニンが分泌され、眠りの準備を始めます。
同様に「もうそろそろ朝が近いですよ」という信号を出すと、コルチゾールの分泌が高まり、グリコーゲンという糖の塊をエネルギーに変えていきます。

体内時計がホルモンの分泌をコントロールしてくれるからこそ、ヒトは時計がなくても、毎日同じような生活を送ることができるのです。

■太陽の光を浴びないと、体内時計は2時間遅れる
先ほどもお話ししましたが、体内時計について知っておかなければならないのは、体内時計は1日が25時間であるということです。
ヒトは25時間の時計を持って、24時間の生活に対応しています。
では、体内時計は、この1時間の差をどうやって縮めているのでしょうか?
その調節をしているのが「朝の太陽の光」です。

朝日を浴びた瞬間に、ヒトの体内時計は25時間から24時間に短縮されるようになっているのです。
例えば、週末に寝だめをして、スッキリ月曜日をむかえられると思ったら、逆に体がだるかったという経験はありませんか?
これは寝だめをするのが悪いのではなく、週末に寝過ごすことによって、朝の太陽の光を浴びることができなかった結果、体内時計が遅れたままになってしまったからなのです。
仮に、土曜と日曜の2日間、朝の太陽の光を浴びなかったとすると、体内時計は2時間遅れてしまいます。
普段、朝6時に起きている人は、朝4時に起きるような感覚になってしまうのです。

■朝5時半から8時半の3時間が最も起きやすい
さて、ここまでをご理解いただいたうえで、「成長ホルモンをいかに増やすか」について考えてみましょう。
睡眠の質を決めるメラトニンとコルチゾールの分泌は、体内時計によってコントロールされています。
ということは、これらが分泌される時間に合わせて眠れば、深い睡眠が増えて、質の良い睡眠を得られるということです。

では、メラトニンやコルチゾールが分泌されるのは、いったい何時くらいなのでしょうか?

まずメラトニンですが、図表2のとおり、夜の9時(21時)頃から分泌されて、朝の9時頃には分泌されなくなります。
メラトニンが多く分泌されるのは、その中間である0〜6時ですから、この時間帯が「最も眠りやすい時間帯」になります。

一方、コルチゾールは、図表3のとおり、夜中の3時頃から出始めて、朝5時半から朝8時半の3時間の間にピークになります。
コルチゾールは体の栄養素からブドウ糖を作り出して、それを燃やすことによって体温を上げます。
そのため、コルチゾールが分泌されると、体温が上がってきます。
体温が上がってくると、ヒトは目が覚めやすくなりますが、コルチゾールの分泌が一番多くなるのは、朝5時半から8時半の3時間です。
ですから、この3時間が「最も起きやすい時間帯」になるのです。

■0時から朝6時が「睡眠のゴールデンタイム」
このように、メラトニンとコルチゾールの分泌を考えると、0時から朝6時が「最も質の良い睡眠を得られる時間帯」となります。
言い換えれば、この時間帯こそが「睡眠のゴールデンタイム」なのです。
ちなみに、睡眠のゴールデンタイムは老若男女、万人に共通です。
子どもであろうが、中高年であろうが変わりません。
なぜなら、ホルモンを出すタイミングを決めているのは体内時計ですが、体内時計が何によって決まっているのかと言えば、それは太陽だからです。

日の出、日の入りは万人に共通ですから、それによって決められている体内時計やホルモンの分泌のタイミングも、万人に共通です。
ですから、睡眠のゴールデンタイムが0時から朝6時であることは、万人にとって共通なのです。

さて、ここまでをご理解いただいたうえで「理想の睡眠時間」について、考えてみましょう。

先の記事で玉腰教授の研究データをご紹介しましたが、死亡率が最も低く、体に最も負担がかかりにくい睡眠時間は7時間です。
ですから、中高年の方々にとっては、1日7時間の睡眠が理想的と言えるでしょう。
これを先ほどのゴールデンタイムに当てはめてみると、中高年の方々にとって、理想の睡眠時間は、夜11時半(23時半)から朝6時半の7時間です。

言い換えれば、「眠れようが眠れまいが、この時間帯以外は床に入らずに、起きていてほしい」ということです。

7時間以上は床にいない。これが「第1の習慣」になります。
中には「何だ、そんな簡単なことかよ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、夜11時半(23時半)から朝6時半の7時間以外、床にいないということは、言い換えれば、1日24時間のうち、残りの17時間は起きていなければならないということです。

これは中高年の方々にとって、口で言うほど簡単なことではありません。
やることがなく、ただテレビを観ながらボーッと過ごしているだけでは、1日17時間も起きていることは難しいでしょう。

そこで「第2の習慣」が必要になります。
1日17時間起きているために、日中をどのように過ごすべきなのでしょうか?

次から解説していきます。

■1日7000歩程度の活動をする
先ほどお話ししたとおり、中高年の睡眠は「1日7時間以上は床にいない」というのが、まずは基本になります。
そうした考え方をベースにして、私のクリニックで、実際に患者様に睡眠指導をした例をご紹介しましょう。

次のページの図表4は、患者様に行動計を装着してもらい、「1日の活動量」や「睡眠の状態」を解析したカルテになります。
この患者様は当時57歳の女性で、「寝付きが悪く、なかなか眠れない……」ということで、私のクリニックにいらっしゃいました。
2020年7月4日から9日にかけてのカルテになりますが、クリニックで睡眠指導を行ったのは7月6日になります。

カルテの内容を具体的に説明すると、グレーの色の濃い部分が「よく眠れている時間帯」です。
これに対し、グレーの色の薄い部分が「途中で目が覚めている時間帯」=「睡眠が悪い時間帯」になります。
実際に指導をする前の7月4日から6日に比べ、指導後の7月8日と9日は色の薄い部分が減り、「よく眠れている時間帯」が明らかに増えていることがお分かりいただけるのではないでしょうか?

私がこの患者様に指導したのは、次の2点のみです。
@午前1時から午前8時までの7時間以外は床にいないこと
A日中にできる限り歩くこと以下、順番に説明しましょう。

まず@ですが、この患者様の場合、7月6日に指導をする前は、起きる時間がバラバラで、午前8時に起きたり、午前10時に起きたりしていました。
話を聞くと、「居間に布団を敷いて寝ている」とのことで、7月5日は午前8時に起きているものの、寝足りなかったのか、午前10時から12時くらいまで、再び寝てしまっています。
ですから、この患者様にまず指導をしたのは、「午前1時から8時までの7時間以外は床にいないでほしい」ということです。

午前8時になったら起きて、居間に敷いた布団を片づけてもらい、それ以外の時間は床にいないように指導しました。

■中高年の睡眠は「遅寝、遅起き、だらしなく」
先ほど、「睡眠のゴールデンタイムに合わせて、夜11時半(23時半)から朝6時半の間に寝ましょう」という話をしましたが、この時間帯を厳密に守る必要はありません。多少、時間が前後しても大丈夫です。

繰り返しになりますが、中高年の睡眠の基本は「遅寝、遅起き、だらしなく」です。

ここに「だらしなく」を加えているのは、中高年の場合、「この時間帯に、絶対に寝なければならない」と考えると、余計なストレスがかかってしまうからです。
余計なストレスは睡眠の質を下げます。

ですから、多少時間がズレてしまうのは、全くかまいません。

歳を取ったら、少しズボラな程度でちょうどいいのです。

次にAですが、この患者様には、日中にできる限り歩くよう指導しました。
指導前の7月4日と5日は1700歩程度でしたが、指導後の7月7日は2000歩、7月8日は4000歩と徐々に歩数が増えています。
その結果、7月8日と9日は、ともに「途中で目が覚めている時間」が減り、「よく眠れている時間」が増えて、睡眠の質が向上しました。
1日7000歩程度の活動をする。これが第2の習慣です。

■日中の活動性を上げて、睡眠の質を上げる方法
ちなみに、私が言う「1日7000歩程度の活動」は、1日7000歩程度のウォーキングと考えていただいてかまいません。
もちろん、ゴルフやスキーなどのスポーツで体を動かすことも、この活動の中に入ります。
もしくは、肉体労働やボランティアなどで体を動かすのもしかりです。
7000歩は、平均的な速度で歩けば、1時間程度のウォーキングになります。

1日7000歩のウォーキングは、本書で解説していますが、「体温を上げる」という観点からも、非常に有効です。

以上が日中の活動性を上げて、睡眠の質を上げる方法になります。
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遠藤 拓郎(えんどう・たくろう)
スリープクリニック調布院長
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2024年02月16日

6時間睡眠の脳は「2日徹夜」後と同じ!寝不足の人は仕事ができない当然の理由

6時間睡眠の脳は「2日徹夜」後と同じ!寝不足の人は仕事ができない当然の理由
2024年02月14日 ダイヤモンドオンライン

OECD調査によれば、日本人の平均睡眠時間は先進国の中で最短。
睡眠を削って働いている姿が浮かび上がるが、睡眠には適切な質と量があり、6時間睡眠の人は、徹夜組と同じパフォーマンスしか発揮できない。
生産性を上げるには、日本人はもっと寝るべきなのだ。
1万人の脳を診た脳内科医が睡眠の改善法を提案する。
本稿は、加藤俊徳『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』(アチーブメント出版)の一部を抜粋・編集したものです。

世界一短い日本人の睡眠時間
 日本人の勤勉さは世界にも知られるところです。
「勤勉」をどう定義するのかという問題もありますが、やはりひとつには、仕事をする時間が長いということがあるでしょう。
 残業や仕事の後の付き合い、子どもの塾や部活動の世話、そういった数々の用事で「忙しい」という日本人は多く、それは通常、悪い意味には使われにくいでしょう。
忙しいとは「充実している」「会社や社会に必要とされている」というニュアンスを含むことが多々あります
これも中毒の一種と考えられます。

 そんな日本人の睡眠時間は、世界一短いというデータがあります。
経済協力開発機構(OECD)の2018年発表によると、日本人の平均睡眠時間は加盟30カ国の最下位です。
 平均7時間22分で、OECD平均の8時間25分より1時間以上少なくなっています。
 世界で一番眠らない国。それは世界一、睡眠に対する理解の遅れている国ということでもあります。
日本は世界一の睡眠後進国なのです。

6時間睡眠のパフォーマンスは徹夜の人と変わらないレベル
 夕食をとって片づけを終えて9時すぎ。それからいろいろな家事をしたりテレビを見たりスマホをいじったりしながら風呂に入って布団に入ると11時を過ぎ、布団に入ってまたスマホをいじり、寝付く頃には12時……。
 そんな人も多いのではないでしょうか。
このような毎日を送っている人は、完全に不眠中毒です。
睡眠時間を削ってまでするほど大切なことはありません。

睡眠時間の確保が第一優先で、残りの時間を使ってほかのことをするのが正しい行動です。

 明日テストだとしても、目を通しておきたい重要な仕事の資料があっても、起きる時間の7時間以上前に寝るべきです。
1日6時間睡眠の人は、7時間睡眠の人に比べて1週間で7時間足りず、すでに1日分不足しているのです。

ワシントン州立大学とペンシルベニア大学の研究チームが、「8時間睡眠」と「6時間睡眠」の2つのグループに分け、2週間にわたって実験を行いました。

 その結果、6時間しか眠らなかった被験者たちの認知能力は、連続2日間徹夜した人たちと同レベルまで低下していました。
つまり、6時間程度の睡眠時間の人は、毎日徹夜している人と同じ程度のパフォーマンスしか発揮できていないということになります。
パフォーマンスには、集中力や判断力、記憶力、論理的推論能力のほか、気分や感情などあらゆる脳機能が含まれます。

 人に差をつけられたくなかったら、一番必要な明日の準備は寝ること。
睡眠時間をしっかりとること。
明日が大事な日ならなおさらです。
夜の睡眠が、明日のあなたの一番の味方です。

睡眠不足により発生する経済損失は年間15兆円
 ヘルスケア商品や医療関連機器を中心に取り扱うオランダ・フィリップ社の世界睡眠調査によれば、日本で睡眠に満足している人は29%だそうです。
この調査は13カ国を対象に実施されたもので、日本の満足度は最下位でした。

 さらには、こんなデータもあります。
● 日本の睡眠不足による欠勤時間は年間約480万時間
● 睡眠時間4時間未満の交通事故発生率は4.3倍(適切とされる7時間以上の睡眠時と比較して)

 慢性的な睡眠不足によって発生する経済損失は年間15兆円ともいわれています。
こうなるともはや、睡眠不足は自分ひとりの問題ではありません。国を揺るがす大問題ともいえます。

 けれど、こうやってデータを示されたとしても、日本の経済が睡眠不足のせいで圧迫されているという実感を持つ人は少ないはずです。
これは個人の睡眠不足の問題と似ています。

 ずっとそうしてきて、それが当たり前になっているから気づかない。
自分の睡眠が変わったとき、自分がどうなるか。日本人全員がそうなったとき、社会がどうなるか、知らないからわからないのです。

 ニュースで見る悲惨な事故が、睡眠によって防げたかもしれない。
今朝の通勤電車の遅延が起きなかったかもしれない。
あの人がもっと寝ていたら認知症にならなかったかもしれない。がんにならなかったかもしれない。
 それは夢想の世界ではなく、極めて現実化する可能性の高いパラレルワールドなのです。

睡眠の問題を解決するのは難しいことではない
 心身の健康にも日本経済にも大きなマイナスとなるのが睡眠不足です。
気づかないうちに蝕まれ、寝不足が続くことでどんどん睡眠負債が溜まります。
すると、睡眠不足に慣れ、これでいいのだという間違った認識が定着してしまいます。

 睡眠不足は、自分自身を客観的に正しくみられない状態であり、自己管理能力の欠損といえます。
それでも睡眠不足を続けていること自体が、自己認識力や自己管理能力の欠損を物語っています。

 自己管理とは、自分の時間、健康や体調、体型や姿勢、モチベーションや感情、経済状況などをコントロールすることです。
睡眠不足になるのは時間の管理ができていないからであり、健康や精神面に支障が出たり、本来必要のない出費もかさみます。

それでも「自分はしっかりやれている」と間違った自分を認めることは、自己肯定感があるようで、実は自分を正しく認識していないことでもあります。
本当の自分の能力よりも低いところで満足し、本来の能力が発揮できていないにもかかわらず、これが自分だと思っています。

 睡眠に問題があるまま放っておいている状態は、ダメな自分のままでいいということ。健康でなくてもいい。仕事ができなくてもいい。周囲に迷惑をかけてもいい。楽しい毎日、充実した人生なんていらないということです。

 それならそれでいいと思ったり、睡眠を変えるだけで自分自身や人生が変わるわけがないと思うのならば、それも睡眠不足からくるマイナス思考かもしれません。

 今では手軽に、睡眠中の状態を計測することができます。自分の睡眠をデータ化し、問題を解析することができます。睡眠に対する不満や問題に気づき、それを解決するだけです。

 自分の問題に向き合い、これまでの行動を変え、不眠中毒から抜け出す。
それをするか、しないか、だけです。
自分を変えられない人は、不眠を治せません。
本来あなたが手にすべき能力や健康、充実感を得ることができないのです。
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2024年02月17日

「緊張するとき」なぜか必ずトイレに行きたくなる原因と対策【医師が解説】

「緊張するとき」なぜか必ずトイレに行きたくなる原因と対策【医師が解説】
2/16(金)  CHANTO WEB

「偉い人が同席する」「大勢の前で発言する」…そんな場面を前に「あれ、なんかお腹が…」とトイレに駆け込みたくなる人もいるでしょう。
「まいど、まいど…なんで?」素朴な疑問に医師の工藤あきさんが「対策」を含めて解説します。

■「腸は第二の脳」ストレスホルモンが腸に届く
── 先日、大事な会議に向かう電車の中で、突然、お腹が痛くなって困りました。
通勤や通学中に電車に乗ると突然お腹が痛くなったり、テストや会議など大事な場面の前に限ってお腹を下したりするケースを耳にしますが、病気なのでしょうか?

工藤先生:
検査をしても腸そのものに異常がみられないにもかかわらず、習慣的に便秘や下痢といった便通の異常を繰り返すようならば、「過敏性腸症候群(IBS)」かもしれません。
IBSが起こるのはストレスがおもな原因だといわれています。

── 腸に異常があるわけではないのに、どうしてストレスや緊張でお腹が痛くなるのでしょうか?

工藤先生:
脳と腸、そして腸にいる腸内細菌は「脳〜腸〜腸内細菌相関」といって、実は、腸は「第二の脳」といわれるほど、脳と深くかかわりがあるんです。
不安やストレスを感じると、脳からストレスホルモンが分泌されて、神経を通じて消化管を通じて腸へ届きます。
すると、知覚過敏が起きて痛いと感じてしまうのです。

── 腸自体は健康なのに、腸が痛いと感じる信号が出ているから痛いと感じてしまうと。

工藤先生:
そうなんです。
また、ストレスホルモンによって大腸の収縮運動が盛んになり、便が大腸を通過する時間が短くなって下痢を起こしたり、逆に、収縮で腸管が細くなって便秘を起こしたりします。
さらに突然の腹痛や下痢・便秘はストレスになります。
「また会議の前にお腹が痛くなったらどうしよう」と新しいストレスが生まれ、脳からのストレスホルモンがまた腸に届いて…という悪循環も起こってしまいます。

■日本人の10~15%は緊張でお腹に異変が!?
── IBSはどういった方がなりやすいのでしょうか?

工藤先生:
IBSには大きく分けて「下痢型」「便秘型」、下痢と便秘が時々で起こる「混合型」の3タイプがあります。
その他、どれにも分類されない「分類不能型」もあります。

下痢型は、男性に多いのが特徴です。
また、役職が高い人、高収入の人に多いとされています。
大事な会議や意思決定の前に、急な腹痛であわててトイレに駆け込むといったケースが考えられますね。

便秘型は、女性に多く、なかでも20~40代に多くみられます。

── 急にトイレに駆け込む心配はないにしても、お腹に不快感をずっと抱えて生活するのは苦痛ですね。

工藤先生:
大人になってから発症するケースもありますが、子どものころから同様の症状があったという方もいらっしゃいます。
テストや発表会、運動会など緊張するシーンでよくお腹が痛くなっていたと答える方は多いです。
また、遺伝的な影響もあると考えられています。
日本人のおよそ10〜15%がIBSであるともいわれていて、決して珍しい病気ではなく、ストレスを抱えやすい現代社会では、誰もがなりえる病気ともいえるでしょう。

■腸活が逆効果?お腹グルグルを引き起こす意外な食べ物
── IBSはどうやって治療するのでしょうか?

工藤先生:
根本的な治療法はなく、下痢型なら下痢止め、便秘型なら便秘薬といった薬での対処療法になります。
お腹の症状が大きなストレス要因になって悪循環を起こしているときは、不安を取り除く薬を使うこともあります。
ただし、加齢とともに患者数も減る傾向にあり、環境が変わってストレス要因から離れたり社会との向き合い方が変わるなかで、いつの間にか治るケースもあります。

── ストレス要因からいますぐ離れるわけにもいかないこともあります。
症状をおさえるために何かできることはありますか?

工藤先生:
多くの病気と同じく、規則正しい生活、食事、睡眠、適度な運動が改善の基本です。
また、IBSの食事療法として「低FODMAP(フォドマップ)食」が近年注目されています。

FODMAPとは、発酵性の4つの糖類(オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール)のことです。
これらの糖類が含まれる高FODMAPの摂取を控えることで、IBSの症状が軽減したという研究結果が、欧米を中心に報告されています。
高FODMAP食品には、小麦、豆類、納豆、ごぼう、牛乳、ヨーグルト、クリームチーズ、りんご、すいか、アスパラガス、はちみつ、きのこ類、さつまいもなどがあります。

── 意外にも、納豆やヨーグルトをはじめ、腸によさそうな食品が当てはまるんですね。

工藤先生:
そうなんです。高FODMAP食には一般的に腸内環境によいとされる食べ物が当てはまります。
腸内細菌を元気にする食べ物であるがゆえに、人によっては腸内で発酵をがんばりすぎて多量のガスや張り、下痢や便秘といったお腹の不快感を強くしてしまうのです。

── 腸内環境を整えようとして積極的に食べていたものが、逆効果なこともあるんですね。

工藤先生:
ただし、どの食品がお腹に悪い影響を及ぼすのかは人によって異なるため、高FODMAPの食品をすべて避け続けるのではなく、自分のお腹と相性の悪い食品を探していくのが、低FODMAP食の目的です。
まずは3週間ほど高FODMAP食を制限して、お腹の調子が良くなるか試してみましょう。
改善がみられそうならば、次は高FODMAP食を1種類ずつ試して相性の悪い食品を特定していくと良いかと思います。

IBSは治療法がないことから、長くつき合わなければいけないかもしれません。
症状を悪化させずにうまくコントロールしていくためにも、一度医師に相談することをおすすめします。


PROFILE 工藤あきさん
消化器内科医・美腸・美肌研究科。
一般内科医として地域医療に貢献する傍ら、腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケアにも尽力。
テレビ、本、雑誌などメディア出演多数。2児の母。


取材・文/大浦綾子
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金子恵美氏、松本人志の週刊誌報道に「疑惑の段階で社会的制裁を受けるような社会は正しいのか」

金子恵美氏、松本人志の週刊誌報道に「疑惑の段階で社会的制裁を受けるような社会は正しいのか」
2/17(土) 1日刊スポーツ

 元衆院議員の金子恵美氏が16日、TBS系「ゴゴスマ」(午後1時55分)に出演。
ダウンタウン松本人志(60)をめぐる報道について、私見を述べた。

 この日同番組では、松本が、自身の15年の一般女性への性的行為強要疑惑を「週刊文春」に報じられたことで名誉を毀損(きそん)されたとして、発行する文芸春秋などに損害賠償などを求めた訴訟で、第1回口頭弁論が3月28日に東京地裁で開かれる件について扱った。

 その中で、金子氏はこの裁判について「松本さんと文春の主張が双方対立している状況においては、裁判の中でどちらかの主張を裏付ける証人や証拠が出てくるのか、そこが注目すべき所なのかなと思いますが」と前置きしつつ、「先ほど来(番組内で解説などが)あった、(裁判における)『真実相当性』のところで言うと、やっぱり、今の法の立て付けというか仕組みというか、(週刊誌側が)自由に書けてしまう。
自由に書くことはもちろん報道の自由なんですけれども、仮に真実じゃなかったとしても書けてしまって、それで断定的に社会がレッテルをはってしまっているとしたら…。

疑惑の段階から社会的制裁を受けるようなこの社会というのは、在り方として正しいのかどうかというのは、私はいつも投げかけたいところです」などと話した。
posted by 小だぬき at 13:17 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月18日

27年前、浅田次郎が残虐な少年犯罪を考察し感じた"倫理というハードル"を教えられぬ「大人たち」の罪

27年前、浅田次郎が残虐な少年犯罪を考察し感じた"倫理というハードル"を教えられぬ「大人たち」の罪
2/17(土)  おとなの週末Web

バブル経済崩壊、阪神・淡路大震災、オウム真理教による地下鉄サリン事件など、激動の時代だった1990年代。
そんな時代を、浅田次郎さんがあくまで庶民の目、ローアングルから切り取ったエッセイ「勇気凛凛ルリの色」は、30年近い時を経てもまったく古びていない。
今でもおおいに笑い怒り哀しみ泣くことができる。
また、読めば、あの頃と何が変わり、変わっていないのか明確に浮かび上がってくる。
この平成の名エッセイのベストセレクションをお送りする連載の第96回は、「アンファン・テリブルについて」。

社会全体が置くべき少年へのハードル
「enfant terrible(アンファン・テリブル)」は、コクトーの小説の題名から出た言葉で、「恐るべき子供」の意である。
ていねいに説明するならば、早熟かつ非凡で突出的な行動をとり、社会に脅威を感じさせる子供、とでもいう意味であろう。

14歳のアンファン・テリブルが、小学生の児童を殺害し、頭部を切断して学校の校門に晒(さら)した。
今回は事件の猟奇的好奇心(もしくはテレビ的好奇心)から離れて、まじめに考えてみたいと思う。

本誌の読者の半数ぐらいは、容疑者と同年代の子供を持つであろうし、あるいはそうした子育ての経験があるであろうから、誌面を通じてたがいに考えることには意味があると思う。ちなみに私もそれに近い子供の父親である。
容疑者逮捕の報に接したとき、読者の多くは同じことを考えたと思うが、私もまず「14歳のころのわが子」について考え、次いで「14歳のころの自分」について考えた。
そしてたぶん、誰しもおのれの子供に関しては何ら脅威を感じなかったが、「14歳のころの自分」の記憶には、多少なりとも思い当たるふしがあったのではなかろうか。

つまり、それだけこの時期の少年の内面心理は複雑で、表出しにくいのである。
父母にも教師にも、「ふつうの子」には見えるのだが、実はひとり残らずアンファン・テリブルであるとも言える。
もちろん私も「ふつうの子」であった。
ほどなく異常な男になったが、とりあえず14歳の私は、誰が見ても「ふつうの子」であった。
しかしどういうわけか、残虐なものや破壊的行為にあこがれた。
昆虫の標本を作るときに、科学的興味とはほど遠い一種の快感を覚えたり、小動物を虐待したり、残酷な記録写真を好んで見たりした。
こうした暗い興味は、たぶんこの年齢の少年たちの共通した心理なのであろう。

だとすると、事件の容疑者はあながち異常者というわけではなく、欲望と現実との間のハードルをわずかに越えてしまっただけなのではなかろうか、という気がしてならない。
つまり私たちは、この思春期のハードルをたまたま飛び越えなかったから、今もこうして原稿を書き、また通勤電車の中や午(ひる)休みの喫茶店や、晩酌の後の無聊(ぶりょう)にまかせて、「週刊現代」を読んでいるのである。

ハードルとは言うまでもなく「倫理」である。人として守らねばならぬ掟のことである。
そしてこのハードルは、少年が自ら置くものではなく、社会が置く。
無知な少年の目にもはっきりと見えるように、親が、教師が、家族が、そして彼を取り巻く社会環境全体が用意するのである。

もちろん、少年の犯罪が親のせいだなどと言うつもりはない。
子供に正しい倫理観を供与しつつ、しかもできうる限り自由に育てることの難しさは私もよく知っている。
少くとも親のせいばかりではない。
教育の場についてもそれは同様であろう。
少年を取り巻く環境のすべてが、今やハードルを作る努力を怠っているのである。

たいへんわかりやすい実例が、はからずも容疑者逮捕のニュース画面に映し出された。
所轄警察署の玄関前で、記者が第一報をカメラに向かって読み上げた場面を思い起こしていただきたい。
そのシーンは多くの人々がご覧になっているはずである。

「容疑者は被害者とは顔見知りの14歳の少年でした」

という、ショッキングなレポートをする記者の背後に、Vサインを出しながらはしゃぎ回る何人もの少年が映し出されていた。容疑者と同世代の子供らであった。

彼らが、いったいそこで何が行われているかを知らぬはずはない。
自分と同世代の少年が小学生を殺害し、死体を損壊し、首を中学校の校門に晒した。
事件は彼らなりに衝撃であったと思う。
ましてや地元のことであるから、学校でも家庭でも話題はその噂でもちきりだったであろう。

要するに記者の背後ではしゃぎ回る子供らは、倫理観に欠けているのである。
「こういうときにはしゃいではならない」というハードルが見えていないのである。
しかし、倫理のハードルは少年が自ら置くものではない。社会がそこに置く。
カメラの周囲には多くの通行人や野次馬がいたはずであり、オン・エア中であるのだからテレビ局のスタッフもいたはずであり、警察署の前なのだから警官もいたはずではないか。
つまりあの画面を見る限り、そうした周辺の大人たちは、誰もとっさにハードルを置こうとはしなかった。
とがめようとしなかったのである。

「周辺の大人たち」というのは、少年たちを取りまく社会環境のことである。
「こういうときにはしゃいではならない」という倫理観を持たぬ子供らは、「テレビに映ることの快楽」またはそのことへの欲望のために、はしゃいではならない場面ではしゃいだ。
おそらくあの少年たちは、誰もハードルを置いてくれないという最悪の環境の中で、大人になって行くのであろう。
もちろん大人になった彼らが、次世代の子供らに倫理を語ることはできない。

倫理を欠いた社会が「恐るべき子供」を生み出す

もうひとつの例がある。
さる写真週刊誌が、容疑者の顔写真を掲載し、世の非難を浴びた。
14歳の少年の顔写真をマスコミが入手するのは容易である。
しかしそれを公開してしまうのは、明らかに倫理に欠ける。
よりセンセーショナルな記事や写真を求めるのは、出版社も読者も同じであるが、だからといってそれをあからさまに公開してしまうのは、売る方も買う方も倫理のハードルを持たないからであろう。

私はその出版社とは仕事上のつながりがある。
知人も多いし、当該写真週刊誌とも何度か仕事をし、いくばくかの収入を得ている。
だが、私も一方に週刊誌のコラムを持つ以上、これに目をつむることはできない。「
周辺の大人たち」のひとりにはちがいないのである。

例はさらに続く。
写真週刊誌がコンビニやキヨスクの店頭から消えたあと(売り切れてしまったのか、引っこめたのかはわからないが、ともかく一瞬のうちに消えたそうだ)、その顔写真のページをコピーして売るふとどき者が何人も出現したという。
にわかには信じ難いが、新宿駅頭では一枚500円の値段で飛ぶように売れていたと、ニュースで報じていた。
はっきり言って、500円は大金である。
私はついこの間まで、この500円惜しさのために昼メシを抜いていたし、500円の金がないために銭湯にも行けず、洗面所で体を拭いていた。
したがってごく個人的な理由かも知れぬが、500円という不当な金額には猛烈な怒りを感じた。

もちろん金額が正当か不当かという話ではない。
500円という金の有難味を知っているはずの大の大人が、何の倫理観もなくコピーを売り、我さきに買ったことに憤りを覚えたのである。
こういうバカな大人たちは、たまたま14歳のときに人を殺さなかっただけだと思う。
人を殺すことの是非とか、死体を切り刻み、頭部を中学校の校門に晒すことの倫理的な是非などは、大人になった今でもまったくわかっていないのではなかろうか。

私見ではあるが、容疑者の少年は哀れであると思う。
私が子供のころは、悪い時代を体験し、痛みや苦しみをわかっている説教おやじが周囲に大勢いた。
見知らぬ人に叱りとばされた経験はいくどもある。
そう思うと、おそらく勾留された今でも、おのれのなしたことの怖ろしさに正確には気付いていないであろう十四歳の少年が、哀れに思えてならない。

彼は読書家であったそうだ。
だが、彼が読書を通じて現実を夢想するようになったという一部の報道は、ひどい詭弁(きべん)である。
書物は決して、人を犯罪者にはしない。

倫理を欠いた社会が、彼をアンファン・テリブルにしたのである。

(初出/週刊現代1997年7月19日号)


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2024年02月19日

恒例行事への「苦情」にどう向き合うべきか

除夜の鐘、盆踊りにも中止要求 恒例行事への「苦情」にどう向き合うべきか
2/18(日) NEWSポストセブン

 古い因習にとらわれず、変えるべきことは変えていこうという動きが社会全体に広がっている。
女人禁制だった祭礼に女性も参加できる形を新設したり、動物への負担が軽くなるように配慮をするなど変化が起きているなか、既存の物事との共存を拒否する前提で権利を主張する人たちに振り回されることもある。
ライターの宮添優氏が、個人の不快を理由に権利を主張する苦情の前に、沈黙と中止が続く地域の「行事」についてレポートする。
 * * *

