【思考力チェック!】
天使は必ず真実を言い、悪魔は必ず嘘をつき、人間はランダムに真実や嘘を言う。
A「私は天使ではない」、B「私は悪魔ではない」、C「私は人間ではない」。それぞれの正体は?
野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター
2024年04月20日 ダイヤモンドオンライン
「天使は必ず真実を言い、悪魔は必ず嘘をつき、人間はランダムに真実や嘘を言う。A、B、Cの発言から、それぞれの正体がわかるか?」
これは知識や計算はいっさい不要で、「考える力」のみが問われる「論理的思考問題」のひとつ。
論理的思考問題はGoogle、Apple、Microsoftといった超一流企業の採用試験でも出題され、「スティーブ・ジョブズ超えの天才」と言われたあのピーター・ティールも自社の採用試験に取り入れた。
これまでの正解が通用しない時代に必要な「思考力」を鍛える「最高の知的トレーニング」でもある。
そんな論理的思考問題の傑作を世界中から収集し、解説した書籍が『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』だ。
「論理的思考」「批判思考」「水平思考」「俯瞰思考」「多面的思考」が身につく67の問題を紹介。
「頭のいい人の思考回路」がわかり、読むだけで、一生モノの武器となる「地頭力」が鍛えられると話題。
この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「論理的な思考ができる人」だけが解ける問題を紹介する。(構成/石井一穂)
■矛盾のない真実を導けるか?
論理的に考える感覚をつかむために、まずは論理的思考問題で最もオーソドックスな問題を考えてみましょう。
次のページで、正解と考え方をお伝えします。
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<正解>
A:人間 B:悪魔 C:天使
いつも本当のことを言う「天使」と、いつも嘘をつく「悪魔」。
彼らが登場するこの形式は「天使と悪魔のクイズ」とも呼ばれ、さまざまな類問が存在します。
今回は最もシンプルで、難易度はかなりやさしいレベル。
小学生でも解けるためヒントはありません。
1人ずつ順を追って、発言とその特徴に注目していきましょう。
仮定からはじめよう
問題文を読んで「1人ずつ地道に正体を考えていくしかないのかな……」「めんどくさいな」と思った方もいるのではないでしょうか?
ええ。残念ながら正解です。
論理的思考とは一瞬で何かを解決してくれる魔法ではなく、正しい答えを地道に導くための武器です。
よって論理的思考の基本は、
「もし○○だったら……」と、仮定と検証を繰り返すことです。
というわけで考え方としては、「もしAが天使だとしたら」「悪魔だとしたら」「もしBが」「もしCが」と仮定して、矛盾が起きるパターンを消していきます。
さて、基本はこれで大丈夫なのですが、この問題をややこしくしている「人間」という存在には注意が必要です。
「人間」はランダムに真実や嘘を言うため、発言がヒントになりにくく、消去法で見つけるしかありません。
そこで、まずは発言がつねに一貫している天使や悪魔について考えていきましょう。
1人目の正体は?
まず、Aが天使だと仮定した場合。
「私は天使ではない」の発言は「真実」となります。
つまり、Aは「天使ではない」ということに……。
Aを天使だと仮定すると、仮定と発言に矛盾が生じてしまいました。
よって、Aが天使ということはありえません。
では、Aは悪魔なのか?
その場合、Aの「私は天使ではない」の発言は「嘘」となります。
つまり、Aは「天使である」ということに……。
Aを悪魔だと仮定すると、仮定と発言に矛盾が生じてしまいました。
つまりAは悪魔でもありません。
残された可能性はたったひとつ。
Aは「人間」です。
2人目の正体……?
次に、Bの正体を考えてみます。
Bが天使だった場合、「私は悪魔ではない」の発言は「真実」ということになります。
ここに仮定との矛盾はありません。
ではBが悪魔だった場合は?
「私は悪魔ではない」の発言は「嘘」であり、Bは悪魔だということになります。
ここにも仮定との矛盾はありません。
つまり、
Bが天使か悪魔のどちらかは、まだ特定できません。
3人目の正体へ
Bが特定できないため、Cについて考えてみます。
Cが天使だった場合、「私は人間ではない」の発言は「真実」ということになり、「Cは天使である」という仮定との矛盾はありません。
では、悪魔だった場合はどうでしょう。
「私は人間ではない」の発言は「嘘」であり、Cは人間だということになります。
これでは、「Cは悪魔である」という仮定と矛盾します。
よって、Cは「天使」でしかありえません。
そして、最後に残ったBが「悪魔」ですね。
「思考」のまとめ
とてもシンプルですが、「仮定して考え、矛盾のない真実を導く」という、論理的思考のエッセンスが詰まった良問です。
わかっていることから思考をはじめて、論理がつながるかどうかを確かめていく。
これが論理的思考の基本となります。
加えてこの問題では、「正体がわからない人物」をいったん排除して考えることも重要なポイントでした。
「不確定な情報」を見抜くことも、論理的に考えるうえで大切なので、覚えておくとよいでしょう。
・わかっている情報を手がかりに考えるのが「論理的思考」の基本
・ひとつずつ仮定しながら、論理が成り立つか考えていく
(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)