「若い時は重宝したけど…」年齢を重ねて感じるようになった“夜行バスの欠点”「翌日使い物にならない」「隣席ガチャに外れたら」…お得さを取るか、リスクを避けるか
3/19(水) マネーポストWEB
物価高で燃料費や人件費の高騰などもあり、「夜行バス」にもじわじわと値上げの波が押し寄せている。
とはいえ、まだまだ新幹線や飛行機よりも安く長距離移動ができる手段として、重宝されている。
夜に出発して翌朝に目的地に到着するため、現地での時間を最大限活用できることもメリットの一つだ。
特にお金のない学生時代にお世話になった人は多いだろうが、そんな人たちも社会人になって夜行バスから遠ざかるようになったケースは少なくないようだ。
年齢を重ねることで気になるようになった、夜行バスの“欠点”とは、一体何か。
遊ぶ時間よりも、睡眠の質を重視したい
東京都在住のTさん(30代男性)は、学生時代に北は北海道から南は九州と、日本全国を巡るのが趣味だった。
夜行バスにもよくお世話になったというが、「今はもう夜行バスに乗れない」と言う。
大きな理由は「体力」の問題。
「学生時代の貧乏旅行で、月に一度は乗っていました。
例えば函館まで新幹線だと2万3000円ほどかかりますが、夜行バスなら7000円ぐらいと激安。
しかも深夜に新宿を出発して、寝ている間に現地に到着しているので、時間も効率よく使えます。
当時は現地に朝7時に到着して、そこからまた次の深夜バスが出る23時ぐらいまで目一杯遊ぶ気力と体力がありました。
でも30歳を過ぎると、夜行バスの座席で寝るのはキツイ」(Tさん)
時間的な意味合いでいえば学生のほうが時間に余裕があり、社会人は限られた時間を効率的に使いたいはずだが、Tさんは、「遊ぶ時間の多さよりも、睡眠の質を確保したい」という。
「夜行バスは座席をリクライニングして寝ることになりますが、起きたら腰が痛むようになりました。
学生時代はバスの座席でも熟睡できて、体力も普通に回復していた感じがありましたが、今はもう無理ですね。
寝る時は布団で寝たい。お金を払ってでも、ゆっくりとしたスケジュールで旅行したいです」(同前)
結局、新幹線を使ったほうが安くついた!?
埼玉県在住のIさん(30代女性)は、「案外コスパが良くないことに気づいてしまった」と持論を述べる。
「タイパは良いと思うんですけどね……」と、夜行バスの“費用対効果”に疑問を抱くようになったというが、どういうことか。
「タイパについては、睡眠がそのまま移動時間になるので、時間当たりの移動距離の効率はかなりいいと思います。
でも、コスパの面が微妙な気がしていて。
たとえば私の住んでいる大宮から大阪まで最安で5000〜6000円台、高いと1万円ぐらいします。やっぱり安いのは平日。
でも、私のような会社勤めだと結局休日にしか使えず、安さの恩恵をMAXでは受けられない。
さらに、土日を使って夜行バスで旅行すると、月曜日の自分が使い物にならず、仕事の効率が極端に下がるんですよね」
最近USJに遊びに行き、久しぶりに夜行バスを利用したというIさんが、その「翌日」の自分を振り返る。
「閉園が21時で、新幹線の最終便が21時15分。ギリギリまでいたいとなると間に合わないので、夜行バスを使うことを思いついたんです。
夜行バスなら、22時ぐらいの大阪発があって、閉園までいられるし、その後も少し大阪グルメを楽しめると思い、めちゃくちゃメリットあるなぁと思いました。
でも、翌日は仕事。
疲れすぎてマッサージに行き、7000円払った時には、『夜行バスで1万円、マッサージ代で7000円……。
こんなことなら、東京から大阪までの新幹線代1万5000円のほうが安かった』と後悔したんですよね。
その教訓をもとに、今では体力任せのスケジュールは組みません」(Iさん)
「隣席ガチャ」を恐れる人も
東京都在住のSさん(40代男性)は、海外で長距離バスをよく利用してきたため、夜行バスにも抵抗がなく、20代の頃、関西での単身赴任中は頻繁に使っていた。
しかしある時から、「隣に知らない人がいるのが気になるようになった」という。何があったのか。
「夜行バスはお金も時間も節約できるし、もともと長距離バスが好きだったので、むしろ自分は夜行バスに向いていると思っていました。
でもある時、隣り合わせになった乗客の男性が、ものすごく貧乏ゆすりをするタイプで……。気にしないようにしようと思って視界に入れないようにしたり、音楽を聴いたりしても、微妙な振動が伝わってきて、ものすごくイライラした時間を過ごしてしまったんです」
隣の人を選べないのが夜行バス。その後もSさんは隣人にも悩まされた。
「イビキをかく人は珍しくないですし、靴を脱いだ時の足のニオイ問題もありました。
もちろん自分だって誰かの不快な原因になっているかもしれないですし、お互い様ですよね。
ただ決定打は、何かゲームをしながらずっと独り言を言っている人でした……。
一睡もできず朝を迎えた時の疲労感がすごかった。“隣席ガチャ”がちょっとトラウマになりました。
若い頃は気にならなかったのですが、年齢を重ねると、夜は気持ちも体も休めたいのに、隣で誰かが活動していると、ぜんぜん休めない。
毎回ではありませんが、安さをとるか、そうした隣席ガチャのリスクを取るか。最近はリスクを取りたくないので、あまり使わなくなりました」(Sさん)
ただし、Sさんは「夜、高速道路を走るバス移動は好きなので、たまに乗りたくなる」といい、「座席が広かったり、個室感があったりするラグジュアリーな高速バスには興味がある」とも。
お財布だけでなく、身体との相談も必要な夜行バス。それぞれの思い出があるようだ。