2024年10月19日

生活保護、申請増加も受給者減…自治体が弾き返す「水際作戦」の実態は?

生活保護、申請増加も受給者減…自治体が弾き返す「水際作戦」の実態は?専門家「若いから働けるだろうと追い返す」「1人で150世帯受け持つこともあり人手が足りない」
10/18(金) ABEMA TIMES

生活保護
 収入が最低生活費以下となっている人に、困窮の程度に応じて、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を援助する「生活保護制度」。
2023年度は申請件数が4年連続で増加し、25万1364件となった。
その一方で、受給者数は年々減少傾向で、202万577人に。
「保護率増減マップ」によれば、12の市区では、保護率が過去10年で40%以上も減少しているという。

 このうち群馬県・桐生市は41.1%減少したが昨年、違法行為や人権侵害が長年行われてきたことが発覚。
生活困窮者に対し、生活保護の利用を認めず追い返す「水際作戦」の実態とは。『ABEMA Prime』では専門家にその原因を聞いた。

■窓口で追い返す「水際作戦」

水際作戦とは
 生活保護制度は「働くことができない。働いても収入が不十分」「預貯金や資産(居住中の住居除く)がない」「他制度(年金など)の給付が受けられない」「親族等から援助を受けられない」などの理由で、最低限の生活が送れない人を対象にしている。
東京23区の単身世帯であれば、月額約12〜13万円が支給される。

 申請件数は増えているものの、保護率が減っていることについて、SNSで「生活保護おじさん」として活動する、つくろい東京ファンド新規事業部長の佐々木大志郎氏は「役所側が抑制することもかなり増えていると感じる。一方で、緊急支援の対象者に若い人が増えている。20代から40代の働き盛りの人が、いわゆるスポットワーク、隙間バイトアプリで働きながら、最低生活ぎりぎりのところで稼いでいる。ぎりぎりで生活できているということで、生活保護は受けられない。生活は苦しいが生活保護は受けられないことも保護率低下につながっているのでは」という。

 また世田谷区で保護担当職員を務めた経験がある田川英信氏は、「いくつかの自治体でひどい運用が問題になったが、貧困が広がってる中で保護率が40%以上減少しているのはやはり異様で、ありえない。水際作戦をしている可能性は非常に高い」と、不当に申請者を追い返してしまっている現状があると指摘した。

 実際に水際作戦は、どう行われるのか。佐々木氏によれば、申請者に対して親・兄弟などの親族に伝えるということ。申請の際、親族に連絡を取る必要はないが、担当者がそう伝えることで、申請者は「ずっと連絡していないので」と断念するという。また、住居がない場合は仮住まいできるが、その環境が劣悪であることを伝えることで「行きたくない」と諦めるケースは多い。

 また田川氏は「法の運用を正しくしていない。不動産も一定程度であれば持っていていいのに、処分しなさいと言って追い返す。
また今、経済的に困っているのに『若いのだからまだ働けるだろう』と追い返している事例は結構ある。
生活保護は資産が一定以下なら誰でも利用できるが、仕事の探し方が悪いなどと追い返す実態もある。
もともと生活保護はなるべく利用しない方がいいという価値観を持っている職員もいる」と述べた。

■自治体によっては全額、国が負担のケースも

生活保護制度
 生活保護費は4分の3が国、残りの4分の1を自治体が負担するとされている。
2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は「生活保護の人に12万円支払うとして、自治体の負担は3万円。保護された人が自治体で12万円使えば、自治体としては国から金を引っ張れて、町は豊かになるのではないか」と指摘したが、これに田川氏は地域によって、さらに国が負担するケースもあるという。
「地方交付税交付金というものがある。お金持ちの自治体は4分の1負担だが、そうでないところは、まるまる国からのお金で地域経済が回る形になっている」。つまり、生活保護費のほぼ全額を国が出し、自治体の負担がないという。しかもその数は全自治体の9割以上にものぼる。

