2012年12月05日

距離感つかめる人選び

香山リカのココロの万華鏡:距離感つかめる人選び
毎日新聞 2012年12月04日 東京地方版

北海道でひとり暮らしの母親に電話をしたら、「今年は寒いし雪も早い」と言っていた。
風雪により大規模停電が起きて、寒い中、暖房器具も使えずに夜を送った人たちもいたようだ。
母も「近所のコンビニまで行くのもたいへんなのよ」と言っていた。
自然の猛威がすぐに“死活問題”にまで発展するのだ。

東京にいると、テレビのニュースでそんな北海道の映像を見ても、なかなかピンとこない。
私も母親がいなければ、「へー、たいへんね」という以上の関心も持たなかったかもしれない。

つまり、私たちにとって、自分に直接、関係のないできごとを理解したり気持ちを寄せたりするのは、とてもむずかしいことなのだ。
「人ごとだよね」と積極的に冷たい態度
を取らなかったとしてもどこかで「自分には関係ない」とそれ以上、考えるのをシャットアウトしてしまう。

しかし、これは私たちが自分を守るための知恵でもある。
遠い国や地域で起きている災害や紛争、事故にいちいち「もし私だったらどうなるだろう」「この人たちはどんな思いなのだろう」と感情を移入していたら、身が持たないからだ。
自分に直接、かかわらないことにはある程度、距離を置き、「私にはあまり関係ない」と言い聞かせることで、ちょっと安心することができる。

 自分以外のことに、どれくらいの距離を置くのか。
そして、どれくらい「この人たちはどんな気持ちなんだろう」と思いを寄せるのか。
このバランスは、それぞれが頭で考えて、自分で決めなければならない。

精神科の診察室で患者さんを診るということは、常にこの「距離の置き方」のバランスを考えるということでもある。
あまりにも接近しすぎて自分も動揺しないように、でも逆に距離を置きすぎて理解できなくならないように。

 さて、もうすぐ公示される選挙ではどうなのだろう。
それぞれの候補者たちは、有権者とどんな距離の置き方をするのだろう。
ひとりひとりの生活者たちとの距離を失って感情的になりすぎる人も困るが、とはいえあまりに高みから見下ろすような人も困る。

その「距離の置き方のバランス」が絶妙の人を探したいな、と思いながら、各党から立候補が予想される人たちの顔ぶれを見ている。


 「これぞ」という人が見つかりそうかどうか、それはここではあえて書かずにおくが、バランス感覚のある人探しは簡単ではないということは、誰にもわかるのではないだろうか。

posted by 小だぬき at 06:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by まゆみ at 2012年12月05日 06:59
お誘いありがとうございます。
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Posted by 小だぬき at 2012年12月05日 10:57
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