2024年03月10日

無意識に信頼関係を損なっている「3つのNG行動」

無意識に信頼関係を損なっている「3つのNG行動」
あなたの部下はなぜ本音を話してくれないのか
田尻 望 : 株式会社カクシン 代表取締役 CEO
2024/03/09 東洋経済オンライン

「部下や顧客との間に壁がある気がする」と感じていませんか? 
キーエンス出身のコンサルタントである田尻望氏は、「無意識に3つのNG行動をしている可能性があります」と言います。
同氏の著作『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』から一部抜粋・再構成のうえ、相手の真のニーズを聞き出すための方法をご紹介します。

信頼関係がなければ本音を話してもらえない
本稿では「相手のニーズを捉える(聞き出す)具体的な方法」について解説していきます。

相手のニーズを聞き出す前に、とても大切なことがあります。それは「相手にニーズを話してもらえるような状態」になってもらわなければならない、ということです。
ここで重要になってくるのが、相手との「信頼関係」です。
信頼関係があれば、相手はニーズを話してくれます。
逆に信頼関係ができていない状態で、「あなたのニーズは何ですか?」「あなたは、本当は何がしたい(欲しい)のですか?」と聞いても、相手は本当のニーズを正直に話してくれません。

正直にニーズを話してもらえないとき、そこにはある障壁が立ちはだかっています。
それは「ああ、この人にはあまり本音を話したくないな」という気持ちです。
私はそれを「感情の壁」と呼んでいます。

例えば部下に、「本当は将来どうしたいんだ?」と聞いたとき、はぐらかされてしまった経験はないでしょうか。
そういう態度をとられてしまうのは、「感情の壁」を越えられていないことが多いのです。
感情の壁が立ちはだかっている状態で、「あなたの本音を教えてください」と言っても、「いや、別にありません……」「それって、本当に言わなきゃいけないことですか?」と、相手は心の窓を閉ざしてしまうのです。

信頼関係を築くときに「やってはいけない」3つのこと
では、「感情の壁」を取り払い、信頼関係を築くにはどうしたらいいのでしょうか?


答えをお伝えする前に、「やってはいけないこと」から先に説明します。信頼関係を築くときに「やってはいけないこと」が3つあります。

1つ目は「正論を言う」ことです。
例えば次のようなパターンです。

上司: 「最近何だか浮かない顔しているけど、何か悩みでもあるのか? 正直に話してみろよ」
部下:「実は、今この問題に困っているんです」
上司:「そうか。その問題は、どう考えても〇〇のようにしたほうがよくないか? 普通に、合理的に考えると当然そうだろう。そう思わないか?」

上司がこのように答えるとどうなるでしょうか? 
「感情の壁」がどんどん厚くなってしまうことが容易に想像できると思います。
相手との信頼関係を築きたいなら、最初に「正論」を言ってはダメなのです。

「やってはいけないこと」の2つ目は、「アドバイスする」ことです。
「〇〇したほうがいいよ」「その考え方はやめたほうがいいよ」などとアドバイスをすると、「私の話を聞いてほしいだけなのに……。この人は私のことをわかってくれないのか。本当のことを話すのはよそう」と「感情の壁」が厚くなり、ますますニーズを話してくれなくなります。

そして、相手との信頼関係を築くうえでやってはいけないことの3つ目は、「共鳴する」ことです。
共鳴とは次のようなものです。

部下:「この問題に悩んでいるんです」
上司:「そうか、私も昔同じようなことがあって、ずいぶん悩んだものさ。例えば〇〇のようなこととかね。あと、こんなこともあったな、例えば……(自分の経験談を語る)。だから、そんなに悩む必要はないよ」

このように、相手の悩みに対して「自分事」として捉えて話すパターンは、絶対にNGというわけではありませんが、ニーズを聞き出す対応としては不十分です。

相手が「そうですか。あなたもその体験をしたんですね。私のことをわかってくれるんですね」と思ってくれる場合もありますが、「別にそこまでの話じゃないんだけどな」「勝手に解釈しないでほしいな」というように、ネガティブに感じてしまう人もいるため、注意しなければなりません。

では、「正論」「アドバイス」はダメ、「共鳴」もダメ、となるとどうしたらいいのでしょうか?

