学校の週5日制は、そもそもが教育行政・組合から要求のあったものでもないのです。
海外と日本の労働時間の差が国際的に問題になり、旧労働省と通産省などが 教員の時間労働を名目40時間にしろと 圧力をかけたことに端を発します。
当時は 行政と組合とも主張は違いますが、反対で足並みを揃え、完全実施を先延ばしにする抵抗をしました。
文部省・日教組で共通した反対論拠は、教育と労働条件は別に捉えるべきだということと「平日の児童の時間割に無理がくる」という点です。
今、批判されている「ゆとり教育」も 週5日制に対応して学習内容を基礎的部分の習熟・徹底に置くというものでした。
教員側も1日の労働時間増加とサービス残業で「過労死」や「自殺」に追い込まれた例もあります。土曜日の運動部の練習や遠征・対外試合の常態化も起こっています。
出来れば、すぐにではなくとも週6日制に戻し、平日の会議・出張などを減らし 放課後のゆとりを確保した方が 教育現場としては助かることだとは 教員なら思っています。
本当に必要な基礎、国語力の向上を目指して 行政の研修出張や報告文書の精選、行事の参加要請などの見直しを一緒にしなければ、教育改悪になりかねません。
しつけは 家庭・地域の再生で、学校は学習一本に特化させていかなければ いずれパンクするのは明かです。
毎年の国・県・市の委嘱研究なるものが、全国に共有されないシステム欠陥も 教員の悩みの一つです。本来教育が全国の教員に共有されていれば類似研究を無くすことに貢献できるのですが、国の施策に反映されません。
週2日休日制の家庭に戻す、地域に子どもを解放する、などが破綻していることは明かです。
この問題は 国家の未来を左右する子ども・生徒・青年の教育を 原点に立ち返り 現場の声を尊重して行かなければ 政争の具にされるだけです。
学校施設、教員、教具、家庭・地域の教育力、行政の在り方などの抜本的見直しが必要なことです。
橋下知事などの発言が 行政や教員改革のみに終わり、そもそもの無理が文科省施策ではなく「労働時間」というILOや旧労働省・通産省の要請に、教育の改革思考なく建前上の労働時間短縮で教育過程を変更したことの膿が今吹き出しています。
この問題で 組合批判をする人がいますが、組合の方針は 30人学級にして 責任を持って教えきる体制をとか 今の超過勤務の内実が本来の「教育職」としてのものかを問題の柱にしているものであることだけは、曇なき目で見て欲しいと 元職としておもうのです。
2010年10月26日
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