ダイエットで運動を頑張るより「ざるそば」「お茶漬け」の方がはるかにラクで合理的なワケ
7/16(火) ダイヤモンド・オンライン
ラクに減量したいなら、運動よりも、食事制限で摂取カロリーを抑えたほうがはるかに効率的だ。
たとえば、500kcalを消費するには1時間のジョギングが必要だが、1食をかつ丼から海鮮丼に変えるだけで摂取カロリーを約500kcal浮かせることができる。
具体的な数字と例を見ながら、合理的なカロリー管理方法を学ぼう。
※本稿は、清水 忍『ロジカルダイエット 3か月で「勝手に痩せる体」になる』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。
● 「2か月かけて10キロやせる」には 1日5時間の超人的ウォーキングが必要
運動ではやせられない」と言われても、にわかには信じられない方もいらっしゃるかもしれません。そこで、具体的な数字を挙げながら検証してみることにしましょう。
仮に、2か月かけて10キロやせたい人がいたとしましょう。
体脂肪1キロがどれくらいのカロリーか、みなさんはご存じですか。
答えはだいたい7000kcalです。
これは、体脂肪1キロを落とすには7000kcalを消費する必要があるということ。
すなわち、10キロやせたいのであれば、7万kcalを消費しなくてはならないわけです。
2か月60日で7万kcalを減らすには、60で割って、1日に約1167kcalの消費が必要ということになります。
つまり、1167kcal分の運動を60日間継続すれば、10キロに相当する7万kcal減を達成できるというわけですね。
では、1167kcalとは、どれくらいの運動で消費できるのか。
まず、ウォーキングの場合です。
人にもよりますが、ウォーキング30分で消費されるカロリーがだいたい120kcalほど。
1時間歩けば倍の240kcalということになります。
1時間で240kcalの消費ということは、1167kcalを消費するには、1日に5時間ほど歩かなくてはいけないことになります。
次にジョギングのケースも見てみましょう。
ジョギング30分ではだいたい250kcalくらいのカロリー消費量です。
1時間なら倍の500kcal。ということは、1167kcalを消費するには、1日に2時間走ってもまだ足りないということになります。
● フルマラソンを2回走っても 体脂肪1キロ分すら落ちない
そこでみなさん、考えてみてください。
毎日5時間のウォーキングができるでしょうか。
毎日2時間のジョギングができるでしょうか。
これを60日間続けることができるなら、ウォーキングやジョギングによって2か月で10キロやせることも可能です。
しかし、お分かりのように到底達成できそうにないノルマですよね。
普通に日々仕事や家事をしている人であれば、これだけの時間と労力を運動に費やすということ自体、非現実的な計画でしょう。
「2か月かけて10キロやせる」なんていうのは、ネットやテレビ、雑誌などに氾濫するダイエット広告ではわりとよく目にする数字です。
しかし、食事量を減らすのならともかく、運動だけでこの数字を叩き出すなんて絶対にできっこありません。
運動指導のプロが言うのですから、そこは間違いない。
42.195kmのフルマラソンを走ったときのカロリー消費量は3000kcal以下であり、たとえフルマラソンを2回走ったとしても、体脂肪1キロ分(7000kcal)すら落とすことはできないのです。
それを考えれば、30分くらい歩いたり走ったりしても、体脂肪消費という点ではほとんど何の役にも立っていないということがお分かりいただけますよね。
この事実が分かっていないまま、運動だけで何とかしようとすると、「いくらがんばってもやせない」「いくら長く続けていてもやせない」という迷い道に入ってしまうことになります。
結果、途中で嫌になってダイエットをやめてしまうことが多いのです。
ですから、まずは、「運動しても期待するほどにはやせない」という事実を受け入れて、運動に対してヘンに期待をかけないことが肝心。
この点をしっかり認識しておくことも、ダイエットをロジカルに進めていくうえでの大切な一歩だと言えるでしょう。
● 消費カロリーより摂取カロリーを 考えるほうが圧倒的にラク
運動によるカロリー消費量が非常に少ないということは分かっていただいたとして、次に、カロリー収支をマイナスにするという点での「食事と運動の比重」をもう一度見直してみましょう。
ご存じの方も多いと思いますが、スポーツジムやフィットネスクラブに行くと、自分が消費したカロリー量を食べ物のイラストで知らせてくれるトレッドミル(ランニングマシン)がある場合があります。
走っている最中、一定のカロリーを消費するごとに、そのカロリー量に相当する食べ物のイラストが次々に液晶画面に出てくるのです。
たとえば、「かき氷(25kcal)→いちご(50kcal)→ワイン(75kcal)→目玉焼き(100kcal)……日本酒(200kcal)……アップルパイ(300kcal)……ラーメン(400kcal)」といった具合です。
これを見ながら走っていると、運動によるカロリー消費量が少ないことを痛感させられます。
きっと、「30分も走っているのに、まだアップルパイレベルか」とか「これだけ走って汗をかいても、家に帰って唐揚げをつまみながらビールを飲んだら、それだけでカロリーオーバーになっちゃうんだな」などと考えながら利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この消費カロリー表示システムの優れた点は、「運動で消費されるカロリー量が私たちが思っているよりもかなり低く、食事で摂取しているカロリー量が私たちが思っているよりもずっと高い」ということを実感できることです。
こうした運動と食事の関係性はよく理解していない人が多いので、実際に走りながらこれを知ることができるのは非常に有意義。トレッドミルメーカーで、この企画を発案した人には心から拍手を送りたいところです。
こうした運動と食事の関係性が理解できてくると、カロリーオーバーを運動でカバーしようという発想がなくなってくるはずです。
「ちょっと食べすぎちゃったなあ」というときに、そのカロリーオーバー分を運動で落とそうとすると、気が遠くなるような量のエクササイズをしなければならなくなる。
そのため、運動で何とかしようという発想自体がなくなってくるのです。
● ランチは、カツ丼?それとも海鮮丼? メニュー選びはロジカルダイエットのキモ
このことをより具体的に分かっていただくために、「かつ丼」を例に挙げて説明しましょう。
かつ丼はだいたい800〜1000kcalくらい。
まあ、かなり高カロリーなわけですが、ここでは、昼食に高頻度で1000kcalのかつ丼を食べていた人がいたとします。
その人がダイエットを始めて、「さて、今日の昼食はどうしようか」と迷っていたとしましょう。
ダイエット中であることを意識して、「海鮮丼」を選んだとします。
海鮮丼だとだいたい500kcalくらい。そうすると「かつ丼→海鮮丼」で500kcalものカロリーを浮かせることができました。
さて、同じだけのカロリーを運動で浮かせようとしたらどうなるでしょう。
先ほど、30分のジョギングで250kcalの消費とお伝えしました。
500kcalをジョギングでカバーしようと思ったら、1時間走り続けなくてはいけないということになります。
みなさん、考えてみてください。かつ丼を海鮮丼に変えて500kcal減らすのと、その500kcalを1時間のジョギングで減らすのと、どっちを選ぶでしょうか。
当然、食べるメニューを変えるほうが簡単ですよね。
つまり、ダイエットでカロリーを減らしていくには、運動をがんばるよりも、食事を抑えていくほうがはるかにラクであり、はるかに合理的なのです。
この人が、かつ丼をやめて「ざるそば」を選んだとすれば、ざるそばはだいたい350kcalくらいなので、650kcalも減らすことができます。
あるいは、かつ丼をやめて「お茶漬け」で済ませたとすれば、ごはん1杯は250kcalくらいなので、750kcalも減らせることになります。
もちろん毎食ざるそばやお茶漬けにしていたら栄養面で問題があるのは言うまでもないことです。ここでは単に、数字の話をしています。
こういうふうに、どんなメニューをセレクトするかを工夫してカロリー減を積み重ねていけば、いずれ大幅なカロリー減につながり、カロリー収支をマイナスにするのに役立てていくことができますよね。
じつは、ロジカルダイエットでは、カロリー収支をマイナスに転じていくために、この「メニューセレクト」の部分をたいへん重要視しているのです。
何を食べるかの選び方を少し工夫するだけで、かなり効率よく合理的にカロリーを減らしていくことができるのです。
とにかくここでは、カロリー収支をマイナスにするには、運動でカロリーを消費するよりも、食事でカロリー摂取を抑えるほうがはるかに合理的で効率がいいということを覚えておいてください。
清水 忍