「自分の頭で考える」子どもに育てる会話術【0〜12歳・年齢別声かけガイド付】
竹内エリカ:
一般財団法人日本キッズコーチング協会理事長
ライフ・社会
2024.3.11
子どもが怠けていたり、なかなか言うとおりに動いてくれないとき、親はついつい叱りたくなってしまいます。
しかし、あれこれ注意をすればするほど、かえって子どもに反抗心が芽生えて、抵抗されてしまうものです。
それでは、どのような言葉をかけたら子どもは自律的に動いてくれるようになるのでしょうか。
延べ2万人の親子と関わり、発達心理学や行動科学を研究してきた著者が、子どもへの具体的な声のかけ方を0歳?12歳までの年齢別に紹介していきます。
※本稿は、竹内エリカ『心理学に基づいた 0歳から12歳 やる気のない子が一気に変わる「すごい一言」』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
「自分の頭で考える」子になってもらうには?
子どもが何か失敗したり悪いことをしたりしたときに、親は頭ごなしに叱ってしまいがち。
ですが大切なのは、悪いことをしたと子どもに認識させるよりも、「どうしたらそれを繰り返さなくなるか」を考えられるよう促すことです。
そのために、普段の会話で心がけるといいのが「RQR法」です。これは、Repeat(リピート)、Question(クエスチョン)、Request(リクエスト)の頭文字をとったもので、この3つを段階的に行うことで、自分の頭で考える子に育ちます。
まずリピート(-繰り返す)では、子どものしたことを口に出して繰り返すことで、自分がしたことを認識させます。
そしてクエスチョン(=質問)では、親御さんが質問を投げかけることで、子どもが自分で考えるようになります。
そしてリクエスト(=提案)では、解決策を提案してあげることで子どもの問題解決力が向上します。
たとえばきょうだいげんかをした場合、大人は「叩いちゃだめでしょ。謝りなさい!」などと言ってしまいがち。
ここでRQR法を使ってみてください。
まず、「お兄ちゃんが叩いた?」と泣きついてくる弟に、「お兄ちゃんが叩いたのね」とリピートします。「痛いよ?」には「痛かったのね」と続けます。
ここで、弟はお兄ちゃんに叩かれて痛かったという感情を認識し、かつ、お父さんお母さんに感情を受け止めてもらったことで満足します。
そこで「どうしてお兄ちゃんは叩いたのかな?」とクエスチョンし、子どもの反応を待ちます。
「僕がおもちゃを使いたかったの。でもお兄ちゃんはダメって言うの」と返ってきたら、「そう。おもちゃを使いたかったのに、ダメって言って叩いたのね」と続けてあげます。
ここまで会話が進んだら、最後に「おもちゃを使いたいときは、貸してって言うといいよ」とリクエストして、改善策を見つけてあげます。
このような流れを親の方から作ってあげると、自分の頭で考えられる子になります。
年齢別 RQR法の使用例
・0〜2歳への声かけ
この頃の子どもは、クエスチョンを投げかけても「わからない」と答えることが多いので、リピートを重点的にしてあげて、自分の感情と行動がどのように関連しているかを認識させてあげてください。
そして、最後にちょっとしたリクエストを伝えてあげましょう。
2歳くらいの子が、ぐちゃぐちゃになった折り紙を持って泣いているとします。おそらく折り紙がうまくできなかったのでしょう。
まずは「折り紙が上手にできなかったのね」とリピートします。
感情が少しおさまると、子どもは「○○を作りたかったのに、うまくできなかった」などと返してくれます。
「そう。○○が作りたかったのね」と再度リピートしてあげて、その後にリクエストをします。
「そういうときはママ・パパに『一緒にやって』って言ってもいいのよ。
『手伝って』でもいいし、『代わりに作って』でもいいのよ。どれにする?」と選ばせてあげるのもいいですね。
・3〜6歳への声かけ
子どもがテーブルに牛乳をこぼしてしまったとします。「何してるの、すぐ拭きなさい!」と叱るのではなく、「片手で持ったらこぼしちゃったね」 (リピート)と言ってあげましょう。
すると子どもは「片手で持ったからこぼしたんだ」と認識できます。
「自分の頭で考える」子どもに育てる会話術【0〜12歳・年齢別声かけガイド付】
竹内エリカ著『心理学に基づいた 0歳から12歳 やる気のない子が一気に変わる「すごい一言」』(KADOKAWA)
「これからどうしようか?」 (クエスチョン)と言ってあげると、「きれいにする」と言う子もいます。泣いて「わかんない」と言う子には「きちんと拭けばいいのよ」(リクエスト)と教えてあげれば、こぼしたら拭き取ればいいことがわかるようになります。
頭ごなしに叱って「あなたが悪い」ということを伝えるより、「失敗しないためにはこうしたらいいんだよ」「誰でも失敗することはあるんだから、もし失敗してもこうしたらいいよね」 ということを伝えてあげましょう。
・7〜12歳への声かけ
小学5年生の子どもが野球の練習から帰ってきて、「お母さんおなかすいた」と言ってきたとします。
そこで「そこにおやつあるわよ」と返すと会話は終わってしまいます。
もっと、自分の意見を伝えてお願いすることを促す会話を心がけてください。
「お母さんおなかすいた」「そう。おなかすいたのね」「今日は練習でたくさん走ったからさ」「そう。たくさん動いたの。それじゃあおなかすくわよね」と、リピート形式で続けていきます。
ここまでくれば、子どもは「何か食べるものある?」と聞いてくるはずです。
ここで初めて「あるわよ」と答え、「食べていい?」と聞いてきたら「どうぞ」と返してあげましょう。
子どもがまだ話していないうちに、親が察知して先に行動してしまうと、自分で考える力がつきません。
リピートやクエスチョンをしっかりしたうえでリクエストをしてあげると、自分の意見をはっきり主張する力が伸びます。