2012年07月06日

「マインドコントロール=自由意思の選択」論は誤りと弁護士

「マインドコントロール=自由意思の選択」論は誤りと弁護士
※週刊ポスト2012年7月13日号

【書評】
『2時間でいまがわかる! マインド・コントロール』(紀藤正樹/アスコム/1000円)


【評者】香山リカ(精神科医)
* * *
 最近もマインドコントロールをめぐる問題が次々、起きている。
占い師の言うなりだったという人気芸人「オセロ」の中島知子、逮捕されてもいまだに教祖・麻原に帰依しているオウム真理教の高橋克也容疑者らが話題だ。


 こういう話題が出ると、テレビには「彼らは自由意思で選択したのだから、マインドコントロールではない」と主張する識者が出てくる。

しかし、その人たちは正しくこの問題を理解していない、とこれまで弁護士として多くの被害者を救済してきた著者は憤りを隠さない。


 支配する側とされる側に上下関係、力関係が存在し、法規範や社会規範から逸脱した影響力の行使が認められれば、それはマインドコントロールと言える、という法の専門家ならではの明快な定義に私ははっとした。

心の専門家である私は、どうしても「信じる側の心の問題」も考慮してしまい、「本人がそれでよいなら」などと考えがちだからだ。


 著者はマインドコントロールの具体例をあげながら「必要なのは法的規制」と主張する。
フランスには「無知・脆弱性不法利用罪」があり、たとえばカルトの構成員がマインドコントロールにより支配され被害者的な立場にあるなら、それだけで教祖の行為を不法と見なすことができるそうだ。


 こういった法律がない日本では、いくら家族から「ウチの子はマインドコントロールでおかしな宗教に入ってしまったのです。
入院させて助けてください」と頼まれても、そこに重大な疾患がなければ私たち精神科医は無理やりその子を教団から引き離すことはできない。

実際にそうして逆に「強制的な監禁だ」と教団から訴えられ、精神科医側が敗訴した例もあるのだ。


 さらに、著者は日本の既存宗教に対しても、「魂の救済にコミットしていないことを猛省せよ」と呼びかける。

深い悩みごとを抱え、誰かに話したい、決めてもらいたいという人たちは多い。
彼らにこたえるべきは、精神科医か宗教者か、はたまた……。考えさせられることが多い一冊だ。

posted by 小だぬき at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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