2012年12月01日

師走 「天声人語」

天声人語

2012年12月1日(土)付  朝日新聞

めくり忘れて痛い思いをしたわけではないが、日めくりの暦(こよみ)がどうも苦手である。
馬齢のせいか、目に見えて「残り日」が減るのが面白くない。
愛用者も多いけれど、24時間すごせる回数券を日々ちぎるような、デジタル的な喪失感がきつい

▼他方、ひと月ごとのカレンダーは、きょうとあすの間の余白に味がある。
アナログの安らぎとでもいおうか、消えていく時が見えにくいのがいい。
ただし月の変わり目には、喪失感がまとめてやってくる

▼壁のカレンダーがあと一枚になった。
「師も走る」とされる月だから、我々がせわしいのは無理もない。
賀状の準備に大掃除、忘年会。
今年は選挙も重なり、ざわついた年の瀬になろう

▼罪なのは年末ジャンボだ。
1等4億円が68本、前後賞を合わせ6億円と史上最高の賞金である。
その額に目がくらみ、買ってもいないのに胸が躍る自分がおかしい。
かくして、自治体の台所はささやかに潤う

▼鹿児島県に住む40代の女性が今年、「宝くじに当選させる」という電話を真に受け、何者かに計4千万円を振り込んだそうだ。
だます方が悪いに決まっているが、うますぎる話を聞いた時は途中で耳を塞ぎたい

▼見果てぬ夢を、くじではなく、真新しい手帳や日記に託す人もおられよう。
365日分の回数券がそこにある。
白いページの、なんとまぶしいことか――師走につられて先走りすぎたようだ。
まずは残る31枚を惜しんで使いたい。
「忙忙(ぼうぼう)」と吹きすさぶ北風に、心まで飛ばされぬよう。

posted by 小だぬき at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
モッピー!お金がたまるポイントサイト