非合法時代の日本共産党員で特高(思想警察)に拷問死させられた 小林多喜二氏の「蟹工船」が文庫・マンガで広く読まれているとのこと。
私も学生時代に読み、マンガ版も今日読んだのですが、現代に通じる問題提起の書として 広く読まれるのも納得ですが、最後の一章が問題にならないのはオカシイと思います。
###########################
「蟹工船」は、大きく3つのテーマで書かれていると思います。
@当時の劣悪な労働環境と労働条件(搾取のひどさ)→現派遣労働・期間労働・日雇い労働・パート労働者の雇用と労働条件に通じるものがある。
A圧政ともいえる雇用者に対して、労働条件や労働環境を改善させるためには、一人一人の心の弱さを克服し団結して闘わなければ 労働者に勝ち目はないこと→労働組合の在り方・意義
B労働者が国民の味方と信じていた 帝国海軍駆逐艦により労働者が弾圧されたこと。
###########################
@とAについては、素直に読み続けられると思うのですが、重視したいのはBの「国民・労働者を守る軍」と信じたものに弾圧され裏切られた部分です。
今日、本屋に行ったら 前航空幕僚長の田母~氏の本が店頭に並んでいましたが、興味を持って立ち読みしたものの やはり買うに値しないと思いました(軍の本質にふれていない)。
もし、私のブログを自衛隊員の方が読んで下さっているのなら、「蟹工船」と同じような状況の時、海上自衛隊の艦船はどのような処置をするのだろうか・・・・・という問題です。
前統合幕僚監部の事務局長をしていた海原治さんは、確か「国防論」の中で 国民を守るのではなく国家体制を守るのだと、断言していました。(これも一つの見識でしょう)
今の自衛隊が「国民を守るのか」「国家体制を守るのか」を 「国防論」以外明確にした政治家も官僚も記憶にある限りはいません。
いまこそ「蟹工船」の労働者が 錯覚とはいえ 「私たち国民の軍」と信じたような組織か、錯覚ではなく「国民の軍」として「自衛隊」があるのか 考えてみたいものです。
2008年12月10日
この記事へのコメント
私の父の愛読書でもあった「蟹工船」。父は、労働組合運動の大切さを唱え続け、退職寸前まで、組合員を通しました。臨採時代から苦労を重ね、病気とも闘いながら、仕事を続け、家族を守ってきたのです。だから、私も、組合に入ったし、組織策動とも闘ったんです。すべてに行き詰まりを感じている昨今、やはり、根底には、富(物心両面、人間らしい豊かな生活)でしょう。これがなければ、生きていたって価値がないです。私は、障害を抱えてしまったけれど、人間らしい付き合いが出来る世の中にしたいから、町内会にも首を深く突っ込んでいます。だから、暗い世の中の風潮に、明るい側面も見いだしています。
Posted by parmerhuse at 2008年12月11日 08:28
parmerhuseさん、ありがとうございます。今回の不況をきっかけに派遣・期間労働者の組合ができたことは、長い間低迷してきた組合活動の刺激になると思います。私も初任から32年間の組合員生活でした。組合が一人一人の労働条件に対応できる柔軟な組織に生まれ変われることを期待するものです。今は、なだいなださんの「老人党」のHPとメルマガの読者として「自分のできること」を摸索しています。
Posted by 小だぬき at 2008年12月11日 10:37
コメントを書く
この記事へのトラックバック