 それではなぜ、水際作戦のようなことが起きるのか。
これには様々なパターンがある。たとえば窓口に立つ担当者の負担の大きさだ。
佐々木氏は「お金を出す以外にも、いろいろなことがある。就労できない人であれば一緒にハローワークに行くし、精神疾患の方であれば病院を手配するといった生活の相談がどんどん来て、非常に大変なのはわかる」とした。

 また田川氏も「国は標準として80世帯を1人のケースワーカーが受け持つことにしているが、残念ながら『80』を守っていない自治体は多く、ひどいところであれば『140』や『150』。寄り添った支援をする余裕がなく、心理的負担も多いからなるべく申請を避けたいという心理が働いている。
新規申請の事務処理も集中してやっても1世帯で2、3日かかる。訪問調査もして、記録も書いてと、結構な時間がかかる」と、不正受給を防ぐために必要な手続きとはいえ、人手不足なども水際作戦に拍車をかけているという。このほか、多忙なため生活保護について十分な研修・教育の機会が与えられず現場に立つという状況もあり、今の状況を招いていると指摘した。

■世間のイメージで自ら「申請しない」人も

自治体で何が…
 申請した人が追い返されることもあれば、自ら申請を諦めてしまうこともある。これもまた問題だ。
佐々木氏も「基本的に今は要件を満たせば問答無用で(保護が)取れるのに『生活保護だけは絶対に嫌です。ただ今日いっぱい何とかしてください』という声はすごく聞く」と実例をあげると、田川氏も「基本的に生活保護を利用しないで暮らすのがいいという価値観を持っている国民は多い。
いくら困っていても生活保護を利用したくないと、生活保護を忌避する気持ちを持っている人は非常に多いのがネック。
保護を受けた人がネット上でバッシングを受けているのを見て、自分もレッテルを貼られることを避けている」とした。

 現役保育士で育児アドバイザーのてぃ先生も、生活保護に対する偏見について言及し、働く人々の給与の低さとの関連を突いた。
「日本の給与は世界基準と比べてもどんどん下がっているというか維持してしまっている30年を考えた時、生活保護の申請をすべき人が申請しないのは、いわゆるスティグマ的な偏見や差別、生活保護に対する誤解がある」とし、さらに「保育士も地方に行くほど給料は低くて、沖縄などであれば手取りで本当に12〜13万円という人たちもいる。子どもたちの命を背負いながら働いているのに、生活保護で12〜13万円もらっている人がいれば、当然その人たちに対する見方はきつくなり、悪循環になっている。
海外の場合は、そういった人たちに対する目もある程度和らいでいるから、生活保護を受けるべき人が受けられる割合が高くなっているのでは」と、ヨーロッパでは80%を超えるものの、日本では約20%に留まる捕捉率の差についても問題提起していた。

(『ABEMA Prime』より)
posted by 小だぬき at 10:49 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

特ダネのために「無実の人」を殺人犯にする…警察、検察の「世紀の大失態」に加担したマスコミの無責任体質

特ダネのために「無実の人」を殺人犯にする…警察、検察の「世紀の大失態」に加担したマスコミの無責任体質
10/18(金)プレジデントオンライン

1966年に静岡県で起きたいわゆる「袴田事件」で袴田巌さんに無罪の再審判決が出されたことを受け、毎日新聞を含む新聞各社は謝罪記事を掲載した。
元静岡新聞記者でジャーナリストの小林一哉さんは「毎日新聞は当時から特ダネを連発し、冤罪を助長してきた。今後の事件報道で捜査機関からのリークに頼らない報道ができるのか疑問だ」という――。

■再審無罪判決の翌日に出された「おわび記事」

 9月26日の静岡地裁で袴田巌さんを無罪とする再審判決が言い渡された翌日の27日毎日新聞朝刊は、紙面1ページのほぼ半分を使って、「袴田さん本紙報道検証」という大きな記事と、坂口佳代編集局長による「人権侵害おわびします」という3段見出しの非常に長い署名記事を掲載した。

 その記事にジャーナリストの江川紹子さんが談話を寄せている。

 見出しは「冤罪事件から学ばず」で、「記者と警察は一体化しているかのようだった」「当時の記者はなぜ過去の三つの冤罪事件から学ばずに、袴田さんを犯人視する報道を続けたのか」などと批判している。

