毎日新聞 2012年2月14日 東京地方版
内容はさまざまだが、中でも多いのが「子ども時代に両親から愛情を受けられなかった」という話。きょうだいで自分だけが差別されていた、父親の暴力におびえていた、母親から「あんたなんていないほうがよかった」と何度も言われた……。いずれも読むのもつらくなるような過酷な体験談だ。
もちろん、診察室でもそういった話をする人は少なくない。30代、40代になっても「つらかった子ども時代」の記憶が消えず、現在の仕事や人間関係にもマイナスの影響を与えている場合も少なくない。
子ども時代が幸福じゃなかった。家族の愛に恵まれなかった。これは、たしかにとてもつらいことだ。
そして、次にこう言う。
これは気休めではない。たしかに過去はやりなおしがきかないが、学生や社会人になってから友だちや先輩ができて、自分のよいところを認めてくれるとか、「あなたが必要だよ」と言ってくれるとか、そういった経験を積み重ねていけば、必ず心の中にぽっかりあいた穴は埋まっていくはずなのだ。
「そうか、私ってダメな子、いらない子じゃないんだ」と少しずつ自信を取り戻していくことができれば、ますます友だちは増えていく。大事な仕事をまかせられるようにもなる。そうするといつの間にか、「子ども時代のイヤな思い出のことは、もうこだわらなくてもいいかな」と心が軽くなってくるはずだ。ときには「あのつらい日々があったからこそ、こうやって人を助ける仕事につきたいと思ったんだな」と、自分の過去にプラスの意味を見つける人もいる。
不幸な過去で心にあいた穴は、必ず自分で埋められる。これが、精神科医としてあるいは教員としての、私の信念だ。穴埋め作業、いっしょにやっていきましょう。


>不幸な過去で心にあいた穴は、必ず自分で埋められる
この「自分で」が大切な部分でしょうか?
一時「くれない族」という言葉がありましたが、他人さまを頼りにはできないですね。
勿論、相談相手としては大切な存在ですけど・・・。
仏教でも「自灯明・法灯明」という教えがありますが、同じような事を教えていただいています。
最近、「モラルハラスメント」と言う言葉を聞きます。
これもどう捉えるかは、自分の問題でしかないのでしょうね?
曹洞宗が菩提寺の宗教なので 般若心軽を読みな直すのですが、「再起できると信じるしかんい」「その立場、環境で踏ん張るしかない」・・。難しいことです。