2024年04月06日

【どうする仏壇&墓じまい】「実家の片付け」で悩んでいる人はやってみて!

【どうする仏壇&墓じまい】「実家の片付け」で悩んでいる人はやってみて!
2024年04月06日 ダイヤモンドオンライン

「実家の片付けにおける心の問題として、意外に大きなこと」が今回のテーマです。

「空いた実家をそのまま貸せばいい」とお話しすると、「リフォームが必要なんでしょう?」とか「そもそも大都市近郊だと可能な話で地方では無理なんしょう?」という反応がかえってくることが多いと語るのは、不動産投資家で空き家再生コンサルタントの吉原泰典さん。
その質問に対しては「古くても地方でも大丈夫! 貸せます」と多くの方が驚かれるそうです。
本連載では、「貸すか売るか自分で使うか」判断の分かれ目はどこなのか?
なぜ「そのまま貸す」ことがお勧めなのか? などを解説し、「誰もすまなくなった実家」をそのまま貸すためのノウハウを話題の書『「空いた実家」は、そのまま貸しなさい』の中からご紹介していきます。

■仏壇と位牌の扱いについて

 実家の片付けにおける心の問題として、意外に大きいのが仏壇と位牌の扱いです。
遺品や家財とは少し違いますが、やはり右から左へと処分するわけにはいきません。

 私の場合、岡山の実家にあった仏壇はとりあえず倉庫に預けておくとともに、位牌は東京の自宅マンションに持ってきて自分の書斎に置き、毎日線香をあげています。
 これらを移す際は岡山の実家の菩提寺の住職に相談して、アドバイスをもらいました。

■僧侶に来てもらって行われる「魂抜き(閉眼供養)」や「魂入れ(開眼供養)」
 仏壇や位牌は先祖の霊の依り代であったり崇拝や供養の対象です。
それらを移したり、処分したり、新しく調達する際にそれなりの扱いをするのは当然のことで、具体的には僧侶に来てもらっていわゆる「魂抜き(閉眼供養)」や「魂入れ(開眼供養)」を行うのがよいとされます。

 私としては将来、普段生活している東京のマンションに小さな仏壇を購入し、そこに入るように位牌も一回り小さいサイズにするつもりです。
その際にはまた僧侶を招いて「魂入れ」を行う予定です。

■お墓はどうする?
 仏壇と位牌とともに、地方の実家ではお墓の扱いも気になるところです。
自分の代まではそのまま置いておくのでもいいのですが、子どもの代になったとき果たしてそのまま維持できるかどうかは気になるところです。

 仏壇と位牌を移す際、合わせてお墓の移転を考えるのも自然なことでしょう。
こうしたお墓の移転のことを最近は「墓じまい」と呼んだりします。

 具体的には、元のお墓にあった先祖の遺骨を新たなお墓に移し、元のお墓は撤去します。

 そして、お墓が立っていた土地は墓地を経営するお寺や団体に返却します。
子どもがいない人の場合は、先祖の遺骨を永代供養がセットになった樹木葬や合祀墓に移してしまうケースもあります。

■「改葬」の手続きはこうして行う
 元のお墓から先祖の遺骨を取り出す際や新しいお墓に遺骨を入れる際などには、先ほどと同じように僧侶に来てもらって「魂抜き」や「魂入れ」を行います。
 また、注意したいのは「墓じまい」は法的には「改葬」と呼ばれ、勝手に行うことはできません
墓地の管理者や役所への届出などの手続きが必要です。

(本原稿は、吉原泰典著『「空いた実家」は、そのまま貸しなさい』を抜粋、編集したものです)
posted by 小だぬき at 19:48 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「91.4%起こらない」のに不安が消えない根深い理由「心配ばかりで苦しい」を今すぐ取り除く方法

「91.4%起こらない」のに不安が消えない根深い理由「心配ばかりで苦しい」を今すぐ取り除く方法
4/5(金) 東洋経済オンライン

 生きていれば不安はつきもの。
とくにビジネスの現場では、ちょっとミスをしただけでも必要以上に落ち込み、不安に苛まれることになってしまうかもしれない。

■なぜ、小さなことに悩んでしまうのか? 
 しかし、そういった不安の多くは、あとから振り返れば「なぜこんな小さなことで思い悩んでいたのだろう」と感じることだったりもする。
にもかかわらず、なぜ私たちはことあるごとに不安にとらわれてしまうのだろう? 

『あやうく、未来に不幸にされるとこだった』(堀内進之介、吉岡直樹 著、東洋経済新報社)の著者は、その理由を「私たちの心の独特な働き」とひもづける。
 人の心はほとんどの場合、つねに「いま」ではなく「未来」のことを捉えているというのだ。
しかも未来を見据える心の動きは、悲観的であることが圧倒的に多い。


 たしかに私たちはしばしば未来に対し、「もし〜だったらどうしよう。そんなことになったら、もう取り返しのつかないことになってしまうかもしれない」などと考えてしまいがちだ。

 実際にそんなことは起こりえないのに、「ほんのわずかな可能性」を無意識のうちにたぐりよせては、あたかも「確実な未来」であるかのように思い込んでしまうのである。

 そうした不安へとつながっていく心のあり方を、著者は次のようにまとめている。

❶心配……わからない、確実ではない、ありえない、未来を想像して心配してしまう。
❷無理・無駄を繰り返す……そして、自分の勝手な思い込みで判断し、未来をなんとか自分の望み通りにしようと無理・無駄を繰り返す。
❸失望からの不安……しかし、不確かな未来に向かってもがいても何も変わらない。だから結局は疲れ果て、停滞し、不安なまま未来を悲観的に考えて自分に失望する。(「はじめに 未来が自分を不幸にする」より)

 だから必然的に、不安のループに巻き込まれていくということだ。
しかしそうなると、「いまを楽しく生きる」ことが困難になっていくに違いない。

 そこで著者は本書において、「未来を手放し安心して生きる」ための方法を提案しているのだ。
具体的には自信、関係、モノ、時間、お金、成長という6つのテーマごとに、「なにを、どのように解決するべきか」、その方法を明らかにしているのである。
 ところで偉そうなことを書いてはいるが、じつをいうと私も、いままさに大きな不安の渦中にある。
自分のミスを発端とした不安が、ずっしりと心にのしかかっているのである。

 そこで、ここから先は、同じように不安を抱えた方々と歩調を合わせつつ、本書のなかから解決のためのヒントを探していきたい。

■未来を心配するのは、もうやめよう
 未来について心配するのは、無意味で愚かしいことだと著者は断じている。
それはなんの利益も生まず、ただ自分の心を苦しめるだけのことなのだと。
 そんなことは百も承知で、だから困っているわけだが、いずれにせよ「未来への不安はほぼ実現しない」という研究結果も出ているのだという。

 2020年に、ペンシルバニア州立大学で実施された研究がそれだ。29人の参加者にそれぞれ10日間にわたり、心に浮かんだ心配ごとを記録してもらい、それらに根拠があるかどうかを調べたというのである。
結果、心配ごとのうち最も多かったのは「まったく根拠のない心配ごと」でした。
さらに「なんらかの根拠がある心配ごと」についても、30日間にわたって追跡調査をしたところ、その91.4%は実際には起こりませんでした。(114ページより)

 この結果からわかるのは、「私たちが日々心を悩ませている心配ごとは、かなり的外れで、ほとんど現実化しない」という「事実」だ。

 心配ごとに取りつかれ不安の渦中にいるときは、それがとてもリアルに感じられるだろう。
しかし、単に不安がそうさせているだけなのだ。
 つまり大切なのは、「心配ごとの多くには根拠がなく、悪い予測のほとんどはハズレる」という「事実」を知っておくこと。そうすれば、気持ちは格段に楽になるはずだからだ。

 とはいっても(つまり、理解しているつもりでも)、私たちの心は不安からなかなか抜け出すことができない。
 だから困ってしまうのだ。
しかも、なんとか抜け出したいと思っているからこそ、心は「心配が現実化するわずかな可能性」を無意識に探し続けてしまう。悪循環だ。

 その結果、私たちはいつしかそれを、あたかも「確実に起こること」であるかのように受け止めてしまうのである。
本当は、たちの悪い錯覚でしかないのに。
そうなると、私たちは「到底起こりえないような不安」を、「確実な未来」だと信じ込み、おびえてしまいます。
「取り越し苦労」で、人生を浪費してしまい、「いまを楽しみながら生きること」ができなくなるのです。(115ページより)

やはりそれは、なんとかしなければならない。

■どうやって、91.4%の不安を無視するか
 不安の91.4%が無駄だとわかっているのなら、あとはそれを無視すればいいだけだ。
簡単な話だが、それは心にとってはなかなか難しいことでもあるようだ。
 その理由を著者は、「心は不安にフォーカスしたがるから」だと説明する。

 怖いとわかっているからこそホラー映画を観てしまうのと同じように、私たちの心は不安の存在に気づくと、それをじっと見続けてしまうというわけだ。
 事実、ここまでお読みになって、「残りの8.6%」が気になっているという方もいらっしゃるのではないだろうか? 

 「すべての心配ごとのうち、91.4%は無視してよい」といわれて気持ちがラクになったはずなのに、気がつけば今度は「残りの8.6%」が自分に当てはまるのではないか、と心配になっている可能性があるということだ。
かつては著者もそうだったという。

でも、それって、めちゃくちゃ疲れませんか? 
そして、あまりに悲観的だと思いませんか? 

楽しくないまま、いまを過ごす生き方なんて、やめちゃいましょう。
大げさに聞こえるかもしれませんが、命の無駄遣いです。(116ページより)

 厳密にいえば、「いま感じている不安」は「未来の不安」ではないと著者は断言している。
それは、未来に対して、いま「わざわざ起こしている不安」にすぎないのだと。

どうなるかわからない未来を変えることは大変ですが、「いま」ならすぐに変えられます。
つまりその不安は、いますぐ取り除けます。(117ページより)

■「未来も、ほぼ100%大丈夫」
 そもそも、未来のわずかな可能性のせいで心が不安だらけになってしまうのだとしたら、それは明らかに不健康である。
 少ない可能性は小さくしたほうが合理的だし、なによりそのほうが心を穏やかに保てることだろう。

幸い、そのためのよい方法があります。
心のバランスを取り戻すテクニックなのですが、やり方は簡単。
「いま」に集中して、不安な気持ちを次のように言い換えるだけです。

「未来も、ほぼ100%大丈夫」

この呪文は未来を追い払って、現在に集中するためのものです。(117〜118ページより)

 いささか気恥ずかしいが、とはいえこれは説得力に満ちた考え方でもあるだろう。
それに、わざわざ言語化しなくても、このように意識しているだけでも効果は望めるはずだ。

 どんな物事も、どこを強調して表現するかによって印象はがらりと変わる。
そしてそれが、大きな意思決定にまで影響することがある。

 心理学では「フレーミング効果」と呼ぶそうだが、つまり上記はその応用だということだ。
「未来も、ほぼ100%大丈夫」という呪文のどこが「フレーミング」なのかというと、「心が無意識にフォーカスするポイント」をズラしている点です。

私たちは、ともすると未来ばかりを見てしまいがちです。
つまり、視点があまりに先すぎるので、心穏やかに過ごすためには、視点をときどき手前に引き戻さないといけないのです。(119ページより)
 だからこそ、「いま」にフォーカスできるようにするべきなのだ。

■現在が残念なときほど「いま」に集中する
 さて、ここで2つの感じ方を比較してみよう。

@ 「思っていたのとは違う状態」を、残念に思うか
A 「予想しなかった出来事」を、ラッキーと思うか
(123ページより)

 一般的に、@の考え方をする人は「予想したとおりのことが起こってほしい」人なので、未来に対するフォーカスも強いといえる。
 一方、Aの考え方をする人は、現在の「受容度」が高いタイプだろう。
「いま」を「いま」として受け入れられるということだ。

 総じてAのほうが、幸福度は高くなるようだ。
なぜならそういう人は、つらいときにフォーカスをより手前に引き戻すことができるから。

「フォーカスを手前に引き戻す」という小技は、誰でもすぐにできる、最も簡単にして最強のテクニックです。

例えば、マラソン大会に向けて毎日ランニングを続けているとしましょう。
努力が思うように実らないときでも、「なかなかタイムが伸びない」とがっかりする(=「いま」の状態を残念に思う)のではなく、いま、大会に向けて走っていること自体を楽しむべきです。(119ページより)

 つまり、「ああではない」と嘆くのではなく、「いまこうである」を楽しむべきだということである。

■「いまやりたくない仕事」はどうするか? 
 もちろんそれは、仕事についてもあてはまる。
 たとえば、どうしても気持ちの乗らない仕事があった場合には、誰かに代わってもらえないか掛け合ってみるのもひとつの手だ。

 なによりまずいのは、自分で「やらないといけない」と思い詰めてしまうこと。
あえて周囲の力を借りることが、よりよい結果につながるケースもあるのだ。

 それでも避けられないのなら、フォーカスをもっと手前に引き戻し、意識的に楽しむべき。嫌な仕事は長く感じるものなのだから、どうせならその作業中に感じられる楽しみをいち早く見つけ、それを味わいながら仕事をこなすほうがいいわけである。
 また、「嫌な仕事」を次のように脳内でポジティブ変換することも、精神衛生上、大きなメリットがあるそうだ。

「仕事でミスをした」(ポジティブに言い換え→)「これは何か他の大きな失敗と引き換えに先取りしたのだな。この程度でよかった!」

「明日までにどうせ選ばれないアイデアを100個考える」(ポジティブに言い換え→)「次の1個で人生変わるかも!」
「たった一度の会議のためだけに、大量のコピーを用意する」(ポジティブに言い換え→)「これは疲れた脳を休ませるチャンス到来!」
(119ページより)

 言語化すると軽く感じられるかもしれないが、これも先述の「フレーミング」と同じく重要なスタンスであるという。
 もちろんポイントは、未来にフォーカスするのではなく、「いま」に集中することだ。

秘訣はすべて「いまを楽しもう」と試みること。無理は決してしないこと。

そして「私は、それが嫌なのだけど」と自分に言う代わりに、あえてその中に楽しみを見出すようにすると、楽しく感じられるものです。(128ページより)

 先述したように、人生に不安はつきもの。だとしたら、その渦中でもがき続けるより、楽しみながら乗り越えるほうがいいということである。

印南 敦史 :作家、書評家
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

荻原博子氏が解説「新年度 生活防衛のツボ」株価史上最高値でも庶民は投資をやめるべき

荻原博子氏が解説「新年度 生活防衛のツボ」株価史上最高値でも庶民は投資をやめるべき
日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 

新年度になって、幅広い商品で値上げが続く。
日銀のマイナス金利解除を受けて普通預金金利が上昇するのはうれしいが、住宅ローン金利はどうなるか。
生活を支える制度については、さまざまな変更がある。どうやって生活を守るか。経済ジャーナリストの荻原博子氏に聞いた。
◇ ◇ ◇
帝国データバンクの調査によると、4月に値上げ予定の飲食料品は2806品目に上る。
主な食品メーカー195社を対象に価格改定の動きを調べたところ、4月の値上げはハムやソーセージ、冷凍食品など「加工食品」が最多の2077品目。そのほか、「調味料」(369品目)、「酒類・飲料」(287品目)なども目立つ。

飲食料品以外にもさまざまな商品やサービスの値上げが予想される。
たとえば佐川急便やヤマト運輸の宅配料金も、4月から2〜7%ほど値上げだ。
ドライバーの時間外労働が上限960時間に制限されると、1人当たりの輸送量や収入が減る。
その分が転嫁されるためだ。

値上げラッシュに見舞われるが、日経平均株価は先月22日に史上初の4万1087円をつけた。
その後も一進一退の攻防が続き、4万円前後で推移している。
今年から始まった新NISAでは、非課税枠が拡大したことで、個人投資家が株式市場に集まったことも株価を押し上げる要因とされる。

一方で日銀は、マイナス金利を解除。
これを受けてメガバンクの普通預金金利は、0.001%から0.02%と20倍に上昇した。
そんな金利上昇の動きから、経済誌には、インフレ時代到来を印象づける見出しが並ぶ。
株式市場は好調でインフレ局面を踏まえると、積極的に株式投資を考えるべきなのか。
荻原氏はそんなムードにクギを刺す。

「まず大前提として、日銀はまだデフレ脱却宣言をしていません。
その状況で、インフレと解釈するのは間違いで、その誤った解釈を基に株式投資を、という議論は根本的におかしい。
株式投資は常にリスクを伴いますから、慎重に見極めるべきです」

そもそも好調な株式相場は、日銀と海外の機関投資家が大量に資金を投入することで成り立っている。
そこに政府は新NISAのメリットをPRすることで、個人投資家も押せ押せムードにのっているわけだが、プロがシノギを削る“鉄火場”にシロウトが“参戦”するのは危険だという。
その根拠のひとつが、株価が上昇し、時価総額が増えても、日本経済はよくなっていないことだ。どういうことか。

「GDPの個人消費は3期連続マイナスで、株式相場のイメージほど日本全体の景気はよくなっていないのです。
年度替わりを挟んだ調整局面という見方もありますが、平均株価は4万円前後で停滞しています。
史上最高値に向かったときの勢いはなく、相場は必ずしもよくない。
何より、今後の世界がどうなるか、まったく予測できません。
株式投資は、未来を予想するものです。この国内外の状況では、個人が手を出すべきではありません」

■11月の米大統領選が波乱の火種に
振り返ると、米国でバイデン大統領が誕生したのは2021年1月だった。
翌年2月にロシアがウクライナに侵攻したことで、世界に原材料高の嵐が巻き起こった。
それが値上げの一因にもなり、いまも続いている。荻原氏が続ける。

