2024年04月23日

自民党はボロ負け必至…追いつめられた岸田首相が手を組む「意外な相手」

自民党はボロ負け必至…追いつめられた岸田首相が手を組む「意外な相手」
4/22(月)   現代ビジネス

 岸田文雄首相が4月14日午後、1週間の米国訪問を終えて帰国した。
バイデン大統領に大統領専用車の“ビースト”に同乗させてもらい、米国連邦議会上下合同会議での演説で大喝采を受けるなど、アメリカから受けた厚遇にすっかりご満悦の様子。
だが日本では過酷な政治日程が待っている。

 まずは4月28日に投開票される衆院補選だ。
自民党が公認候補を擁立できたのは島根1区のみで、長崎3区では早々と不戦敗を宣言。
東京15区ではなんとか乙武洋匡氏を推薦しようと模索したが、それも諦めた。

 それでも永田町では「6月解散説」が消えない。
岸田首相が9月に予定される自民党総裁選を乗り切るには、その前に衆院選を行い、党内の求心力を高める必要があるが、肝心の内閣支持率がここ最近は伸びていない。
これでは9月に予定される総裁選どころか、「岸田降ろし」も起こりかねない。

 以上は誰もが懸念することだが、意外なことに岸田首相は衆院補選を楽観していると伝わっている。
ある自民党関係者は、「もし衆院補選で最悪な結果になったとしても、岸田首相はそれを『ガス抜き』ととらえているようだ。自民党が惨敗すれば国民の不満が解消され、その後は内閣支持率が上昇すると見ているらしい」と語った。

 そして今、永田町で流れているのは「内閣支持率が3ポイント上がると、岸田首相は衆院を解散する」という噂だ――。

 実際に4月の内閣支持率は、ANNの調査では前月から5.4ポイント上昇の26.3%で、共同通信の調査でも23.8%と3.7ポイント上昇。自民党政権に厳しい数字が出ることで知られる毎日新聞の調査も5ポイント上昇の22%と、3か月ぶりに20%台を回復した。

 しかしこれらの数字は、過剰な演出が盛り込まれた訪米の影響が多分にある。
一方で調査の具体的な内容を見ると、たとえば自民党の「政治とカネ」問題で岸田首相が自らを処分しなかったことについて、ANNの調査では66%、共同通信でも78.4%が「納得できない」と回答し、毎日新聞の調査では62%が「政権交代してほしい」とするなど、岸田政権に対する根強い不信が感じられる。

 よって11日に発売された週刊文春4月18日号が「自公83議席減!」と報じた記事は、自民党に大きな衝撃を与えた。
同記事によると、自民党は現有議席の259議席から186議席と激減し、公明党も22議席しか獲得できず10議席も減らし、208議席となった自公は政権を維持できなくなるというものだ。

自民と維新の蜜月

 一方で同記事では、立憲民主党は52議席増の147議席、日本維新の会も21議席増の62議席を獲得すると予想している。
ここで「自公維連立論」が浮かび上がる。
3党を合わせれば270議席となり、衆議院(定数465議席)で過半数を維持できるからだ。
そしてそれを意識するかのような行動が、最近の日本維新の会に見ることができる。

 日本維新の会の馬場伸幸代表は4月16日、東京15区の補選の応援で、「立憲民主党に投票しないでください」と有権者に訴えた。
馬場氏はまた18日に国会内で開かれた会見でも、「立憲民主党は叩き潰す必要がある」と述べている。

 さらに同党の三木圭恵衆院議員は18日に開かれた衆院憲法審査会で、立憲民主党を「立憲共産党」と揶揄して、立憲民主党の逢坂誠二野党筆頭幹事を激怒させた。
もっとも維新側のこうした行動の背景には、改憲に消極的に見える立憲側が審査会を仕切ることに対する改憲積極派である維新側からの不満がある。

 そうした“対立”はこの度の衆院補選でも見ることができる。
日本維新の会は長崎3区と東京15区に公認候補を擁立し、いずれも立憲民主党と闘っている。

 一方で維新は島根1区で独自候補を擁立していない。
同党の藤田文武幹事長は4月17日の会見で島根1区での「自主投票」を言明し、自民党にも立憲民主党にも与しない姿勢を示している。

立憲が勝つのは困る……

 要するに衆院補選については、自民党と維新は相反する立場にないことになる。
そこで立憲民主党の躍進を阻止したい自民党は、思わぬ「禁じ手」を講じるかもしれない。
ある自民党関係者は次のように打ち明けた。

 「東京15区は立憲民主党の公認候補が優勢だが、彼女が当選して立憲民主党が勢い付いてしまっては、我々が困る。
そこで15区内の自民票を“2位の候補”に集中させることで、なんとか挽回をはかりたいところだが、都連上層部からの具体的な指示はまだ来ていない」

 そもそも東京15区は自民党系の牙城で、小選挙区制度が導入されて以来「反自民」の候補が当選したことはなかった。
また2023年4月の江東区議選で自民党公認候補が獲得した票の総数から、15区の「自民票」は約5.5万票と推定され、2人続けて自民党議員が逮捕されたという不祥事が続いたとはいえ、これらの票が東京15区補選の結果に大きく影響することは間違いない。
 ならば、立憲民主党を厳しく批判し始めた馬場氏らの一連の言動は、こうした票を狙っての自民党へのアピールも含んでいるのかもしれない。
そうした彼らのシグナルを、政権延命を何よりも優先する岸田首相はどのように受けとめているのか――。

 空気の読めない首相の“仁義なき戦い”は、これからも続いていくのだろうか。

安積 明子(政治ジャーナリスト)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする