2025年03月18日

「人生」の選択に迷ったら…「思考実験」を「人生の岐路」で用いる方法

「人生」の選択に迷ったら…「思考実験」を「人生の岐路」で用いる方法
3/17(月) 現代ビジネス

「たとえば、全宇宙が1個のバケツだと考えてみたらどうだろう?」
「猫のかわりに人間を入れてみたらどうだろう?」

空間、重力、量子、確率……

目に見えず、手でも触れない未知のものに囲まれている人類は
とりあえずどこかに歩きはじめるため思考実験によってその正体の見当をつけてきた


思考実験とは

自然を拷問にかけ、極限まで追い込んで隠れた真理を「白状」させる行為だ。

仮説をどう立てるかも、設定をどう変えるかも、頭の中では自由自在。

だから思考実験は奇想天外で面白い。

人生の岐路でも役に立つその手法を思考実験の「名作」を通して学ぼう

*本記事は、工学博士でありながら家業の旅館の経営者(現在は旅館の経営は引退)という異色のキャリアをお持ちの榛葉豊氏の著書『思考実験 科学が生まれるとき』(講談社ブルーバックス)を抜粋、編集したものです。

思考実験を人生の岐路で用いるには

進学、就職、結婚、転職、引っ越し、手術など、人生にはさまざまな岐路があります。
受かった大学に入るか、浪人するか、それとも専門学校に進むか。
婚約者とこのまま式を挙げてもいいのだろうか。
余命2年と宣告されたが、リスクの高い手術を受けるべきだろうか。年齢と術後の生活の質を考えると……。

こうした岐路に立たされたとき、予測困難な未来に至るどの道を選ぶか、ほかには道はないのだろうかと迷い悩むのは普通のことです。
科学や人文学での理論や原理の選択と決定、そして法則の確立も、本質的にはそれらと同様です。
実験・観察によって理論を比較検討するステージに入る前に、または、実験ができない場合に、頭の中で行う吟味が思考実験でした。

では科学ではない日常の生活で、選択の問題に直面したときに、思考実験の発想を生かすにはどうしたらよいでしょうか。

考えられるのは以下のような道筋です。それぞれについてみていきましょう。

1.どんな状況か?:経験、観察、調査・情報収集

2.選択肢は何か?:アブダクション、直感

3.何が起こるか?:理系の思考実験、シミュレーション

4.どれが幸せか?:文系の思考実験

5.どれを選ぶか?:意思決定理論


1.どんな状況か?

まずは、自分の置かれている状況をできるだけ的確に認識しなくてはなりません。
そして問題はどういうところにあるのかについて、把握します。
問題解決のための困難がどういう点にあるのかの分析も必要です。

次に、その問題に類似・関連した出来事についての経験・体験を思い出します。
自分自身の体験のほか、自分以外の人や、歴史などからの情報収集も非常に大切です。
科学でいえば、過去の観察事実の収集と分類です。

2.選択肢は何か?

状況を把握したら、どのような対処法がありそうかを考えます。科学でいえば、仮説を立てることに相当します。
そのためには直感に頼ることもよくありますが、「経験の森」から仮説を思いつく、第1章で述べたアブダクションも常套手段です。そのようにして対処法をいくつか見つけ出したら、選択肢として並べます。

効用を最大化する思考実験と意思決定

3.何が起こるか?

選択肢が並べられたら、どの対処法をとると、どのような帰結になるかを予想します。
科学では、この推論が原理を吟味するための思考実験ということになります。
この部分はシミュレーションといったほうが適切なケースもあるでしょう。
思考実験なのか、シミュレーションなのか、どちらの比重が大きいかは、問題によります。
思考実験という色合いが強い場合は、その推論は、設定条件を実際よりも強く極端にしたほうがよい場合が多いでしょう。そのほうが、帰結がはっきりするからです。

4.どれが幸せか?

それぞれの選択肢について、思考実験によってその帰結が推測されたら、その帰結の、あなたにとっての「効用」を検討します。つまりは満足度です。
それは金銭的損得かもしれませんし、主観的幸福度かもしれません。効用は数値化できることもあれば、順位くらいでしか表現できないこともあるでしょう。
いずれにしても、この選択はあなたの問題なのですから、効用は他人や社会にとってではなく、あなたにとってのものでなくてはなりません。
それも、いま選択に迷って思いつめているあなたではなく、選択の結果が明らかになるであろう未来の、あるいはさらにその先の人生でのあなたにとってです。
場合によっては「幸福」というより、自分が信じるものに照らしたときの「納得度」が効用となることもあるかもしれません。

ある選択肢を採用したときの効用がどのようなものになるか考えることは、まさに文系の思考実験そのものです。
あなたが何を求めているのか、あなたはどうなったら幸せなのか。単純な思い込みを排し、状況設定をマッハのいう変化法のようにいろいろと変えて、トロッコ問題のように思考実験をして探究し、浮き彫りにするのです。
ひたすら結婚することを求めていても、あなたにとっての幸せはそこにはないのかもしれません。人生経験を積んだ将来の幸福の基準は、いまとは異なったものになっていることも考えられます。

5.どれを選ぶか?

あなたにとっての効用を吟味したら、いよいよ最終段階です。
いわゆる意思決定理論にもとづいて、選択をすることになります。
複数の選択肢からどれか一つを選び出す意思決定のしかたには、さまざまな決定原理、いわばセオリーがあります。
どのようなものがあるのかを知ることは、あなたの意思決定を出たとこ勝負のヤマ勘ではなく、一定の理論に裏打ちされたものにしてくれます。本書では、意思決定理論のさまざまな方法をご紹介いたします。

*      *      *

はじめから読む<あの時「屋根から転落した瓦職人」がいなければ「人類史上最も偉大な物理学者」は「生まれなかった」かもしれないという「衝撃の事実」>では、アインシュタインの「自由落下するエレベーター」について詳しく解説をしています。


榛葉 豊(工学博士・元旅館経営者)
posted by 小だぬき at 05:34 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ほかの国では考えられない」 日本へ移住した外国人 暮らしてみて驚いた“当たり前”とは

「ほかの国では考えられない」 日本へ移住した外国人 暮らしてみて驚いた“当たり前”とは
3/17(月) Hint-Pot

 世界的に見ても、ユニークな文化を持つ日本。
移住してくる外国人は、どのようなことに驚くのでしょうか。
2024年、外交関係を樹立して60周年を迎えたカリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴ共和国出身のニコラスさんは、日本に住んでトータル6年近くになります。
母国から約1万4400キロ離れた日本を訪れて驚いたことは、なんだったのでしょうか。
 ◇ ◇ ◇
まったく新しいカルチャーに飛び込むためJETに応募

 幼い頃から他国のさまざまなカルチャーを学ぶことが好きだという、トリニダード・トバゴ出身のニコラスさん。
ニコラスさんが日本へ移住したきっかけは、JETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme/語学指導等を行う外国青年招致事業)の存在を知ったことでした。

 地球のほぼ裏側に位置する日本とトリニダード・トバゴですが、日本行きへの迷いは一切なかったといいます。
それというのも、トリニダード・トバゴでは毎週、日本を紹介するドキュメンタリー番組が放送されており、ニコラスさんもよく視聴していました。

 そして、まったく違う文化を持った未知の国である日本に、とても深い関心を抱いていたといいます。
日本を「行きたい国」リストにずいぶん前から入れていたそうです。

「日本はとても遠く、なかなか簡単に行くことができません。JETプログラムへの参加は、本当にマジカルな機会を掴んだと思いました」

日本はゴミの仕分けが細かすぎる?

 こうしてALT(Assistant Language Teacher/外国語指導助手)のサポートをする仕事で、大分県に派遣されたニコラスさん。
ドキュメンタリーを観ていたこともあり、日本の文化にはある程度慣れ親しんでいましたが、日本での暮らしは当初、驚きの連続だったそうです。

「驚いたことは本当にたくさんあって数え切れませんが、ナンバー1はゴミの分別でした。
母国ではゴミを仕分けることがなく、なんでもまとめて捨てていたんです。
しかし、日本ではかなり細かく仕分ける必要があり、捨てる曜日も決まっていることに驚きました」

 多くの外国人が日本での生活で苦労することのひとつといわれるのが、ゴミの分別です。
日本では、自治体ごとに細かなルールは異なりますが、可燃ゴミや不燃ゴミの違いがわからなかったり、指定の袋を使用することを知らなかったりと、トラブルになりがちです。

 また、住んでいる場所によっては、前日の夜に出してはいけないといったルールも。
日本のゴミ分別に関する決まりの厳密さは、世界でもトップクラスだといわれています。
そのため、日本へ来る前にアメリカにも数週間滞在していたニコラスさんでも、戸惑いを隠せませんでした。

「他人のことを思いやる国民性だと思いました」

さらに、日本の交通事情にも驚いたといいます。

「日本には車、バス、電車、自転車などさまざまな交通機関があり、そこまでひどい渋滞が起こらないことにもびっくり。
電車やバスがほぼ遅れずに来るという点は、本当に素晴らしいですね。
母国では、ほとんどの人が車を使います。
自転車に乗る人はほぼいませんし、大人も子どもも歩かず車で移動します。
そのため、どこもかしこも渋滞ばかり。
日本では、通学や買い物のために歩く人が多いことにも驚きました」

 かつては、トリニダード島全域に政府が運営する鉄道がありましたが、1968年にすべて廃止され、現在は車や小型バスでの移動がほとんどだといいます。
車での移動が多いため、クラクションの音が街中に響き渡るのも日常の風景です。

「日本は、本当に静かです! クラクションの音はもちろん、バスや電車の中でうるさく話をする人がいないし、夜になったら掃除機をかけたり、洗濯機を回したりもしない。
法律で決まっているわけではなく暗黙のルールがあり、それを守っている人が多い。
ほかの国では考えられないくらい、他人のことを思いやる国民性だと思いました」

チップがないのに日本の接客はすごい

 そして、やはり驚いたのは、日本のホスピタリティの高さです。
トリニダード・トバゴのホテルやレストランでは、10〜20%程度のチップを渡す必要があります。
一方、日本ではチップ文化がないにもかかわらず、素晴らしい接客を受けることができることに感激したそう。

「ファストフード店ですらも、日本は接客が素晴らしい。チップがないのに、こんなにいいサービスを受けられるなんて、日本以外にはないと思います。
驚いたといえば、レストランで店員さんを呼ぶときに、他国なら『すみません!』とアピールする必要があります。しかし、日本では呼び出しボタンを押せばいいだけの店が多いことにびっくり。初めてそのシステムを見たときは、信じられませんでした」

 日本人にとっては当たり前のサービスでも、ニコラスさんが驚いたことはほかにも。

「コンビニエンスストアで税金が支払えるシステムが整備されている点も、驚きでした。
母国では、役所などに行かないと税金が払えないんです。日本では光熱費など、なんでもコンビニで支払えて、本当に便利だと思いました」

 日本の利便性の高さに、移住早々から度肝を抜かれていたというニコラスさん。

和栗 恵
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする