ダイヤモンド社のHPで「うつ病」についての連載特集がありました。
初歩的なことから「症状」のでかたの個人ごとの違いも分かりやすく紹介しています。
経済誌ということで雑誌を手にしたのは「教育特集」だけだったのが もったいないほどの分かり易さです。
バックナンバーは
http://diamond.jp/series/izumiya/bn.html です。
【第10回】 2009年02月26日 (一部分の紹介です)
クスリに頼るのは悪いこと?――「抗うつ薬」の効用と限界
――「うつ」にまつわる誤解 その(10)
しかし、実際の「うつ」の治療においては、これらのクスリが良く効くタイプの方もあれば、ほとんど効果が生じない方もあります。第5回でも触れたことですが、近年「うつ病」の診断が下される病態の範囲がかなり広がってきてしまっていることが、その背景として大いに考えられます。
大まかに言いますと、「内因性うつ病」や「躁うつ病」といった、旧来「うつ病」と診断されていたタイプの方たちにはかなり薬物療法が有効で、不可欠なことが多いようです。
しかし、「適応障害」や「パーソナリティ障害」などがベースにあるような、新しく「うつ」と診断されるようになった病態の方たちの場合には、薬物療法で期待できるのはごく限定的な効果にとどまり、むしろ精神療法等によるアプローチが不可欠であると考えられるのです。
脳内物質のアンバランスが、
「うつ」の「原因」なのか?
さて、先ほども触れた脳内物質のアンバランスが「うつ」の原因であるという説について、ここで1つだけどうしても論じておかなければならないことがあります。それは、脳内物質のアンバランスを「うつ」の原因と言って良いのだろうかという問題です。確かに、脳化学的な研究や薬理学的な研究では、そのような「アンバランス」が確認もしくは想定されるでしょう。しかし、これはあくまで現段階の科学で観察され得る物質レベルの「現象」に過ぎず、正確に言えば「中間現象」に過ぎないのではないかと思うのです。「うつ病」や「うつ状態」は、決して先天性疾患ではありませんから、なぜある時までは正常に機能していたのに、急に「アンバランス」が生じたのかと考えると、その「アンバランス」をひき起した「何物か」をこそ、真に「原因」と呼ぶべきではないだろうかと私は考えるのです。
ですから、「アンバランス」を薬物療法によって整える作業は、厳密に言えば「うつ」という状態に対しての対症療法なのであって、「うつ」をひき起こした何らかの根源に対する根治療法とは言えないわけです。
この真の原因としての「何物か」は、第4回でも触れましたが、その人の生き方に関わる深い次元での見直しを迫るメッセージを含んでいるもので、各人各様の内容を負ったものと考えられます。
その次元に向けてアプローチを行なって根本的解決を目指す精神療法と、症状を軽減して療養しやすくすることで治癒力の発現を助ける薬物療法とを、それぞれの目的と限界を把握したうえで、病態や状態に合わせて上手に活用することが治療として大切なスタンスだろうと思います。
ですから、「クスリさえ飲んでいれば良い」という考え方も「クスリには意味がない」という意見も、いずれも偏った認識なのであり、そのような極論に振り回されてしまうことは危険なことだと言えるでしょう。
私は大部勇気づけられました。
精神世界は目に見えないだけに「臨床医」の現場での苦労と患者としての自己申告の重要性がわかりました。
いい医者というのは、どんな医者なのか患者の立場では分かりにくいだけに 現場の苦労を本音で語ってくれる医者に出会うと嬉しくなります。