2013年4月2日01時21分 読売新聞 社説
「ミスタープロ野球」と「ゴジラ」のダブル受賞だ。 球春にふさわしい朗報である。
政府は、プロ野球の長嶋茂雄・読売巨人軍終身名誉監督と、巨人や米大リーグ・ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏に国民栄誉賞を贈ることを決めた。
両氏は輝かしい実績を残し、プロ野球の隆盛に大きく貢献した。
多くの国民から愛されている。
こうした点が高く評価されての受賞には、誰もが納得するだろう。
プロ野球界では過去に、王貞治氏と衣笠祥雄氏に国民栄誉賞が贈られている。
長嶋氏は言うまでもなく、プロ野球を国民的スポーツに発展させた最大の功労者である。
1959年の天覧試合でのサヨナラ本塁打をはじめ、記憶に残るプレーでファンを魅了した。
背番号「3」に憧れ、野球を始めた子どもたちは多い。
絶大な人気を誇ってきたのは、持ち前の明るさによるところも大きい。
2度にわたる巨人の監督時代には、リーグ優勝5回、うち2回は日本一に輝いた。
2004年に脳梗塞で倒れ、今も懸命のリハビリを続けている。
長嶋氏は、東日本大震災の後、「被災地の方に比べれば、僕の病気なんて小さなことだと思う」と語っている。
こうした長嶋氏を師と仰ぐのが松井氏だ。巨人在籍時には、本塁打王と打点王を各3回、首位打者を1回獲得するなど、日本を代表する強打者として活躍した。
03年、ヤンキースに移籍し、09年のワールドシリーズでは、日本人初のMVPという快挙を成し遂げた。
これにより、日本野球の評価が米国で一層、高まったことは間違いない。
両氏の受賞は、ペナントレースが開幕したばかりのプロ野球界全体にとっても誇りとなるだろう。
国民に根付いたプロ野球のさらなる盛り上がりにつなげたい。