 1966年6月30日未明、静岡県清水市(現・静岡市清水区)のみそ製造会社専務一家4人が殺された事件で、毎日新聞は同年7月4日夕刊の社会面トップの「従業員『H』浮かぶ 血ぞめのシャツを発見」という特ダネ記事を皮切りに、連日、他社を圧倒する記事を掲載した。

■当時の記者だけに責任をなすりつける「検証」

 当時の新聞報道を比較すれば、毎日新聞は袴田さんを「犯人」とする一家4人殺しの事件報道を大きくリードしたことがはっきりとわかる。

 毎日新聞は「検証」で、当時の記者たちについて、「捜査当局と一体化したような書きぶり」「自白に重きを置きすぎた報道」「記者が実態をある程度把握していたことがうかがえるものの、捜査手法に疑問の目を向けたものではなかった」などと批判している。

 さらに、坂口編集局長は「1966年当時の紙面を振り返ると、袴田さんを『犯人』とする捜査当局の見立てを疑わず報道していた」として、「報道による人権侵害を二度と繰り返さない」などと「おわび」している。

 つまり、特ダネを連発した当時の記者たちの取材手法などを徹底的にこきおろしているのだ。
まるで1966年当時の記者たちの取材手法に問題があったかのような書きぶりだ。

 この「おわび」を正面から読み解くならば、毎日新聞と現在の警察回りの記者たちは今後、過去と同じような取材に基づく特ダネ記事を書くことをやめてしまうのだろうか。

 いい加減な「検証」と、ひとごとのような言い訳と取れる「おわび」は、単に当時の記者たちに過去の責任をなすりつけただけにしか見えない。

 いったい、何が問題だったのかを明らかにする。

■「H」が有力容疑者であることを伝えた毎日新聞

 「検証」では、〔「毎日新聞は(1966年)7月4日夕刊で有力な容疑者として袴田さんのイニシャルを使い『従業員“H”浮かぶ』とする記事を掲載」〕したことを問題にしている。内容には全く触れていない。

 特ダネとなった社会面トップ記事内容は、「捜査本部は4日、同社製造係勤務、H(30)を有力容疑者とみて証拠固めをしている」とある。

 事件からたった4日しかたっていない段階で、袴田さんが「有力容疑者」となったことを毎日新聞だけが伝えた。

 4日夕刊には、袴田さんの容疑が濃くなった理由について「@三十数人の作業員でHを除く他の従業員のアリバイが成立した。Hは夜一人でいたと言っている、AHの部屋のタンスから血のついたシャツが発見された、BHの右手に新しいひっかき傷や切り傷がある、C女性関係が多く、しばしば給料の前借りをしてお金に困っていた」などと細かく挙げていた。すべて警察取材を基にしているのだろう。

■毎日新聞と他紙の報道の違い

 翌日の5日朝刊でも社会面の大きな記事で、Hを9時間以上も取り調べたことを取り上げた。

 「Hは『火事のあった晩(6月29日)は事件発生までずっと寮の部屋にいた。
火事の知らせでかけつけたが、そのときけがをして血がついた。
消火作業でぬれネズミになったのでいったん部屋に戻り作業着に着替え、再び職場に行き、けがの血がついたあとを水洗いし、夜具戸ダナに入れておいた』と容疑について全面的に否定している」などと、警察での袴田さんの供述を詳しく紹介している。

 この記事で、袴田さんは当初から、はっきりと容疑を否認しているのがわかる。

 同じ4日夕刊の静岡新聞は社会面トップで、「凶器か? 小刀を発見 犯人面識者強まる えん恨、物取りかはっきりしない」などの見出し記事を掲載した。

 毎日新聞が袴田さんを「有力容疑者」とした翌日の静岡新聞5日朝刊でも「H」などのイニシャルはなく、「従業員から事情聞く」の見出しにとどまり、容疑者は特定できていなかった。

