読売新聞 2013年2月22日
石田苗子(いしだ みつこ)健康術
(新聞の切り抜きを持って診察室にいらっしゃる方が増えています)
日本の現在の認知症の治療は、遅れているというより、手さぐり状態という言葉が適切ではないかと私は思います。
自分が自分でよく把握できない、自分の記憶が不確かになっていく、これほど不安なことはないでしょう。
その方がどんな職業に就いていたかとは全く無関係に、認知症になったり、アルツハイマーと診断されることがあります。
簡単に言えば、日頃の行いというものが当てにならないと言うことです。
先日、認知症と診断された夫について妻が「夫の職業は裁判官だったんです! どうして認知症なんかになるのでしょうか? それはそれは規則正しい生活を送っていたのに」と涙ぐまれる様子があり、先生も私も返す言葉がありませんでした。
心を鬼にして「職業や偏差値および生活態度に関係なくかかるものですから」と申し上げるしかない。
最近は、診察室に認知症の治療に関する新聞の切り抜きを持って来られる人が増えました。
コラムのコピーを先生に見せながら、認知症の治療の不安を訴えられるのです。
認知症患者本人の意思を無視して強い薬を与えられ、以前より意識レベルが低下したり、興奮状態になったという記事があり不安だとおっしゃるのです。
いわゆる「せん妄」と言われる状態が、家族にも目立ってきたとおっしゃるのです。これは薬の処方が悪いのではないかと訴えられるのです。
特にご家族に高齢者をかかえて介護をされている方からの質問が増えました。
これは緊急に対処を考える必要があるのではないでしょうか。
薬の処方は医師しかできません。
診断してから処方を考えるのですが、これまでの歴史の中で高齢者の認知症の処方は歴史が浅いのではないかと思います。
しかし、いつ自分がそうなるかもしれない。
これは癌予防と少し異なる不安ではないでしょうか。
糖尿病も含め生活習慣病とは異なるものです。
予防方法が明確ではない。
そうなると、単なる物忘れでも、ある日を境にそれが恐怖になったりする。
これは人に悪いストレスを与え続けます。
結果的に必要以上に神経質になっていき、自分は認知症にかかってしまったのではないか、治療の薬がないのではないかとおびえる人が出てくることも考えられます。
高齢者の場合、便秘や脱水状態などに注意をするほうが先決で、むやみに胃腸薬と抗精神薬を大量に処方することは、決して身体によくない事です。
薬局や薬剤師さんたちともっと密接な仕事の関わり合いを再考する必要があるのではないでしょうか。
高齢者に見られる独特な症状を医療者はもっと研究し、これから10年の日本社会の高齢者医療を真剣に考えていくべきだと思います。
今は皆に理解されてるけど
昔は大変だったよね
家にも居たのよ認知症のお婆ちゃんが
母が苦労してました(ーー;)
むしろ原因不明の若年性痴呆の方が深刻です。
私も 最近 物忘れがひどくなり 年1度の脳ドックをおっかなびっくり受けていますよ。