2012年07月05日

生活保護、障害年金 受給者の苦悩に配慮を

香山リカのココロの万華鏡:
受給者の苦悩に配慮を
毎日新聞 2012年07月03日 東京地方版

 神奈川県では、生活保護をめぐる連絡会が発足、不正受給の撲滅を目指すという。行政と県警がタッグを組んで不正受給をなくすシステムを作っていくそうだ。


 「たしかに不正受給は問題だけどね」と、こういう話題を耳にすると気持ちがめいってしまう。

実は私の診察室でもすでに何人かが、「障害年金をもらっているがやめたいと思う」「休職中だが今月は傷病手当の申請を辞退したい」などと言い出しているのだ。

親族が生活保護を受給し、自分もいま病気で仕事につくことができないある患者さんは、「やっぱり親族ですから私が仕送りすべきですよね。本当に情けない」と涙を浮かべた。


 みんなそれ以外の方法がなく、ギリギリの生活を保つために、年金や手当をもらっている人たちだ。
断じて不正受給などではない。「あなたの場合、堂々ともらっていいんですよ」などと励ましてみるが、まじめな彼らは首を横に振る。

「だって国の財政もたいへんで消費税を上げようという中、私が公的なお金をいただくのは、申し訳なさすぎますよ。
テレビで不正受給の話題が取り上げられるたび、自分が責められているようで身の置きどころがなくなります」

 私が知っている生活保護や障害年金の受給者は、みなこのような人たちなのだ。

一部で伝えられているような、「生活保護なのに外車を乗り回している」「福祉課の職員を脅迫して申請している」といった例がいったいどこにいるのか、と言いたいくらいだ。


 もし、彼らが役所の窓口に行って「今月でもうけっこうです」と受け取りを辞退したら、その先はどうなるのだろう。
「やる気になればどんな仕事でもあるはず」などと言うのは、健康や人間関係に恵まれている人の発想なのではないか。


 「気持ちはよくわかりました。でも、働けるようになるまでにはもう少しだけ時間がかかります。
それまでは生活保護でしっかり自分の生活を守ってください。

安心して療養に専念してください。世の中への恩返しは、元気になってからでもいいじゃないですか」。
社会からの支えを借りても生き続けるように
、と必死に励ますが、「はあ、そうですか」と答える彼らの笑顔はどことなく力ない。

不正受給を取り締まるのも必要かもしれないが、本当に必要なのに社会的サービスが行きわたっていない人を見つける、というシステムも作ってほしい。

世の中には「誰の迷惑にもなりたくない」と最低限のレベルの生活さえ送れないまま生きている人が、想像よりたくさんいるのだ。

posted by 小だぬき at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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