2025年02月12日

健康効果をアップする【お風呂の入り方】「お湯の温度は40℃」「お湯につかるのはトータル10分」「かけ湯は10回が目安」「食後30分〜1時間は避ける」

健康効果をアップする【お風呂の入り方】「お湯の温度は40℃」「お湯につかるのはトータル10分」「かけ湯は10回が目安」「食後30分〜1時間は避ける」
2/10(月) 女性セブンプラス

冬の寒い日はいつも以上に、お風呂の温かさが身にしみる。
体を温めるだけでなく、自律神経を整えるなどの健康効果もさまざまある入浴だが、気づかぬうちにかえって体に負担をかけ、寿命を縮めているかもしれない。
日本人が長寿であるゆえんは毎日のお呂習慣?

年を重ねるにつれ自覚する老化現象や不調といえば、関節の痛み、睡眠の質の低下、免疫力や気力の低下などがあげられるだろう。
それらを改善するための手段として推奨されるのが、「湯船につかる入浴」だ。
近年ではさまざまな調査から、認知症予防効果も期待されると話すのは、東京都市大学教授で温泉療法専門医の早坂信哉さんだ。

「日本人が長寿であるゆえんは諸説ありますが、そのひとつにお風呂があることがさまざまな研究でわかってきました。
多くの自宅に浴槽があって、毎日お風呂に入る習慣があるのは日本人だけで、体の健康はもちろん心の安定にも寄与していると考えられる。

高齢者約3200人を対象とした6年間の追跡調査で、冬に毎日浴槽入浴している人は、そうでない人に比べて、24%ほどうつの発症率が低いという結果が出たほか、20才以上の約3000人を対象に行った調査では、毎日浴槽につかって入浴する人はそうでない人と比べて幸福度が高いという結果があります。
これによって、認知症予防にも効果が期待できるのではないかと研究を進めているところです」

私たちを健康長寿へと導いてくれる入浴だが、間違った方法ではかえって逆効果となる。

お湯の温度は「40℃」かけ湯は「10回」

「この時期は、“低い温度だと体が温まらない”と、お湯の温度を41〜42℃に設定するかたがいますが、それだと、交感神経が優位になってしまい体が興奮して、リラックス効果を得られなくなってしまいます。

お風呂の最大のメリットは血流の流れをよくすることなので、40℃のお湯にトータル10分つかるのが理想です」(早坂さん)

ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也さんは、ヒートショックリスクの観点から温度への注意を促す。

「急に熱いお風呂に入ると、血圧が急激に上がってヒートショックを起こす危険があります。シニアのかたや高血圧のかたは、熱すぎるお湯は避けましょう」

入浴時に汗をかいて代謝をよくしようと、半身浴や長風呂を習慣にしている人もいるかもしれない。
しかし、前述の通り入浴時間はトータルで10分がいい。

「延べ時間なので、5分つかって、1回湯船から出て、髪や体を洗ってまた5分つかってもいい。
10分ほどで体温は約0.5〜1℃上がり、血液の流れをよくするには充分です。

お風呂には体を温める温熱作用と、血液やリンパの流れをよくする静水圧作用、それから、筋肉を休めてリラックス効果を得る浮力作用があります。
半身浴でお湯を半分にしてしまうと、効果も半分になる。長風呂は皮膚の乾燥にもつながりますし、特にこの時期は温まるどころか冷えてしまうこともあります」(早坂さん・以下同)

早坂さんは、お風呂で汗をかいてもダイエット効果はないと否定する。サウナでかく汗も一緒だ。

「お風呂に長く入るとたしかに汗をかきますが、運動による発汗とは仕組みが異なり、私はこれを“受け身の汗”と呼んでいます。
運動では、体を動かして脂肪が燃焼し体温が上がって汗をかく一方、お風呂の場合はお湯の熱で体温が上がるだけで、脂肪が燃焼しているわけではない。
同じ汗でも、身体活動の強さは運動の半分以下で、お風呂で汗をかいたからやせるとはいえません」

自宅での入浴では湯船に入る前に、かけ湯をする習慣がない人は多い。
体や髪を洗い流してそのまま、かけ湯をしたとしても2〜3回では不足している。

「かけ湯をきちんとする人は案外少ないのですが、血圧の急上昇を防ぐ目的もあるので、手足の末端から体の中心まで念入りにかけてほしい。回数だと10回くらいで、多めがいいです」

脱衣所は20℃を保つ

血圧の急上昇、急低下からなるヒートショックを予防するには、浴室や脱衣所の温度にも気を配りたい。
脱衣所は暖めても、浴室はお湯が張ってあるから何もしない、というのは危険。

「脱衣所はできれば20℃以上を保つと安心です。浴室は、服を脱ぐ前に温かいシャワーをかけ流したり、湯船の蓋をあけてお湯張りをするなどして暖めることも忘れずに」

お風呂に入るなら、一番風呂が清潔だと感じるかもしれないが、皮膚を荒らしてしまう可能性がある。

「皮膚が丈夫なかたなら問題ありませんが、かゆみがある、乾燥してかさついているなどという場合には、避けた方がいい。一番風呂には塩素が入っていることがあるので肌を刺激してしまいます。
お湯の中にミネラルなどの不純物も入っていないので、皮膚がピリピリすることもある。
2番目以降は、前の人が入ったことで分泌物が溶け出し塩素量も減って、お湯がマイルドになります」

皮膚を刺激し、乾燥させる

皮膚を刺激しないという点においては、髪の毛や体の洗い方、お湯につかる順番も重要だ。

「大半の人が湯船に入る前に体を洗いますが、クレンジングでお化粧を落としてかけ湯をしっかりしたら、一度湯船につかった方がいい。
体が温まって毛穴が開き、汚れが落ちやすくなるのです」

洗う際にはくれぐれも、ゴシゴシこするような洗い方はしてはいけない。

「皮膚には常在菌がいて、バリア機能もあり、病原菌から体を守っています。
こすりすぎ、洗いすぎによってそれらを落としすぎてしまうと、逆に有害な菌が付着しやすい状態になりかねません。
韓国式あかすりのような、こすりすぎもおすすめしません。
細菌は極めて小さいので、わずかな傷からも侵入し、リンパ節炎や皮膚が炎症を起こす蜂窩織炎を招くこともある。
石けんをしっかり泡立ててやさしく洗ってください」(谷本さん)

皮脂を落としすぎることも肌にとってはダメージとなる。

「洗いすぎはもちろん、石けん類やシャンプーに界面活性剤が含まれていると、皮脂がとれすぎて乾燥につながります。
頭皮や体の中心部分は皮脂が多いので比較的気にしすぎる必要はありませんが、手足の末端は加齢とともに皮脂が減ってくるので石けんで洗うとかゆみが出ることもあり、お湯につかるだけでも清潔に保てます。

そもそも、夏場やにおいの気になる箇所は別として、毎日石けんをつけて洗う必要はない。
肌のかゆみを感じたら、石けん洗いを控えるだけで改善することもあります」(早坂さん)

谷本さんもこう続ける。

「汗やあかでベトベトでなければ、シャワーで軽く流すだけでも医学的には充分です。
石けんをつけて洗うとしても、首やわき、股部分など汚れが気になるところだけでいいと思います」

食後と運動後のお風呂は禁物

お風呂から上がったとき、のどの渇きを覚え水をキュッと飲む。それはすでに脱水している状態だ。

「のどが渇いたと感じる前に水分補給することが大切。
特にシニアのかたは、のどの渇きを感じにくいため、入浴前か後にコップ1杯の水分補給をしてほしい。
入浴中に脱水症状でふらつき、転倒する危険もあります」(谷本さん)

早坂さんは、入浴時には想像以上に水分が失われると指摘する。

「1回の入浴で800mlの汗が出るという研究もあるので、お風呂に入る前に必ずコップ1〜2杯の水を飲んで水分補給しておきましょう」(早坂さん・以下同)

ここ数年、サウナで汗を積極的に出して代謝を高める健康法がブームとなっているが、体にとっては負担が大きい。

「特にサウナに入ってから、水風呂に入り“ととのう”ことは、50代以降の女性にはおすすめしません。
サウナ自体、高温で乾燥するので皮膚に対する刺激も強く、水風呂に入って血圧が急に上がってヒートショックを起こすリスクもあります。
サウナを楽しみたいなら、温度の低いミストサウナがおすすめです。

お風呂から出る直前に水をかける温冷交代浴は、温泉療法として取り入れられることもありますが、サウナと同様に血管に負荷がかかるので、もし行うとしても30℃くらいのぬるま湯をかける程度にするのがいい。
水をかけることで体温が急激に下がり、体が体温を戻そうと熱を作るので“温かさが持続している”ように感じますが、熱が奪われているだけなので錯覚です」

サウナや温冷交代浴は、自宅のお風呂よりも設備が整った温泉や銭湯などで利用、実践する人が多いだろう。
温泉での注意点はほかにもある。

「温泉に行くと、せっかくだからと長く入ろうとか、たくさん入ろうと、欲張るかたがたくさんいます(笑い)。
ですが、温泉は成分が濃く、家庭のお風呂よりも体を温める作用が強い。1日3回までにしてください。
入浴時間もそれぞれ、汗をかいたら出るくらいがベスト。
無理をして入りすぎると熱中症のような状態になるので、汗をかいたらいったん湯船から出ましょう。トータル10分という時間も、あくまで自宅の場合なので、温泉は例外です」

お風呂に入るタイミングとして、飲酒後は御法度なのは広く知られているが、食後すぐや、運動後すぐも避けるべきだ。

「食後は血液が胃腸に集まっていて、血圧が下がりやすくなっています。
そのタイミングでお風呂に入ってしまうと、皮膚の表面に血液が偏ってしまうので、消化不良が起きることがある。食後30分〜1時間は避けましょう。

ウオーキングやランニングをした後に、すぐお風呂に入ると汗も冷えずにいいと思うかもしれません。
しかし運動直後も、血液が筋肉に集中しているので、食後と同様で、30分くらいは入らないようにしてください」

“風呂キャンセル”は睡眠の質低下に

最近、“風呂キャンセル界隈”といって、入浴やシャワーが面倒だから入らない、という人が増加している。
だが、早坂さんは「お風呂の健康効果を考えれば毎日入ってほしい」と話す。
では、夜は疲れて面倒だから朝に入るという入り方でもいいのだろうか。

「やはり夜の方がいいですね。睡眠に直結するため、日中の緊張状態からリラックスした状態に切り替えて、睡眠の質を向上させる効果が期待できます。

また、お風呂から上がって1時間半後くらいに体温が下がるので、そこで入眠すると睡眠の質がよくなります。
布団に入る1時間半前を目安に入浴するのがいいでしょう」

寒い季節は何かと注意が必要なお風呂。
ここまで論じてきた正しい入浴法は、どの季節も同じというわけではない。

「例えば、お湯の温度は、夏だと40℃は少し熱いと感じ、すぐに汗が出てしまうこともあるでしょう。その場合には、入る時間を短くしたり、温度を38〜39℃に下げてもいい。
ただし、血管が広がって血流がよくなる作用は弱くなります。
これを補うために、血管を広げる効果が期待される炭酸系の入浴剤などを活用するのも手です。

夏場で、お風呂から上がっていつまでも汗がひかないというときは、お湯の温度を少し下げてみて」

入浴後はすみやかに保湿し、肌の乾燥を防ごう。体を冷やさないよう、すぐに着替えることも意識してほしい。

正しい知識を得れば、体も心も健康になる入浴。いまの季節にあった入浴法を実践しよう。

今日から実践
健康効果をアップする入浴法10か条

・脱衣所は20℃以上を保って
・お湯の温度は40℃
・つかる前の「かけ湯」は10回を目安に
・お湯につかるのはトータル10分程度に
・肩までつかって
・シャンプーや体を洗う前に一度つかるのがベター
・スマホなどタブレットの持ち込みはNG
・肌が弱いなら一番風呂より二番風呂
・運動の直後30分程度は控える
・食後30分〜1時間は避けて

※女性セブン2025年2月13日号>
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする