2012年09月17日

「あそんでぼくらは人間になる〜子どもにとって遊びとは」

放送批評懇談会が選ぶベスト番組【ギャラクシー賞月間賞】
遊んで学ぶ、子どもの1年〜テレビ新広島
「あそんでぼくらは人間になる〜子どもにとって遊びとは」
(GALAC 2012年10月号掲載) 2012年9月16日(日)配信

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
「あそんでぼくらは人間になる〜子どもにとって遊びとは」
7月4日放送 26:15〜27:10
テレビ新広島

4歳〜6歳頃の子どもの遊びは、見ていても実に楽しい。
何故か小学校に上がってしまうとつまらない。
「はじめてのおつかい」(日本テレビ)などの傑作番組はこの年齢の子どもたちだ。

5、6歳などとアバウトに言おうものなら、5歳と6歳とでは大違いですと「6さいのばらーど(みんなのうた)」の女の子から厳しい抗議を受けるかもしれない。


その幼稚園の年少組を1年間、丁寧に見つめたのがこの番組だ。
屋根登り、泥んこ遊び、独楽回し、長なわとび、枯れ葉遊び、挑戦する遊びには事欠かない。
裏の2000m2の急斜面の怖い森は、やがて遊びの楽園に変貌する。
遊びの名人は英雄だ。
負けてたまるか、悔し涙もあふれ、嫉妬も生まれる。
応援団も生まれ、気遣い名人、面倒見の良い子も現れる。

年少組の男の子は、派手な殴り合いの喧嘩をする。
精一杯悪態もつくが単純で仲直りも早い。

年長組の女の子は、そうはいかない。
口が立つ。感情表現が複雑だ。
しかし、一方の「ごめんね」という言葉で、その場は収まる。
先生はなるべく介入しない方針だ。


秋の運動会には、体力の他に知恵とクラスの団結力が試される。
遊び以外のそんなイベントには興味を示さない子どもたちに、先生はずるく、グループに分け競争意識を仕掛ける。
その手にまんまと乗った子どもたちは、次々と知恵を出し、指先の器用な子を中心に全員で段ボールの高層タワー作りに挑む。
これもとびきり楽しいゲームだ。運動会は大盛況だ。


楓が真っ赤に色づき、やがて雪も降り、季節がめぐり、遊びも続く。
卒園式では、賢そうな面構えになった年長組が、年少、年中組を前に、とっておきの遊びの極意を披露して幼稚園を去っていく。
そして、翌月の幼稚園の入り口には、ママ!ママ!と泣き叫ぶ次の年少組が現れる。
……この子らとて、思春期のとば口に立つ頃には、陰惨ないじめに遭遇したりするのだろうか。                
                               (河野尚行)

posted by 小だぬき at 14:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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