毎日新聞 2012年03月16日 東京朝刊
◇「職場内の優位性を背景に、精神的・身体的苦痛を与え、職場環境を悪化させる行為」
業務上の適切な指導か、度を超えた嫌がらせか−−。
性的な嫌がらせ(セクシュアルハラスメント=セクハラ)と異なり、判断が難しく、防止のための対策が十分に浸透しているとはいえない職場のパワーハラスメント(パワハラ)。
厚生労働省の作業部会は1月末、職場のパワハラについての報告書をまとめ、政府として初めてパワハラの定義を打ち出した。
全国で急増しているパワハラの防止対策の一歩になるか、注目される。【水戸健一】
厚労省は、職場のいじめや嫌がらせの対策を検討する有識者会議を昨年7月に設置した。その作業部会が今年1月、「職場のパワハラ」について、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える、職場環境を悪化させる行為」と初めて定義した。
また、パワハラ行為を明確にするため、
(1)暴行、傷害(身体的な攻撃)
(2)脅迫、暴言(精神的な攻撃)
(3)隔離、無視(人間関係からの切り離し)
(4)過大な要求
(5)過小な要求
(6)私的なことに過度に立ち入る個の侵害−−の六つに類型。
(4)、(5)、(6)については、業界や企業の文化で業務上の適正な指導との線引きが必ずしも容易でないとして、各職場で認識をそろえる取り組みを行うよう促している。