サカイク:
子どもを「怒る」と「しかる」の違いを理解する
2011年12月19日 毎日新聞
「もう、何やってんのー!」「何度同じことを教えたら、できるようになるんだよ!」など、子どもを怒鳴ったりしていませんか?
自分はしかっているつもりですが、これって本当に子どもに伝わっているのでしょうか?
「怒る」と「しかる」を辞書で調べてみると類語として扱われています。しかし、コミュニケーションの上では、この2つは大きく違うものなのです。
その違いをしっかり理解して、正しい「しかり方」をマスターしましょう!
■「怒る」ではコミュニケーションは成り立たない
コミュニケーションとは、人と人が互いに意見・感情・思考を伝達し合うことです。
サッカーの練習や試合中など、ついつい気持ちが入ってしまい、指導者や親が子どもを怒鳴ることはよくあることですが、怒鳴るとは文字通り「怒る」こと。
自分が怒っている時のことを思い出してください。怒っている時は、誰かまたは何かに腹を立てているときではありませんか?
「怒る」とは、相手に自分の感情をぶつけていること。自分の感情を一方的に吐き出すだけで、自分の意見、思考を伝えることは難しく何も答えは得られません。
一方、「しかる」とは、相手を正しい方向へ導くために何が良くないのかを気付かせることです。なので、もし相手が何も気が付かないなら、それは「しかる」ではないのです。
しかったことで相手が自分の悪かった点に気付き、もう同じことをしないと思えることが「しかる」というコミュニケーションです。
自分の気持ちを相手に伝えるために「しかる」ことは、コミュニケーションのひとつですが、「怒る」という行為では、コミュニケーションは成り立ちません。厳しく指導をすること=怒るではないですし、ほめて育てる
=甘やかすことでもありません。
【「怒る」と「しかる」の違い】
×怒る=相手に自分の感情をぶつける
○しかる=相手に成長・改善の気づき・機会を与える
■ポジティブな表現が成功の秘訣
人には感情ではどうすることもできない “潜在意識”があります。
試合で「ミスをするな!」「負けるな!」という声かけは、潜在意識にとっては「ミスをしろ」「負けろ」の同義語。
「ミス」「負ける」というネガティブな言葉が潜在意識に入り込むと、脳では「ミスをする」「負ける」というイメージが作られ、頑張ろうという気持ち(感情)とは裏腹に、潜在意識が失敗へと導いてしまうのです。
ですから、子どもたちには常に「勝利」や「成功」をイメージさせましょう。周囲や本人がポジティブな表現を発していれば、潜在意識の中に成功のメカニズムが出来上がり、よい結果を生むことができるようになります。
<<おまけ>>
お父さん・お母さんが子どもの頃の学校には<廊下を走るな!>という張り紙がはってありませんでしたか? 走るなと言われているけれど、廊下を走り、しかられた経験がある人も多いのではないでしょうか?
今の学校では潜在意識に作用させるように<廊下は静かに歩きましょう>と貼られているそうですよ。
サカイク:
子どもに自分で考えさせる上手な「しかり方」
■しかる時にはまず始めに、自分の怒りを静める
「しかる」の目的は、相手に問題点に対する「気付き」の機会を与え、改めさせること。
例えば、試合でミスをした時「何でいつも同じミスをするんだ!」と言っても、ミスをしたことは自分でも十分承知しているので「そんなこと、わかってんだよ!」と逆に腹を立てられてしまいます。
「しかる」の第一歩は、相手の状況を受け入れること。相手の状況を受け入れることで、感情的に「怒る」ことはなく、冷静に「しかる」ことができます。
いつもと同じミスをしてしまったということを理解した上で、「どうした、お前らしくないミスだな」と言えば、相手は問題を受け入れ、「集中力が切れてしまって……」などとミスに対する原因を考え、「次からは大丈夫です」と改めることができます。
逆に、「何やってんだ!?」などミスをした結果に対して言われても、相手はその結果をどうすることもできません。
それでは建設的なコミュニケーションにはつながらないのです。
【良いしかり方】
●コーチ:どうもミスのパターンが同じだな。どうした?
●コーチ:そうか……じゃあ一緒に練習で改善していこうな。
【良くないしかり方】
●選手:そんなこと言われなくても分かってるし!(シャットアウト)
■他の人との比較はNG
「しかる」時は、ミスをしたことではなく、ミスを反省しない姿勢、他人のせいにしている姿勢、ミスを起こしたことに気づいていないことなどを指摘します。
決してミスをしたという結果について、あれこれ言ってはいけません。
また、「○○君だったらあんなミスはしないのに」や「○○君がシュートしていたら勝てたな〜」などと、他の人と比較しては絶対にダメ。
特に他の選手がいるところで、比較をしてしまうと、チームワークや信頼関係を崩す原因にもなります。
ミスが起きるのはチャレンジした結果と受け止め、チャレンジしたということはほめます。
そして、失敗から学び、はい上がってくるのを待ちましょう。
また、性格的欠点や人格を否定することもNGです。相手は感情的に拒絶してしまい聞く耳を持てなくなってしまいます。
<<おまけ>>
●こんな言葉は気を付けましょう!
■I messageで話をする
ミスに対して、「私はこう思うんだけど、あなたはどう思う?」などと、相手に答えを求められる話し方をされると、「どうだろう?」と考えることができ、「そうか!」と原因に気づくことができます。
また、相手に伝えたいことは自分を主語にして話すことを『I message』と言います。
例えば、「何回同じミスをするんだ!」と言うより、「同じミスを繰り返さないようにしてほしいと、私は思っているんだよ。どうすればミスをなくすことができるかなぁ?」と言われると、素直に受け入れることができます。
さらに、I messageで話すと相手が同じミスを何度も起こすのは、自分の教え方に問題があるのではないか? などと、相手をしかる原因が、実は指導力不足など別の原因にあることに気づくこともよくあります。
「しかる」という行為は、励ましの延長にあります。子どもだからと上から目線にならず、同じ目線に立ち、間違いについてはしかり、問題に気づかせ、良い方向へ導けるようにしていきたいですね。
【取材協力】WACアカデミー//さまざまなチームや団体・企業向けに、前向きに積極的に取り組む姿勢を育てる「ポジティブ・シンキング」・「ロジカル・シンキング」両面をバランス良く鍛え、組織やチームの人間関係・信頼関係を築くためのコミュニケーション・セミナーや講座を提供している。