 記事内容も「知人出入り者など内部関係をよく知る従業員らから調べてゆく」「有力な情報はない」などと袴田さんにたどり着いていなかった。

 これだけでも、当時、事件当初から毎日新聞の記事が他社を圧倒していたことがよくわかる。

■当日の逮捕も「特ダネ」で出した

 袴田さんを逮捕する8月18日の毎日新聞は朝刊社会面トップで、「作業員『袴田』に逮捕状」「寝間着の血がキメ手」「放火の油もほぼ一致」とやはり特ダネ記事を掲載した。

 当日の静岡新聞は「捜査は大詰めへ 某従業員から事情聴取」と何ともあいまいな記事を掲載してしまった。

 記事は「容疑が消えない黒白をつける」「パジャマが発見された日時、場所、事件後の動向などは疑惑を打ち消す要素も大きい」などとあり、袴田さんの逮捕状など全く承知していないこともわかる。

 毎日新聞の「検証」は、翌日の8月19日朝刊について「袴田さんが容疑を否認していることを掲載する一方で『刑事たちの執念と苦しさに耐えたねばりが功を奏して(中略)逮捕にまでたどりついた』と表現した」ことを問題にした。

 同じ8月19日毎日新聞を見てみたが、そのような記事にたどりつけなかった。
当日の社会面には「袴田、否認のまま逮捕」「『私なら小刀は使わぬ』逮捕前の袴田と会見」という大きな見出しの記事が掲載されていた。

 前文で「袴田は工場のミソを盗んだことは一部認めたが強殺、放火は全面的に否認している」とある。

■逮捕前の袴田さんを単独取材していた

 本文記事は、これまでの警察情報ではなく、毎日新聞静岡支局の記者2人が逮捕の2週間前の8月4日夜、毎日新聞清水通信部で2時間余にわたり袴田さんを単独会見した際の一問一答が掲載されていた。

 以下が一問一答の全文である。
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――君は犯人と疑われているようだが……。

答 えー、そりゃ、自分のアリバイを証明できない点では不利な立場に立たされたと思っていますよ。
でも私が犯人だったらもっとアリバイをつくってからやりますよ。(声高に笑う)それに小刀を使いませんよ。バーンとアゴをなぐれば(元ボクサーらしく身ぶりですごみをきかせる)ちょっと起き上がれませんからね。

――警察は事件後、間もなく君を夜中までぶっ通しで9時間以上にわたって調べたね。内容は……。

答 いきなり部屋にはいったとたん「お前はどうしてここへきたかわかるだろうな」ときた。
「お前がやらなくてだれがやるんだ」ともいわれた。(やや興奮気味になる)パジャマにちょっと血がついていたくらいで色めきたって犯人扱いするんだからたまらないですよ。
「胸の血はどうしてついたんだ」と聞くから「そんなことわからない。消火作業に夢中だったのでどこでついたか知らないんだ」といってやった。

――事件当日のアリバイは。

答 午後5時半ころだったと思う。専務の家へ××君(記事は実名。同僚の従業員)と二人でメシを食いに行った。それから部屋に戻ってテレビを見てから寝た。

――パジャマの血はどうしてついたのかわからないの。

答 消火作業に夢中だった。土蔵の物干し台にあがって窓をこわしていたとき左手に痛みを感じ、けがをしたことに気がついた。たぶん屋根の上でころんだのでそのときのけがだと思う。
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――こんどの事件を君はどう推理するのか。

答 女をめぐって専務に対する恨みでしょうね。それに一人の犯行ではないよ。三人以上だと思いますね。

――侵入口は……。

答 そりゃ、シャッターを上げて正面から堂々とはいったと思いますよ。

――どこから逃げたか。

答 やはり裏口を飛び越えたでしょうね。

――カッパや油について。

答 それですよね。問題は……。(やや考えてから)でも犯人がわざわざカッパを着て行きますかね。
油も会社にはいろいろある。
モーターボート(専務用のもの)もあるからね。
事件が片付いたら私の潔白を証明してもらうために警察などに対して何らかの処置を取りたいと考えている。

