2012年11月17日

衆院解散・総選挙 政権枠組み、視界不良

クローズアップ2012:衆院解散・総選挙 政権枠組み、視界不良

毎日新聞 2012年11月17日 東京朝刊

 与野党は16日、衆院解散を受け、事実上の選挙戦に入った。
民主党は政権批判の高まりに加え、解散当日も離党の動きが止まらず、防戦に追われる。
一方、自民、公明両党は政権奪還へと気勢を上げ、対照的な幕開けとなった。
日本維新の会など「第三極」勢力は共倒れを避けようと、離合集散を繰り返している。

 ◇民主、一枚岩になれず
民主党は内閣、党支持率の低迷に直面し、逆風下の選挙戦を強いられている。
09年の前回衆院選で308議席を獲得し、政権交代につなげたのに対し、今回の衆院選で野田佳彦首相(党代表)らの掲げた勝敗ラインは「比較第1党」。
党幹部は「単独過半数と言いたいが、ハッタリを言ってもしょうがない。
政権維持が最大の目標だ」と危機感を隠せない。
 
 民主党の輿石東幹事長は衆院解散後、記者団に対し「政権維持の最低条件は比較第1党だ。
単独過半数は既に離党者が60人も70人もいて、現実的に無理だ」と表明した。
首相の衆院解散表明以来、離党者の動きに拍車がかかり、候補者不在で「不戦敗」を余儀なくされる選挙区も相次ぐ見通し。
若手議員は「獲得議席は70〜90議席」との感触をもらす。


 「第1党」という高いハードルをクリアするため、民主党が全面に押し出すのが「党首力」の違いだ。

首相も16日の記者会見で、対中国強硬姿勢を強調する自民党の安倍晋三総裁を念頭に、「極論の先に真の解決策はなく、排外主義につながる」と批判。
その上で「『強い外交』という言葉だけ躍っても何の意味もない」と訴えた。


 「迷惑解散だ」「自爆テロ解散でしょう」

16日、国会内。首相に批判的な民主党の鹿野道彦前農相のグループの会合では、出席者から衆院解散を断行した首相への恨み節が続いた。
「古い政治に戻すことはあってはならない」と意気込む首相の足元で、民主党はなお「一枚岩」になり切れないまま選挙戦に突入する。【田中成之】

◇離党、半月で11人


 衆院が解散された16日、民主党では新たに3人の前衆院議員が離党届を提出した。
同党は今国会が開会した10月29日以降の離党届を受理せず棚上げにしており、16日までに離党を表明した前衆院議員は11人に上る。
09年衆院選で308議席を獲得した民主党だが、3年余りで過半数を下回る233議席まで減らして衆院解散を迎える形になった。

 初鹿氏は記者会見で「政策転換により、政権交代当時の民主党と違う党になってしまった」と離党理由を話し、今後については「反・新自由主義、リベラル勢力の結集に力を注ぎたい」と述べるにとどめた。
福田氏は新党「みどりの風」への参加を表明。
「格差拡大を阻止したい。今までにない受け皿を作る」と語った。
橋本氏は「野田佳彦首相は自民党、公明党の方ばかり向いてきた」と批判し「どこかの政党で頑張りたい」と述べた。【影山哲也】

◇自・公、政権奪還へ高揚

 自民、公明両党は「3年間待った」(自民党の安倍晋三総裁)衆院解散が実現し、政権奪還へ意気込んでいる。
自民党は民主党政権の失態を衆院選で攻撃する方針。
しかし、国政の停滞による既成政党不信も強まっており、自民党の改革姿勢が問われる選挙になる。

 安倍氏は16日、解散を受けた衆院本会議場での「万歳三唱」の際、大きく両手を振り上げた。
その後の記者会見では民主党政権について「美しい政策は誰でも掲げられるが、政治への信頼を失わせた。間違った政治主導での混乱に終止符を打ちたい」と批判した。


 安倍氏は16日の会見で、衆院選に向け、経済再生▽日米同盟など外交の立て直し▽震災復興−−などを訴えると表明。
集団的自衛権の行使はできないとする政府の憲法解釈の変更や教育再生など、保守色の強い政策も打ち出している。


 民主党政権が失速するなか、自民党の不安材料は高まる既成政党不信にある。
同党は防災のために10年間で総額200兆円を公共事業などに集中投資する「国土強靱(きょうじん)化」構想を提唱。
党内にも「古い発想」との批判がくすぶり、安倍氏は会見で「無駄遣いを排し、国民の命を守る点でかつての公共投資とは大きく変わる」と釈明した。


 公明党の山口那津男代表は16日、民主党政権について、記者団に対し「さまざまな試みが失敗に終わり、マニフェストも総崩れ状態だ」と批判。
一方、日本維新の会など「第三極」に関しては「国民の声が既成政党に届ききらないという思いがある」と不安ものぞかせた。【鈴木美穂】

 ◇第三極、仁義なき戦いに

 第三極結集を巡る動きは衆院解散の当日も激しさを増した。
太陽の党は日本維新の会とみんなの党が合意した共通政策を丸のみして解党。
13日の結党から1週間もたたずに消滅が決まった。
一方で15日に「合流を目指す」とした太陽と減税日本の合意は1日で「白紙」に。
選挙戦を目前に思惑と損得計算が交錯する駆け込み合流には第三極内部からも不協和音が出ている。

太陽の石原慎太郎共同代表は16日、国会近くのホテルであった維新の橋下徹代表との会談で、日ごろは批判的な「脱原発」などを盛り込んだ橋下氏の政策提言を即座に了承した。


 太陽の園田博之前衆院議員は「議論してみたらそんなに違っていなかった」と説明。
太陽幹部は「『大連合』を目指す石原さんの熱意に押し切られた」と明かす。太陽は知名度のある石原氏が頼り。
石原氏が「合流する」と言えば従うしかなかった。


 太陽の解党で今後の第三極は維新とみんなの連携を軸に動く。
しかし、みんな側からは維新と太陽の合流を懸念する声が噴出。
政策の隔たりを棚上げした合流が「野合」との批判を受け第三極全体のイメージに影響することを恐れているためだ。


 みんな幹部は「太陽が入ることで維新の新鮮なイメージが消えてしまう。
合流は消極的にならざるをえない」と語る。
みんなの渡辺喜美代表は記者会見で、維新との協議継続を表明しつつ、「みんなの党自身は変わらない」と合流には慎重な考えを示した。

 ◇戸惑う河村氏

 一方、減税は太陽から袖にされた。
維新が減税との連携に懸念を示していたことをふまえ、太陽が両者をてんびんにかけて維新を選んだ形だ。
減税代表の河村たかし名古屋市長は名古屋市役所で記者団に「石原さんが(4党)いっぺんにやろうと言った。
いっぺん確認してみる」と戸惑いを隠さなかった。【坂口裕彦、津久井達】

 ◇埋没恐れる共産・社民

 共産、社民両党は衆院選で、「脱原発」「消費増税反対」「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)反対」を掲げる。
しかしみんなの党が「原発ゼロ」を公約とし、国民の生活が第一も「消費増税の凍結、廃止」とするなど、「第三極」政党も重複する政策を訴えており、民主、自民と第三極のはざまで埋没する危機感を強めている。


 共産党の志位和夫委員長は16日の記者会見で、「第三極」について「選挙目当ての離合集散だ」とけん制。

社民党の福島瑞穂党首は記者団に「社民党が脱原発、反消費税、反TPPで本気で頑張る政党だと訴えたい」と差別化に努めた。【
佐藤丈一】

posted by 小だぬき at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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