故・森永卓郎さんが「ろくでもないビジネス」と喝破していた「エリート集団」の「職業の名前」…そのヒドすぎる「嘘」と「詐欺」
2/16(日) 現代ビジネス
今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。
原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。
そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟とは。
森永卓郎氏と、息子の康平氏がいまの日本のさまざまな病巣についてガチンコで語り合った『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第7回
『学歴がなくても社会で勝ち抜いていける「シンプルなスキル」…森永卓郎さんの最期の言葉』より続く。
投資銀行の素顔
息子の康平は外資系の投資銀行(金儲けのためなら何でもする金融機関)で働いた経験を持っているが、私は投資銀行の人とはこれまであまり接点をもってこなかった。
最近になって投資銀行の人との付き合いもできたのだが、話を聞いているといろいろと考えさせられた。
投資銀行と聞くと、ものすごく優秀な人材が集まっている、というイメージを持つ人もいるかもしれない。
理系の大学、大学院を優秀な成績で出ていて、数学に精通し、金融工学を駆使して高度な金融商品を開発したり、顧客に高付加価値の商品を提案している、といったイメージだ。
ただ、実際に投資銀行の人に会ってみると、良くも悪くも普通の人で拍子抜けした。高度な数学知識を持つ人などほとんどいないのだ。
そもそも、話を聞く限り、彼らのビジネスモデルは非常にシンプルで理解しやすいものだった。
外資系銀行の“ろくでもないビジネス”
要は、彼らは次の3つをやっているに過ぎない。
1つ目は「相場操縦」だ。マーケットに介入し、自分たちが儲かるような相場を作っている。
2つ目は「M&A」。会社を買収し、転売して利益を出す。
3番目は、いろいろなデリバティブ取引を活用して、「低リスク高利回り」をうたうインチキ金融商品を販売すること。
1についてはもちろん法律に触れない範囲でやっているわけだが、誰が見てもグレーな仕事だろう。
2についても、M&Aが本当に経済の役に立っているかどうか疑わしいと私は考えている。もちろん、経営が悪化した会社を買収し、そこに資本やノウハウを注入して再建することはあり得る。
ただ、いわゆる「外資系のハゲタカ」は、そんな面倒くさいことはやらない。バラバラに解体して転売するだけだ。
3つ目についても、「低リスク高利回り」は名ばかりで、実際には「ハイリスクハイリターン」商品だ。
リーマン・ショックはこうしたデリバティブ商品の暴落がきっかけになったので、こうした商品を売ること自体、経済を不安定にする行為だろう。
要するに、3つともろくなビジネスではないということだ。
いわゆる「ハゲタカ」の仕事は、ひと言で言えば詐欺そのものだ。
「非常に優秀なエリート集団」というのも嘘だし、ビジネスモデルも詐欺。
結局、「ハゲタカ」だけが儲かるようになっているわけだ。
『森永卓郎さんが最期まで猛批判していた“日本をダメにした”竹中平蔵の「大罪」と「インチキ」』へ続く。
森永 卓郎(経済アナリスト・獨協大学経済学部教授)