余録:「今どんな夢を見ていたのか」と問いつめられ…
毎日新聞 2013年04月06日 02時21分
「今どんな夢を見ていたのか」と問いつめられるのが落語の「天狗(てんぐ)裁き」である。
寝言を言っていた八五郎が女房に起こされ、どんな夢だったかと聞かれる。
思い出せない八五郎は「夢なんか見てない」といったので大げんかになった
▲かけつけた隣人も八五郎の夢が気になり問いつめる。
またけんかとなり間に入った大家、次には奉行にも夢を聞かれ、ついに天狗にさらわれ山中へ。
天狗も夢を問いつめるが、答えられず「助けて」と叫んだところで目覚めた。すると女房が「どんな夢を見てたの」
▲まあ、夢ばかりは人の究極的な個人体験である。
どんなに問いつめられても口をつぐんでいれば他人に知られない。
だが、やがて人の夢もテレビのようなもので他人が見られるようになるのだろうか。
そんな未来すら予感させる驚きの「夢の解読」の研究結果である
▲寝ている人の脳の活動を計測し、見ている夢の内容を読み取ることに成功したのは国際電気通信基礎技術研究所などの研究チームだ。
実験では3人の男性が眠っては起き、どんな夢を見たかという報告を200回以上も繰り返したそうだから八五郎もびっくりである
▲この夢の内容を「車」「本」「女性」など約60種類に分類し、その画像を見た時の脳の活動のパターンと睡眠中のそれを比較した。
すると15種類の夢では約7割の確率でパターンが一致したという。
つまり見ている夢の内容が脳活動のパターンで推測できたのである
▲この分だと将来は見たい夢を見ることができ、悪夢は見なくてすむ時代が来るのか。
八五郎なら大歓迎だろうが、夢をあらかじめ知る人生もちょっと味気ない。
2013年04月06日
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良い未来なら素直に
そうじゃなかったら、頑張って、人生を変えます。