――告訴するということか。

答 そうだ。
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■「検証」で触れられなかった単独会見

 毎日新聞の「検証」で取り上げた「刑事たちの執念と苦しさ……」などとの表現は、静岡県版の記事だったのだろう。
筆者が調べた都内版の毎日新聞縮刷版には掲載されていなかった。

 記事を読む限り、8月18日の逮捕までは袴田さんに「自白」は強要されていなかったようだ。

 まず、当時の記者たちは7月5日朝刊で、「四日は九時間にわたってHを調べた」とある。
それでも警察に対して、全面的に否定した袴田さんの供述をそのまま掲載している。

 その取材を基に、8月4日に袴田さんへの単独会見を2時間余も行った。

 そこでも、「警察は事件後、間もなく君を夜中までぶっ通しで九時間以上にわたって調べた」と常軌を逸した取り調べを行っていたことを明らかにしている。

 単独会見の記事を読めばわかるが、袴田さんは自身の「無実」を一貫して主張、「私なら小刀は使わない」など袴田さんなりの事件の「見立て」を説明している。

 2時間余にも及ぶ単独会見のわずかな部分だけが記事になったのだろう。

 当然、テープレコーダーをで録っていたはずだが、今回の「検証」では単独会見どころか、その内容は一切、明らかにされていない。

■「警察からのリーク」は今後一切記事にしないのか

 本当に当時の記者たちに責任があるのだろうか。

 もし疑問があるならば、毎日新聞本社編集局が、静岡支局記者たちの原稿を読み、単独会見のメモなどを取り寄せて、袴田さんを「犯人」とした捜査手法の間違いに目を向けて、徹底した調査取材を指示すべきだろう。

 上からの指示で必死に取材に飛び回っていた記者たちの責任というよりも、過去の冤罪事件をよく知る取材経験豊富な本社編集局幹部らの対応にこそ問題があった。

 袴田さんの事件で、当初、毎日新聞は特ダネを連発した。
特ダネとは、警察発表前に刑事らの自宅などで直接取材して、他社の知らない新たな情報を提供してもらい、独自の報道に結びつけることである。

 現在でもこの取材手法は同じである。
検察、警察は自分たちの都合のよいように事件を進めるためにリークを行い、各報道機関に特ダネとして記事を書いてもらっている。

 もし、「捜査当局と一体化したような書きぶり」「自白に重きを置きすぎた報道」「捜査手法に疑問の目を向けたものではなかった」を問題にするならば、今後、毎日新聞は検察、警察からのリークは記事にしないことになる。

 袴田事件をもって、今後は公式発表をそのまま載せるか、独自取材しかやらないということにはなるまい。

■検察、警察への追及があまりにも甘い

 袴田さんの無罪判決をめぐり、毎日新聞はもう1つ大きな問題を残してしまった。

 静岡地裁が捜査当局の「捏造」を認定して無罪判決を出した前日の25日、毎日新聞静岡県版は、元最高検幹部の伊藤鉄男弁護士のインタビュー記事を掲載した。

 そこで、伊藤弁護士は「誰一人として捏造をしたという者も、それに協力した者も、それを見たという者も存在しない。これだけの重大事件であまりにも不合理な認定がされることは、公正誠実を求められている検察としては見過ごせない」と当局の「捏造」を頭から否定する発言を掲載している。

 これも何ら裏付けのない当局側の情報・発言をただ垂れ流しただけではないか。
坂口編集局長は翌26日の「おわび」で、「当局による情報隠しが行われていないかを監視し、証拠の開示など適正な刑事手続きが行われているかをチェックすることがますます重要」などと述べている。
まるでひとごとである。寝言を言っているようにしか思えない。

 坂口編集局長の「おわび」が表面的なきれいごとでないならば、裁判官の心証ではなく、検察、警察が「捏造」したとする証拠などの情報隠しをちゃんと明らかにしなければならない。
それでなければ、9月25日の伊藤弁護士のインタビュー記事を読んだ読者らは納得できないだろう。

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小林 一哉(こばやし・かずや)
ジャーナリスト
posted by 小だぬき at 06:21 | 神奈川 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする