首すげ替えで生き残り画策の自民党にどう対応すべき? 適菜収さん「一度腐った国は元には戻らない」
2024/07/21 日刊ゲンダイ
日刊ゲンダイで好評連載中のコラムを書籍化した適菜収氏「続 それでもバカとは戦え」が痛快無比、溜飲が下がる激辛の政治指南書として好評だ。
「安倍晋三の正体」「ニッポンを蝕む全体主義」(ともに祥伝社)など、著書50冊以上の作家が、政治とカネの問題で支持率ダダ下がり、推薦・支援した候補は選挙でボロ負け……9月に総裁選を控える自民党の今後と、日本政治の行く末を占った。
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――この本で適菜さんは自民党を厳しく批判されていますが、現在自民党は総裁を替えて、また有権者をだまそうとしているように見えます。この方法でうまくいくのでしょうか?
適菜
はい。うまくいくと思います。
実際、これまでもこのやり方でうまくいったわけです。
現在、メディアの掌握も進んでいます。
だまされやすい人にターゲットをしぼり、見かけだけの「新しさ」やプロパガンダをぶつけたほうが丁寧な説明をするより効率がいいという発想ですね。
まともな批判は、誤魔化すか、無視することにより時間稼ぎをする。
森友問題も統一教会問題も裏金問題も、すべてそうです。
今回の東京都知事選では小池百合子が同じ手法を使いました。
議論から逃げ回ることで、疑惑の存在や論点が明らかになることを避けたわけです。
――それでも、自民党は愛想をつかされているようにも見えます。政党支持率も下がっています。
適菜
さすがに不祥事や犯罪が重なったからでしょう。しかし注意しないとすぐに息を吹き返します。
一部議員がトカゲの尻尾切りのような形で逮捕されても、これはガス抜きのようなもので、本質的な問題解決にはなっていません。
というより、本書を読んでいただければおわかりのように、自民党の個別の議員が犯罪や不祥事に手を染めたというより、自民党は組織的に国、社会、法を破壊してきたのです。
裏金のキックバックという犯罪や機密費の私的流用だって、組織的にやっていたわけですから。よって、今の自民党がまともな政党に変わることはありえません。
――だとすると、この先自民党はどうなっていくのでしょうか?
適菜
先日、石破茂が「われわれは(民主党政権時代の)3年3カ月の間、何が間違っていたのか、日々反省会だった。
あの野党の時の反省をどこかに忘れてしまったのではないか」と危機感を示していましたが、なにを今更ですよね。
自民党に自浄作用がないことを示したのがこの30年です。「解党的出直し」ではなく「解党」するなら、少しは信頼しますが。
――自民党がこの先、根本から変わることはないとすれば、国民はどうすればいいのでしょうか?
適菜
どうしようもないと思います。
こういうことを言うと、「無責任だ」とか「解決方法を示すのが仕事だろう」とか「対案を示せ」などと言う人が出てきますが、ここまで腐り果てた状況で「明るい未来」を提示するほうがよほど無責任です。
「覆水盆に返らず」という言葉があるように、世の中には取り返しのつかないことは存在します。
人間を一度バラバラにして、元通りに組み立てても生き返ることはないですよね。
国や社会も同じで、一度壊してしまえば、元に戻すのは難しい。
だます側が悪いのは当然ですが、何度も同じようなものにだまされるほうも問題です。
反省することでなんとかなるような時期は過ぎ去っています。呑気にも程がある。
日刊ゲンダイの連載でも書きましたが、歴史を振り返れば、腐敗しきった国が正常に戻ることは少なく、結果、表舞台から消えていったのも厳然たる事実です。それが国力の低下という形で現在可視化されています。
もっとも、目の前にある現実を認めずに、夢の中で暮らしている連中もいます。
そういう人間がターゲットにされる限り、現在の状況、つまり、アメリカ隷属化と新自由主義、財界、政商、宗教団体の複合体による、日本の解体、および切り売りは止まらないと思います。(談)