「米を食うとバカになる」と洗脳…現代の日本人が米食から離れつつある「ヤバすぎる原因」
2/25(日) 現代ビジネス
「増税メガネ」岸田首相が少子化対策の財源として実質的な増税を検討している。
だが、泉房穂前市長の改革で財源を捻出した明石市の事例もある。
「財政が厳しい」という財務省の言い分は正しいのか。
経済アナリストの森永卓郎氏と、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏の対談書『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(講談社+α新書)から一部を抜粋・再編集してお届けする。
鈴木宣弘(以下、鈴木)
まず子どもの教育が大事ですよ。われわれの世代は戦後にやられてしまったわけですから。
森永卓郎(以下、森永)
当時はアメリカで小麦が余っていたので、日本に無理矢理輸出しようとした。だからわれわれはパンを食わされたんです。
鈴木
そう。日本人にアメリカ産の小麦を食わせるために、マスコミを動員したキャンペーンが行われました。
慶應医学部の教授が書いた「米を食うとバカになる」と主張した本まで出版され、国民を洗脳したんです。
森永
われわれは鼻をつまんで脱脂粉乳を飲んだ世代ですから。
鈴木
そうなんですよ。いまの人はわからないかもしれませんが、当時の給食についてきた牛乳代わりの脱脂粉乳というやつは臭くて飲めたものではなかった。あれは腐っていたそうですよね。
日本に輸送する間に腐ってしまうんですが、そんなものを当時の人は溶いて子どもに飲ませていたんですよ。
鈴木
そんな食事でも、子どものころから刷り込まれた効果は絶大です。
いまの日本人は米食を離れつつあります。だから、まず学校給食を取り戻さなければならない。
「やろうにも予算がない」という批判もあります。しかし、やってみると意外に回るものです。
千葉県いすみ市では、1俵あたり2万4000円で農家から米を買い取り、給食に回しています。もちろん有機米です。
京都府亀岡市では1俵あたり4万8000円で買い取ると宣言したそうです。
兵庫県明石市では泉房穂前市長が子ども予算を倍増し、給食無償化などの政策を実現しました。
赤字財政なのに、子ども予算を増やすことに批判もあったそうですが、子育てに良い環境を作ったことで出生率が上がり、人口も増えて商店街が活性化し、税収はむしろ増えてきたそうです。
財政面でも、増税するよりもよほど良い影響がある。
「財政が厳しい」は理由にならない
鈴木
いわゆる少子化対策について批判的な意見もあると思います。
そもそも少子化とは結婚する人が減ったことが原因。
なぜ結婚が減ったかと言えば、賃金が低くて結婚できないという問題がある。先にそうした状況を変えるべきと言われれば、それも一理あると思います。
ただ、給食をきっかけに好循環が生まれれば、その効果は少子化にも財政にも波及する。だから財政が少々厳しくてもやるべきだと思います。
森永
本来、少子化対策ってこういうお金の使い方をすべきなんですよ。
高所得世帯にも児童手当を配るとか、ベビーシッターを雇う補助金を拡充するとか、そういうところにばかり予算がついているのが現実。
鈴木
高所得世帯を助けているだけですよね。その層を援助したって、少子化対策にはならないでしょう。もともとお金があって、結婚も出産も問題ない人たちなんだから。
森永
なぜこういうことが起きるかと言うと、官僚の給料が基準になっているからです。
中央省庁の場合、課長補佐クラスで年収は1000万円近い。課長になると1200万円くらい。だから、このくらいの年収の世帯が潤う政策ばかりやろうとする。
鈴木
役所ってそんなことばかり考えてますよね。財務省もひどいじゃないですか。
私は農水省にいたので知っていますが、財務省は自分たちにうまくお金が入ることばかり考えている。
私が聞いた話では、予算案について何か聞きたいことがあると、他の役所の人間を呼びつける。それも真夜中に。
だから農水省の担当者は朝から仕事をして、夜は徹夜で待機しなければならない。
一方、財務省主計局の皆さんは昼間の出勤時間は遅くて、夜に農水省などを呼びつけるんだそうです。
鈴木 宣弘(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)/森永 卓郎(経済アナリスト)