 年越しまで間もなく1時間を切ろうとしていた、2023年の大晦日 。
千葉県船橋市の住職・吉岡竜栄さん(仮名・60代)は、例年であれば境内にある寺鐘に立ち、集まった参拝客らと共に除夜の鐘を打った。
だがその日、鐘の音が聞こえることはなく、事情を知らずにやってきた参拝客がガッカリして帰路に着くばかり。

「ついにうちにも、とうとう来たんです。
やはり、静かにしてほしい、うるさいというご近隣の方からの要望がたくさん来ました。
今回、除夜の鐘は中止にしました。
せっかく大晦日に参拝に来られたのに、みなさん驚いて、そして残念そうに帰っていかれるのが気の毒で忍びない」(吉岡さん)
 吉岡さんはこの数年、年末が近づくにつれ近隣住人から寄せられる10件程度の「うるさい」などの苦情に頭を悩ませてきた。
住宅街にあるものの、開山後300年以上経った由緒ある寺院で、大晦日には除夜の鐘を打とうと、数百人の参拝客が列を成すことも珍しくなかったという。

「ご要望は、昔からの住人ではなく、新たに越されて来た方から寄せられることがほとんど。
うるさいと怒鳴り込んでくる人もいれば、文化なのはわかるが夜までうるさく耐えられない、という悲痛なものもあり、やむを得ず中止を決定したという次第です」(吉岡さん)
 寺の周囲は古い住宅街で、数年前まではこうした苦情が来ることは想像もできなかったという。
だが、従来の地域住民が高齢となり、亡くなったり住み替えのため古い家屋が壊され新たな家が建ち始めると、相当数の住人が入れ替わった。苦情が出始めたのはそれからだった。

役所は、やめてくださいとは言わない
「鬼火焚きだけではない、盆踊りまで中止になった。
街が発展するのは歓迎するし、若者が増えるのも素晴らしい。
でも、元からいる住人が楽しみにしている行事まで中止にするのは、ちょっと違うんじゃなかろうかと思うんです」

 悔しそうにこう打ち明けたのは、九州北部在住の食料品店経営・内山俊彦さん(仮名・70代)。
正月7日に行われる、正月飾りなどを焚き上げる伝統行事を、九州地域では「鬼火焚き」と呼ぶ。
似たような火祭り行事は全国で1月7日から14日の間、小正月の時期に行われており「どんど焼き」「左義長」などと呼ばれるが、今年、その鬼火焚きが中止になったという。
理由はやはり「新たな住人」だった。
「公園の近くが再開発されて、4年くらい前にマンションが建ったんです。
昨年の夏、やっとコロナ禍も落ち着いたということで、中止つづきだった盆踊りをマンションに隣接する広場で、以前通り開催しようと決まりました。
でも、マンションの自治会が町会にやって来て、住人が迷惑だからやめてほしいと言うんです。
それだけでもビックリしたのに、今度は鬼火焚きまで、です」(内山さん)

 当初、町会員は新たな住人に「恒例行事なので」と、なんとか開催のお願いをしてきた。
すると今度は、自治体にまで苦情を寄せられ、自治体担当者から町会に電話がかかってくるようになったという。
「役所としても、やめてくださいとは言わないんですよ。
でも、こういう意見がありますからってことで伝えてくる」(内山さん)
 結局、マンションが建って以降の広場では、盆踊りや鬼火焚きだけでなく、それまでは自由に行えていたボール遊びやなわとびなども控えるような案内板が掲示された。
そして、広場から子供たちや市民の姿は無くなったのだ。

「新たな人を歓迎しないわけではないんです。
でも、先に住んでいる人の環境に口を出したり、物事を思い通りに変えさせるというのは……どうにも納得がいかんのです」(内山さん)

主催者は大きなトラブルに発展する前に自粛
 地域の行事をめぐる対立などのトラブル解決に、役所が介入することはまずない。
主催は民間であり、イベント実行に際して法律などで規定されていることもほとんどない。
住民から苦情が寄せられても、役所としては「話し合いで解決を」という他ないのだ。
神奈川県某市の市役所勤務・森永悦子さん(仮名・50代)も頭を悩ませていると訴える。
「こうしたトラブルは大小、様々なところで起きていますが、基本的に行政が介入することはまずなく、住民同士で解決してくださいというスタンスです。
しかし、どうしても納得できない、自分達の権利が守られないと苦情を入れられる方は一定数いらっしゃる。
市内でも、花火が見えるからと買った新興住宅地に引っ越したところ、同じく新たな住人が”花火大会がうるさい”と言い出し、結局花火が中止になった、という事例も聞きます。
苦情の件数がそれほど多くなくても、例えば花火大会や盆踊りの主催者の方は大きなトラブルに発展する前に自粛しよう、と動かれるのです」(森永さん)

「郷に入れば郷に従え」ということわざは古くさいもの、今にそぐわないものとして語られるようになり、かつてより「個」が大切にされるようになったと言われる現代。
個を優先させた結果なのか、それとも各人が好き勝手を言って周囲が疲弊しているだけなのか、はっきりとした状況は把握できない。

だが、これらのイベントや行事は、その地域で暮らす人たちの様々な世代が交流し、自然と地域の沿革などに触れられる貴重な機会という側面もある。
そんなものは無くても生きていけると思うかもしれないが、いま治安が安定した暮らしやすい社会を成り立たせてきたのは、そういった積み重ねもあったからだろう。
それらを無視して、個人的な不快を理由とした苦情の前に沈黙し、「行事」を縮小させ続けてもよいのだろうか。
侘しさを感じるのは、筆者だけではないだろう。
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2024年02月20日

内閣+自民支持率50%割れ 「青木の法則」危険水域に 支持層も厳しい目 産経・FNN合同世論調査

内閣+自民支持率50%割れ 「青木の法則」危険水域に 支持層も厳しい目 産経・FNN合同世論調査
2/19(月) 産経新聞

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17、18両日に実施した合同世論調査で、自民党の政党支持率が令和3年10月の岸田文雄政権発足後最低の24・8%に落ち込んだ。
内閣支持率(22・4%)との合計は47・2ポイント。
内閣支持率と与党第一党の政党支持率の合計値が「50」を割り込むと政権運営が程なく行き詰まるとされる「青木の法則(青木率)」の危険域に入り、綱渡りの政権運営を強いられている現状が浮き彫りになった。

青木率は、昨年死去した自民党の青木幹雄元参院議員会長が経験則から唱え、永田町で幅広く知られている法則だ。
内閣支持率と与党第一党の合計値が高ければ政権にとって「追い風」で、逆に低ければ「逆風」を示すことから、衆院解散・総選挙のタイミングを諮る指標の一つとみる向きもある。

岸田政権が発足した令和3年10月の調査の内閣支持率は63・2%と自民党支持率は45・3%で、合計した青木率は108・5ポイント。
この際は直後の同月末に行われた衆院選で自民は単独過半数を維持し、勝利を収めた。
ただ、その後、青木率は緩やかに下降傾向をたどり、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件が浮上した昨年12月の青木率は49・8ポイントで、政権発足後初めて「50」を切った。
1月には54・7ポイントに持ち直したものの、今回の調査で再び危険水準に入った格好だ。

内閣と自民の支持率低下の大きな要因の一つである派閥の政治資金パーティー収入不記載事件には、自民支持層からも厳しい視線が向けられている。
今回の調査で、不記載があった議員が衆参の政治倫理審査会で自ら説明すべきか尋ねたところ、回答者の89・0%が「説明すべきだ」と回答。
自民党支持層に限っても81・3%が「説明すべきだ」とした。

また、不記載議員への自民の対応では自民支持層の46・8%が「派閥の幹部議員を処分すべきだ」と答えた。
「不記載のあった全ての議員を処分すべきだ」も31・8%に上った一方、「処分の必要はない」は17・6%にとどまる。

自民の閣僚経験者は「(調査結果は)肌感覚に近い。問題はこの状態がいつまで続くかだ。早く何とかしなければ」とつぶやいた。
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2024年02月21日

報道機関の忖度問題 記者、芸人ら議論「当局との関係依存に問題」

報道機関の忖度問題 記者、芸人ら議論「当局との関係依存に問題」
2/20(火) 沖縄ニュースQAB

 報道機関での忖度問題を考えるシンポジウムが那覇市で開かれ、記者・ジャーナリストやお笑い芸人などが、議論を展開しました。
 那覇市で開かれた「報道ティーチイン」は、県内の新聞と放送の各労働組合で作る県マスコミ労協の主催で実施し、オンラインも含めておよそ100人が参加しました。

 そのなかで、全国紙で記者経験があるジャーナリストなどが登壇し、メディア側が圧力や批判を恐れて先回りし、報道を自主規制していく構造などについて分析していました。

 吉永磨美さんは「(省庁などから)ネタをもらえなくなるかも、関係が悪くなるかもしれない。だからあの原稿がヤバいから止めなければいけないみたいな、90%以上(の記者)はちゃんとやっている。
妙に過剰反応する人が局所局所にいて、(権力に)忖度するのはあると思う」と述べました。
[
 南彰さんは「本来おかしいものを当局がやっているときはみんなで一致しておかしいですと突き返していくことが普通にならないといけない。
当局との関係性、そこに依存して報道していくというところがあまりにもベースになって、いろいろな問題が溜まっていってしまっている」と述べました。

 議論には、Youtuberのせやろがいおじさんも参加し、芸人視点で忖度問題について語りました。
せやろがいおじさんは「いろいろなお笑いがあっていいけれど、なんでこんなに権力を批判するお笑いが、メディアから排除されて完全に透明化されているか、疑問なんですよ。
これはあまりにもバランスを欠いていないか」と述べました。

 参加者は、議論の内容をメモしながら、報道姿勢のあり方や忖度問題について考えているようでした。


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2024年02月22日

コロナワクチン副作用被害 3年で過去45年上回る ワクチン問題研究会が厚労省で会見

コロナワクチン副作用被害 3年で過去45年上回る ワクチン問題研究会が厚労省で会見

2/21(水) 週刊大阪日日新聞

 (一社)ワクチン問題研究会(兵庫県宝塚市)が先月11日、厚生労働省で「設立後6カ月の成果報告〜ワクチン副作用被害の拡大とその内容の事実確認〜」について記者会見を行っている。
冒頭で京都大名誉教授で、同会の代表理事を務める福島雅典医師が、世界全体における新型コロナウイルスのワクチン接種後の副作用についての調査結果を発表した。(加藤有里子)

すべての臓器で発症心臓溶けたケースも
 2021年12月から23年11月の間に、米国立医学図書館(NLM)が提供する医学関連分野の文献データデータベース、パブメド(PubMed)に掲載された副作用報告件数は3071件にのぼる。
血液、神経、内臓、目など、すべての臓器で疾患しており、血小板減少心筋炎、キラン・バレー症候群、アナフィラキシーなど症状もさまざま。

