静な脅か威“肺炎”の恐怖 日本人死因第3位、風邪こじらせ…
2013.02.05 zakzak
インフルエンザが列島で猛威をふるっている。
高熱や筋肉痛などの激しい症状は、抗インフルエンザ薬の相次ぐ登場で、かなり緩和されるようになってきた。
もっと怖いのはインフルエンザを含め、さまざまな風邪をこじらせて肺炎に至るケースだ。
専門医に実態を聞いた。
【30−40代もご用心】
2011年の人口動態調査(厚労省)では、死因第3位に肺炎が浮上した。
超高齢化社会と言われる日本では、高齢者が肺炎で命を落とすケースが増えている。
若い世代も油断は禁物だ。
呼吸器内科専門医で杏林大学医学部長を兼務する後藤元教授が説明する。
「肺炎には、入院している人が発症する、院内肺炎、介護施設の入所者などの肺炎、そして、会社員など元気な人に起こる市中肺炎の3つがあります。
前者は高齢の方が多いのですが、市中肺炎は30、40代の若い世代の人も発症しています。
中には、どんどん進行する劇症型の肺炎もあり、亡くなる方もいるのです」
肺炎を起こす原因菌の種類はたくさんあり、効果のある薬も異なるそうだ。
的確に診断し治療を行う専門医選びが大切になってくる。
【肺炎の土台は風邪】
後藤教授による風邪と肺炎は症状や経過が違う。
原因となるウイルスや細菌が異なるのだが、なぜ風邪から肺炎へ移行するのか。
「健康な状態であれば、肺炎を起こす原因菌は体内の防御機能で排除されます。しかし、風邪をひいてノドや気管支などの上気道の炎症が続くと、防御機能が崩れ、肺炎の原因菌が肺の奥に入って増殖しやすくなるのです。
肺炎の原因菌は多種多様なので、予防を考えるならば、土台を作る風邪そのものを予防することが大切です」(後藤教授)
風邪で多い原因はライノウイルスやインフルエンザウイルス。
ノドや気道の粘膜が炎症を起こし、発熱や筋肉痛で全身の体力を奪う。
結果として防御反応が低下。
そこへ肺炎の原因となる肺炎球菌、インフルエンザと異なる細菌の一種・インフルエンザ菌などが押し寄せて、肺炎を起こす。
【顔を触ってはダメ】
インフルエンザや肺炎の代表的な原因菌である肺炎球菌にはワクチンがあり、予防することが可能。
でも、他のウイルスや細菌はアタックを退けることが難しい。
肺炎の土台になる風邪予防としては、マスク、手洗い、うがいといわれているが、それだけで良いのだろうか。
「風邪の感染経路は、飛沫からの感染よりも、ウイルスが手に付着し、その手で顔を触る『接触感染』が多いとの研究報告があります。
手で顔を無意識に触ることで感染しやすくなるのです。
それを防ぐためにもマスクは有効。電車内や職場で、鼻を触ったり、目もこすったりしないようにしましょう」(後藤教授)
インフルエンザは感染すると10分程度で細胞内に入り、増殖を始めるという。
外出先では、10分ごとに手洗いやうがいなどができないだけに、マスクをしっかりつけることがポイント。
「風邪をひいて長引くようなら、早めに医療機関を受診してください。また、ご高齢の方など体力のない人は、発熱や咳などの症状がなく、食欲の低下だけでも、肺炎を引き起こしていることがあります。
体調不良を感じたら放置しないことが大切です」と、後藤教授はアドバイスする。
2013年02月05日
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