2012年09月25日

平和国家は「柳に雪折れなし」の外交で、譲らず、理を説いてほしい

天声人語
2012.9.25   朝日新聞

 40年前のきょう、当時の田中角栄首相は北京へ発った。
毛沢東主席、周恩来首相と会談をこなし、中国との国交関係を回復したのは9月29日のことだ。
歴史的な訪中の前日、田中は東京西郊にある高碕(たかさき)達之助の墓前に参じている

▼日中友好の井戸を掘った日本人として、真っ先に名前のあがる人物だ。
実業家にして政治家で、周恩来との間に信頼と友情を育み、国交正常化への道をつけた。
いま泉下(せんか)で、角突き合わせる両国を何と見ていよう

▼北京で開催予定だった国交40年の記念式典が事実上中止になった。
節目節目に開かれてきたが、取りやめは初めてだ。
他の交流事業や催しも相次いで中止、延期になっている。
先人が掘り、後続が深めた井戸の水位が、みるみる下がりつつある

▼本紙が両国で行った世論調査で、日本の9割、中国の8割が「日中はうまくいっていない」と答えた。
中国での調査は尖閣諸島の国有化前だから、今はさらに悪化していよう。
どちらの政府も弱腰批判が痛手になりかねない

▼きょうは中国の文豪、魯迅(ろじん)が生まれた日でもある。
魯迅といえば「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」の一節が名高い。
日中の井戸も、戦後の荒野についた道のようなものだ。営々と時をかけて太くなってきた

▼すぐ指をポキポキ鳴らしたがる大国は厄介だが、平和国家は「柳に雪折れなし」の外交で、譲らず、理を説いてほしい。
勇ましい声に引きずられると、井戸は涸(か)れて火柱が立つ。

posted by 小だぬき at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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