 日本国内では、精神疾患の副作用が報告されていなかったが、精神障害やうつ、睡眠障害などの症例も見受けられるという。

 コロナワクチンの副作用は、パターンが決まっておらず、複数の疾患が同時に発症することもある。
福島医師は「28歳の男性は心臓が溶ける心筋融解を起こしており、これまでの医師経験の中で見たことがない症状が、コロナワクチンによって引き起こされている」と説明する。

武見厚労大臣に救済の要望書提出
 会見の日、会では武見敬三厚生労働大臣宛の要望書を提出した。
要望は5つで、@ワクチン接種死亡者の全例調査 Aワクチン接種後の健康被害者の全例調査 B 全被害者の救済・補償及び適切な医療の提供 C国のワクチン政策の検証 Dワクチン接種後健康被害者に対する適切な診断と治療に関する研究の推進─だ。

死亡の認定件数453件
 国内で過去45年間の従来の全ワクチン被害認定件数は3522件。うち死亡認定は151件。

 一方で、厚生労働省が発表した最新データ(1月26日付け分)によると、コロナワクチン接種による申請受理件数は1万135件。
うち、死亡に係る受理件数は1158件。
このうち、認定された件数は6088件、死亡の認定件数453件。
従来型のすべてのワクチンに比べ、突出していることが分かる。

 医師らは「患者、家族に成果物を届けることを目標に、ワクチン接種後症候群について、誰も否定できない検査法を開発し、副作用情報を明確に示してメカニズムを分子レベルで解剖していく」と意気込んだ。
今後、自治体や医師会など各機関と連携して相談窓口を設けていく方針。

 会見当日は大手メディアも取材をしていたが、未だ報じてはいない。

 副作用の正式名称は「ワクチン接種後症候群」。
会見の様子や論文、資料などについては、(一社)ワクチン問題研究会の公式サイトにて公開されている。
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2024年02月23日

BMIが25以上の「肥満」のほうが長生きする…「日本人の中高年」にダイエットは必要ないと言える理由

BMIが25以上の「肥満」のほうが長生きする…「日本人の中高年」にダイエットは必要ないと言える理由
2024年02月22日 PRESIDENT Online

中高年が健康でいるためには、どんなことに気をつければいいのか。医師の和田秀樹さんは「さまざまな調査結果を見ると、少し太っているほうが長生きしている。健康のためには体重を減らすよりも、ストレスを溜めないほうが大事だ」という――。(第2回)
※本稿は、和田秀樹『ゆるく生きれば楽になる』(河出新書)の一部を再編集したものです。


■60歳を過ぎたら「糖質制限ダイエット」はやめたほうがいい
年をとると、栄養が過多であることより、足りない害のほうが大きくなります。
そのため、60歳を過ぎたら無理なダイエットは禁物です。
若いうちなら多少栄養素が偏ってもなんとかなりますが、年をとると体に悪影響を及ぼすリスクのほうが高くなってしまいます。
たとえば、「糖質制限ダイエット」を試している人がいるかもしれませんが、糖質は脳のエネルギー源なので、高齢者の場合、脳にダメージを与えることになりかねません。

ブドウ糖が足りなければ頭がぼんやりしてきますし、塩分を懸命に控えている人は、低ナトリウム血症から痙攣や意識障害を引き起こすリスクもあります。
意識障害はとても危険な症状で、運転していれば突然暴走してしまうかもしれないという不安もあります。
微量元素の不足も、年をとればとるほど、害がはっきりと出やすくなります。
亜鉛が不足すると味覚障害を起こすことがあります。

若い頃は、多少不足したとしても味がしなくなるまではいかないものですが、年齢が上がるとかなり影響が出るようになってしまいます。
亜鉛不足で味がしなくなったという人は、結構多いものなのです。

■食品添加物よりも目の前の健康
このような栄養をまんべんなく摂取するために、できれば自分の体調に合ったものを自分で作るのが理想です。
けれども、疲れたときややる気が出ないとき、なんとなく食べるのも億劫だからと作る気がしなくなって食事を抜くのは好ましくありません。
たまにはコンビニのご飯を食べるのもいいではありませんか。
その中でも、できるだけいろいろなおかずがあるものを選ぶようにするなど、無理のない範囲で選択しましょう。

コンビニ弁当などに入っている食品添加物の害を気にする人もいますが、それはあったとしても10年後や20年後、30年後に影響するかもしれないくらいのものです。
もう、我々の年代になったら、気にすることなどないでしょう。
それよりも、目の前の健康のほうがはるかに大事な年齢なのです。

■「炭水化物抜き」、「脂質抜き」はNG
「あれを食べなくちゃいけない」「これを食べてはいけない」などと難しく考えず、好きなものを好きなように食べればいい、がゆるく考える健康の基本です。

けれども、もちろんなるべくいろいろな種類のものを食べるほうがいいですし、年をとればとるほど、タンパク質を摂ったほうがいいのは間違いありません。
タンパク質が不足すると、肌も汚くなるし、髪の毛も抜けやすくなり、内臓の状態も悪くなります。

年齢とともにあっさりしたものが欲しくなる人もいますが、食べる全体量が減るからこそ内容は大切です。
もはや、「炭水化物抜き」や「脂質抜き」など特定の栄養素を減らすダイエットは厳禁です。
60歳からは、できればなんでも食べる雑食でいたほうが元気です。
できるだけ肉などのタンパク質を摂る、コレステロールはむしろ高めのほうがいいというのが年をとってからの基本です。

年齢とともに食べられなくなってきて、どうしても痩せてしまうという人もいますが、頑張って食べるしかありません。
食べないでいると元気がどんどん衰えてしまうので、食べる量が少ない人ほどタンパク質を重点的に摂るようにすべきです。

食べることは、本当に元気の基本だと実感します。
90代の人などを見ていると、ご家族が「最近食べなくなった」とか「痩せてきた」というときは、たいてい数カ月くらいで寿命を迎えることが多いのです。
とはいえその人たちは、それまでしっかり食べてきたからこその長寿です。
食べることは、健康の大きなバロメーターと言えます。

■健康と寿命のためになるのは医学よりも栄養学
医学より栄養学のほうがはるかに健康に寄与するというのが私の持論です。
日本人が体格がよくなったのも、寿命が延びたのも、すべて十分なタンパク質を摂るようになったからです。

かつて日本人の死因の第1位を長らく占め、不治の病としてあれほど恐れられた結核でさえもはやかかる人がほぼいなくなったのも、タンパク質を摂るようになって免疫力が上がったからだと私は考えています。

1951年、結核に代わって死因のトップに躍り出たのが「脳血管疾患」です。
昭和30年代から40年代頃は、最高血圧が150、160の人が脳出血で倒れることが多かったのです。

けれども、今では出血型の脳卒中は大幅に減って、代わりに脳梗塞が脳出血のおよそ2倍になりました。
脳出血になる人も血圧が高いせいである以上に、タンパク質不足で血管が破れやすいという理由です。

さらに日本人がタンパク質を積極的に摂るようになって、脳血管疾患がだんだん減少、1981年に代わりに死因のトップに躍り出たのが悪性新生物、つまりガンです。
脳血管疾患はどんどん勢いをなくし、今では死因の4位にまで落ち込んでしまいました。

日本人の死因が移り変わってきたのは、栄養状態がよくなったことが最大の原因です。
つまり、栄養学のほうが医学よりはるかに長寿の源になっているのです。

100歳を超えてお元気な高齢者は、本当にいろいろなものをよく食べています。
できるだけ食欲旺盛でいましょう。

■健康診断の「肥満」を信じてはいけない
健康診断では身長と体重を計測し、BMIという体格指数を算出し、生活習慣病の指針にしています。
日本では、最も病気にかかりにくく健康であるとされるBMI22を適正体重とし、BMI25以上を「肥満」と分類しています。

BMI22に相当する適正体重は身長が160cmで約56.3kg、170cmで約63.6kgです。
また、WHO(世界保健機関)では国際的基準として、BMI25以上を過体重、30以上を肥満としています。

ただし、世界のデータを見ると、BMIが25以上の人のほうが長生きする傾向が見えてくるのです。

日本では、40歳時点の平均余命が最も長いのは男女ともBMIが25以上30未満という5万人規模の調査結果があります。
また、アメリカでもBMI25以上30未満が最も死亡率が低いという報告があります。

BMI30というと、身長160cmで76.8kg、170cmで86.7kg、日本だとかなりの肥満とされる体型です。
そう考えると、アメリカはともかく、日本人で体重を減らす必要のある人はそう多くないでしょう。

太りすぎの心配をしている人のうち98%くらいは、実際には全く不安に思う必要のない、ただそう思い込まされている人ということになります。
あまり体型を気にすることなく、しっかり食べることを優先したほうがいいのです。

健康でいるためには免疫力を高めることが大切で、そのために有効なのは、しっかり栄養を摂ること、歩く程度の運動、楽しむこと、そしてよく笑うことなどです。
そして、もっとも気をつけるべきなのが、ストレスをためないことです。

■医者が最大のストレスになってはいけない
体重を減らさなくてはいけない、食事制限をしなくてはいけないと毎日気を遣うのは、知らず知らずのうちにストレスをためることになりかねません。
バリバリ仕事をしているうちは、職場の人間関係が最大のストレスという人が多いものですが、仕事から解放されたあとは、医者が最大のストレスになるかもしれないと思うほどです。

正常値信仰の医者にかかると、毎日の食事に気を配らなくてはいけないし、毎日時間を決めて薬を飲まなくてはいけない、真面目に通院しなくてはいけないなど、毎日の生活で制限が多くなる上に、次は何を言われるかと医者に行くこと自体がストレスを増やすことになります。

真面目に医者の言うことを守って、心筋梗塞や脳卒中の確率を何%か下げることはできるかもしれませんが、その代わりガンやうつになる確率を何倍にも上げるのではなかろうかとさえ思うのです。

----------
和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
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2024年02月24日

雑談が苦手な人は、誰でもすぐ使える「HEFEメソッド」を会話の糸口にしよう

雑談が苦手な人は、誰でもすぐ使える「HEFEメソッド」を会話の糸口にしよう
2/22(木) 19:21配信 ライフハッカー・ジャパン

誰かと会話をしたいと思っても、会話の糸口となるトピックがわからなくて困った経験がありますよね?
今度そのような状況に陥ったら、「HEFEメソッド」を試してみましょう。

テーマを絞って会話の糸口をつくる「HEFEメソッド」
FORDメソッドに類似した「HEFEメソッド」とは、会話の糸口となる広範な4つの主題トピックを覚えやすくしたもの。

「HEFE」とは、
・趣味(Hobbies)
・娯楽(Entertainment)
・食べ物(Food)、
・環境(Environment)の頭文字をとったものです(ここでいう「環境」とは、気候変動や保護活動といった意味ではなくあなたの周囲の状況を指します)。

FORDのトピック(家族、職業、レクリエーション、夢)は、ある種のプロフェッショナルな状況や知人との会話に役立つかもしれませんが、HEFEメソッドは特に見知らぬ人との会話に役立つでしょう。

質問の例は以下です。

【趣味】
週末は何をされるのが好きですか?
夏に楽しいと感じることはありますか?
スポーツを何かしていますか?

【娯楽】
お気に入りのテレビ番組は何ですか?
最近読んだ本で良かったものはありますか?
ここ1年で観た最高の映画は何ですか?

【食べ物】
料理は好きですか?
人に料理をふるまうとき、得意な料理は何ですか?
今すぐ好きな食事を出してもらえるとしたら、何を選びますか?

【環境】
このバスはいつも時刻ぴったりに来ますか?
リノベーション以来、ここに訪問するのは初めてですか?
このスペースはいつもこんなに混雑していますか?

認知科学の研究者であり、Mind Brain EmotionのCEOであり、「52 Essential Conversations(成長マインドとコミュニケーションスキルを構築するための会話カード)」の開発者であるジェニー・ウー氏によると、HEFEメソッドは低リスクかつ直ちにアクセス可能な日常のトピックとのこと。
だからこそ、会話をはじめることに抵抗感や不快感をより感じにくくなると、ウー氏は述べています。
専門的な知識はあまり必要なく、意見や見方を共有することで、互いをよりよく知ることができるのです。

さらに、宗教や政治のように論争を生むトピックと比較して、HEFEメソッドに関連するトピックは比較的「安全」なトピックであると、心理学者のメアリー・アン・コーヴィ氏が次のように述べています。

安全なトピックは、心理的ハードルを最小限に抑え、自分自身の興味に焦点を当てる傾向があります。

HEFEメソッドの利点
ウー氏によると、HEFEメソッドの魅力の1つとして、これらのトピックは予測とコントロールが可能だと実感を持ちやすいからなのだそう。次のように説明しています。

コミュニケーションに不安を感じる人は、前もってロールプレイをして、これらの話題について話す練習をすることもできます。
同様に、HEFEトピックは会話の土台をつくるので、それによって安心感を提供します。
コーヴィ氏は、以下のように指摘しました。

コミュニケーションに不安を抱えるほとんどの人々は、不快な沈黙を恐れ、その沈黙を埋める方法がわからず、さらに不安を引き起こしてしまうのです。

ライセンスを持つ結婚家族セラピストのマリオ・パラシオス氏によれば、HEFEの「環境」要素は、社交的な状況に不安を感じたり、途方に暮れたりする人に特に役立つといいます。
なぜなら、環境は平等なものだからです。

彼は、次のようにも述べています。

コミュニケーションに不安を抱える人が環境に焦点を当てる主な利点は、それが自分自身から焦点を移すことです。
コミュニケーションの不安は、しばしば自分自身に対する否定的な信念に基づいて、他人からどのように判断され、認識されるかを心配することを中心に展開します。
このような状況にある人にとって、焦点を自己から移動させ、意図的に共有環境に焦点を置く努力をすることは、プラスになるでしょう。

Source: Mind Brain Emotion, Mario Palacios Therapy,

ライフハッカー・ジャパン編集部

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2024年02月25日

週刊誌がいま「日本最強のメディア」になっている理由…「推し文化」との意外な「共生関係」

週刊誌がいま「日本最強のメディア」になっている理由…「推し文化」との意外な「共生関係」
2/24(土) 現代ビジネス

週刊誌の影響力が増している
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〈昨今の状況においては、週刊誌こそが最大権力者です。
政治家よりも、インフルエンサーよりも、芸能人よりも、週刊誌とか、メディアこそが権力者になってしまっています。

かれらが潰したいと思った人、人間なんてだれだって恥ずかしいこととかヤバいこととか、どっかしらあります。
それをすごく極端に書けば、悪人なんていくらでもつくれます。
「ファクトというけど、お前らがファクトを都合よく選んでるだけとちゃうんかい」ということあります。

そうやってひとりの人間をいくらでも消せます。
そして、莫大な利益を得ます。週刊誌こそがもはや権力者です〉(箕輪厚介の部屋「松本人志のミスと週刊誌の印象操作について解説します」2024年1月11日より引用)
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 近ごろ、週刊誌の影響力がますます大きくなっている。

 ダウンタウン・松本人志氏の性加害疑惑を報じた週刊文春、あるいはサッカー日本代表・伊東純也氏の性加害疑惑を報じた週刊新潮など――世間でもネットでも週刊誌発の報道が話題にならない日を見かけなくなった。

 箕輪厚介氏は自身のYouTubeのなかで「週刊誌こそがいまの日本の最大権力者だ」と指摘する。
その善し悪しの評価は別として、たしかに週刊誌はいま、社会に対してかつてないほどの影響力と存在感を示すようになってきている。
 私自身、週刊誌と仕事をしたこともあり、その節は大変お世話になりましたということで揶揄や誹謗の意図はないことはあらかじめ断っておくが、「週刊誌」というメディアに対する世の中の “文脈” がここ最近になって変わったように感じている。
ひと昔前までは「週刊誌=下世話でアヤシい話が載っているもの」といった世間の受け止め方が一定程度あったものだが、しかし現在は大きく様相が異なる。
たとえば週刊文春の報道に対するリアクションを観察してみると、SNSではそれを「正義のジャーナリズム」あるいは「悪を註するビジランテ(私的制裁者)」として歓迎している人が大勢いることが見えてくる。

 週刊誌はいま、紙媒体だけでなくウェブ媒体も同時更新する形でSNSとシナジーを起こしている。
SNS上で多くの人が参加する「炎上」や「ソーシャル・スクラム」の話題を提供することで、人びとの関心や怒りを追い風にし、いままで以上に強大な影響力を持つことに成功している。
伝統的に週刊誌の「ターゲット」になりやすかった芸能をはじめとする各界の著名人は、みずからの過去の言行を思い返しながら、次に報じられるのは自分かもしれないと戦々恐々としているのではないか。

「銀の弾丸」を生み出したもの
 週刊誌の報道が、ときに法や手続きをすっ飛ばして相手を制裁する、ある種の「超法規的正義」と化していること自体については賛否は大きく分かれている。
正義の執行であると喝采を送る人もいれば、法や秩序を壊す反社会的行為だと非難する人もいる。

 しかしながら私は、善きにつけ悪しきにつけ、週刊誌がその強大な社会的影響力を持つに至ったことそのものの背景には、私たち全員がかかわっていると指摘しておきたい。
週刊誌に喝采を送る人は言うまでもないが、しかし「週刊誌はけしからん」「裁判所を気取るな」とネガティブな意見を持つ人さえも、週刊誌の影響力に加担している部分はあるといえる。

 というのも、週刊誌がここまで圧倒的な力を持つようになったのは、芸能をはじめとする著名人に対して私たちがいまや当たり前に実践するようになった「推し(推す)」というカルチャーが、その最大の原因だからだ。
 現代社会の人びとは、著名人を好きになるときに「ファンになる」のではなく「推し(推す・推せる)」という語を好んで用いる。
「私は〜のファンです」とは言わず「〜は推せる」と言って、特定のだれかを応援する。

 その背景には、その人を純然たる好意や憧れなどから応援したいというより、「その人のことを応援している」という自分のポジションがSNSでつながっている不特定多数の人びとに可視化されることを予期し、「その人を推している」という行為によって道徳的優位性や向社会性やファッション性を獲得したいという動機がある。
ようするに、「好き」であることを周囲に示せば自分自身が善人であるとか良識的であるとかセンスがいいとか思ってもらえるような人を、現代人は「推す」のである。

 逆にいえば「推し」の時代においては、応援していることや好きであることを公言したときに「えっ……あんな非道い人を応援しているなんて……」と言われてしまうような人を、まかりまちがって「推す」ようなことはあってはならないということだ。
 いままで「推し」ていた対象がなんらかの理由(たとえばスキャンダルの露見や逮捕など)で、「推す」とかえって自分自身にマイナスの評価をもたらすような存在になってしまえば、世間の人びとは過去にその人を「推し」ていた事実がわかってしまう投稿をSNSからすべて消去して、スッと音もなくその場から立ち去る。
そんな軽さが「推し」にはある。

応援しながら醒めている
 「ファン」の語源は「熱狂する」を意味する “fanatic” である。その対象が周囲からどのような社会的・属人的評価を向けられようが、あるいはその対象を好きであると公言したことで自分がどのような視線を向けられようが、おかまいなしに愛と情熱を向けるような没頭的営為こそが「ファン」になるということだった。

 だが「推し」はそんな熱狂とはほど遠い。応援しながらもつねに頭は醒めている。
いうなればつねに “半身” の姿勢なのである。なにか不測の事態があれば、いつでも自分がそこから立ち去れるような準備をした状態で「推す」のである。
善性や向社会性や道徳性やオシャレっぽさが得られるかぎりは「推す」が、評価が丸ごとひっくり返ってしまうようなアクシデントが起こってしまったら、サッと「推す」のをやめるのである。

 ――このような世間の人びとの “半身” の態度こそが、いま週刊誌を超法規的な存在にまで押し上げている。

 他人を応援している風で、じつは自分の社会的評価のことばかりを気にしている、「応援する対象の評価」で右往左往するような雰囲気こそが、週刊誌の権力をどんどん大きくしていった。
「だれがなんと言おうが、どんなスキャンダルがあろうが、この人のことをずっと応援するんだ」という盲目的な「ファン」がいなくなり、きょろきょろと周囲の様子を伺いながら、自分が周囲の人から褒められそうな「推し」を探す。
そんな半身の時代だからこそ週刊誌は「この世の最大権力者」になることができた。

 もしいまの時代でも「はァ? だからなんだってんだよ。芸人にいちいち真っ当な社会道徳なんか求めてんじゃねえよ」と平然と突っぱねるような文脈が世の中にあれば、週刊文春が放つ「文春砲」もそれこそ豆鉄砲くらいの威力しか出せなかっただろう。

誰もが「キャンセル」を望んでいる

 はっきり言ってしまえば、「文春砲」も「キャンセル・カルチャー」も、それらをやる主体だけで成立している営為ではない。

 「悪い」とされる人間を応援していたというかどで、自分も悪人の仲間にされたくない――そんな臆病まじりの俗欲が世の中の人びとに素朴に内面化されてしまったことこそが、「文春砲」や「キャンセル・カルチャー」を、超法規的正義の発生装置たらしめている。

 週刊誌が報じた相手に反論の機会を与えることなく、ましてや公正な裁判の場を設けるよりも前に、社会的地位や名誉に回復不能なほど強烈な制裁を加えられる状況に対して、それを危惧する声も次第に大きくなってきてはいる。
あるいは週刊誌のみならず、特定のイデオロギーで集まった先鋭的な集団が、市民社会に(ときに暴力的な手段をちらつかせる)圧力を行使して現状変更を求めるような行為についても危機感を持つ人が増えているだろう。

 だが、自分の一挙手一投足がSNSでシェアされ、「善い人だと思われたい」という意識がなによりも優先される時代精神こそが、かれらの比類なき権力をお膳立てしたのだということは留意しておくべきだろう。

 法や秩序を超越して他者を焼き殺す怪物は、どこからともなく勝手に現れたのではない。
 ほかでもない私たち一人ひとりの臆病な功名心が召喚したのだ。

御田寺 圭
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勾留中の19歳が健康状態悪化で死亡…警察官は「無罪推定の原則」を知らないのか?

