恐怖支配に永遠はない
2013年 4月 13 日(土)付 朝日新聞「天声人語」
ジョージ・オーウェルの『動物農場』は、豚をはじめとする動物たちが人間に反乱を起こして、解放される物語である。
だが、やがて豚が特権階級となって専制支配を敷き、他の動物は屈従を強いられる……。
作家が寓話(ぐうわ)に込めたのは旧ソ連のスターリン体制への批判だった
▼独裁権力の下では、政治が万事、大げさになりがちである。
言葉遣いから物腰まで、時に異様、時に滑稽と映る。
動物農場の豚は小難しい言葉を使いたがり、その頭領は自分で自分に「動物英雄勲一等」を授ける
▼そうした傾向が北朝鮮で極まっていることは、伝えられる映像などでおなじみだろう。
金正恩(キムジョンウン)第1書記が後継者として登場した時、「新世紀の偉大な太陽」「人民愛の最高の化身」などと表現された。
いま、その「卓越した知略と先軍指導」が世界中に迷惑をかけている
▼独裁体制とはどんなからくりで維持されるのか。
18世紀英国の哲学者ヒュームによれば、民衆がやすやすと支配されているという現象は驚きではあるが、実は指導者が頼みとしているのはつまるところ「世論」だけである。
このことは、最も専制的で最も軍事的な政府にもあてはまる(「統治の第一原理について」)
▼たしかにソ連は消え、「アラブの春」は起こった。
世論、つまり人々の意識が変わり、独裁を葬り去った。
「王様は裸だ」という声はいつかは上がる
▼情報を遮断され、飢えや暴政に苦しむ北の人々に届かないのがもどかしい。
それでも恐怖支配に永遠はない。
2013年04月14日
「動物農場」に学ぶ「世論」の危うさ、恐怖支配に永遠はない
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