「感情の壁」を取り払って相手のニーズを聞き出すために、何よりも最初にするべきことは、相手の感情に「共感する」ことです。
「共鳴」と「共感」、同じような意味に捉えられがちですが、微妙に違います。

どちらも「私もあなたと同じ状態になれば、同じように感じます」という気持ちを表すことですが、「共鳴」には「私も〇〇なんだよね〜」という、自分の意思や考え、解釈が含まれています。

「共鳴」ではなく「共感」が大切
一方で「共感」は、自分の考えは一切入れずに、ひたすら相手の気持ちになって(立場に立って)、「そうなんだ。わかるよ」と言ってあげることです。

相手の感情に「共感」する受け答えとは、次のようなものです。

部下:「今、仕事でこんなことに悩んでいるんですが」
上司:「そうか。会社の命令やお客様の要望、いろいろ聞かなきゃいけないのって大変だよね。○○さんの立場に立ったとしたら、その気持ちはよくわかるよ」

このように「共感」することで、2人の間に立ちはだかっている「感情の壁」が徐々に消えていくはずです。

感情の壁がなくなった、つまり「ああ、この人は私の気持ちを理解してくれている」と思ってもらえたあとで、「本当は将来どうしたいんだ?」という質問をすれば、部下は、「実は、私は将来こういうふうに生きていきたいと思っているんです」と本音を話してくれるでしょう。

「この人は私の感情を認めてくれる」「私の思いを受け止めて(受容して)くれる」と思ってもらえる状態、つまり、この「感情の壁」がなくなった状態こそが「信頼関係」が生まれていると言えるのです。

信頼関係が築けて初めて、相手の本当のニーズを聞き出せます。
「部下はなぜ本音を話してくれないのか?」と悩まれている上司はたくさんいらっしゃると思います。
部下の本音としては、「上司にこんなことを言ったら、怒られるか笑われるに違いない」と思っているのです。

日々の行動の中で、何かを相談したときに、共感ではなく、いつも正論や一方的なアドバイス、自分の経験談で返してくる。そんな人に対して部下が本音を話すはずがありません。
相手の本当のニーズを聞きたいなら、その人が話している言葉の裏側にある感情に対して、しっかりと共感を示さないといけません。

上司と部下の間だけでなく、お客様に対しても同じです。
お客様に、「御社の課題を教えていただけますか?」と聞いたときに、「いや、課題と言われても、とくに思い浮かぶことはないですね」と返ってくるのであれば、お客様との間に、しっかりとした信頼関係が築かれていないことを意味しています。

どのような会社であっても、絶対に何かしらの課題があります。
信頼が得られていないから、お客様は課題を言ってくれないのです。
ニーズを聞く前には、必ず強固な信頼関係を構築しなければいけない。これはニーズを捉えるうえでの必須条件だということを、ぜひ覚えておいてください。

相手の本音を聞き出す3つのプロセス
相手の「真のニーズ」、つまり「ニーズの裏のニーズ」をうまく聞き出すには、ある明確なプロセスを踏む必要があります。「共感」「関心」「質問」という3つの行動を繰り返し行うのです。

例えば、お客様とエステのトリートメントメニューについてヒアリングするとします。
もしお客様が、「リラックスできるトリートメントがいいんです」と言ったとしたら、まずその顕在ニーズを受け止め、「トリートメントって本当に気持ちいいですよね。リラックスできますし、私も大好きなんです」と「共感」することが大切です。

次が「関心」と「質問」です。
この過程で「ニーズの裏のニーズ」と、それが生じた「背景」を、次のような会話で聞き出します。
ちなみに、相手によってどちらが先に出てくるかはわかりません。

あなた:「○○さんが考える『リラックスできるトリートメント』って、具体的にはどのようなものをお望みですか?」(関心・質問)
お客様:「アロマの香りがして、ゆっくりとしたマッサージが受けられるのがいいですね」

質問に対する答えが返ってきたら、再び共感し、関心を示して質問をします。

あなた:「アロマの香りとゆったりとしたマッサージですね。とってもリラックスできると思います」(共感)
「ちなみに、今回、リラックスしたいというのは、どのような理由があるのでしょうか?」(関心・質問)

「ニーズの裏のニーズ」は「感動」と結びついているので、このような会話で、「リラックスしたい」というニーズが、どのような感動につながっているのかを探っていきます。

ここで単刀直入に、「なぜ(Why)?」という疑問文で聞きづらければ、「リラックスすることで、どのような気分になりたいんですか?」という聞き方をすると、「ニーズの裏のニーズ」が出てきやすくなります。

そう聞けば、お客様は次のように答えてくれるかもしれません。

お客様:「最近、仕事がとても忙しくて、人間関係も疲れて、ストレスが溜まっているんです。もう本当、心と体をリフレッシュしたいと思って」

この答えで、お客様が本当に叶えたい「ニーズの裏のニーズ」は、「仕事と人間関係のストレスからのリフレッシュ」だということがわかりました。

あなた:「ああ、そうだったんですね。お仕事のストレス、人間関係も大変ですよね。そのお気持ち、とってもよくわかります」(共感)

「少しでも心と体をリフレッシュさせるための最適なトリートメントと、施術をさせていただきますね」(関心)

また、「過去」の話を聞いていくことも、「ニーズの裏のニーズ」を捉える際のポイントです。

あなた:「もし差しつかえなければ、過去に受けたエステやマッサージの中で、とくに心地よかったものはありますか?」(質問)