勾留中の19歳が健康状態悪化で死亡…警察官は「無罪推定の原則」を知らないのか?
日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 
2024.2.25

「表と裏」の法律知識】#223
今月2日、警視庁は留置場担当警察官ら計5人を業務上過失致死容疑で書類送検したことを発表しました。

昨年4月に警察署の留置場内に勾留中の男性(当時19歳)の健康状態が悪化していることを認識していたにもかかわらず、救急車を呼ぶなど適切な措置を取らなかったことで死亡したためです。

勾留されていた男性には糖尿病の持病があり、逮捕の日から複数回のおう吐や発熱、逮捕の翌々日にはおう吐に血が混じり、自力で立てなくなっており、車いすに乗って裁判所の勾留質問に向かうような状況だったとのことです。

留置場の警察官らは、その症状を把握しながら、直ちに対応をせず、勾留質問の後に医師を手配しましたが、その後、男性は呼吸や意識がない状態に陥り、重症糖尿病で死亡したそうです。
本件署員らは、「軽度の糖尿病だと認識していた」などと話しているとのことです。

「無罪推定の原則」という言葉を皆さんも聞かれたことがあると思います。

この原則は、刑事裁判で有罪が確定するまでは「罪を犯していない人」として扱わなければならないというものです。
このことは、たとえ逮捕勾留されていたとしても同じです。

僕も逮捕勾留された依頼者に会いに警察署に行くことがあります。
ところが、留置管理課の警察官の態度を見ていると、逮捕勾留されている人にいわゆるタメ口をきいているどころか、命令口調や侮辱的な発言をする人が非常に多いと感じます。
このような対応をしているのは、警察官の意識の底に、逮捕されているのだから犯人だ、悪いやつだという「推定有罪」の認識があるのではないかと思います。

今回の事件も、明らかに体調が悪化している状況なのに、「推定有罪」であるがゆえ配慮を欠いた結果ではないかと思えてなりません。猛省を求めたい事件です。

(橋裕樹/弁護士)
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2024年02月26日

「米を食うとバカになる」と洗脳…現代の日本人が米食から離れつつある「ヤバすぎる原因」

「米を食うとバカになる」と洗脳…現代の日本人が米食から離れつつある「ヤバすぎる原因」
2/25(日) 現代ビジネス

 「増税メガネ」岸田首相が少子化対策の財源として実質的な増税を検討している。
だが、泉房穂前市長の改革で財源を捻出した明石市の事例もある。
「財政が厳しい」という財務省の言い分は正しいのか。
経済アナリストの森永卓郎氏と、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏の対談書『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(講談社+α新書)から一部を抜粋・再編集してお届けする。
  
 鈴木宣弘(以下、鈴木)
 まず子どもの教育が大事ですよ。われわれの世代は戦後にやられてしまったわけですから。

 森永卓郎(以下、森永) 
当時はアメリカで小麦が余っていたので、日本に無理矢理輸出しようとした。だからわれわれはパンを食わされたんです。

 鈴木 
そう。日本人にアメリカ産の小麦を食わせるために、マスコミを動員したキャンペーンが行われました。
慶應医学部の教授が書いた「米を食うとバカになる」と主張した本まで出版され、国民を洗脳したんです。

 森永 
われわれは鼻をつまんで脱脂粉乳を飲んだ世代ですから。

 鈴木 
そうなんですよ。いまの人はわからないかもしれませんが、当時の給食についてきた牛乳代わりの脱脂粉乳というやつは臭くて飲めたものではなかった。あれは腐っていたそうですよね。
日本に輸送する間に腐ってしまうんですが、そんなものを当時の人は溶いて子どもに飲ませていたんですよ。

 鈴木 
そんな食事でも、子どものころから刷り込まれた効果は絶大です。
いまの日本人は米食を離れつつあります。だから、まず学校給食を取り戻さなければならない。

 「やろうにも予算がない」という批判もあります。しかし、やってみると意外に回るものです。
千葉県いすみ市では、1俵あたり2万4000円で農家から米を買い取り、給食に回しています。もちろん有機米です。
京都府亀岡市では1俵あたり4万8000円で買い取ると宣言したそうです。

 兵庫県明石市では泉房穂前市長が子ども予算を倍増し、給食無償化などの政策を実現しました。
赤字財政なのに、子ども予算を増やすことに批判もあったそうですが、子育てに良い環境を作ったことで出生率が上がり、人口も増えて商店街が活性化し、税収はむしろ増えてきたそうです。
財政面でも、増税するよりもよほど良い影響がある。

「財政が厳しい」は理由にならない
 鈴木 
いわゆる少子化対策について批判的な意見もあると思います。
 そもそも少子化とは結婚する人が減ったことが原因。
なぜ結婚が減ったかと言えば、賃金が低くて結婚できないという問題がある。先にそうした状況を変えるべきと言われれば、それも一理あると思います。

 ただ、給食をきっかけに好循環が生まれれば、その効果は少子化にも財政にも波及する。だから財政が少々厳しくてもやるべきだと思います。

 森永 
本来、少子化対策ってこういうお金の使い方をすべきなんですよ。
高所得世帯にも児童手当を配るとか、ベビーシッターを雇う補助金を拡充するとか、そういうところにばかり予算がついているのが現実。

 鈴木 
高所得世帯を助けているだけですよね。その層を援助したって、少子化対策にはならないでしょう。もともとお金があって、結婚も出産も問題ない人たちなんだから。

 森永 
なぜこういうことが起きるかと言うと、官僚の給料が基準になっているからです。
中央省庁の場合、課長補佐クラスで年収は1000万円近い。課長になると1200万円くらい。だから、このくらいの年収の世帯が潤う政策ばかりやろうとする。

 鈴木 
役所ってそんなことばかり考えてますよね。財務省もひどいじゃないですか。
私は農水省にいたので知っていますが、財務省は自分たちにうまくお金が入ることばかり考えている。

 私が聞いた話では、予算案について何か聞きたいことがあると、他の役所の人間を呼びつける。それも真夜中に。
だから農水省の担当者は朝から仕事をして、夜は徹夜で待機しなければならない。
一方、財務省主計局の皆さんは昼間の出勤時間は遅くて、夜に農水省などを呼びつけるんだそうです。

鈴木 宣弘(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)/森永 卓郎(経済アナリスト)
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笠井信輔「配慮と余計なお世話 なかなか難しい」路上徘徊する薄着の高齢男性への声かけで悩む

笠井信輔「配慮と余計なお世話 なかなか難しい」路上徘徊する薄着の高齢男性への声かけで悩む
2/24(土)   日刊スポーツ

 元フジテレビのフリーアナウンサー笠井信輔(60)が、冬の夜に路上で薄着の高齢男性と遭遇し、心配して声をかけた出来事の顛末(てんまつ)を明かした。

 笠井は24日、「徘徊老人との遭遇」とのタイトルでブログを更新。
冬の寒い夜、薄いパジャマ姿で歩く高齢男性を帰り道で見かけたという。
気になって「お宅はどちらですか」や「送りましょうか」などと声をかけたところ、相手の返事は「そこだよ」「なんで、いいよ、歩いてるだけなんだから」といったものだった。
笠井は、「もしかして認知症なのかもしれないと思い私は何とかその方の自宅に連れて行こうとしましたが、ご本人がこのままで良いと言うので無理に連れて行くわけにはいかない私も帰宅しました」とつづっている。

 5年ほど前にも、認知症らしき高齢女性を苦労して自宅に送り届けた経験がある笠井。
それだけに今回の男性のことが気にかかり、帰宅後に警察に通報。
しかし警察は該当する高齢男性を見つけることができず、彼がどうなったかは不明のままだった。
そして数日後、その男性と日中にまた遭遇。
しっかりとした足取りだったそうで、「近所の人だったんですね 正直、ほっとしました とても暖かそうなジャンバーを着ていたので、安心しました」と安堵(あんど)した様子を示し、「そうしたご老人にどれだけ関わればいいのか 配慮と余計なお世話 なかなか難しいですね」と配慮のバランスの難しさについて記した。
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2024年02月28日

「本当に枕営業してくれると思ってる方も…」元生保レディが悩んだ“男性客の勘違い”。ストーカー被害に遭った同僚も

「本当に枕営業してくれると思ってる方も…」元生保レディが悩んだ“男性客の勘違い”。ストーカー被害に遭った同僚も
2024年02月26日 SPA!

『気がつけば生保レディで地獄みた。』(古書みつけ・刊)で、保険業界の闇を明らかにした忍足みかん氏。
業界の闇はまだまだ根深いらしい……。

◆ケータイは自前。社用ケータイならではのデメリットも
――お客さんに配る、社名入りのティッシュやカレンダーが自腹なのと、ケータイが自前だと知り、驚愕しました。

忍足みかん(以下、忍足):
入社1年目だとグッズはおこぼれに与れるんですけど、勤続年数が長いけど結果が出せない人は、給料分のグッズを購入して自爆営業していました。

 ケータイは当時と同じ機種を使っているんですけど、アカウントを作り直そうかどうか迷っています。
タイムラインに投稿すると、お客さんが「いいね!」と押してくれたりしますし。
既に保険会社は退職しているし、公私混同したくないから一度、必要な人も切って改めようかなと。

 今は社用ケータイになったらしいんですけど、メリットとデメリットを天秤にかけるとどうなんでしょう。
ケータイ代は浮くもののGPSがついていて全部チェックされる、完全管理下に置かれるらしいです。

◆男性宅への訪問は防犯ブザーを忍ばせて

――怖っ! 怖いと言えば、男性宅に1人で訪問するのは怖くありませんでしたか。

忍足:
募集では正社員と謳っているのに事実は個人事業主だったので、自分の身は自分で守るしかない。
護身策としてスーツのポケットに、防犯ブザーを忍ばせて警戒しつつ訪問していました。

 女性で保険会社に勤務しているというだけで、枕営業やAVを想起されるのも、イヤで仕方なかった。
顧客のごく一部には、本当に枕営業してくれると思ってる方もいました。
確かに、バレンタインデーとかチョコレートを手渡して相手を持ち上げたりもするんですけどね。
いつもは見た目と中身が真面目一辺倒な先輩なのに、特定の男性顧客宅を訪れるときだけ、シャツの胸元を大きく開いていることを目の当たりにしましたし。
私は“女”を売りにはしませんでしたけど、水商売が苦手な人には不向きな職業ですね。

 同僚は、ストーカー一歩手前の目に遭っていました。
彼女の応対に舞い上がってしまったみたいで、会社へ頻繁にバッグなどのモノを送ってくるんです。
基本的に保険会社の職員はお客さんと生活圏が近いので、お子さんを慮って相手の出方を見ながらガードしていました。

◆元生保レディがオススメする保険商品
――危険と隣り合わせの職業なんですね。
保険に詳しい忍足さんに、保険の選び方もお聞きしたいです。

忍足:
個人的にオススメしたいのは、先進医療です。
年齢と性別で異なりますが、1000円から商品になっている医療保険に、月数十円で追加できるんです。

「命に関わる病にかかったら、先進医療はしなくてもいい」と考える人もいると思います。
ですが、余命宣告されたら即座に、何千万円ももらえる先進医療も中にはあるんです。
豪遊して最期を迎えるって、楽しそうじゃないですか?

◆性的マイノリティの問題について思うこと
――勤めていた企業は「LGBTQ+」にフレンドリーだと謳っておきながら、実体は違いました。
忍足さんご自身も「LGBTQ+」ですが、今の世間の風潮をどう捉えていますか。


忍足:
『おっさんずラブ』(テレビ朝日)や『(昨日)何食(べた?)』(テレビ東京系)で発信されて、認知度は高まったけれど、まだ別の世界の出来事と眺めている人が多いような気がします。

 特に50代半ば以降のおじさんは、理解するのが難しいみたいですね。
女は3歩下がって男の後ろをついてこい! という価値観で育った世代ですし、「LGBTQ+」自体を気持ち悪いと思ってしまう人も少なからずいるようです。

 先日、知り合いのドラァグクイーンがショーに出た際、観客のおじさんから「やっぱりキモい」と言われたそうです。
だったら観に来なければいいのに(笑)。
急スピードで見た目が変わった演歌歌手を、「オカマちゃんになっちゃったな」と嘆いている人もいるそうです。

 おばさん、おばあちゃんと40代の男性は意外とすんなり受け入れてくれます。
私、40代の友達が多いんですけど、以前男性から「ゲイじゃないんだけど、女装してみたい」とお願いされました。
「いいじゃん。やってみようよ!」と、和装をした日もありました。

 あと、一言いいですか?
――もちろんです! どうぞ。

忍足:
暴露によって大手芸能事務所が解体され、歌劇団の内部事情が明らかになったのは、みなさんもご存知だと思います。
次は私、生保業界の闇を暴いてほしいと思っているんです。
上役に洗脳されて、後輩にも自分がされた被害を継承していくって、生保も同じ関係図なんです。
先輩が黒いものを白と言えば、後輩は「それは黒じゃなくて白です」とは、間違いを指摘できない、みたいな。

 生保業界を取材し続けている記者さんもいるんですけど、闇を暴くブームが、もっと高まってほしいですね。

<取材・文/内埜さくら>
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2024年02月29日

霊能者の予言「当たっている」と思うカラクリ

霊能者の予言「当たっている」と思うカラクリ
インチキに惑わされるのは企業の偉い人も同じ
ダニエル・シモンズ 
クリストファー・チャブリス : 心理学者
2024/02/28 東洋経済オンライン

ビジネススクールで分析されるのは、グーグルやアマゾンのような成功企業の戦略がほとんどだ。
多くの経営者も注目し、自社に導入しようとしているが、そうした表面的な成功体験だけを真似しても、うまくはいかない。
ビジネスの成功事例を当てにするのは、霊能者の予言をありがたがるのと同じともいえる。

これに対して「見えないゴリラ実験」でイグ・ノーベル賞を受賞した心理学者のダニエル・シモンズ氏が、同じく心理学者のクリストファー・チャブリス氏とともに著した最新作『全員“カモ”』で提示するのは、「失敗と向き合うことの重要性」だ。人間の認知能力の脆弱性を知ったうえで、理性的な判断を心がけるためにも、このポイントを押さえておきたい。

カジュアルシューズ・ブランド復活の謎
ビジネスの世界では、長期的に業績を挙げている企業に注目し、これらの企業に共通する特徴を見つけようとする手法が古くから用いられてきた。
ビジネススクールでは、成功した企業やリーダー、意思決定の事例を分析することがカリキュラムの中心になっている。
しかし、このやり方は、生還した爆撃機だけを分析対象にするのと同じことだ。

その典型例が、作家マルコム・グラッドウェルのベストセラー『ティッピング・ポイント』(飛鳥新社)の冒頭に出てくるエピソードだ。
グラッドウェルは、カジュアルシューズ・ブランドの「ハッシュパピー」が、1994年まで低迷していたが、ニューヨークのサブカルチャーの発信源である流行に敏感なインフルエンサーたちに支持され始めたことで突然大流行し、1993年から1995年にかけての年間売り上げが3万足から43万足に跳ね上がったと記している。

企業が自社ブランドを宣伝するために「インフルエンサー」を活用する可能性を示す好例とされているのだ。

確かに、他よりも大きな影響力を持つ消費者はいるが、少数のインフルエンサーに製品を提供し、それを大衆に向けて宣伝してもらえば、マーケティングは必ず成功するのだろうか?
実際には、ハッシュパピーの事例は「流行の最先端を行く人たちに履いてもらえばシューズ・ブランドは急成長する」や、「インフルエンサーを起用することが企業の成功の秘訣である」といった考えを裏づける証拠を何も示していない。
成功の原因を見極めるためには、1つの分かりやすい要素だけではなく、あらゆる要素を考慮しなければならない。

集中力が併せ持つメリットとデメリット
たとえば、もともと優れた製品やサービスを提供していて、売上高や利益が高い企業ほど、最新のマーケティングのアイデアを試す傾向が強いという可能性も考えられる。
グーグルの従業員への待遇や、アマゾンの会議の進め方、フィンランドの学校の授業のやり方、アメリカのネイビーシールズ軍特殊部隊のマネジメント法など、表面的な部分をただ真似ようとしても、これらの優れた組織に匹敵する業績を挙げられるわけではないのと同じ原理だ。

インフルエンサーを用いたマーケティングが本当に成功をもたらすかどうかを検証するには、医学の臨床試験と同じ手法を当てはめなければならない。
すなわち、類似した企業を大量に被験者に見立て、インフルエンサー戦略を用いるグループとそうでないグループにランダムに分け、その戦略が成功したかどうかをグループ間で比較する必要がある。

もちろん、これを実施するのは現実的ではない。けれども、証拠を得にくいからといって、目の前の1事例だけを見て、それが確かな証拠だと信じ込むのは間違っている。

たとえば、サッカーの試合を、ボールを保持している側だけに注目して見ていると、そのチームの戦術を読み解くチャンスは得られる。
だが、守備側が攻撃に対してどのような戦術を用いているか(いないか)については知ることができない。

この集中力の欠点は、詐欺師やマーケティング担当者が人をだまして間違った選択をさせるために用いるありふれた手段の前提になっている。
彼らが情報を隠す必要はない。
ただ重要な情報を省略して、それについて考えないように仕向ければいいのだ。

私たちがこの問題に対処するためには、「何が欠けているのか」と問う必要がある。重要な決断をする前にそうすることで、何かの真偽を判断するために、本当に必要な情報は何かを考えやすくなる。

目の前にない重要な情報が何かを整理するために便利なのが、「可能性グリッド」と呼ばれるシンプルなツールだ。2×2の4マスから成るグリッドを想像してみよう。

情報整理のための可能性グリッド
外れることのほうが多い霊能者の予言

霊能者のケースに当てはめると、上段には予言がなされた場合、下段には予言がなされなかった場合が該当し、左列は実際に起こった出来事、右列は起こらなかった出来事が該当する。
つまり左上のマスには、霊能者がある出来事を予言し、その出来事が実際に起こったケースが当てはまる。
超能力者が、予言を的中させて有名になるような場合だ。

右上のマスは、予言が実現しなかったケースが当てはまる。
左下は、霊能者が、すべきだったができなかった予言が当てはまる。
このマスに該当することを想像するのは難しい。なぜなら私たちは、人が「何をしなかったか」よりも「何をしたか」に注目しているため、このボックスについて考えること自体が難しいからだ。

リチャード・サンダースの研究チームは、20年以上にわたって何百件もの世界的な重大事件について調べたが、そのうち有名な霊能者によって予言が的中したものは1件もなかった。
これらの事件には、スペースシャトル「コロンビア号」の大事故、20万人以上の死者を出した2004年のインド洋大津波、ノートルダム大聖堂の大火災、新型コロナウイルスのパンデミックなどがある。これらもすべてこの左下のマスに該当する。

最後に、右下のボックスには、どの霊能者も予言せず、実際に起こらなかった出来事(たとえば、「筆者の最新作がピューリッツァー賞を受賞する」など)が入る。

この可能性グリッドを使うと、左上のマスに入る成功事例を、他の3つのマス(ここに該当する出来事や逸話は、あまり印象的なものにはならない)の可能性と併せてとらえられる。

次に可能性グリッドを用いて、マーケティング戦略を分析してみよう。グリッドの上段は企業が対象となるマーケティング戦略を試したケース、下段は試さなかったケースになる。
左列は成功した製品、右列は失敗した製品が入る。

価値があるのは成功よりも失敗の履歴書
たとえば、ハッシュパピーの活き活きとした説得力のあるストーリーを聞くとき、私たちはインフルエンサーによる採用が売り上げ増加につながった左上のマスのケースのみについて学んでいることになる。
そのような偏った視点に陥らないよう、私たちは同様のインフルエンサー・マーケティングを実施して失敗した企業、挑戦せずに成功した企業、挑戦せずに失敗した企業についても、一歩立ち止まって考えるべきなのだ。

私たちにモノやサービスを売る相手は、人を説得して何かをさせる他の行為と同様、どの情報を提示し、提示しないかをコントロールしている。
左上のマスにあるものについて延々と説明し、他のマスについては言及しようとしない。
だからこそ私たちは、相手から提示されたものだけではなく、できるかぎり多くの証拠を集めたうえで決断しなければならない。

筆者の経験上、企業の意思決定は表面的なものである。
だからこそ「何が欠けているか」を尋ね、それがなぜ重要なのかを説明することは、たとえ面倒だと思われたとしても、意味のある行為になる。

ダニエル・シモンズ 心理学者
クリストファー・チャブリス 心理学
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