「こうした世界情勢の流れをだれが予想できたでしょうか? できませんよね。
それと同じような世界情勢の激変が、秋の米大統領選をキッカケとして起こるかもしれません。
共和党の指名候補争いではトランプ氏がスーパーチューズデーを制して、バイデン氏との世論調査でも有利な情勢です。
しかし、トランプ氏の元側近は米議会襲撃事件に関与したとされる極右のスティーブ・バノン氏で、娘婿のクシュナー氏はガザ地区をめぐって過激な発言をした過去があります。
米大統領選の状況によっては、その先がまったく見えません。
予測できないことが毎日、繰り返されているのが世界なのです」

■従業員より株主重視は東インド会社時代のまま
平均株価は上昇した。企業の収益も改善した。
ところが、この30年間、実質賃金は変わらないどころか、減っている。
厚労省の「毎月勤労統計」(23年版)によると、20年の実質賃金を100とすると、23年は97.1。30年前からほぼ右肩下がりで、15.3ポイントも下落している。
ここにきて大手企業だけでなく中小企業にも賃上げの動きは見られるが、どうなのか。

「企業はこれまで利益の多くを株主への配当に回し、従業員への還元は二の次でした。
資本家(株主)がリスクを取って企業に出資して、利益を生んだ企業は資本家に還元する。
資本主義とはそういうもので、株式会社の原点といわれる東インド会社の時代から受け継がれています。
商法を改正した日本がグローバル化した以上、仕方ないことです」

実質賃金が上がらず、生活が八方塞がりのままとなると、沸騰する株式市場に魅力を感じる人もいるだろう。
やっぱり株式投資は控えるべきなのか。

「日本の人口構成は、富裕層とそれ以外に二極化してきています。
投資ができるのは、資金に余裕がある富裕層で、多くの庶民は生活が大変で株式投資に回す余裕資金はないはずです。
失ってもいいと思える資金で面白いと思えれば、株式投資に回すのはいいのですが、そうするとそれは投資ではなく、投機になります。
そのスタンスで株式投資初心者のシニアが、今後の生活資金である退職金などを株式投資につぎ込んで失うと、取り戻すのが難しい。
老後の生活に困るので、シニアの初心者はやらない方がいいです」

若い人なら、株式投資もありだという。
損失を回収できる時間があるのがひとつ。
もうひとつは、少額投資でヤケドを負った経験は将来、生きる可能性もあるためだという。

変動金利の125%ルールで元本が減らず…

金利についてはどうか。今後、長期金利が上がれば、住宅ローン金利の上昇も予想されるだろう。
「フラット35をはじめとする固定金利の方は金利上昇でも問題ありませんが、変動金利の方は要注意。
その根拠が、変動金利に設けられている125%ルールです」

変動金利には、5年ルールと125%ルールがある。
どちらも激変緩和措置で、前者は契約から5年間は金利が上昇しても毎月の返済額が変わらない仕組みだ。
後者は、6年目からの毎月の返済額は、それまでの金額に対して125%までしか上げられないというルールである。
125%ルールの落とし穴が怖いという。

「125%ルールは毎月の返済額を抑える仕組みですが、総返済額を減らす仕組みではありません。
金利が上昇すると、返済額に占める利息部分が増える。
ところが、返済額が125%で抑えられていると、元本の返済が進まず、未払いの利息が発生する恐れがあるのです。
変動金利の人はとにかく元本を減らす、あるいは返済年数を減らすことを考えるべきです」

東京都と大阪府では4月から高校授業料の実質無償化が始まった。
これまで設けられていた年収制限がなくなり、授業料が実質タダになる。都立や府立のほか、私立高校も対象だ。

「たとえば神奈川や千葉から東京の私立高校を目指す場合、受験前に引っ越して授業料無償化の恩恵を受けるのは生活防衛のひとつ。
しかし、私立の場合、入学金や設備費、修学旅行の積立金なども公立より高いので、そこは頭に入れておくべきでしょう」

こうしてみると安くなるのは高校の授業料くらいで、生活への逆風は強くなりそうで困る。対策は?

「家計の引き締めが一番です。
各種保険の見直しや解約をしたり、通信費の節約で格安スマホに変更したり。
ポイントの利活用も大切で、できることはなんでもやって生活防衛につなげる意識が必要です。
経済が不安定のまま、庶民の購買力が改善しなければ、デフレに戻る可能性もあるとみています」


生き残るには、もがき続けるしかない
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする