2012年09月07日

出生前診断 命の選別にならぬよう

出生前診断 命の選別にならぬよう
2012年9月6日 東京新聞社説

妊婦の血液で胎児にダウン症などの染色体異常があるか分かる新しい出生前診断が試験的に始まる。
高精度で妊婦に負担をかけずに診断できるが、かえって安易に使われる懸念が強い。


新検査法は簡単に診断できる。
血液中の胎児のDNAを調べ、ダウン症などの原因となる染色体異常の有無を調べる。
妊娠十週から可能で、精度は99%以上という。


 国立成育医療研究センターなど一部の医療機関が九月にも、臨床研究として実施する。
参加施設全体で二年間で約千人を検査する。


 検査は、早く異常を見つけ治療に役立てたり、養育の準備のためだが、従来より高精度で容易な検査だけに安易な拡大を危ぶむ。


 三十五歳以上の妊婦だと染色体異常のリスクが高まる。
晩産化で検査のニーズは増えるだろう。
だが、障害を理由に人工妊娠中絶が増えては、命の選別につながる。
母体保護法は中絶の条件に胎児の異常は認めていない。


 日本産科婦人科学会や日本ダウン症協会も安易な実施には強い懸念を表明した。当然だ。


 臨床研究には、外国で導入が進むこの検査法が日本で普及する前に、専門家が管理する実施ルールをつくる狙いがある。


 専門外来の設置やカウンセリングを合わせて実施するという。慎重に進めてもらいたい。
ただ、実施体制を整えるには課題も多い。


 出産を控えた夫婦には検査の意味や、結果の丁寧なカウンセリングが必要だ。

ダウン症でも出産、養育につながるように障害や社会の養育支援について十分に理解してもらうことも重要になる。

 カウンセリングを担う専門医は産婦人科医では全国に百四十人ほどで、人材育成は急務である。


 実施体制の整備にはスピードも求められている。
現状は技術の進歩に規制が追いついていない。
小宮山洋子厚生労働相は学会に実施指針の策定を求めたが、生殖医療に関する法整備も不十分だ。出生前診断は生命倫理の問題である。診断のあり方や適用基準を考える幅広い議論を期待したい。


 ダウン症児の養育への不安は理解できるが、実際に産み育てている家庭は障害を多様性の一つとして前向きにとらえている。


 プロゴルファーの東尾理子さんは「どんな赤ちゃんでも幸せ。
障害は特別なことではない」とダウン症児の可能性のある出産を決めている。

夫婦が納得して出産できる支援を整えるべきだ。

 
posted by 小だぬき at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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