このように「過去」の話を聞いていくと、「ニーズの裏のニーズ」の「背景」がより明確に見えてきます。
これがわかれば、過去の最高の体験を知ることができ、お客様が体験したことのないサービスを提供するためのヒントになります。

あなた:「施術が終わったあとは、すっきりとした感じや、ポカポカした感じなどさまざまなアロマで調整できるのですが、どんなリラックス状態になっていたいですか?」(質問)

「ニーズの裏のニーズ」をうまく聞き出すために
「過去」と同時に、時間軸を「現在」「サービス直後」に広げると、「ニーズの裏のニーズ」がさらに深く、広く探索できます。
このように、相手の「ニーズの裏のニーズ」をうまく聞き出すためには、「共感」「関心」「質問」を繰り返し行うことが大切です。


「共感」「関心」「質問」の3つを繰り返すことで、本当に叶えるべきお客様のニーズを、かなり細かく洗い出せるのです。
posted by 小だぬき at 04:18 | 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

読書をしたいけどする暇がない…なぜ? “時間泥棒”の正体とは?

読書をしたいけどする暇がない…なぜ? “時間泥棒”の正体とは?
3/9(土)  オトナンサー

読書の時間を増やすには?
 「読書をしたいけど、時間がない」と感じる人は、多いのではないでしょうか。
コラムニストである筆者は、多忙な中でも記事執筆のために年間1000冊の本を読んでいます。
そこで、今回は自著の「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)を基に、読書の時間を増やす方法を解説したいと思います。

スマホの利用時間は1時間超
 結論からいうと、読書の時間は日々のスマホの利用時間を見直すことで簡単に増やすことができます。

 例えば、NHK放送文化研究所が2021年に実施した、スマホの利用時間に関する調査によると、「スマートフォン・携帯電話」の利用時間は、世代全体で1日当たり平均1時間18分だということです。

 20代は男女とも3時間半近く使っています。
30代以上では、年層が上がるほど、利用時間が短くなっていきますが。
男女30代で2時間以上、男女50代でも1時間以上利用しています。
全体の1時間18分のうち、自宅外での利用時間が27分なのに対し、自宅内での利用時間が51分と、自宅内での利用時間の方が長いという結果も明らかになりました。

 特に20代の男女は、いずれも自宅外での利用が1時間13分ですが、自宅内での利用時間は、男性2時間13分、女性2時間15分と、自宅外での利用時間よりも1時間以上多くなっていました。

 これらの結果から、若年層に限らず、さまざまな年代の人が、スマホを主に自宅で利用していることが分かります。
現代において、スマホはコミュニケーションや情報収集を効率化するだけでなく、エンターテインメントを提供してくれる最も身近なツールであり、自宅の中で楽しんだり、くつろいだりするときに欠かせないものになっています。

 そのスマホを1日の中で一定時間触れない時間を決めたり、目の見えない場所に置いたりしておけば、本を読む時間をつくることが可能です。

活字離れなんて言わせない
 ところで、現代は活字離れの傾向が著しいと指摘する識者がいます。
その根拠に、多くの調査結果では「本を読まなくなったこと」「出版不況」を活字離れの理由にしていますが、このような解釈には違和感を覚えます。

 スマホで音楽を聴くときは別として、ゲームや漫画、雑誌などは活字を多く含みます。文字を読まなくなったわけではありません。
つまり、活字離れをしたわけではなく、活字の利用状況が変化していると考えた方が分かりやすいでしょう。

 活字媒体の利用状況は、時代とともに変化しています。
かつては、書籍や新聞が情報収集や娯楽の中心的な役割を果たしていましたが、近年ではインターネットやスマホの普及により、動画や音声などの非活字媒体の利用が拡大しています。
そのため、活字媒体の利用時間が減少しているように見えるかもしれませんが、必ずしも「活字離れ」が進んでいるとは限りません。

 また、活字媒体は、情報を正確かつ客観的に伝えることができ、思考力を養うことができます。
学校や仕事の現場で活字が使われなくなることは考えられません。
活字媒体の利用状況は変化しているものの、活字媒体の価値は変わらず、人々の生活に欠かせないものとして存在し続けています。

 今から30年以上前は、スマホはおろか、ガラケーやパソコンも一般家庭に普及していませんでした。
ただ、そんな時代でも、不自由さを感じませんでした。
私たちは、これらのツールの普及とともに、時間を割り当てるようになりましたが、これからは、スマホの代わりに読書の時間を割り当てればいいのです。活字離れなどは発生していません。

 何度も言いますが、スマホの利用時間を減らすことで、本を読む時間に充てることができます。
活字媒体は非活字媒体よりも情報の正確さや思考力の向上に優れており、時代に関係なく価値があります。
ぜひスマホを置いて、本を手に取りましょう。

コラムニスト、著述家 尾藤克之
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする